以下、上記課題等を解決するのに適した各手段を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された扉体と、
前記固定枠に対し左右他側部にて前記扉体を施錠する施錠手段とを備えた遊技機であって、
前記施錠手段は、
鍵により操作される錠部材と、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向に摺動可能な摺動部材と、
前記摺動部材の動作に連動して、所定の被係止部に対し係止されて前記扉体の開放を規制する係止位置と、前記被係止部から離脱して前記扉体の開放を許容する非係止位置とに変位する鉤部材と、
前記鉤部材を前記係止位置に付勢する付勢手段とを備え、
前記鉤部材は、上下方向に沿って形成された先端側縦縁部を有し、
前記被係止部は、上下方向に沿って形成されかつ前記鉤部材の先端側縦縁部が当接可能な規制壁部を有し、
前記鉤部材が前記係止位置にある場合において、
前記鉤部材の先端側縦縁部の上下両端部のうち施錠方向側の端部の高さ位置が、前記被係止部の規制壁部の上下両端部のうち解錠方向側の端部の高さ位置より施錠方向側に位置し、
前記鉤部材の先端側縦縁部の上下両端部のうち解錠方向側の端部の高さ位置が、前記被係止部の規制壁部の上下両端部のうち施錠方向側の端部の高さ位置より解錠方向側に位置することを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、鉤部材は、常には付勢手段によって係止位置側へ付勢されているが、適正な鍵の解錠操作があると、摺動部材から力を受けることにより非係止位置へ変位する。つまり、付勢手段の付勢力に抗して鉤部材を変位させることにより、解錠方向に移動する。これにより、扉体の施錠状態をより確実に保持することができる。一方、鍵を用いずに開状態にある扉体を閉じた場合には、鉤部材の先端側縦縁部と被係止部の規制壁部とが面接触するようにぶつかることとなり、鉤部材は解錠方向に変位せず、扉体を閉状態とすることはできない。換言すれば、鍵を用いて正規の操作を行い、被係止部に妨げられない位置に鉤部材を変位させなければ、扉体を閉じきることができなくなる。結果として、仮に不正行為により扉体が不正開放されたとしても、比較的容易かつ素早く扉体が閉じられてしまうことがないため、遊技ホールの店員等が上記不正行為を早期発見することができるようになる。もちろん、鉤部材及びこれに対応する被係止部の数は1つに限定されるものではなく、これらを複数備えた構成としてもよい。この場合、各鉤部材は同様に上記構成となる。従って、上記不正行為が行われた場合でも、鍵がないため複数の鉤部材を同時に操作して扉体を閉じることは難しい。なお、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。また、被係止部は、固定枠又は扉体のうち、施錠手段が設けられた側とは反対側に設けられる。また、上記解錠方向側とは、鉤部材が係止位置から非係止位置に向かう方向側を指し、上記施錠方向側とは、鉤部材が非係止位置から係止位置に向かう方向側を指す。
手段2.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された扉体と、
前記固定枠に対し左右他側部にて前記扉体を施錠する施錠手段とを備えた遊技機であって、
前記施錠手段は、
前記固定枠又は前記扉体いずれか一方の左右他側部に沿って取付けられる取付部、及び、当該取付部から前記固定枠又は前記扉体の他方側へ向け突設された支持部を具備する縦長の基枠と、
鍵により操作される錠部材と、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して、前記支持部に沿って上下方向に摺動可能な摺動部材と、
前記支持部の突出側端縁部より取付部側に位置した基部、及び、当該基部から突設されかつ前記突出側端縁部より支持部外側に位置する係止部を具備した鉤部材と、
前記鉤部材を前記係止位置に付勢する付勢手段とを備え、
前記鉤部材が、前記摺動部材の動作に連動して、前記固定枠又は前記扉体の他方側に設けられた被係止部に対し前記係止部が係止されて前記扉体の開放を規制する係止位置と、前記被係止部から前記係止部が離脱して前記扉体の開放を許容する非係止位置とに変位する構成であって、
前記鉤部材の係止部は、上下方向に沿って形成された先端側縦縁部を有し、
前記被係止部は、上下方向に沿って形成されかつ前記鉤部材の先端側縦縁部が当接可能な規制壁部を有し、
前記鉤部材が前記係止位置にある場合において、
前記鉤部材の先端側縦縁部の上下両端部のうち施錠方向側の端部の高さ位置が、前記被係止部の規制壁部の上下両端部のうち解錠方向側の端部の高さ位置より施錠方向側に位置し、
前記鉤部材の先端側縦縁部の上下両端部のうち解錠方向側の端部の高さ位置が、前記被係止部の規制壁部の上下両端部のうち施錠方向側の端部の高さ位置より解錠方向側に位置することを特徴とする遊技機。
上記手段2によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
手段3.前記鉤部材は、前記被係止部に対し係止される係止状態において当該被係止部が差し込まれる係止凹部を備えるとともに、
前記鉤部材の先端側縦縁部から前記係止凹部にかけて、前記先端側縦縁部の施錠方向側の端部と略同一高さ位置に沿って形成された横縁部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、従来のように扉体を閉じる際に傾斜部位が被係止部に当接する鉤部材と異なり、扉体を閉じる横方向の力を、鉤部材を解錠方向へ動かす力に換えることができないため、扉体を閉じる際には、鉤部材を被係止部に妨げられない位置に維持したまま、扉体を閉じていかなければならない。従って、鍵を用いずに扉体を閉じることは実質的に困難となり、上記作用効果が高められる。
手段4.前記横縁部において、少なくとも前記扉体を閉じる方向に抗して作用する抵抗手段を備えたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
上記手段4によれば、横縁部において抵抗手段を設けることにより(例えば横縁部を鋸歯状に形成する等)、被係止部の端部に沿わせて鉤部材の横縁部を滑らせるようにして扉体を閉じていくことをより確実に防止できるため、上記手段3の作用効果をさらに高めることができる。加えて、上記抵抗手段が前記扉体を開く方向に抗して作用するものであれば、上記不正開放を防ぐ効果も生じる。
手段5.前記扉体の開放を検知する開放検知手段を設けたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段5によれば、開放検知手段によって扉体の開放が検知された場合には、当該検知情報に基づいて、扉体が開放された旨をホール関係者等に報知することができる。従って、扉体の不正開放を発見しやすくなるといった効果が奏される。ひいては、上記手段1等の構成との相乗効果により、上記作用効果がさらに高められる。尚、報知としては、点灯手段における点灯態様、音声手段における音声態様、表示装置における表示態様等による報知が挙げられる。また、ホールが管理するホールコンピュータに繋がるケーブルを介して、扉体が開放された旨の信号をホールコンピュータに出力することで報知(通報)が行われてもよい。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に遊技機本体(扉体)としての内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。外枠11の左辺部には、上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。また、外枠11の右辺部には、後述する施錠装置600の鉤部材613,614に対応して、上下一対の被係止部としての受け金具83,84が取付けられている。
さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。また、外枠11の右辺部内側面には切欠き部89が形成されている。この切欠き部89は、内枠12を閉状態とした際に、内枠12の背面側に設けられた施錠装置600等が外枠12と接触するのを防止するためのものである。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前面扉としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
また、前面枠セット14の右側部背面側には、後方に向って突出した3つの前面枠セット鉤部14a,14b,14cが上下方向に並んで設けられている(図4参照)。そして、前面枠セット14の閉状態においては、後述するように前面枠セット鉤部14a,14b,14cにより、前面枠セット14の開放が規制される。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構について図10乃至図15を参照して説明する。本実施形態における両施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。従って、施錠装置600は本実施形態における施錠手段を構成する。ここで、図10は、施錠装置600の背面図であり、図11は右側面図、図12は左側面図、図13は正面図である。また、図14は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図15は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。
施錠装置600は、内枠12の背面側左側辺部(図7左側)に沿って取付けられている。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603とを備えており、これらが一体となって横断面略L字状をなしている。
取付板602には、複数の取付孔605が穿設されるとともに、上下方向に沿って3箇所に矩形状の挿入孔607,608,609が形成されている。これら挿入孔607,608,609に対応する内枠12の部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、前面枠セット14の閉時においては、後述するように、前面枠セット14の背面部に突出形成された被係合部としての前面枠セット鉤部14a,14b,14c(図4参照)が、内枠12の連通孔97,98,99を介して、取付板602の挿入孔607,608,609へ進入するようになっている。
また、基枠601の内側には、支持板603に沿って上下方向に摺動する摺動部材としての摺動杆610、上下一対の鉤部材613,614、上記挿入孔607,608,609に対応して設けられた係合部材としての前面枠セット施錠部材617,618,619などが配設されている。なお、施錠装置600を構成する基枠601、摺動杆610、鉤部材613,614、前面枠セット施錠部材617,618,619などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
基枠601(取付板602及び支持板603)は、下側の鉤部材614の取付位置よりもやや上方位置において、内枠12内方側(窓孔39側)に向けて膨出している。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。また、摺動杆610も同様に、基枠601の膨出部位に対応する部位が膨出している。この摺動杆610の膨出部610aには、後述するシリンダ錠700のカム板703が係合可能な上下一対の矩形状の係合孔621,622が形成されている。
ここで、まず内枠12の施錠機構に関連する部分について説明する。内枠12の施錠機構を構成する鉤部材613,614は、摺動杆610よりも内枠12外方側に配設されている。
鉤部材613,614は、摺動杆610と重畳する略長方形状の基部613a,614aと、当該基部613a,614aから支持板603の突出方向に沿って後方へ延びる突出部613b,614bと、当該突出部613b,614bの先端から下方へ突出する爪部613c,614cとから構成されている。つまり、基部613a,614aは、支持板603の後縁部(突出側端縁部)より前側(取付板602側)に位置しており、突出部613b,614b及び爪部613c,614cは、支持板603の後縁部(突出側端縁部)より後側(支持部外側)に位置している。従って、突出部613b,614b及び爪部613c,614cにより本実施形態における係止部が構成される。上記構成により、鉤部材613,614は、支持板603より後方へ突出した部分(突出部613b,614b及び爪部613c,614c)が下方へ屈曲した鉤状となるとともに、当該突出部分において下側に向け凹となる係止凹部が形成され、当該係止凹部に差し込まれる上記外枠11の受け金具83,84と係合する。
鉤部材613,614に対応して、摺動杆610及び支持板603の上部及び下部には、それぞれ内ガイド孔625,626及び外ガイド孔627,628が形成されている。各ガイド孔625〜628は上下方向に長い長円状をなす。そして、摺動杆610の内ガイド孔625,626及び支持板603の外ガイド孔627,628を通して、ガイドピン631,632が支持板603の外側から差し込まれた状態で、鉤部材613,614(基部613a,614a)に対し固定されている。これにより、鉤部材613,614は、基枠601(支持板603)及び摺動杆610に対して、上下に相対変位可能かつ回動変位可能に係合されるとともに、摺動杆610の摺動に連動して摺動可能となる。
また、取付板602の内枠12外方側縁部には、基枠601内側(後側)へ突出したフランジ部が略全長にわたって設けられ、支持板603の後縁部(突出側端縁部)には、基枠601内側(内枠12外方側)へ突出するフランジ部が複数設けられている。これらフランジ部は、摺動杆610や前面枠セット施錠部材617,618,619等の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えるとともに、基枠601内側への線材等の侵入を防ぎ、摺動杆610等に対する不正な解錠操作を防ぐ機能などを備えている。このうち、鉤部材613,614に対応する位置に設けられた支持板603側のフランジ部635,636は、鉤部材613,614の摺動をガイドする機能も有している。詳しくは、フランジ部635,636の上部には、スリット635a,636aが形成されている。このスリット635a,636aを介して鉤部材613,614の突出部613b,614bが支持板603より後方へ突出している。このような構成により、鉤部材613,614は、ガイドピン631,632やフランジ部635,636によりガイドされつつ、上下に摺動可能に保持される。
各鉤部材613,614は、付勢手段としてのコイルばねC1,C2により、下方かつ後方(フランジ部635,636側)へ付勢されている。詳しくは、コイルばねC1,C2は、一端が鉤部材613,614(基部613a,614a)のフック部613d,614dに掛けられるとともに、他端がフランジ部635,636の下部に設けられたフック部635b,636bに掛けられている。これにより、通常時には、ガイドピン631,632が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に付勢される位置において、鉤部材613,614が保持されている。従って、鉤部材613,614の摺動範囲のうち、ガイドピン631,632が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に当接する位置が鉤部材613,614の係止位置(基準位置)に相当する。これに対し、ガイドピン631,632が支持板603の外ガイド孔627,628の上縁部に当接する位置が鉤部材613,614の非係止位置に相当する。
上記構成により、内枠12の施錠状態においては、外枠11の内側に固定された受け金具83,84に対して鉤部材613,614の爪部613c,614cが係止され、内枠12の開放が規制される(図16等参照)。
次に、前面枠セット14の施錠機構に関連する部分について説明する。上述したように前面枠セット14の施錠機構を構成する上記前面枠セット施錠部材617,618,619は、取付板602の挿入孔607,608,609に対応して配設されており、基枠601内側に沿って摺動可能となっている。
前面枠セット施錠部材617,618,619は、横断面コ字状に折曲形成されている。そのうち取付板602側の取付側壁部617a,618a,619aには矩形状の係止孔617b,618b,619bが形成されている。
また、取付側壁部617a,618a,619aには、係止孔617b,618b,619bよりも下方位置において、上下方向に長い長円状の取付側ガイド孔617c,618c,619cが形成されている。これら取付側ガイド孔617c,618c,619cを介して、基枠601内側から取付板602に対しガイドピン641,642,643が固定されている。
一方、前面枠セット施錠部材617,618,619のうち、支持板603側の支持側壁部617d,618d,619dには、上下方向に長い長円状の支持側ガイド孔617e,618e,619eが形成されている。これら支持側ガイド孔617e,618e,619eを介して、基枠601内側から摺動杆610に対しガイドピン645,646,647が固定されている。
各前面枠セット施錠部材617,618,619は、付勢手段としてのコイルばねC3,C4,C5により、上方へ付勢されている。詳しくは、コイルばねC3,C4,C5は、一端が前面枠セット施錠部材617,618,619(支持側壁部617d,618d,619d)のフック部617f,618f,619fに掛けられるとともに、他端が取付板602に設けられたフック部651,652,653に掛けられている。これにより、通常時には、取付側ガイド孔617c,618c,619cの下縁部が取付板602のガイドピン641,642,643に付勢される位置において、前面枠セット施錠部材617,618,619が保持されている。この際、支持側ガイド孔617e,618e,619eの下縁部も同様に、摺動杆610のガイドピン645,646,647に付勢されている。また、この状態では、係止孔617b,618b,619bが、取付板602の挿入孔607,608,609の上部に重なるように位置するとともに、取付側壁部617a,618a,619aにより挿入孔607,608,609の下部が塞がされた状態となっている。
なお、前面枠セット施錠部材617,618,619の摺動範囲のうち、取付側ガイド孔617c,618c,619cの下縁部が取付板602のガイドピン641,642,643に当接する位置が前面枠セット施錠部材617,618,619の係合位置(基準位置)に相当する。これに対し、取付側ガイド孔617c,618c,619cの上縁部が取付板602のガイドピン641,642,643に当接する位置が前面枠セット施錠部材617,618,619の非係合位置に相当する。
上記構成により、前面枠セット14の施錠状態においては、上述したように前面枠セット鉤部14a,14b,14cが、取付側壁部617a,618a,619aの係止孔617b,618b,619bを介して、取付側壁部617a,618a,619aの背面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制される。
また、摺動杆610は、通常時、内ガイド孔625,626の下縁部が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部と略同一高さ位置となる位置において保持されている。この位置が摺動杆610の基準位置に相当する。摺動杆610が基準位置にある場合には、内ガイド孔625,626の下縁部が鉤部材613,614のガイドピン631,632と係合すること、つまりコイルばねC1,C2の引張力によって、上方への動作が抑えられた状態にあるとともに、摺動杆610のガイドピン645,646,647が支持側ガイド孔617e,618e,619eと係合すること、つまりコイルばねC3,C4,C5の引張力によって、下方への動作が抑えられた状態にある。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1等の引張力に抗して上方又は下方へ摺動変位する。
さて、取付板602の下部の拡幅部分(上記膨出部分に対応する部位)には、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられている。シリンダ錠700は、鍵穴を有する錠本体部が取付板602を貫通して前方へ延び、前面枠セット14の前面側に露出している。シリンダ錠700の背面側には、鍵穴に挿入された鍵の回動動作を摺動杆610に伝達する係合部材としてのカム板703が設けられている。
カム板703は、上下一対の係合爪703a,703bを備えている。そして、この係合爪703a,703bが、それぞれ上記摺動杆610の係合孔621,622に係合されている。
なお、本実施形態のシリンダ錠700は、鍵の挿入がない場合にはロック状態となり、カム板703が変位不能となる。そして、摺動杆610が基準位置にある場合には、係合爪703a,703bが双方とも係合孔621,622に挿入された状態となっており、ロック状態にあるカム板703により摺動杆610の摺動が規制されるようになっている。
また、施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにしてカバー部材としての施錠カバー705が取付固定されている。施錠カバー705によって、カム板703と摺動杆610との係合部が覆われるとともに、摺動杆610の膨出部610a略全体(上下の段差部を含む)が覆われている。
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、前面枠セット鉤部14a,14b,14cが、前面枠セット施錠部材617,618,619に係止されており、前面枠セット14の開放が規制されている。
そして、前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴に挿入した鍵を図1における反時計回り方向に回動させる。これにより、カム板703が同方向に回動して、上側の係合爪703aが上側の係合孔621の下縁部に接触し、当該係合爪703aに押下げられるようにして摺動杆610が下方へ摺動する。
摺動杆610が下方へ摺動すると、摺動杆610のガイドピン645,646,647が、支持側ガイド孔617e,618e,619eの下縁部を押下げ、コイルばねC3,C4,C5の引張力に抗して前面枠セット施錠部材617,618,619が下方へ摺動する。この際、すべての前面枠セット施錠部材617,618,619が摺動杆610に連動して同時に下方へ摺動する。これにより、全ての前面枠セット鉤部14a,14b,14cと、前面枠セット施錠部材617,618,619との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。
なお、上述しように鉤部材613,614が係止位置(基準位置)にある場合、ガイドピン631,632が係合された摺動杆610の内ガイド孔625,626の上部には、ガイドピン631等が相対変位するスペースが確保されている。このため、摺動杆610が下方へ摺動した場合でも、鉤部材613,614は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
一方、前面枠セット14を施錠する際には、鍵を用いることなく施錠を行うことができる。より詳しくは、開状態にある前面枠セット14を閉じていくと、前面枠セット鉤部14a,14b,14cが内枠12の連通孔97,98,99及び取付板602の挿入孔607,608,609を介して、前面枠セット施錠部材617,618,619の係止孔617b,618b,619b内に進入し、前面枠セット鉤部14a,14b,14c先端の爪部(傾斜部位)が取付側壁部617a,618a,619aに接触する。さらに前面枠セット14を閉じていくと、前面枠セット施錠部材617,618,619が下方へ押され、コイルばねC3,C4,C5の引張力に抗して一旦下方へ摺動する。その後、前面枠セット鉤部14a,14b,14cの爪部が前面枠セット施錠部材617,618,619を越えると、コイルばねC3,C4,C5の引張力により前面枠セット施錠部材617,618,619が元の位置に戻り、前面枠セット鉤部14a,14b,14cと係合する。これにより、前面枠セット14の開放が規制される。
なお、上述したように前面枠セット施錠部材617,618,619が係合位置(基準位置)にある場合、取付板602のガイドピン641,642,643が係合された取付側ガイド孔617c,618c,619cの上部、及び、摺動杆610のガイドピン645,646,647の係合された支持側ガイド孔617e,618e,619eの上部には、ガイドピン641等が相対変位するスペースが確保されている。これにより、前面枠セット施錠部材617,618,619が下方へ摺動変位した場合でも、これに連動して摺動杆610が摺動しないようになっている。
また、上記構成の通り、各前面枠セット施錠部材617,618,619は、それぞれ独立して摺動変位できるように構成されているため、仮に不正な解錠操作によって前面枠セット施錠部材617,618,619のいずれか1つに対し直接外力が加えられた場合でも、これに摺動杆610が連動しないため、他の前面枠セット施錠部材は摺動変位せずに、係合位置を維持したままとなる。
次に内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、上述したように外枠11の内側に固定された受け金具83,84に対して鉤部材613,614の爪部613c,614cが係止され、内枠12の開放が規制されている(図16参照)。
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴に挿入した鍵を図1における時計回り方向に回動させる。これにより、カム板703が同方向に回動して、下側の係合爪703bが下側の係合孔622の上縁部に接触し、当該係合爪703bに押上げられるようにして摺動杆610が上方に摺動する。
摺動杆610が上方へ摺動すると、摺動杆610の内ガイド孔625,626の下縁部によってガイドピン631,632が引き上げられ、コイルばねC1,C2の引張力に抗して鉤部材613,614が上方へ摺動する。この際、摺動杆610に連動して、両鉤部材613,614が同時に上方へ摺動する。これにより、すべての鉤部材613,614と受け金具83,84との係合が解除され、内枠12の開放が許容される(図17参照)。なお、鉤部材613,614が上方へ摺動する際には、コイルばねC1,C2の引張力により、鉤部材613,614はフランジ部635,636側へ引き付けられるため、係止状態中の基準姿勢を略維持しつつ上方へ摺動する。
また、上述したように前面枠セット施錠部材617,618,619が係合位置(基準位置)にある場合、摺動杆610のガイドピン645,646,647が係合された前面枠セット施錠部材617,618,619の支持側ガイド孔617e,618e,619eの上部には、ガイドピン645等が相対変位するスペースが確保されている。これにより、摺動杆610が上方へ摺動変位した場合でも、前面枠セット施錠部材617,618,619は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
一方、内枠12を施錠する際には、本実施形態では鍵を用いなければ施錠を行うことができないように構成されている。
より詳しくは、鉤部材613,614の先端側縦縁部(後端縁部)613h,614hは、突出部613b,614bから爪部613c,614cにかけて、上下方向に沿って略直線状に形成されている。
これに対し、受け金具83,84の前面部83a,84a(図5参照)は、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hが面接触可能なように上下方向に沿って形成されている。従って、受け金具83,84の前面部83a,84aが本実施形態における規制壁部を構成する。
そして、図18に示すように、鉤部材613,614が基準位置にある場合において、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの下端部(施錠方向側の端部)の高さ位置T1が、受け金具83,84の上端部(解錠方向側の端部)の高さ位置T2より下方(施錠方向側)、かつ、受け金具83,84の下端部(施錠方向側の端部)の高さ位置T3より上方(解錠方向側)に位置している。また、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの上端部(解錠方向側の端部)の高さ位置T4が、受け金具83,84の上端部の高さ位置T2より、上方(解錠方向側)に位置している。
このため、鍵を用いずに開状態にある内枠12を閉じた場合には、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hと受け金具83,84の前面部83a,84aとが面接触するようにぶつかることとなり、鉤部材613,614は上方に摺動せず、内枠12を閉状態とすることはできない。
また、爪部613c,614cの下辺部は、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの下端部と同一高さ位置T1において略水平方向に沿って形成されている。爪部613c,614cの下辺部が本実施形態における横縁部に相当する。
従って、内枠12を施錠する際には、鍵を用いてシリンダ錠700を操作し、受け金具83,84によって妨げられない位置、すなわち解錠位置(図17参照)まで鉤部材613,614を摺動変位させた後、爪部613c,614cが受け金具83,84を越えて内枠12を完全に閉じた状態とした上で、鉤部材613,614を係止位置へ戻す。
さらに、本実施形態では、鉤部材613,614に対する不正な解錠操作を防ぐ構成が採用されている。以下、その構成について詳しく説明する。
図16等に示すように、鉤部材613,614の基部613a,614aにおける取付板602側の側縁部(前端縁部)には、その長手方向略中央部において凹部720が形成されている。
凹部720は、上部の上凹部720aと、下部の下凹部720bとからなる。上凹部720aは、その深さが下凹部720bに比べ比較的浅めに設定されるとともに、上方に向かうにつれ徐々に深くなっている。
凹部720が形成されていることによって、基部613a,614aの取付板602側の側縁部は、凹部720上方に位置する上側縁部721と、凹部720下方に位置する下側縁部722とに分断されている。鉤部材613,614が摺動する際には、これら上側縁部721及び下側縁部722のうち少なくとも一方が取付板602に摺接する(図16及び図17参照)。
また、取付板602のうち、係止位置にある鉤部材613,614の上側縁部721と相対向する部位には、規制手段となる孔部としての溝725が形成されている。
これにより、鍵を用いずに、係止位置にある鉤部材613,614の突出部613b,614bや爪部613c,614cに対し線材等を引っ掛けて、当該突出部613b等に対し解錠方向(上方)への外力がかけられると、図19に示すように鉤部材613,614の姿勢が、係止状態時の基準姿勢からガイドピン631,632を中心として取付板602側へ回動変化する。そして、基部613a,614aの上側縁部721が溝725内へ差し込まれる。このような状態となると、これ以上、突出部613b等に解錠方向への外力がかかって鉤部材613,614が解錠方向へ摺動しようとしても、基部613a,614aの上側縁部721が溝725の上縁部725aに引っ掛かるため、鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位は、溝725の遊び長を除き実質的に規制される。もちろん、溝725の遊び長は、溝725の上縁部725aに基部613a,614aの上側縁部721が当接した状態でも、爪部613c,614cが受け金具83,84から離脱しない程度に設定されている。
また、溝725の上下長が長すぎると、鉤部材613,614の正規の摺動動作時においても、基部613a,614aが溝725に嵌まり込んでしまい、適正な摺動動作を行うことができなくなるおそれがあるため、本実施形態では、できる限り溝725の上下長を短く設定するとともに、基部613a,614aの側縁部に凹部720を形成することで鉤部材613,614の所望の回動量を確保している。
一方、鉤部材613,614の回動量が大きすぎると、爪部613c,614cが受け金具83,84から離脱してしまうおそれがあるため、本実施形態では、鉤部材613,614が取付板602側へ回動すると、上凹部720aの底部が溝725下方の取付板602に当接するようにし、その回動量が必要最低限で済むようにしている。なお、図19に示すように、上凹部720aの底部が溝725下方の取付板602に面接触するようにしているのは、鉤部材613,614に対する不正な解錠操作の負荷が局所的にかからないようにして、破損等を防止するためである。
なお、凹部720を上凹部720aと下凹部720bとに2段に分けて形成している理由としては、上述したように鉤部材613,614の所望の回動量を確保する機能と、その回動を規制する機能とを併せ持たせるためである。そのため、上凹部720aよりも回動軸であるガイドピン631,632側に位置する下凹部720bの深さをより深めに設定し、上凹部720aが取付板602に当接する際に、より確実に下凹部720bが取付板602に当接しないようになっている。また、凹部720(下凹部720b)の下端位置が、回動軸であるガイドピン631,632よりも上方位置となっている理由としては、上記凹部720の機能を確保しつつも、凹部720下方に位置する下側縁部722の上下長に所望の長さを確保して、鉤部材613,614の摺動動作の安定性を高めるためである。
さらに、爪部613c,614cの係止側辺部613j,614jはアンダーカット状に形成されている。つまり、係止側辺部613j,614jは、その下端側が上端側よりも基枠601側に位置するように、上下方向に対し傾斜している。仮に鉤部材613,614が基準姿勢にある場合に、爪部613c,614cの係止側辺部613j,614jが上下方向に沿った状態となる構成であると、鉤部材613,614が取付板602側へ回動した場合には、爪部613c,614cの下端側が受け金具83,84の背面部から浮き上がり、爪部613c,614cが離脱しやすくなる。この状態で、内枠12を前方へ無理に引っ張り、開放させようとすれば、内枠12が開放してしまうおそれもある。これに対し、本実施形態では、鉤部材613,614に対する不正な解錠操作により、鉤部材613,614が取付板602側へ回動した場合には、爪部613c,614cの係止側辺部613j,614jが受け金具83,84の背面部に対し面接触して、係止状態が確保されるようになっている。
以上詳述したように、鍵を用いずに線材等によって鉤部材613,614に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、鉤部材613,614の姿勢が回動変化し、鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位が規制される。これにより、鉤部材613,614は係止位置に維持されるため、内枠12の開放は許容されない。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能の向上が図られる。
なお、本実施形態では、鉤部材613,614が係止位置において基準姿勢より回動した場合には、基部613a,614aの上側縁部721が溝725内へ差し込まれることにより、溝725の上縁部725aにおいて鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位が規制される。このため、規制手段となる無駄な出っ張り部分を形成する必要もなく、支持板603の前後幅を極力狭め、施錠装置600の大型化を抑制することができる。さらに、溝725を設けつつも、鉤部材613,614が基準姿勢にある場合には、基部613a,614aの上側縁部721及び下側縁部722のうち少なくとも一方が取付板602に沿って摺動できるため、鉤部材613,614の摺動動作の安定性を高めることができる。
また、本実施形態では、内枠12及び前面枠セット14の解錠に摺動杆610を共用しつつも、内枠12の解錠及び前面枠セット14の解錠を別々に行うことができる。結果として、内枠12と前面枠セット14とを別々に開放でき、メンテナンス時等の作業性の向上を図るとともに、部品点数の増加を抑制することができる。このような構成では、鉤部材613,614を摺動杆610に対して上下動可能に係合する構成を採用せざるを得ないため、鉤部材613,614に対する直接の解錠操作によっては当該鉤部材613,614が上下動しないようにする上記防御機能がより奏効することとなる。
さらに、本実施形態では、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hが上下方向に沿って略直線状に形成されている。そして、鍵を用いずに開状態にある内枠12を閉じた場合には、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hと受け金具83,84の前面部83a,84aとが面接触するようにぶつかることとなり、鉤部材613,614は上方に摺動せず、内枠12を閉状態とすることはできないようになっている。従って、鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位を規制する上記構成を採用した場合でも、鉤部材613,614や受け金具83,84の変形や破損等といった不具合の発生を抑えるとともに、仮に内枠12を開放する不正行為が行われた場合でも、比較的容易かつ素早く内枠12が閉じられてしまうことがないため、遊技ホールの店員等が上記不正行為を早期発見することができるようになる。加えて、爪部613c,614cの下辺部が、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの下端部と同一高さ位置T1において略水平方向に沿って形成されている。これにより、従来とは異なり、内枠12を閉じる横方向の力を、鉤部材613,614を解錠方向へ動かす力に換えることができないため、内枠12を閉じる際には、鉤部材613,614を受け金具83,84に妨げられない位置に維持したまま、内枠12を閉じていかなければならない。従って、鍵を用いずに内枠12を閉じることは実質的に困難となり、上記作用効果が高められる。
また、鉤部材613,614が上方へ摺動する際には、コイルばねC1,C2の引張力により、鉤部材613,614はフランジ部635,636側へ引き付けられるため、係止状態中の基準姿勢を略維持しつつ上方へ摺動する。このため、鍵を用いて行う正規の解錠操作時に、取付板602側の溝725によって、鉤部材613,614の動きが阻害されてしまうといった不具合を防止することができる。
さらに、各鉤部材613,614は、それぞれ独立して摺動変位するように構成されているため、不正行為により仮に鉤部材613,614のいずれか一方が上方へ摺動させられてしまった場合でも、他方の鉤部材613,614は摺動しないため、内枠12の施錠状態が保持され、開放は許容されない。結果として、鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位を規制する上記構成との相乗効果により、不正解錠に対する防御性能がさらに向上する。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、前面枠セット14の施錠機構に関し、前面枠セット14側に、爪部を有する前面枠セット鉤部14a,14b,14cが設けられ、施錠装置600側に、前記爪部と係合する前面枠セット施錠部材617,618,619が設けられているが、施錠装置600側に爪部を有する鉤部材を設け、前面枠セット14側に当該爪部と係合する受部を設けてもよい。この場合、解錠の際には、施錠装置600側の鉤部材が動作することとなる。
(b)上記実施形態では、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構が、単一の施錠装置600によって具現化されている。これに限らず、内枠12の施錠機構となる施錠装置と、前面枠セット14の施錠機構となる施錠装置とを別々に設けた構成としてもよい。この場合、例えば内枠12の施錠機構となる施錠装置を外枠11側に備える構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、内枠12の施錠機構に関し、閉状態とする際にも鍵を必要とする構成を採用しているが、これに限らず、他の施錠機構に関して前記構成を採用してもよい。例えば、内枠12を固定枠とし、これに対し開閉可能に支持された扉体としての前面枠セット14を施錠する施錠機構に関して前記構成を採用してもよい。
(d)上記実施形態では、鉤部材613,614が係止位置において基準姿勢より回動した場合には、基部613a,614aの上側縁部721が、規制手段としての溝725内へ差し込まれることにより、溝725の上縁部725aにおいて鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位が規制されるように構成されている。規制手段は上記実施形態の溝725に限られるものではない。例えば、規制手段として、溝725に代えて凹部を設けてもよいし、取付板602より突出した突起部を設けてもよい。また、上記実施形態では、取付板602のうち、係止位置にある鉤部材613,614の上側縁部721と相対向する部位において、規制手段となる溝725が形成されているが、規制手段の形成位置は、これに限定されるものではなく、例えば支持板603側のフランジ部635,636に形成してもよい。もちろん、図20に示すように、溝725のような規制手段を省略した構成としてもよい。
(e)鉤部材613,614の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、爪部613c,614cの下辺部が水平方向に沿って略直線状に形成された鉤部材613,614を採用しているが、これに代えて、図20に示すように、爪部613c,614cの下辺部において、内枠12を閉じる方向に抗して作用する例えば鋸歯状の抵抗部750等の抵抗手段を備えた構成としてもよい。これにより、受け金具83,84の上端部に沿わせて爪部613c,614cの下辺部を滑らせるようにして内枠12を閉じていくことができなくなるため、不正開放後に内枠12を閉じにくくなる。
また、鉤部材613,614及びこれに対応する受け金具83,84の数は2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
また、上記実施形態では、鉤部材613,614が上方へ摺動することにより、受け金具83,84から離脱する構成となっているが、鉤部材613,614が下方へ摺動することにより、受け金具83,84から離脱する構成を採用してもよい。
また、上記実施形態では、鉤部材613,614が上下方向へ摺動することにより、係止位置と非係止位置とに変位するように構成されているが、これに限らず、回動変位することにより、係止位置と非係止位置とに変位する鉤部材を採用してもよい。
(f)上記実施形態では、鉤部材613,614が基準位置にある場合において、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの下端部の高さ位置T1が、受け金具83,84の上端部の高さ位置T2より下方、かつ、受け金具83,84の下端部の高さ位置T3より上方に位置している。また、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの上端部の高さ位置T4が、受け金具83,84の上端部の高さ位置T2より、上方に位置している。これに限らず、少なくとも、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの下端部の高さ位置T1が、受け金具83,84の上端部の高さ位置T2より下方に位置するとともに、鉤部材613,614の先端側縦縁部613h,614hの上端部の高さ位置T4が、受け金具83,84の下端部の高さ位置T3より上方に位置していればよい。
(g)上記実施形態における施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにして施錠カバー705が取付固定されている。そして、施錠カバー705によって、カム板703と摺動杆610との係合部が覆われるとともに、摺動杆610の膨出部610a略全体(上下の段差部を含む)が覆われている。これに限らず、施錠カバー705を省略した構成としてもよし、施錠カバー705によって覆われる範囲が異なる構成としてもよい。
(h)上記実施形態のシリンダ錠700は、鍵の挿入がない場合にはロック状態となり、カム板703が変位不能となる。そして、摺動杆610が基準位置にある場合には、係合爪703a,703bが双方とも係合孔621,622に挿入された状態となっており、ロック状態にあるカム板703により摺動杆610の摺動が規制されるようになっている。これに限らず、カム板703が変位不能とならないシリンダ錠を採用してもよい。また、摺動杆610が基準位置にある場合において、係合爪703a,703bが係合孔621,622に挿入された状態とならず、摺動杆610の摺動が規制されない構成を採用してもよい。前記両構成などを採用した場合には、鉤部材613,614の解錠方向への摺動変位を規制する上記構成が、より奏効することとなる。
(i)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
(j)また、内枠12の開放を検知する開放検知手段としての開放検知センサ等を備えた構成としてもよい。そして、開放検知センサの検知情報に基づいて、前面枠セット14の前面に設けられたエラー表示ランプ104が点灯制御されたり、内枠12が開放された旨の信号がホールコンピュータに出力されたりするようにしてもよい。