以下に、本発明に係る遊技媒体管理システムについて、遊技機がパチスロ機であり、遊技媒体としてメダルを使用する持玉管理システムを例にとって、図面を参照しつつ説明する。
[持玉管理システム]
図1は、持玉管理システム1を示す概略図である。
持玉管理システム1は、遊技媒体貸出装置としてのサンド20と、パチスロ機10およびサンド20の各々と通信可能な管理サーバ50と、撮影手段としてのカメラ35と、を備えている。
サンド20は、価値媒体の投入を受けてメダルを払い出す機能と、獲得メダルを計数する機能と、を有するものである。このサンド20は、「計数機能付メダルサンド」とも呼ばれるものであるが、便宜上、単に「サンド」と記載する。
ここで、価値媒体は、たとえばICメモリまたは現金である。ICメモリとしては、たとえばICカード、ICスティック、あるいはICコインが使用されるが、典型的にはICカードが使用される。以下においては、価値媒体として、ICカードを使用することを前提として説明する。
サンド20は、パチスロ機10に対応して設けられており、メダルの払い出しおよびメダルの計数を受けて増減する価値情報を管理するとともに、この価値情報を特定可能な獲得価値媒体(ICカードまたは現金)に識別情報を付して発行するものである。価値情報は、たとえば払出や計数で増減する情報であって、ICカードに記憶される情報であり、「貯メダル」や「持メダル」が価値情報に相当する。
サンド20は、カメラ35を備えている。カメラ35は、パチスロ機10の前方を撮影し、撮影範囲にある遊技者が着席状態にあるか否かを検出するものである。このカメラ35は、着席状態にあるか否かの着席結果情報および着席遊技者の撮影情報(フェイシャルデータ)を管理サーバ50に送信する。
管理サーバ50は、パチスロ機10での遊技に使用される消費遊技媒体情報としての消費メダル情報、パチスロ機10における入賞に応じて増加する入賞情報、およびサンド20が管理する価値情報を受けて、これら情報を発信したパチスロ機10を特定可能な識別情報(たとえばパチスロ機10の台番号、パチスロ機10に対応させたサンド20のID)と対応付けて記憶する。消費メダル情報は、パチスロ機10での遊技に使用されるメダルに関する情報である。入賞情報は、パチスロ機10による入賞に応じて増加するメダルに関する情報である。価値情報は、上述したように貯メダルや持メダル等のサンド20が管理する情報である。このような管理サーバ50は、持玉管理サーバ501、およびフェイシャル管理サーバ502を含んでいる。
持玉管理サーバ501は、主としてICカードに記憶される情報を管理するものであり、RAM514に記憶された残金情報、持玉情報、あるいは貯玉情報の管理・更新を行うものである。この持玉管理サーバ501は、サンド20と通信可能となっている。
フェイシャル管理サーバ502は、主として不正に関する管理を行うものであり、撮影情報としてのフェイシャルデータを記憶するとともに、着席リスト(図19(A)および図19(B))を作成・更新するものである。このフェイシャル管理サーバ502はさらに、実持メダルRCと理論持メダルVCとの比較に基づく不正行為の発見、並びにICメモリの識別情報やフェイシャルデータに基づく不正者のデータ生成、不正者の特定、不正者の追跡などを行う。このフェイシャル管理サーバ502は、比較手段、着席リスト作成手段、撮影情報比較手段、不正者追跡データ生成手段、および異常発生処理手段を含んでいる。これらの手段は、たとえばメインCPU520、ROM522、およびRAM524(図6(B)参照)により実現される。
比較手段は、たとえばメインCPU510により構成され、消費メダル情報、入賞情報、および価値情報に基づいて、計数データと持玉データとを比較するものである(たとえば、図15のステップS404)。計数データは、サンド20により計数されるメダル数を示すデータ(実持メダルRC)である。具体的には、計数データは、遊技者がサンド20の計数操作をしたときに、サンド20が計数して得られるメダル数の数である。計数データはサンド20から出力される信号によって取得できる。
持玉データは、識別情報により特定される各パチスロ機10の理論上の持玉を示すデータ(理論持メダルVC)である。具体的には、理論持メダルVCは、払出メダル数と再プレイメダル数と賞メダル数との和(IN)から消費メダル数(OUT)(消費メダル情報)を減算した値である。すなわち、理論持メダルVCは、遊技者が遊技をして最終的に獲得できたメダルの数を意味する。ここで、払出メダル数は、遊技者がサンド20の貸出操作をしたときに、サンド20から排出されるメダル数の数である。払出メダル数はサンド20から出力される信号によって取得できる。再プレイメダル数は、遊技者がサンド20の持球払出操作や貯球払出操作をしたときに、サンド20から排出されるメダル数の数である。再プレイメダル数も払出メダル数はサンド20から出力される信号によって取得できる。賞メダル数(入賞情報)は、遊技者がパチスロ機10で遊技をして入賞することで獲得できるメダル数である。賞メダル数はパチスロ機10から出力される信号によって取得できる。
着席リスト作成手段は、着席結果情報に基づき遊技場における着席台および非着席台の一覧である後述する着席リスト(図19(A)および図19(B))を作成するものである。
撮影情報比較手段は、フェイシャル管理サーバ502のRAM524(図6(B)参照)から読み出した不正者のフェイシャルデータと、着席リスト(図19(A)および図19(B))から読み出した着席者のフェイシャルデータとが一致するか否かを判断するものである。
不正者追跡データ生成手段は、撮影情報比較手段によって、不正者のフェイシャルデータと着席者のフェイシャルデータとが一致すると判断された場合に、不正者を追跡するための不正者追跡データを生成するものである。
不正者追跡データ生成手段によれば、フェイシャル管理サーバ502のRAM524(図6(B)参照)に記憶された不正者のフェイシャルデータに基づいて、着席リストから不正者を追跡するためのデータが作成される。そのため、不正者追跡データ生成手段によって生成されたデータに基づいて、不正者がメダルを持って他のパチスロ機10で遊技を行っている場合には、不正者を特定・追跡することが可能となる。
異常発生処理手段は、パチスロ機10およびサンド20から特定の情報(たとえば、遊技終了に対応する情報)を受けたときに、比較手段による比較結果が所定の閾値(たとえば20枚以下および+200枚以上)を超えていた場合に、所定の異常発生処理を行うものである。すなわち、異常発生処理手段では、不正者が遊技を終了した可能性がある行動をしたことを契機として、異常発生処理を行う。ここで、遊技終了に対応する情報としては、たとえば遊技者の離席情報、計数操作が行われたときの計数情報、カード排出操作が行われたときのカード返却要求情報が挙げられる。
異常発生処理手段はまた、情報報知手段としてのディスプレイに対して不正者追跡データ(たとえば、ICカード等のICメモリに付された識別情報(カードID)、不正者のフェイシャルデータ、および不正者の遊技履歴)を表示させ、不正者追跡データに基づいて、不正者が遊技を行っている遊技機を追跡する。たとえば、異常発生処理手段は、情報報知手段としてのディスプレイに対して不正者追跡データ(たとえば、識別情報、不正者のフェイシャルデータ、および不正者の遊技履歴)を表示させる(図21および図22参照)。これにより、遊技場側は、不正行為があったことを認識し、不正者を特定することができる。また、遊技場側は、不正追跡データに基づいて、不正者が遊技を行っているパチスロ機10を追跡することができる。そのため、遊技場側は、不正者に不正行為に対する注意を促すことが可能となり、また不正行為の発生を抑止することが可能となる。
持玉管理システム1によれば、サンド20から特定の情報を受けたときに、比較手段による比較結果が所定の閾値を超えていた場合に、当該比較結果を導出した遊技者を、フェイシャルデータまたは識別情報(カードIDや遊技者ID)のうちの少なくとも一方と対応付けて第一遊技者として記憶した後に、第一遊技者のフェイシャルデータまたは遊技者特定ID以外のフェイシャルデータまたは遊技者特定IDを受信したときは、第一遊技者を不正者として記憶する。すなわち、異常発生処理手段では、不正が発見されたパチスロ機10に次の遊技者が着席したときに、不正が行われたパチスロ機10から不正者が離席したことが確定的となったものと判断して、不正者の記憶(登録)が行われる。そのため、不正行為が発生したことをより確実かつ早期に発見できるとともに、撮影情報または識別情報の少なくともいずれか一方によって不正遊技者を特定できるため、遊技者のパチスロ機10の不正移動を効果的に防止することができる。また、不正者のフェイシャルデータをもとに不正な台移動があったかどうか判断するようにすれば、ICメモリ等の価値媒体の抜き取りが発生しないメダルだけの移動による不正行為をも監視することが可能となる。
[サンド20]
図2は、遊技場において、パチスロ機10にサンド20が対応させられて、それらが複数併設された状態を示す正面図である。図3は、サンド20を示す斜視図である。
図2に示すように、サンド20は、対応するパチスロ機10の右側に併設されて、パチスロ機10と通信可能に接続されている。サンド20は、ネットワークを介して持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502と通信可能に接続されている。
サンド20の前面部21には、LED部31、カード挿入口32、紙幣を投入可能な紙幣挿入口33、タッチパネルLCDにより構成された操作ユニット34、カメラ35、非接触リーダライタ36、ICカードリーダ62、メダル払出用トレー37、スピーカカバー38、メダル計数用投入口39等が設けられている。
カード挿入口32は、ICカードを受け付け可能に構成された挿入口である。紙幣挿入口33は、紙幣を受け付け可能に構成された挿入口である。遊技者が紙幣挿入口33に所定の金額の紙幣を投入することでICカードが発行される。また、ホールに設置されているカード発行機(図示せず)によっても発行できる。ICカードには、主として、残金データやICカードを識別するための識別情報が記憶される。
ICカードリーダ62は、ICカードを読み書き可能に構成されている。カード挿入口32からICカードが投入されたときには、ICカードリーダ62と読み書きできる位置までICカードは搬送される。また、遊技者がICカードの返却操作をすることによって、ICカードはカード挿入口32から返却される。
ICカードには、会員カードとビジターカードとの2種類がある。会員カードは、会員が所持できるICカードである。一方、ビジターカードは、遊技場の会員以外の者(ビジター)が所持できるICカードである。このビジターカードは、ビジターに対して発行される。ビジターカードは、会員カードよりも短い有効期限に限り、たとえば、発行当日に限り有効となるカードである。
遊技者が、ICカードをカード挿入口32から投入しICカードリーダ62によってICカードを読み書き可能な状態にしたときに、ICカードリーダ62とICカードとの間で所定の情報の読み書きがされる。ICカードは、遊技者が獲得したメダルを持メダルおよび貯メダルとして記録するためのものである。ICカードには、主として、貯メダル数やICカードを識別するための識別情報が記憶される。
非接触リーダライタ36は、遊技者が所有する携帯端末装置、たとえば携帯電話などとも読み書きすることができる。遊技者が携帯端末装置を非接触リーダライタ36の前方にかざしたときには、ホールのホームページやメール会員登録ページのURLが携帯端末に送信される。
遊技者が、ICカードをカード挿入口32に投入することで、ICカードに記憶されている持メダル数のメダルの貸し出しを受けることができる。なお、所定金額の紙幣を紙幣挿入口33に投入することによってもメダルの貸し出しを受けることができるようにしてもよい。
LED部31は、フルカラーLED31A、赤外LED(赤外線発光ダイオード)31Bから構成されている。
サンド20は、遊技者が、ICカードをカード挿入口32に投入したときには、ICカードに記憶されている持メダル数の範囲内で遊技者により指定された数のメダルを、メダル払出用トレー37から払い出す。払い出すメダルの数は、サンド20の内部に設けられた払出用ホッパによって計数される。遊技者は、メダル払出用トレー37から払い出されたメダルをパチスロ機10のメダル投入口11へ投入することにより、パチスロ機10において遊技を行うことができる。
パチスロ機10における遊技の結果に応じて、メダル払出トレー12にメダルが払い出される。遊技者が景品交換をするためにICカードに獲得メダルを記録する場合などには、遊技者は、払い出されたメダルをメダル払出トレー12から掬い取り、サンド20のメダル計数用投入口39へ投入する。サンド20は、メダル計数用投入口39に投入されたメダルを、内部に設けられた計数用ホッパ71によって計数する。
計数用ホッパ71によって計数された結果を、ICカードリーダ62を介してICカードに記録することができる。なお、ICカードに記録されるデータは、メダル数を示すデータでも、メダル数に基づいて変換された金額を示すデータでもよい。いわゆる持メダル数として機能するデータがICカードに記録されればよい。
また、サンド20は、計数用ホッパ71によって計数された結果を示す信号(計数情報)を持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502に送信する。持玉管理サーバ501は、サンド20から送信された計数情報を受信し、持玉管理サーバ501の記憶部(RAM514やHDD(ハードディスクドライブ)516)に計数された結果を記憶させる。フェイシャル管理サーバ502は、サンド20から送信された計数情報を受信し、計数情報に含まれる計数データ(実持メダル)と理論持メダルとを比較して、異常発生(持出エラー、持込エラー)の有無を判断する。
サンド20の下部にメダルを貯留するための貯留ボックスが設置されている。この貯留ボックスへメダルを排出することができる。また、サンド20の底面部に搬送コンベアを設けてもよい。計数用ホッパ71において計数されたメダルを排出口から搬送コンベアに排出して回収できる。
操作ユニット34は、上述したようにタッチパネルLCDにより構成されているが、たとえば図23に示すような画像を表示し、その画像に応じて遊技者の操作を受け付けることができる。具体的には、操作ユニット34は、「貸出」、「返却」、「計数開始」、「持メダル払出」、「計数停止」、「貯メダルする」、「サービス」、「貯メダル払出」などの各種の処理の対応する操作ボタンを模した画像(以下、単に、「操作ボタン」と称する)がタッチパネルLCDに表示される。遊技者は、所望する処理に対応する操作ボタンにタッチすることで、その処理を実行することができる。
たとえば、「貸出」の操作ボタンは、ICカードをカード挿入口32に挿入して、あるいは現金を紙幣挿入口33に挿入して、メダルの貸し出しを希望するときに操作する部分である。遊技者による「貸出」の操作ボタンの操作を「貸出操作」と称する。「計数開始」の操作ボタンは、メダル計数用投入口39にメダルを投入して計数用ホッパ71によって計数するときに操作する部分である。遊技者による「計数開始」の操作ボタンの操作を「計数開始操作」と称する。「計数停止」の操作ボタンは、メダルの計数を開始したあとに、計数を停止するときに操作する部分である。遊技者による「計数停止」の操作ボタンの操作を「計数停止操作」と称する。「返却」の操作ボタンは、挿入したICカードを返却するときに操作する部分である。このとき、ICカードには残高情報、持メダルあるいは貯メダルが書き込まれる。遊技者による「返却」の操作ボタンの操作を「返却操作」と称する。
図3に示すように、サンド20は、その前面部21が複数の前面パネル221,222,223を含んで構成されている。これらの前面パネル221,222,223は、制御基板63などの重要な構成部品が取り付けられる個別のパネルとして構成されている。前面パネル221には紙幣識別装置61が取り付けられ、前面パネル222には制御基板63および電源ユニット65が取り付けられ、前面パネル223には払出用ホッパ51の補給通路53が設けられている。前面パネル221、222および223の各々は、個別に着脱可能に構成されている。前面パネル222は、最も重要な構成部品である制御基板63が取り付けられており、前面パネル222の上下に配置された前面パネル221および223を筺体23に取り付けることで、筺体23に固定されている。
図4は、サンド20の制御基板63の構成と、制御基板63によって制御される部品の構成とを示すブロック図である。
制御基板63は、メインCPU121、ROM122、およびRAM123を備えている。
メインCPU121は、ROM122に格納された制御プログラムを読み出してメダルの計数や遊技者の顔の撮影や、その他の処理を実行する。具体的には、主として、後述する図8、図11、図13、図14、図16、および図18に示す処理において、サンド20の処理に関するサブルーチンを実行する。メインCPU121の実行処理に用いられる各種のデータは、RAM123に格納される。
メインCPU121は、ICカードリーダ62を介してICカードから残高データを読み出したときには、読み出した残高データをRAM123に格納する。
遊技者が操作ユニット34で「貸出」の操作ボタンの操作(貸出操作)をしたときには、貸出操作に基づく入金額を示す信号が操作ユニット34から出力される。メインCPU121は、RAM123に格納された残高データが示す残高と、操作ユニット34から出力された貸出信号とに基づいて残高データを更新する。具体的には、貸出操作1回につき、設定された枚数(たとえば、50枚)に対応する数に至るまで払出用ホッパ51でメダルを計数して払い出す。次いで、貸出操作1回につき、設定された金額(たとえば、1000円)を残高から減算して、残高データを更新する。また、減算した残高を示す残高データを、ICカードリーダ62を介してICカードに記憶させる。
メインCPU121は、駆動回路131を制御することにより、払出用ホッパ51を駆動できる。また、メインCPU121には、駆動回路132を介して計数用ホッパ71が接続されており、メインCPU121は、駆動回路132を制御することにより、計数用ホッパ71を駆動させることができる。
操作ユニット34には、ICカードを返却するボタンも表示されている。遊技者がこの操作ボタンを操作することにより、メインCPU121は、ICカードリーダ62に挿入されているICカードをカード挿入口32から返却する。
メインCPU121は、ICカードリーダ62を介してICカードとの間で非接触通信を行う。この通信の方式は、たとえば、キャリア周波数が13.56MHzの電磁誘導方式である。メインCPU121は、ICカードリーダ62を介してICカードや携帯端末から情報を読み取る。
メインCPU121は、ICカードリーダ62を介してICカードから貯メダル数を示す貯メダル数データを読み出したときには、読み出した貯メダル数データをRAM123に格納する。
遊技者が操作ユニット34で「貯メダル払出」の操作ボタンの操作(貯メダル払出操作)をしたときには、払い出し数を示す信号が操作ユニット34から出力される。メインCPU121は、RAM123に格納された貯メダル数データが示す貯メダル数と、操作ユニット34から出力された信号が示す払い出し数とに基づいて貯メダル数データを更新する。具体的には、払い出し数に至るまで払出用ホッパ51でメダルを計数して払い出す。次いで、払い出し数を貯メダル数から減算して、貯メダル数データを更新する。また、減算した貯メダル数を示す貯メダル数データをICカードリーダ62を介してICカードに記憶させる。
貯メダル払出操作によって払い出されたメダルは、遊技者が貯メダルとして蓄えたメダルのうち、遊技に使用するためのメダルである。
また、上述したように、非接触リーダライタ36は、遊技者が所有する携帯端末装置、たとえば携帯電話などとも読み書きすることができる。遊技者が、所有する携帯端末装置、たとえば携帯電話などを非接触リーダライタ36の前方にかざしたときには、メインCPU121は、ホールのホームページやメール会員登録ページのURLを携帯端末に送信する。
また、メインCPU121は、紙幣識別装置61から出力される紙幣識別結果に対応するICカードを発行する。ICカードは、カード挿入口32から排出される。また、紙幣識別結果に対応する数のメダルに至るまで払出用ホッパ51でメダルを計数して払い出してもよい。
また、メインCPU121は、LED部31の赤外LED31Bを監視用投光器として用い、赤外LED31Bからの赤外光を遊技者で反射させ、これをカメラ35において撮影する。メインCPU121は、カメラ35において撮影された画像をROM122に格納する。この撮影された画像によって、遊技者のフェイシャルデータを取得する。また、撮影された画像に基づいて、遊技者の存在を検出する。これによって遊技者に対するフェイシャル認識を実行することができる。
また、メインCPU121は、インターフェイス125を介して、パチスロ機10や管理サーバ50(持玉管理サーバ501、フェイシャル管理サーバ502)との間で通信を行うようになっている。
[パチスロ機10]
図5は、パチスロ機10の構成を示すブロック図である。パチスロ機10は、主制御回路250、副制御回路280およびこれらと電気的に接続する周辺装置を備える。主制御回路250は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ260を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ260は、メインCPU261、メインROM262およびメインRAM263により構成される。
メインROM262には、メインCPU261により実行される制御プログラム、内部抽籤テーブル等のデータテーブル、副制御回路280に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM263には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
メインCPU261には、クロックパルス発生回路252、分周器253、乱数発生器254およびサンプリング回路255が接続されている。クロックパルス発生回路252および分周器253は、クロックパルスを発生する。メインCPU261は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器254は、予め定められた範囲の乱数(たとえば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路255は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
マイクロコンピュータ260の入力ポートには、スイッチ等が接続されている。メインCPU261は、スイッチ等の入力を受けて、ステッピングモータ271L、271C、271R等の周辺装置の動作を制御する。停止操作検出手段であるストップスイッチ312Sは、3つのストップボタン312L、312C、312Rのそれぞれが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。また、開始操作検出手段であるスタートスイッチ310Sは、スタートレバーが遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
メダルセンサ240Sは、メダル投入口11に受け入れられたメダルがセレクタ内を通過したことを検出する。また、ベットスイッチ332Sは、ベットボタンが遊技者により押されたことを検出する。また、精算スイッチ334Sは、精算ボタンが遊技者により押されたことを検出する。また、扉センサ335Sは、筺体の扉が開かれたことを検出する。
マイクロコンピュータ260により動作が制御される周辺装置としては、ステッピングモータ271L、271C、271R、7セグ表示器314およびホッパ350がある。また、マイクロコンピュータ260の出力ポートには、各周辺装置の動作を制御するための回路が接続されている。
モータ駆動回路272は、各リール320L、320C、320Rに対応して設けられたステッピングモータ271L、271C、271Rの駆動を制御する。リール位置検出回路270は、発光部と受光部とを有する光センサにより、リールが一回転したことを示すリールインデックスを各リール320L、320C、320Rに応じて検出する。
ステッピングモータ271L、271C、271Rは、運動量がパルスの出力数に比例し、回転軸を指定された角度で停止させることが可能な構成を備えている。ステッピングモータ271L、271C、271Rの駆動力は、所定の減速比をもったギアを介してリール320L、320C、320Rに伝達される。ステッピングモータ271L、271C、271Rに対して1回のパルスが出力されるごとに、リール320L、320C、320Rは一定の角度で回転する。
メインCPU261は、リールインデックスを検出してからステッピングモータ271L、271C、271Rに対してパルスを出力した回数をカウントすることによって、リール320L、320C、320Rの回転角度(主に、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理し、リール320L、320C、320Rの表面に配された各図柄の位置を管理するようにしている。
表示部駆動回路315は、7セグ表示器314の動作を制御する。また、ホッパ駆動回路352は、ホッパ350の動作を制御する。また、払出完了信号回路353は、ホッパ350に設けられたメダル検出部351が行うメダルの検出を管理し、ホッパ350から外部に排出されたメダルが払出枚数に達したか否かをチェックする。
副制御回路280は、主制御回路250と電気的に接続されており、主制御回路250から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路280は、基本的に、サブメインCPU、サブROM、サブRAM、レンダリングプロセッサ、描画用RAM、ドライバ、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、オーディオRAM等を含んで構成されている。
サブメインCPUは、主制御回路250から送信されたコマンドに応じて、サブROMに記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力の制御を行う。サブRAMは、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路250から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。サブROMは、基本的に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域によって構成される。
また、サブROMには、発光演出装置(図示せず)における光による演出を行うための演出データが格納されている。サブメインCPUは、主制御回路250からのコマンドに基づいて、この演出データを出力することにより、ランプ412を発光させる。また、サブROMには、効果音や画像による演出を行うための演出データが格納されており、サブメインCPUは、主制御回路250からのコマンドに基づいて、この演出データを出力することにより、スピーカ414から効果音を出力させると共に、液晶表示装置410に演出画像を表示させる。
ここで、主制御回路250には、インターフェイス210が接続されており、メインCPU261は、インターフェイス210を介して、サンド20や持玉管理サーバ501と通信を行う。メインCPU261は、サンド20からの要求に応じて、メダルの払出情報を持玉管理サーバ501に送信する。なお、メインCPU261は、サンド20からの要求に応じてサンド20へ送信してもよい。
メダルの払出情報とは、たとえば、メダルの払出し数やボーナス発生回数等である。メインCPU261は、サンド20から要求があった後のこれらの情報をメインRAM263に蓄積し、サンド20からの要求によってこの払出情報を持玉管理サーバ501やサンド20へ送信する。メインCPU261は、持玉管理サーバ501やサンド20へ送信した後、それまでの蓄積情報をリセットする。
[持玉管理サーバ501]
図6(A)は、持玉管理サーバ501の構成を示すブロック図である。持玉管理サーバ501は、メインCPU510、ROM512、およびRAM514により構成される。なお、持玉管理サーバ501において、容量が大きなデータを記憶する必要がある場合には、HDDなどの記憶装置を設けてもよい。
メインCPU510は、ROM512に格納された制御プログラムを読み出して実行する。具体的には、メインCPU510は、主として、後述する図11におけるステップS23のデータ認証処理、図13におけるステップS32および図16におけるステップS52の残金/持玉/貯玉データ更新処理、図14におけるステップS42の持玉データ更新処理、および図16におけるステップS53のデータ更新処理を実行する。
ROM512には、メインCPU510により実行される制御プログラムやデータ等が記憶されている。RAM514には、制御プログラムの実行に使用された各種データを格納する格納領域が設けられる。
メインCPU510は、インターフェイス518を介して、サンド20と通信を行うようになっている。
[フェイシャル管理サーバ502]
図6(B)は、フェイシャル管理サーバ502の構成を示すブロック図である。フェイシャル管理サーバ502は、メインCPU520、ROM522、RAM524およびHDD526により構成される。
メインCPU520は、ROM522に格納された制御プログラムを読み出して実行する。具体的には、メインCPU520は、主として、後述する図8におけるステップS17の着席リスト更新、図8におけるステップS18(図9)に示すフェイシャルデータ判断処理、図11におけるステップS23(図12)の持出エラー確認処理、図14におけるステップS44(図15)の持出情報比較処理、および図16におけるステップS56または図18におけるステップS62(図17)の持出情報判断処理を実行する。
ROM522には、メインCPU520により実行される制御プログラムやデータ等が記憶されている。RAM524には、制御プログラムの実行に使用された各種データを格納する格納領域が設けられる。HDD526には、後述するフェイシャルデータや各種のデータベースなどの容量が大きいデータが更新可能に格納される。
メインCPU520は、インターフェイス528を介して、パチスロ機10やサンド20との間で通信を行うようになっている。メインCPU520は、インターフェイス529を介して、インカムユニットやディスプレイとの間で通信を行うようになっている。インカムユニットは、ホールの店員が使用するものである。ディスプレイは、ホールの店員が視認できるものであり、たとえば不正者を発見したときにその旨を表示し(図21)、不正者を追跡したときの結果を表示するものである(図22)。
[持玉管理システムにおける情報授受フロー]
図7は、持玉管理システム1における情報授受フローを示す図である。図7に示すフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
持玉管理システム1では、着席時処理(ステップS1)、カード受付時処理・入金時処理(ステップS2)、払出時処理・貸出時処理(ステップS3)、計数時処理(ステップS4)、カード排出時処理(ステップS5)、および離席時処理(ステップS6)が実行される。
<着席時処理>
図8は、図7に示すステップS1の着席時処理に関するシステムフローを示す図である。図8に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
着席時処理では、先ず、サンド20のメインCPU121が着席確認処理を行う(ステップS11)。この処理は、パチスロ機10の座席に遊技者が着席しているか否かを確認する処理であり、たとえばカメラ35によって遊技者を確認し、あるいはサンド20に現金やICカードが挿入されたことを確認することにより行われる。
次に、メインCPU121は、カメラ35によってパチスロ機10の前方を撮影することにより、遊技者のキャプチャを行う(ステップS12)。カメラ35が撮影する領域は、パチスロ機10の前方に遊技者が座って遊技をしている状態で、遊技者の顔を撮影できる領域である。したがって、パチスロ機10の前方に遊技者が座って遊技をしている状態でカメラ35によって撮影を行ったときには、遊技者の顔のデータを取得することができる。
次に、メインCPU121は、カメラ35によって撮影された撮影データの前処理を実行し(ステップS13)、遊技者の顔の特徴を抽出する特徴抽出処理を実行し(ステップS14)、フェイシャルデータを生成する(ステップS15)。
ステップS13の前処理は、撮影データの濃度特性、強調(鮮明さ・シャープネス)、平滑化(スムージング、ノイズ除去)、輪郭抽出、拡大・縮小、回転などの処理である。
前処理は、ステップS14の特徴抽出処理において、遊技者の顔の特徴を円滑にかつ的確に抽出できるようにするための処理である。
ステップS14の特徴抽出処理は、たとえば、検出対象と非検出対象との識別性能が高いほど重みが大きくなるように設定された重み設定部を備えた弱識別器と、この弱識別器を複数備えて弱識別器の各々における特徴量の判定結果に基づいて、入力データが検出対象であるか否かを識別する強識別器と、によって処理されるものなどがある。
この特徴抽出処理によって、遊技者の顔の特徴を抽出し、遊技者の顔を比較することができるデータを生成することができ、この生成されたデータをフェイシャルデータと称する。フェイシャルデータを生成することにより、遊技者の顔を的確に比較することができ、また、撮影データの容量を小さくすることで処理に要する負担を軽くできる。
次に、メインCPU121は、連続照合処理を実行する(ステップS16)。連続照合処理は、カメラ35によって撮影された撮影データや、特徴抽出処理によって生成されたフェイシャルデータを用いて、パチスロ機10の前方に遊技者が座っているか否か(遊技者が着席している状態かまたは離席している状態か)を判断する処理である。連続照合することにより、撮影データやフェイシャルデータに変化が生じたか否かを判断することができ、着席している状態から離席している状態に変化したか、または離席している状態から着席している状態に変化したかを判別することができる。
次に、メインCPU121は、ステップS15において生成されたフェイシャルデータをフェイシャル管理サーバ502に送信する。このとき、メインCPU121は、フェイシャルデータとともに、ICカードのカードID(遊技者ID)、時刻データ、およびパチスロ機10の台番号データ等を同時にフェイシャル管理サーバ502送信する。
カードIDは、ホールが発行したICカードを識別するための識別情報である。たとえば、ICカードに割り当てられたシリアル番号などを用いることができる。もちろん、カードIDは、シリアル番号ではなく、ICカードを発行するたびにランダム生成してもよい。また、カード番号は、ICカードを識別するだけでなく、ICカードを所有したり使用したりする遊技者を識別するための情報としても用いられる。
時刻データは、たとえばフェイシャルデータを作成した時刻に関するデータである。もちろん、フェイシャルデータを作成した時刻に加えて、あるいは代えて、他の基準となる時刻を送信してもよい。
台番号データは、パチスロ機10を識別するための識別情報である。本実施の形態では、サンド20はパチスロ機10の各々に対応付けられて設置されている。したがって、サンド20を識別するための識別情報、たとえばシリアル番号をサンドデータに含めて送信するようにすることで、サンド20を識別するための識別情報を台番号として処理することができる。また、パチスロ機10の識別情報、たとえばシリアル番号をサンド20が取得してサンドデータに含めるようにしてもよい。台番号データは、ホールに設置されているパチスロ機10の各々を識別できる情報を用いることができる。
一方、フェイシャル管理サーバ502では、メインCPU520が受信したフェイシャルデータ等に基づいて着席リストを更新する(ステップS17)。
着席リストの更新は、サンド20から送信されたフェイシャルデータとともに送信されてくる台番号(遊技機識別情報)に基づいて行われる。着席リストは、図19(A)に示すように着席または離席を示す着席/離席データおよびフェイシャルデータを台番号に対応付けた一覧データである。着席リストを検索することによって、ある台番号のパチスロ機10が、現在、着席状態であるか、または離席状態であるかを取得できる。また、着席状態である場合に、その台番号のパチスロ機10で遊技している遊技者のフェイシャルデータを読み出すことができる。
上述したように、サンド20からは、フェイシャルデータとともに台番号が送信される。したがって、サンド20からフェイシャル管理サーバ502にフェイシャルデータが送信されたときには、フェイシャルデータとともに送信される台番号のパチスロ機10に遊技者が着席したことを示す。メインCPU520は、その台番号のパチスロ機10に遊技者が着席したことを示すように着席リストを更新する。
図19(A)は、着席リストの例を示す図である。台番号とフェイシャルデータと着席/離席データとからなる。図19(A)に示した例では、着席/離席データは、着席状態を「1」とし、離席状態を「0」として示した。たとえば、台番号13のパチスロ機10は、現在、離席状態であり、台番号30のパチスロ機10は、現在、着席状態であり、そのフェイシャルデータは、「f111101-1306.dat」であり、台番号53のパチスロ機10は、現在、離席状態である。本実施の形態では、フェイシャルデータは、所定の画像フォーマットで構成された画像データであり、そのファイル名が「f111101-1306.dat」である。フェイシャルデータは、フェイシャル管理サーバ502のRAM524やHDD526に記憶される。
さらに、着席リストには、現在の状態だけでなく、台番号毎に対応する履歴データと履歴データに対応するフェイシャルデータを含めるのが好ましい。たとえば、遊技者が着席した時刻および離席した時刻と、着席時に対応するフェイシャルデータとを着席リストに含める。このようにすることで、パチスロ機10の各々における過去の着席状態または離席状態と、着席していた遊技者のフェイシャルデータを管理することができる。現在だけでなく、過去に不正行為が行われた可能性が生じたときに、その不審者を特定することができ、ホールの信頼性をより高めることができる。
図19(B)は、着席リストに基づいて生成される着席/離席状態表示図の例を示す図である。着席/離席状態表示図は、ホールに設置されている全てのパチスロ機10の各々に対応して、着席または離席の状態を示す図である。図19(B)に示した例では、離席している状態は、斜線を付して示した。着席/離席状態表示図は、フェイシャル管理サーバ502に接続されているディスプレイに表示される。ホールの店員は、ディスプレイに表示されている着席/離席状態表示図によって着席または離席の状態を視認することができる。
次に、メインCPU510は、後述する図10に示すフェイシャルデータ判断処理を呼び出して実行する(ステップS18)。フェイシャルデータ判断処理によって、着席した遊技者のフェイシャルデータが所定回数以上一致すると判別されたときには、不審者発見情報が生成され、この不審者発見情報がインカムユニットやディスプレイに送信される。
インカムユニットやディスプレイにおいては、フェイシャル管理サーバ502で生成された不審者発見情報を受信したときには、その不審者発見情報を出力する。たとえば、インカムユニットでは、パチスロ機10で遊技をしている遊技者が不審者として判別されたことを示す音声が出力され、ホールの店員は、その音声によって、遊技者が不審者として判別されたことを認識できる。また、ディスプレイでは、パチスロ機10で遊技をしている遊技者が不審者として判別されたことを示す画像が表示され(図21)、ホールの店員は、その画像によって、不正の疑いのある顔写真および遊技履歴を閲覧することができ、不正の疑いのあったパチスロ機10において不審者の遊技履歴が途切れているときには、そのカードID(遊技者ID)に基づいて、不審者の追跡を行うことができる(図22)。
<<フェイシャルデータ判断処理>>
図9は、図8のステップS18の処理で呼び出されて実行されるフェイシャルデータ判断処理を示すフローチャートである。この処理は、フェイシャル管理サーバ502のメインCPU520によって実行される。
最初に、メインCPU520は、不審者リストからフェイシャルデータ(以下、基準フェイシャルデータと称する)を読み出す(ステップS101)。不審者リストは、後述するように、遊技者が行う遊技に関して取得できる実持メダルRCと理論持メダルVCとについて所定の異常条件が成立したときに、その遊技者を不審者であるとして更新されるリストである。
ここで、不審者リストの例を図10に示した。不審者リストは、不審者であると判別された遊技者を識別するための遊技者識別情報と、その不審者のフェイシャルデータと、登録日時と、来店履歴との情報を含む。遊技者識別情報は、たとえば、遊技者が所有するICカードを識別する識別情報、たとえば、ICカードやICカードのシリアル番号などである。また、そのほか、ホールが遊技者を登録するときに用いる登録番号などでもよい。フェイシャルデータは、上述したように、遊技者の顔の特徴を抽出し、遊技者の顔を比較できるデータである。登録日時は、所定の遊技者が不審者であると判別されて不審者リストに登録された日時である。来店履歴は、不審者であると判別された遊技者がホールに来店した履歴である。履歴は、たとえば、日時や回数などの情報である。
次に、メインCPU520は、図8のステップS17の処理で受信したフェイシャルデータとともに送信されてくる台番号を用いて、ステップS17の処理で更新した着席リストに含まれるフェイシャルデータ(以下、比較対象フェイシャルデータと称する)を読み出す(ステップS102)。
次に、メインCPU520は、比較対象フェイシャルデータと基準フェイシャルデータとを順次比較する(ステップS103)。図10に示すように、不審者リストに複数の基準フェイシャルデータが登録されている場合には、その全ての基準フェイシャルデータと比較対象フェイシャルデータとを比較する。すなわち、1対N照合を行う。言い換えれば、ステップS103の処理は、カメラ35で撮影した1つの画像と、不審者リストに含まれるN個の顔特徴情報とを比較し、一致するか否かを判断する処理である。
上述した例では、ステップS103の処理で不審者リストに登録されている基準フェイシャルデータの全てを一度に読み出す場合を示した。このようにすることで、ステップS103の比較処理を迅速にできる。なお、このような処理に限られず、不審者リストから所定数毎に基準フェイシャルデータを読み出し、基準フェイシャルデータを読み出す毎に、読み出した基準フェイシャルデータと比較対象フェイシャルデータとを比較するようにしてもよい。基準フェイシャルデータを一時的に記憶させる記憶領域の大きさを制限することができ、フェイシャル管理サーバ502の負担を軽くできる。
次に、メインCPU520は、比較対象フェイシャルデータと、基準フェイシャルデータのいずれかと一致するか否かを判断する(ステップS104)。メインCPU520は、一致しないと判別したとき(ステップS104:NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。なお、一致しないと判別した回数が所定回数以上になったときにのみ、本サブルーチンを終了するようにしてもよい。判断回数を複数回にすることにより、不審者であるか否かの判断の精度を高めることができ、ホールの信頼を向上させることができる。
次に、メインCPU520は、比較対象フェイシャルデータと基準フェイシャルデータとが一致すると判別したとき(ステップS104:YES)、すなわち、パチスロ機10で遊技をしている遊技者が不審者であると判別したときには、一致すると判別した回数を更新する(ステップS105)。
次に、メインCPU520は、一致すると判別した回数が所定回数以上であるか否かを判断する(ステップS106)。メインCPU520は、一致すると判別した回数が所定回数未満であると判別したときには(ステップS106:NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。
次に、メインCPU520は、一致すると判別した回数が所定回数以上であると判別したとき(ステップS106:YES)、すなわち、パチスロ機10で遊技をしている遊技者が不審者である可能性が高いと判別したときには、不審者発見情報を生成する(ステップS107)。不審者発見情報を、インカムユニットやディスプレイに出力する(ステップS108)。
不審者発見情報は、パチスロ機10で遊技をしている遊技者が不審者として判別されたことを示す情報である。不審者発見情報は、たとえばインカムユニットに不審者発見情報を出力する場合には遊技者が不審者として判別されたことを示す音声であり、ディスプレイに不審者発見情報を出力する場合には遊技者が不審者として判別されたことを示す画像などである。
着席時処理では、遊技者がパチスロ機10の前に着席したことを契機に、遊技者の顔を撮影してフェイシャルデータを生成し、パチスロ機10の前に着席した遊技者が不審者であるか否かを判断し、不審者であると判別したときには、ホールの店員に報知することができる。このようにすることで、不審者を発見した場合には、ホールは事前に対応をして、不正行為による被害が拡大することを未然に防止できる。
<カード受付時処理・入金時処理>
図11は、図7に示すステップS2のカード受付時処理・入金時処理に関するシステムフローを示す図である。図11に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
最初に、サンド20のメインCPU121は、カード受付処理または入金処理を行う(ステップS21)。ここで、カード受付処理は、遊技者によってICカードがカード挿入口32に投入されたことによる処理である。入金処理は、遊技者によって所定金額の紙幣(価値媒体)が紙幣挿入口33に挿入されたことによる処理である。メインCPU121は、カード受付処理または入金処理を行った場合には、持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502のそれぞれに、カード受付通知または入金受付通知を送信する。カード受付通知は、たとえば残額情報、カードID、持玉データ、および暗証番号を送信することにより行われる。入金受付通知は、たとえば入金額情報を通知することにより行われる。
次に、メインCPU121は、カメラ35によってパチスロ機10の前方を撮影するキャプチャを実行する(ステップS22)。この処理により、パチスロ機10の前方で遊技をしている遊技者の顔データを取得することができる。
次に、メインCPU121は、カメラ35で撮影したデータに基づいて生成したフェイシャルデータをフェイシャル管理サーバ502に送信する(ステップS22)。フェイシャルデータ生成は、図8のステップS13〜S15に示した処理と同様にして行われる。
フェイシャル管理サーバ502に送信されたフェイシャルデータは、フェイシャル管理サーバ502のRAM524に記憶される。このように、カード受付・入金受付があったことを契機に遊技者のフェイシャルデータを記憶させておくことで、後に不正行為等が発覚したときに遊技者の特定に活用することができる。なお、フェイシャルデータは、サンド20にHDD(ハードディスクドライブ)などの大容量記憶装置を設けて撮影データを記憶させるようにしてもよい。フェイシャル管理サーバ502は、後述する持出エラー確認処理を実行する(ステップS23)。
一方、持玉管理サーバ501では、カード受付通知または入金受付通知を受けたときに、メインCPU510がデータ認証処理を実行する(ステップS24)。この処理は、カード受付通知を受けた場合には、たとえばICカードの有効性を判断するとともに、ビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルを参照することにより行われる。ビジターカードテーブルおよび会員カードテーブルは、持玉管理サーバ501のRAM514に記憶されている。
ビジターカードテーブルは、たとえば図20(A)に示したように、カードID、残金情報、持メダル情報、異常発生履歴、および異常内容を含んでいる。異常発生履歴は、たとえば異常発生の時刻および台番号に関する情報を含んでいる。異常内容は、持出エラーまたは持込エラーを特定するためのものである。一方、会員カードテーブルは、たとえば図20(B)に示したように、ビジターカードテーブル(図20(A)参照)の内容に加えて、たとえば暗証番号および貯メダル情報を含んでいる。
ステップS24のデータ認証が終了した場合には、持玉管理サーバ501は、たとえば認証結果として、残金、持玉情報、貯玉情報等をサンド20に送信する。
サンド20は、持玉管理サーバ501からデータ認証処理により得られる情報(たとえば持玉情報や貯玉)を受信したときには、キャプチャ(ステップS22)が終了していることを条件に、カード情報の表示を行う(ステップS25)。この処理は、サンド20のディスプレイ(図示略)に、残金、持玉数、貯玉数を表示することにより行われる。
<<持出エラー確認処理>>
図12は、図11のステップS23の処理で呼び出されて実行される持出エラー確認処理を示すフローチャートである。この処理は、フェイシャル管理サーバ502のメインCPU520によって実行される。
最初に、メインCPU520は、サンド20からカード受付通知または入金通知があったか否かを判定する(ステップS201)。メインCPU520は、通知が無かったと判定した場合には(ステップS201:NO)、本サブルーチンを終了し、通知があったと判定した場合には(ステップS201:YES)、メインCPU520は、持出エラーテーブルを参照する(ステップS202)。
持出エラーテーブルは、フェイシャル管理サーバ502のRAM524に記憶されたものであり、たとえば図20(C)に示したように、遊技者ID、不正発生日時、持出枚数、フェイシャルデータ、および不正者登録情報を含んでいる。遊技者IDは、ICカードのIDにより特定されるものである。不正発生日時は、不正者として特定された日時である。持出枚数は、実持メダルと理論持メダルとの差である。フェイシャルデータは、カメラ35で撮影されたデータに基づいて、図8のステップS15において生成されるデータである。
次に、メインCPU520は、カード受付または入金前に持出エラーがあったか否かを判定する(ステップS203)。すなわち、メインCPU520は、遊技者の交代に確認される状況になったときに、先の遊技者がコインの持出を行ったか否かを確認する。
メインCPU520は、持出エラーが無かったと判定した場合には(ステップS203:NO)、本サブルーチンを終了し、持出エラーがあったと判定した場合には(ステップS203:YES)、メインCPU520は、カードIDまたは遊技者が相違するか否かを判定する(ステップS204)。すなわち、新たに受け付けたICカードが前の遊技者ものであるか、または入金している遊技者が前の遊技者であるか否かを判定する。
受け付けたICカードの相違は、たとえばカードIDに基づいて判定され、入金している遊技者の相違は、たとえばフェイシャルデータに基づいて判定される。ステップS204の判定が終了した場合には、メインCPU520は、持出エラーテーブル(図20(C))の更新を行う(ステップS205,ステップS206)。
メインCPU520は、カードIDまたは遊技者が相違しない(同じである)と判定した場合には(ステップS206:NO)、持出エラーテーブル(図20(C))の更新を行い(ステップS206)、本サブルーチンを終了する。ステップS206の更新は、たとえば、持出エラーテーブルの該当データを取り消した後にデータの削除を行う。具体的には、後述する図17のステップS504の処理で、カードID、持出エラーの発生日時、持出枚数、およびフェイシャルデータを持出エラーテーブルに記憶した遊技者は、不正者ではなかったとして、これらのデータを持出エラーテーブルから削除する処理である。なお、図20(C)に示した持出エラーテーブルでは、該当データを取り消すことを明確に示すために、持出エラーテーブルの「不正者登録」の領域に「取消」と表示したが、上述したように、持出エラーテーブルに登録した各種のデータを削除する処理である。この処理は、遊技者が、一旦離席して戻ってきた場合を想定している。たとえば、遊技者が離席する際にICカードを排出し、その後にパチスロ機10に戻ってきてICカードを挿入したときを想定したものである。
メインCPU520は、カードIDまたは遊技者が相違すると判定した場合にも(ステップS204:YES)、持出エラーテーブル(図20(C))の更新を行う(ステップS206)。この場合の更新は、持出エラーを発生させた遊技者を不正者として登録する処理である。具体的には、後述する図17のステップS504の処理で、カードID、持出エラーの発生日時、持出枚数、およびフェイシャルデータを持出エラーテーブルに記憶した遊技者を不正者として、持出エラーテーブルの「不正者登録」の領域に「不正者」を示すデータを記憶させる。この処理によって、不審な行動を取った遊技者は、不正者として確定される。
次に、メインCPU520は、不正者データの生成を行う(ステップS207)。具体的には、メインCPU520は、不正者として登録された遊技者の画像を持出エラーテーブルの情報とともに生成する。
次に、メインCPU520は、RAM524に記憶された不正者リストから不正者のフェイシャルデータを読み出すとともに(ステップS208)、RAM524に記憶された着席リストからフェイシャルデータを読み出し(ステップS209)、それらのフェイシャルデータを比較する(ステップS210)。
次に、メインCPU520は、ステップS208で読み出した不正者のフェイシャルデータと、ステップS209で読み出した着席リストからのフェイシャルデータとが一致するか否かを判定する(ステップS211)。この処理において、メインCPU520は、フェイシャルデータが一致しないと判定した場合には(ステップS211:NO)、本サブルーチンを終了し、一致すると判定した場合には(ステップS211:YES)、不正者追跡データを生成する(ステップS212)。不正者追跡データは、カードIDや遊技者IDに基づいて、ステップS205において不正者として登録した遊技者が移動した遊技台を追跡して移動先の遊技台を特定し、不正画像を生成する。不正画像は、たとえば図22に示したように遊技者ID(カードID)、不正者が現在遊技している遊技台番号、および遊技者の写真を表示するものである。
<払出時処理・貸出時処理>
図13は、図7に示すステップS3の払出時処理・貸出時処理に関するシステムフローを示す図である。図13に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
最初に、サンド20のメインCPU121は、遊技者による払出・貸出操作があった場合には(ステップS31)、持玉管理サーバ501に払出・貸出要求情報を送信する。払出・貸出操作は、たとえば図23に示した操作ユニット34の「持メダル払出」の操作ボタン、「貯メダル払出」の操作ボタン、あるいは「貸出」の操作ボタンを操作することにより行われる。
持玉管理サーバ501のメインCPU510は、払出・貸出要求情報を受信したときに、残金/持玉/貯玉更新処理を行う(ステップS32)。この更新処理は、たとえばビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルの情報を更新することにより行われる。具体的には、メインCPU510は、貸出操作のときにはビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルの残金情報の更新を行い、持メダル払出ボタンによる払出操作のときには、ビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルの持メダル情報の更新を行い、貯メダル払出ボタンによる払出操作のときには、会員カードテーブルの貯メダル情報の更新を行う。
メインCPU510は、ステップS32の更新処理が終了した場合には、払出・貸出応答情報をサンド20に送信する。これにより、サンド20は、持玉管理サーバ501における更新処理が終了したことを認識する。
次に、サンド20のメインCPU121は、持玉管理サーバ501から払出・貸出応答情報を受信したときには、カード情報更新処理を実行する(ステップS33)。この処理は、たとえばメインCPU121によって、ICカードに記憶されている残金情報、持玉情報、または貯玉情報等を更新することにより行われる。更新されたカード情報は、サンド20において表示され(ステップS34)、遊技者に確認可能とされるとともに、貸出・払出処理が行われる(ステップS35)。貸出・払出処理は、予めサンド20に設定された金額または遊技者が設定した金額に対応させた枚数のコインの貸出、あるいは遊技者が設定した枚数または予めサンド20に設定された枚数のメダルの払出を行うことにより実行される。
メインCPU121は、貸出・払出処理(ステップS35)が終了した場合には、払出・貸出情報をフェイシャル管理サーバ502に送信する。
<計数時処理>
図14は、図7に示すステップS4の計数時処理に関するシステムフローを示す図である。図14に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
最初に、サンド20のメインCPU121は、遊技者による計数操作があった場合にはメダルの計数が行われる(ステップS41)。計数操作は、たとえば図23に示した操作ユニット34の「計数開始」の操作ボタンを操作することにより開始され、「計数停止」の操作ボタンを操作することにより終了される。メダルの計数は、計数用ホッパ71を回転させるとともに、センサからの出力される信号によりメダルを検知し、その信号をカウントすることにより行われる。メインCPU121は、計数されたメダルの情報を、持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502のそれぞれに送信する。
持玉管理サーバ501のメインCPU512は、サンド20から計数情報を受信した場合、持玉データを更新する。具体的には、ビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルの持メダル情報の更新を行う。この更新が終了した場合には、メインCPU512は、計数応答情報をサンド20に送信する。
サンド20のメインCPU121は、持玉管理サーバ501から計数応答情報を受信した場合には、ICカードに記憶されている持玉情報の更新を行う(ステップS43)。
一方、サンド20から計数情報を受信したフェイシャル管理サーバ502は、図15に示す持出情報比較処理を呼び出して実行する(ステップS44)。
<<持出情報比較処理>>
図15は、図14のステップS44の処理で呼び出されて実行される持出情報比較処理を示すフローチャートである。この処理は、フェイシャル管理サーバ502のメインCPU520によって実行される。
最初に、メインCPU520は、ストアされている前回の判定結果をクリアし(ステップS401)、理論持メダルVCおよび実持メダルRCを算出する(ステップS402、ステップS403)。理論持メダルVCは、投入メダル数と獲得メダル数および消費メダル数から算出する。投入メダル数は、上述したように、メダル払出用トレー37から払い出されたメダルのうち、遊技者が遊技をするためにパチスロ機10に投入されたメダルの数である。理論持メダルVCは、具体的には、投入メダル数と獲得メダル数との和から消費メダル数を減算した値である。すなわち、理論持メダルVCは、遊技者が遊技をして最終的に獲得できたメダルの数を意味する。一方、実持メダルRCは、サンド20により計数される計数データに相当する。
次に、メインCPU510は、実持メダルRCと理論持メダルVCとを比較(差分)し(ステップS404)、比較判定結果をストアする(ステップS405)。比較判定結果のストアは、たとえばRAM524に記憶することにより行われる。ストアされた比較判定結果は、図17に示す持球情報判断処理のステップS502においてロードされる。
ここで、メインCPU510は、たとえば、比較の結果、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差分が−20枚〜+200枚の範囲に含まれる場合には、偶発的な範囲内であり、正常であると判断する。一方、実持メダルRCが理論持メダルVCに対して−20枚以上の場合(20枚以上少ない場合)には、持ち出しによる異常と判定する。また、実持メダルRCが理論持メダルVCに対して+200枚以上の場合(200枚以上多い場合)には、持ち込みによる異常と判定する。
理論持メダルVCは、遊技者が遊技を終了するときに最終的に遊技者が獲得できたメダルの数であるので、原則、計数用ホッパ71によって計数された実持メダルRCと一致するはずである。たとえ、遊技者がメダルを床に落とし、あるいは計数用ホッパ71でのメダル詰まりが生じたりなどの偶発的な事象を考慮したとしても、理論持メダルVCと実持メダルRCとは近似した値となるはずである。
したがって、理論持メダルVCと実持メダルRCとの差が大きい場合には、遊技者が店外からメダルを持ち込んだり、他者のメダルを使用したり、他者にメダルを盗られたり、メダルを持って遊技者が他のパチスロ機10に移動したりしたなどの不正な行為が生じた可能性があると判断できる。遊技者が店外からメダルを持ち込んだり、他者のメダルを使用したりする場合の不正行為を持ち込みと称する。また、遊技者が店外にメダルを持ち出そうとしたり、他者にメダルを盗られたり、メダルを持って遊技者が他のパチスロ機10に移動したりする場合の不正行為を持ち出しと称する。
<カード排出時処理>
図16は、図7に示すステップS5の計数時処理に関するシステムフローを示す図である。図16に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
最初に、サンド20のメインCPU121は、遊技者が景品交換、台移動、休憩のためにカード排出操作を行った場合には(ステップS51)、持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502のそれぞれに、カード返却要求情報(たとえば、カードID、持玉情報)を送信する。カード排出操作は、たとえば図23に示した操作ユニット34の「返却」の操作ボタンを操作することにより行われる。
持玉管理サーバ501のメインCPU520は、カード返却要求情報を受信したときに、残金/持玉/貯玉更新処理を行う(ステップS52)。この更新処理は、たとえばRAM514に記憶されているビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルにおける残金情報、持メダル情報、および貯メダル情報を更新することにより行われる。メインCPU520は、残金/持玉/貯玉更新処理(ステップS52)が終了した場合には、認証結果、持玉情報、および貯玉情報を、サンド20に送信する。
一方、フェイシャル管理サーバ502のCPU520は、サンド20からカード返却要求を受信したときに、後述する図17に示す持出情報判断処理を実行する(ステップS56)。CPU520は、持出情報判断処理(ステップS56)において異常発生情報を生成した場合には、異常発生情報書込要求をサンド20に送信する。
持玉管理サーバ501のメインCPU520は、サンド20から異常発生情報書込要求を受信したときに、データ更新処理を行う(ステップS53)。この更新処理は、たとえばRAM514に記憶されているビジターカードテーブルまたは会員カードテーブルにおける異常発生履歴および異常内容を更新することにより行われる。
サンド20のメインCPU121は、持玉管理サーバ501から認証結果、持玉情報、および貯玉情報を受信し、フェイシャル管理サーバ502から異常発生情報書込要求を受信したときには、カード情報更新処理(ステップS54)およびカード排出処理(ステップS55)を実行する。カード情報更新処理(ステップS54)は、持玉管理サーバ501のビジターまたは会員カードテーブルに記憶されている情報にICカードに記憶されている情報を更新することにより行われる。カード排出処理(ステップS55)は、サンド20の挿入口32からICカードを排出することにより行われる。
<<持玉情報判断処理>>
図17は、図16のステップS53の処理で呼び出されて実行される持玉情報判断処理を示すフローチャートである。この処理は、フェイシャル管理サーバ502のメインCPU520によって実行される。
メインCPU520は、最初にカード返却または離席通知があった否かを判定する(ステップS501)。すなわち、メインCPU520は、図16に示すカード排出処理におけるステップS55においてサンド20からICカードの排出が行われ、図18のサンド20での離席確認処理において離席が確認されたときにサンド20から送信されてくる通知があった否かを判定する。
メインCPU520は、カード返却または離席通知がなかったと判定した場合には(ステップS501:NO)、本サブルーチンを終了する。一方、メインCPU520は、カード返却または離席通知があったと判定した場合には(ステップS501:YES)、図15のステップ405においてフェイシャル管理サーバ502のRAM524のストアされた比較判定結果をロードする(ステップS502)。
次に、メインCPU520は、比較判定結果が持出エラーであるか否かを判定し(ステップS503)、持出エラーであると判定した場合には(ステップS503:YES)、持出エラーテーブル(図20(C))を更新する(ステップS504)。具体的には、メインCPU520は、持出エラーテーブルに、カードIDとともに、持出エラーの発生日時、持出枚数、およびフェイシャルデータを記憶させる。
一方、メインCPU520は、比較判定結果が持出エラーでないと判定した場合には(ステップS503:NO)、持込エラーであるか否かを判定する(ステップS505)。
メインCPU520は、比較判定結果が持込エラーでないと判定した場合には(ステップS505:NO)、本サブルーチンを終了し、持込エラーであると判定した場合には(ステップS505:YES)、異常発生情報生成を行う(ステップS506)。すなわち、メインCPU520は、持出エラーであると判定した場合(ステップS503:YES)、または持込エラーであると判定した場合(ステップS505:YES)、異常が発生したことを示す異常発生情報を生成し(ステップS506)、この異常発生情報を送信する(ステップS507)。異常発生情報の送信は、たとえばIF520を介して、インカムユニットやディスプレイに対して行われ、またサンド20に対して行われる。
次に、メインCPU510は、不審者リストから基準フェイシャルデータを読み出すとともに(ステップS508)、図8のステップS17の処理で更新した着席リストに含まれる比較対象フェイシャルデータを読み出す(ステップS509)。
次に、メインCPU510は、比較対象フェイシャルデータと基準フェイシャルデータとを順次比較する(ステップS510)。図9のステップS103の処理と同様に、不審者リストに複数の基準フェイシャルデータが登録されている場合には、その全ての基準フェイシャルデータと比較対象フェイシャルデータとを比較する。すなわち、1対N照合であり、カメラ35で撮影した1つの画像と、不審者リストに含まれるN個の顔特徴情報とを比較し、一致するか否かを判断する処理である。
次に、メインCPU510は、比較対象フェイシャルデータと、基準フェイシャルデータの全てとが不一致であるか否かを判断する(ステップS511)。メインCPU510は、不一致でないと判別したときには(ステップS511:NO)、すなわち、不審者リストに既に登録されている不審者と一致するときには(登録済みの場合)、直ちに本サブルーチンを終了する。
メインCPU510は、不一致であると判別したとき(ステップS511:YES)、すなわち、不審者リストに登録されていないと判別したときには、不審者リストを更新する(ステップS512)。
不審者リストの更新は、比較対象フェイシャルデータと、基準フェイシャルデータの全てとが不一致であると判別した回数が所定回数以上であると判別した場合に行ってもよい。これにより、不審者が二重登録されることをより的確に防止することができる。
このように不審者リストを更新することによって、上述したステップS510における比較処理のための基準フェイシャルデータを増やすことができ、不審者であるか否かをより的確に判断することができる。
不審者リストは、一つのホールだけでなく他のホールでも共用できるように、外部のサーバに登録するのが好ましい。このようにすることで、不審者に関する情報を他のホールと共有し、不正行為に対する対策をより高めることができる。
上述した例では、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差が−20枚以下であるか、あるいは+200枚以上であるかという条件で異常を判断していたが、持出エラーまたは持込エラーの判定基準は適宜変更可能であり、また、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差が正常範囲を所定回数以上、逸脱したときに(異常条件を満たすときに)、異常発生情報を生成するようにしてもよい。
すなわち、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差が1ないし10のように小さい場合には、慎重に判断するために、異常条件の成立回数を多くするのが好ましい。一方、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差が大きい場合には、偶発的な原因である可能性は低いため、異常条件の成立回数が少なくても、異常発生情報を生成するのが好ましい。これにより、被害が広がる前にホールの店員に報知することができる。
また、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差と、異常条件の成立回数とに対応する金額に基づいて、異常発生情報を生成するようにしてもよい。たとえば、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差に対応する金額と、異常条件の成立回数との積が、所定の金額以上、たとえば、4,000円以上になったときに、異常発生情報を生成するようにしてもよい。このようにすることで、不正として想定される金額を閾値として異常発生情報を生成することができる。
また、不正として想定される金額から、実持メダルRCと理論持メダルVCとの差と、異常条件の成立回数との組合せを定めて判断してもよい。
<離席時処理>
図18は、図7に示すステップS6の離席時処理に関するシステムフローを示す図である。図18に示すシステムフローのうち、左側に示す処理はフェイシャル管理サーバ502で実行される処理、中央に示す処理はサンド20で実行される処理、右側に示す処理は持玉管理サーバ501で実行される処理である。
最初に、サンド20のメインCPU121は、離席確認処理を実行する(ステップS61)。
この離席確認処理では、メインCPU121は、まずカメラ35によってパチスロ機10の前方を撮影し、パチスロ機10の前方で遊技をしている現在の遊技者の顔のデータを取得する。次に、メインCPU121は、カメラ35で撮影した撮影データをRAM123に記憶させる。上述したように、サンド20にHDD(ハードディスクドライブ)などの大容量記憶装置を設けて撮影データを記憶させるようにしてもよい。
次に、メインCPU121は、カメラ35で撮影した撮影データに基づいて遊技者が離席したか否かを判断する。具体的には、前回撮影した撮影データと今回撮影した撮影データとを比較することにより、遊技者が着席している状態から離籍した状態に変化したことを判断する。
メインCPU121は、遊技者が離席したと判別したときには、遊技者が離席したことを示す離席情報および台番号を、フェイシャル管理サーバ502に送信し、離席確認処理を終了する。
メインCPU121は、離席確認処理が終了し、離席情報および台番号を受信したときには、持出情報判断処理を実行する(ステップS62)。この処理は、図17を参照して先に説明した通りであり、図16のステップS56において呼び出される処理と同様である。
メインCPU121はさらに、受信した離席情報および台番号に基づいて着席リストを更新するようにしてもよい。すなわち、台番号に対応付けられている着席または離席を示すデータを、離席を示すデータに変更してもよい。
本発明は、上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、メダル等の遊技媒体を用いるパチスロ機10のサンド20を含むメダル管理システムに限らず、遊技球(パチンコ玉)などの他の遊技媒体を使用するパチンコ機などの他の遊技機を含む遊技媒体管理システムについても適用可能である。
また、管理サーバ50は、持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502を含んでいたが、持玉管理サーバ501およびフェイシャル管理サーバ502の機能を、1つの管理サーバにより担保させてもよいし、3つ以上のサーバに機能を分散させてもよい。
撮影手段としてのカメラ35は、遊技媒体貸出装置としてのサンド20の一部として構成されていたが、撮影手段は遊技媒体貸出装置とは別に設けてもよい。
<<持出エラーの具体例>>
以下では、図20及び図21に示す遊技者(遊技者ID:101及び100101)の遊技履歴に基づいて、持出エラーの具体例を説明する。
<入金操作時>
最初に遊技者(遊技者ID:101)(以下、遊技者101と称する。)が、2012年5月1日の9:00に、サンド20(台番200)を使って10000分の入金操作をする。このとき、図7のステップS2が実行され、フィシャル管理サーバ502においては、図11のステップS23が実行される。この時点では、それよりも前に、遊技者101は、台を移動しておらず、図12のステップS203の判断処理では、カード受付、入金前に持出エラーはないと判別される。
<計数処理>
この後、遊技者101は遊技を開始して、2012年5月1日の10:30にサンド20(台番200)を使って、一旦、その時点で遊技者101が所有している遊技球の計数処理を実行する。この計数処理によって、持メダル数(実持メダルRC)は、100枚と計数される。また、この時点の残金は、9000円であると記憶される。このとき、図7のステップS4が実行され、フィシャル管理サーバ502においては、図14のステップS44が実行される。この処理によって、その時点における理論持メダルVCと実持メダルRCとの比較が行われ(図15のステップS404)、比較判定結果がストアされる(図15のステップS405)。この時点で、理論持メダルVCと実持メダルRCとの差が50であり、比較判定結果は、持出エラーとなる。
<カード排出処理>
この後、遊技者101は遊技を継続し、2012年5月1日の10:30にサンド20(台番200)を使って、カード排出処理(返却)を実行する。持メダル数(実持メダルRC)は、500枚と計数される。また、この時点の残金は、1000円であると記憶される。このとき、図7のステップS5が実行され、フィシャル管理サーバ502においては、図16のステップS56が実行される。この処理によって、比較判定結果は、持出エラーであると判別され(図17のステップS503)、持出エラーテーブルが更新される(図17のステップS504)。この図17のステップS504の処理によって、図20(C)に示すように、遊技者ID、発生日時、持出枚数、フェイシャルデータの領域に対応するデータが登録される。
<入金操作時(他の遊技者)>
その後、遊技者101とは別の遊技者がサンド20(台番200)を使って遊技を開始するときに、図7のステップS2が実行され、フィシャル管理サーバ502においては、図11のステップS23が実行される。この時点では、持出エラーテーブルの遊技者ID、発生日時、持出枚数、フェイシャルデータの領域にデータが登録されているので、持出エラーがあると判別される(図12のステップS203)。その後、カードIDや遊技者が相違すると判別される(図12のステップS204)。次いで、持出エラーテーブルの「不正者登録」の領域に「不正者」であることを示すデータが登録される。
遊技者101について上述した履歴は、フェイシャルサーバ502に登録されており、遊技場の店員や管理者は、図21に示すような遊技者101の遊技履歴をディスプレイに表示することができる。このように表示することによって、遊技者101は不正者であると遊技場の店員や管理者は認識することができる。
なお、遊技者101は、ビジターカードで遊技をするものであるので、図20(A)に示すように、ビジターカードテーブルに、遊技者101に関する情報が記録される。
同様に、図20(C)に示すように、遊技者(遊技者ID:100101)(以下、遊技者100101と称する。)も、持出枚数が30枚であり、図15のステップS404の比較判定の結果は持出エラーとなる。しかしながら、この場合は、遊技者100101が一旦離席して戻って場合であり、遊技者100101が戻った後の処理で、カードIDや遊技者に相違がないと判別される(図12のステップS204)。この場合には、持出エラーテーブルの遊技者ID、発生日時、持出枚数、フェイシャルデータの領域のデータは削除され、持出エラーは取り消される。