JP5667596B2 - ダイレクトデジタルシンセサイザ - Google Patents
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Description
図6は、ダイレクトデジタルシンセサイザの基本的な構成を示すブロック図である。ダイレクトデジタルシンセサイザ600は、アキュムレータ10と、正弦波変換テーブル20と、デジタル/アナログ変換器30と、アナログフィルタ40とを備え、正弦波のアナログ信号を出力する。
図7は、従来のダイレクトデジタルシンセサイザの構成を示すブロック図である。このダイレクトデジタルシンセサイザ700は、アキュムレータ10と、正弦波変換テーブル20と、デジタル/アナログ変換器30と、アナログフィルタ40と、さらに、アキュムレータ10と正弦波変換テーブル20との間に、ランダムノイズ生成器50及び加算器60とを備えている。
このダイレクトデジタルシンセサイザ700によれば、相関のないランダムノイズデータをビットが切り捨てられた位相データに加算することにより、スプリアスノイズを低減することができる。
図8は、従来の他のダイレクトデジタルシンセサイザの構成を示すブロック図である。このダイレクトデジタルシンセサイザ800は、アキュムレータ10と、正弦波変換テーブル20と、デジタル/アナログ変換器30と、アナログフィルタ40と、さらに、アキュムレータ10と正弦波変換テーブル20との間にデルタシグマ変調器70とを備えている。
デルタシグマ変調器70は、スプリアスノイズをより高い周波数領域にシフトする特性があり、求める信号から遠ざけることができる。そして、デルタシグマ変調器70をより高次のフィルタで構成することにより効果があがる。
また、第3の方法として正弦波に変換後、エラーを補正する低減方法がある(例えば、特許文献1,非特許文献2参照)。
Output=sin(2π・wordtune/2bit_tune)・cos(2π・restr/2bit_tune)−cos(2π・wordtune/2bit_tune)・sin(2π・restr/2bit_tune)・・・(1)
と表すことができる。
ここで、周波数設定データのワード長m(bit_tune)が大きく、位相誤差データrestrが2bit_tuneと比べて非常に小さい場合、
cos(2π・restr/2bit_tune)≒1・・・(2)
sin(2π・restr/2bit_tune)≒2π・restr/2bit_tune・・・(3)
と簡略化できる。そのとき式(1)は、
Output=sin(2π・wordtune/2bit_tune)−cos(2π・wordtune/2bit_tune)・(2π・restr/2bit_tune)・・・(4)
と簡略化される。ここで式(4)のうち、求める信号(正弦波の振幅データ)は、
sin(2π・wordtune/2bit_tune)
であり、スプリアスノイズとなる信号は、
cos(2π・wordtune/2bit_tune)・(2π・restr/2bit_tune)
であり、これがエラー成分となる。
余弦波変換テーブル22により1ビットの余弦波の振幅データを生成し、乗算器80により累算出力のうちビットの切り捨て分である残りの下位kビットの位相データとl(エル)ビットの余弦波の振幅データとを乗算することで、エラー成分を生成する。
Output1=sin(2π・wordtune/2bit_tune)・・・(5)
となって、エラー成分が補正されることが分かる。
このように、ダイレクトデジタルシンセサイザ900によればエラー成分が補正されるためにスプリアスノイズを低減できる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、さらなる低スプリアス化を実現し、ノイズ特性を改善したダイレクトデジタルシンセサイザを提供することにある。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記デルタシグマ変調器(72)は、ループフィルタの出力から前記ループフィルタの入力をマイナス加算して前記エラー成分を生成する加算器(62)を備えることを特徴とする。
本発明のダイレクトデジタルシンセサイザは、設定可能な周波数を有する信号をデジタル的に生成するダイレクトデジタルシンセサイザである。周波数設定データに基づいて位相データを生成するデルタシグマ変調器72と、このデルタシグマ変調器72により生成された位相データに基づいて第1の振幅データを生成する第1の波形変換テーブル20と、デルタシグマ変調器72のエラー成分に基づく補正データに基づいて第1の振幅データを補正する補正部80とを備えている。
つまり、本実施例1のダイレクトデジタルシンセサイザ100は、設定可能な周波数を持つ正弦波をデジタル的に生成するものであって、アキュムレータ10と、アキュムレータ10の後段に設けられたデルタシグマ変調器72と、正弦波変換テーブル20と、正弦波変換テーブル20と並列に設けられた余弦波変換テーブル22と、デルタシグマ変調器72のデルタシグマエラー成分と余弦波変換テーブル22からの振幅データを乗算する乗算器80と、増幅器90と、加算器62と、デジタル/アナログ変換器30と、アナログフィルタ40とを備えている。
余弦波変換テーブル22は、余弦波のデータが格納されているメモリを備え、デルタシグマ変調された上位nビットの位相データを余弦波の振幅データ(ワード長l(エル)ビット)に変換する。
図2(a),(b)は、本発明に係るデルタシグマ変調器の具体例を説明ための図で、図2(a)は従来のデルタシグマ変調器の構成を示す図で、図2(b)は本発明に係るデルタシグマ変調器の構成を示す図である。
次に、ダイレクトデジタルシンセサイザの動作について説明する。
正弦波変換テーブル20の出力である正弦波の振幅データOutputは、求める信号とデルタシグマエラー成分との変調により発生するノイズ成分を考慮すると、
Output=sin(2π・wordtune/2bit_tune)・cos(2π・Errdsm/2bit_tune)−cos(2π・wordtune/2bit_tune)・sin(2π・Errdsm/2bit_tune)・・・(6)
と表すことができる。
ここで、wordtuneは周波数設定データに相当する位相データであり、Errdsmはデルタシグマエラー成分であり、bit_tuneは周波数設定データのワード長m(mビット)である。
ここで、周波数設定データのワード長m(bit_tune)が大きく、エラー成分Errdsmが2bit_tuneと比べて非常に小さい場合、
cos(2π・Errdsm/2bit_tune)≒1・・・(7)
sin(2π・Errdsm/2bit_tune)≒2π・Errdsm/2bit_tune・・・(8)
と簡略化できる。そのとき式(6)は、
Output=sin(2π・wordtune/2bit_tune)−cos(2π・wordtune/2bit_tune)・(2π・Errdsm/2bit_tune)・・・(9)
と簡略化される。ここで式(9)のうち、求める信号(正弦波の振幅データ)は、
sin(2π・wordtune/2bit_tune)
であり、スプリアスノイズとなる信号は、
cos(2π・wordtune/2bit_tune)・(2π・Errdsm/2bit_tune)
であり、これがエラー成分となる。
乗算器80は、1デルタシグマエラー成分と余弦波の振幅データとを乗算することで、エラー成分を生成するので、式(9)で表される正弦波の振幅データOutputに、そのエラー成分を加算すると、加算出力である振幅データOutput1は、
Output=sin(2π・wordtune/2bit_tune)・・・(10)
となって、エラー成分が補正されることが分かる。
図3(a)乃至(d)は、本発明に係るダイレクトデジタルシンセサイザによる効果を概念的に説明するための、各ダイレクトデジタルシンセサイザの出力信号のFFTプロットを示す図である。
従来の基本的な構成であるダイレクトデジタルシンセサイザ600では、図3(a)に示すように、アキュムレータによる切り捨てエラーが発生したため、スプリアスノイズが顕著に現れる。
また、従来の正弦波に変換後エラーを補正する構成であるダイレクトデジタルシンセサイザ900では、図3(c)に示すように、アキュムレータによる切り捨てエラーが補正され、スプリアスノイズが低減されるが、依然としてスプリアスノイズは存在する。
図4(a)乃至(d)は、本発明に係るダイレクトデジタルシンセサイザによる効果を示す図であり、各ダイレクトデジタルシンセサイザの出力信号のFFTプロットを示す図である。
また、図4(b)に示すように、従来のデルタシグマ変調器のみの構成であるダイレクトデジタルシンセサイザ800では、スプリアスノイズは高い周波数領域にシフトされ、求める信号の付近には表れないが、ノイズフロアが上昇する。なお、図4(b)においては、点Bはフロアノイズのうち最大値を示し、点A以外にピークはみられない。
アキュムレータ10は、デルタシグマ変調された上位nビットの周波数設定データを累算し、nビットの位相データとして正弦波変換テーブル20及び余弦波変換テーブル22に出力する。
余弦波変換テーブル22は、余弦波のデータが格納されているメモリを備え、累算されたnビットの位相データを余弦波の振幅データ(ワード長l(エル)ビット)に変換する。
増幅器90は、乗算器80の乗算出力に対し所望の値にゲイン倍することで微調整を行う。加算器62は、ゲイン倍したデータと正弦波の振幅データとを加算して、デジタル/アナログ変換器30に出力する。
また、本発明のダイレクトデジタルシンセサイザにおける信号生成方法は、設定可能な周波数を有する信号をデジタル的に生成するダイレクトデジタルシンセサイザにおける信号生成方法である。デルタシグマ変調により周波数設定データに基づいて位相データを生成するステップと、位相データに基づいて第1の振幅データを生成するステップと、デルタシグマ変調のエラー成分に基づく補正データにより第1の振幅データを補正するステップとを有する。
なお、上述した実施例では、ダイレクトデジタルシンセサイザ100,200は、正弦波をデジタル的に生成するものとしたが、正弦波に限られるものでなく、設定可能な周波数を持つ信号をデジタル的に生成するものに適応可能である。
20 正弦波変換テーブル
22 余弦波変換テーブル
30 デジタル/アナログ変換器
40 アナログフィルタ
50 ランダムノイズ生成器
60,62,74,78 加算器
70,72 デルタシグマ変調器
76 ループフィルタ
80 乗算器
90 増幅器
Claims (6)
- 設定可能な周波数を有する信号をデジタル的に生成するダイレクトデジタルシンセサイザにおいて、
周波数設定データに基づいて位相データを生成するデルタシグマ変調器と、
該デルタシグマ変調器により生成された前記位相データに基づいて第1の振幅データを生成する第1の波形変換テーブルと、
前記デルタシグマ変調器のエラー成分に基づく補正データに基づいて前記第1の振幅データを補正する補正部と、
前記デルタシグマ変調器の後段に第1及び第2のアキュムレータと、を備え、
前記補正部は、前記位相データに基づいて第2の振幅データを生成する第2の波形変換テーブルと、前記デルタシグマ変調器からのエラー成分と前記第2の振幅データとを乗算する乗算器と、該乗算器の乗算結果を前記第1の振幅データと加算する加算器と、を備え、前記デルタシグマ変調器のエラー成分及び前記第2の波形変換テーブルの第2の振幅データによる補正データに基づいて前記第1の振幅データを補正し、
前記第1のアキュムレータは、前記位相データを累算して前記第1の波形変換テーブル及び前記補正部に出力し、前記第2のアキュムレータは、前記エラー成分を累算して前記補正部に出力することを特徴とするダイレクトデジタルシンセサイザ。 - 前記補正部は、前記乗算器の乗算結果を増幅する増幅器を備えることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトデジタルシンセサイザ。
- 前記デルタシグマ変調器は、
ループフィルタの出力から前記ループフィルタの入力をマイナス加算して前記エラー成分を生成する加算器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイレクトデジタルシンセサイザ。 - 補正された前記振幅データを前記信号に変換する変換部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイレクトデジタルシンセサイザ。
- 前記変換部は、補正された前記振幅データをアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器と、前記アナログ信号を帯域制限して前記信号を出力するフィルタとを備えることを特徴とする請求項4に記載のダイレクトデジタルシンセサイザ。
- 設定可能な周波数を有する信号をデジタル的に生成するダイレクトデジタルシンセサイザにおいて、
周波数設定データをデルタシグマ変調するデルタシグマ変調器と、
該デルタシグマ変調器に接続され、デルタシグマ変調された前記周波数設定データを累算して位相データを生成する第1のアキュムレータと、
前記デルタシグマ変調器に接続され、該デルタシグマ変調器のエラー成分を累算する第2のアキュムレータと、
前記第1のアキュムレータに接続され、前記位相データに従い正弦波振幅データを生成する正弦波変換テーブルと、
前記第1のアキュムレータに接続され、前記位相データに従い余弦波振幅データを生成する余弦波変換テーブルと、
該余弦波変換テーブル及び前記第2のアキュムレータに接続され、累積された前記エラー成分と前記余弦波振幅データとを乗算する乗算器と、
該乗算器に接続され、乗算された結果を前記正弦波振幅データと加算する加算器と
を備えることを特徴とするダイレクトデジタルシンセサイザ。
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