JP5666191B2 - 水中集魚灯 - Google Patents

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Description

本発明は、魚の走光性(光による刺激を受けて行動する性質)を利用した漁法において水中を照明するために用いられる水中集魚灯に係り、特に、発光部を水中に沈めて使用する水中集魚灯に関する。
水中を照明して走光性を有する魚類を誘導し、漁獲する方法が知られている。中でも、白熱灯や水銀灯等を用いて船上から光を照射する方法は、構造が簡単であり、安価に実施できることから、従来、多用されてきた、しかしながら、船上から光を照射した場合、水面で光が散乱してしまい、水中が十分に照明されないおそれがある。そこで、近年、発光部を水中に沈めて使用する水中集魚灯が注目されている。
例えば、特許文献1には、「水中集魚灯」という名称で、指向性を有する光源を用いて、照度の異なる領域を水中に作出することにより、魚類等の蝟集性と滞留性を高めることができる水中集魚灯に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、指向性を備え,面状に配置されるn個(n≧3)の光源部によって形成される発光部が、光透過性を有する筐体内に設置された構造であり、n個の発光部のうちの少なくとも2個の発光部は同一平面上に配置されず、かつ、任意の2個の発光部から互いに干渉しないように光が放射され、この光によって筐体の周囲にn対(≧3)の光の濃淡部が形成されるものである。
このような構造の水中集魚灯においては、筐体の周囲に形成された光の濃部領域にプランクトン等の餌料生物及びそれに群がる小型魚類が引き寄せられるとともに、この小型魚類を捕食するために、大型の魚類等が光の淡部領域に隠れるべく、集まってくる。すなわち、本発明の水中集魚灯によれば、大小の魚類を筐体の周囲に効率よく集めることができる。
特許文献2には、「漁獲方法及び集魚装置」という名称で、海面や海中に光を照射することによって、走光性を有する魚類を漁獲する方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、光ファイバーを備えた光照射手段を用いて海面を照射し、あるいはその光照射手段を海中に垂れ下げて海中を照射することによって、海面や海中に光照射域と非照射域を形成し、非照射域と光照射域との境界近傍の非照射域側に釣漁手段を下ろして釣漁をすることを特徴とする。
このような方法によれば、例えば、イカ類が光照射域では興奮して釣り針の餌に反応し難い場合でも、非照射領域ではその興奮が収まるため、イカ類を釣り上げることができる。
特許第4288294号公報 特開2006−149241号公報
上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、水中集魚灯を点灯させ、筐体の長手方向が水深方向に一致するように水中に沈めた場合に、水平方向に対しては光の濃淡部を規則的に形成できるものの、水中集魚灯の近くや水深方向に対しては光の濃淡部を規則的に形成できないという課題があった。
また、特許文献2に開示された発明では、海中において水深方向に対して光照射域と非照射域を形成することができないという課題があった。また、水平方向や水深方向に対して光照射域と非照射域を規則的、かつ容易に形成することができないという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、水深方向や水平方向に対して光の濃淡部を規則的、かつ容易に形成し、魚類の蝟集性や滞留性を高めて漁獲量や釣果を向上させることが可能な水中集魚灯を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である水中集魚灯は、光透過性を有する筐体と、指向性を有する複数の光源によって面状に形成され,筐体の側方へ光を放射可能に筐体内の周方向及び長手方向に配置される複数の発光部と、を備え、面状に形成される複数の発光部は、筐体の周方向及び長手方向のいずれの方向についても一の発光部と他の発光部が同一平面上に配置されることがなく,かつ,筐体の周方向に対してn個(n≧2)配置されるとともに,筐体の長手方向に対して少なくとも2段に配置され、光源の指向角度は360/n[°]よりも小さいことを特徴とするものである。
このような構造の水中集魚灯においては、筐体の周方向に対して設置されるn個の発光部のうち、任意の2個の発光部から放射される光は互いに干渉されることなく、筐体の周方向にn対の光の濃淡部を形成するという作用を有する。また、筐体の長手方向に対して少なくとも2段に配置される発光部によってそれぞれ「光の濃淡部」が形成される。そして、これらの領域は、水深方向に見た場合に、一方の「光の濃部」に対して他方の「光の淡部」が重なるように形成される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水中集魚灯において、光源は、筐体の端部側に配置される端部側光源と、この端部側光源よりも指向角度が大きく,筐体の中央部に配置される中央側光源の2種類からなるものである。なお、本願明細書において、端部側光源が配置される「端部」には端部近傍も含まれ、中央側光源が配置される「中央部」には中央部近傍も含まれるものとする。
このような構造の水中集魚灯では、請求項1に記載の発明の作用に加えて、端部側光源が筐体の端部から光を遠方へ照射するとともに、中央側光源が筐体の中央部から光をその近辺へ照射するという作用を有する。また、端部側光源に中央側光源よりも指向角度の小さい光源を用いることで、端部側光源によって狭い範囲に光が集中するように照射され、中央側光源によって広い範囲に光が拡散するように照射されるという作用を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の水中集魚灯において、端部側光源は、中央側光源よりも光源の配置密度が高いことを特徴とするものである。
このような構造の水中集魚灯では、請求項2に記載の発明の作用と同様に、端部側光源によって強い光が照射され、それよりも弱い光が中央側光源によって照射されるという作用を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水中集魚灯において、指向性を有する複数の光源によって面状に形成され、筐体の下方へ光を照射可能に筐体の下端に設置される下端発光部を備えたことを特徴とするものである。
このような構造の水中集魚灯を点灯させるとともに、下端発光部が下方に向くように水中に沈めた場合、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、下端発光部によって筐体の下方へ光が照射されるという作用を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の水中集魚灯において、下端発光部は、筐体の中心に設置される下端中心光源と、この下端中心光源の周囲に設置される下端周囲光源からなり、下端中心光源と下端周囲光源は指向角度が異なることを特徴とするものである。なお、本願明細書において、下端中心光源が設置される「筐体の中心」には筐体の中心近傍も含まれるものとする。
このような構造の水中集魚灯においては、請求項4に記載の発明の作用に加えて、下端中心光源と下端周囲光源のうち、指向角度の小さい発光部から強い光が遠方へ照射されるとともに、他方の発光部から弱い光が筐体の下端の近辺に照射されるという作用を有する。
本発明の請求項1に記載の水中集魚灯においては、水平方向に加えて水深方向に対しても「光の濃部」と「光の淡部」が規則的に形成されることから、「光の濃部」に誘引されるという餌料生物及び小型の魚類の習性や、小型の魚類を捕食するために「光の淡部」に潜伏するという大型の魚類等の習性を利用して、筐体の周囲にまんべんなく各種の魚類等を蝟集・滞留させることができる。
本発明の請求項2に記載の水中集魚灯によれば、水中集魚灯の近辺にも「光の濃部」と「光の淡部」を規則的に形成することができる。従って、底生動物等の餌料生物や小型の魚類や大型の魚類等を水中集魚灯の周囲に蝟集・滞留させて、漁獲量や釣果を向上させるという請求項1に記載の発明の効果がより一層発揮される。
本発明の請求項3に記載の水中集魚灯では、中央側光源によって「光の濃部」と「光の淡部」を水中集魚灯の近傍に形成させることができる。従って、請求項2に記載の発明よりもさらに水中集魚灯の近くへ餌料生物や小型の魚類や大型の魚類等を蝟集・滞留させることができる。
本発明の請求項4に記載の水中集魚灯によれば、発光部を点灯させ、筐体の長手方向が水深方向に一致するように水中に沈めた場合、筐体の下方に対しても「光の濃部」と「光の淡部」を形成することができる。従って、水中集魚灯より下方の深い領域に対しても請求項1乃至請求項3に記載の発明と同様の効果を奏する。
本発明の請求項5に記載の水中集魚灯によれば、水深方向に対して「光の濃部」と「光の淡部」を規則的に形成して、請求項4に記載の発明の効果をさらに高めることができる。
(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る水中集魚灯の実施例の側面図及び底面図である。 (a)及び(b)はそれぞれ図1(a)のA−A線矢視断面図及びB−B線矢視断面図である。 (a)及び(b)は本実施例の水中集魚灯の側面部の発光状態を側面から見た場合の概念図である。 本実施例の水中集魚灯の底面部の発光状態を側面から見た場合の概念図である。 (a)及び(b)は本実施例の水中集魚灯の側面の発光状態を上面から見た場合の概念図である。 本実施例の水中集魚灯の側面の発光状態を上面から見た場合の概念図である。 (a)乃至(d)は本実施例の水中集魚灯において端部側光源と中央側光源を点灯させるタイミングを示したタイミングチャートである。 (a)乃至(d)は本実施例の水中集魚灯において端部側光源と中央側光源を点灯させるタイミングを示したタイミングチャートである。 (a)乃至(d)は本実施例の水中集魚灯において端部側光源と中央側光源を点灯させるタイミングをを示したタイミングチャートである。 (a)乃至(d)は本実施例の水中集魚灯において端部側光源と中央側光源を点灯させるタイミングを示したタイミングチャートである。 (a)乃至(c)は本実施例の水中集魚灯において端部側光源と中央側光源を点灯させるタイミングを示したタイミングチャートである。
本発明の水中集魚灯は、その長手方向が水深方向に一致するように水中に設置されて使用されるものである。従って、以下の説明では、特に断らない限り、水中集魚灯の長手方向を水深方向と同じ意味に用いるものとする。
本発明の実施の形態に係る水中集魚灯の実施例について図1乃至図11を参照しながら説明する。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ本実施例の水中集魚灯の側面図及び底面図である。なお、図1(b)は図1(a)の拡大図となっている。図2(a)及び図2(b)はそれぞれ図1(a)のA−A線矢視断面及びB−B線矢視断面の拡大図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、水中集魚灯1は、光透過性を有し,上下に筐体3b及び環状体3cがそれぞれ取り付けられた円筒状の筐体3aと、筐体3aに収容される端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dと、図示しないバッテリから端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dに電力を供給するケーブル5と、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dの発光状態を制御する制御部(図示せず)とを備え、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dを光源として、その側方及び長手方向へ光を照射可能に構成されている。また、筐体3a,3bは、内部に水が浸入しないように連結部分等がシール材で密封された水密構造となっている。ただし、水中集魚灯1を特に水深の深い場所で使用する場合には、水密構造に加えて筐体3a,3bをさらに耐圧構造とすることが望ましい。
端部側光源2a,中央側光源2bは、長方形の基板4a,4bに設置される複数の砲弾型LED6a及び表面実装型LED6bによってそれぞれ面状に形成され、下端中心光源2cは、円形の基板4cの略中心に設置される表面実装型LED6bからなり、下端周囲光源2dは、下端中心光源2cの周囲に設置される複数の砲弾型LED6aによって面状に形成されている。そして、砲弾型LED6a及び表面実装型LED6bは指向性を有しており、それらの指向角度はそれぞれ15°〜30°及び90°〜120°である。また、端部側光源2a及び下端周囲光源2dを形成する砲弾型LED6aは、中央側光源2b及び下端中心光源2cを形成する表面実装型LED6bよりも密に配置されている。
なお、図1(b)には下端中心光源2cとして1個の表面実装型LED6bが示されているが、これに限らず、下端中心光源2cは複数の表面実装型LED6bによって構成されていても良い。また、表面実装型LED6bの代わりに複数の砲弾型LED6aを下端中心光源2cとして基板4cの略中心に設置するとともに、その周囲に複数の表面実装型LED6bを下端周囲光源2dとして設置することもできる。ただし、一般に表面実装型LED6bは砲弾型LED6aに比べて広い設置スペースを要する。従って、基板4cのサイズを大きくできない場合には、本実施例に示した構成とすることが望ましい。
図2(a)及び図2(b)に示すように、3枚の基板4a,4bは、その水平断面がそれぞれ正三角形をなすように筐体3a内に設置されている。そして、3枚の基板4aの水平断面によって形成される正三角形は、3枚の基板4bの水平断面によって形成される正三角形に対して、水平面内で60度回転させた状態となっている。すなわち、基板4a,4b上に形成される端部側光源2a及び中央側光源2bはそれぞれ面状の発光部13a,13b(図1(a)参照)を形成し、発光部13a,13bの水平断面は正三角形をなしている。そして、発光部13aの水平断面によって形成される正三角形は、発光部13bによって形成される正三角形を水平面内で60度回転させた状態に相当する。
一方、下端発光部13cは筐体3aの下方に対して光を照射可能に、筐体3aの下端に設置された基板4c上の下端中心光源2c及び下端周囲光源2dによって面状に形成されている。また、基板4a,4bの裏側には筐体3aの略中心を通るように棒状の放熱部材(図示せず)が設置されており、基板4a,4bの表側には、前述したように砲弾型LED6a及び表面実装型LED6bが設置されている。なお、放熱部材は基板4a〜4cに接触することなく、その上端のみが筐体3bに接触している。
このような構造の水中集魚灯1では、発光部13a,13bによって筐体3aを中心とする3方向へ放射状に光が照射され、下端発光部13cによって筐体3aの下方へ光が照射される。そして、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dにおいて発生した熱は、空気を介して放熱部材に伝わり、さらに筐体3bに伝わって、その表面から空気中へ拡散する。また、端部側光源2a及び下端周囲光源2dでは、複数の砲弾型LED6aからそれぞれ指向角度15°〜30°で光が照射され、中央側光源2b及び下端中心光源2cでは、表面実装型LED6bから指向角度90°〜120°で光が照射される。すなわち、水中集魚灯1においては、端部側光源2a及び下端周囲光源2dによって光が狭い範囲に集中するように照射され、中央側光源2b及び下端中心光源2cによって光が広い範囲に拡散するように照射されるという作用を有する。この場合、端部側光源2a及び下端周囲光源2dによって照射される光は、中央側光源2b及び下端中心光源2cによって照射される光よりも遠方に到達する。
図3(a)及び図3(b)は本実施例の水中集魚灯の側面部の発光状態を側面から見た場合の概念図であり、図4は本実施例の水中集魚灯の底面部の発光状態を側面から見た場合の概念図である。なお、図3及び図4は、砲弾型LED6a及び表面実装型LED6bの指向角度がそれぞれ15°及び90°の場合を示している。また、図1又は図2に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
水中集魚灯1を点灯させて水中に沈めると、図3及び図4に示すように、発光部13a,13b(図1(a)参照)により筐体3aの側方に発光領域7a,7b及び発光領域8a,8bがそれぞれ形成され、下端発光部13c(図1(a)参照)により筐体3aの下方に発光領域9a,9bが形成される。なお、発光領域7a,8aは端部側光源2aによって形成され、発光領域9aは下端周囲光源2dによって形成される。また、発光領域7b,8bは中央側光源2bによって形成され、発光領域9bは下端中心光源2cによって形成される。そして、既に述べたように、端部側光源2a及び下端周囲光源2dによって照射される光は、中央側光源2b及び下端中心光源2cによって照射される光よりも狭い範囲に集中し、かつ遠方に到達する。従って、発光領域7a,8a及び発光領域9aは発光領域7b,8b及び発光領域9bよりも明るく、かつ遠方まで形成される。すなわち、水中集魚灯1では、筐体3aの両端の近傍から端部側光源2aにより強い光が狭い範囲に集中して遠方まで照射されるとともに、それよりも弱い光が中央側光源2bにより筐体3aの略中央部から近辺に拡散するように照射される。また、筐体3aの下方に向けて下端周囲光源2dにより強い光が狭い範囲に集中して遠方へ照射されるとともに、それよりも弱い光が下端中心光源2cにより筐体3aの下端の近辺に拡散するように照射される。
このような発光領域7a,7b、発光領域8a,8b及び発光領域9a,9bが形成されると、水中に光の濃淡部が生じることになる。そして、底生動物等の餌料生物は「光の濃部」である発光領域7a,7b、発光領域8a,8b及び発光領域9a,9bに誘引され、小型の魚類は餌料生物を摂餌するために「光の濃部」に蝟集する。また、大型の魚類は、これらの小型の魚類を捕食する機会を窺うように、「光の濃部」の周囲に形成される「光の淡部」に滞留する。すなわち、水中集魚灯1によれば、図3及び図4に領域10a〜10d、領域11a〜11d及び領域12a〜12dとして示すように、大型の魚類が潜伏可能な「光の淡部」を筐体3aの周辺に数多く形成することができる。
次に、発光領域7a,7bと発光領域8a,8bの水深方向の分布状態について図5及び図6を用いて説明する。
図5及び図6は水中集魚灯1の側面の発光状態を上面から見た場合の概念図である。なお、図5(a)は発光部13aの発光状態を上面から見た場合を示し、図5(b)は発光部13bの発光状態を上面から見た場合を示している。また、図6は図5(a)と図5(b)を重ねて表示したものである。さらに、図1乃至図4に示した構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、筐体3aの周方向に対して設置される3個の発光部13a,13b(図1参照)から放射される光は互いに干渉されることなく、周方向に対して均等に15°の指向角度をもって発光領域7a,8aを形成し、90°の指向角度をもって発光領域7b,8bを形成する。このとき、前述したように発光領域7a,7b及び発光領域8a,8bが「光の濃部」となり、その周囲の領域が「光の淡部」となる。すなわち、水中集魚灯1では、3組の発光部13a,13bによって筐体3aの周方向にそれぞれ3対の「光の濃淡部」が形成される。なお、「光の淡部」のうち、「光の濃部」との境目に近い領域10a〜10d及び領域11a〜11dは、大型魚類の潜伏可能な領域となる。
ここで、発光領域7a,7b及び発光領域8a,8bと、領域10a〜10d及び領域11a〜11dについて水深方向の分布状態を見ると、図6に示すように、発光領域7a,8a、領域10a〜10c及び領域11a〜11cは水深方向に重ならないように形成される。一方、発光領域7b,8b及び領域10d,11dは少なくとも一部が重ならないように形成される。すなわち、発光部13aによって形成される「光の濃部」に対して、発光部13bによって形成される「光の淡部」が重なり、発光部13aによって形成される「光の淡部」に対して、発光部13bによって形成される「光の濃部」が重なることになる。このように、水中集魚灯1においては、水平方向のみならず水深方向に対しても「光の濃部」と「光の淡部」が規則的に形成されるという作用を有する。
次に、端部側光源2a及び中央側光源2bを点灯させるタイミングについて図7乃至図11を用いて説明する。
図7乃至図11は水中集魚灯1を点灯させるタイミングを示したタイミングチャートである。これらの図では、筐体3a内で周方向に設置される3組の発光部13a,13bに設置される端部側光源2a及び中央側光源2bのうち、発光部13aに設置される端部側光源2a及び中央側光源2bをそれぞれU01〜U03及びMU1〜MU3と表し,発光部13bに設置される端部側光源2a及び中央側光源2bをそれぞれL01〜L03及びML1〜ML3と表している。また、タイミングチャートのハイレベルとローレベルは、これらの光源が点灯した状態と消灯した状態をそれぞれ示している。なお、これらの図は端部側光源2a及び中央側光源2bを点灯させるタイミングの一部を示しており、実際には図に示されたパターンが所定の時間繰り返される。
前述したように、端部側光源2a及び中央側光源2bの発光状態は制御部によって制御されている。従って、端部側光源2a及び中央側光源2bは発光強度を調整できる他、点灯した状態と消灯した状態を繰り返すことで周期的に点滅させることができる。例えば、イカ漁においては、光源を周期的に点滅させることにより、イカの運動機能が一時的に低下することが知られているが、水中集魚灯1を用いれば、そのイカの習性をうまく利用することができる。すなわち、水中集魚灯1において、まず、端部側光源2a及び中央側光源2bを点灯状態として筐体3aの周囲にイカの群れを誘引し、次に、図7(a)に示すように端部側光源2a及び中央側光源2bを点滅させるのである。これにより、イカの動きが緩慢となる。従って、釣果の向上が期待できる。
図7(a)では、すべての端部側光源2a及び中央側光源2bを同じタイミングで点滅させているが、各光源の一部のみを点滅させたり、点滅させるタイミングをずらしたりすることもできる。例えば、図7(b)又は図7(c)に示すように、タイミングを順番にずらしながらU01〜U03を点滅させると、発光領域7aが筐体3aを中心として周方向に回転するように形成され、図7(d)又は図8(a)に示すように、タイミングを順番にずらしながらL01〜L03を点滅させると、発光領域7bが筐体3aを中心として周方向に回転するように形成される。また、図8(b)乃至図9(a)に示すように、タイミングを順番にずらしながらU01〜U03及びL01〜L03を点滅させると、発光領域7a,7bが筐体3aを中心として周方向に回転するように形成される。なお、図8(d)の場合には図8(b)の場合よりも発光領域7a,7bが遅く回転し、図9(a)の場合には図8(c)の場合よりも発光領域7a,7bが遅く回転する。
図9(b)又は図9(c)に示すように、タイミングを順番にずらしながらMU1〜MU3及びML1〜ML3を点滅させると、発光領域8a,8bが筐体3aを中心として周方向に回転するように形成される。また、図9(d)乃至図11(a)に示すように、タイミングを順番にずらしながらU01〜U03、L01〜L03、MU1〜MU3及びML1〜ML3を点滅させると、発光領域7a,7b及び発光領域8a,8bが筐体3aを中心として周方向に回転するように形成される。なお、端部側光源2a及び中央側光源2bは必ずしも、発光領域7a,7bや発光領域8a,8bが筐体3aを中心として周方向に回転するように、点滅させなくとも良い。例えば、図11(b)又は図11(c)に示すように、U01〜U03及びL01〜L03と、MU1〜MU3及びML1〜ML3をそれぞれ順不同に点灯させても良い。
以上説明したように、本発明の水中集魚灯によれば、水平方向に加えて水深方向に対しても「光の濃部」と「光の淡部」が規則的に形成されることから、「光の濃部」に誘引される底生動物等の餌料生物及びそれを摂餌する小型の魚類や、「光の淡部」に身を潜めて小型の魚類を捕食する大型の魚類等の習性を利用して、水中集魚灯の周囲にまんべんなく各種の魚類を蝟集及び滞留させることが可能である。また、筐体の周囲を回転するように発光領域を形成することで、「光の濃部」と「光の淡部」に蝟集した魚類を水中集魚灯の周囲に略均一に分布させることができる。これにより、漁獲量や釣果が向上する。
なお、本発明の水中集魚灯の構成は、本実施例に示した場合に限定されるものではない。例えば、筐体3aは必ずしも円筒状でなくとも良く、中空の角柱状や角錐状、あるいは中空の球状や多面体状であっても良い。また、筐体3a,3bは個別である必要は無く、一体的な構造とすることもできる。さらに、本実施例では、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dへの電力の供給を、筐体3a,3b等とは別個に設けたバッテリからケーブルを介して行っているが、このような方法に限らず、例えば、バッテリが筐体3a,3b等に収納された構造であっても良い。また、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dを構成する光源は、指向性を有するものであれば、特にLEDに限定されない。さらに、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dを構成する光源の数は、図1等に示した場合に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、端部側光源2a,中央側光源2b及び下端中心光源2c,下端周囲光源2dの指向角度も本実施例に示した場合に限定されない。ただし、筐体3aの周方向に対してn個(≧2)の発光部が設置される場合、筐体3aの周方向にn対の「光の濃淡部」が形成されるように、発光部には360/n[°]よりも小さい指向角度を有する光源を用いることが望ましい。
本発明の請求項1乃至請求項5に記載された発明は、定置網漁や刺網漁等のように漁船を用いて集団で行う漁法に対して適用可能である他、観光やレジャー等で個々人が行う釣り漁等に対しても適用可能である。
1…水中集魚灯 2a…端部側光源 2b…中央側光源 2c…下端中心光源 2d…下端周囲光源 3a,3b…筐体 3c…環状体 4a〜4c…基板 5…ケーブル 6a…砲弾型LED 6b…表面実装型LED 7a,7b…発光領域 8a,8b…発光領域 9a,9b…発光領域 10a〜10d…領域 11a〜11d…領域 12a〜12d…領域 13a,13b…発光部 13c…下端発光部

Claims (5)

  1. 光透過性を有する筐体と、
    指向性を有する複数の光源によって面状に形成され,前記筐体の側方へ光を放射可能に前記筐体内の周方向及び長手方向に配置される複数の発光部と、
    を備え、
    前記面状に形成される複数の発光部は、
    前記筐体の周方向及び長手方向のいずれの方向についても一の発光部と他の発光部が同一平面上に配置されることがなく,かつ,前記筐体の周方向に対してn個(n≧2)配置されるとともに,前記筐体の長手方向に対して少なくとも2段に配置され、
    前記光源の指向角度は360/n[°]よりも小さいことを特徴とする水中集魚灯。
  2. 前記光源は、
    前記筐体の端部側に配置される端部側光源と、
    この端部側光源よりも指向角度が大きく,前記筐体の中央部に配置される中央側光源の2種類からなることを特徴とする請求項1に記載の水中集魚灯。
  3. 前記端部側光源は、前記中央側光源よりも前記光源の配置密度が高いことを特徴とする請求項2に記載の水中集魚灯。
  4. 指向性を有する複数の光源によって面状に形成され、前記筐体の下方へ光を照射可能に前記筐体の下端に設置される下端発光部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水中集魚灯。
  5. 前記下端発光部は、
    前記筐体の中心に設置される下端中心光源と、
    この下端中心光源の周囲に設置される下端周囲光源からなり、
    前記下端中心光源と前記下端周囲光源は指向角度が異なることを特徴とする請求項4に記載の水中集魚灯。
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