JP5660880B2 - レーザアニール方法 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば半導体基板に添加された不純物を活性化させるレーザアニール方法に関する。
エキシマレーザや、固体レーザの第2高調波等を用いたパルスレーザアニーリングが行われている。これらの高出力パルスレーザにおいては、出射されるレーザパルスのパルス幅が高々数百nsと短い。この長さのパルス幅で半導体基板(シリコン基板)の表面から1μmを超える深い領域に添加された不純物を活性化させるのは困難である。また、エキシマレーザや固体レーザの第2高調波は、波長が紫外光領域または可視光領域でも530nm程度と短い。このためシリコン基板に対する侵入長も1μm以下であり、深い領域に添加された不純物の活性化を行うには波長面でも不利である。
深い領域に添加された不純物の活性化を実現する活性化アニール方法の発明が開示されている(たとえば、特許文献1及び2参照)。特許文献1記載の発明においては、シリコン基板に対する侵入長が長い波長の光を用いることと、連続波のレーザビームの実効的なパルス幅(ビーム幅を走査速度で除した値)を10μs以上に設定することで、深い領域の活性化を実現している。また、特許文献2記載の発明においては、固体レーザの第2高調波とともに、波長の長い連続波の半導体レーザを用い、深い領域の活性化を実現している。
通常、レーザ光源から出力されるレーザビームの断面プロファイルはガウシアン型であり、ビームの断面形状は円形である。このため光源から出射されるレーザビームを単に集光してシリコン基板に照射した場合、レーザビームの中心が最も光強度が強く、パルス幅も長い。したがってシリコン基板上でレーザビームを走査して行う活性化アニールにおいては、ビーム中心が入射する位置が最も強く熱せられ、ビーム中心から、レーザビームの走査方向と直交する方向(送り方向)に遠ざかるに従い、入熱が減少する。ガウシアン型のプロファイルを有するレーザビームでアニールを行うと、ビーム強度と実効的なパルス幅の不均一性に伴い送り方向に照射ムラが生じることから、アニール後のシリコン基板のシート抵抗面内均一性や不純物の活性化深さの均一性に悪影響を及ぼすと考えられる。
特開2006−351659号公報 特開2009−302214号公報
本発明の目的は、高品質のレーザアニールが可能なレーザアニール方法を提供することである。
本発明の一観点によると、
半導体基板の表側の表面に、IGBTのエミッタ及びゲートを含む構造を形成する工程と、
前記半導体基板の裏側の表面に、不純物を注入する工程と、
(a)前記不純物の活性化深さの目標値を決定する工程と、
(b)前記工程(a)で決定された活性化深さの目標値に基づいて重複率を決定する工程であって、前記目標値が、前記半導体基板の裏側の表面から、
(i)0μm以上2μm未満であるときには、重複率を10%以上とし
(ii)2μm以上3μm未満であるときには、重複率を20%以上とし
(iii)3μm以上4μm未満であるときには、重複率を30%以上とし
(iv)4μm以上5μm未満であるときには、重複率を40%以上とする工程と
(c)ビームプロファイルにトップフラット部を有し、波長が750nm〜850nm
、パルス幅が1μs〜50μsのパルスレーザビームを、前記工程(b)で決定された重複率で、前記半導体基板の表面に照射して、前記不純物を活性化させる工程と
を有し、
前記工程(b)における重複率は、前記トップフラット部の重複率であるレーザアニール方法が提供される。
本発明によれば、高品質のレーザアニールが可能なレーザアニール方法を提供することができる。
パルス幅が1%変動したときの、アニール対象物(シリコン基板)の温度変化を示すシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例によるレーザアニール装置を示す概略図である。 (A)は、シリコン基板40に入射するパルスレーザビーム30を示す写真であり、(B)は、パルスレーザビーム30のビームプロファイルを示すグラフである。 第1のレーザアニールの結果を示すグラフである。 第2のレーザアニールの結果を示すグラフである。 第3のレーザアニールを実施した後のシリコン基板40を示す写真である。 第4及び第5のレーザアニールの結果を示すグラフである。 厚さ100μmのシリコン基板40のレーザ非照射面(レーザ照射面と反対側の面)に、100℃で変色する示温インクを塗布した後に、第4、第5のレーザアニールを行ったときの、示温インクの変色の様子を表す写真である。 実施例によるレーザアニール方法を示すフローチャートである。
「背景技術」で述べたように、断面が円形状であり、断面プロファイルがガウシアン型であるレーザビームを用いた場合、高品質のレーザアニールは困難であると考えられる。アニール後のシリコン基板のシート抵抗面内均一性や不純物の活性化深さの面内均一性を高めるためには、レーザビームを矩形状またはライン状に整形し、かつ光強度(ビーム断面プロファイル)を長軸方向に均一(トップフラット)化することが望ましいであろう。
前述のように、連続波のレーザビームの実効的なパルス幅は、ビーム幅を走査速度で除した値となることから、矩形状またはライン状に整形された連続波のレーザビームを短軸方向(走査方向)に走査することで、レーザビームの入射領域内で長軸方向(送り方向)のパルス幅は概ね一定となる。ただし、フライアイレンズやアレイレンズを用いたビーム整形方法では、矩形状またはライン状のレーザビームのエッジに凹凸が生じ、レーザビームを完全な矩形状またはライン状に整形することは難しい。エッジに凹凸が生じると、レーザビームの長軸方向エッジのがたつき(短軸方向のビーム幅の不均一性)の分だけ、実効的なパルス幅もレーザビームの長軸方向の位置によりばらつく(不均一となる)ことになる。一般的に、このエッジのがたつきを1%以下に抑えるのは困難である。
図1は、パルス幅が1%変動したときの、アニール対象物(シリコン基板)の温度変化を示すシミュレーション結果を示すグラフである。グラフの横軸は、レーザビーム照射後の経過時間を単位「μs」で示し、縦軸はシリコン基板表面の温度を単位「K」で示す。曲線aは、レーザビームをパルス幅14.11μsで照射したときの両者の関係を表し、曲線bは、レーザビームをパルス幅14.25μsで照射したときの両者の関係を表す。
14.11μsのパルス幅は、たとえばレーザビームをパワー密度400kW/cmでシリコン基板に照射して、表面温度を、シリコンの融点近傍の1400℃(1673K)まで上昇させるのに必要なパルス幅である。14.25μsのパルス幅は、14.11μsのパルス幅より、パルス幅が約1%大きいパルス幅である。なお、本図に示す結果は、シリコン基板からの熱の放出をゼロとする条件(断熱条件)で求めた。
図1のグラフを参照すると、パルス幅が1%増えることで、シリコン基板表面の最高到達温度が11K上昇し、この分だけ温度の降下に時間がかかることがわかる。したがって、たとえば長軸方向エッジに凹凸のある連続波のレーザビームを用いてアニールを行った場合、レーザビームの長軸方向の位置により熱履歴に差が生じ、シリコン基板上にはレーザビームの短軸方向(走査方向)に沿って、筋状に熱履歴の異なる領域が存在することになる。
以下の実施例においては、均一なレーザアニールのために、連続波のレーザビームを走査する従来の方法ではなく、連続波のレーザをパルス発振させてアニールを行う。光源に半導体レーザ(laser diode; LD)を用い、半導体レーザのドライバをパルス動作させることにより、半導体レーザから出射されるパルスレーザビームのパルス幅を、ドライバの出力パルス幅で制御する。こうすることで、半導体レーザから出射されるレーザビームのパルス幅は、ビーム幅に依存しない均一な値となり、ビーム入射領域のエッジのがたつきに起因するパルス幅のばらつきをなくすことができ、レーザアニール後のシリコン基板の面内均一性(シート抵抗の面内均一性及び不純物の活性化深さの面内均一性)を向上させることが可能となる。
パルス発振させることで、シリコン基板上におけるレーザビームの走査速度を遅くすることもできる。たとえば特許文献1及び2に記載の例においては、レーザビームの走査速度は、いずれも5m/sと高速である。このような高速なビーム走査を行うためには、装置の大型化や特殊なビーム走査方法が必要となることがある。特殊なビーム走査方法でビームを走査する場合、速度安定性が悪化する可能性があり、パルス幅を高い精度で安定化させることが難しくなる恐れがある。
光源をパルス発振させることで、連続波のレーザビームを用いる場合のように、パルス幅は、走査速度やビーム幅に依存しなくなるため、走査速度やビーム幅の自由度が格段に増し、特に高速走査の必要がなくなることから、パルス幅の不均一性を抑止し、パルス幅の安定性を高めることができるとともに、装置の大型化や、特殊なビーム走査方法の採用に伴うデメリットを回避することができる。
半導体レーザをパルス発振させて行うレーザアニールにおいては、レーザビームの光強度プロファイルが重要である。連続発振するレーザを光源に用いる場合には、常にレーザビームが出力されているため、走査方向のビームプロファイルはガウシアン型でも問題ないが、パルス発振するレーザ光源を用いる場合、レーザビームは間欠的に照射されるため、高品質のレーザアニールの実現には、走査方向のビームプロファイルはトップフラットであることが望ましい。
図2は、実施例によるレーザアニール装置を示す概略図である。半導体レーザ11は、パルス電源(ドライバ)10からパルス状の電力の供給を受け、たとえば波長808nmのパルスレーザビーム30を出射する。パルスレーザビーム30は、1/2波長板12を通過した後、短軸用ビーム整形器13及び長軸用ビーム整形器14に入射し、加工面上におけるビーム形状の整形及び光強度の均一化が行われる。短軸用ビーム整形器13及び長軸用ビーム整形器14は、それぞれたとえばレンズアレイ対やフライアイレンズで構成される。短軸用ビーム整形器13及び長軸用ビーム整形器14の双方を兼ねる、中空の導波路や、コアが矩形状である光ファイバを用いることもできる。中空の導波路は、たとえばカレイドスコープ照明によるビーム均質化を応用した導波路である。
ビーム整形器13、14を出射したパルスレーザビーム30は、偏光ビームスプリッタ15及び1/4波長板16を透過した後、集光レンズ17で集光され、たとえばXYステージであるステージ20に保持されたアニール対象物であるシリコン基板40に入射する。シリコン基板40は、不純物が添加された半導体基板である。シリコン基板40に入射するパルスレーザビーム30は、長軸方向及び短軸方向の双方にトップフラットなビームプロファイルを有する、矩形状、好ましくは一方向に長いライン状の入射領域を形成して、シリコン基板40上に入射する。入射領域の長軸方向に沿う長さは、たとえば2.5mmであり、短軸方向に沿う長さは、たとえば0.25mmである。
シリコン基板40で反射され、シリコン基板40に入射するパルスレーザビーム30とは逆の経路を進行する戻り光は、偏光ビームスプリッタ15で反射される。これにより、戻り光による、たとえば半導体レーザ11に対する悪影響を排除することができる。
ステージ20はシリコン基板40を、X軸方向及びY軸方向に移動可能に保持する。シリコン基板40は、パルスレーザビーム30の照射を受けながら、ステージ20によりY軸方向に移動される。パルスレーザビーム30は、たとえばY軸方向(短軸方向)に、要求される活性化深さの均一性に応じた重複率で、シリコン基板40上を走査する。
シリコン基板40上におけるパルスレーザビーム30の走査速度は、たとえば1m/s以下、一例として0.5m/s以下である。特に、走査速度が0.5m/s以下の場合、加減速領域、一定速度領域を含めたステージ20のストロークが1m程度ですむため、装置の大型化を防ぐことが可能である。
シリコン基板40表面における矩形状ビーム断面の短軸方向(走査方向、Y軸方向)にシリコン基板40を移動させることにより、ビーム断面の長軸方向の長さを幅とする帯状の領域をアニールすることができる。シリコン基板40を、ビーム断面の長軸方向(送り方向、X軸方向)にずらして帯状の領域をアニールする処理を繰り返すことにより、シリコン基板40の全面をアニールすることができる。
ステージ20によるシリコン基板40の移動、及び、パルス電源10からの電力供給によるパルスレーザビーム30の出射は、制御装置18により制御される。なお、パルス電源10は、たとえばパルス幅1μs以上100μs以下のパルス状の電力を、半導体レーザ11に供給可能な半導体レーザのドライバである。
図3(A)は、シリコン基板40に入射するパルスレーザビーム30を示す写真であり、図3(B)は、パルスレーザビーム30のビームプロファイルを示すグラフである。図3(B)の横軸は、長軸または短軸方向に沿う位置を表し、縦軸は光強度を表す。本願発明者は、図3(A)及び(B)に示すように、シリコン基板40上におけるパルスレーザビーム30のビームプロファイルが、長軸、短軸両方向にトップフラット幅約50μm、半値全幅(full width half maximum; FWHM)約100μmとなるように、ビームの断面形状及び光強度分布を調整し、このパルスレーザビーム30を用いて、第1〜第5のレーザアニールを行った。
なお、本願明細書等においては、レーザビームの光強度分布の平坦部における光強度の最小値を、平坦部の両端が下回る位置をトップフラット部の端部と定義し、端部間の長さをトップフラット幅と定義する。
図4は、第1のレーザアニールの結果を示すグラフである。第1のレーザアニールにおいては、不純物としてリン(P)を注入エネルギ2MeVでイオン注入したシリコン基板40に、パルス幅18.2μs、パワー密度424kW/cmのパルスレーザビーム30を照射して、リンを活性化させるアニールを行った。1ショットごとにシリコン基板40をY軸方向(走査方向)に30μmだけ移動させて、パルスレーザビーム30を照射し、シリコン基板40の端部まで照射が完了したら、基板40をX軸方向(送り方向)に30μmずらした後、同様の処理を行う(走査方向、送り方向の送りピッチがともに30μm)。これを繰り返してシリコン基板40全面の活性化アニールを行った。なお、パルスレーザビーム30のパルス幅は、半導体レーザ11の発光時間の半値全幅で規定される値である。
図4のグラフの横軸は、シリコン基板40表面(レーザ照射面)からの深さを、単位「μm」で表す。縦軸は、不純物濃度またはキャリア濃度を単位「1/cm」で表す。曲線aは、レーザアニール実施前のシリコン基板40の深さ方向の不純物濃度プロファイルを示し、曲線bは、レーザアニール実施後のシリコン基板40の深さ方向のキャリア濃度プロファイルを示す。不純物濃度プロファイルの計測には、二次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry; SIMS)を用い、キャリア濃度プロファイルの計測には、拡がり抵抗測定(spreading resistance; SR)を用いた。第1のレーザアニールによれば、シリコン基板40表面(レーザ照射面)から3μm以上の深さに添加された不純物の活性化が可能であることがわかる。
図5は、第2のレーザアニールの結果を示すグラフである。第1のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向の送りピッチがともに30μmであったが、第2のレーザアニールにおいては、走査方向の送りピッチを30μm、送り方向の送りピッチを50μmとした。その他の条件は、第1のレーザアニールと等しい。また、図5のグラフの両軸、曲線a、bの意味するところは、図4のグラフにおけるそれらと等しい。第2のレーザアニールにおいては、シリコン基板40表面から3μm以上の深さに添加された不純物の活性化だけでなく、浅い領域に添加された不純物の活性化も不十分であることがわかる。
図6は、第3のレーザアニールを実施した後のシリコン基板40を示す写真である。第3のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向の送りピッチをともに50μmとした。その他の条件は、第1及び第2のレーザアニールと等しい。本図に示す写真は、レーザアニール処理を行ったシリコン基板40を、斜度0.6°で削った後、レーザビーム30の照射により不純物が活性化された領域を、染色インクで顕在化させたものである。写真の左側約1/3の白っぽい領域は、シリコン基板40の表面を示す。写真の右側約2/3の黒っぽい領域は、シリコン基板40の削られた領域を示す。シリコン基板40は、白から黒へ色が変化している位置から削られており、写真右側にいくにつれ、シリコン基板40の深い位置が現れる。
本図に示す写真において、パルスレーザビーム30のビームプロファイルがトップフラットとなる領域(トップフラット部)の照射位置の不純物は活性化されているが、ビームプロファイルのスロープ領域の照射位置の不純物は活性化されていない様子が観察される。パルスレーザビーム30のトップフラット部以外の部分では、光強度が不足し、シリコン基板40の温度を、トップフラット部ほど上昇させられず、不純物を活性化できなかったと考えられる。このことから、半導体レーザをパルス発振させてレーザアニールを行う場合、レーザビームのトップフラット部が主に熱処理に寄与し、このためトップフラット部(トップフラット幅)を重複率の基準とすればよいことがわかる。したがって、半導体レーザをパルス発振させて光源に用いるレーザアニールにおいては、レーザビームのプロファイルは、走査方向、送り方向ともに、トップフラットであることが望ましいことがわかる。
第1〜第3のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向の両方向について、半値全幅に対するトップフラット幅は50%である。トップフラット幅と半値全幅との比が100%に近づくほど、レーザビームのエネルギを効率的に利用することができるため、半値全幅に対するトップフラット幅は、走査方向(短軸方向)、送り方向(長軸方向)の両方向について50%以上であることが好ましい。
なお、トップフラット幅を重複率の基準とした場合、図4に結果を示す第1のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向ともに重複率40%、図5に結果を示す第2のレーザアニールにおいては、走査方向の重複率は40%、送り方向の重複率は0%、図6に結果を示す第3のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向ともに重複率0%となる。
図6に示す写真においては、研削が開始された位置(写真左側約1/3の白っぽい領域と黒っぽい領域との境界。以下、境界線。)に近い部分、すなわちシリコン基板40表面からの深さが浅い部分においては、パルスレーザビーム30の1ショットの照射で不純物が活性化された領域が、相互に接触しているように見える。しかしその部分よりも右側の部分、すなわちシリコン基板40表面からの深さがより深い部分においては、不純物が活性化された領域が、相互に接触していない。これはパルスレーザビーム30の照射によりシリコン基板40に与えられた熱は四方に拡散するため、シリコン基板40表面からの深さが増すほど、不純物が活性化される領域の断面積が、パルスレーザビーム30のトップフラット部の断面積より小さくなることを意味している。たとえばパルスレーザビーム30の入射領域を、完全な矩形に整形したとしても、重複率0%で照射を行った場合には、シリコン基板40のきわめて表面に近い部分であれば、連続した領域を活性化させることができるが、表面からの深さが深い部分では、1ショットごとのレーザパルスで活性化される領域が連続しない、不均一な活性化アニールとなるであろう。
また、図6に示す写真において、レーザパルスで活性化された下から3列めの領域を観察すると、境界線から2つめと3つめの活性化領域の間のギャップは約5μmである。また、この位置の深さは、境界線からの距離と斜度の関係から計算すると、約1μmである。これらより、シリコン基板40表面から深さ1μmの位置に添加された不純物を、均一に活性化させるために必要な重複率(トップフラット幅を基準とした重複率)は10%であると推測できる。なお、図3(B)にプロファイルを示すパルスレーザビーム30においては、10%の重複率は、45μmの送りピッチに相当する。45μmの送りピッチで、パルスレーザビーム30を走査すると、境界線から2つめと3つめの活性化領域の間のギャップを埋めることができる。
シリコン基板40表面から深さ1μmの位置を、均一に活性化させるために必要な重複率が10%であると考えられることから、たとえばシリコン基板40表面から深さ3μmの位置を、均一に活性化させるためには30%以上の重複率が必要だと思われる。また、図4に結果を示す第1のレーザアニール(重複率40%でパルスレーザビーム30を照射)において、3μm以上の深さに添加された不純物が十分に活性化されていることから、シリコン基板40表面から深さ3μmの領域は、40%の重複率があれば、十分に均一な活性化を行うことができるものと考えられる。
シリコン基板40表面からの深さと、その深さに添加された不純物を均一に活性化させるために必要な重複率との間には、深さが5μm以下の領域においては、概ね比例関係があると考えられる。したがって、たとえば、シリコン基板40表面からの深さが0μm以上2μm未満である位置に添加された不純物を活性化させる場合には、10%以上の重複率で、2μm以上3μm未満である位置に添加された不純物を活性化させる場合には、20%以上の重複率で、3μm以上4μm未満である位置に添加された不純物を活性化させる場合には、30%以上の重複率で、4μm以上5μm未満である位置に添加された不純物を活性化させる場合には、40%以上の重複率で、ビームプロファイルにトップフラット部を有するパルスレーザビーム30を照射して、レーザアニールを行うことで、不純物活性化の均一性を高めることができるであろう。なお、ここでいう重複率は、トップフラット幅を基準とした重複率である。
図7は、第4及び第5のレーザアニールの結果を示すグラフである。第4、第5のレーザアニールにおいては、不純物としてリン(P)を注入エネルギ2MeVでイオン注入した、厚さ100μmのシリコン基板40に、それぞれパルス幅27.9μs、75μs、パワー密度358kW/cm、170kW/cmのパルスレーザビーム30を照射して、リンを活性化させるアニールを行った。第4及び第5のレーザアニールにおいては、走査方向、送り方向ともに40%の重複率でパルスレーザビーム30を照射した。
図7のグラフの両軸は、図4のグラフにおけるそれらと等しい。本図においては、曲線aは、レーザアニール実施前のシリコン基板40の深さ方向の不純物濃度プロファイルを示し、曲線b、cは、それぞれ第4、第5のレーザアニール実施後のシリコン基板40の深さ方向のキャリア濃度プロファイルを示す。第4、第5のレーザアニールによれば、シリコン基板40表面から3μm以上の深さに添加された不純物の活性化が可能であることがわかる。
図8は、厚さ100μmのシリコン基板40のレーザ非照射面(レーザ照射面と反対側の面)に、100℃で変色する示温インクを塗布した後に、第4、第5のレーザアニールを行ったときの、示温インクの変色の様子を表す写真である。示温インク塗布部の左側が第4のレーザアニールによる変色結果を表し、右側が第5のレーザアニールによる変色結果を表す。
図8に示す写真によれば、第4のレーザアニールにおいては、示温インクの変色は認められないが、第5のレーザアニールにおいては、示温インクが変色していることから、シリコン基板40の裏面温度が100℃を超えていることがわかる。なお、パルスレーザビーム30の照射領域のみが変色しているので、シリコン基板40全体が100℃以上に昇温されているわけではない。
パワーデバイス、たとえば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor; IGBT)の製造においては、まず、シリコン基板40の表側の表面に、エミッタ、ゲート等の構造を形成し、保護シートを貼り付けた後、裏面を削って基板を薄くし、裏面に不純物を注入する。シリコン基板の裏面には、フィールドストップ層となるn型不純物、たとえばリン(P)やヒ素(As)、さらにコレクタ層となるp型不純物、たとえばホウ素(B)が注入される。その後、シリコン基板40の裏面にレーザビームを照射することにより、裏側から注入した不純物を活性化する。IGBTの裏面活性化アニールでは、表側の構造の熱損傷を防ぐために、表側の表面の温度をたとえば100℃以下に抑えることが求められる。
図8の写真に示す結果から、IGBTの製造過程における裏面活性化アニールのように、アニール時、レーザ非照射面の温度に、たとえば100℃以下という制約が付される場合は、パルスレーザビーム30のパルス幅は、50μs以下、より好ましくは30μs以下とするのがよいであろう。なお、このパルス幅の制限は、レーザ非照射面の温度制約に依存するので、制約される温度が高いほど、パルス幅を長くすることができる。
図9は、実施例によるレーザアニール方法を示すフローチャートである。実施例によるレーザアニール方法は、たとえば図2に示す、実施例によるレーザアニール装置を用いて実施することが可能である。
実施例によるレーザアニール方法においては、まずステップS101において、IGBTまたはMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)の製造に用いられる半導体基板の活性化深さの目標値を、加工の要求に応じて、たとえば0μm以上5μm未満の範囲で決定する。
半導体基板の表層部には不純物が添加されている。半導体基板の表層部はシリコンで形成されている。半導体基板はたとえば裏面表層部に不純物が添加されたシリコン基板(シリコンウエハ)である。
IGBTの製造に用いられるシリコン基板の厚さは、一例として100μmである。シリコン基板の表側の表層部には、IGBTのエミッタ領域及びゲート領域が画定されている。また裏側の表層部には、p型不純物、たとえばホウ素(B)の注入によるコレクタ領域、及び、n型不純物、たとえばリン(P)の注入によるフィールドストップ領域が画定されている。
次に、ステップS102において、ステップS101で決定された活性化深さの目標値(要求される活性化深さ)に応じ、その深さが、半導体基板表面(レーザ照射面)から(i)0μm以上2μm未満であるときには、10%以上の重複率で、(ii)2μm以上3μm未満であるときには、20%以上の重複率で、(iii)3μm以上4μm未満であるときには、30%以上の重複率で、(iv)4μm以上5μm未満であるときには、40%以上の重複率で、ビームプロファイルにトップフラット部を有するパルスレーザビームを、半導体基板の裏側表面全体に照射して、不純物を活性化させるレーザアニールを行う。たとえば半導体基板全面について、コレクタ領域に注入された不純物(B)、及び、フィールドストップ領域に注入された不純物(P)の活性化アニールを行う。
なお、ステップS102における重複率は、トップフラット幅を基準とした(トップフラット部の)重複率である。制御装置18は、上述の重複率でパルスレーザビームが半導体基板に照射されるように、半導体基板上におけるパルスレーザビームの入射位置を制御する。
実施例によるレーザアニール方法によれば、不純物活性化の均一性を高め、高品質のレーザアニールを実現することができる。IGBTの製造に関して述べたが、MOSFETの製造についても同様である。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
たとえば、実施例においては、波長808nmのパルスレーザビームを用いたが、波長750nm〜850nmのレーザビームを出射可能な半導体レーザを光源とし、半導体レーザにパルス状の電力を供給可能なドライバを用いて、半導体レーザをパルス発振させ、出力されたパルスレーザビームでレーザアニールを行うことにより、連続波のレーザビームを走査して行うレーザアニールにおける、ビーム幅の不均一性に起因するパルス幅の不均一性の問題を解消し、高品質のレーザアニールを実現することができる。
また、第1のレーザアニールにおいては、1ショットあたり424kW/cm、第4レーザアニールにおいては358kW/cm、第5レーザアニールにおいては170kW/cmのパワー密度でパルスレーザビーム30をシリコン基板40に照射して、シリコン基板40に添加された不純物を活性化させたが、1ショットあたり150kW/cm以上のパワー密度でパルスレーザビームを照射して、不純物を活性化させることができるであろう。
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
種々のレーザアニールに利用可能である。
10 パルス電源
11 半導体レーザ
12 1/2波長板
13 短軸用ビーム整形器
14 長軸用ビーム整形器
15 偏光ビームスプリッタ
16 1/4波長板
17 集光レンズ
18 制御装置
20 ステージ
30 レーザビーム
40 シリコン基板

Claims (6)

  1. 半導体基板の表側の表面に、IGBTのエミッタ及びゲートを含む構造を形成する工程と、
    前記半導体基板の裏側の表面に、不純物を注入する工程と、
    (a)前記不純物の活性化深さの目標値を決定する工程と、
    (b)前記工程(a)で決定された活性化深さの目標値に基づいて重複率を決定する工程であって、前記目標値が、前記半導体基板の裏側の表面から、
    (i)0μm以上2μm未満であるときには、重複率を10%以上とし
    (ii)2μm以上3μm未満であるときには、重複率を20%以上とし
    (iii)3μm以上4μm未満であるときには、重複率を30%以上とし
    (iv)4μm以上5μm未満であるときには、重複率を40%以上とする工程と
    (c)ビームプロファイルにトップフラット部を有し、波長が750nm〜850nm、パルス幅が1μs〜50μsのパルスレーザビームを、前記工程(b)で決定された重複率で、前記半導体基板の表面に照射して、前記不純物を活性化させる工程と
    を有し、
    前記工程(b)における重複率は、前記トップフラット部の重複率であるレーザアニール方法。
  2. 前記工程(b)において、前記パルスレーザビームは、矩形状またはライン状の入射領域を形成して前記半導体基板の表面に入射し、前記パルスレーザビームのトップフラット幅は、短軸方向、長軸方向の双方向について、半値全幅に対して50%以上である請求項に記載のレーザアニール方法。
  3. 前記工程(b)において、前記パルスレーザビームを、前記半導体基板上で、1m/s以下の速度で走査する請求項1または2に記載のレーザアニール方法。
  4. 前記工程(b)において、前記パルスレーザビームを、前記半導体基板上で、0.5m/s以下の速度で走査する請求項に記載のレーザアニール方法。
  5. 前記工程(b)において、前記半導体基板の表面に照射するパルスレーザビームのパルス幅が30μs以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザアニール方法。
  6. 前記工程(b)において、前記半導体基板の表面に照射するパルスレーザビームのパワー密度が150kW/cm2以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のレーザアニール方法。
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