JP5660719B2 - ワイヤハーネス - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、車両のインストルメントパネルの裏側に配索されるワイヤハーネスに関するものである。
従来のワイヤハーネスは、一般的に、複数の電線を束ねてテープ巻きしただけの構造のものであった。あるいは、電線束の外側に樹脂シートやチューブ等の外装材を装着し、必要に応じて更にテープ巻きを加えただけの構造のものであった。従って、ワイヤハーネス自体に自身の形状を保つための強度がないことから、例えば、自動車のインストルメントパネルの裏側に配索する場合は、インストルメントパネル内にあるリンフォースに多数の支持をとって、ワイヤハーネスを配索しているのが現状である(例えば、特許文献1参照)。
図3は従来のインストルメントパネル用のワイヤハーネスの一例を示している。このワイヤハーネス10は、幹線部11から枝分かれした枝線部12を有しており、端末にコネクタ13が取り付けられ、車両に固定するための適当な箇所にプロテクタ等の外装材14が取り付けられている。
このようなワイヤハーネス10を車両のインストルメントパネルの裏側に取り付けるには、まず、図4(a)、(b)に示すように、車両組付工場にてライン横でポリテナー20からワイヤハーネス10をハンガー21に供給し、次いで、図4(c)、(d)に示すように、ハンガー21からインストルメントパネル22の組立てラインに投入する。
特開2000−166061号公報
ところで、上述のワイヤハーネス10の取り出し・ハンガー掛け・ライン投入などのハンドリング作業は、作業者Mの手作業により行っているが、ワイヤハーネス10が屈曲可能な柔軟な製品であるため、どの製品も全く同じ形状で収納・係止できているとは限らず、作業者Mが製品を保持する箇所を制限しづらく、そのため次の問題が発生している。
(1)作業者が製品を保持する箇所の判別に時間がかかる。
(2)作業者が製品を保持する際、バリ・トゲなど危険箇所への接触リスクがある。
(3)自動機による製品の工程内搬送を想定した場合、製品毎に収納・係止形状が違うと、自動機がワイヤハーネスの保持箇所を特定しにくく、自動化対応が困難である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持箇所を明確化でき、毎回同じ姿勢で容易に且つ安全に保持することができて、ハンドリング作業の効率化を図ることができ、更に自動機械による自動化にも対応しやすいワイヤハーネスを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 複数の電線の束の外側を覆うように、自身の形状を維持し得る程度の剛性を有する樹脂保護材がモールド成形され、該樹脂保護材に、ワイヤハーネス固定・保持用のグリップ部が一体に形成されたワイヤハーネスであって、
前記ワイヤハーネスが車両のインストルメントパネル用のワイヤハーネスであり、前記樹脂保護材が前記電線の束の延在方向に応じて左右方向に長く形成され、前記グリップ部が左右方向に間隔をおいた2箇所に、長孔形状の引っ掛け孔を有した形状で設けられていることを特徴とするワイヤハーネス。
(2) 前記樹脂保護材が発泡体よりなることを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス。
(3) 前記発泡体が、ビーズ法により発泡成形されたものであることを特徴とする上記(2)に記載のワイヤハーネス。
上記(1)の構成のワイヤハーネスによれば、樹脂保護材に設けたグリップ部により保持箇所が明確化されるので、ワイヤハーネスを毎回同じ姿勢で容易に且つ安全に保持することができる。即ち、作業者が保持箇所を探しながら掴む時間を短縮できると共に、作業者が製品のバリ・トゲなどの危険箇所に触れる可能性を低減できる。更に運搬用の自動機械を導入する場合は、保持位置が明確化されることにより、把持動作の制御が簡単にできるようになる。
また、複数の電線の束の外側を覆う樹脂保護材が、従来のワイヤハーネスよりも大きな一定の剛性(自身の形状を維持し得る程度の剛性)を持っているので、リンフォースに多数の支持をとりながら配索する必要がなくなり、配索経路の選定の自由度が向上する。また、配索スペースさえあれば、どこでも配索できるようになるので、リンフォースに沿って配索スペースを確保する苦労もなくなる。また、ワイヤハーネスの固定箇所も削減できるので、車両への組付作業性も向上する。また、従来では電線を保護するためにコルゲートチューブやビニールシートあるいはテープ等の多種多様な外装材を手作業で電線束に取り付けていたが、樹脂保護材の一括モールド成形を施すだけで、電線を保護できるようになるため、外装材の取付作業性の向上が図れる。
また、上記(1)の構成のワイヤハーネスによれば、引っ掛け孔を有した2箇所のグリップを使用することにより、安定した姿勢で確実にワイヤハーネスを保持することができる。
上記(2)の構成のワイヤハーネスによれば、電線束の外側を緩衝性を持つ発泡体で覆うので、周辺部品との干渉や電線間の干渉による摩耗・異音の発生も無くせる。また、例えば、硬質の樹脂保護材で電線束を覆うようにした場合は、樹脂材と電線との間の固着力が大きくなるため、成形後の養生時に電線と樹脂材との膨張率差に起因して、樹脂材や電線に余計な応力が加わり、最悪の場合は、樹脂材が破損したり電線が断線したりするおそれがあるが、発泡体を電線束の外側にモールド成形した場合は、電線と発泡体との間に滑りを発生させて固着力を低く抑えることができるため、養生時に材料間に発生する膨張差を吸収することができ、熱膨張差による成形体の破損や電線の断線等の不具合の発生を防ぐことができる。
上記(3)の構成のワイヤハーネスによれば、発泡体がビーズ法(一次発泡した米粒程度の大きさのビーズを金型内に敷き詰め、それを加熱し、二次発泡させる発泡方法)で発泡成形されているので、電線束の外表面の複雑で微細な凹凸に発泡体が入りにくくなり、固着量を更に低く抑えることができる。
本発明によれば、樹脂保護材に設けたグリップ部により保持箇所が明確化されるので、ワイヤハーネスを毎回同じ姿勢で容易に且つ安全に保持することができ、ハンドリング作業の効率化を図ることができる。
本発明の実施形態のインストルメントパネル用のワイヤハーネスの構成図で、(a)は正面図、(b)は(a)のIb−Ib矢視断面図、(c)は樹脂保護材の成形方法の説明用の断面図である。 (a)〜(d)は同実施形態のワイヤハーネスの車両への組み付けまでの手順説明図である。 従来のインストルメントパネル用のワイヤハーネスの正面図である。 (a)〜(d)は従来のワイヤハーネスの車両への組み付けまでの手順説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態のインストルメントパネル用のワイヤハーネスの構成図で、(a)は正面図、(b)は(a)のIb−Ib矢視断面図、(c)は樹脂保護材の成形方法の説明用の断面図、図2(a)〜(d)は同ワイヤハーネスの車両への組み付けまでの手順説明図である。
図1(a)に示すように、実施形態のワイヤハーネス1は、車両のインストルメントパネル用のワイヤハーネスであり、所定形状に配索された複数の電線の束2の外側を覆うように、樹脂保護材5をモールド成形して構成したものである。樹脂保護材5は、自身の形状を維持し得る程度の剛性を有する材質のもので、ここでは、電線の束2の所定領域の外側を全周にわたって覆うようにモールド成形された発泡体によって構成されている。
特に、この発泡体は、ビーズ法により発泡成形されたものであり、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォームよりなる。ビーズ法ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂と炭化水素系の発泡剤からなる原料ビーズを予備発泡させた後に、金型に充填し加熱することによって作られている。また、ビーズ法ポリスチレンフォーム以外に、ビーズ法ポリウレタンフォームやビーズ法ポリプロピレンフォーム等で代替することもできる。
この樹脂保護材5は、全体の外形が電線の束2の配索形状にほぼ倣った形状に成形されており、電線の束2の延在方向に応じて左右方向に長いバー状の形成されている。また、樹脂保護材5から端末にコネクタ4の付いた枝線2aが延び出している。そして、この樹脂保護材5の上側側縁部の左右方向に間隔をおいた2箇所に、ワイヤハーネス固定・保持用のグリップ部5aが、図1(b)に示すように、引っ掛け孔5bを有した形状で一体に形成されている。
このワイヤハーネス1を作る場合は、例えば、次のように工程を進める。まず、図1(c)に示すように、配索治具板(図示略)の上に下型7aを固定し、配索治具板の上で電線の束2を配索する。その際、樹脂保護材で覆う範囲の電線の束を下型7aの内部に収容する。電線束を配索したら、次に下型7aの上に上型7bを被せて、上型7aと下型7bを型締めする。型締めしたら、成形材料(一次発泡させた原料ビーズ)を、下型7aと上型7bで形成されるキャビティに充填する。充填したら、例えばスチームをキャビティに導入し加熱する。加熱により材料を発泡させたら養生して冷却し、冷却が完了したら、上型7bを取り外し、下型7bから、成形された樹脂保護材5を脱型させる。これにより、電線の束2の必要箇所が樹脂保護材5で覆われたワイヤハーネス1が得られる。
このようなワイヤハーネス1を車両のインストルメントパネルの裏側に取り付けるには、まず、図2(a)、(b)に示すように、車両組付工場にてライン横でポリテナー20からワイヤハーネス1をハンガー21に供給し、次いで、図2(c)、(d)に示すように、ハンガー21からインストルメントパネル22の組立てラインに投入する。このワイヤハーネス1は、樹脂保護材5に設けた2箇所の、引っ掛け孔を有したグリップ部5aにより保持箇所を明確化できるので、ワイヤハーネス1を毎回同じ姿勢で容易に、且つ安全にバランス良く、しかも確実に保持することができる。従って、一連のハンドリング作業を自動機30のハンド31を用いて自動で行うことができる。
また、作業者が行う場合であっても、作業者が保持箇所を探しながら掴む時間を短縮できると共に、作業者が製品のバリ・トゲなどの危険箇所に触れる可能性を低減できる。
また、複数の電線の束2の外側を覆う樹脂保護材5が、従来のワイヤハーネスよりも大きな一定の剛性(自身の形状を維持し得る程度の剛性)を持っているので、リンフォースに多数の支持をとりながら配索する必要がなくなり、配索経路の選定の自由度が向上する。例えば、リンフォースの位置に単純に密着して沿わせるだけで、ワイヤハーネス1を安定して支持することができる。また、配索スペースさえあれば、どこでも配索できるようになるので、リンフォースに制約されながら配索スペースを確保する苦労もなくなる。また、ワイヤハーネス1の固定もグリップ部5aを用いて行うことができるので、車両への組付作業性が向上する。また、従来では電線を保護するためにコルゲートチューブやビニールシートあるいはテープ等の多種多様な外装材を手作業で電線束に取り付けていたが、樹脂保護材5の一括モールド成形を施すだけで、電線を保護できるようになるため、外装材の取付作業性の向上が図れる。
また、このワイヤハーネス1では、電線の束2の外側を緩衝性を持つ発泡体(樹脂保護材5)で覆うので、周辺部品との干渉や電線間の干渉による摩耗・異音の発生も無くせる。また、例えば、硬質の樹脂保護材で電線束を覆うようにした場合は、樹脂材と電線との間の固着力が大きくなるため、成形後の養生時に電線と樹脂材との膨張率差に起因して、樹脂材や電線に余計な応力が加わり、最悪の場合は、樹脂材が破損したり電線が断線したりするおそれがあるが、発泡体を電線束の外側にモールド成形した場合は、電線と発泡体との間に滑りを発生させて固着力を低く抑えることができるため、養生時に材料間に発生する膨張差を吸収することができ、熱膨張差による成形体の破損や電線の断線等の不具合の発生を防ぐことができる。
また、発泡体がビーズ法(一次発泡した米粒程度の大きさのビーズを金型内に敷き詰め、それを加熱し、二次発泡させる発泡方法)で発泡成形されているので、電線束の外表面の複雑で微細な凹凸に発泡体が入りにくくなり、固着量を更に低く抑えることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
1 ワイヤハーネス
2 電線の束
5 樹脂保護材
5a グリップ部
5b 引っ掛け孔
22 インストルメントパネル

Claims (3)

  1. 複数の電線の束の外側を覆うように、自身の形状を維持し得る程度の剛性を有する樹脂保護材がモールド成形され、該樹脂保護材に、ワイヤハーネス固定・保持用のグリップ部が一体に形成されたワイヤハーネスであって、
    前記ワイヤハーネスが車両のインストルメントパネル用のワイヤハーネスであり、前記樹脂保護材が前記電線の束の延在方向に応じて左右方向に長く形成され、前記グリップ部が左右方向に間隔をおいた2箇所に、長孔形状の引っ掛け孔を有した形状で設けられていることを特徴とするワイヤハーネス。
  2. 前記樹脂保護材が発泡体よりなることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス。
  3. 前記発泡体が、ビーズ法により発泡成形されたものであることを特徴とする請求項2に記載のワイヤハーネス。
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