JP5660578B2 - サリドマイド標的因子を利用したスクリーニング方法 - Google Patents

サリドマイド標的因子を利用したスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、サリドマイド標的因子であるセレブロン(cereblon:CRBNと略記することがある。)またはその断片を利用した非催奇性物質、例えば、医薬、医薬品添加物、食品、食品添加物、特に、非催奇性サリドマイド誘導体のスクリーニング方法及びサリドマイドのアンタゴニストのスクリーニング方法に関する。また、本発明は、サリドマイドとの結合性は低いが、ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子としての機能は保持する変異型CRBN、それをコードする核酸、及びその核酸を導入し、発現させた非ヒト動物に関する。
1950年代後半から60年代始めにかけて、サリドマイドは鎮静剤として40を超える国で販売され、またそれはしばしば妊娠中の女性のつわり防止のために処方された。サリドマイドに催奇性があるということが顕著化され、その使用が停止されるまでに死産を含めると数千〜1万人を超える奇形(形態形成障害)が生じたと推定されている(引用文献1-3)。妊娠中3-8週目の女性がサリドマイドを服用すると、胎児にサリドマイド胎芽病と呼ばれる四肢、耳、心臓、そして消化器官における形態形成障害を引き起こす(引用文献1-3)。中でも四肢・耳の頻度は著しい。フォコメリア(phocomelia)として知られる四肢の異常は、腕や足が短くなることに特徴づけられ、また耳の異常については無耳症や小耳症、難聴に代表される。その原因解明において相当な努力がなされているにもかかわらず、この発生異常についてわかっていることはわずかである。これまでの研究によりサリドマイドが酸化ストレス誘導や血管新生阻害効果を持っていることがわかっており、それは催奇性の原因としてありうるものである(引用文献4-5)。しかしながら、いくつかの重要な問いが残されている。すなわち、いかなる分子が直接の標的であり、そしてどのようにしてその標的因子は催奇性を担うのかである。
ところで、ヒトの軽度精神遅延の原因候補因子としてCRBNというタンパク質が知られている(非特許文献1、引用文献11)。このタンパク質は、Damaged DNA Binding protein 1(DDB1)というタンパク質と結合することも報告されているが(非特許文献2、引用文献12)、サリドマイドとの関連性については何の報告もない。
J. J. Higgins, J. Pucilowska, R. Q. Lombardi,J. P. Rooney, Neurology 63, 1927 (2004). S. Angers et al., Nature 443, 590 (2006).
近年になり、サリドマイドは多発性骨髄腫や痛みを伴うハンセン病の一種であるらい性結節性紅斑の治療において使用されることが多くなっている(引用文献2, 3, 6, 7)。その詳細なメカニズムは不明ながら、サリドマイドはこれら疾患に対して良好な効果を発揮することが分かっている。しかしながら、催奇性が依然としてあることから、サリドマイド使用は厳格な統制の下でしか行えない(引用文献8)。サリドマイドの催奇性除去は、この有用な効果をより広範に応用させていく上で極めて望まれているのである。
本発明は、以上のような技術的背景の下になされたものであり、サリドマイドの有用な薬理作用を保持しつつ、催奇性のないサリドマイドの代替薬を開発する手段を提供することを目的の一つとする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、サリドマイドがCRBNに結合し、CRBNを構成因子とするユビキチンリガーゼ複合体の活性を阻害することによって催奇性が生じることを見出した。上述したように、CRBNがヒトの軽度精神遅延の原因候補因子であることやCRBNがDDB1と結合することは既に知られていたが、サリドマイドとの関連性については全く知られていなかった。従って、本願出願時において、CRBNがサリドマイドの催奇性における標的因子であることは、全く予測できなかったことである。
以上の知見から、サリドマイド誘導体をセレブロンと接触させ、セレブロンとの結合性を調べることによりそのサリドマイド誘導体の催奇性を予見することができる。
この新知見をさらに発展させれば、サリドマイド誘導体に限らず、すべての被験物質においてCRBNとの結合性を調べればその物質のサリドマイド様の催奇性の有無を予見することができる。
また、本発明者は、ヒト由来CRBNのN末端から339〜442番目のアミノ酸残基がサリドマイドの結合領域であること、およびN末端から384番目のチロシン及び386番目のトリプトファンをアラニンに置換したヒト由来のCRBNは、ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子としての機能を保持しつつ、サリドマイドとの結合性が低下することも見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の〔1〕〜〔11〕を提供するものである。
〔1〕被験物質をセレブロンもしくはその断片と接触させ、被験物質のセレブロンもしくはその断片に対する結合性を評価し、セレブロンもしくはその断片と結合しない被験物質、又はセレブロンもしくはその断片との結合性がサリドマイドよりも低い被験物質を選択することを特徴とする非催奇性物質のスクリーニング方法。
〔2〕被験物質が医薬であることを特徴とする〔1〕に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
〔3〕被験物質が、一般式(1)
で表されるサリドマイド誘導体であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法;
ただし、式(1)中、XがR−Rで、YがR−Rである場合を化合物(A)、XがRで、YがR−Rである場合を化合物(B)及びXがRで、YがRである場合を化合物(C)とし、
また、R1、R2、R3およびR4は−H;−OH;=O;直鎖および分枝アルカン、アルケン、アルキン;環式アルカン、アルケンおよびアルキン;環式ならびに非環式アルカン、アルケンおよびアルキンの組み合わせ;アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、または環式、非環式と組み合わせたエーテル部分、あるいは環式/非環式部分の組み合わせ;アザ;アミノ;−MOnまたは−O−MOn[式中、M=Nそしてn=2;M=Sそしてn=2または3;あるいはM=Pそしてn=1−3である];そしてハロゲンから選択することができ;R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して式(2)
または−O−(式中、Zは任意であり、そして上記R1の定義と同じである)から選択され;そしてR10は上記R1の定義と同じであるか、または(Zがない場合には)R10は=Oであり;
9は式(3)、(4)、(5)、(6)または(7)
式中、各々のR11−R17は(独立して)上記R5の定義と同じであり、
式中、R18、R19およびR20は独立して
H,−CH,−COOH,−CONH,−CH)n−COOH,−(CH)nCONH
から選択され、n=1−4を有する部分である。
〔4〕セレブロンの断片が、配列番号7に示すアミノ酸配列において、そのN末端から339〜442番目のアミノ酸配列を有し、それ以外のアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失および/又は付加がなされたアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
〔5〕セレブロン又はその断片が、担体に固定されていることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
〔6〕サリドマイド誘導体が、サリドマイド又は既知のサリドマイド誘導体のもつ薬理作用を持つものであることを特徴とする〔3〕に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
〔7〕被験物質をセレブロン又はその断片と接触させ、被験物質とセレブロン又はその断片の結合性を調べ、セレブロン又はその断片と結合する被験物質を選択する工程、及び前記工程で選択された被験物質の中から、i)催奇性、又はii)セレブロンを含むユビキチンリガーゼ複合体の活性阻害作用を軽減する物質を選択する工程とを含むことを特徴とする催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法。
〔8〕セレブロン又はその断片が、担体に固定されていることを特徴とする〔7〕に記載の催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法。
〔9〕以下の(a)及び/又は(b)のアミノ酸置換を有することを特徴とする変異型セレブロン;
(a)ヒト由来のセレブロンにおけるN末端から384番目のチロシン若しくはこれに相当するアミノ酸がアラニンに置換されたもの
(b)ヒト由来のセレブロンにおけるN末端から386番目のトリプトファン若しくはこれに相当するアミノ酸がアラニンに置換されたもの。
〔10〕〔9〕に記載の変異型セレブロンをコードすることを特徴とする核酸。
〔11〕〔10〕に記載の核酸を遺伝子として導入し、発現させたことを特徴とするサリドマイド催奇性耐性非ヒト動物。
本発明のスクリーニング方法によって得られる非催奇性物質は、サリドマイド様の催奇性の有無を予見することができ、非催奇性サリドマイド誘導体は、サリドマイドの代替薬として有用である。また、本発明のスクリーニング方法によって得られるサリドマイドのアンタゴニストは、サリドマイドによる催奇性リスクを軽減する働きがある。
本発明の変異型CRBNをコードする核酸を遺伝子として導入し、発現させた動物は、サリドマイドの催奇性に耐性を示すので、サリドマイド薬理効果の評価などに有用である。
CRBN及びDDB1に対するサリドマイド(thal)の結合性に関する図。(A)サリドマイド固定化ビーズ(+)あるいはコントロールビーズ(-)を用い、HeLa細胞抽出液からサリドマイド結合タンパクを精製した。サリドマイド固定化ビーズに結合したタンパクはサリドマイドの添加により溶出される。溶出されたタンパクは電気泳動後、銀染色を行った(上図)。星印(*)は非特異的に結合したタンパクである。結合したタンパクはタンデム質量分析、ウエスタンブロットにより、CRBNとDDB1と同定された。0.3mMのサリドマイドをビーズと混合する前の抽出液に加えておくことで、溶出されるCRBNとDDB1は減少した。(B)精製した組み換えタンパク質であるCRBN-FLAGおよびDDB1-V5-Hisにサリドマイド固定化ビーズを混合した。サリドマイド固定化ビーズに結合するタンパクがCRBNあるいはDDB1かをウェスタンブロッティングにより解析した結果、ビーズに結合したタンパクはCRBNであった。(C)CRBN-FLAG、DDB1-V5-Hisを同時にもしくは単独でSf9細胞に発現させ、FLAG抗体を用いて免疫精製した。精製されたタンパク質を電気泳動後、クマシー(Coomassie)で染色したところ、DDB1が検出された。 CRBN、DDB1、及びCullin 4A(Cul4A)によるE3複合体形成に関する図。(A)FH-CRBNおよびDDB1-V5-HisをHeLa細胞に共発現させ、免疫染色した。DAPIは4’6-diamidino-2-phenylindoleである。CRBN、DDB1は主に核に共局在しており、細胞質でも検出された。(B) FH-CRBNを安定的に発現する293T細胞またはコントロール細胞(mock)抽出液をFLAG抗体により免疫沈降し、ウェスタンブロッティングを行ったところ、CRBN複合体としてDDB1、Cul4A、Roc1が共沈した。(C) 図の量のFH-CRBNとDDB2発現ベクターを293T細胞に共導入した。In put、およびFLAG抗体にてCRBNと共沈した分子をウェスタンブロッティングにより解析した(IB)。DDB2を強発現させることにより、CRBNと共沈するDDB1量は低下した。(D)FH-CRBNを安定的に発現する293T細胞に、Cul4A siRNAもしくはコントロールsiRNAを導入し、MG132を加えた。RIPAbufferで細胞を溶解し、FLAG抗体にて免疫沈降後、Ubquitin(Ub)抗体でウエスタンブロットを行った。MG132処理によるCRBNの自己ユビキチン化はCul4A siRNAにより抑制された。(E)FH-CRBN(WT、野生型)もしくはDDB1との結合能を欠くCRBN変異体(ΔMid、CRBNの187から260番目のアミノ酸を欠損させた変異体)を安定的に発現する293T細胞にMG132を加えDと同様の操作を行った。ΔMidの発現細胞ではMG132処理によるCRBN変異体の自己ユビキチン化は抑制された。 サリドマイドによるCRBN機能の阻害に関する図。(A)CRBN(野生型)ならびにCRBN変異体の図。星印はアラニン置換を示す。(B)GST-CRBN野生型あるいは変異体タンパクにサリドマイド固定化ビーズを混合し、結合したCRBN変異体類を銀染色で検出した。野生型ならびにCRBNのC末端側104アミノ残基を発現する変異体が結合した。融合タンパク質の全長のものをarrowheadで示した。(C)FH-CRBN野生型あるいは変異体類を過剰発現する293T細胞抽出液にサリドマイド固定化ビーズを混合し、結合したCRBN変異体類をウェスタンブロッティングで検出した。野生型に比べCRBN Y384A、W386A変異体はサリドマイド固定化ビーズへの結合が弱く、2点変異体(YW/AA)ではさらに結合が低下した。(D)CRBN-V5-His(野生型)および変異体FH-CRBN YW/AAをHeLa細胞に共導入し、免疫染色した。DAPIは4‘6-diamidino-2-pheynylindoleである。野生型ならびに変異体CRBN YW/AAの細胞内局在に違いはなかった。(E)FH-CRBN YW/AAを発現する293T細胞抽出液をFLAG抗体にて免疫沈降後、ウエスタンブロットを行ったところ、DDB1、Cul4A、Roc1がYW/AA変異CRBNと共沈した。(F及びG)FH-CRBN(野生型)もしくはFH-CRBN YW/AAを発現させた293T細胞において図2Eに示した工程を行った。(G)においては回収の4時間前にサリドマイドを処理した。MG132によるCRBNの自己ユビキチン化はサリドマイドの前処置により抑制されたが、YW/AA変異CRBNではサリドマイドによる抑制は見られなかった。 サリドマイド処理およびCRBN複合体の抑制によるゼブラフィッシュにおける発生異常に関する図。(A及びB)ゼブラフィッシュ胚を図の濃度のサリドマイドに薬浴させた状態で発達させた。サリドマイドの処置により、胸鰭、耳胞の発達が阻害された。(CからF)zcrbn AMO (zcrbn antisense morpholinooligonucleotide)を単独もしくはzcrbn mRNAとともに1細胞期の胚に注入した。zcrbn AMOにより、胸鰭、耳胞の発達は阻害されたが、zcrbn mRNAを共導入することで緩和できた。(GからI)zcul4a AMOを単独もしくはzcul4a mRNAとともに1細胞期の胚に注入した。zcul4a AMOにより胸鰭、耳胞の発達は阻害されたが、zcul4a mRNAを共導入することで緩和できた。(A及びC)75 hpfの胚を固定しアルシアンブルーで染色した。上図は胚の背側図(dorsalview)である。下図は胸鰭の拡大図である。胸鰭はarrowheadで示した。(B,E及びH)30hpfにおける耳胞の拡大図である。(D及びG) 48hpfの胚に対しfgf8a(fibroblast growth factor 8a)ならびにshh (sonic hedgehog) プローブでin situ hybridizationを行った。ヒレ芽(fin bud)の拡大図を示した。zCrbn、zCul4aの発現抑制によりfgf8aの発現低下がみられ、それぞれのmRNAをともに導入することで緩和された。shh発現にはほぼ影響はなかった。(F及びI) 30hpfにおける耳胞のサイズを未処理の検体に対する比としてグラフに表した。***p<0.001, uninj, 非注入・未処理)。 変異型CRBNの発現によるサリドマイド催奇性抑制に関する図。1細胞期の胚にzcrbn mRNA(野生型)もしくはzcrbn YW/AAのmRNAを注入し、サリドマイドに薬浴させた。(A)27hpfにおける耳胞の拡大写真。(B)30hpfにおけ耳胞のサイズを未処理の検体に対する比でグラフに示したもの。*p<0.05, **p<0.01。zcrbn YW/AA を過剰発現した胚では、サリドマイドは耳胞の発達に影響を及ぼさなかった。(C及びD)48hpfにおける胚をfgf8あるいはshhプローブでin situ hybridizationを行った。図にはヒレ芽の拡大写真を示している。uninj, 未処理。zcrbn YW/AA を発現させた胚では、サリドマイドによるfgf8a発現の減少が緩和した。 サリドマイドのFGビーズへの固定化方法の模式図。(A及びB)サリドマイドおよびその誘導体であるFR259625の構造。(C)サリドマイド固定化反応の流れ。 様々な細胞種からのサリドマイド結合因子の精製に関する図。図に示したような細胞種の抽出液にサリドマイド固定化ビーズを添加し反応させた。サリドマイドにより溶出された画分のDDB1ならびにCRBNをウェスタンブロッティングで検出した。競合阻害は0.3mMのサリドマイドを、ビーズと結合させる前の抽出液に加えている。様々な細胞種において、サリドマイド結合タンパクとしてCRBNならびにDDB1が検出できた。 DDB1のCRBNに対する結合性に関する図。FH-CRBNを安定的に発現する293T細胞株もしくはコントロール細胞(mock)抽出液をFLAG抗体により免疫沈降を行い、SDS-PAGEおよび銀染色を行った。DDB1はCRBNと共沈した。 In vitroでのCRBNのユビキチン化に関する図。FH-CRBNを安定的に発現する293T細胞株から精製したFH-CRBN複合体はGST-ユビキチン、Ubal(E1に相当)、UbcH5b(E2に相当)、ATP存在下もしくは非存在下で自己ユビキチン化反応を行った。反応溶液は図に示した抗体を用いウェスタンブロッティングを行った。Mockはコントロール細胞からFLAG精製された画分である。CRBN複合体存在下で自己ユビキチン化が見られた。 DDB1のノックダウンとCRBNタンパク量との関係を示す図。DDB1 siRNAもしくはコントロールのsiRNAを導入した293T細胞から得た抽出液とサリドマイド固定化ビーズを混合し、in put中のDDB1あるいはβ-actin、およびビーズに結合したCRBNをウェスタンブロッティングで解析した。DDB1の発現低下に伴ってサリドマイドに結合するCRBNも減少した。 CRBN欠損変異体とユビキチン複合体形成を示す図。(A)CRBN(野生型)およびCRBN欠損変異体の図。(B) 293T細胞にFH-CRBN(野生型)およびその欠損変異体を発現させ、FLAG抗体において免疫沈降した。CRBNおよびその変異体、ならびに結合した内因性DDB1をウェスタンブロッティングにより解析した。その結果、CRBNの187から260番目のアミノ酸欠損によりDDB1との結合が消失することが判明した。(C)CRBNおよび187から260番目のアミノ酸を欠損させた変異体ΔMidを293T細胞に発現させた。FLAG抗体で免疫沈降後、CRBNあるいはΔMidに結合したDDB1ならびにCul4Aをウェスタンブロッティングにより解析した。ΔMidはDDB1、Cul4aとの複合体形成能が消失していた。 CRBNの進化的保存性に関する図。5種よりCRBNオルソログのアミノ酸を比較したもの。枠で囲まれたアミノ酸は、5種類すべてで保存されているアミノ酸である。Arrowは欠損実験で判明したサリドマイド結合領域であり、星印はサリドマイド結合に極めて重要なアミノ酸を表す(Y384とW386)。図3参照。 ゼブラフィッシュ胚におけるzcrbnおよびzcul4aの発現を示す図。48hpf胚におけるzcrbnおよびzcul4aの発現をホールマウントin situ hybridizationにて検証した。(A)zcrbnは頭部血管、胸鰭、そして脳において高発現である。側面図であり、左が前部である。(B)48hpfにおける耳胞でのzcrbn発現。 (OV, arrowheadにて)背側図であり、前部が頭部である。(C)48hpf胚での胸鰭におけるzcrbn発現の拡大図である。発現は前位の間充織(proximal mesenchyme, pm)に高レベルであり、遊走間充織(migratorymesenchyme, mm)において弱い。(D)zcul4aの発現について。48hpf胚でzcul4aは前脳、中脳そして後脳、胸鰭において高く発現している。(E)対照として48hpf胚でのfgf8の発現である。中脳・後脳境界部、および後脳において発現している。スケールバーは0.2mmである。 zCrbnの生化学的解析結果に関する図。(A)FH-zCrbnを発現させた293T細胞抽出液にサリドマイド固定化ビーズを混合し反応させた。結合タンパク質をサリドマイドで溶出し、ウェスタンブロッティングにより解析した。zCrbnはサリドマイドに結合した。(B)FH-zCrbnを発現させた293T細胞抽出液をFLAG抗体で免疫沈降を行い、DDB1の結合をウェスタンブロッティングにより検証した。ヒトの内在性DDB1が結合することが分かった。(C)FLAG-zCrbn(野生型)もしくはFLAG-zCrbn YW/AAを発現させた293T細胞抽出液にサリドマイド固定化ビーズを混合した。inputおよびサリドマイドによる溶出画分について様々な量でウエスタンブロットを行った。zCrbn YW/AAに対するサリドマイドの結合は明らかに弱かった。 サリドマイド催奇性の分子メカニズムを模式的に表した図。正常時ではCRBNはE3ユビキチンリガーゼ複合体のサブユニットとして機能し、未知の基質をユビキチン化することによって四肢や耳胞の形成といった様々な発生プロセスを制御する(上図)。サリドマイドがCRBNと結合すると、E3としての機能が阻害される(下図)。基質の異常な蓄積が短い四肢や小さな耳胞の形成など、様々な発生異常をもたらす。部分的にはfgf8の発現の低下が関与する。 フタルイミドとCRBN及びDDB1との結合に関する図。293T細胞抽出液をサリドマイド固定化ビーズと混合した。ビーズに結合した因子をサリドマイドもしくは、等量のフタルイミドで溶出し、溶出画分中のCRBN及びDDB1をウェスタンブロッティングで解析した。 CRBNとの結合性を調べたサリドマイド誘導体の構造式を示す図。 サリドマイド誘導体とCRBNとの結合に関する図。図中のVehicleはDMSOを示す。HEK293T細胞抽出液にサリドマイド固定化ビーズを混和して、洗浄後、サリドマイド誘導体により結合タンパクを溶出した。溶出画分中のCRBNはウエスタンブロットを行った。図中のVehicleはDMSOを示す。SDS-Boilは洗浄後のビーズを2%SDSを含むバッファー中で98.5℃に加熱し、サリドマイド固定化ビーズに結合したCRBNを解離させた画分である。CRBNはサリドマイド、グルタルイミドにより溶出したが、フタルイミド、5-Hydroxy-(2,6-diisopropylphenyl)-1H-isoindole-1,3-dione (5HPP-33)の添加では溶出しなかった。 サリドマイド又は5HPP-33処理後の多発性骨髄腫細胞Kms12の細胞数を示す図。KMS-12細胞に最終濃度が100μMになるようにサリドマイドあるいは5HPP-33を添加した。37℃、5%CO2に設定したインキュベーター内で48時間培養した。細胞数の測定のため、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク)を添加し、さらに2時間培養後、波長450 nmで吸光度を測定した。5HPP-33はKMS-12に対して強い増殖抑制を示した。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)非催奇性物質のスクリーニング方法
本発明の非催奇性物質のスクリーニング方法は、被験物質をCRBNもしくはその断片と接触させ、被験物質のCRBNもしくはその断片に対する結合性を評価し、CRBNもしくはその断片と結合しない被験物質、又はCRBNもしくはその断片との結合性がサリドマイドよりも低い被験物質を選択することを特徴とするものである。
CRBN等との結合性がサリドマイドよりも低い被験物質の選択は、例えば、被験物質の代わりにサリドマイドを用いた対照実験を行い、被験物質の結合性とサイリドマイドの結合性とを比較することにより行うことができる。
CRBNは、サリドマイドの催奇性の標的因子であると考えられる。従って、これと結合しない物質やサリドマイドよりも結合性の低い物質は、サリドマイドの有する催奇性を持たないか、又は催奇性が軽減されていると考えられる。
被験物質は特に限定されないが、ヒト又は他の動物に投与、摂食させる物質が好ましく、例えば、医薬、医薬品添加物、食品、食品添加物、又はこれらに含まれる化学物質などが挙げられる。
医薬の中では、サリドマイド誘導体が重要である。
サリドマイド誘導体としては、例えば次の一般式(1)で示される化合物があげられる。
一般式(1)
ただし、式(1)中、XがR−Rで、YがR−Rである場合を化合物(A)、XがRで、YがR−Rである場合を化合物(B)及びXがRで、YがRである場合を化合物(C)とし、
また、R1、R2、R3およびR4は−H;−OH;=O;直鎖および分枝アルカン、アルケン、アルキン;環式アルカン、アルケンおよびアルキン;環式ならびに非環式アルカン、アルケンおよびアルキンの組み合わせ;アルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、または環式、非環式と組み合わせたエーテル部分、あるいは環式/非環式部分の組み合わせ;アザ;アミノ;−MOnまたは−O−MOn[式中、M=Nそしてn=2;M=Sそしてn=2または3;あるいはM=Pそしてn=1−3である];そしてハロゲンから選択することができ;R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して式(2)
または−O−(式中、Zは任意であり、そして上記R1の定義と同じである)から選択され;そしてR10は上記R1の定義と同じであるか、または(Zがない場合には)R10は=Oであり;
9は式(3)、(4)、(5)、(6)または(7)
式中、各々のR11−R17は(独立して)上記R5の定義と同じであり、
式中、R18、R19およびR20は独立して
H,−CH3,−COOH,−CONH,−CH)n−COOH,−(CH)nCONH
から選択され、n=1−4を有する部分である。
サリドマイド誘導体の中で、5-Hydroxy-(2,6-diisopropylphenyl)-1H-isoindole-1,3-dione(5HPP-33)はヒト骨髄腫細胞の増殖抑制などの薬理作用を有しているがセレブロンとの結合性はかなり低いことが確かめられた。
サリドマイド誘導体は、サリドマイドや既知のサリドマイド誘導体の持つ薬理作用を持つものが好ましい。
サリドマイドの薬理作用としては、(i)bFGFにより誘導される血管新生の抑制、(ii)LPS刺激したヒト単球からのTNF-α産生の抑制、ヒト骨髄腫細胞等の腫瘍細胞とヒト骨髄ストローマ細胞との共培養により亢進するIL-6産生の抑制、(iii)多発性骨髄腫患者の末梢血中のナチュラルキラー細胞数の増加、T細胞受容体刺激後のIL-2及びINF-γ産生の亢進、およびIL-2依存的にT細胞の増殖の促進、(iv)ヒト骨髄腫細胞などの腫瘍細胞に対してアポトーシス誘導と細胞増殖の抑制などが確認されている。
そして、サリドマイドの疾病に対する予防、治療効果としては、鎮静作用、ハンセン病治療作用(具体的には、らい性結節性紅斑の治療作用)、移植病治療作用、多発性骨髄腫治療作用、固形がん治療作用、全身性エリテマトーデス治療作用、多発性硬化症治療作用、ベーチェット病治療作用、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)治療作用などを例示できる。既知のサリドマイド誘導体の薬理作用としては、レナリドマイド(Lenalidomide)の多発性骨髄腫治療作用、骨髄腫異形成症候群(MDS)治療作用、ポマリドマイド(Pomalidomide)の多発性骨髄腫治療作用、骨髄線維症の治療作用などを例示できる。
CRBNは既知のタンパク質であり、それをコードする遺伝子(CRBN遺伝子)の塩基配列もデータベース上に公開されている。例えば、ヒト由来のCRBN遺伝子の塩基配列、マウス由来のCRBN遺伝子の塩基配列、ラット由来のCRBN遺伝子の塩基配列、及びゼブラフィッシュ由来のCRBN遺伝子の塩基配列は、それぞれGene ID:51185、Gene ID:58799、Gene ID:297498、及びGene ID:445491でEntre Geneに登録されている。使用するCRBNやCRBN遺伝子は天然のものであってもよいが、天然のCRBNのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、活性を持つユビキチンリガーゼ複合体を形成できる変異型のCRBNやそれをコードする遺伝子を使用してもよい。
本発明者は、ヒト由来のCRBNにおけるサリドマイド結合領域を特定している。従って、CRBNの代わりにサリドマイド結合領域を含むCRBNの断片を使用しても、結合性の評価は可能である。サリドマイド結合領域としては、ヒト由来のCRBNのC末端側の104アミノ酸領域を例示できる。ヒト以外の生物由来のCRBNにおいては、このC末端側の104アミノ酸領域に相当する領域(即ち、アミノ酸の同一性に基づいて整列させた際に、ヒト由来のCRBNのC末端側の104アミノ酸領域と一致する領域)をサリドマイド結合領域とすることができる。
CRBNの断片としては、配列番号7に示すヒト由来CRBNのアミノ酸配列において、そのN末端から339〜442番のアミノ酸配列を有し、それ以外のアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失および/又は付加がなされたアミノ酸配列を有するもの、および当該ヒト由来CRBNの断片に相当する各種生物由来のCRBNの断片などが挙げられる。また、CRBNやその断片は、他のタンパク質を付加して融合タンパク質としてもよい。
本発明において使用するCRBN又はその断片は、上記の各種生物由来のCRBNや変異型のCRBN又はそれらの断片のいずれでもよいが、本発明は、ヒトに対して催奇性を持たないサリドマイド誘導体を得ることを目的としているので、ヒト由来のCRBN又はその断片を使用するのが好ましい。
CRBNやその断片は、担体に固定しておくことが好ましい。担体としては、CRBNやその断片を固定できるものであれば特に限定されないが、粒子状のものが好ましく、また、磁性を有するものが好ましい。好ましい担体の例としては、有機ポリマー皮膜を有する磁性ナノビーズを挙げることができる。有機ポリマー皮膜を有する磁性ナノビーズの粒径は特に限定されないが、1-500nmが好ましく、20-300nmがより好ましい。有機ポリマーとしては、GMA、GMAとスチレンの共重合体、(ポリ)メタクリル酸、(ポリ)アクリル酸などを挙げることができる。有機ポリマー皮膜を有する磁性ナノビーズの具体例としては、SGビーズ(kawaguchiらNucleic Acids Research 1989, 17:6229-6240)、FGビーズ(Nishioら、Colloids and Surfaces B:Biointerfaces 2008, 64:162-169)、Dynabeads, Adembeads,nanomagなどを挙げることができる。
CRBNに対するサリドマイド誘導体の結合性評価は、常法によって行うことができ、例えば、BIAcoreによる表面プラズモン共鳴、等温滴定カロリメトリー(ITC)などにより結合性を評価できる。
本発明のスクリーニング方法は、被験物質とCRBN又はその断片との結合性を評価できれば特に限定はされないが、例えば以下の方法のように実施することができる。
(A)FGビーズを用いたスクリーニング方法
まずサリドマイドを固定化したFGビーズを作製する。その固定化ビーズをCRBNが発現する細胞抽出液、もしくは組み換えタンパク質と混合し、1時間以上、回転機にて5rpm、4℃で混和状態を続ける。そしてバッファーで洗浄を行った後、例えば、被験物質としてサリドマイド誘導体を混合したバッファーをビーズに通すことにより、CRBNの溶出が生じるかどうかを確認する。検出方法としては、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、CBB染色、銀染色などが挙げられる。その際には、サリドマイドや、非結合が確認済みのフタルイミドが対照実験のサンプルとして用いられる。また、多摩川精機株式会社のFGビーズスクリーニング装置Target Anglerシリーズなどを用いることにより大量のサンプルの解析が可能である。
(B)BIAcoreを用いたスクリーニング
まずアミノ基もしくはカルボキシル基などの官能基をつけたCRBNをBIAcore基盤チップに固定させる。そしてその固定化チップを装着させたBIAcore3000などBIAcore計測装置(GE Healthcare)において、様々な誘導体を流入させ、その解離定数を計測する。サリドマイドやフタルイミドが対照実験として用いられる。
(C)等温滴定カロリメトリーを用いたスクリーニング
サリドマイド誘導体を含む溶液を試料セル中のCRBNを含む溶液へ数十回(たとえば18回)にわたって滴下する。各濃度の発生熱量をセル中における誘導体とCRBNのモル比に対してプロットすることにより相互作用の結合等温線が得られる。この結合等温線から解離定数を算出する。サリドマイドやフタルイミドが対照実験として用いられる。
(2)催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法
本発明の催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法は、被験物質をCRBN又はその断片を混合などで接触させ、被験物質がCRBN又はその断片と結合するか否かを評価し、CRBN又はその断片と結合する被験物質を選択する工程、及び前記工程で選択された被験物質の中から、i)催奇性、又はii)CRBNを含むユビキチンリガーゼ複合体の活性阻害作用を軽減する物質を選択する工程とを含むことを特徴とするものである。
上記方法で得られるサリドマイドなどの催奇性物質のアンタゴニストは、催奇性物質のCRBNへの結合を阻害する。従って、サリドマイドやその誘導体などの催奇性物質を服用する際に、このアンタゴニストを併用することにより、催奇性のリスクを軽減することができる。
前半の工程、即ち、被験物質をCRBN又はその断片と接触させ、被験物質がCRBN又はその断片と結合するか否かを評価し、CRBN又はその断片と結合する被験物質を選択する工程は、(1)のスクリーニング方法と同様に行うことができる。
前半の工程で選択された物質が、アゴニストではなく、アンタゴニストであれば、その物質は、サリドマイドなどの催奇性物質の持つ作用を軽減する働きを持つはずである。従って、催奇性又はCRBNを含むユビキチンリガーゼ複合体の活性阻害作用を軽減するか否かを評価することにより、催奇性物質のアンタゴニストを選択することができる。
サリドマイドの持つ作用としては、従来から知られている催奇性のほか、今回本発明者によって明らかにされたユビキチンリガーゼ複合体の活性阻害作用を挙げることができる。
サリドマイドの持つ作用を軽減するか否かは、被験物質の存在下と非存在下でのサリドマイドの作用を比較することにより確認できる。
本発明の催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法は特に限定はされないが、例えば、以下のように実施することが出来る。
まずCRBNとの結合の有無を確認する。結合の有無を確認する方法は、(1)のスクリーニング方法と同様である。ここで有意に結合することが示されたアンタゴニスト候補について以下の方法でスクリーニングする。
(A)In vitro系によるユビキチン化に対する影響
FH-CRBNを発現する293T細胞において、アンタゴニスト候補およびサリドマイドを加える。そしてその細胞抽出液におけるユビキチン化タンパク量をウェスタンブロッティングで決定する。その際に、アンタゴニストを加えることで、サリドマイド単独の場合よりユビキチン化タンパク量の減少が抑制されれば、それはアンタゴニストである。
(B)ゼブラフィッシュを用いたスクリーニング
ゼブラフィッシュ胚から卵殻を除去したものに対し、サリドマイドとアンタゴニスト候補を薬浴させる。耳胞およびヒレ形成に対して、サリドマイド単独と比べ異常が緩和されていれば、アンタゴニストといえる。
(3)変異型CRBN
本発明の変異型CRBNは、以下の(a)及び/又は(b)のアミノ酸置換を有することを特徴とするものである。
(a)ヒト由来のCRBNにおけるN末端から384番目のチロシン若しくはこれに相当するアミノ酸をアラニンに置換する。
(b)ヒト由来のCRBNにおけるN末端から386番目のトリプトファン若しくはこれに相当するアミノ酸をアラニンに置換する。
本発明において「ヒト由来のCRBNにおけるN末端から384番目のチロシンに相当するアミノ酸」とは、図12に示すように、アミノ酸の同一性に基づいて整列させた際に、ヒト由来のCRBNのN末端から384番目のチロシンと一致するアミノ酸を意味する。図12に示すように、マウス由来のCRBNではN末端から361番目のチロシン、ゼブラフィッシュ由来のCRBNではN末端から374番目のチロシン、キイロショウジョウバエ由来のCRBNではN末端から517番目のチロシン、シロイヌナズナ由来のCRBNでは504番目のチロシンが、これに該当する。同様に、本発明において「ヒト由来のCRBNにおけるN末端から386番目のトリプトファンに相当するアミノ酸」とは、アミノ酸の同一性に基づいて整列させた際に、ヒト由来のCRBNのN末端から386番目のトリプトファンと一致するアミノ酸を意味する。図12に示すように、マウス由来のCRBNではN末端から363番目のトリプトファン、ゼブラフィッシュ由来のCRBNではN末端から376番目のトリプトファン、キイロショウジョウバエ由来のCRBNではN末端から519番目のトリプトファン、シロイヌナズナ由来のCRBNでは506番目のトリプトファンが、これに該当する。
変異型CRBNをコードする核酸の動物への導入及び発現は、常法に従って行うことができる。例えば、変異型CRBNをコードするDNAを含む発現ベクターを構築し、それを動物の受精卵などに導入することなどによって行うことができる。核酸を導入する動物としては、ヒト以外の動物であれば特に限定されず、例えば、ゼブラフィッシュ、ニワトリ、マウス、ウサギなどを用いることができる。
本発明の変異型CRBNは、ユビキチンリガーゼ活性を保持するが、サリドマイドと結合しない。このため、この変異型CRBNをコードする核酸を導入し、発現させた動物は、サリドマイドによる催奇性に対して耐性を持つようになる。
変異型CRBNをコードする核酸を導入、発現させた動物は、例えば、催奇性以外の薬理作用解析などの用途に利用することができる。変異型CRBNを導入したウサギやニワトリは催奇性耐性になるために、サリドマイドやその誘導体を投与した際に薬理作用を示すとすれば、それはすべて催奇性と独立した作用である。よって、催奇性のメカニズムと独立したサリドマイド作用を解析する上で、この変異CRBNを導入した動物は極めて有用である。
〔実施例1〕サリドマイドのCRBN及びDDB1への結合性
サリドマイド結合因子を精製するために、本発明者は磁性微粒子であるFGビーズを用いたアフィニティ精製を行った(引用文献9)。カルボキシル基が付加されたサリドマイド誘導体であるFR259625をFGビーズに共有結合により固定化し(図6)、ヒトHeLa細胞の抽出液と混合し、インキュベートした。その後、洗浄を行い、結合因子を遊離サリドマイドを用いることで選択的溶出を行った。そして溶出画分をSDS-PAGEおよび銀染色で解析した結果、127kDaと55kDaの二つのタンパク質が特異的に溶出されることがわかった(図1A, Lane 3)。ビーズと混合する前にあらかじめ遊離サリドマイドを抽出液に加えておくと、アフィニティ精製により得られるこれらタンパク質の収量が著しく減少した(図1A, Lane 4)。つまり、これらのタンパク質はサリドマイドに特異的に結合することが示されたのである。これら127kDaおよび55kDaのタンパク質は質量分析計により解析され、それぞれDDB1及びCRBNであることを突き止めた(表1)。これらタンパク質はウェスタンブロッティング(immunoblotting)によっても確認され(図1A)、さらに様々な細胞の抽出液からも精製されることが分かった(図7)。サリドマイドとの相互作用が直接的かどうかを調べるために、本発明者はこれらの組み換えタンパク質を精製した。サリドマイド固定化ビーズにCRBN-FLAGのみが結合し、DDB1-V5-Hisは結合しなかった(図1B)。よって、DDB1はCRBNを介してサリドマイドに間接的に結合しているのでないかと考えた。結果としてサリドマイドはCRBNに直接結合しており(図1C)、DDB1はCRBNとの相互作用を介してサリドマイドと結合しているという結論が得られた。
〔実施例2〕CRBN、DDB1、及びCul4AによるE3複合体の形成
ヒトのCRBN遺伝子は元々は常染色体性劣性軽度精神遅滞の原因候補因子として報告されており(引用文献11)、442個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。このタンパク質は進化的に良く保存されており、植物からヒトまで存在する。近年のプロテオミクス解析によりCRBNはDDB1と結合することは報告されていたが(引用文献12)、機能的な関わり合いは明らかにされておらず、CRBNの生物的機能はほとんどわかっていない。
まず本発明者はCRBN機能へのサリドマイドの効果を調べるために、生化学的な解析を行った。最初にFH-CRBNを安定的に発現させた293T細胞株を作製し、その細胞抽出液からFLAG抗体にて免疫アフィニティ精製を行うことによりCRBN結合タンパク質を明らかにすることにした。精製物に対し銀染色を行ったところCRBNはDDB1とほぼ1:1のモル比で結合していることが明らかになった(図8)。免疫染色(図2A)によるとCRBNとDDB1は主に核において存在していた。この結果は、核においてこれらが重要な機能を担っていることを示唆するものである。DDB1はCul4(Cul4AもしくはCul4B)、Regulator of Cullin 1(Roc1)そして基質レセプターとともにE3ユビキチンリガーゼを形成することが報告されている(引用文献13、14)。基本的に、E3ユビキチンリガーゼの機能とは、ユビキチン結合酵素(E2)と特異的に相互作用することにより基質にポリユビキチン鎖を付加するというものである(引用文献15,16)。Cul4は足場タンパク質として働き、Roc1はRING finger domainを持っており、E2と相互作用することが可能である。基質レセプターとしては、DDB2, CSA, SV5-V, CDT2そしてAhRが知られており、基質に直接結合してユビキチン化を仲介する(引用文献13, 7-20)。
本発明者はCRBNがE3複合体の他の構成因子と相互作用するか検証し、DDB1、Cul4A及びRoc1がFH-CRBNと複合体を形成することを明らかにした(図2B)。もしCRBNが新規の基質レセプターであるならば、DDB1への結合に対して、CRBNはDDB2といった他の基質レセプターと競い合うことが期待される。実際、DDB2の発現量を増やしていくにつれて、CRBNと共沈するDDB1の量は減少した(図2C)。つまりCRBNはDDB1-Cul4-Roc1 E3ユビキチンリガーゼの基質結合サブユニットであるかもしれないという結果が得られたのである。
そして、本発明者は実際にCRBN複合体にE3ユビキチンリガーゼ活性があるかどうかを検証することにした。基質レセプターおよびCul4はin vitroで自己ユビキチン化されることが知られている。GSTタグ付きユビキチン、Unal(E1)、Ubal2(E2)そしてCRBN複合体を用いることによりin vitroでユビキチン化アッセイを行った結果、確かにCRBN複合体によるユビキチン化活性は検出された(図9)。次に本発明者はCRBNが生細胞内でもユビキチン化されているかどうかを検証するため、FH-CRBNを発現させた293T細胞にプロテアソーム阻害剤であるMG132を処置した。CRBNの自己ユビキチン化はMG132存在下で検出され、またそのユビキチン化はCul4AをsiRNAにより発現抑制することにより減少することが分かった(図2D)。対照的にDDB1のsiRNAではCRBNの発現量が減少したことから(図10)、DDB1発現抑制によるCRBNの自己ユビキチン化への影響を解析することができなかった。しかしながら、それはDDB1がCRBNに機能的に関わっていることを示唆するものである。
次に、CRBNの機能発現におけるDDB1の役割を明らかにするために、本発明者はDDB1との結合能を欠くCRBN変異体を作製した。欠損変異体を用いた解析によりCRBNにおける187-260番目のアミノ酸領域を欠損させた変異体はDDB1と結合しないことが判明した(図11、ΔMid)。ΔMidを発現する293T細胞において、MG132の処理による自己ユビキチン化は野生型CRBNを発現させた場合と比べ著しく低下していた。以上の結果より、CRBNは機能的にE3ユビキチンリガーゼのサブユニットであり、Cul4A、DDB1依存的な自己ユビキチン化を受けることが示唆された。
〔実施例3〕サリドマイドによるCRBN機能の阻害
CRBN-サリドマイド間の結合とその機能的重要性の基盤を明らかにするために、本発明者はサリドマイド非結合性でありながらE3複合体形成能を有するCRBN点変異体を得たいと考えた。まずN末端側欠損変異体とC末端側欠損変異体を作製し、サリドマイド結合領域を調べた結果、C末の104アミノ酸領域であることが判明した(図3A及びB)。シロイヌナズナからヒトに至るまでの多数のCRBNホモログの相同性解析からC末端側が極めて保存されていることが分かった(図12)。進化的によく保存されたアミノ酸がサリドマイドとの結合に重要なのではないかと考え、いくつかの点変異体を作製した。そして二つのアミノ酸、Y384あるいはW386をアラニンに置換した変異体はサリドマイド結合能が低下することが分かった(図3C)。さらに、Y384A/W386A (CRBN YW/AAと呼ぶ二残基同時に置換した変異体)は極めてサリドマイドとの結合能が低いことが分かった(図3C)。本発明者はこのCRBN YW/AAが活性を保持しているのか調べた。細胞内局在は野生型とこの変異体で差異は見られなかった。本発明者はこのCRBN YW/AAにおいてもDDB1、Cul4A、Roc1が免疫沈降により精製され、MG132存在下において自己ユビキチン化されることを見出した(図3E及びF)。つまりCRBN YW/AAは野生型CRBNと同様にE3複合体を形成し、機能も保持していることが分かった。
かくして本発明者は、CRBNを含むE3複合体においてユビキチン化をサリドマイドが阻害するかどうかを検証した。293T細胞にFH-CRBNあるいはFH-CRBN
YW/AAを安定的に発現させ、MG132および薬理学的に妥当な量のサリドマイド(10,30,100μM)で処置した。野生型CRBNの自己ユビキチン化はサリドマイドにより強力に阻害されたが、CRBN YW/AAの自己ユビキチン化はサリドマイドにより阻害されなかった(図3G)。よって、サリドマイドはCRBNと結合することによりそのE3機能を阻害することが示唆された。
〔実施例4〕生体内におけるサリドマイドの標的としてのCRBN
次に本発明者は動物モデルを用いてサリドマイド催奇性におけるCRBNの役割を検証することにした。サリドマイドはマウスにおいては催奇性を呈しないが、ウサギやニワトリにおいては発揮する(引用文献1-3)。本研究においては、本発明者はゼブラフィッシュ(Danio rerio)を以下に示す理由でモデルとして採用した。(i)発生が早くまた体が透明なことから観察が容易(ii)遺伝子抑制が比較的容易(引用文献21)(iii)ゼブラフィッシュは薬理毒性科学において適している(引用文献22)。従来、サリドマイドがゼブラフィッシュにおいても催奇性を示すかどうかは知られていなかったが、近年になりサリドマイドはゼブラフィッシュにおいて血管新生阻害を引き起こすことが分かったので(引用文献23)、本発明者はゼブラフィッシュにおいてもサリドマイドが催奇性を示すと考えた。
ゼブラフィッシュ発生におけるサリドマイドの影響を明らかにするために、卵殻を除いた胚を様々な濃度のサリドマイドを含んだ培地に移した。サリドマイドは2 hpf (hours post fertilizaition, 受精後時間)に加え、3日間、発生プロセスを観察した。サリドマイドに薬浴した胚においては胸鰭および耳胞の発生が阻害されていることが分かった(図4A及びB)。しかし他の部位においては特に異常を検出することはできなかった。より特異的には75hpfにおけるEndoskeletal discの胸鰭形成が阻害されており(図4A)、30hpfにおける耳胞のサイズが減少していた(図4B)。胸鰭発生の遅延についてはサリドマイドに薬浴させた48hpfの胚においても検出することができた(図5C及びD)。近年の研究によると、硬骨魚(teleost、ゼブラフィッシュを含む)における胸鰭と耳胞の発生は、四足動物(tetrapod)における四肢と耳の発生と同様の分子メカニズムを共有することが報告されている(引用文献24-26)。このようにして、サリドマイドにより誘導されたゼブラフィッシュにおける発生異常は、妊娠初期の女性がサリドマイドを服用したことにより生じる発生異常と極めて類似しており、サリドマイド催奇性は脊椎動物において種間を超えて保存されていることが示唆された。
ゼブラフィッシュにおいてもCRBNのオルソログ(相当するもの)があり、zcrbnと呼ぶ。この遺伝子産物はヒトにおけるCRBNと70%程度の保存性がある。本発明者はまず、zcrbn mRNAの発現パターンを解析し、48hpfにおいてzcrbnが脳、頭部血管、耳、そして胸鰭において発現していることを明らかにした(図13)。zCrbnはサリドマイドにもヒトのDDB1にも結合した(図14)。つまりゼブラフィッシュにおいてもヒト細胞系における解析結果は有効であると考えられる。次に、ゼブラフィッシュ初期発生におけるzCrbnの影響を解析した。サリドマイドと同様に、zcrbnアンチセンスモルフォリノオリゴ(AMO)を注入した胚においてはヒレ及び耳の発生に異常が見られ(図4C-F)、サリドマイドで処置した場合と表現系が類似した。たとえば27hpfにおいてはzcrbn AMOを注入した胚においては野生型と比べ耳胞のサイズは40%も低下していた(図4F)。そしてこの結果はzcrbnのmRNAをAMOと共に導入することにより打ち消された(図4C-F)。
これらの結果より、サリドマイドによる催奇作用はzCrbnの機能を阻害することによって引き起こされたのではないかという可能性が極めて濃厚になった。では、もしそうであればサリドマイドと結合しないが機能は保持されたzCrbnを発現させることによって、その催奇性は緩和されるはずである。このアイディアを検証するために、本発明者はY374およびW376をアラニンに置換した変異体(ヒトにおけるYW/AAつまりY384A/W386Aに相当する)を作製した。zCrbn YW/AAはサリドマイドに対する結合能が極めて低い。サリドマイド非存在下、野生型zCrbnおよびzCrbn YW/AAを過剰発現させた個体においてヒレ及び耳胞の発生に無処置の個体と差異が見られなかった。図4Bで示したように、400μMのサリドマイド処置により、耳胞のサイズは有意に減少した(コントロールと比べ64.5%。図5A及びB)。野生型zCrbnを過剰発現させた胚においてもサリドマイドにより、耳胞のサイズがコントロールと比べ66%程度に減少した。しかしながら、重要なことにzCrbn YW/AAを過剰発現させた胚においてはサリドマイドの処置は耳胞のサイズに影響を及ぼさなかった(p=0.347)。サリドマイドによるヒレの縮退も、zCrbn YW/AAの過剰発現により打ち消された。これらの結果は、サリドマイドがCRBNと結合し、その機能を阻害することにより催奇性を引き起こしたことを示すものである。
〔実施例5〕サリドマイド催奇性の分子メカニズム
サリドマイドとCRBNの関連性については判明したので、本発明者はCRBNを含むユビキチンリガーゼ複合体が催奇性に関わるのかどうかを、zCul4Aを発現抑制することで、検証した。zcul4a mRNAは脳やヒレで強く発現している(図13)。予想通り、zcul4a AMOにより耳胞及びヒレの異常が生じた(図4G-I)。27hpfにおいてzCul4aを発現抑制した胚では耳胞サイズが著しく減少しており(コントロールサイズの40%)、zcul4aのmRNA導入により部分的にも救済(rescue)された。救済が部分的だったのは、zcul4a AMOの効き目が強すぎたためかもしれない。これらのことより、少なくとも、ユビキチンリガーゼ複合体が耳とヒレの発生に必要であリ、サリドマイドの標的であることが示唆された。
以上の結果から、CRBNを含むE3複合体により一定のタンパク質がユビキチン化されることは耳やヒレの発生において重要であることがわかり、またサリドマイドによる発生異常はCRBNを含むE3複合体の機能不全が関係していることが示唆された。CRBNおよびサリドマイドの下流シグナル伝達の手がかりを得るために、ヒレの発生のカギとなる良く知られた分子を解析することにした。ソニックヘッジホッグ(Sonic hedgehog、Shh)は極活性領域(ZPA, zone of polarizing activity)に発現する因子であり、四肢・ヒレの前後軸を規定する(引用文献27)。またFgf8は四肢・ヒレにおけるAER(apical ectodermal ridge)に発現する因子であり、遠近軸にそった四肢・ヒレの伸長に必須である。サリドマイドを投与した48hpfの胚においてはfgf8aの発現が低下もしくは消失したが(図5C)、shhの発現に変化は見られなかった(図5D)。加えてサリドマイドによるfgf8a発現の低下は、zCrbn YW/AAの導入により救済(rescued)された。zCrbnおよびzCul4Aに対するAMOを導入した胚においてもfgf8a発現が低下したが、shh発現は差異が見られなかった。よって、FGF8産生を阻害する因子がサリドマイドやCRBNを含むE3複合体の下流の標的かもしれない。
〔実施例6〕CRBN及びDDB1に対するフタルイミドの結合性
既知の非催奇性サリドマイド誘導体であるフタルイミドのCRBN及びDDB1に対する結合性を以下のようにして調べた。
293T細胞抽出液をサリドマイド固定化ビーズと混合した後、洗浄を行った。サリドマイド又はフタルイミドを用いてサリドマイドに結合した因子を溶出させた。溶出画分中のCRBNおよびDDB1をウェスタンブロッティングで解析した。サリドマイドの溶出画分からはCRBN及びDDB1が検出されたが、フタルイミド(Phthal)の溶出画分からはこれらのタンパク質は検出されなかった(図16)。
〔実施例7〕 サリドマイド誘導体とCRBNの結合の検討
293T細胞抽出液をサリドマイド固定化ビーズと混合し、2時間反応させた。その後、0.5%NP-40 lysis buffer
(Tris-HCl pH8, 150 mM NaCl, 0.5%NP-40)で3回洗浄し、0.1-1 mMのサリドマイド、フタルイミド、グルタルイミド、もしくは5HPP-33(各化合物の構造式を図17に示す。)を含む0.5% NP-40 lysis bufferで1時間混合することでCRBNの溶出を行った。得られた溶出画分は、SDS-PAGEの後、CRBN抗体に対するウェスタンブロッティングを行い、解析した。この結果を図18に示す。
図に示すように、フタルイミド又は5HPP-33を含むbufferを用いた場合には、CRBNはほとんど溶出されなかった。このことから、フタルイミド及び5HPP-33はCRBNに対する結合性が低いと考えられる。
〔実施例8〕 多発性骨髄腫細胞に対する増殖抑制試験
サリドマイド及び5HPP-33の多発性骨髄腫細胞Kms12に対する増殖抑制作用を調べた。
多発性骨髄腫細胞Kms12の培養にはRPMI Medium 1640 (10% FBS) を用いた。各薬剤処理を行う場合にはKms12を1 mlあたり2 x 105細胞に調整し、2 ml eppendorf tubeに2 mlずつ分注した。添加する薬剤(サリドマイドもしくは5HPP-33)はジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として最終濃度の1000倍濃度のストック溶液を作製し、2 mlの細胞懸濁液に対し2μlのストック溶液を加え、穏やかかつ十分に転倒混和させた。処理後、96 well plateに1well あたり100 μl分注したものを37℃, 5%CO2のインキュベーターで48時間培養した。処理後48時間での細胞数の測定には生細胞数測定試薬SF(nacalai tesque)を1 wellあたり10 μl加え37℃, 5%CO2のインキュベーターで2時間培養した。細胞数に比例する450 nm吸光度の測定にはGloMax-Multi+ Detection System(promega)を用いた。検量線の作製には1 mlあたり1 x 106, 3 x105,1 x 105細胞のKms12を用いた。溶媒処置時の細胞数を100とし、薬物添加時の細胞数を相対値で表した。48時間培養後の細胞数の相対値を図19に示す。
図に示すように、5HPP-33は、多発性骨髄腫細胞Kms12に対して強い増殖抑制作用を示した。実施例7に示すように、5HPP-33のCRBNに対する結合性は低い。従って、5HPP-33の増殖抑制作用は、CRBNとの結合と無関係なものであると考えられる。
〔考察〕
CRBNの機能がDDB1-Cul4A-Roc1 E3ユビキチンリガーゼ複合体における基質レセプターであることは支持される。CRBNと良く知られた基質レセプターであるDDB2はDDB1と競合的に結合する。第二に、CRBNは他の基質レセプターと同様に自己ユビキチン化される。DDB2を含む多くの基質レセプターがWDXR構造(motif)を有する(引用文献11,19)。一方で、少数のいくつかの基質レセプターにはそれが欠けている(引用文献13,18)。CRBNには明確なWDXRモチーフが見当たらないことから、どうも後者のタイプのようである。上記の考えを支持する結果として、CRBNおよびCul4Aのゼブラフィッシュによる発現抑制が似たような結果をもたらしたことが挙げられる。ただし、CRBNの発現抑制に比し、Cul4Aの発現抑制は形質に及ぼす影響がより深刻であった。この観察結果はそれほど驚くにはあたらない。なぜならば、CRBNを有するDDB1-Cul4Aユビキチンリガーゼはほんの少量にしか存在せず、CRBNはDDB1-Cul4Aのほんの少数の複合体にしか影響を与えられない一方で、Cul4Aの抑制はすべての複合体に影響を与えることになるからである。
サリドマイドの作用メカニズムは多面的かつ多角的であって完全にはわかっていない。サリドマイドの免疫調節作用や血管新生阻害作用が、らい性結節性紅斑、多発性骨髄腫に対する治療効果あるいは催奇性に関与していると考えられている(引用文献2、3)。また、サリドマイドが、TNF-alphaやVEGFなどの複数のサイトカインの産生を抑制すること(引用文献30、31)、及びアポトーシス誘導、活性酸素種(ROS)産生などの作用があること(引用文献3、4、32)が報告されている。これらデータが蓄積しているにもかかわらず、サリドマイドの直接の標的は不明であった。ここで本発明者はCRBNがサリドマイドの催奇性の主要な標的因子であるといういくつかの証拠を得た。第一に、サリドマイドは直接的にCRBNに結合し、CRBNの自己ユビキチン化を阻害する。これは形成しているユビキチンリガーゼの阻害が原因であり、他のユビキチンリガーゼにおいても類似した現象が見られる(引用文献33)。第二に、サリドマイドによるゼブラフィッシュの発生異常は、CRBNを発現抑制した場合と類似しており、サリドマイド非結合のCRBN変異体を過剰発現させることにより緩和されるということである。第三として、四肢・ヒレの伸長に必須なFGF8がサリドマイドおよびCRBN複合体の下流にある標的であるということである(図4D、4G、5C)。これらの結果は過去の報告とも矛盾なく一致しており、サリドマイドによるfgf8の発現抑制はウサギを用いた実験ですでに示されている(引用文献34)。また、発生中のニワトリの肢芽において、サリドマイドはBMP (bone morphogenetic protein) の発現を上昇させ、アポトーシスを引き起こすことが報告されている(引用文献32)。マウスBMPはAERにおいてFGF8の発現を抑制し、アポトーシスを引き起こすことが報告されている(引用文献35)。つまりCRBNは、これまでに不明であったサリドマイドとこれらの発生制御因子の間の隔たりを埋めることのできる因子である。
上記実施例の結果はサリドマイドが引き起こす催奇性はCRBNの結合およびそれに伴うユビキチンリガーゼ活性の阻害により引き起こされることを示唆している(図15)。本発明者はサリドマイドおよびCRBNにより引き起こされるユビキチン依存性のタンパク質分解の制御が、BMPやFGF8経路や正常な発生メカニズムの異常をもたらしたと推測される。他の発生因子も影響を受けているかもしれない。しかしながら、まだ沢山の問いが残されている。たとえば、CRBNを含むE3複合体の標的基質は何か、どのようにしてサリドマイドはCRBNのユビキチン化を阻害するのかなどの問題に取り組むことが必要であろう。
〔実験手法と材料〕
(1)薬剤
サリドマイド(Tocris Cookson)の最終濃度が400mMになるようにジメチルスルホキシド(DMSO)を加え、65℃に加熱して溶解し、直ちに使用した。MG132は最終濃度10mMになるようにDMSOを加えて溶かした。実験においては陰性対照(コントロール)として同等量のDMSOを用いた。
(2)サリドマイド固定化ビーズの作製
サリドマイド固定化ビーズの作製に関する図を図6に示した。磁性FGビーズ(5mg,引用文献10)に対して10mMの1-hydroxybenzotriazole, 10mM 1-ethyl-3-(3-dimethyl-aminopropyl)-carbodiimide HCl,そして2mMのFR259625(carboxyl thalidomide derivative)を、溶媒であるN,N-dimethylformamide (DMF)中で4時間室温で反応させることにより、サリドマイドを固定化した。またFGビーズにおける未反応のアミノ基は20%の無水酢酸が含まれたDMF中反応させることにより保護した。完成したビーズは4℃で保存した。
(3)サリドマイド固定化ビーズを用いたアフィニティ精製
サリドマイド固定化ビーズ(0.5mg)は0.5%NP-40
lysis buffer (50mM Tris HCl pH8, 150mM NaCl, 0.5% NP-40)により平衡化を行った。細胞抽出液はHeLa, Jutkat, THP-1, U266, HUVEC, LP101, SH-SY5Y, 293T由来と多岐にわたるが、それらの抽出法は文献の通りである(引用文献36)。これらの抽出液にビーズを混合し、2時間反応させた。0.5% NP-40 lysis bufferでビーズを3回洗浄した後、1mMサリドマイドによって溶出した。いくつかの実験では、0.3mMのサリドマイドをビーズとの混合前に抽出液に加えた。フタルイミドが結合するか否かについては、遊離サリドマイド1mMで溶出する過程で、代わりに1mMのフタルイミドで溶出した。
(4)プラスミド
CRBNやDDB2 cDNAはRT-PCRによりHeLa total RNAから得た。CRBNの変異体は標準的なPCR法により作製した。DDB1 cDNAについてはMatsunaga博士から提供を受けた。zCrbnそしてzCul4a cDNAは24hpfにおけるゼブラフィッシュ胚のtotal RNAよりRT-PCRで得た。本研究では以下のベクターを用いた。pcDNA3.1-FH-N, pcDNA6/V5-His (Invitrogen), pFastBac1 (Invitrogen),pLenti6 (Invitrogen), pFASTBAC1 (Invitrogen), pLenti6 (Invitrogen), pCS2 (+), そしてpGEX6P-1 (GE Healthcare)。pcDNA3.1-FH-NはpcDNA3.1の派生物であり、pcDNA3.1にFLAG-HA配列を導入したものである。
(5)抗体
CRBN抗体はヒトCRBN(65-76)を抗原としてウサギから作製したものである。FLAG (M2, Sigma), HA (3F10, Roche), V5 (V5-10, Sigma), GST (Sigma),
DDB1 (Abcam)そしてRoc1 (Zymed)は購入した。Cul4AおよびDDB2は譲渡されたものであり、それぞれRaychaudhuri博士、Matsunaga博士のご厚意による。
(6)サリドマイド固定化ビーズを用いた試験管内結合試験
組み換えCRBN-FLAGおよびDDB1-V5-Hisタンパク質は昆虫Sf9細胞においてBac-to-bac (Invitrogen)バキュロウイルスシステムによって発現させ、それぞれ抗FLAG M2アガロースビーズ(Sigma)、Ni-NTAアガロースビーズ (Qiagen)により精製した。精製したCRBN-FLAG and/or DDB1-V5-Hisにサリドマイド固定化ビーズを混合し、結合タンパク質をSDS sample bufferで溶出した。CRBN欠損変異体解析においては、GST融合CRBNおよびその変異体を大腸菌であるBL21で発現させ、グルタチオンセファロースビーズ(GE helthcare)で精製した。CRBN変異体はLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて293T細胞に導入し過剰発現させた。そのあとの結合試験は上述と同じである。
(7)免疫共沈降
CRBNとDDB1の間の相互作用を解析するために、CRBN-FLAGおよびDDB1-V5-HisをSf9細胞内に共発現させた。細胞抽出液に抗FLAGアガロースビーズを混合し、結合因子をFLAGペプチドで選択的に溶出した。CRBN複合体を精製するためCRBNおよびその変異体を発現する293T細胞を作製し、上述の方法でFLAG免疫精製を行った。
(8)免疫染色
HAタグやV5タグ融合を用いたCRBNやDDB1を過剰発現するHeLa細胞を固定した後、抗HA抗体やV5抗体と混合させ、Alexa Fluor 594もしくは488 (Invitrogen)標識二次抗体と反応させた。
(9)試験管内ユビキチン化試験
ユビキチン化試験は引用文献37を参考にして行った。FH-CRBN複合体(200ng)、Uba 1(500ng, Biomol)、UbcH5b(500ng, Biomol)、GST-Ubiquitin(4000ng,Calbiochem), 4mM ATPを30℃で2時間、15μlスケールで反応させた。反応は、SDSを加え、98℃で5分間加熱して停止させた。
(10)生細胞における自己ユビキチン化
この試験は引用文献38を参考にして行った。FH-CRBNもしくはその変異体を安定的に発現させた293T細胞に10μMのMG132もしくはDMSO単独(vehicle)を加え、3時間反応させた。細胞は25μMのMG132および10mMのN-ethylmaleimideを含むRIPAバッファーで溶解した。FH-CRBNを上述の方法で免疫沈降し、解析した。各濃度のサリドマイドは、MG132を処理する1時間前に加えた。
(11)RNAi
以下に示すようなStealth RNAi oligonucleotide(Invitrogen)を使用した。
DDB1 #1: 5’-CAUACCUUGAUAAUGGUGUUGUGUU-3’(配列番号1)
DDB1 #2: 5’-CAGUAAUGAACAAGGCUCCUAUGUA-3’(配列番号2)
Cul4A #1: 5’-GCAAAGCAUGUGGAUUCAAAGUUAA-3’(配列番号3)
Cul4A #2: 5’-GAAUCUCUGAUAGACAGAGACUAUA-3’(配列番号4)
センス鎖のみ示した。コントロールとしてはStealth RNAi negative control of low GC content(Invitrogen)を用いた。Lipofectamine RNAiMAXを用いて293T細胞に40nMのオリゴヌクレオチドを導入し72時間後に細胞を回収した。
(12)ゼブラフィッシュ
魚は28.5℃において14時間可視光明期、10時間暗期のサイクルで飼育した。
胚は自然交配で得ている(引用文献35)。アルシアンブルー染色やマイクロインジェクション、in situハイブリダイゼーションは以下の項に示している。ゼブラフィッシュにおけるCRBNおよびCul4A(zcrbn and zcul4a)はゼブラフィッシュ命名法委員会のガイドに従った。
(13)ゼブラフィッシュのサリドマイド処理
サリドマイドはDMSOに溶かした。そしてあらかじめ65℃に加熱しておいたE3培地に400μMになるように加えた。ゼブラフィッシュ胚は脱卵殻し、以下に示すようにサリドマイドに薬浴させた。2hpfにおいて胚を2mg/mlのプロテアーゼタイプ14(Sigma)に3分間反応させ、5回培地で洗浄した。その過程で脱卵殻されるが、直ちにサリドマイド含有培地に交換し、3日間観察した。サリドマイド含有培地は12時間毎に交換した。
(14)アルシアンブルー染色
コンドロサイトの外部マトリックスは、アルシアンブルーで染色される(引用文献40)。ゼブラフィッシュ胚は3.7%の中性ホルムアルデヒドにより一晩固定した。翌日、100%エタノールで洗浄後、PBSで再水和させた。次いで、0.05%トリプシンを含む飽和四ホウ酸ナトリウム溶液にて1-3時間反応させた。3%の過酸化水素と1%のKOH溶液により魚の斑点を除去し、70%グリセロール含有PBS溶液にて保存した。
(15)アンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチドおよびmRNAのマイクロインジェクション
1細胞期におけるマイクロインジェクションについては引用文献39に従って行った。我々は窒素ガス圧力マイクロインジェクター(IM 300, Narishige)を注入に使用した。CapのついたmRNAはin vitroにおいてmMESSAGE
mMACHINE in vitro transcription kit(Ambion)で作製した。
RNAは使用直前にヌクレアーゼ除去水で600ng/μlの濃度になるように調製した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(Gene Tools)は以下のとおりである。
zCrbn AMO: 5’-AGAGCTGTAGCTGGTTCCCCATTTC-3’(配列番号5)
zCul4A AMO: 5’-CTGGTGCTGAACATCTTCTGCCATC-3’(配列番号6)
これらのオリゴはヌクレアーゼ除去水で700μMの濃度に調製して使用した。
(16)ホールマウントin situハイブリダイゼーション
この実験は引用文献41に従って行った。zcrbn mRNAのアンチセンスプローブは5’-コード領域の513bpを用いた。zcul4aについては3’UTR(3’非コード領域)の590bpを用いた。shhおよびfgf8に対応するプローブはそれぞれKrauss博士およびThisse博士のご厚意による。プローブの浸透性を増すために、胚は0.1% Tween-20および10mg/mlのproteinase Kを含んだPBSにおいて2分間常温で反応させた。
(17)耳胞サイズ計測
48hpfにおけるゼブラフィッシュ胚に1%メチルセルロースおよび0.003%の3-amino benzoic acid ethyl ester(Sigma)を用いて麻酔を施し、スライドグラスに乗せた。そして10個の個体を各サンプルからランダムに選び、耳胞を撮影した。サイズはNIH image Jソフトウェアを用いて計測し、コントロールの耳胞のサイズと比較した。平均値および標準偏差を計算し、p値はMann-Whitney, U検定を用いて算出した。
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本発明は、被験物質がサリドマイド様の催奇性を有するかどうかの判定に利用することができ、サリドマイドの代替薬やサリドマイドの催奇性を抑制する医薬などの開発に利用することができる。

Claims (11)

  1. 被験物質をセレブロンもしくはセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片と接触させ、被験物質のセレブロンもしくは前記断片に対する結合性を評価し、セレブロンもしくは前記断片と結合しない被験物質、又はセレブロンもしくは前記断片との結合性がサリドマイドよりも低い被験物質を選択することを特徴とする非催奇性物質のスクリーニング方法。
  2. 被験物質が、医薬であることを特徴とする請求項1に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
  3. セレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片が、ヒト、マウス、ゼブラフィッシュ、キイロショウジョウバエ、又はシロイヌナズナ由来のセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
  4. セレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片が、配列番号7に示すアミノ酸配列において、そのN末端から339〜442番目のアミノ酸配列を有し、それ以外のアミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸残基の置換、欠失および/又は付加がなされたアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
  5. セレブロン又はセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片が、担体に固定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非催奇性物質のスクリーニング方法。
  6. 被験物質をセレブロン又はセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片と接触させ、被験物質とセレブロン又は前記断片の結合性を調べ、セレブロン又は前記断片と結合する被験物質を選択する工程、及び前記工程で選択された被験物質の中から、i)催奇性、又はii)セレブロンを含むユビキチンリガーゼ複合体の活性阻害作用を軽減する物質を選択する工程とを含むことを特徴とする催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法。
  7. セレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片が、ヒト、マウス、ゼブラフィッシュ、キイロショウジョウバエ、又はシロイヌナズナ由来のセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片であることを特徴とする請求項6に記載の催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法。
  8. セレブロン又はセレブロンにおけるサリドマイド結合領域を含む断片が、担体に固定されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の催奇性物質のアンタゴニストのスクリーニング方法。
  9. 以下の(a)及び(b)のアミノ酸置換を有することを特徴とする変異型セレブロン;
    (a)ヒト由来のセレブロンにおけるN末端から384番目のチロシン若しくはこれに相当するアミノ酸がアラニンに置換されたもの
    (b)ヒト由来のセレブロンにおけるN末端から386番目のトリプトファン若しくはこれに相当するアミノ酸がアラニンに置換されたもの。
  10. アミノ酸置換を有するヒト、マウス、ゼブラフィッシュ、キイロショウジョウバエ、又はシロイヌナズナ由来のセレブロンをコードする核酸であって、請求項9に記載の変異型セレブロンをコードすることを特徴とする核酸。
  11. 請求項10に記載の核酸を遺伝子として導入し、発現させたことを特徴とするサリドマイド催奇性耐性非ヒト動物。
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