JP5659382B2 - 金型異常の検知システム - Google Patents
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Description
また、アルミニウム合金やマグネシウム合金のダイカスト鋳造においては、金型キャビティ内に高速、高圧にて溶湯を射出し、急冷凝固させることで鋳造品を繰り返し成型する。
従って、これらの成型方法にあってはショット初めは型温が低く、ショット数の増加に伴い、型温が上昇することになるので、何らかの温度制御が必要になる。
また、キャビティ内に溶融樹脂や金属の溶湯が射出される際に、キャビティの部位により冷却速度が大きく異なると、製品表面にヒケ、湯じわ、湯境、肌荒れ等の不具合が発生しやすく、製品品質に問題が生じる。
そこで近年は、キャビティ内を均一に温度制御すべく成型品の形状に合せて熱媒体流路を形成することが検討されている。
金型温度を均一に制御することで製品の品質向上のみならず、成型サイクルタイムの短縮及び金型寿命の長寿命化も期待できる。
例えば図4に示すように金型10の熱媒体流路20から亀裂13が発生し、仮に図4(c)に示すように金型10の外側まで亀裂が進行してしまうと、熱媒体W0がW1のように漏れ出すことになる。
一方、亀裂がキャビティ内まで進行してしまうと、キャビティ内に熱媒体が漏れるだけでなく、例えばダイカスト鋳造において冷却水として用いた水がアルミニウム合金、マグネシウム合金等の高温である溶湯に接触すると水蒸気爆発を起こす危険性もある。
特に自由形状の流路を形成すべく、図4に示すように金型10を複数の構成部材(11,12)に分割し、分割面に流路溝を形成し、その後でこの構成部材を接合することで接合面に熱媒体の流路を設けた場合にあっては、熱応力等によってこの接合部に沿って亀裂が進行する場合があることから、亀裂がキャビティあるいは外部と連通する前にその亀裂発生を検知する必要性が高くなる。
このようにすると、熱媒体流路から亀裂が生じ、検知流路まで亀裂が進行すると検知流体の圧力と熱媒体流路の圧力とに差があることから検知流体の圧力が熱媒体流路の圧力よりも高い場合には、この亀裂を通じて熱媒体流路に流れ込むので検知流体の圧力又は流量が変化することになり、この変化を検知することで亀裂がキャビティや外部まで進行する前に金型の異常を発見することができ、また、熱媒体を熱媒体流路に押し戻す効果もある。
一方、検知流体の圧力が熱媒体の循環圧力よりも低い場合には、熱媒体がこの亀裂を通じて検知流路に流れ込むので検知流体の圧力又は流量が変化するので前記と同様に金型の異常を発見することができる。
なお、検知流体は圧力変化が大きいエアー等の気体が好ましい。
また、検知流路は密封された流路が好ましい。
また、検知流路を熱媒体流路の外側に配置した場合には金型の外部からの亀裂発生が熱媒体流路まで到達する前に異常を検知することが可能であり、その場合には前記検知流体の圧力は大気圧よりも0.02MPa以上高いか、又は、0.02MPa以上低くなるように設定するのが好ましい。
なお、ここで近傍とは金型の強度に影響を与えない範囲にて熱媒体流路に近いことをいう。
また金型が複数の構成部材を接合して製作してあり、熱媒体流路及び検知流路の少なくとも一部が接合面に沿って形成してある場合に適用するとより効果的である。
また、熱媒体を流路に循環させるとは金型内部に設けた流路を循環させることをいい、金型に熱媒体の流入口と流出口を設けてあり、金型内の熱媒体流路を熱媒体としての流体が流れるものであれば、流出口から冷却水等が放流される放流方式であっても冷却水等を熱交換器等を介して、熱媒体が閉じた系として循環利用されている形態も含まれる。
PCPS法は、約10Paの真空中にて接合材料を積み重ね、カーボンパンチ等で加圧しながらパルス電流を流すことにより、接合材料自体にジュール熱を発生させ急速加熱する工法であり、接合材料の接合面に沿って自由形状の流路(熱媒体流路及び検知流路)を溝形状に形成した後に相互に接合することで二次元的に自由形状の流路孔を形成することができる。
この場合に接合面に熱応力が集中し、この接合面に沿って亀裂が発生する場合が想定されるので接合面に沿って熱媒体流路の外側又は/及びキャビティ側に検知流路を設けることで本発明の適用が効果的に現れる。
また、検知流路の存在によりそれ以上亀裂が伝播及び進行するのを防止する効果も有する。
本実施例は金型をPCPS法にて製作する場合を示すが、金型の製作方法はこれに限定されない。
なお、本実施例では、模式的に第一部材側に熱媒体の流入口21と流出口22を形成し、さらに検知流路にエアー等の検知流体の注入口31を形成した例になっている。
検知流路30は熱媒体流路20の近傍に設けるのがよく、また、この検知流路30を熱媒体流路20に対してキャビティ側に設けると熱媒体流路からの亀裂がキャビティまで進行するのを防ぎ、逆にこの検知流路30を熱媒体流路に対して金型の外側に設けると亀裂が金型の外部まで進行するのを防ぐとともに、その時点で金型の異常を検知できる。
また、この場合には金型の外部から亀裂が発生し検知流路に到達した場合の異常も検知できる。
図1には表示を省略したが、検知流路30の注入口31にエアー供給手段を接続し、エアーを検知流路30内に密封するとともに熱媒体の圧力よりも0.02MPa以上高い圧力になるように、又は逆に0.02MPa以上低い圧力になるように検知流体圧力設定手段を有し、圧力計又は/及び流入計を備えている。
さらには、検知流体の圧力は大気圧よりも0.02MPa以上高いか、逆に0.02MPa以上低くなるように設定してもよい。
圧力計又は/及び流入計の変化は、変動検出手段により信号出力される。
例えば、シーケンス等にて電気信号として取り込み、警告音、警告表示等として出力する。
また、熱媒体流路20には冷却水等が通水されている。
これにより、エアー圧が減少するのでこの圧力変化を圧力計から検出する。
また、密封状態からのエアーの流れを検出してもよい。
これにより、亀裂13がそれ以上進行する前に金型の異常を検知することができるとともに、検知流路30の存在により亀裂伝播そのものを抑える働きもある。
また、この場合に金型の外部から亀裂が生じ、検知流路30まで到達した場合にも、エアー圧が減少し検知できる。
なお、検知流体の圧力が冷却水W0の循環圧力よりも低い場合には、冷却水が検知流路側に流れ込むので同様に圧力変化、又は流量変化を検知できる。
11 第一部材
12 第二部材
20 熱媒体流路
30 検知流路
Claims (3)
- 金型内部に熱媒体を循環させるための熱媒体流路と、亀裂発生による金型異常を検知するための検知流体を注入する検知流路とを有し、
前記検知流路に注入した検知流体の圧力が前記熱媒体の循環圧力よりも高く又は低くなるように設定する検知流体圧力設定手段と、検知流体の圧力変化又は/及び流量変化を検知する検知流体の変動検出手段とを有し、前記熱媒体流路と前記検知流路との間に連通した亀裂発生を検知するものであることを特徴とする金型異常の検知システム。 - 前記検知流体の圧力を前記熱媒体の循環圧力よりも0.02MPa以上高いか、又は、0.02MPa以上低くなるように設定したことを特徴とする請求項1記載の金型異常の検知システム。
- 金型内部に熱媒体を循環させるための熱媒体流路と、亀裂発生による金型異常を検知するための検知流体を注入する検知流路を有し、前記検知流路は熱媒体流路の外側に配置してあり金型外部からの亀裂が前記検知流路に連通するとそれによる検知流体の圧力変化又は/及び流量変化を検知する検知流体の変動検出手段を有し、前記検知流体の圧力を大気圧よりも0.02MPa以上高いか、又は、0.02MPa以上低くなるように設定したことを特徴とする金型異常の検知システム。
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