JP5658643B2 - 多孔質ポリマー粒子およびそれを用いたイオン交換樹脂粒子並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
中でも、グリシジルメタクリレートと架橋剤から得られる多孔質ポリマー粒子は、修飾基を導入することが可能であり、例えば、アミノ化合物やカルボン酸化合物に対して高い反応性を示す。また、該架橋剤として、各種多官能ビニルモノマーを用いることができ、メタクリル酸グリシジル等の単量体を必須成分とし、ジビニルベンゼン等を架橋性単量体として使用して得られる基体樹脂にアミノポリオール基を導入してなるアミノポリオール型樹脂(例えば、特許文献1)やグリシジルメタクリレートとトリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能ポリオールのメタクリル酸エステルからなる架橋型共重合体にポリヒドロキシルアルキルアミノ基を導入したホウ素吸着性高分子多孔体(特許文献2、3)が提案されている。
すなわち本発明は、
(1)(A)グリシジルメタクリレート60〜95質量部、
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマー5〜40質量部、
〔成分(A)と(B)の合計量は100質量部である〕
(C)重合開始剤0.05〜5質量部および
(D)(A)および(B)の合計量100質量部に対して良溶媒であって、生成するポリマー粒子に対し貧溶媒である有機溶媒20〜55質量部を必須成分とする混合液を、(E)分散剤の入った水中に分散させ、懸濁重合法により製造されてなる多孔質ポリマー粒子、
(2)さらに(A)および(B)の合計量100質量部に対して、さらに(F)イソシアネート化合物を5〜25質量部含む上記(1)に記載の多孔質ポリマー粒子、
(3)(B)3官能以上の多官能ビニルモノマーがジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである上記(1)または(2)に記載の多孔質ポリマー粒子、
(4)(B)3官能以上の多官能ビニルモノマーがトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートである上記(1)または(2)に記載の多孔質ポリマー粒子、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマー粒子にアミノ化剤と反応させてキレート形成性基を導入し、次いで金属イオンを担持させたことを特徴とするイオン交換樹脂粒子、
(6)前記アミノ化剤が2−ピコリルアミンである上記(5)に記載のイオン交換樹脂粒子、
(7)前記金属イオンが2価の銅イオンである上記(5)または(6)に記載のイオン交換樹脂粒子、
(8)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリマー粒子に、分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物を反応させて、該ポリマー粒子にキレート形成性基を導入したことを特徴とするイオン交換樹脂粒子、
(9)前記分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物がN−メチル−D−グルカミンである上記(8)に記載のイオン交換樹脂粒子、
(10)(A)グリシジルメタクリレート60〜95質量部
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマー5〜40質量部
〔成分(A)と(B)の合計量は100質量部である〕
(C)重合開始剤0.05〜5質量部
を(A)および(B)100質量部に対して良溶媒であって、生成するポリマー粒子に対し貧溶媒である(D)有機溶媒20〜55質量部に溶解したのち、(E)分散剤の入った水中に分散させ、懸濁重合法により製造することを特徴とする多孔質ポリマー粒子の製造方法を提供する。
まず、多孔質ポリマー粒子およびそれらの製造方法について、以下詳細に説明する。
(A)グリシジルメタクリレート60〜95質量部
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマー5〜40質量部
(C)重合開始剤0.05〜5質量部
(D)(A)および(B)に対して良溶媒であって、生成する多孔質ポリマー粒子に対し貧溶媒である有機溶媒20〜55質量部を必須成分とする混合液を、(E)分散剤の入った水中に分散させ、懸濁重合法により製造された多孔質ポリマー粒子であることを特徴とする。上記成分(A)と(B)の合計量は100質量部である。
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマーは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基または3個以上のアリル基を有するものである。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ウレタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートが、得られる粒子強度の観点から好ましい。
また、1分子中に3個以上のアリル基を有するものとしては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなども使用することができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
このうち重合性基としてアクリロイル基を有することが好ましい。メタクリロイル基を有するモノマーを重合させて得られた多孔質ポリマー粒子の場合、アクリロイル基を有するものから得られたものに比べ、十分なガラス転移点を有する粒子が得られないばかりかべたつきが発生する点から好ましくない。
(A)グリシジルメタクリレートと(B)3官能以上の多官能ビニルモノマーの配合割合は、(A)60〜95質量部、(B)5〜40質量部である。
前記成分(B)である3官能以上の多官能ビニルモノマーがトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートの場合、(A)70〜95質量部に対して(B)が5〜30質量部であることが好ましい。(B)が前記範囲内であると、前述と同様の理由から好ましい。
成分(C)の重合開始剤としては、過酸化物系やアゾビス系などを好ましく使用することができる。過酸化物系としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
アゾビス系としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
重合開始剤として、重合温度の観点より2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が特に好ましい。
重合開始剤の配合量は、グリシジルメタクリレートおよび3官能以上の多官能ビニルモノマーの合計100質量部に対して、0.05〜5.0質量部であることが好ましい。
具体的には、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンならびにその異性体等などの脂肪族炭化水素系有機溶媒、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノールならびにその異性体等などの非水溶性アルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
有機溶媒は、グリシジルメタクリレートと3官能以上の多官能ビニルモノマーの合計量に対し5〜55質量%となる量で配合することが好ましい。5質量%以上であればマクロな部分空孔を有するポリマー粒子を得ることができる。また、55質量%以下であれば凝集物や梅干状のポリマー粒子の発生を防ぐことができ、且つ粒子強度も実用に耐えられるものが得られる。
難水溶性金属化合物としては、例えば、硫酸バリウムおよび硫酸カルシウムなどの硫酸塩、炭酸バリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、酸化アルミニウムおよび酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化第二鉄などの金属水酸化物などを挙げることができる。これらの難水溶性金属化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。この難水溶性金属化合物は、グリシジルメタクリレートと3官能以上の多官能ビニルモノマーの合計量に対し0.1〜10質量%となる量で配合することが好ましい。
有機系分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリンドン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、アラビアゴム、高級脂肪酸の金属塩などを挙げることができる。これらの有機系分散剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。この有機系分散剤は、グリシジルメタクリレートと3官能以上の多官能ビニルモノマーの合計量に対し0.05〜10質量%となる量で配合することが好ましい。
また、水溶性の組成物を使用する場合や系の比重を変更したい場合には、塩化ナトリウムなどの塩類も添加することができる。
(F)イソシアネート化合物としては2価以上のイソシアネートであれば特に限定せずに使用することができる。
具体的には例えば、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニルレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’,4''−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,4’−ビフェニルトリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンフェニルイソシアネート等が挙げられる。これらの多価イソシアネートは単独、または2種類以上の組み合わせで使用しても良い。成分(F)のイソシアネート化合物の配合量は(A)+(B)の合計量100質量部に対して5〜25質量部が好ましい。この範囲の上限を超えると樹脂中の交換反応サイトの減少により交換容量が低下し、下限以下では強度が得られないのであまり好ましくない。
例えば、まず、反応槽に水と分散安定剤を入れ、撹拌して水中に分散安定剤を分散又は溶解させる。次に、グリシジルメタクリレート、3官能以上の多官能ビニルモノマーおよび多孔質化剤を含む溶液並びに重合開始剤を加え、所望の粒子径に分散させたのち、反応温度に昇温して重合を開始する。このとき、反応温度は40〜80℃であることが好ましく、50〜60℃であることがより好ましい。40℃以上であれば重合反応の時間が長くなりすぎず、残存モノマー量の増加をともなうなどの不都合が生じることがない。80℃以下であれば、グリシジル基の開環も抑えられる。
重合反応が終了後減圧蒸留操作を行うことにより有機溶媒を取り除いて反応物を取り出し、生成した重合体粒子を濾過により単離し、重合体粒子の洗浄により分散安定剤を除去したのち、乾燥して多孔質ポリマー粒子を得る。
とりわけ、イオン交換樹脂のベースポリマーとして使用する場合は粒径が100μm〜1000μmであることが好ましく、更に好ましくは200μm〜800μmである。
なお、本発明の多孔質ポリマー粒子の粒径は、例えばレーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−920(株式会社堀場製作所社製)で測定することができる。
本発明の多孔質ポリマー粒子は走査型電子顕微鏡で表面および断面を観察すれば、多孔質を形成していることが確認できる。
さらに本発明の多孔質ポリマー粒子の強度は少なくとも0.5kgf/mm2であることが必要である。その理由として該強度が0.5kgf/mm2よりも小さいと、粒子が破壊してしまう。実質上、0.6kgf/mm2以上であることがより好ましい。
本発明の多孔質ポリマー粒子のエポキシ当量は150〜230であることが好ましい。前記範囲内であればエポキシ基の含有量が本用途において適切であり、これに対応してキレート形成性基の導入量も十分なものとなり、対象となるイオンの吸着性能も優れたものとなる。
本発明の多孔質ポリマー粒子は、一般的にイオン交換樹脂のベースポリマー、分離剤、合成樹脂改質剤、触媒の担体、有機フィラー、光反射材、光拡散材として使用することもできるが、本発明においては、該多孔質ポリマー粒子をイオン交換樹脂のベースポリマーとして用い、これにキレート形成性基を導入してイオン交換樹脂粒子としたもの並びにそれらの製造方法を提供することができる。
イオン交換樹脂粒子による、対象となるイオンの吸着除去工程は以下の過程からなる。すなわち第一段階として対象イオンの吸着、第二段階として酸あるいはアルカリを用いての、該イオンの分離を経る該交換樹脂の再生工程からなるが、前記第一段階において、その吸着量はベースポリマー粒子の表面積に依存する。従って、吸着効率の向上には単位重量あたりの吸着容量が大きいものが好ましく、ベースポリマー粒子が多孔質であるものがより望ましい。
次に、本発明のイオン交換樹脂粒子の製造方法について説明する。
本発明のイオン交換樹脂粒子は、前述した多孔質ポリマー粒子にキレート形成性基を導入することにより製造されることを特徴とする。
(イオン交換樹脂粒子および製造方法の第一の実施形態)
イオン交換樹脂の製造方法の第一の実施形態では、キレート形成性基の導入工程および/または金属イオンの担持工程とからなる。
まず、キレート形成性基の導入は前述の工程で得られた多孔質ポリマー粒子にアミノ化剤、有機溶媒を混合し、50〜100℃下、2〜10時間反応させた後、有機溶媒と残留したアミノ化剤を水洗にて除去し、洗浄後、30〜50℃で乾燥し、イオン交換樹脂を得る。
ここで用いられるアミノ化剤としては、特に制限はないが、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、2−ピコリルアミン、フェニレンジアミンなどが挙げられるが、これらの中でリン吸着剤としては、配位金属である銅の保持、繰り返し使用に優れるという観点から2−ピコリルアミンが好ましい。
キレート形成性基を導入させるアミノ化反応において用いられる有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等アミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類等が用いられるがこの限りではない。
キレート形成性基への金属イオンの担持は、前述で得られた、キレート形成性基が導入された樹脂を金属塩水溶液に浸漬し、金属イオンを担持させ、イオン交換樹脂を製造することができる。浸漬させる金属塩水溶液の温度は通常、30〜80℃である。浸漬時間は金属塩水溶液の濃度に依存するが、通常、1〜10時間程度である。
キレート形成性基に担持する金属イオンとしては特に制限はなく、マグネシウム、カルシウム、銅、アルミニウム、鉄等の各種イオンが用いられる。中でも2価の銅イオンが吸着性が良好な観点から好ましい。各種金属イオンを担持させるには、その金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の5〜10質量%程度の水溶液が用いられる。金属イオンを担持させた後、金属塩を水洗浄にて除去し、40℃程度で乾燥を行なうことにより、イオン交換樹脂粒子が得られる。
前述のイオン交換樹脂粒子および製造方法の第一の実施形態で使用したアミノ化剤の代わりに、分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物が使用される以外は、同様の操作によって、イオン交換樹脂粒子を製造することができる。
ここで用いられる分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物としては、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール等が挙げられる。これらの中で高いホウ素吸着機能を有する観点から特にN−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールが好ましい。
本発明のイオン交換樹脂を使用した対象イオンの吸着除去方法について説明する。
本発明におけるイオン吸着方法は前述のようにして製造したイオン交換樹脂を廃水に浸漬させることによって行うことができる。すなわち第一の実施形態で製造されたイオン交換樹脂の場合、該樹脂中の金属イオンと前記廃水中の吸着対象イオンとが相互作用することによってイオン交換樹脂に吸着されて回収できるというものである。また、第二の実施形態で製造されたイオン交換樹脂の場合は1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物中の水酸基によってホウ素を吸着させるものである。
前記イオン交換樹脂を廃水と接触させる方法としては、例えば、廃水中に前記イオン交換樹脂粒子を添加することによって吸着対象イオンを吸着させる方法や、該イオン交換樹脂粒子をカラムに充填し、このカラム中に廃水を通水することで接触させ、吸着対象イオンを吸着させてもよい。
レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−920(株式会社堀場製作所社製)で測定した。
[表面および内部状態]
ポリマー粒子およびイオン交換樹脂粒子の表面および内部状態は走査型電子顕微鏡により確認した。多孔質ポリマー粒子の表面および内部に多孔質を形成したものを○、多孔質を形成しなかったものを×とした。
[強度]
ORIENTEC社製 TENSILON RTC−1150A を用いて以下の条件下測定した。
加重レンジ:50N(MAX)
ストローク:0.5mm/分
[エポキシ当量]
ポリマー粒子0.5gをクロロホルム10ミリリットルに溶解後、酢酸20ミリリットル、20%臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10ミリリットル、0.1Mクリスタルバイオレットを2〜3滴加えた。この懸濁溶液に0.1モル/リットルの過塩素酢酸溶液を滴下し、緑色を呈した点を終点とした。同様の方法で空試験を行い、下式によりエポキシ当量を求めた。
EP=1000×m/[(V1−V0)×c]
EP:エポキシ当量(g/eq)の測定値
m :試料の質量(g)
V0:空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(ミリリットル)
V1:終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(ミリリットル)
c :標評時の過塩素酸酢酸溶液の濃度
リン吸着量の測定
前記第一の実施形態で得られたイオン交換樹脂粒子0.1gを、リン酸イオン濃度が100ppmに調製されたリン酸イオン水溶液50ミリリットルに室温で、24時間浸漬後、初期値および該粒子浸漬後のリン酸イオン水溶液のリン酸イオン濃度をイオンクロマトアナライザおよび原子吸光光度計により測定し、両者の差からリン酸イオン吸着量を算出した。結果を表1に示す。
表1の性能評価欄中、「2-ピコリルアミン+Cu2+」は2-ピコリルアミンを用いて多孔質ポリマー粒子にキレート形成性基を導入させ、次いで濃度10質量%の塩化第二銅水溶液を用いて2価の銅イオンを担持させたことを示している。
ホウ素吸着量の測定
前記第二の実施形態で得られたイオン交換樹脂粒子0.1gを、ホウ素濃度が500ppmに調製されたホウ酸水溶液5ミリリットルに室温で、24時間浸漬後、初期値および該粒子浸漬後のホウ酸水溶液のホウ素濃度をイオンクロマトアナライザおよび原子吸光光度計により測定し、両者の差からホウ素吸着量を算出した。結果を表1に示す。
繰り返し使用の可否
前記第一の実施形態で得られたイオン交換樹脂粒子のそれぞれについて10回の繰り返し使用テストを行い、吸着性能・粒子形状維持共に良好なものを○、吸着性能はあるが粒子形状のつぶれたものを△、吸着性能が無いものを×として表1に記載した。
多孔質ポリマー粒子の製造方法
グリシジルメタクリレート(三菱化学株式会社製、商品名:アクリエステルGMA)45部、3官能以上の多官能ビニルモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、表1における略号:DPHA)5部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(日本純薬株式会社製、表1における略号:ADVN)0.5部、有機溶媒としてn−ヘプタン(和光純薬工業株式会社製)20.0部と酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製)5.0部を混合し樹脂溶液とした〔質量比:グリシジルメタクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(3官能以上の多官能ビニルモノマー)=90:10〕。この樹脂溶液を、分散剤としてポリビニルアルコール0.2部を含む水媒体中へ攪拌下に投入し、分散させて懸濁状態とし、57℃にて6時間懸濁重合反応を行った。攪拌はアンカー翼を有する攪拌機(アズワン社製、スリーワンモーター)を使用して回転数135rpmで行なった。
反応終了後、樹脂懸濁液を減圧蒸留してn−ヘプタン、酢酸エチルを除去したのち濾過し、水洗浄を繰り返して分散剤を除去し、洗浄終了後40℃にて乾燥を行い、ポリマー粒子を得た。
得られたポリマー粒子は、平均粒子径が350μm〔レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−920(株式会社堀場製作所社製)〕であった。また、走査型電子顕微鏡で表面および断面を観察したところ、多孔質であることが確認できた。
前述の如く得られたポリマー粒子を各1gナスフラスコに投入し、更に2−ピコリルアミン5g、N,N’−ジメチルホルムアミド10g入れ、ゆっくり攪拌しながら60℃で8時間保った。反応終了後、粒子を取り出してN,N−ジメチルホルムアミドを水洗にて除去し、10質量%の濃度の塩化第二銅水溶液50ミリリットルに浸漬しゆっくり攪拌しながら室温で3時間保った。粒子を取り出して塩化第二銅を水洗浄にて除去し、40℃にて乾燥を行い、イオン交換樹脂粒子を得た。吸着特性を表1に示す。
前記多孔質ポリマー粒子の製造方法で得られたポリマー粒子を各1gナスフラスコに投入し、更にN−メチル−D−グルカミン1.5g、N,N−ジメチルホルムアミド15g入れ、ゆっくり攪拌しながら60℃で8時間保った。反応終了後、得られた粒子を水洗してN−メチル−D−グルカミン等を除去し、洗浄終了後40℃にて乾燥を行い、イオン交換樹脂粒子を得た。吸着特性を表1に示す。
表1に示す組成により、実施例1と同様の方法で多孔質ポリマー粒子およびイオン交換樹脂粒子を得た。
表1から明らかなように、実施例1〜11ではいずれも、多孔質ポリマー粒子の強度、リン酸イオンおよびホウ素吸着能は良好であった。一方、比較例1、2、4のように有機溶媒の使用量が20〜55質量部範囲外のものでは各特性が良好でなかった。すなわち、比較例1は使用量が20質量部未満の場合であるが、ポリマー粒子は殆ど多孔質化しておらず、吸着能が悪かった。比較例2、4のように55質量部より多い場合はポリマー粒子の強度が低いため、実用的でなかった。比較例5、6では3官能以上の多官能ビニルモノマーが使用されていないのでポリマー粒子の強度が低いため、実用的でなかった。さらに比較例6ではエポキシ当量が大で吸着能も悪かった。
また、前述の如く、グリシジルメタクリレートに対し、3官能以上の多官能モノマーの配合量が規定の範囲内より少ない比較例3ではポリマー粒子の強度が十分でなかった。比較例4では、有機溶媒の量が多すぎるため、ポリマー粒子の強度が十分でなかった。2官能モノマーを用いた比較例6でもポリマー粒子の強度は実用的でなかった。
以上、実施例および比較例から明らかなように、本発明の多孔質ポリマー粒子およびこれから得られるイオン交換樹脂粒子を用いれば、粒子の強度のみならずリン酸イオン、ホウ素に対する高い吸着性を示すことが明らかとなった。
なお、実施例9においては、トリメチロールプロパンアダクトキシリレンジイソシアネート(D−110N)を5質量部添加して懸濁重合に供した。
比較例6で使用した比較成分(B)の2官能ビニルモノマーである57%ジビニルベンゼンとはエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、t−ブチルカテコールとの混合溶液である。
DPHA:日本化薬社製のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
SR−368:サートマー社製のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
1,6-HEXDA:1,6-ヘキサングリコールジアクリレート
D−110N:三井化学ポリウレタン化学社製のトリメチロールプロパンアダクトキシリレンジイソシアネート
Claims (10)
- (A)グリシジルメタクリレート60〜95質量部、
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマー5〜40質量部、
〔成分(A)と(B)の合計量は100質量部である〕
(C)重合開始剤0.05〜5質量部および
(D)(A)および(B)の合計量100質量部に対して良溶媒であって、生成するポリマー粒子に対し貧溶媒である有機溶媒20〜55質量部を必須成分とする混合液を、(E)分散剤の入った水中に分散させ、懸濁重合法により製造されてなる多孔質ポリマー粒子。 - さらに(A)および(B)の合計量100質量部に対して、さらに(F)イソシアネート化合物を5〜25質量部含む請求項1に記載の多孔質ポリマー粒子。
- (B)3官能以上の多官能ビニルモノマーがジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである請求項1または2記載の多孔質ポリマー粒子。
- (B)3官能以上の多官能ビニルモノマーがトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートである請求項1または2に記載の多孔質ポリマー粒子。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリマー粒子にアミノ化剤と反応させてキレート形成性基を導入し、次いで金属イオンを担持させたことを特徴とするイオン交換樹脂粒子。
- 前記アミノ化剤が2−ピコリルアミンである請求項5に記載のイオン交換樹脂粒子。
- 前記金属イオンが2価の銅イオンである請求項5または6に記載のイオン交換樹脂粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー粒子に、分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物を反応させて、該ポリマー粒子にキレート形成性基を導入したことを特徴とするイオン交換樹脂粒子。
- 前記分子中に少なくとも1個のアミノ基と2個以上の水酸基を有する化合物がN−メチル−D−グルカミンである請求項8に記載のイオン交換樹脂粒子。
- (A)グリシジルメタクリレート60〜95質量部
(B)3官能以上の多官能ビニルモノマー5〜40質量部
〔成分(A)と(B)の合計量は100質量部である〕
(C)重合開始剤0.05〜5質量部
を(A)および(B)100質量部に対して良溶媒であって、生成するポリマー粒子に対し貧溶媒である(D)有機溶媒20〜55質量部に溶解したのち、(E)分散剤の入った水中に分散させ、懸濁重合法により製造することを特徴とする多孔質ポリマー粒子の製造方法。
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