JP5657500B2 - 砂中子保持構造 - Google Patents
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これにより、砂中子本体の重量に対して巾木の重量を十分に確保できない場合に、砂中子がその自重によりキャビティ側に傾いても、巾木上面の突起が保持凹部の下面で削られる際に砂中子本体に作用する力の支点となる突起が嵌合凸部よりもキャビティ側に位置しているため、砂中子本体の先端部が上方に位置ずれしてしまうのを抑制できる。特に、排気ポート鋳造用砂中子の場合には、砂中子本体の先端部を下方に押圧でき、その先端部がぐらついて下型の成形面から浮いてしまうのを抑制できる。ひいては、砂中子の位置ずれに起因する品質不良を防止でき、歩留まりを向上できる。
なお、本発明は、巾木の重量が砂中子本体の重量未満である排気ポート鋳造用砂中子の保持に好ましく適用される。
これにより、砂中子本体の重量に対して巾木の重量を十分に確保できない場合に、砂中子がその自重によりキャビティ側に傾いても、巾木上面の突起が保持凹部の下面で削られる際に砂中子本体に作用する力の支点となる突起が嵌合凸部の直上に位置しているため、砂中子本体の先端部が上方に位置ずれしてしまうのを抑制できる。特に、吸気ポート鋳造用砂中子の場合には、砂中子本体の先端部を下方に押圧でき、その先端部がぐらついて下型の成形面から浮いてしまうのを抑制できる。ひいては、砂中子の位置ずれに起因する品質不良を防止でき、歩留まりを向上できる。
なお、本発明は、巾木の重量が砂中子本体の重量以上である吸気ポート鋳造用砂中子の保持に好ましく適用される。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用金型の構成を示す平面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用金型の構成を示す断面図である。
本実施形態に係るシリンダヘッド鋳造用金型1は、低圧鋳造法(LPDC)により、直列4気筒エンジンのシリンダヘッドを鋳造するものである。シリンダヘッド鋳造用金型1には、本発明に係る砂中子保持構造Sが組み込まれている。
また、シリンダヘッド鋳造用金型1は、下型10に対して上型を進退させる図示しない進退機構と、下型10上で第1摺動型11及び第2摺動型12を互いに接近又は離隔する方向に摺動させる第1摺動機構111及び第2摺動機構121と、下型10上で第3摺動型13及び第4摺動型14を互いに接近又は離隔する方向に摺動させる第3摺動機構131及び第4摺動機構141と、を備える。
これら3つの嵌合凸部105が巾木22の3つの嵌合凹部221にそれぞれ嵌合することにより、排気ポート鋳造用砂中子2がX方向及びY方向に位置決めされる。これについては、後段で詳述する。
これら3つの嵌合凸部106が巾木32の3つの嵌合凹部321にそれぞれ嵌合することにより、吸気ポート鋳造用砂中子3がX方向及びY方向に位置決めされる。これについては、後段で詳述する。
進退機構は、上型を駆動する図示しない油圧シリンダ等を含んで構成される。
第1摺動機構111及び第2摺動機構121は、それぞれ、下型10上でX方向に延設された第1ガイドレール112及び第2ガイドレール122と、これらガイドレールに案内される第1摺動型11及び第2摺動型12を駆動する図示しない油圧シリンダ等を含んで構成される。
保持凹部113の下面113Aには、型締めするときに後述する排気ポート鋳造用砂中子2の巾木22の上面に形成された突起222,222が摺接し、保持凹部113の側面113Bには、型締めしたときに下型10の凸部103の外側面及び巾木22の外側面が当接する。即ち、この保持凹部113には、型締めしたときに、下型10の凸部103及びこの凸部103上に載置された巾木22が嵌合する。
なお、保持凹部113の下面113Aは、肉盛りして下方に突出させてもよく、耐摩耗性の材料を用いてもよい。
保持凹部123の下面123Aには、型締めするときに後述する吸気ポート鋳造用砂中子3の巾木32上面に形成された突起322,322が摺接し、保持凹部123の側面123Bには、型締めしたときに下型10の凸部104の外側面及び巾木32の外側面が当接する。即ち、この保持凹部123には、型締めしたときに、下型10の凸部104及びこの凸部104上に載置された巾木32が嵌合する。
なお、保持凹部123の下面123Aは、上述の保持凹部113の下面113Aと同様に、肉盛りして下方に突出させてもよく、耐摩耗性の材料を用いてもよい。
第3摺動機構131及び第4摺動機構151は、それぞれ、下型10上でY方向に延設された第3ガイドレール132及び第3ガイドレール132と、これらガイドレールに案内される第3摺動型13及び第4摺動型14を駆動する図示しない油圧シリンダ等を含んで構成される。
図3に示すように、排気ポート鋳造用砂中子2は、集合型の排気ポートを鋳造するためのものであり、砂中子本体21と、巾木22と、を備える。この排気ポート鋳造用砂中子2では、砂中子本体21の体積に対して巾木22の体積が小さいため、砂中子本体21の重量に対して巾木22の重量が十分に確保されておらず、巾木22の重量が砂中子本体21の重量未満となっている。
2つの突起222,222は、巾木22の上面にその長手方向に沿って形成されている。上述したように、突起222,222は、型締めするときに、第1摺動型11の内側面に形成された保持凹部113の下面113Aに摺接することで、その一部が削り取られる(後述の図4(b)参照)。
なお、本実施形態では、突起222,222を略円錐形状としたがこれに限定されない。例えば、円柱形状、角柱形状又は半球形状でもよい。
なお、本実施形態では、凹部223,223を略長方形状としたがこれに限定されない。好ましくは、凹部223,223の長手方向の長さを突起222,222の直径よりも大きく形成することで、突起222,222から削り取られた砂がより確実に凹部223,223内に回収される。
突起222,222の位置は、嵌合凸部105の位置との関係で規定される。先ず図1に示すように、Y方向における突起222,222の位置は、両端の嵌合凸部105A,105Aと真ん中の嵌合凸部105Bとの間の位置に設定される。
ここで、図4は、排気ポート鋳造用砂中子2の巾木22の構成を示す断面図である。より詳しくは、図4(a)は、排気ポート鋳造用砂中子2の巾木22の嵌合凹部221(221A)が下型10の嵌合凸部105(105A)に嵌合している状態を示す図である。また、図4(b)は、排気ポート鋳造用砂中子2の巾木22が第1摺動型11の保持凹部113に嵌合している状態を示す図である。
図4(a)に示すように、X方向における突起222,222の中心位置C1は、X方向における嵌合凸部105の中心位置C3よりも、キャビティ5側の位置に設定される。なお、嵌合凸部105の中心位置C3は、上述したように一直線状に位置している。
以上のように配置された突起222,222は、図4(b)に示すように、型締めするときに保持凹部113の下面113Aに摺接することでその一部が削り取られ、削り取られた砂は凹部223,223内に回収される。
図5に示すように、吸気ポート鋳造用砂中子3は、連結された吸気ポートを鋳造するためのものであり、砂中子本体31と、巾木32と、を備える。この吸気ポート鋳造用砂中子3では、砂中子本体31の体積に対して巾木32の体積が比較的確保されているため、砂中子本体31の重量に対して巾木32の重量が十分ではないが比較的確保されており、巾木32の重量が砂中子本体31の重量以上となっている。
2つの突起322,322は、上述の突起222,222と同様の構成であり、型締めするときに、第2摺動型12の内側面に形成された保持凹部123の下面123Aに摺接することで、その一部が削り取られる(後述の図5(b)参照)。
2つの凹部323,323は、上述の凹部223,223と同様の構成であり、型締めするときに突起322,322から削り取られた砂が凹部323,323内に回収されることで、キャビティ5内に砂が入り込んで品質不良が生じるのが防止される(後述の図5(b)参照)。
突起322,322の位置は、嵌合凸部106の位置との関係で規定される。先ず図1に示すように、Y方向における突起322,322の位置は、両端の嵌合凸部106A,106Aと略同一の位置に設定される。
ここで、図6は、吸気ポート鋳造用砂中子3の巾木32の構成を示す断面図である。より詳しくは、図6(a)は、吸気ポート鋳造用砂中子3の巾木32の嵌合凹部321(321A)が下型10の嵌合凸部106(106A)に嵌合している状態を示す図である。また、図6(b)は、吸気ポート鋳造用砂中子3の巾木32が第2摺動型12の保持凹部123に嵌合している状態を示す図である。
図6(a)に示すように、X方向における突起322,322の中心位置C2は、X方向における嵌合凸部106の中心位置C4の直上の位置に設定される。なお、嵌合凸部106の中心位置C4は、上述したように一直線状に位置している。
以上のように配置された突起322,322は、図6(b)に示すように、型締めするときに保持凹部123の下面123Aに摺接することでその一部が削り取られ、削り取られた砂は凹部323,323内に回収される。
砂中子保持構造Sとしての排気ポート鋳造用砂中子2の保持構造S1は、第1摺動型11の保持凹部113、下型10の凸部103及び嵌合凸部105、巾木22の嵌合凹部221及び突起222を含んで構成される。
同様に、砂中子保持構造Sとしての吸気ポート鋳造用砂中子3の保持構造S2は、第2摺動型12の保持凹部123、下型10の凸部104及び嵌合凸部106、巾木32の嵌合凹部321及び突起322を含んで構成される。
先ず、上型、第1摺動型11及び第2摺動型12を後退させ、少なくともこれらの型が下型10の成形面101から退避した状態とする。
このとき、巾木22の重量が砂中子本体21の重量未満であるため、排気ポート鋳造用砂中子2がその自重によりキャビティ5側に傾いた状態となる。
このとき、巾木32の重量が砂中子本体31の重量以上であるため、排気ポート鋳造用砂中子2ほど吸気ポート鋳造用砂中子3がキャビティ5側に傾くことはない。
(1)本実施形態では、下型10の成形面101の周縁に形成した嵌合凸部105と巾木22の下面に設けた嵌合凹部221を嵌合させて位置決めした巾木22を、保持凹部113に嵌合する嵌合構造と、巾木22の上面に形成した突起222,222が第1摺動型11の内側面に形成した保持凹部113の下面に摺接する摺接構造と、を含んで排気ポート鋳造用砂中子2の保持構造S1を構成した。また特許文献1では、摺動型の摺動方向における突起の中心位置が、摺動方向における嵌合凸部の中心位置よりも摺動型側に位置していたのに対して、本実施形態では、第1摺動型11の摺動方向(X方向)における突起222,222の中心位置C1が、X方向における嵌合凸部105の中心位置C2よりもキャビティ5側に位置するように構成した。
これにより、砂中子本体21の重量に対して巾木22の重量を十分に確保できず、排気ポート鋳造用砂中子2がその自重によりキャビティ5側に傾いても、巾木22の上面の突起222,222が保持凹部113の下面で削られる際に砂中子本体21に作用する力の支点となる突起222,222が嵌合凸部105よりもキャビティ5側に位置しているため、砂中子本体21の先端面211を下方に押圧でき、先端面211がぐらついて下型10の成形面101から浮いてしまうのを抑制できる。ひいては、排気ポート鋳造用砂中子2の位置ずれに起因する品質不良を防止でき、歩留まりを向上できる。
これにより、砂中子本体31の重量に対して巾木32の重量を比較的確保できるものの十分ではなく、吸気ポート鋳造用砂中子3がその自重によりキャビティ5側に多少傾いていても、巾木32上面の突起322,322が保持凹部123の下面で削られる際に砂中子本体31に作用する力の支点となる突起322,322が嵌合凸部106の直上に位置しているため、砂中子本体31の先端面311を下方に押圧でき、先端面311がぐらついて下型10の成形面101から浮いてしまうのを抑制できる。ひいては、吸気ポート鋳造用砂中子3の位置ずれに起因する品質不良を防止でき、歩留まりを向上できる。
上記実施形態では、保持構造S2を吸気ポート鋳造用砂中子3の保持に適用したがこれに限定されず、例えば保持構造S2を排気ポート鋳造用砂中子2の保持に適用してもよい。この場合には、保持構造S1を適用した場合ほどではないものの、ある程度の位置ずれ抑制効果が発揮される。
2…排気ポート鋳造用砂中子(砂中子)
3…吸気ポート鋳造用砂中子(砂中子)
5…キャビティ
10…下型
11…第1摺動型(摺動型)
12…第2摺動型(摺動型)
21,31…砂中子本体
22,32…巾木
101…成形面
105,106…嵌合凸部
113,123…保持凹部
221,321…嵌合凹部
222,322…突起
C1,C2…突起の中心位置
C3,C4…嵌合凸部の中心位置
S…砂中子保持構造
Claims (2)
- 砂中子を金型に保持する砂中子保持構造であって、
前記砂中子は、前記金型のキャビティ内に配置される砂中子本体と、下型の成形面の周縁に載置され且つ前記下型上を摺動する摺動型の内側面に形成された保持凹部に嵌合する巾木と、を備え、
前記巾木の下面には、前記下型の成形面の周縁に形成された嵌合凸部に嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記巾木の上面には、前記摺動型が前進して前記保持凹部の下面に摺接することによりその一部が削り取られる突起が形成され、
前記摺動型の摺動方向における前記突起の中心位置が、前記摺動方向における前記嵌合凸部の中心位置よりも前記キャビティ側に位置することを特徴とする砂中子保持構造。 - 砂中子を金型に保持する砂中子保持構造であって、
前記砂中子は、前記金型のキャビティ内に配置される砂中子本体と、下型の成形面の周縁に載置され且つ前記下型上を摺動する摺動型の内側面に形成された保持凹部に嵌合する巾木と、を備え、
前記巾木の下面には、前記下型の成形面の周縁に形成された嵌合凸部に嵌合する嵌合凹部が形成され、
前記巾木の上面には、前記摺動型が前進して前記保持凹部の下面に摺接することによりその一部が削り取られる突起が形成され、
前記摺動型の摺動方向における前記突起の中心位置が、前記摺動方向における前記嵌合凸部の中心位置の直上に位置することを特徴とする砂中子保持構造。
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