JP5657485B2 - 帯電電極機構 - Google Patents
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Description
このような成膜装置では、ダイから供給された溶融樹脂に高電圧を印加した放電電極を近接させ、この放電電極と冷却ロール間での放電によって溶融樹脂を帯電させるものである。
上記放電電極としては、例えば、冷却ロール上に供給された溶融樹脂の幅方向に渡したワイヤー状の電極が使われている。
そこで、ある程度の大きさのテンションをかけても切れることがない太いワイヤーや帯状の放電電極を用いることが考えられる。
例えば、溶融樹脂温度が不均一になったり、樹脂が気泡を内包していたり、装置全体が振動したり、供給圧力が変動したりなどが原因で、ダイから供給される溶融樹脂の流れが乱れて、放電電極が要求樹脂に巻き込まれてしまうことがある。このように放電電極が溶融樹脂に巻き込まれてしまった場合、細いワイヤー状の放電電極は直ちに切れてしまうが、切れにくい放電電極は溶融樹脂に引っ張られて冷却ロールの表面を傷つけてしまう。もともと、放電電極と冷却ロール表面とは数ミリメートルしか離れていないものが多く、樹脂によって少し引っ張られただけでも、放電電極が冷却ロールの表面に接触する。そして、回転している冷却ロールに接触した放電電極は冷却ロールの回転方向にわたって傷をつけることになる。
この発明の目的は、溶融樹脂の流れが乱れたとしても、溶融樹脂に巻き込まれた放電電極が冷却ロールの表面を傷つけてしまうことがない帯電電極機構を提供することである。
なお、上記第1、第2の発明の「放電電極に沿った・・・」とは、光の走行経路が放電電極から大きく離れない位置を保って並んでいることである。
そこで、光センサが光の走行経路が遮断されたことを検出したときに、放電電極を冷却ロールの表面から離すようにすれば、振れた放電電極が冷却ロール表面を傷つけることを防止することができる。
テンションセンサによって、放電電極のテンションを監視していると、放電電極に外力が作用してテンションが大きくなったり、放電電極が切れてテンションがゼロになったりするような異常を検出することができるが、テンションの大小だけでは放電電極がどちら側へ振れているのかということまではわからない。そのため、放電電極が冷却ロールを傷つける危険がなくても、テンションが変化しただけで警報を発したり、装置を止めたりしてしまう可能性があるが、この発明ではそのような問題は起こらない。
そこで、上記光センサが光の走行経路が遮断されたことを検出したときに、溶融樹脂の供給及び冷却ロールの回転を停止したり、放電電極を冷却ロールから離したりすることで、放電電極が溶融樹脂に巻き込まれことを防ぐことができ、その結果、樹脂に巻き込まれた放電電極が冷却ロール表面を傷つけることを防止することができる。
従って、放電電極が冷却ロールの表面を傷つけることはない。
第5の発明によれば、光センサと放電電極に沿った光の走行経路との間にプリズムを介在させることによって、光センサを、放電電極に沿った走行経路から外れた位置に設置することができ、光センサの設置位置の自由度が上がる。
しかも、光の方向を変更するためにプリズムを利用したので、鏡などの反射部材を用いる場合と比べて、光の入射面の角度をラフに設定できる。
そのため、第2の光センサの検出に基づいて溶融樹脂が放電電極を巻き込むことを防止でき、第1の光センサの検出に基づいて放電電極が冷却ロールに接触することを防止できる。
また、第2の光センサの検出に基づいた対策によって放電電極が溶融樹脂に巻き込まれることを防止し損なうようなことがあっても、溶融樹脂の供給方向下流側の第1の光センサの検出に基づいて放電電極の振れを検出できるので、その検出に基づいて、放電電極が冷却ロールを傷つけないようにすることができる。つまり、二重のチェックによって、より確実に冷却ロールの損傷を防止できる。
図1は、この発明の帯電電極機構を用いた成膜装置の概略図で一対のフレーム1,2間に金属製の冷却ロール3を設けている。この冷却ロール3は図示しない支持機構によって回転可能に支持され、図示しない駆動機構によって回転するようにしている。
また、上記冷却ロール3上方には図示しない支持機構によって支持され、冷却ロール3上に溶融樹脂を供給するダイ4を設けている。このダイ4から供給された溶融樹脂5が冷却ロール3で冷却されながら搬送され、後工程へ供給される。
XYガイドユニット6,7については後で詳しく説明するが、これらXYガイドユニット6,7は全く同じ構成で、それぞれフレーム1,2に固定したX軸8と、このX軸8上でx方向に移動するY軸9とで構成されている。このY軸9においてy方向に移動する取り付け台9aに取り付け部材10を介して電極ユニット11,12を取り付けている。
上記電極ユニット11,12がこの発明の放電電極を保持する一対の保持部を構成し、上記放電電極13に高電圧を印加することによって溶融樹脂5をアースした冷却ロール3に帯電密着させるようにしている。
そして、上記電極ロール12dを図示しない外部の高圧電源に接続し、この電極ロール12dを介して放電電極13に高電圧を印加する。上記高圧電源からの電源配線はこの電極ユニット12の背面に接続している。
さらに、一方の電極ユニット11内のテンションロール11dにはこのテンションロール11dに作用する荷重に基づいて放電電極13のテンションを検出するテンションセンサ11eを取り付け、放電電極13のテンションが適正範囲にあるかどうかを監視することもできる。
もし、上記電極カバー14,15を設けなければ、溶融樹脂5の幅wの外側部分で、上記放電電極13と露出した金属製の冷却ロール3とが直接対向することになる。このように上記放電電極13と金属製の冷却ロール3とが直接対向した部分は、溶融樹脂5を介して放電電極13と冷却ロール3とが対向している部分よりも、優先的に放電が起こる。そうなれば、溶融樹脂5の帯電効率が落ちてしまうと同時に、放電により冷却ロール3に傷も発生する。それを防止するため上記電極カバー14、15を設けているのである。
なお、図2中、左右のプリズムホルダー16,17は全く同じ構造なので、ここでは図3に示す電極ユニット11側についてのみ説明する。
図3に示すように、電極ユニット11の背面部材11fには、五角形のプリズムホルダー16を固定している。このプリズムホルダー16は中央に保持孔16aを備え、その内部にペンタプリズムp1を挿入し、固定部材16bをネジ止めすることによってこのペンタプリズムp1を固定している。
そして、通孔16cを上記電極ユニット12側に開口させ、通孔16dを背面部材11fに設けた取り付け孔11gに接続し、この取り付け孔11g内には光センサ18を取り付けている。
これにより、上記通孔16cから入射した光線Lはペンタプリズムp1によって90°方向を変えて光センサ18に受光される。光センサ18には、信号ケーブル19を接続し、これを図示しないこの発明の制御システムである制御装置に接続し、この制御装置に上記光センサ18の検出信号を入力するようにしている。
図4は上記一対のペンタプリズムp1、p2と光線Lとの関係を示した模式図である。
このようにして、投光部20から出力された光は、電極ユニット12から電極ユニット11までの間で、図2おける帯状の放電電極13の近傍で帯状電極に沿った走行経路を通過する光線Lとなる。
また、放電電極13に沿った光線Lは、上記放電電極13の近傍であって溶融樹脂の供給方向下流側で、上記放電電極13と溶融樹脂5とで挟まれた個所に位置するよう、XYガイドユニット6,7を制御してその位置を調整している。
これらXYガイドユニット6,7は同じ構成なので、図6を用いて一方のXYガイドユニット6について説明する。
図6に示すように、X軸8は、U字状のガイドレール8a内に、ガイドレール8aの長手方向に平行なボールスクリュー8bを設けるとともに、このボールスクリュー8bにかみ合うとともに、上記ガイドレール8aに沿って移動する移動体8cを備えている。上記ボールスクリュー8bの一端にはモーターm1を接続し、このモーターm1を図示しない上記制御装置に接続している(図1参照)。従って、この制御装置がモーターm1を駆動すれば、上記移動体8cがx方向に移動する。
また、上記凹部8eと上記固定部21aとの間には、ガイドレール8aと同等の長さを有するカバー8fを設け、その両端をガイドレール8aに固定して、上記ボールスクリュー8bを覆っている。
そして、Y軸9のスクリューシャフトの一端には上記制御装置に接続したモーターm2を連結している。従って、制御装置がモーターm2を駆動すれば、上記図示しない移動体がy方向に移動する。
そして、上記制御装置は、上記一対のX軸8,8のモーターm1,m1を同期して制御するようにしている。また、一対のY軸9,9のモーターm2,m2を制御する際も、同期させるようにしている。
従って、上記制御装置が、一対のモーターm1、m1を駆動して、一対の電極ホルダー11,12とともに放電電極13がx方向へ移動させ、一対のモーターm2,m2を駆動して、一対の電極ホルダー11,12とともに放電電極13をy方向へ移動させることができる。
まず、図5に示すように、放電電極13及び光線Lの位置を調整した状態で、成膜装置を運転しているとき、ダイ4から供給される溶融樹脂の流れが何らかの影響で乱れて放電電極13に溶融樹脂が絡み付いてしまったとする。
溶融樹脂は、冷却ロール3の回転によって方向へ移動搬送されるので、樹脂に巻き込まれた放電電極13は樹脂によって溶融樹脂の供給方向回転方向、すなわち冷却ロール3の回転方向へ引っ張られることになる。
わかりやすくするため、図5では、全体の寸法バランスを実際とは違うバランスで表しているが、帯状の放電電極13は、幅が数[mm]、厚さが数百[mm]以下であり、小さな外力でも撓んで、光線Lを遮断する。
なお、この第1実施形態では、上記XYガイドユニット6,7がこの発明の退避機構であり、これらに設けたモーターm1、m2を制御する制御装置がこの発明の制御システムである。
そして、上記図示しない制御装置と、上記一対のフレーム1,2上に固定した部分とで、この発明の帯電電極機構を構成している。
そして、上記光線L1は第1実施形態と同様に、放電電極13より溶融樹脂の供給方向下流側において、放電電極13と冷却ロール3上の溶融樹脂5とで挟まれる位置を保持し、もう一方の光線L2は放電電極13より溶融樹脂の供給方向上流側において、放電電極13と上記ダイ4からの溶融樹脂の供給開始位置とで挟まれる位置を保持している。
これら放電電極13、光線L1,L2、及び溶融樹脂5の位置関係を上記したように保持するため、上記XYガイドユニット6,7を調整している。
そして、膨らんだ溶融樹脂5が上記第2の投光部から出力された光線L2を遮断すると、第2の光センサがそれを検出する。この第2の光センサからの遮断検出信号が、上記制御装置に入力されると、上記制御装置はXYガイドユニット6,7のモーターm1,m1を制御して上記電極ユニット11,12とともに放電電極13を上記冷却ロール3から離れる方向、例えば矢印x1方向へ退避させることができる。
また、第2の光センサによる検出がうまくできなかったり、退避のタイミングがずれてしまったりしたときには、放電電極13が溶融樹脂に巻き込まれて溶融樹脂の供給方向へ引っ張られてしまうことになる。しかし、この場合には、上記第1実施形態と同様に、第1の光センサ18が光線L1の遮断を検出して、放電電極13を退避させることができる。
但し、上記第2の光線L2のみを設け、溶融樹脂5の乱れを検出することによって放電電極13が冷却ロール3に接触することを防止するようにしてもよい。
なお、上記第1、2実施形態では、制御装置が、光の走行経路が遮断されたことを検出した光センサからの検出信号に基づいて、上記XYガイドユニット6,7を制御するようにしているが、制御装置は、光センサからの信号に基づいてXYガイドユニット6,7を制御するのではなく、警報を発するだけでも良い。この場合、上記XYガイドユニットのような退避機構はなくてもよい。
但し、投光部20は電極ユニット12外に設けてもよい。いずれにしてもプリズムを用いて光の走行経路を曲げるようにすれば、投光部20の設置位置を自由に選択できる。
また、放電電極13に沿った光線Lをペンタプリズムp1で、光センサ18に導くようにしているため、上記投光部20と同様に、光センサ18の設置位置を光線Lと同一線状に設ける必要がない。この光センサ18も、プリズムを用いることによって設置位置を選択できることになるが、上記光線Lを受光できればどこに設けてもよい。
例えば、図8に示すように、図4に示す第1実施形態における投光部20側のペンタプリズムp2を省略して、放電電極13に沿った走行経路を通過後に、ペンタプリズムp1を介して光線18に光線を導くようにすることもできる。
このように、一方にのみプリズムを設ける実施形態として、図4においてペンタプリズムp1の位置に光センサ18を設け、投光部20側にだけにペンタプリズムp2を設けてもよい。
また、上記ペンタプリズムp1、p2はプリズムに限らない。
さらに、反射ミラー22に対する入射角を変更すれば、光センサ18の位置を自由に選択することもできる。
但し、反射ミラー22を用いる場合、光の反射角が入射角に依存するので、入射角の設定がラフにできるプリズムと比べてその設定に手間がかかる。
また、図10に示すように、投光部20と光センサ18とを同一直線上に設けるように構成してもよいことは当然である。
4 ダイ
5 溶融樹脂
6,7 (退避機構である)XYガイドユニット
8 X軸
9 Y軸
11,12 (保持部である)電極ユニット
13 放電電極
16,17 プリズムホルダー
p1、p2 ペンタプリズム
w (溶融樹脂の)幅
Claims (6)
- 放電電極が、ダイから供給される溶融樹脂の供給方向を横切る幅方向にテンションを保って一対の保持体間にかけ渡される構成にし、上記放電電極に高電圧を印加してこの放電電極からの放電で、ダイから供給された溶融樹脂を帯電させて、この溶融樹脂を冷却ロールに帯電密着させる帯電電極機構において、上記ダイから供給される溶融樹脂の少なくとも幅の範囲で光を出力する投光部と、投光部の光を検出する光センサとを備え、上記投光部から出力される光は、上記放電電極よりも溶融樹脂の供給方向下流側であって放電電極に沿った上記幅方向の走行経路を保ち、上記放電電極が溶融樹脂の供給方向下流側に振れて上記光の走行経路を遮断したとき、光センサがその遮断を検出する帯電電極機構。
- 放電電極が、ダイから供給される溶融樹脂の供給方向を横切る幅方向にテンションを保って一対の保持体間にかけ渡される構成にし、上記放電電極に高電圧を印加してこの放電電極からの放電で、ダイから供給された溶融樹脂を帯電させて、この溶融樹脂を冷却ロールに帯電密着させる帯電電極機構において、上記ダイから供給される溶融樹脂の少なくとも幅の範囲で光を出力する投光部と、投光部の光を検出する光センサとを備え、上記投光部から出力される光は、上記放電電極よりも溶融樹脂の供給方向上流側であって放電電極に沿った上記幅方向の走行経路を保ち、ダイから供給された溶融樹脂が上記光の走行経路を遮断したとき、光センサがその遮断を検出する帯電電極機構。
- 上記一対の保持体とともに放電電極を、上記冷却ロールから離れる方向に退避させる退避機構と、上記光センサに接続した制御システムとを備え、この制御システムは、上記光センサが、上記光の走行経路が遮断されたことを検出したとき、上記退避機構を制御して放電電極を上記冷却ロールから離れる方向に退避させる構成にした請求項1または2に記載の帯電電極機構。
- 上記投光部から出力された光を、プリズムを介して上記走行経路に導く構成にした請求項1〜3のいずれか1に記載の帯電電極機構。
- 上記走行経路を通過した光を、プリズムを介して上記光センサに導く構成にした請求項1〜4のいずれか1に記載の帯電電極機構。
- 請求項1の投光部を第1投光部とし、請求項1の光センサを第1光センサとするとともに、上記ダイから供給される溶融樹脂の少なくとも幅の範囲で光を出力する第2投光部と、この第2投光部の光を検出する第2光センサとを備え、上記第2投光部から出力される光は、溶融樹脂の供給方向上流側であって放電電極に沿った上記幅方向の走行経路を保ち、ダイから供給された溶融樹脂が上記光の走行経路を遮断したとき、第2光センサがその遮断を検出する請求項1,3,4,5のいずれか1に記載の帯電電極機構。
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