JP5656392B2 - 基板保持装置、それを用いた露光装置、及びデバイスの製造方法 - Google Patents

基板保持装置、それを用いた露光装置、及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板保持装置、それを用いた露光装置、及びデバイスの製造方法に関するものである。
露光装置は、半導体デバイスや液晶表示装置等の製造工程であるリソグラフィ工程において、原版(レチクル、又はマスク)のパターンを、投影光学系を介して感光性の基板(表面にレジスト層が形成されたウエハやガラスプレート等)に転写する装置である。例えば、半導体露光装置では、半導体素子の微細化に対応するため、投影光学系の高NA(開口数)化が進んでいる。しかしながら、この高NA化は、解像力を向上させるものの、逆に有効な焦点深度を減少させる。そこで、近年、解像力を維持しつつ、かつ、十分な実用深度を確保するために、投影光学系の像面湾曲の軽減や、ウエハの厚みムラやチャックの平面精度の向上等のウエハフラットネス(平面度)の改善が図られている。
このウエハフラットネスを悪化させる原因として、まず、ウエハとチャックとの間に挟み込まれる異物の存在が挙げられる。一般に、一旦、数μmの異物が挟み込まれると、ウエハは、変形を受け、盛り上がってしまう。このとき、有効な焦点深度が1μm以下である場合、ウエハ上の盛り上がり部分では、ローカルなデフォーカスが引き起こり、結果的に、パターン不良が生じる可能性がある。そこで、このような異物による歩留まりの悪化を回避するために、ウエハを載置、及び保持する基板保持装置では、ウエハとチャックとの接触率を可能な限り減少させた、所謂、ピンコンタクトチャック(ピンチャック)の採用が主流となっている。
更に、ウエハフラットネスを悪化させる原因として、近年の製造工程において、半導体素子に比較的厚い膜、即ち、ウエハに対してストレスの強い膜を形成させることが挙げられる。一般に、ウエハ上にストレスの強い膜を形成すると、ウエハは反り、基板保持装置は、この反りに起因して、ウエハを正常に吸着保持することができない場合がある。そこで、例えば、特許文献1は、内側リムと外側リムとを有するチャック本体に、内側リムと外側リムとのそれぞれの空間を接続するオリフィスを設置し、反ったウエハを均等な吸引力で保持する基板チャック装置を開示している。また、特許文献2は、ホルダ本体に、ウエハの裏面とクリアランスを形成するように環状凸部を備え、中心部から時間差をもってウエハを吸着することで、ウエハの平坦度を保つ基板保持装置を開示している。
特許第4041256号公報 特開2007−273693号公報
しかしながら、ピンチャックを採用した基板保持装置において、凹方向に著しく反ったウエハを吸着保持する場合、特許文献1及び2に示す構成を採用することはできず、ウエハの反り上がった外周部とピンチャックとの間に隙間が発生し正常な真空吸着が難しい。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ピンチャックを採用した基板保持装置であって、反ったウエハを平面矯正し、正常に吸着することができる基板保持装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の基板保持装置は、複数のピン状凸部が形成された底部と、複数のピン状凸部の外周に位置する隔壁部と、底部に貫設された真空排気のための真空穴とを備えたチャック本体を有し、ピン状凸部の表面を含む載置面に基板が載置された際に、基板と底部との間に形成された領域を真空排気することで基板を吸着保持する基板保持装置であって、底部は、真空穴が貫設された中心領域とその外周に設けられた外周領域とを含み、中心領域の深さは、外周領域よりも深く、底部の中心領域の半径は、基板の半径の2/3以上であることを特徴とする
本発明によれば、基板保持装置の中央部での真空排気の空気抵抗を小さくすることで、外周部での吸着力を向上させることができる。これにより、凹形状に反った基板でも平面矯正しつつ、正常に吸着することができる。
従来の基板保持装置の構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係る基板保持装置の構成を示す概略図である。 従来と第1実施形態との各基板保持装置による吸着力を示す概略比較図である。 載置面に載置されたウエハにおける各地点を示す概略図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 第1実施形態に係る基板保持装置による吸着力を示す比較図である。 本発明の実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の基板保持装置は、ピンチャック方式を採用し、真空排気により基板を載置及び吸着保持するための保持装置である。この基板保持装置は、例えば、露光装置等の半導体デバイスの製造装置に使用されるものであって、本実施形態では、被処理基板であるウエハを保持するための保持装置とする。まず、比較のために、従来の基板保持装置の構成について説明する。図1は、従来の基板保持装置1の構成を示す概略図であり、図1(a)は、断面図であり、図1(b)は、図1(a)に対応した平面図である。基板保持装置1は、ウエハ2を載置するチャック本体3と、ウエハ2を支持しつつ、載置面に対して上下移動を可能とする3本のリフトピン4と、真空排気を実施するための、不図示の真空装置に接続された排気配管5とを備える。
チャック本体3は、ウエハ2の裏面と接触する載置面として、一定の高さh1を有する複数のピン状凸部6(以下、単に「ピン6」と表記する)と、ウエハ2とピン6の設置部とを真空空間とするために外周部に設置された環状の隔壁部7とからなる。ピン6は、径寸法が0.1〜1mm程度であり、高さh1が数十〜数百μmの棒状部、若しくは円錐状部である。各ピン6は、それぞれ1〜3mm間隔で適宜配置され、各ピン6の先端を繋いで形成される載置面は、高精度のラップ加工により超平面に加工される。また、隔壁部7は、壁厚が0.2〜2mm程度であり、説明のために、内径寸法を径L1と表記する。更に、チャック本体3は、リフトピン4を上下駆動自在とするために貫設された3箇所のリフトピン穴8と、該リフトピン穴8からの空気漏れを防ぐための3箇所の円筒部9とを備える。なお、円筒部9の高さは、ピン6の高さと同一である。リフトピン4は、ウエハ2を搬入及び搬出する際に、チャック本体3の載置面に対して上下に駆動する棒状部材であり、図1(b)に示すように、チャック本体3の中心に対して同心円上に等間隔で3箇所設置される。なお、図1(a)に示すリフトピン4は、最下部まで下がった状態である。排気配管5は、開閉バルブを介して真空装置につながり、チャック本体3の中心付近に貫設された真空穴10に連設され、チャック本体3の載置面にウエハ2が載置されて真空吸着を実施する際に、開閉バルブを開くことにより真空排気を行う配管である。ここで、真空穴10は、図1に示すように、便宜上1箇所としているが、複数箇所に貫設される場合もある。
次に、従来の基板保持装置1の作用について説明する。まず、基板保持装置1は、ウエハ2がチャック本体3の載置面に載置された後、真空装置を稼動させることにより真空排気を開始する。これにより、ウエハ2の裏面と、ピン6の設置面(以下、「底部11」と表記する)との間に形成される空間は、真空穴10からの真空吸引により減圧される。このとき、ウエハ2の表面上の雰囲気が大気圧であるのため、ウエハ2は、減圧された分だけ大気圧により載置面の方向に押され、チャック本体3に吸着される。
まず、ウエハ2がチャック本体3の載置面に載置されており、真空穴10からの真空吸引が開始され、かつ、ウエハ2の吸着がなされておらず、ウエハ2とチャック本体3の隙間から空気が流れ込んでいる状態について説明する。即ち、この状態は、チャック本体3がウエハ2を引寄せている過程の状態である。真空排気による空気の流れは、真空穴10から排気配管5を介し、真空装置、例えば、設置工場の真空ライン、若しくは真空ポンプに向かう。このとき、チャック本体3による圧力損失と、排気配管5による圧力損失との合計は、真空装置の真空圧とほぼ等しい。ここで、チャック本体3による圧力損失を考える。このときの空気の流れによる圧力損失は、(流れの抵抗)×(流速)で表される。従来の基板保持装置1のように、底部11の深さが全面に渡り均一であるチャック本体3の場合を考察する。底部11を深くすると、チャック本体3とウエハ2との間隔が広くなるので、チャック本体3での空気の流れの抵抗が小さくなり、相対的に真空配管の空気の流れ抵抗の方が大きくなる。排気配管5の圧力損失の方が大きくなることから、空気の流れに沿った真空圧変化は、概ね、後述の図3中に示すグラフaのようになる。一方、底部11を浅くすると、チャック本体3とウエハ2との間隔が狭くなるので、空気の流れの抵抗が大きくなる。チャック本体3での圧力損失が相対的に排気配管5の圧力損失よりも大きくなると、空気の流れに沿った真空圧変化は、概ね、図3中に示すグラフbのようになる。したがって、従来の基板保持装置1では、底部11が浅いと吸着力が強い。
上記の考察を考慮すると、凹形状に大きく反ったウエハ2を載置面に吸着させるためには、ウエハ2の外周部での吸着力を大幅に増加させる必要がある。しかしながら、上記の通り、底部11を浅くしても、ウエハ2の裏面全体に対する吸着力は向上するが、ウエハ2の外周部の吸着力のみを選択的に向上させることは難しい。また、底部11を浅くするのみで、ウエハ2の外周部の吸着力を向上させることには限界がある。したがって、従来の基板保持装置1では、反ったウエハ2を吸着すると、ウエハ2は、中心付近では吸着されるが、中心から離れた外周部では浮上った状態となる。即ち、基板保持装置1は、ウエハ2をフラットに吸着することができない。そこで、本発明の基板保持装置は、以下のような構成を有する。
次に、本発明の第1実施形態に係る基板保持装置の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る基板保持装置20の構成を示す概略図であり、図2(a)は、断面図であり、図2(b)は、図2(a)に対応した平面図である。なお、図2において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の基板保持装置20の特徴は、チャック本体21の底部が従来のように均一の深さではなく、中心領域がその周囲の外周領域よりも深く形成されている点にある。ここで、中心領域(以下、「第2底部22」と表記する)は、例えば、径寸法L2、及び高さ(深さ)寸法h2を有する円形の凹部である。ここで、凹部は、必ずしも円形である必要はなく、中心部分の底部が低くなっていることが重要である。これに対して、第2底部22の外周領域に位置する底部23(以下、「第1底部23」と表記する)は、例えば、径寸法L1、及び高さ(深さ)寸法h1を有する。このとき、第2底部22に形成されたピン6の高さは、第2底部22の深さ、即ち、高さ寸法h2と同一である。なお、図2において、リフトピン穴8の設置位置は、従来の基板保持装置1と対応させるため第2底部22の領域内としているが、適用するウエハ2の径寸法によっては、第1底部23の領域内としても良い。
まず、本実施形態の基板保持装置20の作用について概略を説明する。上記の通り、基板保持装置20では、第2底部22は、外周部の第1底部23よりも深く設定されているので、ウエハ2の裏面と、第2底部22とに挟まれた第2領域24は、第1底部23とに挟まれた第1領域25よりも間隔が広い。したがって、真空排気を実施した際、第2領域24を流れる空気の抵抗は、従来の基板保持装置1における抵抗よりも小さい。即ち、基板保持装置20によれば、チャック本体21の全体として、第1及び第2領域24、25を流れる空気の抵抗を従来よりも抑えることができる。
図3は、従来と本実施形態との各基板保持装置による吸着力を示す単純化した比較図である。図3において、縦軸は、基板保持装置の吸着力を示し、横軸は、チャック本体の底部における外周部から中心部までの距離と、真空装置につながる排気配管5の距離との合計距離を示す。なお、チャック本体に形成された真空穴10は、図1及び図2に示すように、底部の中心部付近に位置するものとする。図3において、グラフa及びグラフbは、共に従来の基板保持装置1による吸着力を示し、特に、グラフbは、底部の深さを底部11よりも更に浅く設定して、真空排気時の空気の流れ抵抗を大きくした場合を示す。このように、従来の基板保持装置1では、吸着力は、底部を浅く設定することにより、大きくなる。一方、本実施形態の基板保持装置20では、第1領域25では第1底部23とウエハ2との間隔が狭くなり、空気の流れの抵抗が大きくなる。更に、第2領域24では第2底部22とウエハ2との間隔は広くなり、空気の流れの抵抗は小さくなる。したがって、相対的に第1領域25での圧力損失が大きくなり、本実施形態の基板保持装置20ではグラフcのような吸着力を示す。このように、外周領域である第1領域25では、吸着力が大きく向上し、中心領域である第2領域24では、吸着力がなだらかに変化する。結果的に、基板保持装置20は、ウエハ2の外周部に対して効率良く吸着力を発生させ、かつ、チャック本体21の全体でも大きな吸着力を発生させることができる。
次に、本実施形態の基板保持装置20の作用、及び効果について、シミュレーションを用いて具体的に説明する。定義として、まず、一般に流体の流れと圧力損失との関係は、次式に示すハーゲンポアズイユの式で表される。
ΔP=32μLu/D (1)
ΔP=12μLu/H (2)
ここで、式(1)は、流路が管の場合に適用され、式(2)は、流路が隙間の場合に適用されるものである。式(1)及び式(2)において、ΔPは、圧力損失を、μは、流体の粘度を、Lは、管、あるいは隙間の長さを、uは、平均流速を、Dは、管の直径を、更に、Hは、隙間の幅をそれぞれ示す。本実施形態では、排気配管5における圧力損失は、式(1)を採用し、一方、チャック本体21の第1領域25及び第2領域24における圧力損失は、式(2)を適用する。また、真空排気の際、ウエハ2の裏面と3箇所の円筒部9の隙間を介し、リフトピン穴8からの空気漏れを考慮すると、次式が成り立つ。
ΔPout=ΔPlift (3)
ΔPout+△Pin=98(KPa) (4)
Fout+Flift=Fin (5)
ここで、ΔPoutは、ウエハ2の外周部からリフトピン4までの領域におけるウエハ2の裏面とチャック本体21の底面との隙間での圧力損失を示す。ΔPliftは、リフトピン4とリフトピン穴8との隙間での圧力損失と、ウエハ2と円筒部9との隙間での圧力損失の合計を示す。ΔPinは、リフトピン4から真空穴10までの領域におけるウエハ2の裏面とチャック本体21の底面との隙間での圧力損失と、排気配管5を経由した真空装置に至るまでの圧力損失の合計を示す。Foutは、隔壁部7からリフトピン4までの領域におけるウエハ2の裏面とチャック本体21の底面との隙間を流れる空気の流量を示す。Fliftは、リフトピン4での空気の流量を示す。更に、Finは、リフトピン4から真空穴10までの領域におけるウエハ2の裏面とチャック本体21の底面との隙間を流れる空気の流量を示す。上記の関係と数式から、ウエハ各点におけるチャック底部とウエハ2との隙間での真空圧が計算できる。このチャック本体21の底部とウエハ2との隙間での真空圧は、吸着力となる。
ウエハ2が凹形状に反っている場合は、当初の基板保持装置20の状態、即ち、真空排気開始直後の状態は、図2(a)に示すように、ウエハ2が凹形状に反ったままの状態でチャック本体21の載置面に載置されている。このとき、外部の空気は、ウエハ2の外周部と隔壁部7との隙間26から入り込み、第1領域25を通り、更に第2領域24を通り真空穴10に向かい流れる。加えて、外部の空気は、リフトピン穴8からも入り込み、上記の空気の流れに合流する。これらの空気は、真空穴10を介し、最終的に排気配管5へと入る。
次に、上記の定義に基づいて、圧力損失を算出し、チャック本体21における各位置での真空圧を求める方法について説明する。まず、ウエハ2の反り量は、平らな台上に載置したウエハの端の反り上がり量で定義されるので、ウエハ2の外周部の裏面と隔壁部7との隙間26の幅と同一である。このとき、外部からの空気が隙間26を通過する時の圧力損失は、式(2)を採用して計算できる。この場合、Lは、圧力損失を計算したい領域の半径方向の距離であり、圧力損失は、μuの倍数として表される。また、反りの曲率半径Rbと、ウエハ中心部から外周部までの角度θは、次式で表される。
Rb=R/(2d) (6)
θ=sin‐1(R/Rb) (7)
ここで、Rは、ウエハ2の半径であり、隔壁部7の内径L1の1/2である。dは、反り量である。したがって、ウエハ2の中心部からの距離rにおける、ウエハ2の裏面から第1底部23、若しくは第2底部22までの隙間の高さHは、次式で表される。
H=Rb×(1−cos(θ×r/R))+h (8)
ここで、hは、各底部22、23の深さ(ピン6の高さ)である。また、第1領域25を通過する空気の圧力損失は、次式で得られる。
ΔP=∫12μu/Hdr (9)
なお、この場合の圧力損失は、近似的には、式(9)のように積分を行わなくとも、uとHとの平均値を式(2)に代入すれば、μuの倍数として、計算結果が得られる。同様に、リフトピン穴8を通過する空気の圧力損失は、リフトピン4とリフトピン穴8との寸法から、μuの倍数として、計算結果が得られる。更に、円筒部9を通過する空気の圧力損失も、μuの倍数として、計算結果が得られる。このように、全ての圧力損失は、μuの関数として計算することができる。
次に、チャック本体21の各地点でのμuの関係について説明する。チャック本体3、又はチャック本体21がウエハ2を引寄せている過程では、空気の流れによる圧力損失によりウエハ各点におけるチャック本体底部とウエハ2との隙間での真空圧は異なる。一般に、気体の圧力と体積の関係は、V∝1/P(ボイル・シャルルの法則)で表される。ここで、Vは、気体の体積、Pは、圧力である。このとき、μとuそれぞれの圧力Pとの関係は、近似的に次式で表される。
μ∝P (10)
u∝1/P (11)
ここで、式(10)は、圧力Pが半分になると、ボイル・シャルルの法則により、気体の密度が半分になり、粘度も近似的に半分になることを意味する。また、式(11)は、ボイル・シャルルの法則により、気体の体積は、圧力Pに半比例するので、気体の流れる量が一定であり、流路の断面積が変わらない場合は、真空の減圧により圧力Pが減れば、気体の体積Vが増え、それに比例して流速も増えることを意味する。即ち、式(10)と式(11)を掛け合わせると、μとuとの積μuは、圧力Pに対する依存性がなくなり、流路の断面積が一定であれば、近似的に一定である。次に、流路の断面積が変わる場合を考察する。隙間26での空気の流れ、第1領域25での空気の流れ、及び第2領域24における円筒部9までの空気の流れは、一連の流れであり、気圧は各地点において変化するが、この間の空気の増減は無い。ここで、流路の断面積をSとすると、流量は、S×uで表される。このとき、圧力の変化が無いと仮定すると、一連の流れでは、流量は一定となる。更に、流速と断面積の積は、単位時間当りに通過する気体の体積であるため、気圧の変化がある場合は、ボイル・シャルルの法則より、次式で表される。
S×u∝1/P (12)
したがって、式(10)、(12)より、S×μuは、圧力Pに依存せず、即ち、圧力の変化があっても、一連の空気の流れでは一定となる。
次に、上記の流量の関係を本実施形態の基板保持装置20に適用する。まず、外部からの空気が隙間26を通過する時のS×μuを、Sμと表記する。一方、隔壁部7から空気の合流地点である円筒部9までの任意の地点でのS×μuを、Sμと表記する。ここで、S×μuは一定であるから、次式が成り立つ。
μ=Sμ (13)
式(2)から、チャック本体21の各地点での圧力損失の計算結果は、μuの倍数として表される。また、式(13)より、各地点でのμuは、次式で表される。
μ=(Sμ)/S (14)
ここで、各地点の断面積Sは別途求められるので、式(14)を各地点での圧力損失の計算結果のμに代入すると、その計算結果は、Sμの倍数となる。このとき、隔壁部7から空気の合流地点である円筒部9までの各圧力損失の合計は、上記の圧力差ΔPoutとなり、各地点での圧力損失Sμの倍数の和であるから、Sμの倍数の和となり、ΔPoutはSμの倍数である。一方、空気がリフトピン4とリフトピン穴8との隙間を通過する時のS×μuを、Sμと表記する。この場合も、リフトピン4とリフトピン穴8との隙間を通過する空気の流れ、及びウエハ2と円筒部9との隙間を通過する空気の流れは一連の流れである。即ち、リフトピン穴8から円筒部9までの各圧力損失の合計は、上記の圧力差ΔPliftとなり、各地点でのSμの倍数の和である。ここで、ΔPoutとΔPliftとは、式(3)より同じ値であることから、上記のSμの倍数で表されたΔPoutの圧力損失と、Sμの倍数の和で表されたΔPlift圧力損失とは、同じ値となる。したがって、この関係から、SμとSμの倍数の和との比が求められ、各地点でのSμはSμの倍数で表現できる。同様に、合流した空気が第2領域24を通過する時のS×μuを、Sμと表記する。この場合も、円筒部9からの第2領域24を通過し、真空穴10に至る空気の流れ、及び排気配管5から真空装置に至るまでの空気の流れは一連の流れであるので、圧力損失は、各地点でのSμの倍数の和である。各地点でのμ、uは、減圧された状態での値である。これを大気圧に戻したと仮定した場合のμ、uをμ、uと表す。ここで、S×μは、大気圧での流量と粘度の積である。また、空気の流れが合流した場合は、流量が和となるため、S×μも和となる。したがって、合流地点から真空装置の入口までの空気の流れのS×μS3は、SμS1とSμS2との合流となるので、SμS3は、次式で表される。
μS3=SμS1+SμS2 (15)
また、積μuは、圧力Pに依存性せず、一定であるので、以下の関係がある。
μS1=μ (16)
μS2=μ (17)
μS3=μ (18)
この式(16)、(17)、(18)を式(15)に代入すると、次式が得られる。
μ=Sμ+Sμ (19)
即ち、SμとSμは、Sμの倍数で表現できるため、SμもSμの倍数で表現できる。このように、全ての圧力損失は、Sμの倍数で表すことができる。ここで、式(4)に示すように、隙間26から進入して真空装置の入口に至る空気の圧力損失と、リフトピン穴8から進入して真空装置の入口に至る空気の圧力損失は、同一であり、真空装置の真空圧となる。この真空圧は、十分強力な真空ポンプであれば、98(KPa)である。そこで、Sμの倍数で表された、隙間26から進入して真空装置の入口に至る空気の圧力損失の式を、98(KPa)と等しくなると仮定して計算し、Sμの値を求める。この計算結果と、SμとSμとの比率から、Sμ及びSμの値が算出でき、最終的に、全ての地点における圧力損失を算出できる。このとき、ウエハ2の裏面とチャック本体21の底部との隙間における圧力損失の計算では式(2)を採用し、排気配管5等、管における圧力損失の計算では式(1)を採用する。
次に、上記の計算方法に基づくシミュレーションの結果を示す。図4は、チャック本体21の載置面に凹形状のウエハ2を載置したときのウエハ2における各地点を示す概略図であり、図4(a)は、真空排気直後の状態を示し、図4(b)は、ウエハ2の中心領域まで吸着された状態を示す。図4において、地点Aは、隔壁部7上、地点Bは、第1領域25上、地点Cは、第1領域25と第2領域24の境である段差上、地点Dは、第2領域24のリフトピン穴8までの間上、地点Eは、リフトピン穴8上、及び、地点Fは、真空穴10上をそれぞれ示す。以下、各地点の値は、チャック本体21の中心からの距離として示す。この各地点でのウエハ2の裏面とチャック本体21の底部との隙間における真空圧を以下で計算する。この計算に際し、まず、真空排気直後の真空圧を「初期吸着力」と定義する。このとき、ウエハ2は、図4(a)に示すように、反ったままの状態である。初期吸着力は、真空穴10の上に位置する地点Fで大きいので、ウエハ2は、まず、中心部から吸着を開始する。そして、ウエハ2の中心部が吸着すると、その周辺部における底部との隙間が徐々に狭くなり、周辺部の吸着力も徐々に向上する。この連鎖により、ウエハ2は、中心部分から周辺部に向かって、チャック本体21の載置面に吸着されていく。一方、ウエハ2の中心領域、即ち、地点Cまで吸着された時の真空圧を「中心領域吸着時の吸着力」と定義する。
まず、外径が300mmであり、凹形状に400μm反ったウエハ2に対する計算を実施した。この計算に際し、地点Aは、約150mm、地点Bは、120mm、地点Cは、ウエハ2の半径の2/3の位置であり、100mm、地点Dは、55mm、地点Eは、45mm、及び地点Fは、20mmと設定した。なお、地点Fは、真空穴10上の位置であるが、実際の装置構成を考慮し、若干中心からずれた位置に設定している。以下、底部11の深さを、それぞれ40μm、100μm、120μm、150μmとした場合の従来の基板保持装置1と、第1底部23の深さを40μmとし、第2底部22の深さを100μmとした場合の本実施形態の基板保持装置20との吸着力を比較する。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図5に示す。図5は、300mmウエハを適用した場合の各地点に対する吸着力を示す比較図であり、図5(a)は、初期吸着力のグラフ、図5(b)は、中心領域吸着時の吸着力のグラフ、及び図5(c)は、ウエハ2の外周部の各地点の吸着力を拡大したグラフを示す。図5の各図において、実線(40/100)で記載された線が、本実施形態の基板保持装置20による吸着力を示し、その他、点線及び破線で記載された各線は、従来の基板保持装置1による吸着力を示す。図5(a)に示すように、初期吸着力は、本実施形態のチャック本体21での中心部においては、底部11の深さが40μmである従来の基板保持装置1よりも小さいが、ウエハ2の形状が極端に反っていない限り、特に影響はない。図5(b)及び図5(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、地点A、B、C、及びDにおいて、本実施形態の基板保持装置20では、従来の基板保持装置1よりも大きい。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、中心領域吸着時でのウエハ外周領域の吸着力は、従来例の2倍以上あり、反ったウエハ2に対して強力な吸着力が期待できる。
次に、上記の300mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の1/2である75mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図6に示す。なお、図6の各図は、図5の各図に対応している。図6(a)に示すように、初期吸着力は、図5(a)と同様の結果である。しかしながら、図6(b)及び図6(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1よりも多少大きな吸着力が発生している。また、中間領域である地点C及びDにおいても、従来の基板保持装置1よりも大きな吸着力が発生している。即ち、この場合も本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対して大きな吸着力が期待できる。
次に、上記の300mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の40%である60mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図7に示す。なお、図7の各図は、図5の各図に対応している。図7(a)に示すように、初期吸着力は、図5(a)と同様の結果である。図7(b)及び図7(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1と同等の吸着力が発生している。しかしながら、中間領域である地点C及びDにおいては、従来の基板保持装置1よりも大きな吸着力が発生している。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対しては、効果は大きくないが、ある程度の吸着力が期待できる。
次に、上記の300mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の40%である60mmとし、かつ、第1底部23の深さをそれぞれ30μm、40μm、50μm、60μmとした場合の吸着力の計算を実施した。なお、比較のための従来の基板保持装置1における底部11の深さは、100μmとしている。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図8に示す。なお、図8の各図は、図5の各図に対応している。図8(a)、図8(b)、及び図8(c)に示すように、中間位置である地点C、D、及び中心位置である地点E、Fにおいては、吸着力に差はあるが、反ったウエハ2の吸着に最も影響する外周位置である地点A、Bにおいては変化がない。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、この場合、第1底部23の深さによる吸着力への影響は少ない。
次に、上記の300mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の40%である60mmとし、かつ、第2底部22の深さをそれぞれ80μm、100μm、200μm、400μmとした場合の吸着力の計算を実施した。ここで、第1底部23の深さは、40μmとしている。また、比較のための従来の基板保持装置1における底部11の深さは、100μmとしている。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図9に示す。なお、図9の各図は、図5の各図に対応している。図9(a)、図9(b)、及び図9(c)に示すように、上記と同様、本実施形態の基板保持装置20では、第2底部22の深さによる吸着力への影響は少ない。
次に、外径が450mmであり、凹形状に400μm反ったウエハ2に対する計算を実施した。この計算に際し、地点Aは、約225mm、地点Bは、180mm、地点Cは、ウエハ2の半径の2/3の位置であり、150mm、地点Dは、68mm、地点Eは、45mm、及び地点Fは、20mmと設定した。以下、底部11の深さを、それぞれ40μm、100μm、120μm、150μmとした場合の従来の基板保持装置1と、第1底部23の深さを40μmとし、第2底部22の深さを100μmとした場合の本実施形態の基板保持装置20との吸着力を比較する。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図10に示す。図10は、450mmウエハを適用した場合の各地点に対する吸着力を示す比較図である。また、図10の各図は、図5の各図に対応している。図10(a)に示すように、初期吸着力は、本実施形態のチャック本体21での中心部においては、底部11の深さが40μmである従来の基板保持装置1よりも小さいが、ウエハ2の形状が極端に反っていない限り、特に影響はない。図10(b)及び図10(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、地点A、B、C、及びDにおいて、本実施形態の基板保持装置20では、従来の基板保持装置1よりも大きい。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、中心領域吸着時でのウエハ外周領域の吸着力は、従来例の2倍以上あり、反ったウエハ2に対して大きな吸着力が期待できる。
次に、上記の450mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の1/2である113mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図11に示す。なお、図11の各図は、図10の各図に対応している。図11(a)に示すように、初期吸着力は、図10(a)と同様の結果である。しかしながら、図11(b)及び図11(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1よりも多少大きな吸着力が発生している。また、中間領域である地点C及びDにおいても、従来の基板保持装置1よりも大きな吸着力が発生している。即ち、この場合も本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対して大きな吸着力が期待できる。
次に、上記の450mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の40%である90mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用して、算出した吸着力の結果を図12に示す。なお、図12の各図は、図10の各図に対応している。図12(a)に示すように、初期吸着力は、図10(a)と同様の結果である。図12(b)及び図12(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1と同等の吸着力が発生している。しかしながら、中間領域である地点C及びDにおいては、従来の基板保持装置1より大きな吸着力が発生している。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対しては、効果は大きくないが、ある程度の吸着力が期待できる。
次に、外径が200mmであり、凹形状に400μm反ったウエハ2に対する計算を実施した。この計算に際し、地点Aは、約100mm、地点Bは、80mm、地点Cは、ウエハ2の半径の2/3の位置であり、67mm、地点Dは、32mm、地点Eは、30mm、及び地点Fは、20mmと設定した。以下、底部11の深さを、それぞれ40μm、100μm、120μm、150μmとした場合の従来の基板保持装置1と、第1底部23の深さを40μmとし、第2底部22の深さを100μmとした場合の本実施形態の基板保持装置20との吸着力を比較する。この条件を上記計算方法に適用し、算出した吸着力の結果を図13に示す。図13は、200mmウエハを適用した場合の各地点に対する吸着力を示す比較図である。また、図13の各図は、図5の各図に対応している。図13(a)に示すように、初期吸着力は、本実施形態のチャック本体21での中心部においては、底部11の深さが40μmである従来の基板保持装置1よりも小さいが、ウエハ2の形状が極端に反っていない限り、特に影響はない。図13(b)及び図13(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、地点A、B、C、及びDにおいて、本実施形態の基板保持装置20では、従来の基板保持装置1よりも大きい。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、中心領域吸着時でのウエハ外周領域の吸着力は、従来例の2倍以上あり、反ったウエハ2に対して大きな吸着力が期待できる。
次に、上記の200mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の1/2である50mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用して、算出した吸着力の結果を図14に示す。なお、図14の各図は、図13の各図に対応している。図14(a)に示すように、初期吸着力は、図14(a)と同様の結果である。しかしながら、図14(b)及び図14(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1よりも多少大きな吸着力が発生している。また、中間領域である地点C及びDにおいても、従来の基板保持装置1よりも大きな吸着力が発生している。即ち、この場合も本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対して大きな吸着力が期待できる。
次に、上記の200mmウエハに対して、地点Cの位置をウエハ2の半径の40%である40mmと変更した場合の吸着力の計算を実施した。その他の条件は、上記と同様である。この条件を上記計算方法に適用して、算出した吸着力の結果を図15に示す。なお、図15の各図は、図13の各図に対応している。図15(a)に示すように、初期吸着力は、図15(a)と同様の結果である。図15(b)及び図15(c)に示すように、中心領域吸着時の吸着力は、本実施形態の基板保持装置20では、地点A及びBにおいて、従来の基板保持装置1と同等の吸着力が発生している。しかしながら、中間領域である地点C及びDにおいては、従来の基板保持装置1より大きな吸着力が発生している。即ち、本実施形態の基板保持装置20では、反ったウエハ2に対しては、効果は大きくないが、ある程度の吸着力が期待できる。
上記の計算結果によれば、ウエハ2の大きさが、300mm、450mm、若しくは200mmのいずれの場合でも、以下のことが証明できる。即ち、基板保持装置20において、第2領域24の外周位置を、反ったウエハ2に対して半径の40%の位置に設定すれば、従来の基板保持装置1よりも若干ではあるが強い吸着力が期待できる。同様に、第2領域24の外周位置を、反ったウエハ2に対して半径の1/2の位置に設定すれば、従来の基板保持装置1よりも強い吸着力が期待できる。更に、第2領域24の外周位置を、反ったウエハ2に対して半径の2/3の位置に設定すれば、従来の基板保持装置1よりも圧倒的に強い吸着力が期待できる。第1領域24の半径は、ウエハ2の半径の40%よりも大きいことが好ましく、さらに、ウエハ2に対して半径の1/2よりも大きいこと、ウエハ2に対して半径の2/3よりも大きいことがより好ましい。
以上のように、本発明の基板保持装置20によれば、チャック本体21に第2領域24を形成し、中心領域での真空排気の空気抵抗を小さくすることにより、ウエハ2の外周部での吸着力を向上させることができる。したがって、基板保持装置20は、ウエハ2が凹形状に大きく反った状態でも、ウエハ2を効率良く平面矯正しつつ、正常に吸着することができる。
(露光装置)
次に、本発明の基板保持装置を適用する露光装置の構成について説明する。図16は、本発明の基板保持装置を適用する露光装置の構成を示す概略図である。露光装置90は、照明光学系91と、レチクルを保持するレチクルステージ92と、投影光学系93と、被処理基板を保持する基板ステージ94とを備える。なお、本実施形態における露光装置90は、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式を採用し、レチクルに形成されたパターンを、被処理基板であるウエハに露光する走査型投影露光装置である。
照明光学系91は、不図示の光源部を備え、レチクルを照明する装置である。光源部において、光源は、例えば、レーザーを使用する。使用可能なレーザーは、波長約193nmのArFエキシマレーザー、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約157nmのF2エキシマレーザー等である。なお、レーザーの種類は、エキシマレーザーに限定されず、例えば、YAGレーザーを使用しても良いし、レーザーの個数も限定されない。また、光源部にレーザーが使用される場合、レーザー光源からの平行光束を所望のビーム形状に整形する光束整形光学系、コヒーレントなレーザーをインコヒーレント化するインコヒーレント光学系を使用することが好ましい。更に、光源部に使用可能な光源は、レーザーに限定されるものではなく、一又は複数の水銀ランプやキセノンランプ等のランプも使用可能である。また、照明光学系91は、レンズ、ミラー、ライトインテグレーター、及び絞り等を含む。一般に、光学系は、コンデンサーレンズ、ハエの目レンズ、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像光学系の順で整列する。照明光学系91は、軸上光、軸外光を問わず使用可能である。ライトインテグレーターは、ハエの目レンズや2組のシリンドリカルレンズアレイ板を重ねることによって構成されるインテグレーター等を含む。なお、ライトインテグレーターは、光学ロッドや回折要素に置換される場合もある。また、開口絞りは、円形絞り、変形照明用の輪帯照明絞り、及び4重極照明絞り等として構成される。
レチクルは、例えば、石英ガラス製の原版であり、転写されるべき回路パターンが形成されている。また、レチクルステージ92は、xy方向に移動可能なステージであって、レチクルを保持する装置である。なお、レチクルステージ92は、レチクルステージ定盤95に保持されている。
投影光学系93は、照明光学系91からの露光光で照明されたレチクル上のパターンを所定倍率(例えば、1/4)で基板上に投影露光する。投影光学系93としては、複数の光学素子のみから構成される光学系や、複数の光学素子と少なくとも一枚の凹面鏡とから構成される光学系(カタディオプトリック光学系)が採用可能である。若しくは、投影光学系93として、複数の光学素子と少なくとも一枚のキノフォーム等の回折光学素子とから構成される光学系や、全ミラー型の光学系等も採用可能である。なお、上記レチクルステージ定盤95及び投影光学系93は、床面(基盤面)96上に、ダンパ97を介した鏡筒定盤98に支持されている。
基板(被処理基板)は、表面上に感光剤(レジスト)が塗布された、シリコンウエハ等の被処理体である。基板ステージ94は、xyz方向に移動可能なステージであって、本発明の基板保持装置を採用し、基板を載置、及び保持する。本発明の基板保持装置は、基板が凹形状に大きく反った状態でも、基板を効率良く平面矯正しつつ、正常に吸着することができるので、露光装置90は、成膜材料と、該成膜材料の厚みに対する許容度が増して、デバイスの高性能化や、コストダウンに貢献する。なお、基板ステージ94は、床面(基盤面)96上に載置されたステージ定盤99上に設置されている。
本実施形態の露光装置90において、レチクルから発せられた回折光は、投影光学系93を通過し、基板上に投影される。該基板とレチクルとは、共役の関係にある。走査型の投影露光装置の場合は、レチクルと基板とを走査することにより、レチクルのパターンを基板上に転写する。なお、ステッパー(ステップ・アンド・リピート方式の露光装置)の場合は、レチクルと基板とを静止させた状態で露光が行われる。
なお、本発明の基板保持装置は、上記のように露光装置に採用されるだけでなく、例えば、液晶基板製造装置、磁気ヘッド製造装置、半導体検査装置、液晶基板検査装置、磁気ヘッド検査装置、若しくはマイクロマシンの製造等においても採用することができる。
(デバイスの製造方法)
次に、本発明の一実施形態のデバイス(半導体デバイス、液晶表示デバイス等)の製造方法について説明する。半導体デバイスは、ウエハに集積回路を作る前工程と、前工程で作られたウエハ上の集積回路チップを製品として完成させる後工程を経ることにより製造される。前工程は、前述の露光装置を使用して感光剤が塗布されたウエハを露光する工程と、ウエハを現像する工程を含む。後工程は、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)と、パッケージング工程(封入)を含む。液晶表示デバイスは、透明電極を形成する工程を経ることにより製造される。透明電極を形成する工程は、透明導電膜が蒸着されたガラス基板に感光剤を塗布する工程と、前述の露光装置を使用して感光剤が塗布されたガラス基板を露光する工程と、ガラス基板を現像する工程を含む。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
上記実施形態では、チャック本体の底部を、中心領域と外周領域とで明確に段差を有するように形成しているが、本発明は、これに限定するものではない。例えば、中心領域と外周領域の境の形状を、傾斜で形成しても良いし、複数段の段差で形成しても良い。この場合でも、上記実施形態と同様の効果を有する。
2 ウエハ
6 ピン
7 隔壁部
10 真空穴
20 基板保持装置
21 チャック本体
22 第2底部
23 第1底部
24 第2領域
25 第1領域
90 露光装置
91 照明光学系
92 レチクルステージ
93 投影光学系
94 基板ステージ

Claims (4)

  1. 複数のピン状凸部が形成された底部と、前記複数のピン状凸部の外周に位置する隔壁部と、前記底部に貫設された真空排気のための真空穴とを備えたチャック本体を有し、前記ピン状凸部の表面を含む載置面に基板が載置された際に前記基板と前記底部との間に形成された領域を真空排気することで前記基板を吸着保持する基板保持装置であって、
    前記底部は、前記真空穴が貫設された中心領域とその外周に設けられた外周領域とを含み、
    前記中心領域の深さは、前記外周領域よりも深く、前記中心領域の半径は、前記基板の半径の2/3以上であることを特徴とする基板保持装置。
  2. 前記中心領域の深さと前記外周領域の深さとの差は、40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  3. 光源部からの光で原版を照明する照明光学系と、前記原版を載置して移動可能なレチクルステージと、前記原版からの光を基板に導く投影光学系と、前記基板を載置して移動可能な基板ステージとを有する露光装置であって、
    前記基板ステージは、請求項1または2に記載の基板保持装置を備えることを特徴とする露光装置。
  4. 請求項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
    露光された基板を現像する工程と、
    を備えることを特徴とするデバイス製造方法。
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