JP5654307B2 - 重量物昇降用のジャッキに用いる直動アクチュエータの製造方法 - Google Patents

重量物昇降用のジャッキに用いる直動アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、直動アクチュエータ及び螺子杆に関し、詳しくは、例えば重量物を載置する載置台や作業者が乗る作業台などを水平に維持したまま昇降させるリフトなどに好適に用いることのできる直動アクチュエータ及びこれに好適に用いることのできる螺子杆に関するものである。
従来、載置台などを水平に維持したまま昇降させるリフトなどに用いられる直動アクチュエータがあり、かかる直動アクチュエータに螺子杆が用いられる場合がある。
例えば、移動対象物を直動する方向に延びる駆動ロッドと、この駆動ロッドに取り付けられたナット部材と、このナット部材と螺合するネジ部材とを具備した直動アクチュエータが知られている(特許文献1を参照)。
特開2004−326417号公報
移動対象物を、精度良く一定の移動距離だけ往復動させようとした場合、上述したような螺子構造の直動アクチュエータを用いればコスト的にも有利になると考えられるが、かかる直動アクチュエータは、車両用の小型ジャッキなどには採用されているものの、より重量のある移動対象物を昇降させるリフトなどには採用されることが少なかった。
それは、螺子杆そのものが大型化することが避けられず、それに伴って螺子杆の重量も増すとともに、大型の螺子の噛み合いの精度を出すことも難しいからである。そのため、結局は油圧シリンダなどからなるアクチュエータが主流となっていた。
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、大型でありながら、簡単な構造でかつ軽量であり、しかも十分な強度を有する直動アクチュエータ及びこれに用いられる螺子杆を提供することを目的とする。
本発明では、アルミ材料又は合成樹脂から形成された所定長さの中空の軸体と、この軸体よりも相対的に高い硬度の金属材料から形成されたコイル状の螺旋条とを予め製造し、前記軸体を断面視で円形状とは異なる形状とし、前記形状は、円形状に対して前記軸体の外周面に前記軸体の軸方向に沿う溝が形成されることによる凹部が存在する異形形状、又は多角形形状とし、次いで、前記軸体の外周面には、前記螺旋条と同ピッチの螺旋溝を形成すると共に、前記螺旋溝内に前記螺旋条を回転しながら巻回することにより螺子杆を構成すると共に、前記螺子杆には内部に雌螺子を形成した駒体を螺合することにより、前記螺子杆と前記駒体の一方の回転により他方を直進進退自在とすることを特徴とする重量物昇降用のジャッキに用いる直動アクチュエータの製造方法とした。
本発明によれば、大型でありながらも螺子を用いた簡単な構成で、一定の距離を正確に対象物を移動させることのできる直動アクチュエータを提供することが可能となる。また、大型でありながら、簡単な構造でかつ軽量であり、しかも十分な強度を有し、しかも、螺子山の精度を出し易い螺子杆が実現できるため、これを直動アクチュエータに好適に用いることができる。
本発明に係る螺子杆の構成の一例を示す説明図である。 同螺子杆の製造手順を示す説明図である。 同螺子杆が直進アクチュエータとして機能する場合の動作説明図である。 本発明に係る直進アクチュエータの一実施形態を示す説明図である。 同直進アクチュエータの他の実施形態を示す説明図である。 螺旋条の説明図である。 直進アクチュエータにおける軸体のキー構造の変形例を示す説明図である。 螺子杆の軸体の態様を示す説明図である。
以下、本発明に係る直進アクチュエータ及びこれに用いられる螺子杆の各実施形態の一例について、図面を参照しながら具体的に説明する。
[螺子杆の構成]
先ず、本実施形態に係る螺子杆10の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る螺子杆10は、所定の肉厚からなる円筒状の軸体1と、軸体1に巻装されて螺子山を形成するコイル状の螺旋条2とから構成されている。
本実施形態に係る軸体1は、例えばアルミ材料(アルミ合金を含む)から形成されており、一方、螺旋条2は少なくとも前記アルミ材料よりも硬度の高い鋼などの金属材料から形成されている。なお、螺旋条2には、例えば、適宜表面処理を施して表面硬度を高くしておくとよい。
このように、本実施形態に係る螺子杆10は、それぞれ独立した異なる材料で形成された軸体1と、螺子山を形成するコイル状の螺旋条2とが組み合わされて構成されている。特に、軸体1を円筒状のアルミ材料で形成する一方、螺子山となる螺旋条2については鋼材料により形成したため、軽量化を図りつつ、十分な強度を確保している。
かかる螺子杆10には、図1に示すように、内周面に、螺旋条2に対応する雌螺子が形成されたナット部材20が螺合することになる。
図1で示した螺子杆10の製造工程について簡単に説明すると、図2(a)に示すように、先ず、アルミ材料を押出成形、あるいは削り出しなどの加工により、所定の肉厚からなる円筒状の中空軸1Aを形成する。
次いで、図2(b)に示すように、この中空軸1Aの外周面1aに、螺旋条2の螺旋ピッチと同じピッチで螺旋溝3を形成して軸体1を形成する。そして、同じく図2(b)に示すように、鋼などの金属材料により形成したコイル状の螺旋条2を、螺旋溝3内に螺旋条2を這わせた状態で螺合させていく。すなわち、螺旋条2の先端部を軸体1の螺旋溝3の始端に合わせて螺旋条2あるいは軸体1を軸周りに回転させることで螺旋条2を軸体1に巻回する。このとき、軸体1の外周面1aから所定高さだけ突出して螺子山を構成するように螺旋溝3の深さは決定されている。
また、本実施形態では、螺旋溝3には金属同士の接合に好適な接着剤(図示せず)を適宜塗布しておき、螺旋条2を螺旋溝3内に固着している。したがって、素材的に十分な硬度を有する螺旋条2は、十分な強度を有する螺子山として機能することになる。
次に、上記構成の螺子杆10が、直進アクチュエータとして機能することを図3を用いて説明する。
図3に示すように、螺子杆10には、回転体としてのナット部材20を螺着させており、かかる螺子杆10を、上側保持体30aと下側保持体30bとからなる螺子杆保持部30の間に遊嵌している。このとき、上側保持体30aと下側保持体30bとの間に形成される間隙30c内に回転体(ナット部材20)を位置させて軸方向への進退ができないようにしている。
また、螺子杆10の下部にはフランジ1bが形成されており、このフランジ1bの外周面にキー1cが突設されている。そして、このキー1cを下側保持体30bに形成したキー溝30dに嵌装している。
かかる構成として、図示するように回転体(ナット部材20)を回転させると、螺子杆10は、回転体(ナット部材20)の回転方向に応じて直進することになる。
なお、上記構成において、キー1cを無くすとともに、螺子杆10の進退を規制する一方、回転体(ナット部材20)を進退自在な構成として螺子杆10を回転させると、その回転方向に応じて回転体(ナット部材20)が螺子杆10に沿って直進方向へ進退することになる。
このように、本実施形態に係る螺子杆10は、直動アクチュエータとして機能することが分かる。
[直動アクチュエータ]
図4は直動アクチュエータの一実施形態であるジャッキ40の説明図である。図示するように、本実施形態に係るジャッキ40は、上述してきた螺子杆10を有する直動アクチュエータを備えている。
すなわち、下部が膨出した略三角フラスコ状に形成してケーシング4の底部に第1べベルギヤ5aを回転自在に配設するとともに、この第1べベルギヤ5aに噛合するように第2べべルギヤ5bを配設している。そして、この第2べべルギヤ5bの基端に、ケーシング4の側面から突出させた回転軸5cの先端を連接している。図中、符号5dは、回転軸5cを回転させる回転力の入力軸と連結する連結部を示し、符号5eは第1べベルギヤ5aの軸受を示している。
螺子杆10は、その基端を前記第1べベルギヤ5aと連結するとともに、この螺子杆10よりも若干短い筒状の駒体21を螺合している。すなわち、駒体21は、前述したナット部材20同様、螺旋条2に対応する雌螺子が内周面に形成されている。
また、この駒体21の外周面にはキー溝21aが形成されており、このキー溝21aにケーシング4の上端部近傍に設けられたキー4aが嵌合している。
かかる構成により、回転軸5cが回転すると、その回転は第2べベルギヤ5b→第1べベルギヤ5aと伝わって螺子杆10が回転する。螺子杆10の回転に伴い、螺子杆10に螺合した駒体21は上昇移動及び下降移動する。なお、図中、符号6は螺子杆10の先端(上端)に螺着したアジャスタであり、このジャッキ40を対象物(不図示)の下方に配置して、螺子杆10を上昇させる前に、対象物の下端面に当接させておくことができる。
他の実施形態に係る直動アクチュエータについて、図5を参照して説明する。図5(a)は平面断面視による説明図、図5(b)は同縦断面視による説明図である。図示した直動アクチュエータは、例えば、これを4機用意して、各螺子杆10の先端を、例えば図示しない作業台の下部4隅にそれぞれ連接してリフトを構成する場合などに好適に用いることができる。すなわち、上述したジャッキ40は、駒体21が螺子杆10に沿って直動したが、この実施形態では、螺子杆10が直動する構成となっている。
図示するように、本実施形態では、螺子杆10に、前述のナット部材20に相当する回転ハンドル22を螺着するとともに、螺子杆10に設けたキー構造7として、回動自在に設けたギヤ7aをキーとして用いている。
すなわち、この場合のキー構造7は、図示しない固定体に連接された4枚の支持板71上に、螺子杆10を囲繞する周壁部72aと、この周壁部72aの左右端から螺子杆10の半径方向に伸延させたギヤ取付壁72bとからなる支持壁72を立設している。この支持壁72に、支軸7bを介してギヤ7aを回動自在に支持している。
ギヤ7aは、螺旋条2に噛合して支軸7bを中心に回転するものであり、回転ハンドル22の回転によって、螺子杆10の軸周りの回転を防止しつつ直動させることができるようになっている。なお、回転ハンドル22は、図示しない電動あるいは油圧動などによる入力部材と連動連結しておくとよい。
このように、本実施形態によれば、螺子杆10と、この螺子杆10に螺合する雌螺子が形成された回転ハンドル22とを具備し、回転ハンドル22を軸周りに回転させることにより、螺子杆10を直線方向に進退可能とした直動アクチュエータが実現される。
上述してきた実施形態では、螺子杆10の螺旋条2としては、図6(a)に示すように、その断面を円形としたが、螺旋条2は、断面が円形のものに限るものではない。例えば、図6(b)に示すように、断面視矩形形状の螺旋条2Aとしてもよいし、図6(c)に示すように、断面視長円状あるいは楕円状の螺旋条2Bとしてもよいし、図6(d)に示すように、断面視六角形などの多角形形状の螺旋条2Cとしてもよい。
また、上述した実施形態では、螺子杆10の軸体1は、その外周面1aに螺旋溝3を形成した中空形状の円筒として説明したが、必ずしも螺旋溝3が形成されたものに限定するものではなく、螺旋条2が軸体1に固着された状態で巻回されていればよい。
図7は直進アクチュエータにおける軸体1のキー構造の変形例を示す説明図であり、それぞれ軸体1の外周面ではなく、内側にキー構造が設けられている。
図7(a)に示したキー構造は、軸体1Bを多角筒状に形成するとともに、内部に軸体1Bと相似形の角筒74を嵌装して軸体1Bが廻ることのないようにキーとして機能させている。
また、図7(b)に示したキー構造は、円筒形の軸体1の内部に軸体1より小径の円筒体75を嵌装するとともに、軸体1と円筒体75との間にキー76を設けている。符号76aはキー溝を示す。なお、図7(c)に示すように、キー溝76aの中に、例えば摺動性が良好なメタル77などを配設して、軸体1の直動性を向上させることもできる。
また、図7(d)に示すように、内部に断面視矩形形状の中空部を形成した軸体1Cに、断面視矩形形状の四角筒78を嵌装して軸体1Cが廻ることのないようにキーとして機能させている。
図7(a)や図7(d)で示したように、軸体1は、必ずしも中空形状の円筒に限定されるものでもない。図8に示すように、さらに多様な形状が考えられる。
図8(a)に示す軸体1Dは、中実の円柱状に形成されている。また、図8(b)に示す軸体1Eは外周面に所定の間隔をあけて複数の溝8を形成している。かかる溝8を形成することにより、例えば切削加工する際に、切屑がチップ状になって切削刃に絡むことがなく、切屑処理が容易になる。なお、この溝8は、キー溝を兼用してもよい。
図8(c)に示した軸体1Fは、図8(b)に示した軸体1Eに中空部9を形成したものであり、図8(d)に示した軸体1Gは、図8(c)に示した軸体1Fに、さらに、螺旋条2を這わせるための螺旋溝3Aを設けた構成としている。
また、図8(e)に示す軸体1Hは、中実の八角柱状に形成したもので、図8(f)に示す軸体1Jは、図8(e)に示した軸体1Hに断面視円形の中空部9を形成したものである。なお、軸体1H,1Jの外形をなす多角形形状としては、特に八角形に限定されるものではない。また、円形ではなく多角形とすることで、前述した溝8と同じように、切削加工する際には切屑がチップ状になるため、これが切削刃に絡むことはなく、やはり切屑処理が容易になる。
また、図8(g)に示した軸体1Kは、断面視略ギヤ形、あるいは星形に形成したものである。ここでは、中空部9を備えた構成としているが、中空部9は無く、中実な柱状に形成されていてもよい。
上述してきた軸体1〜IKの中で、単に円柱ではなく、溝8、螺旋溝3A、あるいは断面視多角形形状にしたものや、中空部9を形成したものについては、螺子杆10としての重量軽減が図れることになる。
以上、説明してきた本実施形態に係る螺子杆10やこれを用いた直動アクチュエータは、軸体1と、螺子山となる部分とを分離形成し、これらを組み合わせて形成されている。つまり、強度や摩擦などに強い材料を螺旋条2により形成し、比重が軽く軽量化できる材料を軸体1として、これらを組み合わせることで、目的に叶って軽量で、かつ強靭な螺子杆10を容易に形成することが可能となる。
また、本実施形態のようにアルミ材料と鋼材の組合せばかりでなく、アルミ材料とステンレス材、あるいは合成樹脂とステンレス材やマグネシウムとチタンなど、様々な組合わせが可能である。
上述してきた実施形態によれば、以下の直動アクチュエータ及び螺子杆10が実現できる。
(1)所定長さの軸体1と、この軸体1に巻装されて螺子山を形成する螺旋条2とからなる螺子杆10と、この螺子杆10に螺合する雌螺子が形成された駒体21(ナット部材20)と、を具備し、前記螺子杆10又は前記駒体21を軸周りに回転させることにより、前記駒体21又は前記螺子杆10を直線方向に進退可能とした直動アクチュエータ。
(2)前記軸体1と前記螺旋条2とは、当該螺旋条2の方が前記軸体1よりも相対的に高い硬度を有する直動アクチュエータ。
(3)前記螺子杆10の軸体1を断面視異形形状とした直動アクチュエータ。
(4)前記軸体1を中空に形成した直動アクチュエータ。
(5)前記軸体1の外周面に前記螺旋条2と同ピッチで螺旋溝3を形成し、当該螺旋溝3内に前記螺旋条2を這わせて巻回した直動アクチュエータ。
(6)前記螺旋溝3内に前記螺旋条2を固着(例えば接着剤により)した直動アクチュエータ。
(7)所定長さの中空状に形成された軸体1と、この軸体1に巻装されて螺子山を形成する螺旋条2とからなる螺子杆10であって、前記軸体1と前記螺旋条2とは、当該螺旋条2の方が前記軸体1よりも相対的に高い硬度を有し、前記軸体1の外周面1aに前記螺旋条2と同ピッチで螺旋溝3を形成するとともに、当該螺旋溝3内に前記螺旋条2を這わせた状態で前記外周面1aから所定高さ突出するように巻回した螺子杆10。
(8)前記軸体1を断面視異形形状とした螺子杆10。
(9)前記螺旋条2を前記螺旋溝3内に固着(例えば接着剤により)した螺子杆10。
なお、本実施形態では、螺子杆10を直動アクチュエータに仕様するものとして説明したが、用途としてはこれに限定するものではなく、対象物同士の締結用などの用途にも用いることができる。
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K 軸体
1a 外周面
2,2A,2B,2C 螺旋条
3,3A 螺旋溝
10 螺子杆
20 ナット部材(回転体)
21 駒体

Claims (1)

  1. アルミ材料又は合成樹脂から形成された所定長さの中空の軸体と、この軸体よりも相対的に高い硬度の金属材料から形成されたコイル状の螺旋条とを予め製造し、
    前記軸体を断面視で円形状とは異なる形状とし、
    記形状は、円形状に対して前記軸体の外周面に前記軸体の軸方向に沿う溝が形成されることによる凹部が存在する異形形状、又は多角形形状とし、
    次いで、前記軸体の外周面には、前記螺旋条と同ピッチの螺旋溝を形成すると共に、前記螺旋溝内に前記螺旋条を回転しながら巻回することにより螺子杆を構成すると共に、前記螺子杆には内部に雌螺子を形成した駒体を螺合することにより、前記螺子杆と前記駒体の一方の回転により他方を直進進退自在とすることを特徴とする重量物昇降用のジャッキに用いる直動アクチュエータの製造方法。
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