JP6219077B2 - ねじ軸の製造方法、リニアアクチュエータの製造方法 - Google Patents
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Description
リニアアクチュエータは、一対の被駆動部材の間に配置される。そして、リニアアクチュエータの直線運動機構部を伸縮させることにより、被駆動部材同士を近接させたり、離間させたりする。
しかし、軸受支持部は、ねじ軸部に隣接するので、その直径がねじ軸部の谷径よりも小径になってしまう。軸受支持部の直径が小さくなると、低負荷容量の軸受を使用せざるを得ないため、リニアアクチュエータの高性能化が阻害されてしまうという問題がある。
一方、高負荷容量の軸受を使用するために、軸受支持部の直径を大きくすると、ねじ軸部の直径を必要以上に大径になってしまう。このため、ねじ軸の低価格化が阻害されてしまうという問題がある。
しかし、棒材の一部のみを転造するため、棒材が曲がってしまい、高精度のねじ軸が得られないという問題がある。また、ねじ軸部と軸受支持部の間に軸受用の突き当て部を設ける必要が生じるため、ねじ軸が必要以上に長くなり、ねじ軸の低価格化が阻害されてしまうという問題がある。
図2は、リニアアクチュエータ1の縦断面図である。
モータ部5と本体部6を連結することにより、ウォームギア7(ウォームシャフト12、ウォームホイール31)が噛み合う。
X方向のうち、ナックルジョイント24側を+X方向、ナックルジョイント45側を−X方向と呼ぶ。Y方向のうち、ウォームシャフト12側を+Y方向、回転モータ11側を−Y方向と呼ぶ。Z方向のうち、本体部6側を−Z方向、モータ部5側を+Z方向と呼ぶ。
回転モータ11は、DCモータであり、不図示の制御部からの指令により駆動される。
モータケーシング13の+Y方向の端面には、ウォームシャフト12の先端を突出させる円形の開口(不図示)が形成される。この開口から突出したウォームシャフト12の先端には、エンコーダ用円板16が取り付けられる。
ウォームホイール(受動ギア)31は、ウォームシャフト12に噛み合って直線運動機構部20に回転力を伝達する。
本体ケーシング32は、ウォームホイール31等を収容する。
支持部40は、直線運動機構部20及びウォームホイール31を本体ケーシング32に対して回転可能に支持する。
本体ケーシング32の−X方向の端面には、ウォームホイール31や支持部40を挿入するための円形の開口32kが形成される。
エンコーダ36は、エンコーダ用円板16とフォトセンサ35からなる。エンコーダ36は、ウォームシャフト12の回転量を検出する。
制御部(不図示)は、エンコーダ36が検出したウォームシャフト12の回転量に基づいて、直線運動機構部20の動作(伸縮)状態を求める。
本体ケーシング32の+Y方向の端面には、エンコーダ用円板16とフォトセンサ35を覆うエンコーダカバー37が取り付けられる。
支持軸部21aには、ウォームホイール31と支持部40が取り付けられる。支持軸部21aのうち、+X方向側の部位(セレーション部21e)にウォームホイール31が、−X方向側の部位に支持部40が、取り付けられる。
ねじ軸21は、端部である支持軸部21aのみが支持される片持ち支持構造を有する。そして、ウォームホイール31が回転すると、ねじ軸21も一緒になって回転する。
このため、ねじ軸21が回転すると、ナット22がねじ軸21に沿ってX方向に移動する。
このため、ナット22がねじ軸21に沿ってX方向に移動すると、ロッド23も一緒になってX方向に移動する。
ナックルジョイント24は、X方向に延びる円柱形部材であり、アルミニウム等から形成される。ナックルジョイント24の+X方向側には、X方向に対して直交する方向に沿う貫通穴24hが設けられる。この貫通穴24hには、被駆動部材に設けられたピン軸(不図示)が挿通される。
これにより、ナックルジョイント24は、リニアアクチュエータ1と被駆動部材を貫通穴24h(ピン軸)を中心にして揺動可能に連結しつつ、被駆動部材に対してリニアアクチュエータ1の運動(伸縮)を伝達する。
ロッドカバー25の−X方向の端部は、本体ケーシング32の開口32jを囲うようにして、本体ケーシング32の+X方向の端部に固定される。
ロッドカバー25の三角筒形部分には、ロッド23のX方向の移動限界を検出する一対のリミットスイッチ27が収容される。リミットスイッチ27は、本体ケーシング32から+X方向に延びるように配置されたプレート28に固定される。一対のリミットスイッチ27は、制御部(不図示)に配線接続される。
支持部40のうち、アンギュラ玉軸受41、ベアリングホルダ42及びロックナット43は、本体ケーシング32のうちの円筒形の部位に収容される。また、アンギュラ玉軸受41、ベアリングホルダ42及びロックナット43は、ねじ軸21の支持軸部21aの−X方向側に取り付けられる。
ベアリングホルダ42は、円筒形の部材であり、その内周面に一対のアンギュラ玉軸受41の外輪が嵌合する。また、ベアリングホルダ42の外周面が本体ケーシング32の開口32kの内周面に嵌合する。
ジョイント付蓋体44の円板形の部分は、本体ケーシング32の開口32kに配置されて、この開口32kを閉塞する。ジョイント付蓋体44の+X方向の端面は、ベアリングホルダ42の−X方向の端面に当接して、ベアリングホルダ42を本体ケーシング32に対して固定する。
これにより、ナックルジョイント45は、リニアアクチュエータ1と被駆動部材を貫通穴45h(ピン軸)を中心にして揺動可能に連結しつつ、被駆動部材に対してリニアアクチュエータ1の運動を伝達する。
図3は、リニアアクチュエータ1の動作を示す図であって、(a)はロッド23を−X方向側に移動させた状態を示し、(b)はロッド23+X方向側に移動させた状態を示す。図3(a),(b)では、ロッドカバー25は不図示である。
また、ウォームギア7は、ウォームホイール31に回転力を与えたとしてもウォームシャフト12が回転しないセルフロック機能を有する。このため、回転モータ11の電源断時においても、リニアアクチュエータ1(直線運動機構部20)の伸縮状態を維持できる。
これにより、ねじ軸21に螺合するナット22がねじ軸21に沿ってX方向に移動する。また、ナット22に連結されるロッド23及びナックルジョイント24もX方向に移動する。
これにより、リニアアクチュエータ1のナックルジョイント24,45に連結された被駆動部材同士を、X方向において近接させたり、離間させたりすることができる。例えば、被駆動部材が昇降機の場合には、リニアアクチュエータ1により昇降台を上下方向(X方向)に移動させることができる。
図4は、ねじ軸21の三面図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)はP‐P断面図である。
図5は、ねじ軸21の製造工程を説明する図である。
ねじ軸21の製造工程は、転造ねじ軸部21bを形成するねじ軸形成工程Aと支持軸部21aを形成する支持軸部形成工程Bからなる。素材である棒材の全長に亘って転造ねじ軸部21bを形成した後に、その転造ねじ軸部21bの一部を追加加工して支持軸部21aを形成する。
以下、ねじ軸21の製造工程を工程順に説明する。
ねじ軸形成工程Aは、転造工程A1からなる。
最初に、素材である円柱形の棒材の全長に亘って転造加工を施して転造ねじ(転造ねじ軸部21b)を形成する(図5(a))。棒材を回転させながら転造ダイス(不図示)を通過させることにより、棒材の全長に亘って転造ねじが形成される。棒材の全長に亘って転造ねじを形成することにより、真直度の高い転造ねじ(転造ねじ軸部21b)が形成される。
次に、ねじ軸21(転造ねじ)が有する二つの端部のうちの一方(−X方向の端部:第一端部21c)に支持軸部21aを形成する。
支持軸部形成工程Bは、溝加工工程B1、プレス工程B2及び切削工程B3からなる。
支持軸部21aは、第一軸受支持部21d、セレーション部(駆動伝達部)21e、第二軸受支持部21f及び雄ねじ21gからなる。+X方向(中央側)から−X方向に向けて、第一軸受支持部21d、セレーション部21e、第二軸受支持部21f、雄ねじ21gの順に隣接(近接)して配置される。
第一軸受支持部21dの形成(プレス工程B2)に先立って、一対の円環溝21vを形成する(図5(b))。
ねじ軸21(転造ねじ)のうち、第一軸受支持部21dが設けられる部位のX方向両側を溝加工する。転造ねじの一部を切削加工して、ねじ軸21の円周に沿う一対の円環溝21vを形成する。
ねじ軸21のうち、円環溝21vよりも+X方向側の転造ねじは、転造ねじ軸部21bとなる。
一対の円環溝21vは、第一軸受支持部21dの形成(プレス工程B2)の際に、余分な金属(素材)が逃げる空間となる。円環溝21vの幅や深さは、適宜、設定できる。
第一軸受支持部(被プレス軸部、軸受支持部)21dは、転造ねじの一部をプレス加工して形成される。第一軸受支持部21dは、深溝玉軸受46の内輪が嵌合する部位である。第一軸受支持部21dは、第一端部21c(支持軸部21a)のうち、最も+X方向側に配置される。
ねじ軸21のうち、一対の円環溝21vに挟まれた部位(転造ねじ)に対してプレス加工を施して、略円柱形に形成する(図5(c))。この際、上述したように、余分な金属(素材)が一対の円環溝21vに逃げ込む。
仕上げ加工の際には、転造ねじ軸部21bの−X方向の端面(円環溝21vの+X方向の側面)が切削される。この端面は、ねじ軸21の中心軸(中心軸6C)に対して垂直な面に形成される。この端面は、深溝玉軸受46の内輪の側面が突き当たる突当面21sとなる。
第一端部21c(支持軸部21a)のうち、第一軸受支持部21dよりも−X方向側に残存する転造ねじを切削加工して、セレーション部21e、第二軸受支持部21f及び雄ねじ21gを順次形成する(図5(d))。また、ねじ軸21のうち、支持軸部21aに近接する部位を切削加工して、二面幅21hを形成する。
セレーション部21eは、ウォームホイール31が嵌合して固定される部位である。第二軸受支持部21fは、アンギュラ玉軸受41の内輪が嵌合する部位である。雄ねじ21gは、ロックナット43が螺合する部位である。
二面幅21hは、組立時等に工具(不図示)に挟持されて、ねじ軸21が回転しないようにするための部位である。
セレーション部21e等の切削加工には、従来工法が用いられる。プレス工程B2における仕上げ加工と切削工程B3とは、同時に行うことができる。
本実施形態に係るねじ軸21の製造方法によれば、第一軸受支持部21dの直径を転造ねじ軸部21bの谷径よりも大径にすることができる。このため、低負荷容量の軸受(深溝玉軸受46)を使用せざるを得ないという事態を回避できる。また、第一軸受支持部21dの直径に応じて転造ねじ軸部21bの直径を設定しなくてもよいので、転造ねじ軸部21bの直径を必要以上に大径にせざるを得ないという事態を回避できる。
このように、ねじ軸21は、転造ねじ軸部21bと第一軸受支持部21dの直径を最適に設定することができる。したがって、ねじ軸21の製造方法によれば、ねじ軸21の低価格化を図ることができる。
また、溝加工工程B1において、一対の円環溝21vを形成する場合について説明したが、これに限らない。円環溝21vを一つだけ形成する場合であってもよい。
被プレス軸部に軸受(深溝玉軸受46)を配置する場合に限らない。ギア等の各種機械部品を配置してもよい。
被プレス軸部は、一つに限らず、複数であってもよい。被プレス軸部の直径、X方向の長さ等は任意に設定できる。
ねじ軸21(転造ねじ軸部21b)が滑りねじを構成する場合について説明したが、これに限らない。ボールねじを構成する場合であってもよい。
Claims (7)
- 棒材を全長に亘って転造して転造ねじ軸部を形成する転造工程と、
前記転造ねじ軸部に円環溝を形成する溝加工工程と、
前記転造ねじ軸部の一部をプレス加工し、余分な素材を前記円環溝に逃げ込ませて被プレス軸部を形成するプレス工程と、
を有するねじ軸の製造方法。 - 前記溝加工工程では、前記転造ねじ軸部に間隔をあけて前記円環溝を一対で形成し、
前記プレス工程では、前記転造ねじ軸部のうち、前記一対の円環溝に挟まれた部位に対してプレス加工し、余分な素材を前記一対の円環溝に逃げ込ませて前記被プレス軸部を形成する請求項1に記載のねじ軸の製造方法。 - 前記被プレス軸部の直径を、前記転造ねじ軸部の山径よりも小径且つ谷径よりも大径に形成する請求項1又は2に記載のねじ軸の製造方法。
- 前記被プレス軸部を、前記転造ねじ軸部の端部に形成する請求項1から3のうちいずれか一項に記載のねじ軸の製造方法。
- 前記被プレス軸部は、前記転造ねじ軸部を回転可能に支持する軸受に嵌合する軸受支持部である請求項1から4のうちいずれか一項に記載のねじ軸の製造方法。
- 前記転造ねじ軸部を回転させる駆動力が伝達される駆動伝達部を、前記被プレス軸部に近接して形成する請求項1から5のうちいずれか一項に記載のねじ軸の製造方法。
- 回転モータと、
前記回転モータに連結された駆動ギアと、
前記駆動ギアに噛み合う受動ギアと、
前記受動ギアに連結されたねじ軸及び前記ねじ軸に螺合するナットからなる送りねじ機構部と、
を備えるリニアアクチュエータの製造方法において、
前記ねじ軸として、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のねじ軸の製造方法により製造されたねじ軸を用いるリニアアクチュエータの製造方法。
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