JP5654071B2 - 高圧引下線固定クリップ - Google Patents
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Description
本発明は、高圧配電線路において、幹線から分岐した高圧引下線を幹線に支持させ固定するための高圧引下線固定クリップに関する。
従来、柱上変圧器等に接続する分岐線を高圧配電線路に設ける際には、高圧引下線(以下、引下線という)の一端に高圧引下線用コネクタ(以下、コネクタという)を取り付け、これを幹線の被覆を剥がした部分(以下、取付箇所という)に接続している。このとき、引下線に張力が掛からないように縁線部分に弛みを持たせて、風や車両の通行等による振動を吸収させている。また、この振動が引下線のコネクタ側に伝わり、引下線とコネクタとの接続点に集中して断線することを防ぐために、作業者は引下線を途中幹線に巻き付け、その後に幹線に沿わせて、引下線の一端に取り付けておいたコネクタを幹線の取付箇所に取り付ける。
この巻き付けは、幹線の取付箇所から原則20cm電柱側に近づいた位置で、引下線を「の」の字状に幹線に巻き付け、幹線に密着するようにしたものである。その後、コネクタを取付箇所に取り付けるが、巻き付け位置からコネクタまでの引下線の長さが、幹線の取付箇所までの長さに対して、長かったり、短かったりして合わない場合には、「の」の字状の巻き付けを幹線に沿って移動させて調節している。
これらの作業は間接活線工具を用いて行うが、幹線に密着するように引下線を「の」の字状に巻くことは難しく、巻き付け位置の調節が必要となった場合にはさらに手間が掛かり、作業者の負担が大きかった。また、作業者の技能レベルによっては上手く巻き付けることが出来ず、縁線部分の振動が引下線とコネクタとの接続点に伝わり、接続点の保護が不十分となってしまうことがあった。
このような問題を解決するために、特許文献1の実願平6−8095号「高圧引下線固定具」が提案されている。特許文献1には、無停電工事用の工具で高圧配電線路へ分岐線を固定する、プラスチック製の断面が逆ひょうたん状の固定具が提案されている。
しかし、この固定具は、一旦取り付けてしまうと、取り付け位置の調整が困難であるという問題があった。また、不意な振動が加わった場合などに、6600Vの充電がされている引下線が幹線から外れて作業者へ接触するおそれがあり実用的ではなかった。
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、高圧引下線を幹線に容易に支持させ固定することができ、高圧引下線及び幹線それぞれの把持位置を個別に調節することが可能な高圧引下線固定クリップを提供することにある。
本発明の高圧引下線固定クリップ(1,2)は、幹線(X,Z)から分岐した高圧引下線(Y)を幹線(X,Z)に支持して固定するために、一側面(a)に幹線(X,Z)を、これに対向する他側面(b)に高圧引下線(Y)を把持する高圧引下線固定クリップ(1,2)であって、前記一側面(a)側に前記幹線(X,Z)に掛け止められるように形成した溝である幹線掛部(11,11a)と、前記他側面(b)側に前記高圧引下線(Y)を嵌め入れられるように形成した溝である引下線嵌入部(12)と、基端(c)に間接活線工具を嵌め込むために軸方向に形成した柱状の穴である嵌入穴(13)と、を有する本体部材(10,10a)と、断面形状が略への字状に形成され、その曲折部が前記本体部材(10,10a)の一側面(a)側に回動可能に連結され、かつ、掛け止めた前記幹線(X,Z)を前記幹線掛部(11,11a)に押し当てるように付勢する弾性部材により、該幹線(X,Z)を固定する幹線固定部材(20,20a)と、断面形状が略への字状に形成され、その曲折部が前記本体部材(10,10a)の他側面(b)側に回動可能に連結され、かつ、嵌め入れた前記高圧引下線(Y)を前記引下線嵌入部(12)に押し当てるように付勢する弾性部材により、該高圧引下線(Y)を固定する引下線固定部材(30)と、を備えた、ことを特徴とする。
また、前記幹線掛部(11,11a)は、前記本体部材(10,10a)の一側面(a)側に先端に向って斜めに切り欠くように形成してもよい。前記引下線嵌入部(12)は、軸方向において、前記幹線掛部(11,11a)と前記嵌入穴(13)との中間部に形成することも望ましい。
前記幹線(X,Z)の径が異なる場合であっても固定可能となるように、前記幹線掛部(11a)は、前記幹線(X,Z)に掛け止めた際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に嵌合する曲面(o,m)を複数有し、前記幹線固定部材(20a)は、前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に当接する当接面(p,n)を複数有し、前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、略同じ曲率である前記曲面(o,m)及び前記当接面(p,n)が略同一円周上に位置するように構成してもよい。
前記幹線(X,Z)の径が異なる場合であっても固定可能となるように、前記幹線掛部(11a)は、前記幹線(X,Z)に掛け止めた際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に嵌合する曲面(o,m)を複数有し、前記幹線固定部材(20a)は、前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に当接する当接面(p,n)を複数有し、前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、略同じ曲率である前記曲面(o,m)及び前記当接面(p,n)が略同一円周上に位置するように構成してもよい。
本発明の高圧引下線固定クリップ(1,2)によれば、「のの字」を作る必要がなく、容易に引下線(Y)を幹線(X,Z)に支持させ固定することができるので、作業時間の短縮や作業員の負担の軽減が可能となる。幹線(X,Z)に引下線(Y)を一旦固定した後でも、幹線掛部(11,11a)と幹線固定部材(20)等からなる幹線(X,Z)を把持するクリップ部(A)や、引下線嵌入部(12)と引下線固定部材(30)等からなる高圧引下線(Y)を把持するクリップ部(B)を緩めて、幹線(X,Z)の把持位置や引下線(Y)の把持位置を容易に調節することができ、効率よく作業することができる。幹線(X,Z)に引下線(Y)を確実に固定できるので、幹線(X,Z)の分岐点の保護性能の均一化が可能であり、断線等の事故を回避することができる。
次に、本発明の実施例1の高圧引下線固定クリップを図面に基づいて説明する。
図1は実施例1の高圧引下線固定クリップ1により幹線X及び引下線Yを固定した状態を示す正面図である。図2は実施例1の高圧引下線固定クリップ1の側面図であり、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。なお、以下図面における上方(高圧引下線固定クリップ1の先端側)を上側と、下方(高圧引下線固定クリップ1の基端側)を下側という。
図1,2に示すように、高圧引下線固定クリップ1は、幹線Xに掛け止め、引下線Yを嵌め入れる本体部材10と、掛け止めた幹線Xを固定する幹線固定部材20と、嵌め入れた引下線Yを固定する引下線固定部材30とを備えている。
図1は実施例1の高圧引下線固定クリップ1により幹線X及び引下線Yを固定した状態を示す正面図である。図2は実施例1の高圧引下線固定クリップ1の側面図であり、(a)は左側面図、(b)は右側面図である。なお、以下図面における上方(高圧引下線固定クリップ1の先端側)を上側と、下方(高圧引下線固定クリップ1の基端側)を下側という。
図1,2に示すように、高圧引下線固定クリップ1は、幹線Xに掛け止め、引下線Yを嵌め入れる本体部材10と、掛け止めた幹線Xを固定する幹線固定部材20と、嵌め入れた引下線Yを固定する引下線固定部材30とを備えている。
本体部材10は、軽量で耐候性に優れた樹脂等からなる略直方体形状の部材であり、幹線Xを掛け止める幹線掛部11と、引下線Yを嵌め入れる引下線嵌入部12と、間接活線工具の先端工具を嵌め込む嵌入穴13とを有している。
幹線掛部11は、本体部材10の一側面aの上部に、短辺に平行に、かつ、斜め上方(先端に向かって斜め)に切り欠くように形成された、横断面が略U字状の柱状形状の溝である。幹線掛部11は、幹線Xに掛け止めた際に幹線Xと嵌合する幹線嵌合部iと、幹線Xを幹線嵌合部iに導くために幹線嵌合部iの両端を延ばすように開口側に設けられた、略対向する上面及び下面とからなる幹線案内部fとを有する。幹線嵌合部iは、横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Xの外周面の曲率と略同一であり、幹線Xの外周面に密接可能となるように形成されている。幹線案内部fの上面は、幹線掛部11の横断面における幹線嵌合部iの上端をその接線方向に延長するように形成した平面であり、幹線案内部fの下面は、幹線掛部11の横断面における幹線嵌合部iの下端をその接線方向に延長するように形成した平面である。また、幹線案内部fはその開口側が若干拡がるように形成されている。
幹線掛部11が形成された一側面aと対向する他側面bには、その下側(基端側)に、上側(先端側)と比べて両側面a,b間の厚さが薄くなるように形成された段差部dが設けられている。引下線嵌入部12は、この段差部dの上部に、短辺に平行に、かつ、略水平方向(一側面aに向かって略垂直)に切り欠くように形成された、横断面が略U字状の柱状形状の溝である。引下線嵌入部12は、引下線Yを嵌め入れた際に引下線Yと嵌合する引下線嵌合部kと、引下線Yを引下線嵌合部kに嵌め入れるために引下線嵌合部kの両端を延ばすように設けられた、略対向する上面及び下面とからなる開口部gとを有する。引下線嵌合部kは、横断面が円弧状であり、その曲率は引下線Yの外周面の曲率と略同一であり、引下線Yの外周面に密接可能となるように形成されている。開口部gの上面は、引下線嵌入部12の横断面における引下線嵌合部kの上端をその接線方向に延長するように形成した平面であり、開口部gの下面は、引下線嵌入部12の横断面における引下線嵌合部kの下端をその接線方向に延長するように形成した平面である。また、開口部gはその開口側が若干拡がるように形成されている。
嵌入穴13は、本体部材10の下面(基端)cに、先端側に向って(軸方向に)凹むように形成した柱状の穴である。作業をする際には、間接活線工具に着脱可能に取り付けられ、対向する把持片からなる把持部を有する先端工具の一方の把持片(図示せず)が嵌脱可能に嵌め込まれる。
幹線固定部材20は、本体部材10の一側面aの対向する長辺の略中央部分に突設された連結部14xに、回動可能に支持されている。幹線固定部材20は断面形状が略への字状の板状部材であり、その曲折部が、連結部14xの中央に設けられた貫通孔hに挿着される支軸24を介して、先端部21(曲折部の上側)及び基端部22(曲折部の下側)が本体部材10に対してシーソー状に可動するように、本体部材10の連結部14xに連結されている。また、幹線固定部材20は、幹線固定部材20の基端部22と本体部材10の一側面a下側との間に固設された板バネやコイルバネ等の弾性部材(図示せず)によって先端部21が閉じるように付勢されている。
幹線固定部材20は、その先端部21の本体部材10側の面に、突出するように短手方向(図2における横方向)に形成された条である突条部23を有する。この突条部23は、その横断面が略M字状であり、先端部分に幹線掛部11に掛け止めた幹線Xを幹線嵌合部iに押し当てて固定する当接面jを有し、この当接面jの上側及び下側の面は、幹線Xを固定した際に幹線掛部11の幹線案内部fに沿うように形成されている。当接面jは、横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Xの外周面の曲率と略同一であり、幹線Xの外周面に密接可能となるように形成されている。なお、上述した幹線掛部11の幹線案内部fの上面は、幹線固定部材20を回動させた際に突条部23がぶつかることのないように、支軸24からの距離が一番長い箇所(本実施例においては当接面jの上端部分)が描く軌跡を考慮して形成されている。
幹線固定部材20の先端部21と基端部22の角度は、基端部22に力を加え本体部材10に接する状態にしたときに、先端部21と本体部材10との間を幹線Xが通過できるような角度となっている。幹線固定部材20の基端部22の本体部材10側と反対の面(以下、表面という)には、作業性を向上させるために、滑り止め用のゴム製又は樹脂製の弾性シート25が貼り付けられており、間接活線工具の先端工具で掴みやすいように構成されている。
引下線固定部材30は、本体部材10の段差部dの対向する長辺の略中央部分に突設された連結部14yに、回動可能に支持されている。引下線固定部材30は断面形状が略への字状の板状部材であり、その曲折部が、連結部14yの中央に設けられた貫通孔hに挿着される支軸34を介して、先端部(曲折部の上側)31及び基端部(曲折部の下側)32が本体部材10に対してシーソー状に可動するように、本体部材10の連結部14yに連結されている。また、引下線固定部材30は、引下線固定部材30の基端側32と本体部材10の段差部d下側との間に固設された板バネやコイルバネ等の弾性部材(図示せず)によって先端側31が閉じるように付勢されている。
引下線固定部材30は、その先端部31の本体部材10側の面に、突出するように突出するように短手方向(図2における横方向)に形成された条である突条部33を有する。この突条部33は、その横断面が略M字状であり、先端部分に引下線嵌入部12に掛嵌め入れた引下線Yを引下線嵌合部kに押し当てて固定する当接面lを有し、この当接面lの上側及び下側の面は、引下線Yを固定した際に引下線嵌入部12の開口部gに沿うように形成されている。当接面lは、横断面が円弧状であり、その曲率は引下線Yの外周面の曲率と略同一であり、引下線Yの外周面に密接可能となるように形成されている。なお、上述した引下線嵌入部12の開口部gの上面は、引下線固定部材30を回動させた際に突条部33がぶつかることのないように、支軸34からの距離が一番長い箇所(本実施例においては当接面lの上端部分)が描く軌跡を考慮して形成されている。
引下線固定部材30の先端部31と基端部32の角度は、基端部32に力を加え本体部材10に接する状態にしたときに、先端部31と本体部材10との間を引下線Yが通過できるような角度となっている。引下線固定部材30の基端部32の本体部材10側と反対の面(以下、表面という)には、作業性を向上させるために、滑り止め用のゴム製又は樹脂製の弾性シート35が貼り付けられており、間接活線工具の先端工具で掴みやすいように構成されている。
このように、高圧引下線固定クリップ1は、本体部10及び幹線固定部材20等からなるクリップ部Aにより一側面aに幹線Xを、本体部10及び引下線固定部材30等からなるクリップ部Bにより他側面bに引下線Yを、それぞれ把持して固定することができる。なお、本体部材10の両側面a,bの短手方向(図2における横方向)の長さは、幹線X及び引下線Yに掛かる張力が一点に集中するのを防ぐために、また嵌入穴13を形成するために、ある程度の長さを有し、例えば40mm〜60mmである。また、嵌入穴13の大きさは、間接活線工具の一方の把持片が嵌脱可能に嵌め込まれる大きさであり、先端工具の大きさにもよるが、例えば幅30mm、厚さt12mm、奥行u20mmである。幹線固定部材20及び引下線固定部材30の先端部21,31の表面には、作業者が幹線Xと引下線Yのいずれを把持させればよいのかがわかるように文字又は着色による表示Eがなされている。
次に、高圧引下線固定クリップ1の使用方法について説明する。
作業者は、まず、手で引下線固定部材30の基端部32が本体部材10に接するように掴んでクリップ部Bの先端側を開き、停電状態の引下線Yを引下線嵌入部12に嵌め入れ、クリップ部Bに把持させて固定する。次に、嵌入穴13に間接活線工具の先端工具の一方の把持片を嵌め込み、他方の把持片により幹線固定部材20の基端部22の表面の弾性シート25部分に当て、本体部材10に接するようにクリップ部Aの基端側を掴んで、クリップ部Aの先端側を開き幹線Xに掛け止める。そして、掴んでいた力を緩めてクリップ部Aの先端側を閉じて幹線Xをクリップ部Aに把持させて固定し、高圧引下線固定クリップ1から間接活線工具の先端工具を抜き取る。その後、引下線Yの先端に取り付けたコネクタを、間接活線工具を用いて無停電状態の幹線Xの取付箇所に接続する。
作業者は、まず、手で引下線固定部材30の基端部32が本体部材10に接するように掴んでクリップ部Bの先端側を開き、停電状態の引下線Yを引下線嵌入部12に嵌め入れ、クリップ部Bに把持させて固定する。次に、嵌入穴13に間接活線工具の先端工具の一方の把持片を嵌め込み、他方の把持片により幹線固定部材20の基端部22の表面の弾性シート25部分に当て、本体部材10に接するようにクリップ部Aの基端側を掴んで、クリップ部Aの先端側を開き幹線Xに掛け止める。そして、掴んでいた力を緩めてクリップ部Aの先端側を閉じて幹線Xをクリップ部Aに把持させて固定し、高圧引下線固定クリップ1から間接活線工具の先端工具を抜き取る。その後、引下線Yの先端に取り付けたコネクタを、間接活線工具を用いて無停電状態の幹線Xの取付箇所に接続する。
コネクタの位置が取付箇所の位置とずれてしまったときには、間接活線工具でクリップ部A又はクリップ部Bの基端側を掴んで緩め、幹線Xや引下線Yの把持位置を調節して、被覆を噛み込まないように取付箇所の中央にコネクタを取り付けることができる。
クリップ部Bの基端側を掴む際には、クリップ部Aと同様、嵌入穴13に間接活線工具の先端工具の一方の把持片を嵌め込み、他方の把持片を引込線固定部材30の後端側32の表面の弾性シート35部分に当てて掴む。間接活線工具の先端工具の一方の把持片は本体部材10の嵌入穴13に嵌め込まれて固定されるので、確実に作業を行うことができる。なお、引下線Yの把持位置がずれている際には、一度幹線Xから高圧引下線固定クリップ1を取り外して、手元で調整することも可能である。
高圧引下線固定クリップ1によれば、本体部材10及び幹線固定部材20等からなるクリップ部A及び本体部材10と引下線固定部材30等からなるクリップ部Bにより、幹線X及び引下線Yをそれぞれ移動しないように把持して、引下線Yを幹線Xに容易に支持させ固定することができる。「のの字」を作る必要がないので、作業時間の短縮や作業員の負担の軽減が可能となり作業性を向上させることができる。幹線Xに引下線Yを一旦固定した後でも、クリップ部A又はクリップ部Bを緩めれば、幹線X又は引下線Yの把持位置の調節が可能であるので、効率よく作業することができ、様々な工法や装柱状況にも柔軟に対応することができる。幹線Xに引下線Yを確実に固定できるので、幹線Xの分岐点の保護性能の均一化が可能であり、断線等の事故を回避することができる。
高圧引下線固定クリップ1は、幹線掛部11が先端に向って斜めに切り欠くように形成されているので、幹線Xに容易に掛け止めることができる。また、本体部材10は、その側面a,bの短手方向に、ある程度の長さを持たせた形状であるので、幹線X、引下線Y及び高圧引下線固定クリップ1をスライドするように移動させることができ、把持位置の調節作業を容易に行うことができる。また、本体部材10に段差部dを形成し、幹線掛部11と引下線嵌入部12とを軸方向(上下方向)に互い違いにずらすように設けたことにより、本体部材10を小型化、軽量化することができ、幹線Xへの取り付け作業をより容易に行うことができる。
図3は、実施例1の高圧引下線固定クリップ1の変形例である高圧引下線固定クリップ2の正面図である。高圧引下線固定クリップ2は、高圧引下線固定クリップ1の本体部材10の幹線掛部11と幹線固定部材20の当接面jの形状を変形させたものであり、掛け止める幹線Zの径が幹線Xの径よりも大きい場合であっても使用できるように構成したものである。なお、高圧引下線固定クリップ1と同様の構成については、同様の名称、符号を付し、重複する説明を省略する。
高圧引下線固定クリップ2の幹線掛部11aは、本体部材10aの一側面aの上部に、短辺に平行に、かつ、斜め上方に切り欠くように形成された、横断面が略U字状の柱状形状の溝である。幹線掛部11aは、幹線Zに掛け止めた際に幹線Zと嵌合する幹線嵌合部mと、幹線Zを幹線嵌合部mに導くために幹線嵌合部mの両端を延ばすように開口側に設けられた、略対向する上面及び下面とからなる幹線案内部sとを有すると共に、幹線嵌合部mの奥側(開口側と反対側)に、本体部材10aを切り欠くように形成した、横断面が略三日月状の柱状形状の溝であり、幹線Xに掛け止めた際に幹線Xと嵌合する幹線嵌合部oを有する。
幹線掛部11aの開口側の幹線案内部sは、その上面と下面の間隔が高圧引下線固定クリップ1よりも広く形成されており、幹線Xよりも径の太い幹線Zも嵌め入れることができるようになっている。幹線嵌合部mは2つの面からなり、それぞれ横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Zの外周面の曲率と略同一であり、幹線Zの外周面に密接可能となるように形成されている。また、幹線嵌合部oは、横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Xの外周面の曲率と略同一であり、幹線Xの外周面に密接可能となるように形成されている。
また、2つの幹線X,Zに掛け止められるように形成された幹線掛部11aに対応して、幹線固定部材20aの突条部23aの当接面も2つの曲面p,nからなり、上側に形成された当接面pは、横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Xの外周面の曲率と略同一であり、下側に形成された当接面nは、横断面が円弧状であり、その曲率は幹線Zの外周面の曲率と略同一である。
横断面において、同一の曲率を有する幹線嵌合部m及び当接面n、幹線嵌合部o及び当接面pは、幹線Z、幹線Xを把持する際に、それぞれ略同一円周上に位置するように構成されている。
横断面において、同一の曲率を有する幹線嵌合部m及び当接面n、幹線嵌合部o及び当接面pは、幹線Z、幹線Xを把持する際に、それぞれ略同一円周上に位置するように構成されている。
高圧引下線固定クリップ2の使用方法は、高圧引下線固定クリップ1と略同じである。高圧引下線固定クリップ2に掛け止められる幹線が高圧引下線固定クリップ1において説明した幹線Xと同じ径である場合には、幹線固定部材20aの突条部23aの当接面pにより、本体部材10aの幹線嵌合部oに押圧されて把持される。また、掛け止められる幹線が幹線Xよりも径が大きい幹線Zである場合には、幹線固定部材20aの突条部23aの当接面nにより、本体部材10aの幹線嵌合部mに押圧されて把持される。
高圧引下線固定クリップ2によれば、上述した実施例1の高圧引下線固定クリップ1において述べた効果の他に、以下のような効果がある。
幹線掛部11a及び幹線固定部材20aの突条部23aを上述のような形状とすることにより、掛け止める幹線X,Zの太さが異なる場合であっても、クリップ部Aにより移動することのないようにしっかり把持し固定することができる。汎用性がある構成であるので、経済的である。
幹線掛部11a及び幹線固定部材20aの突条部23aを上述のような形状とすることにより、掛け止める幹線X,Zの太さが異なる場合であっても、クリップ部Aにより移動することのないようにしっかり把持し固定することができる。汎用性がある構成であるので、経済的である。
なお、本発明の高圧引下線固定クリップ1,2は、2つのクリップ部A,Bにより、幹線X,Z、引下線Yをそれぞれ移動しないように把持し固定することができれば、図示したような構成に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる。例えば、クリップ部Aだけでなく、クリップ部Bも太さの異なる引下線Yを把持できるような構成とすることもできる。クリップ部A、クリップ部Bを3種類以上の太さの幹線、引下線に対応できるような形状としてもよい。また、対向する面に互い違いとなるように2つのクリップ部A,Bを設けたが、本体部材10を軸方向に伸ばした形状として、3つ以上のクリップ部を設けることもできる。
本発明の高圧引下線固定クリップは、略平行に配設される線状部材を固定することが有用なものであれば、様々な設備において応用して利用することができる。
1,2 高圧引下線固定クリップ
10,10a 本体部材
20,20a 幹線固定部材
30 引下線固定部材
11,11a 幹線掛部
12 引下線嵌入部
13 嵌入穴
14x,14y 連結部
23,23a,33 突条部
24,34 支軸
A,B クリップ部
X,Z 幹線
Y 引下線
10,10a 本体部材
20,20a 幹線固定部材
30 引下線固定部材
11,11a 幹線掛部
12 引下線嵌入部
13 嵌入穴
14x,14y 連結部
23,23a,33 突条部
24,34 支軸
A,B クリップ部
X,Z 幹線
Y 引下線
Claims (4)
- 幹線(X,Z)から分岐した高圧引下線(Y)を幹線(X,Z)に支持して固定するために、一側面(a)に幹線(X,Z)を、これに対向する他側面(b)に高圧引下線(Y)を把持する高圧引下線固定クリップ(1,2)であって、
前記一側面(a)側に前記幹線(X,Z)に掛け止められるように形成した溝である幹線掛部(11,11a)と、前記他側面(b)側に前記高圧引下線(Y)を嵌め入れられるように形成した溝である引下線嵌入部(12)と、基端(c)に間接活線工具を嵌め込むために軸方向に形成した柱状の穴である嵌入穴(13)と、を有する本体部材(10,10a)と、
断面形状が略への字状に形成され、その曲折部が前記本体部材(10,10a)の一側面(a)側に回動可能に連結され、かつ、掛け止めた前記幹線(X,Z)を前記幹線掛部(11,11a)に押し当てるように付勢する弾性部材により、該幹線(X,Z)を固定する幹線固定部材(20,20a)と、
断面形状が略への字状に形成され、その曲折部が前記本体部材(10,10a)の他側面(b)側に回動可能に連結され、かつ、嵌め入れた前記高圧引下線(Y)を前記引下線嵌入部(12)に押し当てるように付勢する弾性部材により、該高圧引下線(Y)を固定する引下線固定部材(30)と、を備えた、ことを特徴とする高圧引下線固定クリップ。 - 前記幹線掛部(11,11a)は、前記本体部材(10,10a)の一側面(a)側に先端に向って斜めに切り欠くように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の高圧引下線固定クリップ。
- 前記引下線嵌入部(12)は、軸方向において、前記幹線掛部(11,11a)と前記嵌入穴(13)との中間部に形成された、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧引下線固定クリップ。
- 前記幹線(X,Z)の径が異なる場合であっても固定可能となるように、
前記幹線掛部(11a)は、前記幹線(X,Z)に掛け止めた際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に嵌合する曲面(o,m)を複数有し、
前記幹線固定部材(20a)は、前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、該幹線(X,Z)の外周面の曲率と略同じ曲率の円弧状となるように形成された、該幹線(X,Z)の外周面に当接する当接面(p,n)を複数有し、
前記幹線(X,Z)を固定する際に、該幹線(X,Z)の軸線方向に垂直な断面において、略同じ曲率である前記曲面(o,m)及び前記当接面(p,n)が略同一円周上に位置するように構成した、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の高圧引下線固定クリップ。
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