JP5653876B2 - レーザー吸収層付き銅箔および該銅箔を用いた銅張り積層板及びプリント配線板 - Google Patents

レーザー吸収層付き銅箔および該銅箔を用いた銅張り積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は高密度配線回路(ファインパターン)を有するプリント配線板に適したるレーザー吸収層付き銅箔に関するもので、特にCOレーザーによる穴あけ加工性に優れるレーザー吸収層付き銅箔に関するものである。
また本発明は前記レーザー吸収層付き銅箔を用いた銅張り積層板及びプリント配線板に関するものである。
プリント配線板は、次のようにして製造されている。
まず、ガラスエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などから成る電気絶縁性の基板の表面に、表面回路形成用の薄い銅箔を置いたのち、加熱・加圧して銅張り積層板を製造する。
次いで、その銅張り積層板に、スルーホールの穿設、スルーホールめっきを順次行ったのち、該銅張り積層板の銅箔にエッチング処理を行って所望する線幅と所望する線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダーレジスト塗布、露光、スルーホールめっきまたは電子部品の接続部のめっきを露出するため、苛性ソーダなどにより、未硬化のソルダーレジストの除去やその他の仕上げ処理が行われる。
このときに用いる銅箔は、基板に熱圧着される側の表面を粗化面とし、この粗化面で該基板に対するアンカー効果を発揮させ、もって該基板と銅箔との接合強度を高めてプリント配線板としての信頼性を確保している。
更に最近では、銅箔の粗化面に予めエポキシ樹脂のような接着用樹脂を貼着し、該接着用樹脂を半硬化状態(Bステージ)の絶縁樹脂層とした樹脂付き銅箔を表面回路形成用の銅箔として用い、その絶縁樹脂層の側を基板(絶縁基板)に熱圧着してプリント配線基板、とりわけビルドアップ配線基板を製造することが行われている。該ビルドアップ配線基板では、各種電子部品を高度に集積化する要望がなされ、これに対応して、配線パターンも高密度化が要求され、微細な線幅や線間ピッチの配線パターン、いわゆるファインパターンのプリント配線基板が求められるようになってきている。例えば、線幅や線間ピッチがそれぞれ15μm前後という高密度極微細配線を有するプリント配線基板が要求されている。
このようなプリント配線を形成する銅箔として厚い銅箔を用いると、回路形成時のエッチングにおいて、銅箔を基材の表面までエッチングするために必要な時間が長くなり、その結果、形成される配線パターンにおける側壁の垂直性が崩れて、次式で示されるエッチングファクター(Ef)が小さくなる。
Ef=2H/(B−T)
(ここで、Hは銅箔の厚み、Bは形成された配線パターンのボトム幅、Tは形成された配線パターンのトップ幅である)
このような問題は、形成する配線パターンにおける配線の線幅が広い場合にはそれほど深刻な問題にならないが、線幅が狭い配線パターンの場合には断線に結びつく危険性があり、問題視される。
一方、薄い銅箔の場合はEf値を大きくすることができる。しかし、基板との接合強度を確保するために、銅箔の基板との接着側表面を粗化面とし、粗化面の突起部を基板に喰い込ませるように形成するため、この喰い込んだ突起部を完全にエッチング除去する必要ある。該喰い込んだ突起部を完全に除去しないと、それが残銅となり、配線パターンの線間ピッチが狭い場合には絶縁不良を引き起こす危険性がある。
したがって、該喰い込んだ突起部をエッチング除去するために長時間のエッチング処理が必要となり、この過程で既に形成されている配線パターンの側壁のエッチングも進行してしまい、結局はEf値が小さくなる現象が生じている。
薄い銅箔を用いる場合、その表面粗度を小さくすればこのような問題を解消できることは事実であるが、その場合には銅箔と基板との接合強度が小さくなるため信頼性に富むファインな配線パターンのプリント配線板を製造することが困難となる。
また、薄い銅箔の場合は、その機械的強度が低いので、プリント配線板(銅張り積層板を含む)の製造時に銅箔に皺や折れ目が発生しやすく、更には銅箔が破れたりすることがあり、取り扱いに細心の注意を払わなければならず、作業に高度の熟練を要するという問題もある。
このように、Ef値が大きく、かつ基板との接合強度も高く、ファインな配線パターンが形成可能なプリント配線板を製造することは、実際問題としてかなり困難である。特に、線間や線幅が15μm前後の高密度極微細配線の配線パターンを市販されている銅箔を用いて形成することは事実上非常に難しく、それを可能にする銅箔の開発が強く望まれているのが実状である。
これらのキャリア付き薄銅箔の具体例を図1に模式図として示す。キャリア付き薄銅箔は、キャリアとしての銅箔1(以下、「キャリア銅箔」と言う)の片面に、剥離層2と薄銅箔4がこの順序で形成されている。該薄銅箔4の表面が粗化面4aとなっている。そして、その粗化面4aをガラスエポキシ基板(図示せず)に重ね合わせたのち全体を熱圧着し、次いでキャリア銅箔1を剥離・除去し、該薄銅箔の該キャリア銅箔との接合側を表出せしめ、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
なお、ここでキャリアの材質は銅、SUS、アルミニウム、鋼等から選ぶことが可能である。しかし、取り扱いのしやすさ、キャリア上への剥離層2、薄銅箔4の形成のしやすさから、銅箔が最も適している。
キャリア銅箔1は前記の薄銅箔4を基板と接合するまで薄銅箔の強度をバックアップする補強材(キャリア)として機能する。更に、剥離層2は、前記の薄銅箔4と該キャリア銅箔1とを分離する際の剥離をよくするための層であり、該キャリア銅箔1をきれいにかつ容易に剥がすことが出来るようになっている
一方ガラスエポキシ基板と張り合わされた薄銅箔4は、スルーホールの穿設,スルーホールめっきを順次行ったのち、該銅張り積層板の表面にある銅箔にエッチング処理を行って所望する線幅と所望する線間ピッチを備えた配線パターンを形成し、最後に、ソルダーレジスト塗布、露光、スルーホールめっきまたは電子部品の接続部のめっきを露出するため、苛性ソーダなどにより、未硬化ソルダーレジストの形成やその他の仕上げ処理が行われる。
こうしたキャリア付き薄銅箔は、銅箔自体を数μmといったレベルに薄くすることができるため、ファインパターンを切ることが可能であり、しかも、取り扱い時のハンドリング性に優れるという理由から、特にビルドアップ配線基板を製造する際に適した銅箔である。
こうしたファインパターン用途に使われる銅箔としては、厚さ9μm以下、特に5μm以下の銅箔が適している。
このようなファインパターン用途に使われる薄銅箔としては、 キャリア箔の表面に微細銅粒を付着形成し、有機系接合界面層を形成し、その接合界面層上に電解銅箔層を析出形成させたキャリア箔付電解銅箔として提供される。前記キャリア箔に付着形成した微細銅粒は、目視によれば褐色から黒色の範囲の色彩として捉えられ、微細銅粒の粒径が0.01μm〜5.0μmであるキャリア箔付電解銅箔(特許文献1参照)、或いは、銅箔の片面側に所定厚のニッケル層又はコバルト層を設けた表面処理銅箔、若しくはキャリア箔と電解銅箔層との間に所定厚のニッケル層又はコバルト層を備えたキャリア箔付電解銅箔(特許文献2参照)が提案されている。
なお、ここでキャリア付き薄銅箔の薄銅箔とは、通常2μmから9μm位の厚さのものを指す。これは2μmより薄くなるとピンホールが多くなり実用的でないためである。また9μmを越えるような厚さであるとキャリアを付ける必要がなくなってくるからである。
しかし、上記提案のキャリア付き薄銅箔には以下のような問題点が顕在化してきた。
ビルドアップ配線板のビア形成には、高生産性等の理由からCO ガスレーザーによるレーザービア法が主流となっている。しかし、従来のキャリア付き薄箔にCOガスレーザーを用いる場合、COガスレーザーの波長は10,600nm前後の赤外線の領域であるため、銅箔表面はこの領域の光及び電磁波のほとんどを反射してしまい、したがって直接穴明け加工ができない。そのため、銅箔のビア形成部分の箔を前もってエッチングにより除去し、基材に穴明け加工を行うコンフォーマルマスク法が行われている。
コンフォーマルマスク法は、薄銅箔のビアホールを開けたい部分にエッチングレジストを被覆せず、他の部分にはエッチングレジストを被覆して薄銅箔をエッチングしてビアホール部分の銅箔を削除してからCOガスレーザーで基板(樹脂部分)に穴あけ加工をするという煩雑な方法をとる。
これに対してCOガスレーザーを用いて、薄銅箔と樹脂部分が同時に穴あけ加工が出来れば、穴あけ加工を簡略化することが可能となる。
この問題に対して、本願出願人はキャリア箔の表面に、剥離層と、拡散防止層と、薄銅箔をこの順序に形成し、前記剥離層がクロム層であり、前記拡散防止層がCOガスレーザーが発振する波長の光を吸収しやすい層であり、薄銅箔の表面が粗面化されているキャリア付き薄銅箔を開発した(特許文献3参照)。
この開発は、COガスレーザーが発振する波長の光を吸収しやすい層を、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、銅、アルミニウム、及びリンからなる群から選ばれる元素からなり、単一金属の層、2種以上の金属の合金層または1種以上の金属酸化物層で形成したキャリア付き薄銅箔である。
特開2001−62955 特開2005−260250 特開2006−22406号
しかし、この薄銅箔を使った場合、以下の問題点が顕在化してきた。
(1)ビルドアップ配線板でレーザー穴あけ加工を行う際に、穴周辺部に前記COガスレーザーが発振する波長の光を吸収しやすい層及び薄銅が飛び散り、銅の盛り上がりが生成する。通常、この盛り上がりを過酸化水素−硫酸系のソフトエッチング液により溶解除去し、その後に行うスルーホールめっきが正常にめっきできるように工作している。すなわち、穴周囲の銅盛り上がりの上にさらに銅めっきがなされると、他の部分に比較して、その部分だけ銅めっきの厚さが厚くなってしまう。従って銅の盛り上がりをソフトエッチングにより除去しているが、銅の盛り上がり部分だけを選択的に除去することは極めて困難である。
(2)また、COガスレーザーが発振する波長の光を吸収しやすい層(特許文献3ではニッケル、コバルト、鉄、亜鉛、マンガン、クロム、錫、リンからなる群より選ばれた1種以上の元素を含有する金属層)を薄銅箔の表面に多く付着すると、レーザー穴あけ加工後、スルーホール銅めっきを行う際、このような金属層をエッチングにより溶解除去する必要がある。ここで、通常使用されている過酸化水素−硫酸系のソフトエッチング液は、この金属層とともに銅も溶解するため、薄銅箔の厚さにばらつきが生じることがある。このため、高密度極微細配線に必要とする線幅や線間ピッチ(例えば15μm)の直進性を保持することが困難となる不具合が発生する。
本発明は上記問題点を解消し、CO2レーザーによる穴あけを可能とし、かつ、穴あけに際してあけた穴周辺の盛り上がりがなく、レーザー吸収層の厚さを必要最小限に抑えたレーザー吸収層付き銅箔を提供することを課題とする。
本発明によれば、レーザー吸収層が銅箔表面に設けられているレーザー吸収層付き銅箔であって、
該レーザー吸収層表面は、その表面粗さRz=2.0μm以下、明度L=30、色度a=7、色度b=3の基準色に対し、色差ΔE=6以下であり
前記レーザー吸収層が、波長9〜12μmの光に対して、消光係数κ=25以上である2種以上の元素で構成され、かつ前記2種以上の金属元素の内の1種は少なくとも原子量50〜70の中の金属元素であり、該金属元素と他の元素との単位面積あたりの原子数比=1〜5であり、
前記レーザー吸収層を構成する元素の総付着量が0.2mg/dm 2 以下である、
レーザー吸収層付き銅箔が提供される。
また本発明によれば、キャリア箔の一方の面に、剥離層、レーザー吸収層、薄銅箔がこの順に形成されているレーザー吸収層付き銅箔であって、
前記キャリア箔と前記薄銅箔とを剥離した時の前記レーザー吸収層の表面の表面粗さRz=2.0μm以下、明度L=30、色度a=7、色度b=3に対し、色差ΔE=6以下であり、
前記レーザー吸収層が、波長9〜12μmの光に対して、消光係数κ=25以上である2種以上の元素で構成され、かつ前記2種以上の金属元素の内の1種は少なくとも原子量50〜70の中の金属元素であり、該金属元素と他の元素との単位面積あたりの原子数比=1〜5であり、
前記レーザー吸収層を構成する元素の総付着量が0.2mg/dm 2 以下である、
レーザー吸収層付き銅箔が提供される。
本発明において、好ましくは、前記レーザー吸収層を形成する金属元素のうち、原子量50〜70の元素がクロム、ニッケル、コバルト、鉄であり、その他の元素がモリブデン、チタン、タングステン、りん、またはこれらの水和酸化物の一種または二種以上である。
本発明の銅張り積層板は、キャリア箔の一方の面に、剥離層、レーザー吸収層、銅箔がこの順に形成されたキャリア付き銅箔の前記銅箔表面に基板を張付け、前記キャリア箔を銅箔から剥離してなる銅張り積層板であって、前記キャリア箔と銅箔とを剥離した前記レーザー吸収層の表面は、表面粗さRz=2.0μm以下、明度L=30、色度a=7、色度b=3に対し、色差ΔE=6以下であり、前記銅箔とキャリア箔とを剥離する(キャリア剥離)ピール強度が5〜30N/mである銅張り積層板である。
本発明のプリント配線板は、前記銅張り積層板にCOガスレーザーで所定の高密度配線回路を形成してなるプリント配線板である。
なお、本発明においては「COガスレーザーが発振する波長の光を吸収しやすい層」を「レーザー吸収層」と表現する。また、前記プリント配線板との表現は、キャリア付き薄銅箔により高密度微細配線を施したプリント配線板を複数枚積層した多層プリント配線板を含むものとする。
本発明はファインパターン用途のプリント配線板に適したキャリア付き薄銅箔であって、特にビルドアップ配線板のビア形成でCOレーザー穴あけ加工を行う際に、ビアホール周辺部にレーザー吸収層形成材料や薄銅が飛び散り、或いは銅の盛り上がりが生成することがなく、配線加工が極めて容易な銅箔を提供でき、また、該銅箔を用いた銅張り積層板及びプリント配線板を提供することができる。
従来のキャリア付き薄銅箔を示す模式図である。 本発明の一実施形態を示す模式図である。
図2は本発明の一実施形態を示すキャリア付き薄銅箔の模式図である。
図示するようにキャリア銅箔1のS面に、剥離層2、レーザー吸収層5、薄銅箔4がこの順に形成されている。
銅箔にCOレーザーで穴開けするには、従来、銅箔表面の粗さRzを2.0μm以上にして、反射率を極力抑え、レーザー光のエネルギーを凝集させる方法をとっていた。本発明では、銅箔の表面粗さRzを2.0μm以下とし、表面粗さによらないでレーザー光のエネルギーを凝集させることに成功したものである。
本実施形態では、剥離層2として、コバルト、ニッケル、鉄、モリブデン、タングステン、リンなどを2種以上含有する層、或いはこれら元素の水和酸化物層で形成する。
剥離層2を例えばCo−Mo層として製膜するには電流密度は4〜6A/dm、W、Pで製膜するには35A/dm程度と、高い電流密度で製膜する。高い電流密度で電解めっきすると、めっき液より大量の水素が発生し、剥離層2を形成する金属の粒界に水素が介在し、脆い材料なるためである。このような形成方法で剥離層2を製膜することでキャリア箔と銅箔とのピール強度を5〜30N/mに抑えることができる。
本実施形態でレーザー吸収層5は、COガスレーザーが発振する波長の光を吸収させるために、2種以上の元素で構成する。2種類の元素の内、I種類は原子量50〜70の元素であるクロム、ニッケル、コバルト、鉄の一種または二種以上であり、その他の金属元素はクロム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、リンまたはこれらの水和酸化物の一種または二種以上であることが好ましい。
これらの元素は、波長λ=9〜12μmに対し、光学定数として消光係数をkで表すと、k=25以上であり、かつ前記2種以上の金属元素の内の1種は少なくとも原子量50〜70の中の金属元素であり、他の金属元素との単位面積あたりの原子量の比が1〜5であることが好ましい。
剥離層、レーザー吸収層には、各元素の水和酸化物も使用できる。水和酸化物は例えば
レーザー吸収層をめっき浴で形成された後、水洗、乾燥工程を経るが、その工程で被覆金属の一部は水和酸化物となる。このような水和酸化物は、Coレーザー波長10600nmのレーザー光をよく吸収する。
レーザー吸収層5は、電流密度を20A/dm2以下に設定し電解めっきで製膜する。このように低い電流密度で製膜することで、レーザー吸収層の表面を平滑化して、次工程の薄銅箔製膜工程で銅箔表面を平滑な表面にするためである。レーザー吸収層表面を平滑化することでキャリア箔を剥離した後の銅箔表面に残るレーザー吸収層表面は、金属付着量が極めて少なく、CO2レーザー光が透過できる、明度L=30、色度a=7、色度b=3の基準色に対する色差ΔEが6以下となる。
このようにレーザー吸収層を微薄な層とし、消光係数k=25以上である2種類以上の金属で、2種以上の金属元素の内の1種と他の金属元素との単位面積あたりの原子量の比を1〜5とすることで、波長λ=9μm〜12μmのレーザー光の発信周波数と共鳴させることができ、低いレーザーエネルギーの出力でビアホールの穿孔が可能となる。
さらに、レーザー吸収層5の付着量を0.2mg/dm2以下にすると、後のビアホールめっきのためのソフトエッチングが不要か、もしくは銅箔表面を数秒程度の防錆処理で足り、結果として高密度極微細配線の直線性を確保することができる。
前記レーザー吸収層5の上に薄銅箔4を電気めっきにより形成する。次いで、電解銅めっきで形成した薄銅箔4の表面を必要により粗化し粗化面4aとする。具体的には、薄銅箔4を電解銅めっきで形成した後に浴組成や浴温、電流密度や電解時間などを調節することにより、既に形成されている薄銅箔4の表面にRz=0.2〜2.0μm程度の銅粒子を突起物として析出させる粗化処理を行う。このような粗化処理によって銅箔の最外層表面を粗化面4aとするのは、薄銅箔4を図示しない樹脂基板に熱圧着したときに樹脂基板との間の接合強度を高めるためである。
本実施形態のレーザー吸収層5にCO ガスレーザーが発振する波長の光を照射した場合、レーザー光の吸収率が良いため薄銅箔、樹脂基板と連続して穴あけが可能である。
粗化面4aの上に更にニッケル層、亜鉛層をこの順で形成することが好ましい。
この亜鉛層は、薄銅箔4と樹脂基板を熱圧着したときに、薄銅箔4と基板樹脂との反応による該基板樹脂の劣化や薄銅箔4の表面酸化を防止して基板との接合強度を高める働きをする。またニッケル層は、樹脂基板への熱圧着時に該亜鉛層の亜鉛が銅箔(電解銅めっき層)側へ熱拡散することを防止し、もって亜鉛層の上記機能を有効に発揮させる働きをする。
なお、これらのニッケル層や亜鉛層は、公知の電解めっき法や無電解めっき法を適用して形成することができる。また、該ニッケル層は純ニッケルで形成してもよいし、含リンニッケル合金で形成してもよい。
また、亜鉛層の表面に更にクロメート処理を行うと、該表面に酸化防止層が形成されるので好ましい。適用するクロメート処理としては、公知の方法に従えばよく、例えば、特開昭60−86894号公報に開示されている方法をあげることができる。クロム量に換算して0.01〜0.3mg/dm程度のクロム酸化物とその水和物などを付着させることにより、銅箔に優れた防錆能を付与することができる。
また、前記のクロメート処理した表面に対し更にシランカップリング剤を用いた表面処理を行うと、銅箔表面(基板との接合側の表面)には接着剤との親和力の強い官能基が付与されるので、該銅箔と基板との接合強度は一層向上し、銅箔の防錆性,吸湿耐熱性を更に向上するので好適である。
シランカップリング剤としては、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、アミノ系シラン、ウレイド系シラン、クロロプロピル系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シランなどをあげることができる。これらのシランカップリング剤は通常0.001〜5%の水溶液にし、これを銅箔の表面に塗布したのちそのまま加熱乾燥すればよい。なお、シランカップリング剤に代えて、チタネート系,ジルコネート系などのカップリング剤を用いても同様の効果を得ることができる。
次に、本発明のレーザー吸収層付き銅箔の使用方法を説明する。
最初にガラスエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などから成る電気絶縁性の基板の表面に、キャリア付き薄銅箔の銅箔面(粗化処理層4a面)を重ねて置き、加熱・加圧してキャリア付き銅張り積層板を製造する。
次いで、該キャリア付き銅張り積層板のキャリア箔を剥離して、COガスレーザーを照射して穴あけを行う。すなわち、銅箔4のレーザー吸収層5が形成されている面からCOガスレーザーを照射して銅箔4及び樹脂基板を貫通する穴あけ加工を行う。
銅箔表面の表面粗さRz=2.0μm以下の平滑な表面を有し、2種以上の元素の消光係数k=25以上で、かつ少なくとも、1種類の元素(Ni、Co)とその他の元素の単位面積あたりの原子量の比=1〜5であり、明度L=30、彩度a=7、彩度b=3の基準色に対して色差ΔE=6以内に形成されているので、COガスレーザーの発信周波数と金属元素の固有振動数が近く、また上記の原子数比の構成と分布で、電磁波の共振、共鳴に寄与でき、さらにレーザー光のエネルギーを最大限に吸収でき、エネルギー損失が少なく、低いレーザーの出力で、樹脂基板を連続して貫通する安定した穴あけ加工が可能である。
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔とし、そのS面にNiめっきを下記条件で、5〜8mg/dm付着させた。次に剥離層2とレーザー吸収層5とをCo−Mo合金で下記条件により製膜した。
Niめっき層形成条件
NiSO : 537 g/L
BO : 30 g/L
PH : 3.5
浴温 : 50℃
電流密度:2A/dm
Co−Mo合金めっき浴
CoCl・6HO : 0.2〜12g/L
MoCl・4HO : 140〜280g/L
NHCl : 30〜60g/L
ジメチルスルホキシド : 2.5〜15g/L
pH : 1.6〜4.0
浴温 :25℃
剥離層形成条件
電流密度 :4A/dm
時間 :5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件
電流密度 :0.3〜1A/dm
時間 :10秒〜15秒
薄銅箔製膜条件
銅 : 80g/L
硫酸 : 160g/L
電流密度 : 55A/dm
前記薄銅箔の製箔終了時点で公知の方法により粗化処理を施し銅の粒子を付着させた粗化面4aを形成した。
最後に、粗化処理が施された銅箔表面に公知の方法により、亜鉛めっき及びクロメート処理を行い、更に、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン2g/Lの水溶液に5秒間浸漬したのち取り出し、温度100℃の温風で乾燥してシランカップリング剤処理を行い図2に示すキャリア箔付き銅箔を作成した。
〈実施例2〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔とし、そのS面に、次の条件で剥離層2とレーザー吸収層5を、同じめっき浴でCo−Mo合金層を形成した。
めっき液の組成は実施例1と同様
剥離層形成条件:
電流密度 :6A/dm
時間 :5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件:
電流密度 : 0.3〜1A/dm
時間 :10秒〜15秒
次いで、銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア箔付き銅箔を作成した。
〈実施例3〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔とし、そのS面に、次の条件で剥離層2とレーザー吸収層5を、同じめっき浴でCo−Mo合金層を形成した。
めっき液の組成は実施例1と同じで、
剥離層形成条件:
電流密度 :8A/dm
時間 :5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件:
電流密度 : 0.3〜1A/dm
時間 :10秒〜15秒
次いで、銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き銅箔を製造した。
次いで、剥離層2、薄銅箔4、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈実施例4〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのM面に、次のめっき条件で剥離層2とレーザー吸収層5としてCo−Wの合金層を形成した。
めっき液組成
CoCl・6HO : 0.2〜12g/L
NHCl : 30〜60g/L
タングステン酸Na・2HO: 10〜100g/L
ジメチルスルホキシド : 2.5〜15g/L
pH : 1.6〜4.0
剥離層形成条件
電流密度 : 40A/dm
時間 : 5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件
電流密度 : 1〜3A/dm
時間 : 10秒〜15秒
次いで、薄銅箔4、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈実施例5〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのM面に、次のめっき条件で剥離層2とレーザー吸収層5としてCo−Mo―Wの3元合金層を形成した。
めっき液組成
CoCl・6HO : 0.2〜12g/L
MoCl・4HO : 140〜280g/L
NHCl : 30〜60g/L
タングステン酸Na・2HO: 10〜100g/L
ジメチルスルホキシド : 2.5〜15g/L
pH : 1.6〜4.0
剥離層形成条件
電流密度 : 40A/dm
時間 : 5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件
電流密度 : 1〜3A/dm
時間 : 10秒〜15秒
次いで、薄銅箔4、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈実施例6〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔とし、そのS面に、次のめっき条件で剥離層2とレーザー吸収層5としてFe−Ni合金層を形成した。
めっき液組成
NiSO・7HO : 70g/L
FeSO・7HO : 15g/L
・3HO : 250g/L
NHCl : 50g/L
ブチンジオール : 0.1g/L
pH : 5〜7
剥離層形成条件
電流密度 : 35〜45A/dm
時間 : 5〜10秒
レーザー吸収層形成条件
電流密度 : 1〜7A/dm
時間 : 10秒〜15秒
次いで、薄銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き銅箔を製造した。
〈実施例7〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのM面に、次のめっき条件で剥離層2とレーザー吸収層5としてCr−Ni合金層を形成した。
めっき液組成:
NiSO・7HO : 20〜50g/L
CrO : 40〜60g/L
MgSO・7HO : 20〜50g/L
pH : 0.6〜1.0
剥離層形成条件:
電流密度 : 25〜35A/dm
時間 : 5〜10秒
レーザー吸収層形成条件
電流密度 : 10〜20A/dm
時間 : 10〜15秒
次いで、薄銅箔、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈比較例1〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア銅箔1とし、そのS面に、次のめっき条件で図2に示すように剥離層2とレーザー吸収層5としてCo−Mo合金層を形成した。めっき液の組成は実施例1と同である。
剥離層形成条件:
電流密度 :4A/dm
時間 :5秒〜10秒
レーザー吸収層形成条件:
電流密度 : 3A/dm
時間 : 5秒
次いで、薄銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈比較例2〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのS面に、次のめっき条件で図1のように剥離層2としてCo−Mo合金層を形成した。
めっき液の組成は実施例1と同様
剥離層形成条件:
電流密度 :4A/dm
時間 :20秒〜30秒
次いで、薄銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈比較例3〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのS面に、次のめっき条件で図1のように剥離層2としてCo−Mo合金層を形成した。
めっき液の組成は実施例1と同様
剥離層形成条件:
電流密度 :4A/dm
時間 :20秒〜30秒
次いで、薄銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を作成した。
〈比較例4〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのS面に、次のめっき条件で、微細銅粒形成を行なった。
銅濃度13.7g/L、硫酸濃度150g/L、液温25℃の電解液で、電流密度10A/dm、電解時間10秒の条件で、キャリア箔の片面上に微細銅粒層を形成した。
次に、接合界面を濃度5g/Lの有機溶剤CBTAを含む、液温40℃、pH5の水溶液中に30秒浸漬し、キャリア箔表面に30mg/mの接合界面層を形成した。
次いで、薄銅箔4の析出、粗化処理、防錆処理及び表面処理を実施例1と同じに施しキャリア銅箔付き薄銅箔を製造した。
〈比較例5〉
厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔1とし、そのS面に、次の条件でCo−Mo剥離層を設け、その上にレーザー吸収層としてNiめっき層を形成した。
剥離層形成条件
実施例1と同じめっき条件とした。
レーザー吸収層形成条件
めっき液組成とめっき条件
NiSO・7HO : 240〜330g/L
NiCl・6HO : 45g/L
BO : 30〜40g/L
pH : 4.5〜5.5
電流密度 : 35〜40A/dm
時間 :30秒
次いで、形成されたレーザー吸収層上に銅箔を実施例1の薄銅箔形成浴で5μmの厚さにめっきした。
特性評価
元素付着量の測定方法
キャリア付き薄銅箔を直径5cmの円状に切り抜いた後、薄銅箔を剥離して、その薄銅箔の剥離面側であるレーザー吸収層とキャリア銅箔の剥離面側の剥離層を株式会社リガク製(2004年に理学電機からリガクへ)走査型蛍光X線分析装置を用いて付着量の測定を行った。
レーザー吸収層の原子数比の測定
原子数比の測定:
上記測定方法から得られた各元素付着量を、各元素の原子量で除し、アボガドロ定数を掛け合わせた値を、レーザー吸収層と剥離層に存在する原子数とし、合金めっきの各元素の原子数の比を原子数比とした。
各実施例、比較例で作成したキャリア付き薄銅箔につき、銅箔とキャリア箔間の(キャリア)ピール強度の測定、碁盤目試験、COレーザーによる穴あけ試験を実施し、評価した。
評価試料の作成
(1)片面銅張り積層板の作成〈(キャリア)ピール用〉:
実施例1〜7、比較例1〜5で作成したキャリア付き薄銅箔を、縦250mm、横250mmmに切断したのち、厚み1mmのガラス繊維エポキシプレプリグシート(FR−4)の上に粗化面4aが対向するように配置し、全体を2枚の平滑なステンレス鋼板で挟み、温度170℃,圧力5MPa/mで60分間熱圧着し、片面銅張り積層板を製造し、キャリアピール試験に供した。
(2)片面銅張積層板の作製(レーザ穴あけ用)
上記のFR−4キャリアピール用片面銅張積層板と同じ工程で、レーザー穴あけ用片面銅張積層板を作製し、次いでキャリア銅箔を剥離し、試験片とした。
(1)キャリアピール:
上記(1)の方法により作製したキャリア付き片面銅張積層板から試料を切りだし、JISC6511に規定する方法に準拠して、測定試料幅10mmで電気銅めっき層4からキャリア箔1を引き剥がし、ピール強度を測定した。評価結果を表1に示す。
(2)表面粗さの評価
各上記(2)の方法により作成した試験片につき、銅箔側のレーザー吸収層又は剥離層の縦と横の表面粗さRzを接触式表面粗さ計を用いて数点測定し、その平均値を表1に示す。
なお、表面粗さRzとはJIS B 0601-1994「表面粗さの定義と表示」に規定されたものであり、Rzは「十点平均粗さ」である。
(3)色差の評価
各実施例及び比較例で作成したキャリア付き銅箔を、キャリア銅箔と薄銅箔とに剥離し、剥離した側の銅箔表面(レーザー吸収層または剥離層)に、色彩色差計(コニカミノルタ製:CM-2600d/2500d)を用いて測定した。測定は連続して製作した銅箔の製造の最初、最後とその途中の3サンプルを取り出し、幅10mm×縦10mmの間隔で、それぞれ100ポイントの色彩Labを測定した。
色彩色差計に基準色(明度L=30、色度a=7、色度b=3)を記憶させ、各測定ポイントの色差ΔEを測定した。その結果を表1に示す。
(4)碁盤目試験による評価(JIS K5400-8.5)
上記(1)の方法により作成したキャリア付き片面銅張積層板にソフトエッチングを施さず、プリント基板で実施するスルーホールめっきのプロセスと同じプロセスでスルーホールめっきをほどこした。即ち、試験片表面に無電解めっきと電解銅めっきを施した。得られたサンプルを銅箔に1mm間隔の専用のガイドを用いてカッターナイフで11本の溝(切り込み)を設けた。次いで向きを90°変えてさらに11本の溝(切れ込み)を設け100マスの碁盤目状試料を作製した。その後、粘着力2.94N/10mm(300gf/10mm)以上で、幅18mmまたは24mmのセロハン粘着テープを用いて、試料の銅箔面に均等に、長さ50mmになるように貼り付け、消しゴムで擦って、試料の銅箔面に完全に密着させ、銅箔面の長手方向に50mm間隔で、同じ作業を3回繰り返した。
最後に、テープを付着させてから1〜2分後にテープの端を持って銅箔面に直角に保ち、瞬間的に引き剥がした。
また、今回の碁盤目評価の判定方法については、スルーホールめっきの密着性を評価するため、テープで剥離した100マス中でテープ側に張り付いた銅箔の数が76〜100個を×、51〜75個を△、25〜50個を○、0〜26個を◎として評価を行った。結果を表1に示す。
(5)レーザー穴あけ加工:
各実施例と比較例のサンプルについては、上記(2)の評価試料作成の方法により作成した片面銅張り積層板を、以下の条件によりCOガスレーザーにより穴あけ加工を行った。
レーザー加工条件(穴あけ条件):
装置 :COガスレーザー穴あけ加工機
マスク :φ1.8mm
照射時間 :30msec
照射エネルギー :50W
ショット数 :400ショット 縦と横10mm間隔
評価は次のように判定し、判定結果を表1に示す。
400ショットすべて、銅の盛り上がりが生成することなく一回で明けられた=◎、
400ショットすべて、銅の盛り上がりは若干があるものの一回で明けられた=○、
400ショットのなか、50ショット以下は、二回で明けられた=△、
400ショットのなか、50ショット以上は、明けるのに二回かかった=×。
結果を表1に示した。
Figure 0005653876
表1から明らかなように、レーザー穴あけ加工性は、各実施例では一定のCOガスレーザーエネルギー出力(15mJ)で穴あけ加工を行っても、ビアホール周辺部にレーザー吸収層形成素材や銅の飛び散り、或いは銅の盛り上がりが生成することなく、綺麗な穴を空ける(ビア形成)ことができた。これにより、後工程のスルーホールめっきを行う際に、ソフトエッチング液によりその盛り上がりを除去する必要がなく、正常なスルーホールめっきを行うことができた。すなわち、本発明による銅箔を使う場合に比較して製造工程を1工程減らすことが可能になる。
本実施例のレーザー吸収層付き銅箔はキャリア箔から銅箔を剥離する剥離強度(ピール強度)が適切な強度であり、銅箔をキャリア箔から容易に剥がすことができた。
本実施例のレーザー吸収層付き銅箔は、キャリア箔と銅箔とを剥離した際の銅箔側剥離面に付着したレーザー吸収層はその厚さが0.2mg/dmであり、原子数比が1〜5であり、標準色に対する色差ΔEが6以下であるため、碁盤目試験をクリアーし、レーザー加工後のビアホール周辺の汚染されることなく、次工程へそのまま移行できる優れた状態であった。
さらに、レーザー吸収層5の付着量を0.2mg/dm以下にしたことでビアホールめっきのためのソフトエッチングが不要か、もしくは銅箔表面を数秒程度の防錆処理で足り、結果として高密度極微細配線の直線性を確保することができる。
一方、比較例1は原子数比が0.5と低い値であり、そのためレーザー加工に難点が生じた。
比較例2は銅箔側剥離面(レーザー吸収面)に付着するCo−Mo合金の付着量が多かったために碁盤目試験をクリアーすることができなかった。
比較例3は碁盤目試験はクリアーしたが、原子数比が5以上と高かったためにレーザー加工に難点が生じた。
比較例4は有機皮膜で剥離層を形成したため、碁盤目試験、レーザー加工共に満足できない結果となった。
比較例5は、銅箔側剥離面にNiが残るのでレーザー吸収性がよく、レーザー加工性は優れるが、レーザー加工後にNiめっき層をエッチングで除去しなければならず、スルーホールめっき性がよくなく、本発明の主旨から外れるものであった。
本発明は上述したように、特にファインパターン用途のプリント配線基板の製造時に用いるキャリア付き薄銅箔であり、ビルドアップ配線板のビア形成でレーザー穴あけ加工を行っても、ビアホール周辺部にレーザー吸収層の素材や薄銅が飛び散り、或いは銅の盛り上がりが生成するようなことはなく、従来行っているソフトエッチングを行わずに、従来と変わらない密着性に優れたスルーホールめっきを得ることができる。
本発明は、レーザーによる穴あけ加工(配線加工)が極めて容易な銅箔であり、該銅箔を用いることで、薄微細配線のプリント配線板(多層プリント配線板を含む)を製造し提供できる、優れた効果を有するものである。
1:キャリア箔
2:剥離層
4:薄銅箔
4a:粗化面
5:レーザー吸収層

Claims (5)

  1. レーザー吸収層が銅箔表面に設けられているレーザー吸収層付き銅箔であって、
    該レーザー吸収層表面は、その表面粗さRz=2.0μm以下、明度L=30、色度a=7、色度b=3の基準色に対し、色差ΔE=6以下であり
    前記レーザー吸収層が、波長9〜12μmの光に対して、消光係数κ=25以上である2種以上の元素で構成され、かつ前記2種以上の金属元素の内の1種は少なくとも原子量50〜70の中の金属元素であり、該金属元素と他の元素との単位面積あたりの原子数比=1〜5であり、
    前記レーザー吸収層を構成する元素の総付着量が0.2mg/dm 2 以下である、
    レーザー吸収層付き銅箔。
  2. キャリア箔の一方の面に、剥離層、レーザー吸収層、薄銅箔がこの順に形成されているレーザー吸収層付き銅箔であって、
    前記キャリア箔と前記薄銅箔とを剥離した時の前記レーザー吸収層表面の表面粗さRz=2.0μm以下、明度L=30、色度a=7、色度b=3に対し、色差ΔE=6以下であり
    前記レーザー吸収層が、波長9〜12μmの光に対して、消光係数κ=25以上である2種以上の元素で構成され、かつ前記2種以上の金属元素の内の1種は少なくとも原子量50〜70の中の金属元素であり、該金属元素と他の元素との単位面積あたりの原子数比=1〜5であり、
    前記レーザー吸収層を構成する元素の総付着量が0.2mg/dm 2 以下である、
    レーザー吸収層付き銅箔。
  3. 前記レーザー吸収層を形成する金属元素のうち、原子量50〜70の元素がクロム、ニッケル、コバルト、鉄であり、その他の元素がモリブデン、チタン、タングステン、りん、またはこれらの水和酸化物の一種または二種以上である、
    請求項1または2に記載のレーザー吸収層付き銅箔。
  4. キャリア箔の一方の面に、剥離層、レーザー吸収層、銅箔がこの順に形成された、請求項2に記載のキャリア付き銅箔の前記銅箔表面に基板を張付け、前記キャリア箔を銅箔から剥離してなる銅張積層板であって
    記銅箔と前記キャリア箔とを剥離するピール強度が5〜30N/mである、
    銅張り積層板。
  5. 請求項4に記載の銅張り積層板にCO2ガスレーザーで所定の高密度配線回路を形成してなるプリント配線板。
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