JP5653684B2 - 皮膚損傷の程度を検査する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する方法に関する。
紫外線は生物学的観点から、UVA(長波長域、400〜315nm)、UVB(中波長域、315〜280nm)、UVC(短波長域、280nm未満)に分類される。人体への過度の紫外線曝露は、主に眼損傷と皮膚損傷を引き起こす。紫外線曝露による眼損傷の症状として、角膜炎、翼状片、白内障等が知られている。又、紫外線曝露による皮膚損傷の症状として、日焼け、色素沈着、シワ・タルミ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がん等が知られている。紫外線曝露による皮膚損傷は、太陽光に曝露される皮膚である顔面又は首筋において起こりやすい。近年では、特にオゾン層の破壊進行により、紫外線曝露による皮膚損傷は問題となっている。
紫外線曝露後の反応には、個人差がある。少量の紫外線曝露により皮膚損傷を引き起こすヒトもいれば、比較的紫外線曝露に抵抗力のあるヒトもいる。このような紫外線曝露による皮膚損傷の程度の差は、遺伝や生活環境等の様々な要因が考えられるため、原因を特定することは難しい。しかしながら、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を知ることができれば、どの化粧品を使用して皮膚損傷を予防したら良いか、或いは、どの化粧品を使用して紫外線曝露後の皮膚損傷をケアしたら良いか等が分かる。例えば、紫外線曝露により皮膚損傷を受けやすい肌状態であるという検査結果であれば、予め、日焼け止め化粧品を塗布したり、紫外線曝露後も、念入りに美白やアンチエイジング対応の化粧品を使用したりすることにより、色素沈着やシワ・タルミ等の皮膚損傷を予防・改善することができる。
今までに、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する方法がいくつか発明されている。例えば、アポトーシスを抑制する扁平上皮がん関連抗原SCCA(Squamous Cell Carcinoma Antigen)の一種であるSCCA−1及び/又はSCCA−2の発現を測定し、表皮の紫外線抵抗力を判断する方法(特許文献1、非特許文献1)、皮膚の近赤外吸収スペクトルから、紫外線曝露による損傷の度合いを判定する方法(特許文献2)、紫外線に曝露されることにより変化した角層内のウロカニン酸量をラマン分光法により測定する方法(特許文献3、非特許文献2)、及び、皮膚角層中のアネキシンII、ブレオマイシン ハイドロラーゼ、カテプシンD、アルギナーゼ−1、SCCA−2からなる群から選ばれる一種又は二種以上のタンパク質の発現量を指標にして、紫外線による皮膚サンバーンに対する抵抗性を評価する方法(特許文献4)等が知られている。しかしながら、実際のヒトの皮膚から有棘層及び顆粒層を含めた表皮細胞を採取する必要がある、複雑な測定機器を使用しなければならない、標的の因子自体がよく分かっていない、一部の皮膚損傷しか検査できない等、容易に紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査することは難しかった。
特開2005−272343号 WO2007/026884号 特開2009−115513号 特開2010−151482号
Takeda A.,J.Invest.Dermatol.,118,147−154,2002. De Fabo EC.,J.Exp.Med.,158,84−98,1983.
本発明は、紫外線曝露によるヒトの皮膚損傷の程度を簡便に検査する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、stratifinに注目して、紫外線曝露によるヒトの皮膚損傷の程度を簡便に検査する方法について、鋭意検討した。その結果、stratifinタンパクをコードする遺伝子の発現を調べることにより、皮膚損傷の程度を検査できることを見出した。又、この遺伝子の発現産物は、テープストリップ等によりヒトの皮膚から容易に、且つ、非侵襲的に採取することができることを見出した。
本発明は、以下に列挙する皮膚検査方法を提供する。
[1]皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量を測定することを特徴とする、皮膚損傷の程度を検査する方法。
[2]前記皮膚損傷が紫外線曝露による皮膚損傷である、[1]に記載の方法。
[3]皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量を基に、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する方法であって、
(1)被験対象から皮膚のサンプルを得る工程、
(2)該サンプルのstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現を定量化する工程、
(3)工程(2)にて測定した遺伝子発現量を用いて、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する工程
を含む方法。
[4]前記遺伝子発現の定量化がポリメラーゼ連鎖反応法により行われる、[3]に記載の皮膚検査方法。
[5]前記皮膚サンプルが被験対象の皮膚から採取した角質である、[3]〜[4]のいずれかに記載の皮膚検査方法。
本発明の方法により、皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現産物であるmRNAの発現量を測定し、その結果から、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査するための方法を提供することが可能になる。
本発明は、皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現産物であるmRNAの発現量を測定し、その結果から、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査するための方法(以下、「皮膚損傷検査法」と言う)を提供する。本発明の皮膚損傷検査法では、被験対象の皮膚から採取したサンプルを用いて、stratifinタンパクをコードする遺伝子発現の定量化を行う。その結果を基に、紫外線曝露により皮膚損傷を受けやすい肌状態であるのか否かを評価する。更に、皮膚から採取したサンプルとして角質を用いることにより、非侵襲的な評価が可能になる。
本発明の「stratifin(SFN、別名14−3−3σ)」とは、表皮細胞にて産生されるタンパクの一種であり、表皮細胞における細胞周期の進行を停止させたり、アポトーシスを誘導したりする作用を持つ(Bhatia K.,Cancer Epidemiol.Biomarkers Prev.,12,165−169,2003.)。又、最近の知見から、真皮細胞にstratifinタンパクを曝露させると、コラーゲン分解を亢進することも分かってきた(Ghahary A.,J.Invest.Dermatol.,122,1188−1197,2004.)。
本発明者は、表皮細胞に紫外線を曝露させたところ、stratifin mRNA発現量及びタンパク量が増加することを明らかにした。又、stratifinの発現は、非露光部位の上腕内側と比較して露光部位の顔面において亢進していることも明らかにした。これらの結果から、紫外線曝露によりstratifinが増加し、表皮細胞における細胞周期の進行を停止させるために、表皮の新陳代謝を低下させたり、真皮細胞におけるコラーゲン分解を亢進するために、真皮のコラーゲンを低下させたりすることが考えられた。すなわち、stratifinは、紫外線曝露により皮膚損傷を引き起こす主要タンパクの一種であることが推察された。
以上から、被験対象の皮膚からテープストリップ等により採取したstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現産物であるmRNA発現量を指標にして、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査することが可能であると考えられた。
本発明の「皮膚損傷」とは、外的及び内的要因により起こる皮膚組織の物理的な損傷を示す。例えば、切り傷、擦り傷、刺し傷、火傷、咬傷、挫傷、日焼け、色素沈着、シワ・タルミ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がん等が挙げられる。
又、本発明の「紫外線曝露による皮膚損傷」とは、皮膚損傷のうち、紫外線曝露が原因により生じる皮膚損傷を示す。例えば、日焼け、色素沈着、シワ・タルミ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がん等が挙げられる。
本発明における「遺伝子発現の定量化」とは、遺伝子の転写産物であるmRNA発現量を測定することである。又は、遺伝子の発現産物であるタンパク量を測定しても良い。
mRNA発現量の測定には、マイクロアレイ解析や、逆転写反応を行った後にポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を行う方法等を用いることができる。これらの方法は、常法に従って実施すれば良い。各方法について様々なプロトコールが報告されており、当業者であれば公知のプロトコールに従い、又は、公知のプロトコールを適宜修正・変更したプロトコールにより、適切な測定系を構築し、実施することができる。尚、mRNA発現量の測定による遺伝子発現の定量化の詳細については後述する。
一方、タンパク量の測定であれば、例えば、蛍光物質、色素、酵素等を利用する免疫染色法、ウエスタンブロット法、免疫測定法(例えば、ELISA法やEIA法等)等を用いることができる。これらの方法についても、常法に従って実施すれば良い。各方法について様々なプロトコールが報告されており、当業者であれば公知のプロトコールに従い、又は、公知のプロトコールを適宜修正・変更したプロトコールにより、適切な測定系を構築し、実施することができる。
本発明に用いる「被験対象の皮膚」であるが、非露光部位の皮膚については、紫外線に曝されにくく、光老化の影響が比較的少ない部位の皮膚、例えば、上腕内側部、前腕内側部、背部、臀部又は大腿内側部等、日常的に衣服に覆われている部位の皮膚が望ましい。又、露光部位の皮膚については、紫外線に曝されやすく、光老化の影響が比較的多い部位の皮膚、例えば、顔面又は首筋等、日常的に衣服から露出している部位の皮膚が望ましい。非露光部位及び露光部位共に、このような試料(組織或いは細胞)の培養物であっても良い。
本発明に用いる被験対象の皮膚から採取した「角質」とは、皮膚の中で最外層に存在する角質層における細胞を示す。皮膚の中で最外層に存在する角質におけるstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現を解析することから、本発明の皮膚損傷検査法は、皮膚をあまり傷つけず、且つ、容易に実施可能なものになる。
皮膚からの角質の採取方法は特に限定されないが、可能な限り、非侵襲的な採取方法を採用することが好ましい。すなわち、角質の採取の際、顆粒層や有棘層等の角質層以外の部分を、可能な限り、傷つけないことが望まれる。非侵襲的な採取方法としては、例えば、粘着性のテープや接着剤等を皮膚へ付着させた後に剥がす方法や、粗面の材料(例えば、不織布等)にて皮膚表面を擦る方法により角質を採取することができる。非常に簡便に実施できる点において、前者の方法は特に好ましい。尚、以降に実施される遺伝子発現の定量化に影響しないものである限り、粘着性のテープや接着剤に用いられる材料(接着成分)は特に限定されない。
本発明の「皮膚損傷検査法」は、好ましくは、以下の一連のステップ(1)〜(3)により実施される。
(1)被験対象の皮膚(非露光部位及び露光部位)から採取した角質を用意するステップ
(2)前記角質から抽出したmRNAを試料として遺伝子発現の定量化を行い、stratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量を算出するステップ
(3)ステップ(2)にて算出した発現量を用いて、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査するステップ
ステップ(1)では、被験対象の皮膚から採取した角質を用意する。以下に、角質の採取法、及び、RNAの抽出法の具体例を示す。
(a)顆粒層や有棘層等を傷つけないように、最外層である角質層の一部を剥離する。例えば、粘着性のテープを皮膚へ付着させた後に剥がし(必要に応じて、数回繰り返す)、角質を採取する。
(b)採取した角質を、SLS、β−メルカプトエタノール、グアニジンイソチオシアネート等を含む溶解性緩衝液に浸した後、タンパク質分解酵素を加え、反応させる。
(c)反応終了後、例えば、超音波破砕機等の物理的な力により、角質を破砕する。
(d)角質破砕物を含む溶液から、周知の核酸抽出法に準じた方法や市販されたキットを用いた方法により、RNAを抽出する。例えば、グアニジンイソチオシアネート、フェノール又はクロロホルムを用いたRNA抽出法、ニッポンジーン社のISOGEN、Invitrogen社のTrizol Reagent、或いは、QIAGEN社のRNeasy Kit、Ambion社のRNAqueous−4PCR Kit等を用いる方法によりRNAを抽出する。
(e)必要に応じて、DNA分解酵素を反応させ、DNAを除去する。
(f)必要に応じて、エタノール沈殿等の核酸濃縮法を用い、RNAを濃縮する。
ステップ(2)では、採取した角質から抽出したmRNAを試料として、遺伝子発現の定量化を行う。そして、当該遺伝子発現の定量化により、特定の遺伝子の発現量を算出する。このように、本発明の一態様では、角質中に残存するmRNA発現量を指標にした遺伝子発現の定量化を行う。尚、遺伝子発現の定量化では、「遺伝子の発現量」は絶対値又は相対値(比較対象又は標準の発現量との比率や差等)として算出される。
ここで、角質から抽出したmRNAを用いた遺伝子発現の定量化方法の具体例を、以下に示す。
RT−PCRを用いた方法
(a)抽出したRNAを鋳型に、逆転写酵素を用いてcDNAを合成する。
(b)cDNAを鋳型に、ターゲットとなる遺伝子に対応するプライマーを用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子に対応するDNA断片を得る。
(c)内部標準となるような遺伝子(β−アクチン、GAPDH、ケラチン6B等)の反応も並行して行う。
(d)得られたDNA断片の電気泳動を行った後、エチジウムブロマイド等にて染色してバンドの強度を測定し、その遺伝子の発現量とする。
(e)必要に応じて、SYBR green等の蛍光色素やTaqman probe等の蛍光プローブを用いて定量PCR反応を行い、発現量を定量する。
(f)内部標準となる遺伝子の発現量に対する、目的の遺伝子の発現量の比率を算出する。
ステップ(3)では、ステップ(2)にて算出した発現量を用いて、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する。すなわち、ステップ(2)にて算出した発現量を用いて、露光部位/非露光部位のstratifin mRNAの発現比率を計算する。そして、その発現比率が、紫外線曝露による皮膚損傷の程度が関連付けられた複数の区分の中のいずれに該当するのかを調べる。区分設定に関する具体例を以下に示す。
(例)皮膚損傷の程度(低い):比率<a、(中程度):a≦比率<b、(高い):b≦比率
(例)では区分数を3としているが、区分数は特に限定されるものではない。例えば、区分数を2〜10のいずれかにすることができる。区分数、及び、各区分に関連付けられる基準発現量の値の範囲は、予備実験の結果を基に任意に設定可能である。
以下、本発明を効果的に説明するために、実験例を挙げる。尚、本発明はこれにより限定されるものではない。
実験例1 ヒトケラチノサイトにおける、紫外線曝露によるstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現変化
培養細胞を用いて、紫外線曝露によるstratifinタンパクをコードする遺伝子発現の定量化を行った。すなわち、6cmシャーレにヒトケラチノサイトを播種し、37℃、5%CO条件下にて培養した。コンフルエントな状態になったところで、30mJ/cmのUVBを曝露し、更に6時間培養した。その後、細胞よりTrizol Reagent(Invitrogen社)を用いて総RNAの抽出を行い、細胞から抽出した総RNAを基に、RT−PCR法によりstratifin mRNA発現量の測定を行った。同時に、内部標準として、GAPDH mRNA発現量の測定を行った。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
stratifin用のプライマーセット
AGATGCCGCCCACCAA(配列番号1)
ATCTCGTAGTGGAAGACGGAAAAG(配列番号2)
GAPDH用のプライマーセット
TGAACGGGAAGCTCACTGG(配列番号3)
TCCACCACCCTGTTGCTGTA(配列番号4)
その結果を表1に示す。図示の通り、ヒトケラチノサイトにUVBを曝露すると、stratifin mRNAの発現量は増加した。
Figure 0005653684
実験例2 ヒトケラチノサイトにおける、紫外線曝露によるstratifinタンパクの変化
培養細胞を用いて、紫外線曝露によるstratifinタンパクの定量化を行った。すなわち、6cmシャーレにヒトケラチノサイトを播種し、37℃、5%CO条件下にて培養した。コンフルエントな状態になったところで、30mJ/cmのUVBを曝露し、更に24時間培養した。その後、細胞よりISOGEN(ニッポンジーン社)を用いて総タンパクの抽出を行った。stratifinタンパク量の測定は、細胞から抽出した総タンパクを基にしてウエスタンブロット法により行った。すなわち、2mg/mlの総タンパクをSDS−PAGE後、トランスファーメンブレンであるImmobilon−P(Millipore社)にブロッティングした。次に、anti−stratifin抗体(Anti−14−3−3σ、clone CS112−2A8、Millipore社)と室温にて1時間反応させた後、Peroxidase−conjugated AffiniPlus F(ab’)2 Fragment Goat Anti−Mouse IgG (H+L)(Jackson ImmunoResearch LABORATORIES社)と室温にて1時間反応させた。その後、ECL Western Blotting Detection Reagents(Amersham社)と室温にて反応させ、発光パターンを撮影した。撮影後、30kD付近に現れたバンドを定量化した。
その結果を表2に示す。図示の通り、ヒトケラチノサイトにUVBを曝露すると、stratifinタンパク量は増加した。
Figure 0005653684
実験例3 皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量の測定、及び、紫外線に対する防御への意識アンケート
1.角質に含まれるRNAの抽出
男性被験者29名(26〜59歳)の非露光部位である上腕内側、及び、露光部位である顔面の皮膚に、半径1cmの円状のテープ(3M、Blenderm社)を1枚貼付し、十分に接着していることを確認した後、テープを剥がし取り、角質を含むテープを得た。この操作を4回繰り返し、同一部位から4枚のテープストリップサンプルを得た。得られた角質に含まれるRNAを、RNA抽出キット(RNAqueous−4PCR Kit、Ambion社)を用いて抽出した。すなわち、角質の付着したテープ4枚を、テープごとLysis/Binding Solutionに入れ、proteinase K(Invitrogen社)を添加し、56℃にてインキュベートした。その後、超音波破砕機を用いて分散させた後、64%エタノールを加えて攪拌してテープを取り除き、角質抽出液を得た。付属のFilter CartridgeにRNAを吸着させた後、溶出液にてRNAを溶出した。得られた溶出液にDNaseIを加え、残存しているDNAを完全に除去した後、エタノールを用いてRNAを沈殿させてRNAを濃縮した。得られたRNAのペレットを必要量の水に溶解し、角質に含まれる残存RNAを得た。
2.角質に含まれるRNAのPCR解析
上腕内側及び顔面の皮膚の角質より、上記実験例3の1.の方法にて残存RNAを得た。各RNAをRT−PCRキット(SuperScript III Platinum SYBR Green Two−step qRT−PCR kit、Invitrogen社)を用いたRT−PCR反応に供し、stratifin mRNAの発現量を定量した。stratifin mRNAの発現量は、β−アクチン mRNAの発現量にて規格化(ノーマライズ)した。尚、stratifin mRNA発現の測定に使用したプライマーは、上記実験例1と同様のものである。β−アクチン mRNAのプライマーは、次の通りである。
β−アクチン用のプライマーセット
AGCGCGGCTACAGCTTCA(配列番号5)
CTTAATGTCACGCACGATTTCC(配列番号6)
定量化はΔΔCt法にて行い、stratifin mRNAの発現比率を、基準となるstratifin mRNA発現量に対する上腕内側及び顔面のstratifin mRNA発現量の比率として算出した。基準となるstratifin mRNA発現量は、BioChain Institute社から購入したTotal RNA(Catalog No.R1234218−P)から、上記実験例3の2.の方法にてstratifin mRNA発現量を算出したものを用いた。
上腕内側のΔΔCt=(上腕内側のstratifin mRNAのCt値―上腕内側のβ−アクチン mRNAのCt値)―(基準となるstratifin mRNAのCt値―基準となるβ−アクチン mRNAのCt値)
顔面のΔΔCt=(顔面のstratifin mRNAのCt値―顔面のβ−アクチン mRNAのCt値)―(基準となるstratifin mRNAのCt値―基準となるβ−アクチン mRNAのCt値)
遺伝子発現比率=2−ΔΔCt
その結果を表3に示す。図示の通り、stratifin mRNA及びβ−アクチン mRNA共に、上腕内側及び顔面から検出可能であった。すなわち、stratifinの遺伝子発現産物は、テープストリップ等によりヒトの皮膚から容易に、且つ、非侵襲的に採取することができることが分かった。又、非露光部位である上腕内側と比較して、露光部位である顔面はstratifin mRNA発現比率が高かった。すなわち、紫外線曝露により、stratifinの発現が亢進することが分かった。
Figure 0005653684
3.紫外線に対する防御への意識アンケート
上記実験例3の1.及び2.と同じ男性被験者のうち、顔面/上腕内側のstratifin mRNAの発現比率が高い8名及び低い8名に、紫外線に対する防御への意識アンケートを行った。すなわち、「屋外で行動する時、日焼け止め化粧品を塗るか?」の質問に対しては、「必ず塗る」、「時々塗る」、「ほとんど塗らない」の3つの解答を選択させた。又、「日焼け止め化粧品をこまめに塗り直すか?」の質問に対しては、「こまめに塗り直す」、「ほとんど塗り直さない」の2つの解答を選択させた。
その結果を表4及び5に示す。「屋外で行動する時、日焼け止め化粧品を塗るか?」の質問に対しての解答である「必ず塗る」は○、「時々塗る」は△、「ほとんど塗らない」は×で示した。又、「日焼け止め化粧品をこまめに塗り直すか?」の質問に対しての解答である「こまめに塗り直す」は○、「ほとんど塗り直さない」は×で示した。
Figure 0005653684
Figure 0005653684
表4及び5から、顔面/上腕内側のstratifin mRNAの発現比率が高い群は、紫外線に対する防御への意識が低いと推測された。言い換えると、比較的、紫外線に曝露される環境下にあるため、顔面/上腕内側のstratifin mRNAの発現比率が高く、皮膚損傷が大きいと考えられた。一方、顔面/上腕内側のstratifin mRNAの発現比率が低い群は、紫外線に対する防御への意識が高いと推測された。言い換えると、比較的、紫外線に曝露される環境下にないため、顔面/上腕内側のstratifin mRNAの発現比率が低く、皮膚損傷が小さいと考えられた。
本発明の皮膚損傷検査法によれば、皮膚のstratifin mRNAの発現量を指標にして、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査することができる。この手法では、試料を得る際の痛み等を伴わず、非侵襲的に皮膚のサンプルを得ることができる。又、皮膚損傷の程度を検査することで、化粧品の使用方法を提示することが可能になり、皮膚損傷を予防・改善することができる。

Claims (2)

  1. 皮膚のstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現量を基に、紫外線曝露による皮膚損傷の程度を検査する方法であって、
    被験対象から得られた角質のサンプルのstratifinタンパクをコードする遺伝子の発現を定量化する工程、
    )工程()にて測定した遺伝子発現量を用いて、慢性的な紫外線曝露による皮膚損傷の程度の検査を補助する工程
    を含む方法。
  2. 慢性的な紫外線曝露による皮膚損傷が日焼け、色素沈着、シワ・タルミ、良性腫瘍、前がん症(日光角化症、悪性黒子)、皮膚がんから選ばれる皮膚損傷である、請求項1記載の方法。
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