[第1実施形態]
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。具体的には、(1)電力制御システムの構成、(2)パワーコンディショナの構成、(3)パワーコンディショナの動作、(4)作用及び効果について説明する。なお、以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
(1)電力制御システムの構成
図1は、本実施形態に係る電力制御システム1の概略構成図である。かかる電力制御システム1は、一般家庭などの需要家に設けられている。なお、以下の図面において、電力ラインは実線で示し、制御信号ラインは破線で示している。
図1に示すように、電力制御システム1は、直流電力を発電する太陽電池20、太陽電池20及び電力系統配線11に接続するパワーコンディショナ100を有する。電力制御システム1は、これ以外にも、分電盤や電力系統配線11に接続する負荷機器なども備えているが、本実施形態では説明を省略する。なお、電力系統配線11は、電力系統10とパワーコンディショナ100に接続する配電線である。
太陽電池20は、太陽光を受光し、受光した太陽光に応じて直流電力(DC電力)を発電することができる。太陽電池20は、発電した直流電力をパワーコンディショナ100に出力する。
パワーコンディショナ100は、太陽電池20と、電力系統配線11とに接続されている。また、パワーコンディショナ100は、太陽電池20から供給される電力を電力系統配線11に出力する連系運転を行うことができる。
具体的に、パワーコンディショナ100は、連系運転時において、太陽電池20によって発電された直流電力を交流電力(AC電力)に変換して電力系統配線11へ出力する。電力系統配線11へ出力された交流電力は、適宜、負荷機器において使用され、あるいは、電力系統10への逆潮流の電力となる。なお、パワーコンディショナ100の構成については詳細を後述する。本実施形態において、パワーコンディショナ100は、電力制御装置を構成する。
(2)パワーコンディショナの構成
次に、パワーコンディショナ100の構成について具体的に説明する。パワーコンディショナ100は、DC/DC変換器110と、DC/AC変換器111と、連系用リレー121と、系統側出力部131と、制御部150とを備える。なお、パワーコンディショナ100には、表示部なども設けられているが、ここでは説明を省略する。
DC/DC変換器110は、太陽電池20から出力されるDC電力を入力するとともに、DC電力をDC/DC変換(昇圧変換)して、DC/AC変換器111に出力する。
DC/AC変換器111は、DC/DC変換器110から出力されるDC電力をAC電力に変換するとともに、AC電力を連系用リレー121に出力する。この時、DC/AC変換器111は、所定電圧(例えば、AC100V)に安定させる定電圧出力制御を行いながら、AC電力を出力する。
連系用リレー121は、DC/AC変換器111と系統側出力部131との間に設けられている。連系用リレー121は、閉動作又は開動作を行うことで、DC/AC変換器111と系統側出力部131との接続又は切り離しを行う。
連系用リレー121は、太陽電池20から電力系統配線11に電力を供給する連系運転時に、DC/AC変換器111と系統側出力部131とを接続(連系)して、系統側出力部131に電力を出力する。一方、連系用リレー121は、連系運転時以外には、DC/AC変換器111と系統側出力部131とを切り離し(解列)、系統側出力部131への電力の出力を停止する。なお、連系用リレー121は、制御部150の指示に従って、接続又は切り離しを行う。
系統側出力部131は、連系用リレー121を介して、DC/AC変換器111から出力された電力を電力系統配線11に出力する。なお、系統側出力部131は、連系運転時にのみ、電力系統配線11に電力を出力する。
制御部150は、制御信号ラインを介して、パワーコンディショナ100内の各機能部と通信する。制御部150は、連系運転を実行する際には、運転状況に応じて、パワーコンディショナ100内の各機能部を制御する。例えば、制御部150は、連系運転を実行する場合、連系用リレー121に対して、DC/AC変換器111と系統側出力部131とを接続するように指示する。また、制御部150は、連系運転を実行する場合、DC/DC変換器110及びDC/AC変換器111による電圧状況などを把握しつつ、DC/DC変換器110及びDC/AC変換器111を制御する。
次に、図2を参照して、本実施形態に係るパワーコンディショナ100の制御部150の構成について具体的に説明する。図2に示すように、制御部150は、通信部151と、内部時計152と、記憶部153と、処理部154とを備える。
通信部151は、制御信号ラインを介して、パワーコンディショナ100内の各機能部と通信する。例えば、通信部151は、DC/DC変換器110から、太陽電池20が出力した電力の電力値を取得することができる。
内部時計152は、時刻情報(以下、機器時刻情報)を所定周期で生成する。具体的に、内部時計152は、カレンダー機能と時計機能とを備える。内部時計152は、年月日時を示す情報(例えば、2011年01月01日14時30分)を含む機器時刻情報を生成する。内部時計152は、所定周期(例えば、1分周期)で機器時刻情報を生成するとともに、処理部154に出力することができる。
また、内部時計152は、処理部154からの指示に応じて、機器時刻情報を補正することができる。具体的に、内部時計152は、処理部154から、所定時間だけ遅らせるように指示を受けると、所定時間だけ遅らせた機器時刻情報を出力する。一方、内部時計152は、処理部154から、所定時間だけ進めるように指示を受けると、所定時間だけ進めた機器時刻情報を出力する。
記憶部153は、処理部154が実行するプログラムを記憶すると共に、処理部154でのプログラム実行中にワークエリアとして使用される。また、記憶部153は、処理部154が参照する各種情報を記憶する。ここで、図3には、本実施形態に係る記憶部153に記憶される情報テーブルの一例が示されている。図3に示すように、記憶部153は、「第1時刻T1の判定結果」と、「第2時刻T2の判定結果」と、「対応処理」とを関連付けて記憶する。
「第1判定結果」は、内部時計152から出力された機器時刻情報が第1時刻T1を示す際に、太陽電池20が発電していたか否かの判定結果を示す情報である。「第1判定結果」には、“発電あり”、又は、“発電なし”を識別する情報が記憶される。
「第2判定結果」は、内部時計152から出力された機器時刻情報が第2時刻T2を示す際に、太陽電池20が発電していたか否かの判定結果を示す情報である。「第2判定結果」には、“発電あり”、又は、“発電なし”を識別する情報が記憶される。
「対応処理」は、「第1判定結果」と「第2判定結果」とに応じて、後述する処理部154が実行する処理を識別する情報である。なお、「第1判定結果」と、「第2判定結果」と、「対応処理」とは、パワーコンディショナ100の工場出荷時、又は、パワーコンディショナ100を需要家に設置する際などに記憶される情報である。
処理部154は、制御部150内の各機能を制御する。具体的に、処理部154は、電力制御部154Aと、発電判定部154Bと、時刻補正部154Cとを備える。
電力制御部154Aは、パワーコンディショナ100の運転状態を制御する。例えば、電力制御部154Aは、連系運転を実行する場合、DC/DC変換器110、DC/AC変換器111、及び連系用リレー121に対して、連系運転時の動作を行うように指示する。
また、電力制御部154Aは、内部時計152から、年月日時を示す情報を含む機器時刻情報を取得する。電力制御部154Aは、機器時刻情報に示す日付が、軽負荷日に至った場合、連系用リレー121に対して切り離すように指示し、連系運転を停止することができる。この機能は、多数の需要家に設けられる電力制御システム1の連系運転によって、多量の電力が電力系統10に逆潮流されないようにする機能である。つまり、かかる機能は、逆潮流によって、電力系統10に余剰電力が発生しないように制限するための機能である。
発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻T1を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する第1判定を実行するとともに、機器時刻情報が第1時刻T1とは異なる第2時刻T2を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する第2判定を実行する。
ここで、第1時刻T1と第2時刻T2とは、太陽電池20が電力を発電するか否かが既知の時刻である。また、本実施形態において、第1時刻T1と第2時刻T2とは、太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻である。
第1時刻T1と第2時刻T2とは、太陽電池20を設置する地域(日本、東京など)における日の出時刻及び日の入り時刻に基づいて、決定することが好ましい。例えば、日本を対象とした場合を例に挙げると、最も早い日の出時刻は、3時30分(根室)であり、最も遅い日の入り時刻は、19時41分(与那国)である。
このような場合、第1時刻T1と第2時刻T2とは、日の出時刻と日の入り時刻とに近いほど好ましいが、日の出時刻の近くの時間帯と、日の入り時刻の近くの時間帯とは、わずかではあるが、太陽電池20が電力を発電する可能性がある。かかる点を考慮して、本実施形態では、太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻として、「21時00分」を第1時刻T1とし、翌日の「2時00分」を第2時刻T2として説明する。つまり、第1時刻T1が、第2時刻T2よりも時系列上で前の時刻であるものとする。
また、発電判定部154Bは、第1時刻T1(21時00分)を示す第1時刻情報と、第2時刻T2(2時00分)を示す第2時刻情報とを予め記憶する。また、発電判定部154Bは、内部時計152から出力される機器時刻情報を所定周期で取得する。なお、この所定周期は、1分周期であってもよい。
発電判定部154Bは、内部時計152から取得した機器時刻情報が、第1時刻情報と一致するか否かを判定する。また、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻情報と一致したと判定すると、太陽電池20からDC/DC変換器110に入力される電力の電圧値を、DC/DC変換器110から取得する。発電判定部154Bは、電圧値が所定電圧閾値以上の場合、太陽電池20が発電していると判定し、電圧値が所定電圧閾値未満である場合、太陽電池20が発電していないと判定する。ここで、所定電圧閾値は、発電していると判定するのに十分な電圧値であればよく、予め記憶しておけばよい。また、「発電する」には、「発電する可能性があるか」も含めたものであってもよく、それらは目的によって所定電圧閾値を設定すればよい。
なお、発電判定部154Bは、電流値を取得して、電流値に基づいて、太陽電池20が発電しているか否かを判定してもよい。また、発電判定部154Bは、判定結果(“発電あり”又は“発電なし”)を第1時刻T1の第1判定結果として時刻補正部154Cに出力する。
同様に、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第2時刻を示す第2時刻情報と一致するか否かを判定する。また、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第2時刻情報と一致したと判定すると、上述した判定方法と同様の方法で太陽電池20が発電しているか否か判定する。また、発電判定部154Bは、判定結果(“発電あり”又は“発電なし”)を第2時刻T2の第2判定結果として時刻補正部154Cに出力する。
このようにして、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻T1を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する第1判定を実行するともに、機器時刻情報が第2時刻T2を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する第2判定を実行する。なお、本実施形態において、機器時刻情報が第1時刻T1を示す際とは、発電判定部154Bにおいて、機器時刻情報が第1時刻情報と一致したと判定したタイミングを示す。また、機器時刻情報が第2時刻T2を示す際とは、発電判定部154Bにおいて、機器時刻情報が第2時刻情報と一致したと判定したタイミングを示す。
時刻補正部154Cは、発電判定部154Bによって判定された第1判定結果と第2判定結果とに基づいて、時刻情報を補正する。具体的に、時刻補正部154Cは、第1時刻T1の第1判定結果と、第2時刻T2の第2判定結果とを入力すると、記憶部153に記憶される情報テーブルを参照する。また、時刻補正部154Cは、第1判定結果と、第2判定結果とに関連付けて記憶されている対応処理を実行する。以下に、時刻補正部154Cが実行する対応処理について説明する。
例えば、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”であり、第2判定結果が“発電なし”である場合、内部時計152から出力される機器時刻情報が正常値を示していると判定する。この場合、時刻補正部154Cは、特に何も処理を実行しない。
例えば、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”であり、第2判定結果が“発電あり”である場合、内部時計152から出力される機器時刻情報が異常値を示していると判定する。この場合、時刻補正部154Cは、利用者にエラーを報知する等のエラー処理を行う。
また、例えば、時刻補正部154Cは、第1時刻T1の判定結果が“発電あり”であり、第2時刻T2の判定結果が“発電なし”である場合、内部時計152から出力される機器時刻情報が進んだ時刻を示していると判定する。この場合、時刻補正部154Cは、情報テーブルに関連付けて記憶されている対応処理“機器時刻情報を所定時間ΔT3だけ遅らせる”を実行する。このとき、時刻補正部154Cは、内部時計152に対して、所定時間ΔT3だけ遅らせた機器時刻情報を出力するように指示する。
ここで、所定時間ΔT3は、第1時刻T1と日の入時刻との差の期間に基づいて決定することが好ましい。これは、第1時刻T1(例えば、21時00分)の判定結果が“発電あり”となる場合には、機器時刻情報によって示される時刻が、第1時刻T1(例えば、21時00分)と日の入時刻(例えば、19時41分)との差の期間以上に進んでいることが推定されるためである。当該差の期間は、1時間19分であるが、本実施形態では、所定時間ΔT3を2時間として説明する。なお、所定時間ΔT3は、これに限定されるものではない。
また、例えば、時刻補正部154Cは、第1時刻T1の判定結果が“発電なし”であり、第2時刻T2の判定結果が“発電あり”である場合、内部時計152から出力される機器時刻情報が遅れた時刻を示していると判定する。この場合、時刻補正部154Cは、情報テーブルに関連付けて記憶されている対応処理“機器時刻情報を所定時間ΔT4だけ進ませる”を実行する。このとき、時刻補正部154Cは、内部時計152に対して、所定時間ΔT4だけ進ませた機器時刻情報を出力するように指示する。
ここで、所定時間ΔT4は、第2時刻T2と日の出時刻との差の期間に基づいて決定することが好ましい。これは、第2時刻T2(例えば、2時00分)の判定結果が“発電あり”となる場合には、機器時刻情報によって示される時刻が、第2時刻T2(例えば、2時00分)と日の出時刻(例えば、3時30分)との差の期間以上に進んでいることが推定されるためである。当該差の期間は、1時間30分であるが、本実施形態では、所定時間ΔT4を2時間として説明する。なお、所定時間ΔT4は、これに限定されるものではない。また、特定時間ΔT3と特定時間ΔT4とは、同じ期間(例えば、2時間)としてもよいし、異ならせてもよいことは無論である。
(3)パワーコンディショナの動作
次に、図4を参照して、パワーコンディショナ100の動作を説明する。具体的に、パワーコンディショナ100が、内部時計152によって生成される時刻情報を補正する際の動作を説明する。図4は、パワーコンディショナ100の動作を示すシーケンス図である。
まず、ステップS100において、パワーコンディショナ100は、各種情報を設定する。具体的に、発電判定部154Bに対して、第1時刻T1を示す第1時刻情報及び第2時刻T2を示す第2時刻情報、および所定電圧閾値を記憶させる。また、記憶部153の情報テーブルに対して、第1乃至2判定結果及び対応処理等の各種情報を記憶させる。
なお、ステップS100における動作は、パワーコンディショナ100の工場出荷時、又は、パワーコンディショナ100を需要家に設置する際に、管理者によって実施されることが好ましい。これは、利用者が、上述した設定を自由に変更できてしまうと、軽負荷日が正確に検出できなくなるからである。
ステップS101において、内部時計152は、所定周期(例えば、1分周期)で機器時刻情報を生成するとともに、処理部154に出力する。なお、内部時計152は、ステップS101の動作を繰り返す。
ステップS102において、発電判定部154Bは、内部時計152によって生成される機器時刻情報を、所定周期で取得する。また、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻T1(例えば、21時)を示す第1時刻情報、又は、第2時刻T2(例えば、2時)を示す第2時刻情報と一致するか否かを判定する。発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻情報、又は、第2時刻情報と一致しない場合には、ステップS102の動作を繰り返し行う。
ステップS103において、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻T1を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する。具体的に、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第1時刻情報と一致したと判定すると、太陽電池20からDC/DC変換器110に入力される電力の電圧値を取得する。発電判定部154Bは、電圧値が所定電圧閾値以上の 場合、太陽電池20が発電していると判定し、電圧値が所定電圧閾値未満の場合、太陽電池20が発電していないと判定する。発電判定部154Bは、判定結果(“発電あり”又は“発電なし”)を第1時刻T1の第1判定結果として時刻補正部154Cに出力する。
また、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第2時刻T2を示す際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する。具体的に、発電判定部154Bは、機器時刻情報が第2時刻情報と一致したと判定すると、上述した判定方法と同様の方法によって、太陽電池20が電力を発電したか否かを判定する。発電判定部154Bは、判定結果(“発電あり”又は“発電なし”)を第2判定結果として時刻補正部154Cに出力する。
ステップS104において、発電判定部154Bは、第1判定結果と第2判定結果との出力が完了したか否かを判定する。発電判定部154Bは、第1判定結果と第2判定結果との出力が完了した場合は、完了した旨を時刻補正部154Cに通知する。なお、発電判定部154Bは、完了していない場合は、ステップS102乃至S104の動作を繰り返す。
ステップS105において、時刻補正部154Cは、発電判定部154Bからの通知を受けると、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”であるか否かを判定する。また、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”である場合、パワーコンディショナ100が異常動作を行っていると判定する。
ステップS106において、時刻補正部154Cは、パワーコンディショナ100が異常動作を行っていると判定する場合、利用者に対してエラーを報知する。具体的に、時刻補正部154Cは、記憶部153を参照して、“発電あり”、“発電あり”に関連付けられている対応処理“エラー報知”を実行する。このとき、時刻補正部154Cは、表示部(図示せず)又はスピーカ(図示せず)等から、所定の画像又は所定の音声を出力することで、パワーコンディショナ100に異常が発生している旨を利用者に通知する。
ステップS107において、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”であるか否かを判定する。時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”であると判定した場合、内部時計152から取得した機器時刻情報の示す時刻が進んでいると判定する。一方、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”でないと判定した場合、ステップS109の動作を行う。
ステップS108において、時刻補正部154Cは、内部時計152から取得した機器時刻情報が進んでいると判定した場合、内部時計152の機器時刻情報の示す時刻を遅らせるように補正する。具体的に、時刻補正部154Cは、記憶部153を参照して、第1判定結果“発電あり”、第2判定結果“発電なし”に関連付けられている対応処理“所定時間ΔT3だけ遅らせる”を実行する。
このとき、時刻補正部154Cは、内部時計152に対して、所定時間ΔT3(例えば、2時間)だけ遅らせた機器時刻情報を生成するように指示する。この指示を受けた内部時計152は、所定時間ΔT3だけ遅らせた機器時刻情報を生成する。
ステップS109において、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”であるか否かを判定する。また、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”であると判定した場合、内部時計152から取得した機器時刻情報の示す時刻が遅れていると判定する。
なお、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”でないと判定した場合、つまり、第1判定結果と第2判定結果とがいずれも“発電なし”であった場合、機器時刻情報の示す時刻が正常値であると判断する。時刻補正部154Cは、その旨を発電判定部154Bに通知し、発電判定部154Bは、ステップS102の動作を繰り返す。
ステップS110において、時刻補正部154Cは、内部時計152から取得した機器時刻情報の示す時刻が遅れていると判定した場合、時刻補正部154Cは、内部時計152の機器時刻情報の示す時刻を進ませるように補正する。具体的に、時刻補正部154Cは、記憶部153を参照して、第1判定結果“発電なし”、第2判定結果“発電あり”に関連付けられている対応処理“所定時間ΔT4だけ進ませる”を実行する。
このとき、時刻補正部154Cは、内部時計152に対して、所定時間ΔT4(例えば、2時間)だけ進ませた機器時刻情報を生成するように指示する。この指示を受けた内部時計152は、所定時間ΔT4だけ進めた機器時刻情報を生成する。
以上のように、ステップS107乃至S110において、時刻補正部154Cは、発電判定部154Bによる第1判定結果及び第2判定結果に基づいて、内部時計152によって生成される機器時刻情報を補正する。なお、上述したステップS101乃至S110の動作は、毎日行ってもよいし、1ヶ月毎に行ってもよいし、1年ごとに行ってもよい。つまり、ステップS101乃至S110の動作は、任意のタイミングで行ってもよい。
(4)作用及び効果
本実施形態に係るパワーコンディショナ100は、機器時刻情報が第1時刻T1を示す第1時刻情報と一致した際に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する第1判定を行い、機器時刻情報が第2時刻を示す第2時刻情報と一致した際に、太陽電池20が電力を発電しているか否かを判定する第2判定を行う。
パワーコンディショナ100は、第1判定結果及び第2判定結果に基づいて、機器時刻情報を補正する。また、第1時刻T1と第2時刻T2とは、太陽電池20によって発電されるか否かが既知の時刻である。
つまり、パワーコンディショナ100では、機器時刻情報が、太陽電池20が発電するか否かが既知の第1時刻T1及び第2時刻T2を示す際に、実際に太陽電池20によって発電されるか否かを判定して、内部時計152によって生成される機器時刻情報を補正する。
ここで、パワーコンディショナ100が、軽負荷日において、太陽電池20によって発電した電力を電力系統10に逆潮流しないようにするためには、機器時刻情報の誤差は、少なくとも日付変更時刻(24時(0時))から発電可能な時刻(例えば、3時30分)までの差(例えば、3時間30分)の範囲内であればよい。すなわち、機器時刻情報の精度は、1秒以内といった高精度である必要がなく、3時間程度の誤差の範囲内であれば十分である。よって、パワーコンディショナ100によれば、太陽電池20が発電されるか否かの判定結果に基づいて、軽負荷日を検出するために十分な精度の範囲内に、機器時刻情報を補正できる。
本実施形態に係るパワーコンディショナ100では、従来技術のように、電波時計信号を受信するための新たな機器を設けずに、パワーコンディショナ100本来の機能によって把握可能な太陽電池20の発電状況に基づいて、内部時計152の機器時刻情報を補正することができる。このように、本実施形態に係るパワーコンディショナ100によれば、装置規模を増大させることなく、かつ、コストが増加することを抑制して、内部時計152の機器時刻情報を補正することができる。
また、パワーコンディショナ100は、機器時刻情報が第1時刻T1を示す際と、機器時刻情報が第2時刻T2を示す際との2つの場合に、太陽電池20が電力を発電するか否かを判定する。よって、パワーコンディショナ100は、一方が発電し、他方が発電しない等の発電状況に基づいて、機器時刻情報の示す時刻が進んでいるのか遅れているのかを判定できるので、より高い精度で機器時刻情報を補正することができる。
また、パワーコンディショナ100では、太陽電池20の発電を判定する第1時刻T1と第2時刻T2とが、太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻である。ここで、太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻とは、太陽電池20が太陽光を受光できない夜間の期間内の時刻である。一方、太陽電池20が電力を発電することが既知の時刻は、太陽電池が太陽光を受光できる昼間の期間内の時刻である。
また、太陽電池20は、昼間の時刻であっても、天候によっては、太陽電池20が発電できない可能性がある。よって、パワーコンディショナ100では、第1時刻T1と第2時刻T2とを太陽電池20が電力を発電することが既知の時刻とした場合、太陽電池20が発電していないと誤って判定してしまう場合もある。このような場合、パワーコンディショナ100は、内部時計152の機器時刻情報の示す時刻を誤って補正してしまう可能性ある。
本実施形態に係るパワーコンディショナ100では、第1時刻T1と第2時刻T2が、太陽電池20が太陽光を受光できない夜間の時刻である。よって、パワーコンディショナ100は、太陽電池20が電力を確実に発電しない時刻を、第1時刻T1及び第2時刻T2として用いるので、天候の影響によって太陽電池20が電力を発電しない場合において、誤った補正を行わない。つまり、本実施形態に係るパワーコンディショナ100によれば、誤った補正を防止して、より正確に内部時計152の機器時刻情報を補正できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るパワーコンディショナ100の構成について説明する。ここで、上述した第1実施形態では、第1時刻T1と第2時刻T2とが、太陽電池20が発電しないことが既知の時刻である場合を例に挙げて説明したが、本実施形態では、第1時刻T1と第2時刻T2とが、太陽電池20が発電することが既知の時刻である。つまり、本実施形態では、第1時刻T1と第2時刻T2とが、昼間の期間の時刻である。
具体的に、本実施形態では、発電判定部154Bは、第1時刻T11(5時00分)を示す第1時刻情報を予め記憶し、第2時刻T12(18時00分)を示す第2時刻情報を予め記憶する。また、本実施形態に係る記憶部153は、図5に示すように、第1時刻T11の判定結果と、第2時刻T12の判定結果と、対応処理とを関連付けて記憶する。
以下に、図6を参照して、本実施形態に係るパワーコンディショナ100の動作を具体的に説明する。図6は、本実施形態に係るパワーコンディショナ100の動作を示すシーケンス図である。
ここで、ステップS200乃至S204の動作は、上述した第1実施形態のステップS100乃至S104の動作と同様であるため、説明を省略する。
ステップS205において、時刻補正部154Cは、発電判定部154Bからの通知を受けると、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”であるか否かを判定する。時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”である場合、パワーコンディショナ100が異常動作を行っていると判定する。
ステップS206において、時刻補正部154Cは、パワーコンディショナ100が異常動作を行っていると判定すると、記憶部153を参照して、“発電なし”、“発電なし”に関連付けられている対応処理“エラー報知”を実行する。なお、時刻補正部154Cが処理“エラー報知”を実行する動作は、上述した第1実施形態のステップS106の動作と同様であるため、説明を省略する。
ステップS207において、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”であるか否かを判定する。また、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電なし”で、かつ、第2判定結果が“発電あり”であると判定した場合、機器時刻情報の示す時刻が進んでいると判定する。
ステップS208において、時刻補正部154Cは、機器時刻情報が進んでいると判定すると、対応処理“所定時間ΔT3だけ遅らせる”を実行する。なお、時刻補正部154Cが、対応処理“所定時間ΔT3だけ遅らせる”を実行する動作は、上述した第1実施形態のステップS108の動作と同様であるため、説明を省略する。
ステップS209において、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”であるか否かを判定する。時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”であると判定した場合、内部時計152から取得した機器時刻情報が遅れていると判定する。なお、時刻補正部154Cは、第1判定結果が“発電あり”で、かつ、第2判定結果が“発電なし”でないと判定した場合、つまり、第1判定結果と第2判定結果とがいずれも“発電あり”であると判定した場合、内部時計152から取得した機器時刻情報が正常であると判断する。
ステップS210において、時刻補正部154Cは、機器時刻情報が進んでいると判定すると、記憶部153を参照して、対応処理“所定時間ΔT4だけ進ませる”を実行する。なお、時刻補正部154Cが、対応処理“所定時間ΔT4だけ進ませる”を実行する動作は、上述した第1実施形態のステップS110と同様であるため説明を省略する。
以上のように、本実施形態に係るパワーコンディショナ100は、第1時刻T11と第2時刻T12とが、太陽電池20が発電する昼間の期間内の時刻であっても、内部時計152によって生成される機器時刻情報を補正することができる。すなわち、本実施形態に係るパワーコンディショナ100によれば、装置規模を増大させることなく、かつ、コストが増加することを抑制して、内部時計152の機器時刻情報を補正することができる。
[変更例]
次に、本実施形態に係る変更例について説明する。ここで、昼間の期間内の天候が、雨天又は曇天の場合もあるので、太陽電池20が、電力を発電しない場合もあり得る。かかる場合を考慮して、パワーコンディショナ100は、ステップS201乃至S204の動作を、所定日数の期間(例えば、10日間)毎日実行して、第1判定結果と第2判定結果とを取得してもよい。
具体的に、パワーコンディショナ100は、所定日数の期間において、第1判定結果が一度でも“発電あり”と判定された場合には、第1判定結果を“発電あり”として、ステップS205乃至210の動作を行ってもよい。同様に、パワーコンディショナ100は、第2判定結果が一度でも“発電あり”と判定された場合には、第2判定結果を“発電あり”として、ステップS205乃至210の動作を行ってもよい。
以上のように、本変更例に係るパワーコンディショナ100によれば、天候の影響によって太陽電池20が発電しない場合に、内部時計152の機器時刻情報を誤って補正してしまうことを防止することができる。
なお、本変更例は、第1実施形態においても適用可能である。具体的に、パワーコンディショナ100は、ステップS101乃至S104の動作を、所定日数の期間、毎日実行して、第1判定結果と第2判定結果とを取得してもよい。また、パワーコンディショナ100は、上述した方法によって第1判定結果と第2判定結果とを取得するとともに、第1判定結果と第2判定結果とに基づいて、ステップS105乃至110の動作を行ってもよい。
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、上述した実施形態において、電力制御システム1が、分散電源として、太陽電池20を備える場合を例に挙げて説明したが、太陽電池20に加えて、風力発電装置、蓄電池などを更に備えていてもよい。
また、上述した実施形態において、パワーコンディショナ100の制御部150の機能は、HEMS(Home Energy Management System)、BEMS(Building Energy Management System)等、スマートグリッド技術における様々なシステムに備えてもよい。
また、パワーコンディショナ100は、連系運転だけでなく、太陽電池20によって発電された直流電力を自立系統配電線(図示せず)に出力する自立運転を実行してもよい。
また、上述した実施形態では、第1時刻(T1又はT11)と第2時刻(T2又はT12)との両方が、太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻(夜間)、又は、太陽電池20が電力を発電することが既知の時刻(昼間)である場合を例に挙げて説明した。しかし、例えば、第1時刻を太陽電池20が電力を発電しないことが既知の時刻(夜間)とし、第2時刻を太陽電池20が電力を発電することが既知の時刻(昼間)としてもよい。つまり、第1時刻と第2時刻とは、太陽電池が電力を発電するか否かが既知の時刻であれば、どのような時刻に設定してもよい。
また、上述した実施形態では、太陽電池が電力を発電するか否かが既知の時刻として、第1時刻と第2時刻との2つが設定されている場合を例に挙げたが、更に多くの時刻を設定してもよい。例えば、1時間間隔で複数の時刻を設定した場合、機器時刻情報がどれだけ進んでいるか、又は、どれだけ遅れているかを1時間単位で把握できるので、機器時刻情報をより正確に補正することが可能になる。
また、上述した実施形態及び変更例は組み合わせることも可能である。このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。