JP5652421B2 - 光透過性成形品の外観検査装置 - Google Patents
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Description
二つ目は、周囲の光や被検物を照射した光が、光透過性成形体の内部で反射、散乱する際に、光透過性成形体の形状の影響で反射、散乱する光の強度が方向により不均一となるため、光透過性成形体を観察すると周囲に対して黒い部分があるように見えるため、汚れや色ムラなどと錯覚することがあるという問題である。汚れ、色ムラなどの色彩が目立たないため、光の反射、散乱によって発生した影を汚れ、色ムラなどと誤認してしまうことが問題となっていた。
そこで、本発明の課題は光透過性成形体のような彩度の小さい画像であっても色の違いを区別することが可能な外観検査装置を提供することである。
前記画像データは赤(R)、青(B)、緑(G)の色成分の光量値で構成された色空間データ群1で構成されており、前記色空間データ群1を色相(H)と彩度(S)を含む色成分で構成された色空間データ群2に変換する第一の変換手段と、前記画像データを構成する抽出色の領域を指定し、前記色空間データ群2の色相(H)を該抽出色の領域の値がRGBいずれかの指定した色が最大あるいは最小になるように回転させて色空間データ群3に変換する第二の変換手段と、前記色空間データ群3を赤(R)、青(B)、緑(G)の色成分の光量値で構成された色空間データ群4に変換する第三の変換手段とを備え、
前記色空間データ群4を構成する色成分の一つを選択し、選択した色成分の光量値を残りの色成分の光量値を用いて補正することを特徴とする光透過性成形品の外観検査装置である。(本明細書において使用される「色空間データ群」とは、画像データを構成しているHSI色空間、RGB色空間などの色成分で表現された画素データの集合体のことを言う。)
図1は、本願発明の外観検査装置の全体構成を表す構成図である。光透過性を有したガラス・樹脂を原材料として成形された被検査物Sの外観を検査するため、検査台を兼ねた拡散板3上に設置する。光源2は、拡散板3の下方に配置され、拡散板3に向けて光を放射する構成になっており、光源より放射された光Lは拡散板3を透過することで拡散光L’となり、ランダムな方向から被検査物Sを照明する。被検査物Sの上方にはカラー撮像装置1が設置されており、光源2から放射された光で照明された被検査物Sを撮影する。
図2は、本発明の外観検査装置の画像処理の手順を示すフローチャートである。
画像入力S1は、カラー撮像装置1で撮影された画像データを、画像処理装置4に入力する工程である。多くの場合、画像データは画素ごとに赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色成分の光量値に分解された画像 立て表現される。RGBの三原色による色の表現と異なる色表現方法として、色相(H)と彩度(S)を用いた表現方法がいくつか知られており、HSI(Hue、Saturation、Intensity)色空間やHSV(Hue、Saturation、Value)色空間、HLS(Hue、Lightness、Saturation)色空間などと呼ばれているものがある。
HSI変換S2は、RGB色成分で表現された画像データを色相(H)と彩度(S)で表現された色空間に変換を行う工程である。なお、HSI変換S2は、画像データを構成する色成分の表現方法を変換するだけの等価な変換であり、人間が外観検査装置のモニタ42を通して観察する画像の色が変化する訳ではない。
選択色指定S4は、前記抽出色指定S3で指定した色を、例えばR、G、Bいずれかの指定した色に変換するか指定する工程である。
色相回転S5は、抽出した領域の色が、R(赤)G(緑)B(青)いずれかが強調して見えるように画像データ全体の色相を変化させる工程である。色相の変化量は、前記抽出色指定S3で指定した色と前記選択色指定S4で指定した色のそれぞれの色相(H)の差分になる。
RGB変換S6は、前記色相回転S5を行った後の画像データを、RBG色空間で表現された画像データに変換する工程である。
工程S7は、RGB色空間で表現された画像データについて、選択色のデータと選択されなかった残りの2つのデータ(非選択色1、非選択色2)に区別してコンピュータ装置40のメモリに保管する工程である。なお、説明では、選択色はG(緑)とし、残りの非選択色の大小関係はR(赤)>B(青)となっている場合について記載している。
本発明による画像処理では、階調処理の方法として3種類の補正方法を実施できる。
第二の方法は、工程S10と工程S11に記載された方法であり、選択色の色成分の光量値と、非選択色の内小さな値をとる色の色成分の光量値の差分をとる方法である。
第三の方法は、工程S12と工程S13に記載された方法であり、選択色の色成分の光量値と、非選択色の色成分の光量値の平均値を求め、差分をとる方法である。
画像データについて、上記の階調処理を行うことで選択色と非選択色の色成分の光量値の関係から単色の濃淡画像が生成され画面表示S13される。
なお、工程S9、工程S11、工程S12において、得られた結果が0より小さくなる場合は、得られた値は0になるとしている。
本発明は光透過性成形体の外観検査を目的としているため、光透過性成形体を観察したときの特徴である彩度が低い状態として、非選択色の色成分の光量値に対して、選択色の色成分の光量値が10%高い値を示す場合を例にして求めた値である。
選択色に対して、非選択色の最大値で補正した場合(工程S9)は、選択色に近い色のみが濃淡画像として現れる。これは、比較対照する箇所の色合いが似ている場合に、目的とする色のみを切り出す場合に有効である。(図3III))
これに対して、選択色に対して、非選択色の最小値で補正した場合(工程S11)は、選択色周辺の広い色相範囲の色が濃淡画像として現れる。これは、彩度が低い画像は、灰色のバックグラウンドの中に僅かに色合いが認識できるだけで、人間の目では色合いを誤認しやすい場合に類似する色を把握する場合に有効である。(図3(I))
三番目の選択色に対して、非選択色の平均値を求めて補正する場合は、上記二つの方法の中間的な性質を有しており、選択色からの色相の差異も濃淡値として表現される。(図3(II))
上記3種類の方法は、対象となる被検査物の状態に応じて選択することができる。
図4の例では、彩度値が同じ値で、色相値が近接している3種類の色(a、b,c)に本発明を適用することにより区別する過程を示している。図4(a)の左から2番目、3番目、4番目の図は、前記3種類の色(a、b,c)について、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の色成分で表した場合の図を示している。図4(1)について、例えば、R、G、Bの色成分がそれぞれ90、100,110のいずれかの値を採るものとすると、三色の成分が相対的に近接しているため、彩度が小さくなり視覚的には単色の濃淡の色調に僅かに色がついた色に認識される。このような色を色相環で表現すると、中心部分に分布したものとなる。なお、図4(1)及び図4(2)に示した色相環は各色の色相の違いが判るように、説明のため、色彩の値を便宜的に大きく強調して表示している。
各点の色情報を色相と色彩に変換し色相環に表示する。(図4(1)左図)(工程S2)
点bの色に着目し(工程S3)、点bの色を色相変換する色としてG(緑)を選択する。(工程S4)
点bの色相値とG(緑)の色相の差(θ)を求め、点bの色相が緑となるように、画像全体の色相をθだけシフトさせる。(図4(2))(工程S5)
色相変換後の各点の色情報を、R・G・Bで表す。(工程S6)(図4(2)(a’)〜(c’))
選択色に対して、非選択色の平均値で補正する場合は、選択色であるG(緑)の成分に対して、非選択色であるR(赤)とB(青)の色成分の光量値の平均値を求め、選択色G(緑)の色成分の光量値から引く(図4(4))(工程S12)。
画像全体につき、上記工程S9あるいは工程S12を繰り返し、得られた画像を表示する。(工程S13)
このように、本発明による手順により画像処理を行うことにより、着目した色に対して、一致する色が最大となり、色相が近接している場合であっても階調の濃淡の差として区別することができる。
なお、図3で説明したとおり、補正の手法を選択することにより隣接する色相の違いから得られる濃淡の階調は調整することができる。図4に示したように色相が近接している場合は、非選択色の色成分は、最大値あるいは平均値を用いて補正することが適している。
このような場合においても、発明の画像処理を行うことが有効である。
図5を用いて説明すると、取得した画像から、三箇所を選択し、各点(a、b、c)の色情報を取得する。(図5(1)(a)〜(c))(工程S1)
各点の色情報を色相と色彩に変換し色相環に表示する。(図5(1)左図)(工程S2)
点bの色に着目し(工程S3)、点bの色を色相変換する色としてG(緑)を選択する。(工程S4)
点bの色相値とG(緑)の色相の差(θ)を求め、点bの色相が緑となるように、画像全体の色相をθだけシフトさせる。(図5(2))(工程S5)
色相変換後の各点の色情報を、R・G・Bで表す。(工程S6)(図5(2)(a’)〜(c’))
ここで、選択色であるG(緑)の成分に対して、非選択色であるR(赤)とB(青)の色成分の光量値を比較し、小さな値の色成分の光量値を選択色G(緑)の色成分の光量値から引く(図5(3))(工程S11)。
画像全体につき、上記工程S11を繰り返し、得られた画像を表示する。(工程S13)
このように、本発明による手順により画像処理を行うことにより、着目した色に対して、補色にあたる色を除くことができるため、彩度が低く色の特徴を判断しづらい状態であっても、視覚的な錯覚を防止することが可能になる。
このように周辺環境による影響を防止するためには、被検査物Sやカラー撮像装置1などを覆うように図6に示すような遮光壁5を用いることが有効である。
遮光壁5を設けることにより、光源2から照射された光だけがカラー撮像装置1に捕捉されるため、迷光による誤検出を防止することができる。
また、誤検出の防止だけでなく、迷光が無くなることで検出感度が向上することが期待される。このため、より微細な色調の変化も精度よく判定することが可能になる。
さらに、拡散板3が導光板の機能を持っていれば、拡散板3の側壁に光源2を設置して拡散板の側面から光を導入することで、被検査物Sの下方から拡散光L’を照射することが可能になり、図1の透過照明の場合と同じように照射することができる。
L:光源より放射された光
L’:拡散光
1:カラー撮像装置
2:光源
3:拡散板
4:画像処理装置
40:コンピュータ装置
40a:CPU
40b:メインメモリ
40c:補助記憶装置
40d:インターフェース部
41:プリンタ
42:モニタ
43:入力機器
5:遮光壁
Claims (4)
- 被検査物に光を照射する光源と、
前記被検査物を透過あるいは前記被検査物から反射した光を受光するカラー撮像装置と、
前記カラー撮像装置で撮像された画像データを記録する記録手段と、
を備えた光透過性成形品の外観検査装置において、
前記画像データは赤(R)、青(B)、緑(G)の色成分の光量値で構成された色空間データ群1で構成されており、
前記色空間データ群1を色相(H)と彩度(S)を含む色成分で構成された色空間データ群2に変換する第一の変換手段と、
前記画像データを構成する抽出色の領域を指定し、
前記色空間データ群2の該抽出色の領域の値がRGBいずれかの指定した色が最大あるいは最小になるように色相(H)を回転させて色空間データ群3に変換する第二の変換手段と、
前記色空間データ群3を赤(R)、青(B)、緑(G)の色成分の光量値で構成された色空間データ群4に変換する第三の変換手段とを備え、
前記色空間データ群4を構成する色成分の一つを選択し、選択した色成分の光量値を残りの色成分の光量値を用いて補正することを特徴とする光透過性成形品の外観検査装置。 - 前記補正は、前記選択した色成分の光量値を選択されていない残りの色成分の内、光量値が小さい成分の値を減算することを特徴とする請求項1に記載の光透過性成形品の外観検査装置。
- 前記補正は、前記選択した色成分の光量値を選択されていない残りの色成分の内、光量値が大きい成分の値を減算することを特徴とする請求項1に記載の光透過性成形品の外観検査装置。
- 前記補正は、前記選択した色成分の光量値を選択されていない残りの色成分の光量値の平均値を求め減算することを特徴とする請求項1に記載の光透過性成形品の外観検査装置。
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