JP5652185B2 - 群遅延時間調整回路および電力分配合成回路 - Google Patents

群遅延時間調整回路および電力分配合成回路 Download PDF

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Description

本発明は、信号の群遅延時間を調整する群遅延時間調整回路および電力分配合成回路に関し、VHF、UHF帯のTV、FM送信機等において電力信号の群遅延時間を調整する群遅延時間調整回路および電力分配合成回路に関する。
VHF、UHF帯のTV、FM送信機等で用いられる電力分配合成回路として、それぞれ結合度が異なる(n−1)個の方向性結合器(3dBカプラ、4.7dBカプラ、・・・、−10log(1/n)dBカプラ)を縦接続したn合成器を用いる構成が知られている。結合度が異なる複数の方向性結合器を用いて電力合成する場合、各ルートの位相が広帯域で一致している必要がある。各ルートの位相が一致しない場合、合成した時の合成ロスが大きくなる。
特許文献1には、それぞれ結合度が異なる方向性結合器を多段に縦続接続した構成を、分配器と合成器の両方に適用した電力増幅回路が開示されている。
特開2001−267862号公報
特許文献1の電力分配合成技術は、中心周波数近傍では各ルートの位相が一致するものの、各ルートの群遅延速度(位相の周波数特性の傾き)が異なることから、中心周波数から離れるに従い、各ルートの位相が一致しなくなり、合成ロスが大きくなる。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、伝送線路の中心周波数での位相を所望の値に維持した状態で、群遅延時間(位相の周波数特性の傾き)を任意に調整できる群遅延時間調整回路および電力分配合成回路を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る群遅延時間調整回路は、信号が入力する入力端子、信号を出力するアイソレーション端子、結合端子および通過端子を備えた3dBハイブリッド回路と、片端が結合端子に接続されると共に他端が接地された第1の特性を有する第1のリアクタンスと、片端が通過端子に接続されると共に他端が接地された第1の特性を有する第2のリアクタンスと、アイソレーション端子に接続されると共に第1の特性に対応する電気長が設定された調整用線路と、を備える。
上記目的を達成するために本発明に係る電力分配合成回路は、入力信号をn分配してn本のルートへ出力する分配手段と、各ルートに配置されたn個の上記群遅延時間調整回路と、n本のルートからの信号を合成して出力する合成手段と、を備える。
本発明に係る群遅延時間調整回路および電力分配合成回路は、第1の特性を有する2つのリアクタンスと第1の特性に対応する電気長が設定された調整用線路とを備えることにより、通過する信号の伝送線路の中心周波数での位相を所望の値に維持したまま、群遅延時間を任意に調整することができる。
本発明の第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路10の等価回路図の一例である。 本発明の第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路10の信号の流れを説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路10の2つのリアクタンスが、(a)容量性リアクタンスの場合、(b)短絡状態の場合、(c)誘導性リアクタンスの場合、の等価回路図の一例である。 本発明の第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路10の位相の周波数特性の一例である。 本発明の第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路10の群遅延時間の周波数特性の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力分配合成回路100の等価回路図の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る90°3dBハイブリッドH310の通過損失の周波数特性の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力分配合成回路100から調整回路300、400、500を削除した場合の等価回路図の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力分配合成回路100から調整回路300、400、500を削除した場合の、ルート1を基準とした位相差の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力分配合成回路100のルート1を基準とした位相差の一例である。 本発明の第2の実施形態に係る電力分配合成回路100と、調整回路300、400、500を削除した電力分配合成回路100‘の合成ロスの周波数特性の一例である。 本発明の第3の実施形態に係る電力分配合成回路100Bの等価回路図の一例である。 本発明の第3の実施形態に係る電力分配合成回路100Bから調整回路300、400、500を削除した場合の等価回路図の一例である。 本発明の第3の実施形態に係る電力分配合成回路100Bから調整回路300、400、500を削除した場合の、ルート1を基準とした位相差の一例である。 本発明の第3の実施形態に係る電力分配合成回路100Bのルート1を基準とした位相差の一例である。 本発明の第3の実施形態に係る電力分配合成回路100Bと、調整回路300、400、500を削除した電力分配合成回路100B‘の合成ロスの周波数特性の一例である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る群遅延時間調整回路について説明する。本実施形態の群遅延時間調整回路の等価回路図の一例を図1に示す。図1において、群遅延時間調整回路10は、3dBハイブリッド20、第1のリアクタンス30、第2のリアクタンス40および調整用線路50を備える。
3dBハイブリッド20は、信号が入力する入力端子21、信号を出力するアイソレーション端子22、結合端子23および通過端子24を備える。アイソレーション端子22に調整用線路50が、結合端子23に片端が接地された第1のリアクタンス30が、通過端子24に片端が接地された第2のリアクタンス40が接続されている。
第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40は擬似抵抗であり、同じ特性(第1の特性)を有する。ここで、第1の特性が容量性の場合は、短絡された状態を基準にして(すなわち、入力端子21−アイソレーション端子22間の位相が中心周波数において+90°の状態を基準にして)信号の位相が進み、位相の周波数特性の傾き(すなわち、群遅延時間)が大きくなる。また、第1の特性が誘導性の場合は、短絡された状態を基準にして信号の位相が遅れ、群遅延時間が小さくなる。さらに、第1の特性が容量性リアクタンス無限大または誘導性イアクタンス無限小の場合は短絡された状態と等価となり、信号の位相は変化しない。
ここで、位相の変化量の大きさは、リアクタンスの大きさで調整することができ、容量成分が小であれば位相進みが大となり、誘導成分が大であれば位相遅れが大となる。なお、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40は擬似抵抗であることから、通過時に信号の強度レベルが変化することは無い。
調整用線路50は、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40が有する第1の特性と対応する電気長が設定されている。例えば、第1の特性が位相を入力端子21−アイソレーション端子22間の位相が中心周波数において+90°の状態を基準にしてX°進める容量特性の場合、調整用線路50は電気長の変化分がX°となるように線路長が長く調整される。一方、第1の特性が位相をX°(+90°の状態を基準)遅らせると誘導特性の場合、調整用線路50は電気長の変化分がX°なるように線路長が短く調整される。
信号の流れについて図2を用いて説明する。本実施形態に係る群遅延時間調整回路10に入力した位相が0°の信号は、3dBハイブリッド20の入力端子21から、同位相で結合端子23へ、位相が90°遅れた状態で通過端子24へ出力する。結合端子23および通過端子24へ入力した信号はそれぞれ、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40によって第1特性(位相がX°変化、群遅延時間が変化。)が付加された後、全反射されることにより位相が180°進み、再び結合端子23および通過端子24へ入力する。そして、結合端子23からアイソレーション端子22へ位相が90°遅れた状態で、通過端子24からアイソレーション端子22へは同位相で出力され、合成されて通過端子24から出力されて調整用線路50に入力する。さらに、調整用線路50に入力した信号は、第1の特性と対応する電気長を通過し、群遅延時間調整回路10から出力する。ここで、第1の特性と対応する電気長は、第1の特性が端子21−22間の位相が中心周波数において+90°の状態を基準にX°進む特性の場合、−(X+90)°となる。従って、信号が本実施形態に係る群遅延時間調整回路10を通過することにより、中心周波数の位相は維持されたままで(0°=−90°+X°+180°−(X+90)°)、群遅延時間のみが変化した信号が出力される。
具体例を挙げて説明する。第1の特性が容量性の場合(ケース1)の群遅延時間調整回路10の等価回路図の一例を図3(a)に、第1の特性が短絡の場合(ケース2)の等価回路図の一例を図3(b)に、第1の特性が誘導性の場合(ケース3)の等価回路図の一例を図3(c)に示す。
図3(a)において、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40が信号の中心周波数での位相を45°進める容量性リアクタンスである場合、調整用線路50は電気長が135°(45°+基準値90°)に設定される。図3(b)において、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40が短絡状態の場合(位相の変化量は0°)、調整用線路50は電気長が90°(0°+基準値90°)に設定される。さらに、図3(c)において、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40が信号の中心周波数での位相を90°遅らせる誘導性リアクタンスである場合、調整用線路50は電気長が0°(−90°+基準値90°)に設定される。
ケース1の場合、3dBハイブリッド20の通過により位相が90°遅れ、第1のリアクタンス30および第2のリアクタンス40の通過により群遅延時間が大きくなると共に位相が45°進み、全反射時に位相が180°進み、調整用線路50を通過することにより位相が135°遅れる。従って、ケース1の群遅延時間調整回路10に入力した中心周波数での位相が0°の信号は、中心周波数での位相が0°(=−90°+45°+180°−135°)に維持されたまま、群遅延時間のみ大きくなって出力される。同様に、ケース2の場合は中心周波数での位相(0°=−90°+0°+180°−90°)および群遅延時間がそのまま維持された信号が出力される。さらに、ケース3の場合は中心周波数での位相が0°(=−90°−90°+180°)で群遅延時間が小さくなった信号が出力される。
上述のケース1〜ケース3の位相の周波数特性を図4に、群遅延時間の周波数特性を図5に示す。図4および図5において、一点鎖線がケース1(容量性リアクタンス、電気長135°)、実線がケース2(短絡、電気長90°)、点線がケース3(誘導性リアクタンス、電気長0°)である。図4に示すように、第1の特性を変化させることにより、中心周波数での位相は0°に維持した状態で、位相の周波数特性の傾きを調整することができる。すなわち、第1の特性を容量性にすることにより、短絡した状態と比較して、位相の周波数特性の傾きを右肩下がりに変化させることができる。一方、第1の特性を誘導性にすることにより、短絡した状態と比較して、位相の周波数特性の傾きを右肩上がりに変化させることができる。位相の周波数特性の傾きが変化することと、群遅延時間が変化することとは等価であり、図5に示すように、容量性リアクタンスを用いた場合は短絡した状態と比較して群遅延時間が大きくなり、誘導性リアクタンスを用いた場合は短絡した状態と比較して群遅延時間が小さくなる。
以上のように、本実施形態に係る群遅延時間調整回路10は、第1の特性を有する2つのリアクタンス30、40と、第1の特性に対応する電気長が設定された調整用線路50と、を備えることにより、通過する信号の伝送線路の中心周波数での位相を所定の値に維持したまま、群遅延時間(位相の周波数特性の傾き)のみを任意に調整することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る電力分配合成回路の構成図の一例を図6に示す。図6において、電力分配合成回路100は、3分配器D210、第1の調整回路300、第2の調整回路400、第3の調整回路500、第1の伝送線路E610、第2の伝送線路E620、3dBカプラH710および4.7dBカプラH720を備える。
3分配器D210はウィルキンソン型の分配器であり、入力端子0から入力した信号を同位相・同レベルで3分配し、それぞれ調整回路300、400、500へ出力する。以下、第1の調整回路300を通過するルートをルート1、第2の調整回路400を通過するルートをルート2、第3の調整回路500を通過するルートをルート3と記載する。
調整回路300、400、500は、第1の実施形態で説明した群遅延時間調整回路10を適用することができ、信号が3つの調整回路300、400、500を通過することにより、中心周波数での位相は0°に維持されたまま、群遅延時間が調整回路300、400、500の特性に応じてそれぞれ変化する。調整回路300、400、500については後述する。
第1の伝送線路E610は、電気長が90°長くなるように伝送線路が調整された線路であり、第2の伝送線路E620は電気長が180°長くなるように伝送線路が調整された線路である。また、3dBカプラH710は、入力端子711から入力した信号は位相を90°遅らせ、入力端子712から入力した信号は同位相で、同レベルで合成して出力端子713から出力する。そして、4.7dBカプラH720は、入力端子721から入力した信号の位相を90°遅らせ、入力端子722から入力した信号は同位相で、レベルが1:2となるように合成して出力端子723から出力する。
図6において、第1の調整回路300から出力された位相が0°の信号は、3dBカプラH710を通過することにより位相が90°遅れた状態で端子713へ出力される。一方、第2の調整回路400から出力された位相が0°の信号は、第1の伝送線路E610の通過により位相が90°遅れ、3dBカプラH710の通過では位相がそのまま維持され、位相が90°遅れた状態で端子713へ出力される。従って、3dBカプラH710からは中心周波数での位相が−90°の2つの信号が同レベルで合成されて、4.7dBカプラH720の入力端子721へ出力される。
また、4.7dBカプラH720の入力端子722には、第3の調整回路500から出力された位相が0°の信号が、第2の伝送線路E620の通過により位相が180°遅れた状態で入力する。そして、4.7dBカプラH720は、入力端子721から入力した合成信号(位相−90°)と入力端子722から入力した位相が−180°の信号とを、入力端子721から入力した合成信号の位相を−90°遅らせてレベルが1:2となるように合成し、出力端子723から出力する。従って、4.7dBカプラH720からは中心周波数での位相が−180°の3つの信号が同レベルで合成されて出力される。
調整回路300、400、500について説明する。まず、第1の調整回路300について説明する。図6において、第1の調整回路300は、3dBハイブリッドH310、キャパシタC320、330および調整用線路E340を備える。3dBハイブリッドH310の端子313、314にはそれぞれ片端が接地されたキャパシタC320、330が接続され、端子312には伝送線素E340が接続されている。
キャパシタC320、330は、通過する信号の位相を進めると共に群遅延時間を大きくする。なお、キャパシタC320、330の容量が大きいほど位相進みが大きくなると共に群遅延時間が大きくなる。本実施形態のキャパシタC320、330は、短絡した状態(容量が無限大)の時の位相(ハイブリッドの中心周波数において+90°)を基準に、位相が45°進む容量に設定されている。
キャパシタC320、330が同じ特性を有することから、端子312からは同じ位相の信号が合成されて出力され、端子311からは信号が逆位相となって打ち消されて信号が出力されない。従って、90°3dBハイブリッドH310に入力した信号は小さな通過損失で端子312から出力する。参考に、90°3dBハイブリッドH310から出力した信号の通過損失の周波数特性の一例を図7に示す。図7において、通過損失が広帯域に亘って小さいことが分かる。ここで、図7において、本実施形態に係る電力分配合成回路100をUHF帯域(470MHz〜862MHz)に適用する場合、Frequency:1.0は、666MHzに相当する。
調整用線路E340は、所望の電気長となるように線路長が調整された線路である。本実施形態において、調整用線路E340は電気長が135°(=45°+90°)長くなるように線路長が調整されている。
以上のように構成された第1の調整回路300において、3dBハイブリッドH310の端子311に入力した3分配器D210から入力した位相が0°の信号は、3dBハイブリッドH310の通過により位相が90°遅れ、キャパシタC320、330の通過により群遅延時間が大きくなると共に位相が45°進み、全反射時に位相が180°進み、さらに、調整用線路E340を通過することにより、位相が135°遅れる。従って、第1の調整回路300からは、中心周波数の位相は0°(=−90°+45°+180°−135°)に維持されたまま、群遅延時間が大きくなるように調整された信号が出力される。
次に、第2の調整回路400について説明する。図6において、第2の調整回路400は、3dBハイブリッドH410および調整用線路E440を備える。3dBハイブリッドH410の端子413、414は短絡状態に設定されており(容量性リアクタンス無限大または誘導性イアクタンス無限小)、位相の変化はない。一方、調整用線路E440は、電気長が90°(0°+90°)長くなるように線路長が調整されている。そして、第2の調整回路400に入力した位相が0°の信号は、3dBハイブリッドH410の通過により位相が90°遅れ、全反射時に位相が180°進み、調整用線路E440の通過により位相が90°遅れる。従って、第2の調整回路400からは、中心周波数の位相(0°=−90°+180°−90°)および群遅延時間がそのまま維持された信号が出力される。
第3の調整回路500について説明する。図6において、第3の調整回路500は、3dBハイブリッドH510、インダクタL520、530および調整用線路E540を備える。3dBハイブリッドH510の端子513、514にそれぞれ、片端が接地されたインダクタL520、530が接続され、端子512に伝送線素E540が接続されている。インダクタL520、530は、通過する信号の位相を遅らせると共に群遅延時間を小さくする。なお、誘導成分が大きいほど位相遅れが大きくなると共に群遅延時間が小さくなる。本実施形態のインダクタL520、530は、短絡した状態(誘導成分が無限小)の時の位相を基準に、位相が90°遅れる誘導成分に設定されている。そして、調整用線路E540は、電気長が0°(−90°+90°)に調整されている。
インダクタL520、530が同じ特性を有することから、端子512からは同じ位相の信号が合成されて出力され、端子511からは信号が逆位相となって打ち消されて信号が出力されない。従って、90°3dBハイブリッドH510に入力した信号は小さな通過損失で端子512から出力する。
第3の調整回路500に入力した位相が0°の信号は、3dBハイブリッドH510の通過により位相が90°遅れ、インダクタL520、530の通過により群遅延時間が小さくなると共に位相が90°遅れ、全反射時に位相が180°進み、調整用線路E540の通過時は変化しない。従って、第3の調整回路500からは、中心周波数の位相は0°(=−90°−90°+180°)に維持されたまま、群遅延時間が小さくなるように調整された信号が出力される。
ここで、3つの調整回路300、400、500をそれぞれルート1、2、3に配置する場合と配置しない場合の位相の周波数特性の違いについて説明する。本実施形態に係る電力分配合成回路100から調整回路300、400、500を削除した場合の等価回路図の一例を図8に示す。なお、図8において、電力分配合成回路100‘(比較例)の各要素には、電力分配合成回路100(本実施形態)の対応する要素と同じ番号を付した。
また、図8の電力分配合成回路100‘(比較例)から出力された合成信号の位相の周波数特性をルート毎に分割し、ルート1を基準に示した例を図9に、本実施形態に係る電力分配合成回路100から出力された合成信号の位相の周波数特性をルート毎に分割し、ルート1を基準に示した例を図10に示す。
図9において、3つの信号を第1の伝送線路E610および第2の伝送線路E620のみで位相調整して3dBカプラH710および4.7dBカプラH720により合成する場合(比較例)、中心周波数では位相が一致するものの、中心周波数から離れるに従って位相が大きくずれる。例えば、Frequencyが0.8の場合、ルート1とルート2の位相差は約18°であり、ルート1とルート3の位相差は約23°である。
そこで、本実施形態に係る電力分配合成回路100では、第1の調整回路300によりルート1の位相の周波数特性の傾きを右肩上がりに調整し、第3の調整回路500によりルート3の位相の周波数特性の傾きを右肩下がりに調整することによって、3つのルートから出力される信号の位相を広帯域に一致させる。従って、図10にしめすように、各ルートに調整回路300、400、500を配置して位相の周波数特性の傾き(群遅延時間)を調整して合成することにより(本実施形態)、広帯域に亘って3つのルートの位相差を小さくすることができる。図10に示した例の場合、位相差を広帯域に亘って5°以下に抑えることができる。
各ルートの位相差を広帯域に亘って小さくすることにより、各ルートからの信号を合成した信号の合成ロスを小さくすることができる。電力分配合成回路100(本実施形態)と電力分配合成回路100‘(比較例)の合成ロスの周波数特性を図11に示す。図11において、調整回路300、400、500を配置することにより、合成ロスを広帯域に亘って小さくすることができる。
以上のように、本実施形態に係る電力分配合成回路100は、第2の調整回路400の群遅延時間を基準として、第1の調整回路300については群遅延時間を大きくし、第3の調整回路500については群遅延時間を小さくする。調整回路300、400、500の容量成分、誘導成分および調整用線路の電気長を、全てのルートの信号の群遅延時間が同じになるように最適に設定することにより、各ルートの位相差を広帯域に亘って小さくすることができる。従って、本実施形態に係る電力分配合成回路100を用いることにより、広帯域に亘って合成ロスが小さい電力の分配合成が可能となる。
なお、本実施形態では信号を3つに分配して合成したが、これに限定されず、n分配して合成する電力分配合成回路に適用することもできる。この場合、ウィルキンソン型などの同位相で分配するn分配器を用いて同レベル・同位相でn分配し、ルートごとに所望の特性が設定された調整回路を通過後、n個のルートをそれぞれ結合度が異なる(n−1)個の方向性結合器(3dBカプラ、4.7dBカプラ、・・・、−10log(1/n)dBカプラ)を縦接続して、合成する。
なお、本実施形態に係る遅延時間調整回路100は、VHF、UHF帯のTV、FM送信機等の電力分配回路や電力合成器回路等に組み込むことができ、さらに、RF応用回路分野に適用することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る電力分配合成回路の等価回路図の一例を図12に示す。図12において、本実施形態に係る電力分配合成回路100Bは、4.7dBカプラH220、3dBカプラH230、第1の調整回路300B、第2の調整回路400B、第3の調整回路500B、3dBカプラH710および4.7dBカプラH720を備える。ここで、3dBカプラH710および4.7dBカプラH720は、第2の実施形態で説明したものと同様であり、詳細な説明を省略する。
4.7dBカプラH220は、端子221から入力した信号をレベル1:2で分割し、端子222に同位相で、端子223に位相が90°遅れた状態で出力する。4.7dBカプラH220の端子222には第1の調整回路300Bが、端子223には3dBカプラH230の端子231が接続されている。一方、3dBカプラH230は、端子231から入力した信号を同レベルで分割し、端子232に同位相で、端子233に位相が90°遅れた状態で出力する。3dBカプラH230の端子232には第2の調整回路400Bが、端子233には第3の調整回路500Bが接続されている。
従って、第1の調整回路300Bには中心周波数での位相が0°の信号が、第2の調整回路400Bには中心周波数での位相が−90°の信号が、そして、第3の調整回路500Bには中心周波数での位相が−180°の信号がそれぞれ同レベルで入力する。そして、位相が0°、−90°および−180°の3つの信号を3dBカプラH710および4.7dBカプラH720を用いて合成することにより、本実施形態に係る電力分配合成回路100Bからは、中心周波数での位相が−180°の3つの信号が同レベルで合成された信号が出力される。
ここで、3つの調整回路300B、400B、500Bをそれぞれルート1、2、3に配置しない場合の位相の周波数特性について説明する。本実施形態に係る電力分配合成回路100Bから調整回路300B、400B、500Bを削除した場合の等価回路図の一例を図13に示す。さらに、電力分配合成回路100B‘(比較例)から出力した合成信号の位相の周波数特性をルート毎に分割し、ルート1を基準に示した例を図14に示す。
図14において、調整回路300B、400B、500Bを削除した場合、ルート1とルート3の信号は全ての周波数において位相が一致している一方、ルート2の信号は位相の周波数特性の傾きが右肩下がりになっている(群遅延時間が相対的に大きい)。すなわち、3つのルートの位相の周波数特性を一致させるには、ルート1とルート3の群遅延時間を大きくし(傾きを右肩下がりにする)、ルート2の群遅延時間を小さくすればよい(傾きを右肩下がりにする)。
そこで、本実施形態では、図12に示すように、第1の調整回路300Bのリアクタンス320B、330Bおよび第3の調整回路500Bのリアクタンス520B、530Bには容量性リアクタンスを適用し、第2の調整回路400Bのリアクタンス420B、430Bには誘導性リアクタンスを適用する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、各調整用線路340B、440B、540Bには、各リアクタンスの設定値に応じた電気長を設定する。
上記のように構成された本実施形態に係る電力分配合成回路100から出力された各信号の位相を、ルート1を基準に示した例を図15に示す。図15に示すように、本実施形態に係る電力分配合成回路100Bにおいて、3つのルートからの信号は広帯域に亘って位相差が小さく調整されている。
また、電力分配合成回路100B(本実施形態)と電力分配合成回路100B‘(比較例)の合成ロスの周波数特性の一例を図16に示す。図16に示すように、調整回路300B、400B、500Bを配置することにより、合成ロスを広帯域に亘って小さくすることができる。
以上のように、本実施形態に係る電力分配合成回路100Bは、容量性リアクタンスを有する調整回路を配置することにより群遅延時間を大きくし、誘導性リアクタンスを有する調整回路を配置することにより群遅延時間を小さくすることにより、各ルートの群遅延時間を調整することができる。従って、本実施形態に係る電力分配合成回路100Bを用いることにより、広帯域に亘って合成ロスが小さい電力分配合成が可能となる。
なお、本実施形態では、4つのカプラを用いて信号を3分割し、合成したが、これに限定されない。例えば、それぞれ結合度が異なる方向性結合器(−10log(1/n)dBカプラ、・・・、4.7dBカプラ、3dBカプラ)を(n−1)個を縦接続したn分配器と、それぞれ結合度が異なる方向性結合器(3dBカプラ、4.7dBカプラ、・・・、−10log(1/n)dBカプラ)を(n−1)個を縦接続したn合成器を組み合わせた電力分配合成回路等にも適用できる。
10 群遅延時間調整回路
20 3dBハイブリッド
30 第1のリアクタンス
40 第2のリアクタンス
50 調整用線路
100、100B 電力分配合成回路
210 分配器D
220 4.7dBカプラH
230 3dBカプラH
300、300B 第1の調整回路
400、400B 第2の調整回路
500、500B 第3の調整回路
610 第1の伝送線路E
620 第2の伝送線路E
710 3dBカプラH
720 4.7dBカプラH

Claims (10)

  1. 信号が入力する入力端子、前記信号を出力するアイソレーション端子、結合端子および通過端子を備えた3dBハイブリッド回路と、
    片端が前記結合端子に接続され、他端が接地された、第1の特性を有する第1のリアクタンスと、
    片端が前記通過端子に接続され、他端が接地された、前記第1の特性を有する第2のリアクタンスと、
    前記アイソレーション端子に接続され、前記第1の特性に対応する電気長が設定された調整用線路と、
    を備える、群遅延時間調整回路。
  2. 前記第1の特性は、信号が往復することで位相が中心周波数において+X°変化する容量特性であり、
    前記調整用線路は、前記3dBハイブリッド回路において入力端子およびアイソレーション端子間の位相が中心周波数において+Y°変化している場合、位相が中心周波数において−(Y°+X°)変化する長さに設定されている、
    請求項1記載の群遅延時間調整回路。
  3. 前記第1のリアクタンスと前記第2のリアクタンスとは短絡されており、
    前記調整用線路は、前記3dBハイブリッド回路において入力端子およびアイソレーション端子間の位相が中心周波数において+Y°変化している場合、位相が中心周波数において−Y°変化する長さに設定されている、
    請求項1記載の群遅延時間調整回路。
  4. 前記第1の特性は、信号が往復することで位相が中心周波数において−X°変化する誘導特性であり、
    前記調整用線路は、前記3dBハイブリッド回路において入力端子およびアイソレーション端子間の位相が中心周波数において+Y°変化している場合、位相が中心周波数において−(Y°−X°)変化する長さに設定されている、
    請求項1記載の群遅延時間調整回路。
  5. 入力信号をn分配してn本のルートへ出力する分配手段と、
    各ルートに配置されたn個の請求項1乃至4のいずれか一項記載の群遅延時間調整回路と、
    前記n本のルートからの信号を合成して出力する合成手段と、
    を備える分配合成回路。
  6. 前記合成手段は、方向性結合器を多段縦接続した構成である、請求項5記載の分配合成回路。
  7. 前記分配手段は、ウィルキンソン型n分配器であり、
    前記合成手段での位相変化に対応する伝送線路をさらに備える、
    請求項6記載の分配合成回路。
  8. 前記分配手段は3つのルートに信号を同位相同レベルで分割するウィルキンソン型3分配器であり、
    前記合成手段は3dBカプラおよび4.7dBカプラを縦接続した構成であり、
    ルート1に請求項2記載の群遅延時間調整回路を配置し、
    ルート2に請求項3記載の群遅延時間調整回路および電気長が90°に調整された前記伝送線路を配置し、
    ルート3に請求項4記載の群遅延時間調整回路および電気長が180°に調整された前記伝送線路を配置する、
    請求項7記載の分配合成回路。
  9. 前記分配手段は、方向性結合器を多段縦接続した構成である、請求項6記載の分配合成回路。
  10. 前記分配手段および前記合成手段は、3dBカプラおよび4.7dBカプラを縦接続した構成であり、
    ルート1およびルート3に請求項2記載の群遅延時間調整回路を配置し、
    ルート2に請求項4記載の群遅延時間調整回路を配置する、
    請求項9記載の分配合成回路。
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