JP5652029B2 - 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法 - Google Patents

電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5652029B2
JP5652029B2 JP2010162686A JP2010162686A JP5652029B2 JP 5652029 B2 JP5652029 B2 JP 5652029B2 JP 2010162686 A JP2010162686 A JP 2010162686A JP 2010162686 A JP2010162686 A JP 2010162686A JP 5652029 B2 JP5652029 B2 JP 5652029B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
storage device
pore
manufacturing
organic radical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010162686A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012028018A (ja
Inventor
基陽 安井
基陽 安井
岩佐 繁之
繁之 岩佐
中野 嘉一郎
嘉一郎 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2010162686A priority Critical patent/JP5652029B2/ja
Publication of JP2012028018A publication Critical patent/JP2012028018A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5652029B2 publication Critical patent/JP5652029B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

本発明は、電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法に関し、特に、有機ラジカル化合物を活物質として用いる電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法に関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話などの携帯電子機器が、通信システムの発展に伴い急激に普及している。これら携帯電子機器は小型化、軽量化されるとともに、その性能が年々向上している。そして、性能の向上に伴い携帯電子機器の消費電力が増大化する一方で、携帯電子機器の連続使用時間が長時間化している。そのため、電源である蓄電デバイスに対して、高エネルギー密度化、高出力化が求められている。
特許文献1には、酸化状態にオキソアンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態においてニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物を電極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う反応を電極反応として用いる蓄電デバイスが提案されている。このように、有機ラジカル化合物を活物質として用いる電池をラジカル電池と呼ぶ。ニトロキシル化合物の酸化還元反応の反応機構は有機化合物の構造変化を伴わないため反応速度が大きく、一度に大きな電流を流すことが可能である。そのため、ラジカル電池は高出力特性を備えている。
ラジカル電池のエネルギー密度を高くする方法として、電極に含まれるニトロキシル化合物の密度を高くする方法が挙げられる。例えば、集電体上に正極を形成した後に正極をプレス処理することにより、電極に含まれるニトロキシル化合物の密度を高くすることができる。
特許文献2には、リチウム遷移金属酸化物を材料とし、孔を有する正極が開示されている。孔は、電解液を正極に十分に浸透させるために付与されている。
特開2002−304996号公報(段落「0008」) 特開2000−82464号公報(段落「0011」)
上述したように、電極に含まれる有機ラジカル化合物の密度を高くすることにより、ラジカル電池のエネルギー密度を高くすることができる。しかしながら、電極に含まれる有機ラジカル化合物の密度を高くすると、電解液が電極の中に浸透しづらくなるという問題があった。電極において電解液が浸透しない部分では電極反応が起きない。このため、有機ラジカル化合物の活物質としての利用効率が低下する。その結果、ラジカル電池のエネルギー密度の向上は制限される。
本発明の目的は、上述した課題である、電極に含まれる有機ラジカル化合物の密度を高くすると、有機ラジカル化合物の活物質としての利用効率が低下するという課題を解決する電極及びその製造方法、並びに、その電極を用いた蓄電デバイス及びその製造方法を提供することにある。
本発明の電極は、有機ラジカル化合物を含む電極であって、電極の中に複数の孔を有する。
また、本発明の蓄電デバイスは、有機ラジカル化合物を含む電極であって、電極の中に複数の孔を有する電極を正極として用いる。
また、本発明の電極の製造方法は、有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、電極の中に孔を形成する。
また、本発明の蓄電デバイスの製造方法は、有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、電極の中に孔を形成し、電極をセパレータを挟んで負極と重ね合わせ、電極、セパレータ及び負極が重なり合ったものに電解液を含浸させる。
本発明の電極によれば、電極に含まれる有機ラジカル化合物の密度を高くした場合であっても、有機ラジカル化合物を活物質として効率良く利用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る電極の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る別の電極の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る電極の製造方法の所定の工程における電極の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る蓄電デバイスの内部構造を示す図である。 本発明の実施例1及び実施例2並びに比較例1の充放電実験の結果である。 本発明の実施例1及び実施例2並びに比較例1のサイクル実験の結果である。 本発明の実施例1及び実施例2並びに比較例1のパワー実験の結果である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1に第1の実施形態に係る電極101の断面図を示す。電極101は、複数の孔108を有する。本実施形態に係る電極101は正極として用いられることとするが、これに限定されるものではない。電極101は、集電体102の上に配置される。電極101は活物質、導電性付与剤、接着剤を有する。以下に、電極101及び集電体102の材料について詳細に説明する。
本実施形態に係る電極101に含まれる活物質には、有機ラジカル化合物が用いられる。有機ラジカル化合物としては、例えば、酸化状態において式(1)で示されるN−オキソ−アンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態において式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物を用いることができる。本実施形態に係る電極101を備える蓄電デバイスは、これらの2つの状態間で電子の授受を行う反応式(A)で示される酸化還元反応を正極反応として用いることができる。
Figure 0005652029
ニトロキシル化合物の構造は特に限定されないが、電解液に対する溶解性の観点から、ニトロキシル高分子化合物であることが好ましい。その中でも特に安定性の高い、下記式(3)〜式(7)で示されるニトロキシル高分子化合物であることが好ましい。
Figure 0005652029
(但し、式(3)〜式(7)で表されるnは1以上の整数である。)
式(3)〜式(5)に示したニトロキシル高分子化合物は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルを側鎖に有し、式(6)、式(7)に示したニトロキシル高分子化合物は、2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルを側鎖に有する高分子化合物である。これらのニトロキシル高分子化合物は高分子の側鎖に立体障害性の安定ラジカルを持つ化合物である。
ニトロキシル高分子化合物の分子量は電解液に対する溶解性の観点から、1000以上であることが好ましく、さらには10000以上であることがより好ましい。重合体の構造としては、鎖状、分岐状、網目状のいずれでもよい。また、架橋剤で架橋した構造でもよい。
また、活物質としてニトロキシル高分子を単独で用いても良いが、二種類以上の化合物を組み合わせて用いても良い。また、本実施形態に係る正極には、例えばLiMnO2等のリチウムマンガン系酸化物、LiCoO等のリチウムコバルト系酸化物、LiNiO等のリチウムニッケル系酸化物、LiFePO等のリチウム鉄系酸化物あるいはLi(0<x<2)等のリチウムバナジウム系酸化物、導電性高分子、活性炭等が含まれても良い。
電極の密度は、特に限定されるものではないが、有機ラジカル化合物が壊れない程度の密度とするのが望ましく、例えば、0.5〜1.5g/cm3とするのが好ましい。電極の密度をこの範囲にすることにより、有機ラジカル化合物が壊れるのを防ぐことができる。
孔の平均孔径は、例えば、5μm以上、30μm以下とすることができる。
導電性付与剤の材料としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、カーボンナノチューブ等の炭素繊維、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられる。導電性付与剤を電極に含めることにより、電極のインピーダンスを低下させることができる。
接着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、部分カルボキシ化セルロース、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。接着剤を用いることにより、活物質と導電性付与剤の結びつきを強めることができる。
集電体102としては、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、シート、平板等を用いることができる。
本実施形態の電極101は、電極101中に孔108を有する。このため、電極の密度を高くした場合でも、電極101の中にまで電解液が浸透することができる。これにより、電極101の中や集電体102の付近に存在する活物質でも電極反応が起こるようになり、電極の密度を高くした場合に活物質の利用効率が下がるのを防止することができる。
なお、上述の説明では、電極101は集電体102の上に配置され、電極101には活物質、導電性付与剤、接着剤が含まれることとしたが、集電体102、導電性付与剤、接着剤は必須構成ではない。例えば、図2に示すように、第1の実施形態に係る電極を、
有機ラジカル化合物を含む電極102であって、電極の中に複数の孔108を有するものとしても良い。
次に、本実施形態に係る電極の製造方法について説明する。
はじめに、図3に示すように、有機ラジカル化合物と造孔剤103とを含む電極を用意する。なお、図3には集電体102を示しているが、これはなくても良い。
次に、造孔剤103を除去する。例えば、造孔剤103を加熱することにより造孔剤103を分解して除去することができる。
すると、図1に示すように、電極101の中に孔108が形成される。
電極101の中に加える造孔剤の量は、例えば、電極101の重量に対して0.1〜5重量%にするのが好ましい。これにより、電極101の中での電子伝達パスを確実に保持でき、電極101の中で電子が移動できるようになる。
造孔剤103を除去する方法として、例えば、熱分解により除去する方法と、溶媒に溶かすことにより除去する方法が挙げられる。溶媒により接着剤などの電極の材料が溶けてしまう場合は、造孔剤103を熱分解により除去するのが好ましい。
また、熱分解する造孔剤を用いる場合は、電極の材料が熱分解する温度よりも低い温度で熱分解するものを用いるのが望ましい。例えば、上述した式(3)〜式(5)に示したニトロキシル高分子化合物は60〜120℃の範囲で熱分解するものであり、一般的な電極の材料が熱分解する温度よりも低い温度で熱分解する。
また、造孔剤は、平均孔径ができるだけ小さいものを用いるのが好ましく、特に、平均孔径が5〜30μmのものを用いるのが好ましい。このような造孔剤を用いることにより、孔108の分布を均一にすることができる。
造孔剤は、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’‐ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)と尿素の混合物であるのが望ましい。これらの造鋼材は、60〜120℃の範囲で熱分解され、平均孔径が5〜30μmであるという特徴を有するためである。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る蓄電デバイスについて説明する。図4に本実施形態に係る蓄電デバイスであって、コイン電池であるものを示す。蓄電デバイス208は、集電体202の上に形成された正極209と、集電体202の上に形成された負極204とが、電解質を含むセパレータ205を挟んで対向するように重ね合わせた構成を有している。これらは負極側のステンレス外装206と正極側のステンレス外装206とで外装され、その間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスチック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン207が配置される。なお、電解質として固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータ205に代えてこれら電解質を電極間に介在させる形態にすることもできる。以下に、それぞれの構成の詳細について説明する。
正極209と集電体202とは、第1の実施形態にて説明したものと同一のものとすることができる。
負極204は負極活物質、導電性付与剤、接着剤を有する。負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、グラファイト等を用いることができる。これらの形状は特に限定されるものではなく、例えば、薄膜状、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用することができる。
セパレータ205としてはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム、セルロース膜、不織布などを用いることができる。セパレータ205を用いることにより、正極209と負極204とが接触しないようにこれらを分離することができる。
電解液は、正極209と負極204の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、正極209と負極204とに含浸する。電解液は、一般には20℃で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。電解液としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した有機溶媒を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO(以下LiTFSI)、LiN(CSO(以下LiBETI)、Li(CFSO)3C、Li(CSOC等の公知の材料を用いることができる。
電解液に用いる有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
さらにこれらの電解液を高分子化合物に含ませてゲル状にして用いることもできる。用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。
次に、本実施形態に係る蓄電デバイス208の製造方法について説明する。
はじめに、正極209を用意する。具体的には、有機ラジカル化合物と、造孔剤と、炭素繊維と、接着剤とを測り採り、そこに水を混合してよく攪拌する。次に、得られたスラリーを集電体202上に塗布し、よく乾燥させる。その後、プレス処理などを行って、正極209の高密度化処理を施す。さらに、これを加熱して造孔剤を分解除去し、正極板を得る。この正極板を、真空中で乾燥した後、円形に打ち抜いて、蓄電デバイス208用の正極209として成型する。
さらに、上記の方法で得られた正極209を、セパレータ205を挟んで負極204と重ね合わせて電極積層体を得る。次に、この電極積層体をステンレス外装206上に置く。そして、電極積層体に、電解液を注入し、真空含浸させる。さらに、十分に含浸させて正極209、負極204及びセパレータの空隙を電解液で埋める。その後、絶縁パッキン207とステンレス外装206とを重ね合わせ、かしめ機でこれらを一体化させて、蓄電デバイス208を作製することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
〔実施例1〕
有機ラジカル化合物としてニトロキシル化合物であるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルメタクリレート)(PTMA)2.1g、導電付与剤として炭素材料0.63g、接着剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.24gとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.03g、造孔剤として4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)と尿素の混合物(質量比1:2)0.03g、水15mlをホモジェナイザーに撹拌し、均一なスラリーを調整した。このスラリーを集電体であるアルミ箔上に塗布し、さらに80℃で5分間乾燥した。さらにロールプレス機により厚さを調整した。そして、再度100℃で加熱することにより造孔剤を分解除去した。このようにして得られた電極を正極として用いた。なお、本発明で用いたニトロキシル高分子(ポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルメタクリレート)(PTMA))は特開2009−238612号公報に記載の方法に従って合成した。
得られた正極を直径12mmの円形に打ち抜き、これを電解液に浸すことで正極中に電解液を浸透させた。電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比3:7)に1.0mol/Lのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)を溶解させたものを使用した。正極の上にポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを載せ、さらにその上に負極を載せた。負極としてリチウムを銅箔の上に堆積したものを使用した。これをステンレス製コイン電池外装体に入れ、かしめ機により圧力を加え、実施例1の密閉型のコイン電池とした。
作製したコイン電池の正極の面積は1.13cm、密度は0.95g/cmで、厚みは178μmであった。
〔実施例2〕
造孔剤にアゾジカルボンアミド0.03gを使い、その他の構成を実施例1と同じにしたものを、実施例2の密閉型のコイン電池とした。
作製したコイン電池の正極の面積は1.13cm、密度は0.93g/cmで、厚みは183μmであった。
〔比較例1〕
実施例1において、造孔剤を使わずに、ポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルメタクリレート)(PTMA)2.1g、導電付与剤として炭素材料0.63g、接着剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)0.24gとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.03g、水12mlをホモジェナイザーに撹拌し、均一なスラリーを調整して正極を作製した。そして、その他の構成を実施例1と同じにしたものを、比較例1の密閉型のコイン電池とした。
作製したコイン電池の正極の面積は1.13cm、密度は0.99g/cmで、厚みは180μmであった。
〔充放電実験とその結果〕
実施例1、実施例2、比較例1のコイン電池を、0.14mAの定電流で電圧が4Vになるまで充電し、その後、0.14mAの定電流で電圧が3Vになるまで放電した。図5に0.14mAで放電したときの各コイン電池の放電曲線を載せる。実施例1のコイン電池の初回放電容量は59mAh/gであった。実施例2のコイン電池の初回放電容量は63mAh/gであった。一方、比較例1のコイン電池の初回放電容量は46mAh/gであった。なお、それぞれのコイン電池において、PTMAのラジカルがすべて酸化還元に寄与した場合の放電容量(理論容量)は111mAh/gである。
理論容量に基づいて活物質の利用効率(初回放電容量/理論容量)を計算すると、実施例1における活物質の利用効率は53%となる。また、実施例2における活物質の利用効率は57%となる。一方、比較例1における活物質の利用効率は41%となる。以上の結果から、正極に孔を設けることで、活物質の利用効率を上げることができた。
有機ラジカル化合物を活物質として用いる正極に孔を設けた場合、リチウム遷移金属酸化物を活物質として用いる正極に孔を設けた場合と比べて、顕著な効果を得ることができる。この理由について以下に説明する。リチウム遷移金属酸化物を活物質として用いた正極の場合、活物質中にLiイオンが入り込み、活物質が膨張することがあるが、その膨張の程度は非常に小さい。そのため、リチウム遷移金属酸化物を高密度化したとしても、活物質の利用効率はほぼ変わらない。一方、活物質として用いられるニトロキシル化合物などの有機ラジカル化合物は電解液を吸収して高分子ゲルと化す。そのため、有機ラジカル化合物を活物質として用いた正極の場合、電極中の空隙はこの高分子ゲルにより埋まり、電解液が電極の中にまで浸透しなくなる。そのため、活物質の一部は電解液と接触ぜず、酸化還元反応を起こすことができなくなる。その結果、活物質の利用効率が低くなる。本実施例の正極は孔を備えるため、ニトロキシル化合物が高分子ゲル化した状態においても、孔を保持する。このため、電解液を電極の中にまで浸透させることができ、活物質の利用効率を上げることができた。
〔サイクル実験とその結果〕
実施例2、比較例1のコイン電池を、60℃において、1.4mAの定電流で電圧が4Vになるまで充電し、さらに4Vの定電圧で電流が0.14mAになるまで充電した。その後、1.4mAの定電流で電圧が3Vになるまで放電した。この充放電を繰り返して、放電容量の変化を調べた。図6にその結果を載せる。
図6に示すとおり、比較例1では充放電を繰り返すことで放電容量が減少した。一方、実施例2では放電容量が増加した。これは、正極が孔を備える実施例2では充放電を繰り返すにつれて正極の中にまで電解液が浸透し、活物質の利用効率が上がったためと考えられる。
〔パワー実験とその結果〕
実施例2、比較例1のコイン電池を、20℃において、1.4mAの定電流で電圧が3.75Vになるまで充電し、さらに3.75Vの定電圧で電流が0.14mAになるまで充電した。その後、14mAの定電流で1秒間放電した後の終止電圧を測った。さらに、再充電した後、28mA、42mA、56mA、70mA、または84mAの定電流で1秒間放電した後の終止電圧を測った。放電時の電流の値と終止電圧の値を掛けることで出力を求めた。図7にその結果を示す。図7のx軸は放電時の電流値(mA)を表す。図7のy軸は出力(mW)を表す。なお、ぞれぞれの結果において、出力が最も大きいところを最大出力とする。
図7に示すとおり、比較例1の最大出力は87mWであるのに対し、実施例2の最大出力は121mWであった。このように、正極に孔を設けることでコイン電池の最大出力が大きくなった。これは、電極中に孔を設けることにより、活物質の利用効率が上がり、単位時間中に出力させることのできる電流の量が増えたためと考えられる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)有機ラジカル化合物を含む電極であって、前記電極の中に複数の孔を有する電極。
(付記2)前記有機ラジカル化合物は、酸化状態において式(1)で示されるN−オキソ−アンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態において式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物である付記1に記載の電極。
(付記3)前記有機ラジカル化合物を含む前記電極の密度が、0.5g/cm3以上、1.5g/cm3 以下である付記1または2に記載の電極。
(付記4)前記孔の平均孔径が、5μm以上、30μm以下である、付記1から3のいずれか一項に記載の電極。
(付記5)前記ニトロキシル化合物は、式(3)から(7)で示されるニトロキシル高分子化合物のいずれかである付記2に記載の電極。
(付記6)前記電極は、さらに、導電性付与剤と接着剤とを含む付記1から5のいずれか一項に記載の電極。
(付記7)有機ラジカル化合物を含む電極であって、前記電極の中に複数の孔を有する電極を正極として用いる蓄電デバイス。
(付記8)有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、前記電極の中に孔を形成する電極の製造方法。
(付記9)前記造孔剤を、熱分解することで除去する付記8に記載の電極の製造方法。
(付記10)前記造孔剤を、60℃以上、120℃以下で熱分解する付記8又は9に記載の電極の製造方法。
(付記11)前記有機ラジカル化合物に対して高密度化処理を施した後に、前記造孔剤を除去する付記8から10のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記12)前記造孔剤の平均孔径が5μm以上、30μm以下である付記8から11のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記13)前記造孔剤は、アゾジカルボンアミド、N,N’‐ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、または、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)と尿素の混合物である付記8から12のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記14)集電体表面に前記有機ラジカル化合物と前記造孔剤とを含有するスラリーを塗布し、乾燥した前記スラリーに対して高密度化処理を施した後に、前記造孔剤を除去する付記8から13のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
(付記15)有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、前記電極の中に孔を形成し、前記電極をセパレータを挟んで負極と重ね合わせ、前記電極、前記セパレータ及び前記負極が重なり合ったものに電解液を含浸させる蓄電デバイスの製造方法。
101 電極
102、202 集電体
103 造孔剤
108 孔
204 負極
205 セパレータ
206 ステンレス外装
207 絶縁パッキン
208 蓄電デバイス
209 正極

Claims (9)

  1. 有機ラジカル化合物を含み集電体を備えた蓄電デバイス用電極であって、前記電極の中に平均孔径が、5μm以上、30μm以下である複数の孔を有する蓄電デバイス用電極。
  2. 前記有機ラジカル化合物は、酸化状態において式(1)で示されるN−オキソ−アンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態において式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
    Figure 0005652029
  3. 前記有機ラジカル化合物を含む前記電極の密度が、0.5g/cm以上、1.5g/cm以下である請求項1または2に記載の蓄電デバイス用電極。
  4. 有機ラジカル化合物を含み集電体を備えた蓄電デバイス用電極であって、前記電極の中に平均孔径が、5μm以上、30μm以下である複数の孔を有する電極を正極として用いる蓄電デバイス。
  5. 有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、前記電極の中に平均孔径が、5μm以上、30μm以下である孔を形成する、集電体を備えた蓄電デバイス用電極の製造方法。
  6. 前記造孔剤を、熱分解することで除去する請求項5に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
  7. 前記造孔剤を、60℃以上、120℃以下で熱分解する請求項5又は6に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
  8. 前記造孔剤は、アゾジカルボンアミド、N,N’‐ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、または、4,4’‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)と尿素の混合物である請求項5から7のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用電極の製造方法。
  9. 有機ラジカル化合物と造孔剤とを含む電極から造孔剤を除去して、前記電極の中に平均孔径が、5μm以上、30μm以下である孔を形成し、
    前記電極をセパレータを挟んで負極と重ね合わせ、
    前記電極、前記セパレータ及び前記負極が重なり合ったものに電解液を含浸させる、集電体を備えた蓄電デバイスの製造方法。
JP2010162686A 2010-07-20 2010-07-20 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法 Active JP5652029B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010162686A JP5652029B2 (ja) 2010-07-20 2010-07-20 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010162686A JP5652029B2 (ja) 2010-07-20 2010-07-20 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012028018A JP2012028018A (ja) 2012-02-09
JP5652029B2 true JP5652029B2 (ja) 2015-01-14

Family

ID=45780746

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010162686A Active JP5652029B2 (ja) 2010-07-20 2010-07-20 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5652029B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830748A (zh) * 2019-01-22 2019-05-31 东莞市天丰电源材料有限公司 一种锂离子电池电解液

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103515607B (zh) * 2012-06-27 2016-03-02 比亚迪股份有限公司 一种锂离子电池负极浆料、负极及电池
ES2770105T3 (es) 2016-06-02 2020-06-30 Evonik Operations Gmbh Procedimiento para la producción de un material de electrodo
ES2795276T3 (es) 2016-09-06 2020-11-23 Evonik Operations Gmbh Procedimiento para la oxidación mejorada de grupos amino secundarios
JP7153701B2 (ja) * 2020-10-26 2022-10-14 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 非水電解質二次電池
WO2023216168A1 (zh) * 2022-05-12 2023-11-16 宁德时代新能源科技股份有限公司 造孔剂、正极浆料、正极极片基体、电池单体及其制备方法、电池模块、电池包和用电装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6220251A (ja) * 1985-07-19 1987-01-28 Showa Denko Kk 二次電池
JP4078542B2 (ja) * 2002-12-19 2008-04-23 日本電気株式会社 蓄電デバイス
JP2007311269A (ja) * 2006-05-22 2007-11-29 Toyota Motor Corp 燃料電池用拡散層及びその製造方法、ならびに燃料電池用膜−電極接合体及び燃料電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109830748A (zh) * 2019-01-22 2019-05-31 东莞市天丰电源材料有限公司 一种锂离子电池电解液

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012028018A (ja) 2012-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105990608B (zh) 电解质和锂基电池
CN112313819B (zh) 制造用于锂二次电池的负极的方法和制造锂二次电池的方法
JP5032773B2 (ja) イオン性液体を用いたリチウム二次電池
TWI458154B (zh) 鋰二次電池
JP5760593B2 (ja) 活物質の製造方法、電極及びリチウムイオン二次電池
JP6153124B2 (ja) 非水電解液二次電池およびその製造方法
JP5652029B2 (ja) 電極及びその製造方法、並びに電極を備えた蓄電デバイス及びその製造方法
JP4014816B2 (ja) リチウムポリマー二次電池
JP2011165433A (ja) 二次電池
JP4632020B2 (ja) 非水電解液二次電池
CN113087856A (zh) 用于形成凝胶电解质的凝胶化试剂及其相关方法
CN114097110A (zh) 制造锂金属负极的方法、由此方法制造的锂金属负极以及包含所述锂金属负极的锂硫电池
CN115769399A (zh) 锂金属电极的制造方法、由此制造的锂金属电极和包含其的锂二次电池
WO2014092016A1 (ja) 蓄電デバイス
JP2005209498A6 (ja) 非水電解液二次電池
JP5169181B2 (ja) 非水電解液二次電池
JP2008112722A (ja) リチウムポリマー電池
JP2008192452A (ja) ラジカルを有するポリマーを用いた二次電池
JP6567289B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2012248544A (ja) リチウムポリマー電池
JP7115318B2 (ja) ラジカルポリマーを用いた電極及び二次電池
JP2007018794A (ja) 炭素材電極及びその製造方法、並びに非水電解液二次電池
JP2017134923A (ja) リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池およびそれらの製造方法
JP2019061826A (ja) リチウムイオン二次電池
WO2016147811A1 (ja) 蓄電デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140513

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140805

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140812

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141021

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141103

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5652029

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150