JP5650544B2 - マイクロエラストグラフィ用の装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粘弾性媒体、特に人間又は動物の生物組織の粘弾性特性(viscoelastic property,以下、VPと称する)の測定用の装置及び方法に関する。
本発明は、特に、粘弾性特性(人間又は動物の体内に備わったその人間又は動物の生物組織の弾性及び/又は粘性等)の定量的及び定性的な測定のためのマイクロエラストグラフィ用の方法及びマイクロエラストグラフィ用の装置(device for micro−elastography,以下、MEDと称する)に関する。
生物組織のVPを測定するために、例えば、エコサンス社の特許文献1(2002年8月8日出願)に開示されているような、インパルス弾性測定法を用いることが知られている。
このタイプの方法は、例えばセンサの振動によって、組織内に低周波弾性波を発生させる振動発生装置12を備えたプローブ10(図1)を用いて、この低周波弾性波の伝播中に、超音波トランスデューサ13によって放出及び受信される超音波を用いて、この低周波の伝播を分析することで実施される。この実施では、超音波トランスデューサが組織と接触して振動することに留意されたい。
また、振動発生装置12及び超音波トランスデューサ13を備えたプローブ10は、その振動発生装置及び超音波トランスデューサを制御する制御装置14も有する。
この方法は、プローブ10が配置される表皮の近傍に位置する臓器のVPを測定することを可能にする。
このタイプの方法及び装置には欠点がある。特に、人間の体内の奥に位置する臓器に属する組織の測定ができない。実際、体内の低周波弾性波の伝播は、その波が体内の奥に進むにつれてより一層、体の不均一性によって乱される。
更に、低周波が発生すると、そのソース(振動発生装置)近くの回折が、特にそのソースのサイズ、媒体のVP、低周波弾性波の周波数に依存する深さに対して、生じる。
その最小深さ(それ未満では、測定を行うことができない深さ)は、50Hzの低周波弾性波の中心周波数に対して略10mmである。この問題を最小化するために、VPを計算する際には、その深さに対してデータ抽出が行なわれる。
更に、このタイプの方法には、体に適用される際の、表皮と測定される組織との間に挟まれた脂肪組織の問題がある。実際、脂肪組織は、高周波超音波及び低周波弾性波を変形し弱めて、最大観測深さを超えてこれらの波を観測することを困難にしている。25mよりも厚い脂肪層は、その脂肪層の下に位置する組織のVPの測定の妨げとなる。
更なる欠点は、施術者が上皮と装置(特にその超音波トランスデューサ)との間の十分な接触を手動で維持することが必要な点である。実際、最適な伝播を得るためには、超音波トランスデューサが、VPが測定される組織に対して垂直になっていなければならず、接触のあらゆる変化が、その方法の実施を損ない得る。
仏国特許出願第2843290号明細書
上述の欠点を少なくとも一つ解決するため、本発明は、人間又は動物の組織の粘弾性特性の定量的及び/又は定性的な測定のための振動エラストグラフィ用の装置に関する。本装置には、
‐ 少なくとも一つの超音波トランスデューサ及び低周波振動発生装置を備えたプローブであって、その超音波トランスデューサが、低周波振動発生装置によって発生され組織内を伝播する低周波弾性波の伝播を分析することを可能にする超音波を発生させ、該プローブが組織の上又は近傍に位置決めされるように構成されている、プローブと、
‐ プローブに接続され、そのプローブを作動させるための手段を備えた制御装置であって、人間又は動物の体外に留められるように構成されている制御装置と、
‐ プローブを制御装置に機械的に接続するための手段であって、糸状チューブによって形成されている手段とが備わっている。
特に、糸状チューブは、細長形状で薄い、鞘、パイプ又はカニューレを意味するものとし、つまり、直径が小さいか、厚さが薄いものであり、この糸状チューブは、しなやかでフレキシブルであるか、又はリジッドであり得る。
MED(マイクロエラストグラフィ装置)と称されるこのタイプの装置は、人間又は動物の深部組織、つまり人間又は動物の体内のVPを定量的及び/又は定性的に測定することを可能にするが、これは、少なくとも一つの超音波トランスデューサ及び振動発生装置を備えたプローブを、その深部組織の上又は近傍に導くことによるものであり、よって、人間又は動物の体の不均一性及び脂肪層の厚さについての問題点を解消することを可能にする。
糸状チューブは、20mmよりも長いことが好ましく、20mmから3mの間の長さであることが好ましい。
内部プローブを外部振動発生装置に接続する糸状チューブは、有利には、フレキシブルであり、角度的又はリジッドな応力を受けないものである。
更に、糸状チューブが、本発明によって提供される有利な可能性の一つによる振動発生装置である。
超音波トランスデューサは、有利には、超音波放出及び取得の直径に対応する、3mm未満のアクティブ直径を有する。
本発明の好ましい実施形態によると、本装置は、カテーテル、ニードル又は内視鏡によって形成される糸状チューブを備え、その遠位端部にプローブを備え、近位端部に制御装置を備える。
更に、検査分野に応じて、内視鏡はフレキシブル又はリジッドであり得て、気管支鏡、胃鏡、十二指腸鏡、直腸鏡、腹腔鏡、関節鏡等と称される。
同様に、ニードルもフレキシブル又はリジッドであり得て、生検ニードル、高周波ニードル等であり得る。
本発明の好ましい実施形態によると、糸状チューブは中空シャフトを形成し、その中にニードルが挿入される。
制御装置は、有利には、振動発生装置及び/又は超音波トランスデューサへのエネルギーの伝達を制御するための手段を備える。
また、本発明は、人間又は動物の組織の粘弾性特性の定量的及び/又は定性的な測定のための振動エラストグラフィ用の方法にも関し、本願請求項1から12のいずれか一項に記載の装置を用いて、
‐ 測定される組織の上又は近傍にプローブを位置決めする段階と、
‐ 超音波を放出及び取得し、また、一又は複数の低周波弾性波を発生させる間において、少なくとも一つの超音波トランスデューサを組織に接触させたままにする段階と、
‐ 一又は複数の低周波弾性波を発生させる段階と、
‐ 上記段階と同時に、超音波を放出し、低周波弾性波の伝播中に高周波超音波信号を高速で取得する段階と、
‐ 臓器に生じる、変位の時空間的な変化、及び/又は、変形、及び/又は、変位速度、及び/又は、変形速度、より一般的には、何らかの移動パラメータを計算する段階と、
‐ 組織の粘弾性特性を計算する段階と、を備える。
このため、プローブと、糸状チューブの一部とが、固有のルート(気道、口、鼻、直腸等)を介して、経皮ルート、つまり皮膚を介して、人工的ルート(カニューレ、外科用開創器、トロカール等)を介して、又は、物質ルート(内視鏡の動作チャネル、カテーテル等)を介して、挿入されて、VPが求められる組織の近傍又は直接上に輸送される。
内視鏡の動作チャネルに挿入される糸状チューブは、有利には、内視鏡に備わったエレクタによって配向されて、測定される組織の前方に装置の遠位端部を位置決めする。
プローブと、糸状チューブの一部とは、有利には、人間又は動物の体に属する液体内に挿入される。
高周波超音波放出は、好ましくは、1MHzから200MHzの間の、特に5MHzから50MHzの間の周波数範囲に対して行われる。
低周波弾性波を、有利には、5Hzから2000Hzの間の周波数範囲に対して発生させる。
本発明の好ましい実施形態によると、低周波弾性波を、機械的振動、放射圧、水圧、組織固有の振動、又は、低周波振動を発生させることのできる他のタイプのエネルギーによって、発生させる。
本発明の更なる特徴及び利点は、非限定的な例によって与えられる以下の説明及び添付図面に示される実施形態によって明らかになるものである。
従来技術によるエラストグラフィ用の装置の概略図である。 糸状チューブがカテーテル又は内視鏡を形成しているMEDの実施形態の概略図である。 カテーテル又は内視鏡を用いて、膵臓に対するVPを測定するために、人間の胃腸管内に入れられた本発明によるMEDを示す。 内視鏡を用いて、胃又は肝臓に対するVPを測定するために、人間の胃腸管に入れられた本発明によるMEDの実施形態を示す。 内視鏡応用の本発明によるMEDのプローブの詳細を示す。 糸状チューブがカテーテルを形成している本発明によるMEDを示す。 カテーテルを用いて、心臓及び/又は血液に対するVPを測定するために、足の鼠径に入れられた本発明によるMEDの概略図である。 糸状チューブが腹腔鏡を形成しているMEDの実施形態の概略図である。 腹腔に属する組織のVPを求めるための本発明による装置の実施形態を示す。 糸状チューブがニードルを形成しているMEDの実施形態の概略図である。 別タイプのニードル用に適合されたプローブを示す。 プローブによって組織に印加される力を示すグラフである。
以下の説明では、振動エラストグラフィは、VPを測定するための方法を意味するとし、振動発生装置が、組織と直接又は間接に接触して、その組織内を伝播する一又はそれ以上の低周波弾性波を発生させる。
この低周波弾性波の時間に対する形状は、任意であり得るが、より一般的には、インパルス形、移行形、周期形(連続的、モノクロマティック)である。
その振動は一般的には機械的に得られるが、放射圧、超音波温熱法、体内の振動(心臓の鼓動、パルス等)によっても得られる。同様に、振動は、体外に位置する振動発生装置を用いても得られる。
更に、異なるタイプの単素子又は多素子超音波トランスデューサを、本発明のMEDにおいて使用することができる。例えば、非限定的な例として、超音波トランスデューサは、クラウン形、環状、2次元マトリクス、線形、凸状ストリップのトランスデューサ、単素子トランスデューサ、三素子トランスデューサ、星形トランスデューサ等であり得る。
図2を参照すると、例として、本発明によるマイクロエラストグラフィ用の装置21には、低周波弾性波を発生させる振動発生装置22と、少なくとも一つの超音波トランスデューサ23とで形成されたプローブ20が備わっていて、そのプローブは、フレキシブル糸状チューブ25によって、体27の外部に留められている制御装置24に接続されている。そのチューブ25は、角度的な応力を受けるものではなく、より詳細には、その延性(特にそのしなやかさ及び柔軟性)によって、機械的応力が生じずに、空間内で可動する。
プローブは、その粘弾性特性を求めたい人間又は動物の体に属する臓器28に対して、胃腸管等の固有のルート26を介して、輸送される。この実施は、固有のルートを介して、つまり非侵襲的に、人間又は動物の体内の奥の臓器に接触することを有利に可能にして、粘弾性特性に対する定性的及び/又は定量的なデータを正確に求めることができる。
図3を参照すると、本発明によるマイクロエラストグラフィ用の装置31には、外部制御装置34によって制御される、低周波弾性波を発生させる振動発生装置32と、少なくとも一つの超音波トランスデューサ33とが備わっている。
振動発生装置32及び超音波トランスデューサ33は、角度的な応力を受けるものではないフレキシブル糸状チューブ35によって制御装置34に接続されていて、振動発生装置32及び少なくとも一つの超音波トランスデューサ33を人体37に挿入することを可能にする一方で、制御装置34は体外に留められる。
そして、データを得るためにMED31を使用する使用者39は、そのMEDのプローブ30を深部組織の上又はその近傍に導いて、そのVPを測定することができ、従来技術について上述したような、表皮近傍の脂肪層の存在に関連する欠点や、放出される波の回折に関連する欠点が解消される。
図4に示されるように、人間は、本発明によるMEDのこのタイプのプローブを臓器に導くことを可能にする固有のルートを多数有していて、特に、上気道(鼻や口等)及び下部ルート(直腸等)は、MEDのプローブを人体内に挿入することを可能にする。
例えば、MED41のプローブ40は、人間47の上気道を介して挿入され、しなやかでフレキシブルな糸状チューブ45によって、胃腸管を介して、胃48へと輸送される。プローブ40が、分析される組織の近く又は上にくると、プローブ40の振動発生装置によって機械的振動を発生させて、一又はそれ以上の低周波振動波を、分析される組織に伝える。
低周波振動波の変位を追跡するために、プローブ40の超音波トランスデューサが、高周波超音波を放出し、同時に取得する。受信される超音波信号は、低周波振動波によって媒体内に生じた変位を測定するように処理される。
その変位の時空間的な発展によって、エラストグラフィ法により分析される組織のVPに対する定量的及び定性的なデータを得ることができる。
振動発生装置及び超音波トランスデューサは、患者47の体外に配置された制御装置44によって、制御される。より詳細には、この制御装置44は、振動発生装置又は超音波トランスデューサを作動させるのに必要なエネルギーを伝える電源を制御することを可能にする。従って、そのエネルギーは、ワイヤ接続49を介して制御装置44へと伝えられる。そのエネルギーは、制御装置44から、糸状チューブ45によって形成された機械的接続手段を介して、振動発生装置及び超音波トランスデューサに伝えられる。
MED41は、それが直接接触している組織のVPを測定することを可能にし、また、接触している組織の近傍に位置する組織のVPも測定することを可能にする。
例えば、MED41のプローブ40は、患者47の胃48の壁に接触する。この空間配置では、胃48の組織のVPを求めることができ、また、肝臓のVPも求めることができる。何故ならば、これら二つの臓器(肝臓、胃)は互いに近接していて、プローブ40と直接又は間接に接触しているからである。
一般的にまとめると、プローブの一方の端部が、VPが求められる組織に直接又は間接に接触するまで、例えば固有のルートを介して、プローブが人体内に挿入される。
この直接又は間接の接触に続いて、振動エラストグラフィ法が用いられる。任意、インパルス、移行、又は周期形の低周波振動を、低周波弾性波の発生装置を用いることによって、生物組織に発生させて、少なくとも一つの超音波トランスデューサを介して、その低周波弾性波に対する生物組織の応答を測定する。
上述のMED31、41は、カテーテル又は内視鏡装置の形状にすることができて、プローブ30、40が、内視鏡装置の遠位端部を形成する一方で、制御装置34、44が近位端部に位置する。
上述の装置31、41は、特に、内視鏡の動作チャネル内に挿入されるアクセサリの形状にすることもできて、プローブ30、40がアクセサリの遠位端部を形成する一方で、制御装置34、44が近位端部に位置する。
図5は、内視鏡の動作チャネル内に挿入されるアクセサリの形状の本発明のMEDの一実施形態を示し、アクセサリの遠位端部に、内視鏡用に適合され、トランスデューサ53及び振動発生装置(図示せず)で形成されたプローブ50を備える。本実施形態では、糸状チューブ55が、エレクタ52を備えた十二指腸鏡51の動作チャネルを介して挿入される。エレクタ52の主な役割は、測定される組織の前方にプローブ50を配向及び位置決めすることである。理想的には、内視鏡51は、ディスプレイシステム54(例えば、光学的又は超音波診断的)を備え、MEDの遠位端部を、VPが測定される組織に導くことを可能にする。MEDに取り付けられたディスプレイシステムは、輸送及び位置決めを容易にして、施術者が、表示されている組織が所望の組織に対応していることを確かめることを可能にする。
このタイプのディスプレイシステムは、組織内の弾性波の最適な伝播を確実にする観点から、測定される組織に対してプローブを垂直にすることを確実にすることができる。実際、超音波の伝播とは異なる方向への低周波の伝播は、その速度、ひいては人間又は動物の生物組織のVPの信頼できる測定を生じさせるものではない。
図6に示される別の実施形態によると、本発明によるマイクロエラストグラフィ装置61には、低周波弾性波の発生装置62及び少なくともと一つの超音波トランスデューサ63で形成されたプローブ60が備わっていて、そのプローブは、角度的な応力を受けないフレキシブル糸状チューブ65によって、体67の外部に留められた制御装置64に接続されている。本実施形態によると、プローブ60は、まず、機器66(例えば、トロカールや、カニューレ)によって形成されたルートを介して挿入され、次に、固有のルート68内部にプローブ60が挿入される。
図7を参照すると、例として、カテーテル75によって形成された糸状チューブを備えた本発明の実施形態が示されていて、その糸状チューブは、血管を傷つけることなく血管に沿うのに必要なしなやかさを有する機械的接続及び誘導手段として機能する。更に、その直径は、典型的には3mm未満と小さく、血管内への挿入に適している。このタイプのMEDは、動脈、静脈、毛細血管、他のタイプの血管、例えば、腿の上部(鼠径76)、腕、頸動脈に挿入可能であり、血管壁、血液、臓器(心臓78等)のVPを求めることができる。
更に、図8に示されるように、本発明によるマイクロエラストグラフィ装置81には、低周波弾性波を発生させる振動発生装置82と、少なくとも一つの超音波トランスデューサ83で形成されたプローブ80が備わっていて、そのプローブは、リジッドな糸状チューブ85によって、制御装置84(体87の外部に留められている)に接続されている。本実施形態によると、プローブ80は、機器(外科用開創器、カニューレ、トロカールや、プローブ及び糸状チューブが通過することのできる他のタイプの中空のシリンダー状シャフト等)によって、臓器88又はその近傍まで、輸送される。
本発明によって提供される変形例によると、振動発生装置が、糸状チューブ85であり得る。
図9を参照すると、糸状チューブ95は、フレキシブルタイプ又はリジッドタイプの内視鏡(腹腔鏡等)で形成されて、腹部の臓器及び組織を診ることが可能になっている。
更に、超音波トランスデューサ93及び振動発生装置92が、MEDの遠位端部、又は図示されるように糸状チューブの他のポイントに配置され得る。
図10は別の実施形態を示し、本発明によるマイクロエラストグラフィ用の装置101には、低周波弾性波を発生させる振動発生装置102と、少なくとも一つの超音波発生トランスデューサ103とで形成されたプローブ100が備わっていて、そのプローブは、ニードル形のリジッドな又はしなやかな糸状チューブ105によって、制御装置104(体107の外部に留められている)に接続されている。このニードル(経皮ルートを介して輸送される)は、生検タイプのニードルであり得て、プローブの輸送中に、穿刺部位へと施術者を導くように、施術者がその挿入中にニードル近傍の組織のVPの値を求めることを可能にし、また、施術者が、生検しようとしている組織サンプルがVPの変更された組織に対応することを確かめることを可能にする。
図示されていない本発明の一変形例によると、ニードルによって形成された糸状チューブが、振動発生装置であり、その振動がニードルによって伝えられる。
図11に示される本発明の更なる変形例によると、糸状チューブは、少なくとも一つの超音波トランスデューサ113を備えた中空シャフト112等のアクセサリであり、その中空シャフトがニードル115を覆う。
更に、一般的で非限定的なものとして、多様な実施形態で説明されるように、アクセサリは、MEDのプローブに接続され得て、例えば、ピンセット、インフレータブル・バルーン、切刃、光ファイバ、ビデオカメラ、超音波診断システム等が挙げられる。
更に、本発明により提供される可能性として、本発明によるMEDを用いて、高密度焦点式超音波(HIFU,high−intensity focused ultrasound)を発生させることによる処置効果を求めることができる。従って、本実施形態では、施術者が、任意の時点において、病理組織が破壊されたかどうかを知り、処置を止めるべきかどうかを決定することが可能になる。
上述のように、MEDに対する外部電源は、ワイヤ接続及び機械的接続手段を介して、低周波弾性波及び超音波を発生させるのに必要なエネルギーを伝える。
本発明の多様な変形例によると、空気エネルギー、水圧エネルギー、又は電気エネルギーを用いたシステムを介して、低周波が伝えられ、プローブ内に配置された微小機構を作動させる。
本装置は、有利には、MEDの端部の位置を制御するための装置を備える。
組織のVPを測定する範囲内において、5Hzから2000Hzの間、より一般的には10Hzから1000Hzの間の低周波弾性波を発生させる。低周波弾性波の変位を追跡して、その変位速度を導出するために、低周波弾性波の放出と同時に、一続きの超音波が放出される。超音波放出は、1μsから100msの間、より一般的には100μsから1msの間の時間間隔で行なわれる。超音波放出は、検査される媒体内に存在している拡散体によって反射されるエコーの重なりによって構成される超音波信号の受信と関連している。
超音波放出は一般的に、低周波の周期(周波数の逆数)に対応する最小期間にわたって行なわれ、つまり、2000Hzの周波数に対して0.5msであり、検査期間全体にわたって連続的に行われ得る。1msの最小期間は、組織の粘弾性特性が求められるように、一又は複数の低周波弾性波の伝播を観測するのに必要とされる最小時間に対応する。
従って、超音波放出の数及び速度は、低周波弾性波の周波数及び測定される深度に依存する。
低周波弾性波を発生させるためには、プローブが組織に接触したままであることが望ましい。ここで、比較として、従来技術によるエラストグラフィでは、測定される組織までの波の伝播を確実にするために、発生装置と皮膚との間に略4Nから8Nの力が必要とされることに留意されたい。この接触を維持するためには、MEDの使用者の介入に加えて、図12に示されるように、プレストレスを与えて、静的力F0を発生させる。ここで、図12において、縦軸は、印加される力を表し、横軸は時間を表す。
結果として、インパルスT1が、力の変化が正(Δf>0)となるように与えられて、低周波を発生させる一方、超音波トランスデューサに組織が接触したままにすることができる。
本発明によって提供される一つの可能性によると、静的力F0を維持して、低周波応力を発生させるために、以下の素子のいずれかを用いることができる: バネ、エラストマー、空気式装置、水圧又は筋力装置、取得期間全体にわたって静止力を維持する特性を有する他の素子。
図示されていない一変形例によると、低周波を、糸状チューブ内部に挿入された第二の装置によって別に発生させる。この糸状チューブは、内視鏡の動作チャネルであり得る。
また、低周波弾性波は、放射圧力モードの外部超音波トランスデューサや、体外の振動装置によっても発生させることができる。
図示されていない更なる変形例によると、対象となる弾性波は、体内の臓器の変位によっても発生させることができ、心臓の鼓動が挙げられる。
保護体をプローブ上に配置して、侵食効果に対してプローブを保護し、及び/又は、必要とされる生体適合性及び滅菌性の条件を守り、汚染の危険性を低下させることができる。その保護体は、超音波に対して透過性であり、その弾性特性が、VPが求められる組織のものに近い。
糸状チューブの非限定的な例として、カテーテル、チューブ、パイプ、導管、チャネル、鞘、内視鏡、ニードル、他のしなやかでフレキシブルな又はリジッドな接続手段であり、20mmよりも長くて、典型的には20mmから3mの間の長さであり、VPが求められる組織に直接接触して、又はその近傍にプローブを輸送及び位置決めすることができるものが挙げられる。
プローブは体内に挿入されるものであるが、ワイヤ接続を介してプローブに接続される外部制御装置及びエネルギー源は、体外に留められて、施術者が、プローブのトランスデューサ及び振動発生装置を制御することを可能にする。
本発明は、VPの測定及びその解析を簡略化及び改善するように、表皮近傍の脂肪層の問題を解消すること可能にする。
更に、25mmから65mmの間の深度に対して粘弾性特性を測定できることが分かり、脂肪層の存在を考慮することができる。
本発明の範囲内において、厚さ25mm未満、典型的には2から12mmの間の厚さである組織に、MEDは直接接触している。
プローブ近傍のこうした組織のVPを測定することを可能にするため、本発明は、10Hzから1000Hzの間の周波数の低周波弾性波を発生させ、つまり、人体の外部のプローブを用いて粘弾性特性を測定するのに従来用いられていた周波数である略50Hzも、その周波数が高い。
更に、本発明により分析される組織の薄い厚さでは、解像度の問題も生じる。そこで、本発明では、用いられる超音波の周波数を増大させて、低周波弾性波を追跡することを提案している。その周波数は、1MHzから200MHzの間であり、特に5MHzから50MHzの間であり、従来技術に対して向上した解像度が得られる。
本発明によるMEDは、有利には、少なくとも一つのコンピュータ、マイコン、セントラルユニット、他のタイプの制御システムによって制御されて、表示することが望まれている組織の深度内で発生させる低周波弾性波の周波数に適合させることを可能にする。この特徴によって、本発明では、時間及び振幅に関して完全に制御されて、測定される厚さに適合された低周波振動、又はインパルスを得ること可能にするMEDが提案される。
本発明を、例示によって上述してきた。当業者が、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の多様な変形例を得ることができるということは理解されたい。従って、多様な方法で、複数の測定の統計処理を用いて、組織のVPの定性的測定を得ることができる。例えば、測定の平均値から所定の割合で外れている値を排除することができる。
20 プローブ
21 MED
22 振動発生装置
23 超音波トランスデューサ
24 制御装置
25 糸状チューブ
26 ルート
27 体
28 臓器

Claims (19)

  1. 人間又は動物の組織の粘弾性特性の定量的及び/又は定性的な測定のための振動エラストグラフィ用の装置であって、
    ‐ 少なくとも一つの超音波トランスデューサと低周波振動発生装置とを備えたプローブであって、前記超音波トランスデューサが、前記低周波振動発生装置によって発生されて、臓器を伝播する低周波弾性波の伝播を分析することを可能にし、該プローブが人間又は動物の体内において前記臓器の上又は近傍に配置されるように構成されている、プローブと、
    ‐ 前記プローブに接続され、前記プローブを作動させるための手段を備えた制御装置であって、前記人間又は動物の体外に留められるように構成されている、制御装置と、
    ‐ 前記制御装置にエネルギーを伝えるワイヤ接続と、を備え、更に、
    ‐ 前記プローブを前記制御装置に機械的に接続するための手段であって、糸状チューブによって形成されている手段を備え、
    前記糸状チューブが前記振動発生装置であることを特徴とする装置。
  2. 前記糸状チューブが20mmよりも長く、好ましくは20mmから3mの間の長さであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記糸状チューブがフレキシブルで、機械的応力を受けないことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記糸状チューブがリジッドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  5. 前記超音波トランスデューサが3mm未満の直径を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記糸状チューブがカテーテルを形成し、該カテーテルの遠位端部に前記プローブを備え、近位端部に前記制御装置を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記糸状チューブがニードルを形成し、該ニードルの遠位端部に前記プローブを備え、近位端部に前記制御装置を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記糸状チューブが内視鏡を形成し、該内視鏡の遠位端部に前記プローブを備え、近位端部に前記制御装置を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  9. 前記糸状チューブが中空シャフトを形成し、該中空シャフト内にニードルが挿入されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  10. 前記制御装置が、前記振動発生装置及び/又は前記超音波トランスデューサへのエネルギーの伝達を制御するための手段を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 動物(人間を除く)の組織の粘弾性特性の定量的及び/又は定性的な測定のための振動エラストグラフィ用の方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置を用い、
    ‐ 前記振動発生装置が一又は複数の低周波弾性波を発生させる段階と、
    ‐ 前記一又は複数の低周波弾性波を発生させる段階と同時に、前記超音波トランスデューサが超音波を放出し、前記低周波弾性波の伝播中に高周波超音波の信号を高速で取得する段階と、
    ‐ 前記組織に生じる、変位の時空間的な変化、及び/又は、変形、及び/又は、変位速度、及び/又は、変形速度、より一般的には移動パラメータを計算する段階と、
    ‐ 前記組織の粘弾性特性を計算する段階と、
    を備えた方法。
  12. 前記プローブと、前記糸状チューブの一部とが、動物(人間を除く)に本来備わる開口部を介して動物(人間を除く)の体内に挿入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記プローブと、前記糸状チューブの一部とが、経皮ルートを介して動物(人間を除く)の体内に挿入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記プローブと、前記糸状チューブの一部とが、動物(人間を除く)の体内に挿入された器具による開口部を介して動物(人間を除く)の体内に挿入されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 前記糸状チューブが、内視鏡の動作チャネル内に挿入されて、前記内視鏡に備わったエレクタを用いて配向されて、測定される組織の前方に前記装置の遠位端部を位置決めすることを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記プローブと、前記糸状チューブの一部とが、動物(人間を除く)の体に属している血液内に挿入されることを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記高周波超音波の放出が、1MHzから200MHzの間、好ましくは5MHzから50MHzの間の周波数範囲に対して行われることを特徴とする請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記低周波弾性波を、5Hzから2000Hzの間の周波数範囲に対して発生させることを特徴とする請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記低周波弾性波が、機械的振動、放射圧、水圧、又は、前記組織の変位によって発生する振動によって、発生することを特徴とする請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
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