JP5649297B2 - 無機繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、無機繊維に関する。
無機繊維は、無機化合物より成る繊維を主構成成分とするものであり、特に平均繊維径2μm以下であるものは、フィルター材及びシール材の構成材料としての用途が期待される。
ところで、繊維径の小さな無機繊維としては、従来よりアスベスト(石綿)が知られており、このアスベストは、繊維径が小さく、体液に対する化学的抵抗性が高いものであるために、呼吸によって肺奥部に達し、肺胞内の細胞に長期間の刺激を与え、人体に影響するとされている。
このため、生体溶解性を有し、体液に対する化学的な抵抗性が低い無機繊維として、繊維の少なくとも90%が、20〜50重量%のCaOと、50〜80重量%のAlからなるとともに、残部として最大10重量%の不純物とからなる無機繊維が提案されている(特許文献1(特許第3227586号公報)参照)。
しかしながら、無機繊維の用途によっては、特許文献1記載の無機繊維よりも、さらに生体溶解速度の速いものが求められるようになっている。
特許第3227586号公報
本発明者等が鋭意検討を行ったところ、Al−CaO系無機化合物において、Alの含有量を増加してなるものが、繊維化したときに、生体溶解速度を向上させるとともに耐熱性を向上させると考えられた。
しかしながら、本発明者等がさらに検討したところ、無機繊維の製造方法としては、特許文献1に開示されているように、原料を溶融した状態でブローイング等して繊維化する方法が一般的であるが、Alを多量に含有する無機繊維原料の熔融物は温度変化に対して粘性が変化しやすく、繊維化が非常に困難であるために、従来の方法では、平均繊維径が2μm以下であるものを得られないことが判明した。
このような状況下、本発明は、生体溶解速度が大きく耐熱性が高い無機繊維を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を行ったところ、水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムと水溶性のカルシウム化合物と紡糸助剤とを水性媒体中に溶解して紡糸原料水性溶液を作製した後、該紡糸原料水性溶液を、静電紡糸法により紡糸して粗無機繊維を得、次いで、該粗無機繊維を焼成することにより、Alを多量に含有するAl−CaO系無機繊維を製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)88質量%〜82質量%のAlおよび12質量%〜18質量%のCaOを含み、AlおよびCaOを合計した含有割合が繊維全体の98質量%以上であることを特徴とする無機繊維、
(2)前記無機繊維の平均繊維径が2μm以下である請求項1に記載の無機繊維、
を提供するものである。
本発明によれば、生体溶解速度が大きく耐熱性の高い無機繊維を提供することができる。
静電紡糸に供する紡糸装置の一例を示す図である。
本発明の無機繊維は、88質量%〜82質量%のAlおよび12質量%〜18質量%のCaOを含み、AlおよびCaOを合計した含有割合が繊維全体の98質量%以上であることを特徴とするものである。
本発明の無機繊維は、Alを88質量%〜82質量%含むものであり、85質量%〜82質量%含むものであることがより好ましい。Alの含有割合が上記範囲内にあることにより、所望の耐熱性を得やすくなる。
また、本発明の無機繊維は、CaOを12質量%〜18質量%含むものであり、15質量%〜18質量%含むものであることがより好ましい。CaOの含有割合が上記範囲内にあることにより、所望の生体溶解性を得やすくなる。
本発明の無機繊維は、AlおよびCaOを合計した含有割合が繊維全体の98質量%以上であり、繊維全体の99質量%以上であることがより好ましい。
本発明の無機繊維は、不可避的成分を2質量%未満含み得るものであり、ここで、不可避的成分とは、無機繊維の調製時に混入する不純物成分を意味する。
本発明の無機繊維は、88質量%〜82質量%のAlおよび12質量%〜18質量%のCaOを含み、AlおよびCaOの合計含有割合が繊維全体の98質量%以上であることにより、所望の生体溶解性と耐熱性を発揮することができる。
本発明の無機繊維において、各成分の含有割合(質量%)は、後述する繊維作製時に使用した紡糸原料水性溶液から一部取り出して乾燥させ、次いで1000℃にて2時間焼成を行った粉末を測定試料として、蛍光X線分析装置(Rigaku社製 RIX2000)を用いて測定した際の値を意味する。なお、得られる無機繊維にはバランス成分が含まれる場合があるが、この場合はバランス成分を除いた金属酸化物の合計値が100質量%となるように、補正計算を行うものとする。
本発明の無機繊維は、平均繊維径が2μm以下であることが好ましく、平均繊維径が1μm以下であることがより好ましく、平均繊維径が0.5μm以下であることが更に好ましい。無機繊維の平均繊維径が2μm以下であることにより、フィルター材及びシール材の構成材料として好適に使用することができる。平均繊維径が2μm以下である無機繊維は、後述する静電紡糸時に使用するノズルの径を調整したり、紡糸原料水性溶液の濃度や粘度を調整することによって製造することができる。
本発明の無機繊維は、後述する生体溶解性の評価方法により評価したときに、試験開始後24時間〜48時間における溶解速度が20ng/cm・h以上であるものが好適であり、30ng/cm・h以上であるものがより好適であり、40ng/cm・h以上であるものがさらに好適である。溶解速度の上限については、特に制限はないが、通常、600ng/cm・h程度である。
本発明の無機繊維は、生体溶解速度が大きく、生体溶解性に優れたものであるので、平均繊維径が小さいものであっても生活環境に与える影響が小さく、また、後述する製造方法によって容易に細繊維化し得るものであるため、例えば、平均繊維径が2μm以下の細繊維化物を、フィルター材及びシール材の構成材料等として、種々の産業分野で利用することができる。
なお、本出願書類において、無機繊維の平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製 JSM‐5800LV)により撮影した写真(倍率2000〜5000倍)から無作為に選定した繊維の幅を計測し、これ等の幅から算出した平均値を意味する。
本発明の無機繊維は、融点が1300℃以上であるものが好適であり、1500℃以上であるものがより好適である。本発明の無機繊維が、融点が1300℃以上の耐熱性の高いものであることにより、フィルター材及びシール材等として好適に使用することができる。
本発明の無機繊維は、例えば、水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムと水溶性のカルシウム化合物とを水性媒体中に溶解して紡糸原料水性溶液を作製した後、該紡糸原料水性溶液を、静電紡糸法により紡糸して粗無機繊維を得、次いで、該粗無機繊維を焼成する方法(以下、本発明の無機繊維の製法という)により簡便に作製することができる。
本発明の無機繊維の製法において、アルミニウム源となる原料としては、水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムが用いられる。アルミニウム源としてカルボン酸塩を用いることにより、後述する焼成時において環境負荷の大きい塩素や硝酸の発生を抑制することができる。
本発明の無機繊維の製法において、原料として用いられる水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムとしては、下記組成式(I)
Al(OH)(RCOO)3−X (I)
(ただし、Xは0を超え3未満の正の数であり、Rは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基若しくは水酸基含有炭化水素基であり、RCOO基が複数存在する場合、各Rは同一であっても異なっていてもよい)で表される化合物を挙げることができる。なお、こうした塩基性カルボン酸アルミニウムは、ヒドロキシ基で架橋された8面体配位のアルミニウム多核錯体(無機イオン性ポリマー)で、2量体やオリゴマーの形をとり得る。
組成式(I)で表されるカルボン酸アルミニウムにおいて、Xは1以上3未満の正の数であることが好ましく、1以上2.5以下の正の数であることがより好ましい。
組成式(I)において、Xは、塩基性カルボン酸アルミニウムの合成時に、添加したカルボン酸の組成比から算出することができる。
また、RCOO基においてRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基若しくは水酸基含有炭化水素基である。
Rが炭化水素基若しくは水酸基含有炭化水素基である場合、その炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。炭素数が10を超えると、式(I)で表される塩基性カルボン酸アルミニウムが水溶性を示し難くなる。また、Rが炭化水素基若しくは水酸基含有炭化水素基である場合、炭化水素基部分は、直鎖状でも分枝状でもよく、また、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。
Rが炭化水素基である場合、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基等が挙げられる。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基(これらのアルキル基が分枝状になり得る場合には、アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基が分枝状になり得る場合には、アルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);シクロプロピル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基;メチルシクロプロピル基、メチルシクロブチル基等のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)等を例示することができる。
Rが水酸基含有炭化水素基である場合、水酸基含有炭化水素基としては、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基、ヒドロキシシクロアルキル基等が挙げられる。
具体的には、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基(これらのヒドロキシアルキル基が分枝状になり得る場合には、ヒドロキシアルキル基を構成するアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい);ヒドロキシブテニル基等のヒドロキシアルケニル基(ヒドロキシアルケニル基を構成するアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である);ヒドロキシシクロプロピル基、ヒドロキシシクロブチル基等のヒドロキシシクロアルキル基(ヒドロキシル基やアルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)等を例示することができる。
水中での安定性等を考慮すると、RCOO基としては、ギ酸、酢酸、乳酸等から選ばれるカルボン酸の反応残基(HCOO基、CHCOO基、CHCH(OH)COO基)が好ましい。
本発明の無機繊維の製法において、カルシウム源となる原料としては、水溶性のカルシウム化合物が用いられ、該カルシウム化合物としては、水溶性を示すとともに、後述する紡糸原料水性溶液中に所望量溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば、カルシウムの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、水酸化物、塩化物、フッ化物、ホウ酸塩、リン酸塩などが挙げられる。
これ等のカルシウム化合物のうち、本発明の無機繊維の製法においては、紡糸原料水性溶液中に溶解させるアルミニウム化合物が塩基性カルボン酸アルミニウムであることから、カルシウム化合物もカルボン酸塩であることが好ましく、紡糸原料水性溶液への溶解性や材料の入手の容易さから酢酸カルシウム一水和物であることがより好ましい。
本発明の無機繊維の製法においては、必要に応じて、さらに紡糸助剤を用いることもできる。紡糸助剤としては、所望の無機繊維を作製し得るものであれば特に制限されないが、取扱いの容易性や溶解性を考慮すると水溶性の有機高分子であることが好ましい。例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアクリル酸エステルならびにこれらの共重合体が挙げられ、これ等のうち、ポリアクリル酸エステルが好ましい。
本発明の無機繊維の製法においては、紡糸助剤を添加することにより、繊維径のばらつきを抑制し、安定して紡糸することができる。また、静電紡糸後の未焼成繊維の強度が増し、ハンドリング性を向上させることができる。
本発明の無機繊維の製法においては、上記水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムと、水溶性のカルシウム化合物とを水性媒体中に溶解させて、紡糸原料水性溶液を調製する。
水性媒体としては、水が好ましく、溶液の安定性を向上させたり、紡糸の安定性を向上させるために、水を主成分として水に可溶な他の媒体、例えばアルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、カルボン酸類などを添加したものであってもよい。また、これらの媒体に対して塩化アンモニウムなどの有機塩を添加したものであってもよい。
紡糸原料水性溶液中における水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムの濃度は、5質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましい。また、紡糸原料水性溶液中において、アルミニウム元素とカルシウム元素の総量に対するアルミニウム元素の存在割合は、アルミニウム元素をAl、カルシウム元素をCaOに換算したときのAl換算で88質量%〜82質量%であることが好ましく、85質量%〜82質量%であることがより好ましい。元素とカルシウム元素の総量に対する、アルミニウム元素の存在割合がAl換算で88質量%超であると、カルシウム元素の存在割合が小さくなって所望の生体溶解性を得難くなり、アルミニウム元素とカルシウム元素の総量に対する、アルミニウム元素の存在割合がAl換算で82質量%未満であると、所望の耐熱性を示し難くなる。
紡糸原料水性溶液中における水溶性のカルシウム化合物の濃度は、2質量%〜50質量%であることが好ましく、4質量%〜30質量%であることがより好ましい。また、紡糸原料水性溶液において、アルミニウム元素とカルシウム元素の総量に対するカルシウム元素の存在割合は、アルミニウム元素をAl、カルシウム元素をCaOに換算したときのCaO換算で12質量%〜18質量%であることが好ましく、15質量%〜18質量%であることがより好ましい。アルミニウム元素とカルシウム元素の総量に対する、カルシウム元素の存在割合がCaO換算で18質量%超であると所望の耐熱性を得難くなり、12質量%未満であると所望の生体溶解性を得難くなる。
紡糸原料水性溶液中における紡糸助剤の濃度は、0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。紡糸助剤は、焼成後に繊維が緻密化し、強度が保持されるために可能な限り少ない方が好ましいが、少量では繊維作製時の形態が安定しない場合があるため、必要に応じて添加量を調整することが好ましい。
紡糸原料水性溶液の作製方法は、特に制限されず、例えば、水性媒体と、水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウム、水溶性のカルシウム化合物およびその他の任意成分を、各成分がそれぞれ所望濃度になるように混合することにより作製してもよいし、水溶性の塩基性カルボン酸アルミニウムの水性溶液と、水溶性のカルシウム化合物の水性溶液と、その他の任意成分を、各成分が所望濃度になるように混合することにより作製してもよい。
紡糸原料水性溶液の粘度は、0.01〜5.0Pa・s程度が好ましく、0.05〜3.0Pa・s程度がより好ましい。紡糸原料水性溶液の粘度が0.01Pa・s未満であると、紡糸時に紡糸原料水性溶液が糸状化せずに球状の粒を生ずる場合があり、紡糸原料水性溶液の粘度が5.0Pa・s超であると、繊維化処理が困難となる。紡糸原料水性溶液の粘度は、紡糸助剤の添加量を調整したり、適宜、加熱処理や減圧処理による濃縮操作を行うことによって調整することもできる。
なお、本出願において、紡糸原料水性溶液の粘度は、粘弾性測定装置(AntonPaar社製 Physica MCR301)を用い、紡糸原料水性溶液の液温を25℃に維持した状態で測定した、せん断速度10s-1時におけるせん断粘度を意味する。
本発明の無機繊維の製法においては、上記紡糸原料水性溶液を、静電紡糸法により紡糸して粗無機繊維を得る。
静電紡糸法とは、繊維形成性化合物を含む紡糸原料水性溶液に対して電圧を印加し、静電反発力を利用して紡糸原料水性溶液を吐出し繊維化する方法である。
紡糸原料水性溶液を電圧を印加した静電場中に吐出する方法としては、任意の方法を用いることができ、例えば、紡糸原料水性溶液をノズルに供給した状態で、静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから紡糸原料水性溶液を電界によって曳糸して繊維化する方法を挙げることができる。
以下、本発明の無機繊維の製法における静電紡糸法による紡糸の具体的態様を図1を参照しつつ説明する。
図1は、静電紡糸に供する紡糸装置の一例を示す図である。図1において、紡糸装置1は、シリンジ2と、ノズル3と、高電圧発生装置4と、試料捕集台5から構成されている。
図1に示す紡糸装置1において、紡糸原料水性溶液は、シリンジ2内に充填された後、ノズル3の先端部まで送液される。高電圧発生装置4は、それぞれノズル3周囲に設けられた導電性の固定部と導電性の試料捕集台5に電気的に接続されており、ノズル3周囲に設けられた固定部を通じてノズル3に電圧を印加することにより、ノズル3の先端から紡糸原料水性溶液を噴出し、繊維化して、粗無機繊維とする。得られた粗無機繊維は、対向電極である試料捕集台5上に捕集される。
紡糸原料水性溶液をノズル2から静電場中に供給する場合、複数のノズル2を用い、ノズル2を並列に配置して繊維状物質の生産速度を上げてもよい。
本発明の無機繊維の製法において、静電紡糸時に印加する電圧は、ノズル先端と対向電極との距離(電極間の距離)や、紡糸原料水性溶液の粘度や、紡糸原料水性溶液の濃度等の条件を考慮しつつ、1〜100kVとすることが好ましく、3〜30kVとすることがより好ましい。
電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、紡糸原料水性溶液のノズルからの噴出量、紡糸原料水性溶液濃度等に依存するが、50〜500mmが好ましく、50〜300mmがより好ましく、100〜200mmがさらに好ましい。
本発明の無機繊維の製法においては、次いで、静電紡糸法により得られた粗無機繊維を焼成する。
焼成温度は、500℃以上が好ましい。焼成温度が500℃未満であると、紡糸助剤として用いた有機高分子などの有機成分が得られる無機繊維中に残留し、また、焼成温度が高すぎると、結晶粒の成長が生じて得られる無機繊維が非常に脆くなったり、液相を生じて炉床と反応してしまう。
また、上記焼成温度は500℃以上であって液相生成する温度未満であることが好ましく、800℃以上であって液相生成する温度未満であることがより好ましい。
本発明の無機繊維の製法においては、焼成温度を所望範囲内に制御することによって、好適な生体溶解性を得ることができる。
焼成は、公知の電気炉等を用いて行うことができ、焼成時の雰囲気は、紡糸助剤等として用いた有機物を分解するために、大気または酸化性雰囲気であることが好ましい。残留有機物の分解能を考慮しなくてよい場合には、窒素等の不活性雰囲気であってもよい。
このようにして得られる本発明の無機繊維は、生体溶解性速度が大きく生体溶解性に優れるものであるとともに耐熱性が高いものであることから、フィルター材やシール材等の構成材料として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、生体溶解性は、以下に示す方法により評価した。
(生体溶解性の評価方法)
得られた無機繊維のうち、評価試料として10〜25mgの範囲に収まる量を精秤した。
次に、この評価試料を孔径0.1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製メンブレンフィルタ上に置き、さらに評価試料上部に孔径1μmのPTFE製メンブレンフィルタを乗せてフィルタユニットとして固定した。このフィルタユニットに対し、表1に記載したpH5.0の生理食塩水を0.15ml/minの割合で流通させた。
評価試料を流通した生理食塩水は、フィルタユニット下部に設けたタンク内に溜まるが、生理食塩水が評価試料を通ることによって無機繊維成分も溶出する。評価試験中の生理食塩水は生体液の温度である37℃に維持しつつ、タンクに貯めた無機繊維成分溶出液を試験開始から24時間後と48時間後に取り出し、ICP発光分析装置により、繊維成分の溶出量を定量し、その値から溶解度を算出した。
ここで、単純な溶解度では、繊維径の違いによる繊維表面積の差が出てくるため、繊維径を別途計測して繊維表面積を求め、これと溶解度の測定値より単位時間、単位繊維表面積あたりの溶解度(ng/cm・h)を算出し溶解速度とした。溶解速度は、試験開始後24時間〜48時間における速度を求めたが、別途、試験開始後0〜24時間における速度も求めた。
なお、得られた無機繊維の外形が概略円柱状であることから、無機繊維の表面積は、無機繊維形状が円柱状であるとしてその全側面積を求めることにより算出した。
すなわち、無機繊維の質量をM(g)、無機繊維の全長をL(m)、無機繊維の平均繊維径をd(m)、無機繊維の真密度をρ(kg/m)とすると、下記(1)式が成り立つ。
M=π×d×L×ρ/4 (1)
また、無機繊維の表面積A(m)は式(2)で表わされる。
A=π×d×L (2)
式(2)よりL=A/(π×d)であることから、このLを式(1)に代入してAについてまとめると、以下の式(3)のとおりとなる。
A=4M/dρ (3)
無機繊維の質量M(g)を実測するとともに、上述したように走査型電子顕微鏡(日本電子製 JSM‐5800LV)を用いて無機繊維の平均繊維径d(m)を測定し、ピクノメーター法により無機繊維の粉砕物から無機繊維の真密度ρ(kg/m)を測定して、上記式(3)にそれぞれ代入することにより、無機繊維の表面積A(m)を算出することができる。
上記評価によって得られた生理食塩水への溶解速度は、体液への化学的抵抗性の指標であり、この値が高いほど体液への化学的抵抗性は低く、生体への有害性は低いとされる。
Figure 0005649297
(実施例1)
塩基性カルボン酸アルミニウムとして、平均組成式がAl(OH)(RCOO)3−X(Xの平均値が1.7、Rが炭素数0〜2の基である)であるものを用いて、以下のとおり紡糸原料水溶液を調製した。
すなわち、Al換算したアルミニウム濃度が10.5質量%である塩基性カルボン酸アルミニウム水溶液100質量部に対して、CaO換算したカルシウム濃度が7.3質量%である酢酸カルシウム水溶液25.2質量部と、濃度6.0質量%に調製したポリアクリル酸エステル水溶液14.0質量部とを添加、混合した後、適宜濃縮することにより、粘度が1Pa・sの紡糸原料水性溶液を調製した。
この紡糸原料水性溶液は、アルミニウム元素をAl、カルシウム元素をCaOに換算したときに、アルミニウム元素とカルシウム元素の総量に対し、アルミニウム元素を85.0質量%含むとともに、カルシウム元素を15.0質量%含むものである。
次いで、図1に示す紡糸装置1を用いて、上記紡糸原料水性溶液を紡糸した。紡糸処理に際しては、上記紡糸原料水性溶液をシリンジ2内に充填した後、ノズル3の先端部まで送液し、ノズル3周囲に設けられた固定部と試料捕集台5に電気的に接続した高電圧発生装置4から15.0kVの電圧を印加することにより、ノズル3の先端から紡糸原料水性溶液を噴出させ、繊維化して、ノズル3先端からの距離を150mmに調整した試料捕集台5上に捕集して、粗無機繊維を得た。
得られた粗無機繊維を、大気雰囲気下、電気炉中で500℃/時で1000℃まで昇温し、2時間保持することによって焼成して、無機繊維を得た。
得られた無機繊維の平均繊維径は1.35μmであり、蛍光X線分析装置(Rigaku社製 RIX2000)により組成分析を行ったところ、Alを84.3質量%含むとともに、CaOを15.7質量%含むものであった。
この無機繊維の生体溶解性を評価するために、上述した方法により、得られた無機繊維の溶解速度を測定したところ、試験開始後24時間〜48時間における溶解速度は187ng/cm・hであった。 また、得られた無機繊維の組成分析結果を用いて、熱力学平衡計算から融点を算出したところ、融点は1754℃であった。
結果を表2に示す。
(実施例2〜実施例8、比較例1〜比較例7)
得られる無機繊維中のアルミニウム元素量およびカルシウム元素量が、それぞれAlおよびCaO換算で表2に示す割合になるように、紡糸原料水性溶液中の塩基性カルボン酸アルミニウム水溶液量および酢酸カルシウム水溶液量を調整するとともに、焼成温度(電気炉中で2時間保持した温度)を表2に示す温度に変更して、実施例1と同様にして無機繊維を作製した。
得られた無機繊維について、実施例1と同様にして平均繊維径および無機繊維の組成を求めるともに、生体溶解性を評価した。結果を表2に示す。表2において、溶解速度は、試験開始後24時間〜48時間におけるものを示している。また、実施例2〜実施例8で得られた無機繊維については、実施例1と同様にして融点を測定した。結果を表2に示す。
なお、比較例7は、紡糸原料水溶液を作製した段階で沈殿が生成したため、繊維を作製できなかった。
Figure 0005649297
表2に示す結果より、実施例1〜実施例8で得られた無機繊維は、溶解速度が24〜221ng/cm・hであることから、優れた生体溶解性を示すものであることが分かり、融点が1754℃程度であることから、高い耐熱性を示すものであることが分かる。これに対し、比較例1〜比較例5で得られた無機繊維は、溶解速度が2〜11ng/cm・hであることから、生体溶解性が低いことが分かる。
本発明によれば、生体溶解速度が大きく生体溶解性に優れるとともに、耐熱性の高い無機繊維を提供することができる。
1 紡糸装置
2 シリンジ
3 ノズル
4 高電圧発生装置
5 試料捕集台

Claims (2)

  1. 88質量%〜82質量%のAlおよび12質量%〜18質量%のCaOを含み、AlおよびCaOを合計した含有割合が繊維全体の98質量%以上であり、
    平均繊維径が2μm以下であり、
    生理食塩水に対する24時間〜48時間における溶解速度が20ng/cm ・h以上であることを特徴とする無機繊維。
  2. 85質量%〜82質量%のAl および15質量%〜18質量%のCaOを含む請求項1記載の無機繊維。
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