JP5647809B2 - 履物用抗真菌組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水虫(足白癬)に優れた有効性を有する履物用抗真菌組成物に関する。
生活者が日常生活の中で経験する症状である水虫(足白癬)は、白癬菌という真菌が足に感染することによって起こる感染症の一種である。水虫の対処法としては、医師による治療から一般用医薬品に至るまで様々であるが、抗真菌成分を患部に塗布する治療方法が一般的であり、抗真菌成分を1質量%以上含有する薬液が標準的に用いられている。
しかしながら、患部に直接塗布するという従来の方法では、抗真菌成分の浸透拡散による希釈化、皮膚及び有効成分の落屑、風呂等での皮膚の洗浄による抗真菌成分の排除などが起きてしまう。更に、靴を履いて生活することが多い現在、靴の中に落屑した白癬菌が湿気の多い靴の内側で増殖し、足への再感染を起こすという悪循環も明らかとなっている。このように水虫の治療に関し、より治療効果が高い方法の提供が望まれている。
特許文献1には、水虫の治療方法として、抗真菌成分を溶解した足の皮膚病変予防及び治療用組成物を足踏み式吐出容器に充填したフットケア装置を用いて、靴下などをはいたまま足の裏に薬剤を塗布する方法が開示されている。しかしながら、この方法は簡便に足の裏に薬剤を噴霧する方法にすぎず、水虫の治療効果としては充分に満足できない。
特開2001−178824号公報
本発明は、上記課題を解決し、履物の内側に散布したり、塗布したりして使用される、水虫(足白癬)の治療及び予防効果に優れた履物用抗真菌組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、水虫薬を用いた治療及び予防効果について鋭意検討を重ねた結果、抗真菌成分を含む水虫薬を、患部ではなく、患部が長時間触れ続ける履物の内側において、乾燥状態で抗真菌成分の結晶粒子径が50μm以下となるように存在させることにより、患部に直接塗布しても治癒しなかった水虫が治癒するという予想外の知見を見出し、本発明を完成した。水虫薬を用いた最も治療効果が高い方法は当然患部に直接塗布する手法と考えられるため、患部ではなく、患部が接触し続ける部位、すなわち履物の内側に水虫薬を使用することによって顕著な治療効果が得られるという知見は医薬品開発に携わる当業者に到底予測できないことである。
本発明は、抗真菌成分を含有する履物用抗真菌組成物であって、履物の内側に使用され、かつ乾燥状態における上記抗真菌成分の粒子径が50μm以下であることを特徴とする履物用抗真菌組成物である。
上記履物用抗真菌組成物は、低級アルコールの含有量が5〜70質量%であることが好ましい。また、上記抗真菌成分の含有量が0.1〜1.0質量%であることが好ましい。
上記抗真菌成分が塩であることが好ましい。
上記履物用抗真菌組成物は、更にpH調整剤及び水を含有し、界面活性剤及び油類を含有しないことが好ましい。
本発明の履物用抗真菌組成物は、履物の内側に使用され、かつ乾燥状態における抗真菌成分の粒子径が50μm以下であるため、水虫薬の直接塗布に比べて、足白癬に対して非常に高い予防効果及び治療効果を得ることができる。
実施例7の履物用抗真菌組成物を噴霧し、乾燥後の状態を観察した写真である。 比較例3の履物用抗真菌組成物を噴霧し、乾燥後の状態を観察した写真である。
本発明の履物用抗真菌組成物は、抗真菌成分を含有するものであって、履物の内側に使用され、かつ乾燥状態における上記抗真菌成分の結晶粒子径が50μm以下である。即ち、履物の内側に散布や塗布などにより適用され、適用された組成物が乾燥状態となると、抗真菌成分の結晶粒子径が50μm以下となって履物内側に残るものである。
上記組成物の使用時の有効性について、作用機序は明らかではないが以下のように推察される。乾燥状態で結晶粒子径が一定の大きさ以下の抗真菌成分を履物内側に存在させた場合、履物内では結晶粒子径が小さくなるほど抗真菌成分の存在しない部分(隙間)の面積が小さくなり(狭くなり)、抗真菌成分を内側全体に密に存在させることができる。そして、抗真菌成分の存在面積が大きくなると、皮膚に触れる面積も大きくなるため患部に付着し易くなる。また、抗真菌成分は小さい粒子径で存在するため、履物内において足から発する水分や汗により一部が溶解し、靴内に存在し、再感染の原因となり得る白癬菌などの真菌を殺菌することができる。さらに、抗真菌成分は水分や汗などとともに一部溶解した状態及び/又は粒子状態のままで患者の履く靴下の目の隙間を通り抜けることで、患部に付着することができる。患部に付着した結晶はその粒子径が小さいことから、足裏面などの皮脂に対して溶け易く、患部においても優れた抗真菌効果を発揮する。
このように、結晶粒子径が50μm以下(乾燥状態)の抗真菌成分を絶対量が多い状態で履物内に存在させると、足に存在する白癬菌の効率的な殺菌と併せて、履物の内側で増殖して再感染の原因となる白癬菌も殺菌されるため、患部への直接塗布と比較して、顕著な有効性が発揮されると推察される。
本発明の組成物において使用可能な抗真菌成分としては、真菌の生育を阻止又は致死させる性質を有する物質であり、特に限定されないが、例えば、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、オキシコナゾール、ビフォナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、フェンチコナゾール、ジノコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ナイスタチン、アンホテリシンB等のイミダゾール系化合物;アモロルフィン等のモルホリン系化合物;テルビナフィン等のアリルアミン系化合物;ブテナフィン等のベンジルアミン系化合物;シクロピロクスオラミン等のピリミジン系化合物;その他、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、モクタール、シッカニン、トリコマイシン、ピロールニトリン、エキサラミド、トルシクラート、トルナフタート、ハロプロジン、及びこれらの薬学上許容される酸付加塩を挙げることができる。
本発明の組成物において使用可能な抗真菌成分の酸付加塩としては、特に限定されないが、上記化合物の塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩等の無機酸塩;乳酸、酒石酸、マレイン酸などの有機酸塩を挙げることができる。具体的には、クロコナゾール塩酸塩、ネチコナゾール塩酸塩、アモロルフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩等の塩酸付加塩;イソコナゾール硝酸塩、イコナゾール硝酸塩、エコナゾール硝酸塩、オキシコナゾール硝酸塩、スルコナゾール硝酸塩、ミコナゾール硝酸塩等の硝酸付加塩などを挙げることができる。
本発明の組成物において、好ましい抗真菌成分としては、イミダゾール系化合物、モルホリン系化合物、アリルアミン系化合物、ベンジルアミン系化合物、及びこれらの酸付加塩が挙げられる。これらの抗真菌成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物において、抗真菌成分の含有量は、真菌の生育を阻止又は致死する効果がある量であれば、特に限定されないが、組成物100質量%中、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。また、本発明の組成物を液状組成物とした場合に乾燥状態での粒子径をより小さくすることができる点及びQOLの点から、0.1〜0.5質量%であることが特に好ましい。
本発明の組成物は、履物の内側に使用されるものであればよく、その剤形は特に限定されないが、例えば、抗真菌成分の結晶を粉砕し、粉末状の形態に調製したもの(散剤など)や基剤中に抗真菌成分を溶解又は混合分散させて、液状、乳液状などの形態に調製したもの(噴霧剤、ローション剤など)などを挙げることができる。
本発明の組成物は、特に噴霧可能な液状組成物とすることで、履物の内側に一様に塗布することができ、かつ乾燥状態(乾燥後)において結晶粒子径を容易に50μm以下にすることができるため好ましい。この態様によれば、履物内部全体に小粒子径の抗真菌成分を存在させやすく、本発明の効果が顕著に得られる。また、噴霧の際の液滴粒子径を100〜5500μmとすることが、乾燥状態における結晶粒子径を小さくするうえで好ましい。
本発明の組成物のうち噴霧可能な液状組成物は、調製した液状組成物を、例えば、エアゾール缶、ポンプスプレー、トリガースプレー(引き金式の噴霧器)などに充填することで調製され、履物内側(内底、インソール(中敷き)、アッパー(甲皮)など)に噴霧して使用され得る。エアゾール剤としては、溶剤などの基剤に抗真菌成分、必要に応じて添加される添加剤、他の有効成分を均一に混合し、得られた混合物をバルブなどを備えた容器(エアゾール缶)に液化可能な炭化水素(ジメチルエーテル、液化石油ガス、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどやその混合物)などの噴射剤とともに充填されるものが挙げられる。
本発明の組成物を適用できる履物としては特に限定されず、例えば、靴、ブーツ、スリッパ、サンダル、草履などが挙げられる。また、履物の素材についても特に限定されず、天然皮革、人工皮革、合成皮革、天然繊維、合成繊維など、いかなる素材に対しても使用することができる。
本発明の組成物では、治療効果及び予防効果の観点から、乾燥状態における抗真菌成分の結晶粒子径は50μm以下であるが、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下である。また、乾燥状態における抗真菌成分の粒子径の下限は特に限定されないが、例えば0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上である。この範囲内であれば、抗真菌成分を履物の内側全体に存在させることができるとともに、該履物内で一部溶解することができるとともに、また粒子状のままで水分や汗などとともに靴下を通りぬけて患部に付着することができる。
本発明において、乾燥状態における抗真菌成分の結晶粒子径は、顕微鏡(株式会社キーエンス製「デジタルマイクロスコープ VHX−1000」)で観察することにより、測定できる。
また、本発明の組成物では、乾燥状態における結晶粒子径50μm以下の抗真菌成分が、散布面又は塗布面に、ある程度の割合で存在していればよく、具体的には、散布面又は塗布面において50%以上存在していればよく、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、とくに好ましくは90%以上である。
ここで、乾燥状態における抗真菌成分の結晶粒子径を50μm以下に調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)抗真菌成分の結晶を機械的に粉砕して調製する方法、(2)抗真菌成分の種類に応じて、溶剤やpH調整剤の種類や配合量を適宜調整し、溶媒の揮発速度を制御することで塗布又は噴霧後の乾燥状態での結晶粒子径を調整する方法、(3)溶剤に溶解させて再結晶化した結晶を収集する方法などが挙げられる。
本発明の組成物として液状組成物を調製する場合、例えば、溶剤として低級アルコール(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)や水などを使用し、それらの配合比を規定して、溶剤の揮発速度を制御することで、乾燥状態における結晶粒子径を調整し得る。
また、具体的に、ミコナゾール硝酸塩などの硝酸付加塩を抗真菌成分として使用する場合、低級アルコールの濃度や水との配合比などについては、以下のとおりにすることができる。
本発明の組成物における低級アルコールの含有量は、組成物100質量%中、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。また、低級アルコール及び水の配合比(低級アルコール/水(質量比))は、好ましくは5/95〜70/30、より好ましくは40/60〜70/30、更に好ましくは40/60〜60/40である。さらに、抗真菌成分が溶剤に溶解しにくい場合には、pH調整剤を含有することが好ましい。この場合、本発明の組成物のpHが7以上になる範囲に調整することが好ましく、pH7〜10であることがより好ましく、pH7〜9であることがさらに好ましい。pHを調整することで、抗真菌成分の溶解状態を調整でき、乾燥状態における結晶粒子径をより小さくすることができる。このように、溶剤として低級アルコールや水を使用し、必要に応じてpH調整剤を配合することによって、抗真菌成分の結晶粒子径を小さくすることができ、所望の効果が良好に得られる。
また、本発明において硝酸付加塩以外の抗真菌成分を使用する場合には、その溶解性や溶剤の揮発性に応じて、溶剤の配合比を調整したり、pH調整剤を配合することにより、乾燥状態における結晶粒子径を所望の範囲に調整することができる。
本発明において使用可能なpH調整剤としては、特に限定されないが、クエン酸、乳酸、塩酸、ホウ酸などの酸、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン等のアルカリなどが挙げられる。
本発明の組成物は、前記効果を損なわない範囲で、他の所望な薬効成分を含んでもよい。これらの薬効成分としては、例えば、塩酸クロルヘキシン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、液状フェノールなどの殺菌、消毒剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;クロタミトンなどの鎮痒剤;サルチル酸などの角質軟化剤;リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン等の局所麻酔剤;グリチルレチン酸、β−グリチルレチン酸などの抗炎症剤;l−メントール等の局所刺激剤;酸化亜鉛などの収斂保護剤;グリセリン、ラノリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウムなどの保湿剤;副腎皮質ホルモン、サルファ剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗ウイルス剤、組織修復促進剤、免疫抑制剤、清涼化剤、ビタミン類、止血剤などを挙げることができる。
本発明の組成物において使用される基剤としては、上記の低級アルコール及び水以外にも、本発明で用いる抗真菌成分を基剤中に均一に融解、配合、分散できるもので、薬学的に許容されるものであり、噴霧剤、ローション剤などの基剤として従来公知のものを使用することもできる。例えば、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドンなどのポリマー;ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、アボカド油、椿油、落花生油、牛脂、豚脂、ラノリン等、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの油脂類、白色ワセリン、流動パラフィン、シリコーン油、揮発性シリコーン油、ペトロラタムなどの鉱油などの油類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸;乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類;セチルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール;モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテルなどの非イオン性界面活性剤、セチル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤などの界面活性剤などを挙げることができる。
また、本発明の組成物には、アスコルビン酸、トコフェロール、クエン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤;デヒドロ酢酸、サリチル酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チモールなどの防腐剤;ポリエチレングリコール、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシプロピルセルロースなどの増粘剤;カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機充填剤などを適宜添加してもよい。
本発明の組成物は、界面活性剤を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、界面活性剤の含有量は、組成物100質量%中、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、含有しないことが特に好ましい。これにより、乾燥状態において、結晶の粒子径が大きくなることなく、使用感にも優れるより小さい結晶を生成できる。
また、本発明の組成物は、油類を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、油類の含有量は、組成物100質量%中、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、含有しないことが特に好ましい。これにより、乾燥状態において、結晶の粒子径が大きくなることなく、使用感にも優れるより小さい結晶を生成できる。
本発明の組成物は、その形態に応じて汎用の外用製剤について慣用的に用いられる製造方法に従って調製することができる。
履物への組成物の使用量(散布量、塗布量)は、履物の大きさや状態、患部の症状の程度などによって異なるが、通常、1回あたり抗真菌成分の量として0.0003g〜0.1gを、1日あたり複数回使用することが好ましい。また、履物への噴霧とともに、足の患部に直接塗布してもよく、この場合、更に顕著な治療効果を得ることができる。足の患部に直接塗布する場合、1日あたり0.01〜10gを1回若しくは複数回にわけて塗布すればよい。
以下に実施例、比較例及び処方例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例及び比較例 履物用抗真菌組成物の調製
表1に示す組成にしたがって、実施例1〜12及び比較例1〜8の履物用抗真菌組成物を調製した。また、表2に示す組成にしたがって、実施例13〜21及び比較例9〜13の履物用抗真菌組成物を調製した。
なお、使用したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、花王株式会社製「エマノーンCH−40」(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40E.O.)である。
試験例1(履物用抗真菌組成物の結晶粒子径の計測)
表1に記載の組成物をトリガースプレーに充填し、ガラス板上に均一に噴霧した。組成物における溶剤が揮発した後(乾燥後)、抗真菌成分の状態を顕微鏡(株式会社キーエンス製「デジタルマイクロスコープ VHX−1000」)で観察し、乾燥状態における抗真菌成分の結晶粒子径を以下の判定基準で評価した。
○:結晶粒子径が50μm以下である
×:結晶粒子径が50μmを超えている
なお、「○」は、履物内側に噴霧し、溶剤揮発後(乾燥後)において、抗真菌成分が50μm以下の状態で均一に履物内に存在していることを示す。
実施例7及び比較例3の組成物について、観察された乾燥状態における写真を図1及び2に示した。
また、組成物のpHは、以下の判定基準で示した。
○:pH7以上
×:pH7未満
エタノール濃度及び水との配合比を調整することで、ミコナゾール硝酸塩(抗真菌成分)の結晶粒子径を調整でき、該濃度を5〜70質量%に調整した場合、結晶粒子径が50μm以下となった。詳細には、エタノール濃度を5〜70質量%、40〜70質量%、40〜60質量%の順にしたがい結晶粒子径が小さくなる傾向があった。また、pH調整剤などにより溶解性を制御することで、より小さい粒子径に調整できることが分かった。
さらに図1と2の写真を比べると、実施例7の組成物では乾燥後に50μm以下の小さい粒子径の結晶が、塗布面積の50%以上に均一に存在しているのに対し、比較例3では実施例に比べて大きな粒子径(塊状)となっており、また50μm以下の粒子径の結晶も少なかった。
試験例2(履物用抗真菌組成物の水虫治療効果)
被験者は、ミコナゾール硝酸塩を1.0質量%含有する水虫治療剤を使用し、治療していたが改善することなく中止した人、又は治療して一度改善したが再び悪化した人(計12名)を対象とした。
被験者は、靴下(綿とポリエステルの混合)を履いて普段通りの生活を行いながら、トリガースプレーに充填した表2の組成物を、帰宅して脱いだ靴に毎日噴霧し(噴霧薬液量:約1.5g/回)、噴霧開始から2週間後、4週間後、8週間後の水虫治療効果を「水虫の自覚症状」及び「水虫改善度(臨床診断)」により判断した。
また、表2において、実施例の組成物は乾燥後の抗真菌成分の結晶粒子径が50μm以下のものであり、比較例の組成物は該粒子径が50μmを超えるものであった。
(水虫の自覚症状)
VAS(Visual Analogue Scale)法に基づいて、被験者の自覚症状を評価した。
具体的には、水虫の自覚症状について、試験開始時の症状を「10点」、症状を全く感じない場合を「1点」とするスケールを作成し、それぞれ被験者に自覚症状と合致する箇所に印をつけてもらった。数字が小さいほど改善されていることを示す。8週間後の平均点数を以下の判定基準で評価した。
○:平均点数5点未満
×:平均点数5点以上
(水虫改善度(臨床診断))
被験者の水虫症状及び臨床的治療効果として、水虫改善度(臨床判断)を総合的に判断し、医師自身が著効、有効、やや有効、無効、判定不能の5段階で診断した。診断結果をもとに以下の判定基準で評価した。
○:「著効及び有効」の合計が70%以上
×:「著効及び有効」の合計が70%未満
(QOL(使い勝手))
靴を履いたときの不快感など、QOL(使い勝手)を患者自身が評価し、以下の判定基準で評価した。
○:「靴を履いたときの不快感などはない」との評価者数が70%以上
×:「靴を履いたときの不快感などはない」との評価者数が70%未満
抗真菌成分としてミコナゾール硝酸塩を用い、さらにエタノール、水及びトリエタノールアミンを配合し、乾燥後の抗真菌成分の結晶粒子径を50μm以下に調整した実施例の組成物では、水虫の自覚症状が改善された。また、臨床診断でも高い治療効果がみられた。さらに、エタノール濃度を40〜70質量%、さらには40〜60質量%とすることで、その自覚症状がより早い段階から改善され、QOLの観点も考慮すると、エタノール濃度が40〜60質量%の組成物が望ましいということが明らかとなった。また、界面活性剤や油類を含有していない組成物においては、さらに使用感がよく、かつ自覚症状の改善効果も優れていた。
一方、結晶粒子径が50μmを超える比較例の組成物を用いた場合の治療効果は、実施例に比べて大きく劣っていた。また、使い勝手も悪いものであった。
処方例(液剤及びエアゾール剤)
表3に示す処方に従い、常法により、履物用抗真菌組成物(液剤)を調製した。また、調製した組成物と噴射剤(LPG)を適宜組み合わせ容器(エアゾール缶)に充填した(エアゾール剤)。これらの液剤及びエアゾール剤についても、乾燥状態における抗真菌成分の粒子径が50μm以下であり、水虫改善効果を有した。

Claims (5)

  1. 抗真菌成分を含有する履物用抗真菌組成物であって、
    履物の内側に散布または塗布により使用され、かつ乾燥状態における前記抗真菌成分の粒子径が50μm以下であることを特徴とする履物用抗真菌組成物。
  2. 低級アルコールの含有量が5〜70質量%である請求項1記載の履物用抗真菌組成物。
  3. 前記抗真菌成分の含有量が0.1〜1.0質量%である請求項1又は2記載の履物用抗真菌組成物。
  4. 前記抗真菌成分が塩である請求項1〜3のいずれかに記載の履物用抗真菌組成物。
  5. 更にpH調整剤及び水を含有し、界面活性剤及び油類を含有しない請求項1〜4のいずれかに記載の履物用抗真菌組成物。
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