JP5647066B2 - リチウム二次電池及びその正極活物質粒子 - Google Patents

リチウム二次電池及びその正極活物質粒子 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)、及びその正極活物質の粒子に関する。
リチウム二次電池の正極活物質材料として、スピネル型結晶構造を有するものが知られている(例えば、特開平11−171551号公報、特開2006−66170号公報、特開2007−294119号公報、特開2008−41577号公報、国際公開2010/122819A1、等参照。)。
スピネル型結晶構造を有する正極活物質材料(典型的にはスピネル型マンガン酸リチウム)は、構造的にも熱的にも安定であり、高い安全性を有するという特徴を備えている。また、スピネル型マンガン酸リチウム正極活物質は、埋蔵量が多いため、コバルト系酸化物やニッケル系酸化物からなる正極活物質に比べ、材料コストが低いという特徴を備えている。
従来のスピネル型結晶構造を有する正極活物質粒子においては、充放電レートを上げた際の入出力特性が十分でないという課題がある。かかる課題は、以下の理由により生じるものと考えられる。
充電により粒子からリチウムイオンが放出される際に、結晶格子が収縮する。ここで、ハイレート(例えば10Cや20C)充電時においては、粒子表面及びその近傍にてリチウムイオンが急激に放出されるため、粒子表面及びその近傍にて結晶格子が収縮した部分が生じる。かかる部分によって、粒子内部からのリチウムイオンの放出が妨げられることで、粒子内部からリチウムイオンを効率よく取り出すことができなくなる。
一方、満充電の状態(粒子からリチウムイオンが可能な限り最大限放出された状態)から、放電に伴って粒子にリチウムイオンが浸入する際に、結晶格子内にリチウムイオンが挿入されることで結晶格子が膨張する。ここで、低レート放電時においては、結晶格子が比較的大きく収縮していても、粒子全体にリチウムイオンが緩やかに浸入することができる。これに対し、ハイレート(例えば10Cや20C)放電時においては、粒子表面にて放電開始直後に結晶格子が集中的にリチウムイオンで満たされて膨張した状態となる一方で、粒子表面よりも内側の部分においては結晶格子が大きく収縮した状態となっているため、かかる内側の部分にリチウムイオンが浸入し難くなる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、ハイレート時の入出力特性が改善された、スピネル型結晶構造を有する正極活物質粒子を提供することにある。また、本発明の目的は、かかる正極活物質粒子を含む正極を備えることで、ハイレート時の入出力特性が改善された、リチウム二次電池を提供することにある。
本発明のリチウム二次電池は、多数の正極活物質粒子を含む正極と、負極活物質を含む負極と、を備えている。本発明の前記正極活物質粒子は、スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物を主成分(主相)とするものである。
スピネル型結晶構造を有する前記リチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)は、典型的には、スピネル型マンガン酸リチウムである。但し、「スピネル型マンガン酸リチウム」は、LiMnで表されるものに限定されない。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されスピネル構造を有するものに好適に適用される。
LiMMn2−x ・・・(1)
上記一般式(1)中、Mは、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo、及びWからなる群より選択される、少なくとも一種の元素(置換元素)を示す。なお、置換元素Mには、上述の少なくとも一種の元素と共に、Ti、Zr、Ceがさらに含まれていてもよい。
上記一般式(1)中、x(0〜0.55)は、置換元素Mの置換数を示す。Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+2価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、Sn、Zr、Ceは+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、Mo、Wは+6価のイオンとなり、いずれの元素も、理論上はLiMn中に固溶するものである。
例えば、MがLiであり、xが0.1である場合、上記一般式(1)は下記化学式(2)のようになる。また、MがLi及びAl(M1=Li、M2=Al)であり、xがそれぞれ0.08及び0.09(x1[Li]=0.08、x2[Al]=0.09)である場合、上記一般式(1)は下記化学式(3)のようになる。
Li1.1Mn1.9 ・・・(2)
Li1.08Al0.09Mn1.83 ・・・(3)
なお、Co、Snについては+2価の場合、Fe、Sb及びTiについては+3価の場合、Mnについては+3価や+4価の場合、Crについては+4価や+6価の場合もあり得る。したがって、置換元素Mは、混合原子価を有する状態で存在する場合がある。また、酸素原子組成については、必ずしも4であることを必要とせず、結晶構造が維持できる範囲内であれば、4に対して過不足があっても構わない。
また、全Mnの20〜55mol%が、Ni、Co、Fe、Cu、Cr等で置換されることで、高温サイクル特性に優れ、且つレート特性にも優れたリチウム二次電池を製造可能な、正極活物質が得られる。さらに、この場合、充放電電位を高くしてエネルギー密度を増加させることができるため、いわゆる5V級の起電力を有するリチウム二次電池を製造することができる。
したがって、本発明の対象となるスピネル型マンガン酸リチウムは、下記一般式(4)で表されスピネル構造を有するものということができる。
Li1+aMn2−a−y4−σ ・・・(4)
(式中、0≦y≦0.5、0≦a≦0.3、0≦σ≦0.05)
本発明の特徴は、前記正極活物質粒子が、以下の構造を有していることにある:スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子であって実質的に単独で存在する単一粒子内に、微粒子が分散されている。なお、前記微粒子は、前記正極活物質粒子を製造する際の原料中に予め添加されるものであってもよいし、焼成時や焼成後の降温時に析出するものであってもよい。
かかる構成においては、ハイレート充電時に粒子表面及びその近傍の部分にてリチウムイオンが急激に放出されても、当該部分における結晶格子の収縮が、前記微粒子の存在によって抑制される。これにより、当該部分よりも内側からのリチウムイオンの放出が、良好に行われる。また、充電後の結晶格子の収縮が前記微粒子の存在によって可及的に抑制されているため、ハイレート放電時に粒子表面にて充電開始直後に結晶格子が集中的にリチウムイオンで満たされて膨張した状態となっても、粒子表面よりも内側の部分にリチウムイオンがスムーズに浸入することが可能になる。したがって、かかる構成によれば、ハイレート時の入出力特性が従来よりも改善される。
ところで、スピネル型結晶構造を有する正極活物質(マンガン酸リチウム正極活物質)には、高温におけるサイクル特性の低下や、高温での保存特性の劣化など、耐久性に課題がある。この課題を解決するために、前記正極活物質粒子を大粒径化することが有効である。しかしながら、前記正極活物質粒子を大粒径化すると、上述のようなハイレート時の問題が生じる。この点、本発明によれば、前記正極活物質粒子を大粒径化(例えば平均粒径を5〜20μm以上に)した場合であっても、ハイレート時の良好な入出力特性が得られる。
本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図1に示されている正極の拡大断面図である。 図2に示されている正極活物質粒子の拡大断面図である。 図2に示されている正極活物質粒子の模式図である。 図2に示されている正極活物質粒子の模式図である。 図2に示されている正極活物質粒子の模式図である。 図2に示されている正極活物質粒子の模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
<リチウム二次電池の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池10の概略構成を模式的に示す断面図である。図1を参照すると、本実施形態のリチウム二次電池10は、電池ケース11と、セパレータ12と、電解質13と、負極14と、正極15と、を備えている。
セパレータ12は、電池ケース11内を、負極14の側と正極15の側とに二分するように設けられている。すなわち、電池ケース11内には、負極14及び正極15が、セパレータ12を隔てて対向するように設けられている。また、電池ケース11内には、電解質13が収容されている。
電解質13としては、例えば、電気的特性や取り扱い易さの点から、液体電解質が好適に用いられ得る。かかる液体電解質としては、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させることによって調製された、非水溶媒系のものが好適に用いられる。もっとも、ポリマー電解質、ゲル電解質、有機固体電解質、無機固体電解質も、電解質13として問題なく使用することができる。
非水系溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
上述の非水系溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等が用いられ得る。かかる電解質塩としては、1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、且つイオン分離しやすいために、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液としての電解質13中における電解質塩の濃度は、特に限定はないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが好ましい。
負極14に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できるものであればよい。よって、例えば、炭素質材料(黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭等)が、負極活物質として用いられ得る。また、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物等と置き換えられ得る。さらに、金属リチウムや、金属リチウムと他の元素(ケイ素,スズ,インジウム等)とを含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等の、リチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いられ得る。
負極活物質として黒鉛を用いた場合、満充電時の電圧を、リチウム基準で約0.1Vとみなすことができる。このため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極15の電位を便宜上計算することができる。よって、この場合、正極15の充電電位が制御しやすく、好適である。
<正極の構成>
図2は、図1に示されている正極15の拡大断面図である。図2を参照すると、正極15は、正極集電体15aと、正極活物質層15bと、を備えている。正極活物質層15bは、結着材15b1中に、正極活物質粒子15b2と、カーボン等の導電助剤と、を分散したものであって、正極集電体15aと接合されている。
本発明に係る正極活物質粒子15b2は、スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物焼結体(具体的には下記一般式で表されるスピネル型マンガン酸リチウム)であって、平均粒径5〜20μm(平均粒径は、正極活物質粒子15b2を導電性樹脂と混合して硬化させたものの断面の走査型電子顕微鏡写真を画像処理することによって得られたものである。)に形成されている。
Li1+aMn2−a−y4−σ
(式中、0≦y≦0.5、0≦a≦0.3、0≦σ≦0.05であり、Mは、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo、及びWからなる群より選択される、少なくとも一種の元素(置換元素)を示す。なお、置換元素Mには、上述の少なくとも一種の元素と共に、Ti、Zr、Ceがさらに含まれていてもよい。)
図3は、図2に示されている正極活物質粒子15b2の拡大断面図である。図3に示されているように、正極活物質粒子15b2は、スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子であって実質的に単独で存在する単一粒子PP内に、微粒子FPが分散されている、という構成を有している(なお、単一粒子PPにおける微粒子FP以外の部分は、母材あるいは主相とも称され得る)。
図4A〜図4Dは、図1Bに示されている正極活物質粒子15b2の模式図である。以下、図4A〜図4Dを用いて、「単一粒子」の意義について詳細に説明する。
図4Aに示されているように、正極活物質粒子15b2は、典型的には、他のマンガン酸リチウム粒子との凝集体を形成せず単独で存在する「単一粒子PP」であるマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1を含んでいる。なお、図4Aに示されているように、「単一粒子PP」であるマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1には、マンガン酸リチウムとは異なる材料からなる付着物A1,A2,A3…が付着していてもよい。
但し、図4Bに示されているように、マンガン酸リチウム結晶微粒子S1,S2(これらは単結晶である場合と多結晶である場合とがあり得る)…がマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1に付着したものであって、付着量が僅かである場合や、図4Cに示されているように、マンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1同士が僅かな付着部を介して結合されている場合は、レート特性に対する悪影響がほとんどない。これに対し、図4Dに示されているように、マンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1同士の付着部が大きい場合は、付着部(粒界部)におけるリチウムイオンの拡散が阻害されることで、レート特性が低下する。
そこで、マンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1が「単一粒子」であるか否かは、以下のようにして決定される:正極活物質粒子15b2を構成する或る1つのマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1の(平面視あるいは所定断面による断面視における)周回の長さに対して、他の粒子との付着部ADの長さ(複数ある場合はその合計)が1/5以下である場合、当該マンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1は「単一粒子PP」である。かかる基準からすると、図4A〜図4Cに示されているマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1は「単一粒子」であり、図4Bにおけるマンガン酸リチウム結晶微粒子S1,S2は「単一粒子PP」とはなり得ず、図4Dに示されているマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1は「単一粒子PP」ではないことになる。
正極活物質層15bに含まれるすべての正極活物質粒子15b2においてマンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1が「単一粒子PP」であることが最も好ましいが、これは実際的ではない場合がある。そこで、正極活物質粒子15b2における、マンガン酸リチウム単結晶一次粒子P1が「単一粒子PP」である割合が、70面積%以上であることが好適である。すなわち、本実施形態においては、正極活物質層15b内の多数の正極活物質粒子15b2には、粒径が5〜20μmの単一粒子が70面積%以上含まれている。
ここで、「面積%」は、多数の粒子中の特定のものの割合を、所定平面における専有面積を基準として百分率で表したものである。すなわち、「面積%」は、粒径の計測が可能な全ての粒子が占有する面積をAとし、特定の(着目する)特性の粒子が占有する面積をaとした場合に、以下の式により算出される。なお、これらの面積は、例えば、電子顕微鏡等による撮影画像を市販の画像処理ソフトウェアで処理することによって取得可能である。
100・a/A
<製造方法の概要>
以下、図3に示されている正極活物質粒子15b2の製造方法の概要について説明する。
まず、少なくともリチウム化合物及びマンガン化合物と、微粒子FP(あるいは微粒子FPを構成する物質)と、を含む混合粉末を調製する。なお、微粒子FPは、少なくともリチウム化合物及びマンガン化合物を含む主原料粉末の混合の際にこれらと(ほぼ)同時に添加されてもよいし、主原料粉末を一旦所定の組成比で混合した後に添加されてもよい。
なお、マンガンをリチウム以外の置換元素で置換する場合には、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、セリウム化合物等が、上述の混合粉末中に含有される。
リチウム化合物としては、例えば、LiCO、LiNO、LiOH、Li、LiO、CHCOOLi、Li(OCH)、Li(OC)、Li(OC)、Li(OC)、Li(C1119)、Li、LiCl、等が用いられ得る。マンガン化合物としては、MnO、MnO、Mn、Mn、MnCO、MnOOH、Mn(OCH、Mn(OC、Mn(OC、MnC、Mn(CHCOO)、MnCl、Mn(NO、等が用いられ得る。
アルミニウム化合物としては、例えば、α−Al、γ−Al、AlOOH、Al(OH)、Al(OCH、Al(OC、Al(OC、Al(OC、AlOCl、Al(NO、等が用いられ得る。また、マグネシウム化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)、MgCO、Mg(OCH、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC、Mg(C1119、MgCl、Mg(C、Mg(NO、MgC、等が用いられ得る。ニッケル化合物としては、例えば、NiO、Ni(OH)、NiNO、Ni(C、NiC、NiCO、NiCl、等が用いられ得る。
コバルト化合物としては、例えば、Co、CoO、Co(OH)、CoCO、CoC、CoCl、Co(NO、Co(OC、等が用いられ得る。チタン化合物としては、例えば、TiO、TiO、Ti、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、TiCl、等が用いられ得る。ジルコニウム化合物としては、例えば、ZrO、Zr(OH)、ZrO(NO、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC、ZrOCl、等が用いられ得る。セリウム化合物としては、例えば、CeO、Ce(OH)、Ce(NO、等が用いられ得る。
なお、リチウム化合物及びマンガン化合物として、リチウムとマンガンとをともに含む化合物(例えば、LiMn)が用いられ得る。また、マンガン化合物及びビスマス化合物として、マンガンとビスマスとをともに含む化合物(例えば、BiMn10)が用いられ得る。
上述の混合粉末には、必要に応じて、粒成長促進助剤が添加されてもよい。粒成長促進助剤としては、NaCl、KCl等のフラックス助剤や、Bi、PbO、Sb、B、CuO、ガラス等の低融点助剤等が用いられ得る。これらの中でも、Biが好ましい。さらに、上述の混合粉末には、粒成長を促進させるために、スピネル型マンガン酸リチウムからなる種結晶が添加されてもよい。この種結晶は、粒成長の際の核として機能するものである。粒成長促進助剤は、種結晶とは別々に添加されてもよいし、種結晶に付着させた状態で添加されてもよいし、両者が併用されてもよい。
粒成長促進助剤としては、以下のものが用いられ得る:NaClO、Na、NaBO、NaCO、NaHCO、NaNO、NaOH、Na、NaOCH、NaOC、NaOC、NaOC、KCl、K、KCO、KNO、KOH、K、KOCH、KOC、KOC、KOC、K(C1119)、CaCl、CaCO、Ca(NO、Ca(OH)、CaC、Ca(CHCOO)・HO、Ca(OCH、Ca(OC、Ca(OC、Ca(OC、Bi、NaBiO、BiCl、BiOCl、Bi(NO、Bi(OH)、Bi(OC、Bi(OC)、Bi(OC11、Bi(C、Bi(C1119、PbO、PbCl、PbB、PbCO、Pb(NO、PbC、Pb(CHCOO)、Pb(OC、Pb(C1119、KMnO、NaMnO、Ca(MnO、BiMn10、低融点ガラス、等。
粒成長の核としての種結晶については、粒径は0.1〜10μm(好ましくは1〜6μm)であり、添加量は、焼成体を基準とした場合の個数密度として1×10〜1×1011個/cm(好ましくは1.5×10〜2.4×1010個/cm)であり、且つ25重量%以下であることが好適である。
種結晶の製造方法については、特段の限定はない。例えば、後述の分級工程によってふるい分けられた微粉が、好適に用いられ得る(この場合、当該微粉には、粒成長促進助剤が付着していることがある。)。
微粒子FPが正極活物質粒子15b2内に分散されることにより、正極活物質粒子15b2内からのリチウムイオン放出時の結晶格子の収縮が抑制され、以て結晶構造が安定化される。例えば、微粒子FPを構成する物質としては、アルミナ、ジルコニア、SiC、SiO、等の化学的に安定なものや、マンガンとスピネルを形成し降温時に析出するCu,Fe,Zn,Ti化合物等が用いられ得る。
なお、微粒子FPを構成する物質の熱膨張係数は、母材より小さくても大きくても、あるいはほぼ同じであっても、構造安定化の効果が生じる。微粒子FPを構成する物質の熱膨張係数が母材よりも小さい場合は、焼成後の降温により正極活物質粒子15b2内に引っ張り応力が生じるため、リチウムイオン放出時の結晶格子の収縮を抑制する効果が強く働く。一方、微粒子FPを構成する物質の熱膨張係数が母材よりも大きい場合は、焼成後の降温により正極活物質粒子15b2内に圧縮応力が生じるため、正極活物質粒子15b2内にナノ粒子である微粒子FPが入ることで充電時(リチウムイオン放出時)に母材と微粒子FPとの間に生じる引っ張り応力が緩和され、クラックの発生等が抑制される。また、微粒子FPとして、母材よりも熱膨張係数の大きなものと小さなものとが併用されてもよい。
微粒子FPについては、小さ過ぎると構造安定化の効果が十分に得られず、多すぎるとリチウムイオンの移動が阻害されることで電池容量が減少する。この点、微粒子FPの大きさとしては、母材の粒径に対して、粒径比で0.05〜20%が好ましく、0.1〜10%がさらに好ましい。析出させる微粒子FPの粒径は、添加する原料の粒径、焼成条件等で適宜変更することができる。また、正極活物質粒子15b2における微粒子FPの添加量(含有割合)は、0.01〜10vol%が好ましく、0.1〜3vol%がさらに好ましい。
上述の混合粉末は、必要に応じて粉砕してもよい。例えば、混合粉末の粒径は10μm以下であることが好ましい。このため、混合粉末の粒径が10μmより大きい場合は、乾式又は湿式の粉砕方法により、粒径が10μm以下になるように、上述の混合粉末を粉砕することが好ましい。粉砕方法は特に限定されないが、乳鉢、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル等が用いられ得る。
次に、上述の混合粉末を用いて、適宜の形状の成形体に成形する。成形方法については、特に限定はなく、例えば、従来周知の成形方法を用いることが可能である。
続いて、上述の成形体を、830〜1050℃で焼成(熱処理)する。これにより、成形体は、スピネル型マンガン酸リチウム(正極活物質)の焼成体となる。焼成温度が830℃未満であると、粒成長が不十分な場合がある。一方、焼成温度が1050℃を超える(例えば1100℃程度にまで達する)と、スピネル型マンガン酸リチウムが、酸素を放出することで、層状岩塩構造のマンガン酸リチウムと酸化マンガンとに分解する場合がある。
なお、焼成雰囲気は酸素雰囲気(酸素分圧の高い状態)であってもよい(この場合、酸素分圧は、例えば、焼成雰囲気の気圧の50%以上であることが好ましい。)。これにより、スピネル型マンガン酸リチウムの酸素放出が起こりにくくなり、以て上述のような分解や酸素欠損の発生が効果的に抑制される。また、焼成において、上述の粒成長促進助剤や種結晶が存在することで、焼成温度が比較的低温(例えば900℃程度)でも粒成長が促進され、以て結晶性が高められる等の効果が奏されると推察される。
焼成の際の昇温速度を適宜調節する(例えば50〜500℃/時)ことにより、焼成後の一次粒子の粒径を均一化することができる。また、低温度域で温度を保持し、その後焼成温度で焼成することにより、一次粒子を均一に粒成長させることができる。この場合、低温度域としては、例えば、焼成温度が900℃のとき、400〜800℃とすることができる。また、焼成温度よりも高い温度に保ち、結晶の核を形成させた後に焼成温度で焼成することによっても、一次粒子を均一に粒成長させることができる。この場合、焼成温度よりも高い温度としては、例えば、焼成温度が900℃のとき、1000℃等とすることができる。また、焼成時の条件を適宜設定すること、例えば、降温速度を適宜調節(例えば5〜500℃/時)することにより、粒内に析出する微粒子の粒径や分散状態を制御することができる。
焼成は2段階に分けて行うこともできる。例えば、酸化マンガン及びアルミナの混合粉末を成形して一旦焼成した後、リチウム化合物を添加して更に焼成することにより、マンガン酸リチウムを形成することができる。また、リチウム含有率が高いマンガン酸リチウム結晶を形成した後、酸化マンガンやアルミナを添加して更に焼成することにより、マンガン酸リチウムを形成することもできる。
続いて、得られた焼結体に対して、解砕及び/又は分級を行う。解砕は、湿式又は乾式の処理により、一次粒子を破壊しない一方で隣接する一次粒子同士の付着部(粒界部)にて劈開が生じる程度で行われる。解砕処理の方法としては、特に限定されないが、所定の開口径のメッシュやスクリーンに押し当てて解砕する方法や、乳鉢、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル等を用いる方法等が用いられ得る。分級処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、所定の開口径のメッシュで篩い分けする方法、水簸による方法、気流分級機、篩分級機、エルボージェット分級機等を用いる方法等が用いられ得る。
所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末は、上述の解砕及び/又は分級の条件を適宜設定することによって得ることが可能である。あるいは、所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末は、上述の解砕及び/又は分級によって得られた複数種類の粉末を混合することによっても得ることが可能である。すなわち、例えば、得られた焼結体に対する解砕及び/又は分級の条件が異なる複数種類の粉末を混合することで、所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末を得ることが可能である。
なお、得られた正極活物質粉末を上述の焼成温度よりも低い温度で再度熱処理することで、酸素欠損を修復するとともに、解砕時の結晶性の乱れを回復させることが可能である(但し、かかる再熱処理は、必須ではない。)。もっとも、解砕処理に先立つ焼成工程における焼成温度からの降温時に、所望の温度で一定時間保持する、もしくは降温速度を調整することにより、酸素欠損が修復されるため、これらは再熱処理としての効果がある。解砕処理後(又は分級処理後)に再熱処理をする場合、再熱処理した粉末を再び解砕・分級処理してもよい。この場合の、再度の解砕・分級処理には、前述した方法等を用いることができる。
<具体例>
以下、上述の製造方法の具体例、及びかかる具体例によって製造された粒子の評価結果について、詳細に説明する。
<<製造方法>>
(i)原料調製工程
焼成後の組成比がLi1.08Mn1.83Al0.09となるように、LiCO粉末(本荘ケミカル株式会社製、ファイングレード、平均粒径3μm)、MnO粉末(東ソー株式会社製、電解二酸化マンガン、FMグレード、平均粒径5μm、純度95%)、及びAl(OH)粉末(昭和電工株式会社製 製品型番「H−43M」、平均粒径0.8μm)を秤量するとともに、Bi粉末(平均粒径0.3μm、太陽鉱工株式会社製)をMnに対して0.5mol%となるように秤量し、さらにZrO(粒径0.5μm 東ソー株式会社製)を全体に対して3vol%となるように秤量した。これらの秤量物100部と、分散媒としての有機溶媒(トルエン及びイソプロピルアルコールを等量混合した混合液)100部とを、合成樹脂製の円筒型広口瓶に投入して、ボールミル(直径5mmのジルコニアボール)で20時間、湿式混合及び粉砕を行うことで、混合粉末を得た。
(ii)成形工程
この混合粉末を用いて2t/cmの圧力で圧粉成形することで、直径20mm×厚さ6mmの大きさの多数の圧粉成形体を得た。
(iii)焼成(熱処理)工程
ホットプレスを用いて、圧粉成形体を、大気雰囲気下において600℃で2時間保持した後に、10MPaで加圧しながら880℃で10時間焼成した。その後、ホットプレスの圧力を維持しながら500℃まで10℃/hで降温し、500℃以下となったところで圧力を開放して焼成体を放冷した。
(iv)解砕・分級工程
得られた焼成体を、アルミナ製の乳鉢にて解砕し、解砕後の粉末をエタノールに分散し、超音波洗浄機にて超音波処理(38kHz、5分)した。その後、分散した溶液を20μmのメッシュ及び5μmのメッシュに通し、5μmメッシュ上に残った粉末を回収することで、求める粒径の正極活物質粒子粉末(母材の組成:Li1.08Mn1.83Al0.09)を得た。
<<評価>>
(1)正極活物質粒子の粒子形態
得られた正極活物質粒子粉末を走査型電子顕微鏡(SEM:製品名「ULTRA55」、ZEISS社製)にて観察を行ったところ、単結晶一次粒子の粒径は12μm程度であった。また、得られた正極活物質粒子粉末中の各粒子が単一粒子であるか否かの識別は、画像処理ソフトウェア(Media Cybernetics社製 商品名「Image−Pro」)を使用して、以下のようにして行った:反射電子像から見積られる粒子の周回の長さに対して、付着部の長さ(付着部が複数ある場合は全付着部の長さの合計)が1/5以下である場合、その粒子は単一粒子とみなした。
そして、断面反射電子像中の粒子について、互いに直交する二つの径の平均値を粒径[μm]とした場合、粒径>0.5dとなる粒子が占有する全ての面積(B)と、粒径>0.5dとなる粒子のうち単一粒子が占有する面積(b)とを、画像処理ソフトウェア(Adobe社製 商品名「photoshop(登録商標)」)を使用して測定し、(b/B)×100の値を算出することで、粒径>0.5dとなる粒子における単一粒子の割合(面積%)を得た。この結果、単一粒子の割合が70%以上であることが確認された。
得られた正極活物質粒子粉末中の各粒子内に含有された微粒子の粒径は、以下のようにして求めたところ、50nmであった:得られた正極活物質粒子粉末をエポキシ系合成樹脂に埋めて硬化させた後、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工を用いて、炭素材料を構成する粒子の断面を切り出して、厚みが100nm〜200nm程度の範囲で均一な厚みの薄片試料を得た。走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いてこの薄片試料を観察することで、マンガン酸リチウム粒子内に分散した粒子の粒径を10個測定し、その平均値を微粒子の粒径とした。
得られた正極活物質粒子粉末中の各粒子内における微粒子の含有割合(vol%)は、以下のようにして求めたところ、2.2vol%であった:単結晶一次粒子が占有する面積(B)、及び微粒子が占有する面積(b)を、画像処理ソフトウェア(Adobe社製 商品名「photoshop(登録商標)」)を使用して測定し、(b/B)×100の値を算出した。5個の単結晶一次粒子についての算出値の平均値を、微粒子の含有割合とした。
(2)電池特性(ハイレート時の入出力特性)
正極活物質粉末試料、導電剤としてのアセチレンブラック、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、90:5:5:100の重量比でハイブリッドミキサーを用いて混合することで、正極ペーストを調製した。この正極ペーストを、正極集電体であるアルミニウム箔上に載せた後に150μmのギャップに調整したアプリケーターで塗膜化し、80℃で10時間乾燥した。乾燥後の正極ペーストとアルミニウム箔との積層体を、直径14mmで平面視略円形に打抜き、2t/cmでプレス成形することで、正極を作製した。
このようにして作製した正極、リチウム金属板からなる負極層とステンレス板からなる負極集電体とを積層してなる負極、及びリチウムイオン透過性を有するポリエチレンフィルムからなるセパレータを、正極におけるアルミニウム箔側を外側(セパレータと反対側)に向けつつ、正極−セパレータ−負極層−負極集電板の順に積層し、この積層体を電解液で満たすことでリチウム二次電池(コインセル)を作製した。なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。このようにして製造したリチウム二次電池(コインセル)を用いて、以下の要領で、電池特性(ハイレート時の入出力特性)の評価を行った。
試験温度を25℃とし、0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.3Vに維持する電流条件でその電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて0.1Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、合計2サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量の測定値を0.1Cレートの放電容量C(0.1C)とした。
次に、試験温度を25℃とし、10Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.3Vに維持する電流条件でその電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて10Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、合計2サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量の測定値を10Cレートの放電容量C(10C)とした。そして、(C(10C)/C(0.1C))×100の算出値を、ハイレート時の入出力特性(レート容量維持率)とした。得られたレート容量維持率は、92%であった。
(3)微粒子添加の有無についての評価
微粒子の種類及び添加の有無について表1のように変更したものを評価した結果を、表2に示す。表中、比較例1は、微粒子添加がないものであり、実施例1は、上記の具体例と同一のものである。表1及び2に示されているように、微粒子添加がない比較例1においてはレート容量維持率があまり良好ではないのに対し、微粒子(ナノ粒子)が単結晶一次粒子内に分散された実施例1〜4においては、良好なレート容量維持率が得られた。
Figure 0005647066
Figure 0005647066
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された構成に何ら限定されない。例えば、本発明は、液体型の電池構成に限定されない。すなわち、例えば、電解質としては、ゲルポリマー電解質が用いられ得る。
本発明は、上述の実施形態にて開示された製造方法に限定されない。例えば、焼成については、ホットプレスによる方法以外の方法が用いられ得る。具体的には、押出成形によりペレット状の成形体を得て、この成形体を乾燥させた後に加熱炉中にて焼成する方法も用いられ得る。
単結晶一次粒子の粒径は、焼成条件(焼成温度、昇温速度、保持温度、等)を適宜調整することで、任意に変更可能である。また、微粒子の含有割合や粒径も、焼成条件(焼成温度、昇温速度、降温速度、保持温度、圧力、等)、微粒子を構成する物質の添加量や粒径、種類等により、任意に変更可能である。また、正極活物質粒子の粒径は、レーザ回折法等によるものであってもよい。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。
10…リチウム二次電池 11…電池ケース
12…セパレータ 13…電解質 14…負極
15…正極 15a…正極集電体
15b…正極活物質層 15b1…結着材 15b2…正極活物質粒子
PP…単一粒子 FP…微粒子
P1…マンガン酸リチウム単結晶一次粒子
特開平11−171551号公報 特開2006−66170号公報 特開2007−294119号公報 特開2008−41577号公報 国際公開2010/122819A1

Claims (6)

  1. リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
    スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子であって、その粒子の周回の長さに対する他の粒子との付着部の長さの合計の比が1/5以下である単一粒子内に、微粒子が分散されている正極活物質粒子であり、
    前記単一粒子における前記微粒子以外の部分である母材の粒径に対する前記微粒子の大きさの比である粒径比が0.05〜20%であり、
    前記正極活物質粒子における前記微粒子の含有割合が0.01〜10vol%である、
    とを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
  2. 請求項1に記載の、リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
    前記リチウム複合酸化物は、少なくともリチウムとマンガンとを構成元素として含む酸化物であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の、リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
    平均粒径が5〜20μmであることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
  4. 多数の正極活物質粒子を含む、正極と、
    負極活物質を含む、負極と、
    を備えた、リチウム二次電池であって、
    前記正極活物質粒子は、
    スピネル型結晶構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子であって、その粒子の周回の長さに対する他の粒子との付着部の長さの合計の比が1/5以下である単一粒子内に、微粒子が分散されている正極活物質粒子であり、
    前記単一粒子における前記微粒子以外の部分である母材の粒径に対する前記微粒子の大きさの比である粒径比が0.05〜20%であり、
    前記正極活物質粒子における前記微粒子の含有割合が0.01〜10vol%である、
    とを特徴とする、リチウム二次電池。
  5. 請求項4に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記リチウム複合酸化物は、少なくともリチウムとマンガンとを構成元素として含む酸化物であることを特徴とする、リチウム二次電池。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の、リチウム二次電池であって、
    前記正極活物質粒子の平均粒径が5〜20μmであることを特徴とする、リチウム二次電池。
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