JP5646183B2 - 塗装面用つや出し剤 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の車体等の塗装面に対して使用する、非流動性のつや出し剤に関する。
自動車の車体等の塗装面は、走行時・停車時を問わず風雨や日光、砂埃に曝されるため、塗装をしたばかりの初期の光沢、艶を維持し続けることが困難である。美しい塗装面を回復維持するために、定期的な洗浄やつや出し剤(いわゆるワックス)の塗布が行われている。
塗装面用のつや出し剤(以後、「ワックス」という)は、目的によって次のようなタイプ(形状)のものが市販されている。
・固形タイプ
つや出し成分としてカルナバロウなどの油脂やフッ素樹脂などのポリマーを含む塗装面の保護を目的とするもので、主に撥水性を有する。
・半練りタイプ
固形タイプの成分に加え、塗装表面の洗浄目的で研磨剤などが配合され、つや出し・撥水の効果に加え、劣化したワックスや水垢の除去を目的とする。
・液状タイプ
液体のカーワックスで、つや出しと塗装面の保護を主目的にしたもの、研磨剤を含むものなど、様々な効果が付与されている。
・その他
クロスに予めワックス成分とクリーナーが配合され、該クロスで自動車の車体を拭き取ることで、汚れの除去とワックスがけができるもの、スプレーして水で洗い流すだけのものなどが提供されている。
ワックスに含まれるつや出し成分は疎水性の成分であり、これらを製造工程を経てワックス中に分離・凝集を生じたりせず均一に配合するために、石油系溶剤を使用する必要があった。この石油系溶剤は、ワックスがけの作業方法を誤って塗装面に残るとシミになったり、皮膚が敏感な作業者の手荒れの原因となることが指摘されている。また、石油系溶剤には特有の臭気があるため香料でのマスキングが必要であり、拭き取り作業を容易にするために配合されている無機又は有機の微粉体が自動車の車体の隙間やウインドウォッシャー孔に詰まり、美観を損ねるといった問題も指摘されている(特許文献1)。更には、石油系溶剤は環境と人体への影響が懸念されることから、その使用量の低減が求められ始めている。
一般的なワックスの使用方法は、予め塗装面を水等で洗浄・乾燥させて後に、ウレタンのスポンジでワックスを塗装面に薄く均一になるように塗り延ばし、乾燥させてからウエスで拭き取る操作を行う。ワックスを塗り延ばす際に、使用するワックスが固形タイプのものだと硬くてスポンジでは取りにくく、均一に塗り延ばすことも困難である。その点、液状タイプのワックスは塗り延ばしが容易であるが、スポンジに吸収され頻繁に付け増しが必要となったり、液だれや周囲へ飛び散るといった問題があった。作業性の観点からは、半練り状が両方の欠点を補っていて使用しやすい。しかし、半練り状を含むワックスは、石油系溶媒又は水分が完全に乾燥してから拭き取らなければならないため、一連の操作に時間がかかっていた。ワックス成分やクリーナーが配合されたクロスや、スプレーして水で洗い流すタイプのものでは、洗浄力の不足や深みのある艶が得られないなど、他のタイプのワックスに比べ十分な効果が得られないのが実情であった。
上述のような使用感(塗装面へ塗りつける作業、拭き取る作業)の向上や、石油系成分を含まないワックスの検討が続けられている。具体的には、有効成分として水溶性高分子、ワックス類及びシリコーン類を水性エマルジョンとして含有することを特徴とする塗装面艶出し剤(特許文献1)、アミノ変性ジメチルポリシロキサンとアルコール類と、水とを含有する自動車用艶出し組成物(特許文献2)、形状保持剤としてポリアクリル酸及びつや出し剤を含有することを特徴とするジェル状の塗装面の撥水性つや出し剤(特許文献3)、不飽和オレフィンおよび不飽和カルボン酸を共重合成分として含む化合物Xの存在下、天然ワックス、合成ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を水中に乳化してなることを特徴とする水系カーワックス用撥水剤組成物(特許文献4)が挙げられる。
特開平9−279099号公報 特開2009−40936号公報 特開2000−26804号公報 特開2004−83639号公報
上述のようなワックスに関する技術が開示されているが、環境や使用者への負担については、まだ改善の余地が残されていた。
本願発明者は、上記課題を解決すべく検討を行った結果、ワックスに含まれる成分を均一に分散させ、塗装面に塗りつけやすく拭き取りも容易になるように、ワックスを構成する成分として微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースを使用することにより、石油系溶剤を使用しなくても半練りワックスに類似した形状となり、使用感も向上したワックスを得ることができるとの知見を得るに至り、本願発明を完成した。即ち、本願発明はワックスの構成成分として微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースを使用することを特徴とする、塗装面に対して使用する非流動性のつや出し剤に関する。
本願発明にかかるつや出し剤であれば、石油系溶剤を使用しない水系ワックスとすることが可能となり、それでいて既存のワックスと同等の使用感を得ることができる。また生物由来で生分解性を有する微結晶セルロースや発酵セルロースを使用していることから、使用者や環境に優しいワックスとすることができる。
本願発明のつや出し剤は、構成成分として微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースを含有し、非流動性の形状に調製することを特徴とする。
つや出し剤を非流動性とすることで、固形タイプよりもスポンジへののり、塗りつけや塗り延ばしが容易になるが、液状タイプのようにスポンジに吸い込まれることもなく、乾燥も早くできるため、作業時間の短縮を図ることが可能となる。
ここでいう非流動性とは、JIS K 2396に規定される自動車用艶出しワックスの種類で第3種(液状を指す)に該当しないものを指す。すなわちJIS K 2396に記載のようにカップに試料(ワックス)を充填し、カップ底部の孔から試料が時間に関係なく全量流出しないことを意味する。
流れ出る場合は流動性が高いため、本願発明が目的とする使用感を得ることができない。当該形状のつや出し剤を得るためには、次に説明する微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースの添加量の範囲に従うことで得られる。
本願発明で使用する微結晶セルロースは、微結晶セルロース単独のもの、好ましくは微結晶セルロースと分散剤や崩壊剤を特定の割合で含有する複合体とした微結晶セルロース製剤を好適に使用することが出来る。微結晶セルロース製剤の製法としては、例えば、パルプを磨砕して得られた微細セルロースを分散剤や崩壊剤と均一に混合して均質なスラリーとしてこれを乾燥することにより得られる方法を挙げることができるが、具体的には、特公昭40−14174号公報、特公昭62−43661号公報、特開平6−335365号公報などに記載のものが使用できる。分散剤や崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ガラクトマンナン(グァーガム、酵素分解グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸及びその塩、カードラン、ガティガム、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ゼラチン、トラガントガム、プルランなどを使用することが出来る。中でも、好ましいのは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラヤガム、キサンタンガムである。本発明で使用する微結晶セルロース製剤は商業上入手可能であり、例えば、旭化成工業株式会社製のセオラス製品や、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のビストップ[登録商標]D−4091などを挙げることができる。
本発明にかかるつや出し剤には、上記微結晶セルロースがつや出し剤の全量100質量部に対し3〜20質量部含まれるように添加すればよい。更には微結晶セルロースを含む製剤を使用してもよく、その場合の添加量は製剤中に含まれる微結晶セルロースの含量に応じて適宜調整すればよいが、一例をあげると微結晶セルロースを75質量部含有する製剤を使用する場合であれば、全量100質量部に対し4〜25質量部配合すればよい。配合量が少ないとつや出し剤が流動性を呈し液状となり、添加量が多くなると調製時に作業性が悪く均一な混合が困難となり、その結果均一な組織が得られず本発明の求める形状とならないため好ましくない。
次いで本願発明で用いられる発酵セルロースは、セルロース生産菌が生産するセルロースであればよく、特に限定されない。通常、発酵セルロースは、セルロース生産菌を既知の方法、例えば特開昭61−212295号公報、特開平3−157402号公報、特開平9−121787号公報に記載される方法に従って培養し、得られた培養物からセルロース生産菌を単離するか、または所望に応じて適宜精製することによって製造することができる。
本発明において使用する発酵セルロースは、他の高分子物質と組み合わせて用いることでその効果をより高めることができる。高分子物質と組み合わせて用いる態様としては、発酵セルロースと高分子物質とを混合状態で用いる態様、または発酵セルロースと高分子物質とを複合化状態で用いる態様を挙げることができるが、好ましくは高分子物質と複合化状態で用いる態様である。
なお、発酵セルロースを高分子物質と複合化させる方法としては、特開平9−121787号公報に記載される2種類の方法を挙げることができる。
ここで第一の方法は、微生物を培養して発酵セルロースを産生させるにあたり、培地中に高分子物質を添加して培養を行い、発酵セルロースと高分子物質とが複合化した発酵セルロース複合化物として得る方法である。
また第二の方法は、微生物の培養によって生産された発酵セルロースのゲルを高分子物質の溶液に浸漬して、高分子物質を発酵セルロースのゲルに含浸させて複合化する方法である。発酵セルロースのゲルは、そのままか、あるいは常法により均一化処理を行ったのちに高分子物質の溶液に浸漬する。均一化処理は、公知の方法で行えばよく、例えばブレンダー処理や49MPaで40回程度の高圧ホモジナイザー処理、98MPaで3回程度のナノマイザー処理などを用いた機械的解離処理が有効である。浸漬時間は、制限されないが、30分以上24時間程度、好ましくは1晩を挙げることができる。また、浸漬終了後は遠心分離や濾過などの方法で浸漬液を除去することが望ましい。さらに、水洗いなどの処理を行って過剰の高分子物質を除去すると、高分子物質と複合化された状態の発酵セルロースを取得することができ、複合化に利用されないで残存する高分子物質の影響を抑えることができる。
発酵セルロースとの複合化に使用される高分子物質としては、例として、キサンタンガム、カラギーナン、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、カシアガム、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガントガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、マクロホモプシスガム、寒天、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、カードラン、プルラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその塩、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、微結晶セルロース、水溶性ヘミセルロース、大豆多糖類、加工・化工でん粉、未加工でん粉(生でん粉)といった各種高分子物質を挙げることができる。これらは一種単独で使用してもよいし、または2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なお、上記高分子化合物と複合化された発酵セルロースは商業的に入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンアーティスト[登録商標]PX(キサンタンガムおよびCMCのナトリウム塩と発酵セルロースとの複合体の製剤)、サンアーティスト[登録商標]PG(グァーガムおよびCMCのナトリウム塩と発酵セルロースとの複合体の製剤)などを挙げることができる。
上記発酵セルロースは、本発明にかかるつや出し剤100質量部に対し0.6〜3質量部配合すればよい。或いは、発酵セルロースを含有する製剤を用いても良く、含まれる発酵セルロースの配合量に応じて適宜調整すればよいが、一例を挙げると発酵セルロースを20質量部含有する製剤を使用する場合、つや出し剤全量100質量部に対し該製剤を3〜15質量部添加すればよい。配合量が上記範囲を超えると、微結晶セルロースの場合と同様、配合量が少ないとつや出し剤が流動性を呈し液状となり、添加量が多くなると調製時に作業性が悪く均一な混合が困難となり、結果均一な組織が得られず本発明の求める形状とならないため好ましくない。
さらには、上述の微結晶セルロース単独或いは微結晶セルロース製剤と発酵セルロースを、併用することも可能である。併用する場合の添加量は、微結晶セルロースとしての配合量は0.75〜20質量部、75質量部含有製剤であれば1〜25質量部であり、発酵セルロースとしての配合量は0.2〜3質量部、20質量部含有製剤であれば1〜15質量部の範囲で適宜組み合わせて添加することができる。微結晶セルロース(製剤)単独では離水が発生する場合があるが、発酵セルロースを併用することにより、物性に大きな変化を与えずに離水を抑制できるという効果が付加される。また、発酵セルロース単独では、ワックスが茶褐色となり通常類白色のワックスとは異なる外観となるが、発酵セルロースを低減し微結晶セルロースを併用することより、外観を白いものに近づけることも可能である。
本発明にかかるつや出し剤は、上述の通り微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースを含むことを特徴とするものである。当該成分以外には、既存のワックスを構成する成分のうち石油系溶剤を除き、そのまま利用することが可能である。
利用可能なワックス類の例として、従来よりつや出し剤として用いられている成分が挙げられる。具体的には、カルナバロウ、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の天然或いは合成のワックス類が例示できる。また、シリコーン類の例としてジメチルシリコーン、変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等を使用することもできる。
また、上述に加えて長期間の撥水効果を付与するために、シリコーンレジンを添加することもできる。このシリコーンレジンの添加量は、0.1〜10質量部を例示できる。
さらには、従来ワックスの製造に使用されている研磨剤、乳化剤、分散剤、防腐剤、可塑剤、洗浄剤等の添加剤についても、本発明の効果を妨げない範囲で選択し使用することが可能である。尚、分散安定性に優れる微結晶セルロース及び/又は発酵セルロースを、上記研磨剤や洗浄剤の分散安定目的で使用することも可能である。この場合、本願発明にかかるつや出し剤としての用途に加え、研磨剤の添加量を増やすことによって塗装面の汚れを落とすことを主目的とした製品とすることもできる。さらには、使用者の利便性に応じて該製品において添加する成分を適宜変更し、更には本願発明のつや出し剤に加水し洗浄や研磨に利用しやすい形状としてもよい。その場合においても、例えば研磨剤の添加量を20〜30質量部、或いはそれ以上としても、発酵セルロースを使用することによって安定に分散させることが可能である。
本発明に係るつや出し剤を調製するには、上述の微結晶セルロース及び/又は発酵セルロース、ワックス類及びシリコーン類、研磨剤を水と共に加熱攪拌混合して乳化物とし、さらに防腐剤、界面活性剤等の任意成分を添加しこれをホモミキサー等を用いて、全体が均一になるまで混合し、冷却後に流動性を有しない(非流動性)状態とすればよい。
本発明に係るつや出し剤の使用方法は、スポンジ或いはタオルやウエスに適量を取り、自動車等の塗装面に塗り延ばし、水分が揮発するまで放置後渇いたウエス等で軽く拭き取ることで、塗装面に均一な塗膜が形成される。石油系溶媒を使用した際には自動車の塗装面に水分が付着していると作業ができないことが難点であったが、本発明にかかるつや出し剤は水性溶媒を使用しているため、多少の水分が付着した状態であっても問題なく作業を行うことができる。さらには石油系溶剤を含まないため臭いや手荒れの原因となることや環境への影響がないなど、塗装面、環境や人体への影響のない快適なワックスがけを行うことができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載がない限り単位は「質量部」とする。
表1の配合割合に従い、つや出し剤を調製した。微結晶セルロースは三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の微結晶セルロース製剤ビストップ D−4091(微結晶セルロース75質量部、キサンタンガム5質量部、デキストリン20質量部)を、発酵セルロースは同じく三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の発酵セルロース製剤サンアーティストPX(発酵セルロース20質量部、キサンタンガム10質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム3.3質量部、デキストリン66.7質量部)を使用した。比較例として、同じセルロース系成分のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 Klucel Nutra W)及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC―Na)(第一工業製薬株式会社製 セロゲンF)、前述の特許文献1で用いられたポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒株式会社製 アクアリックL)を使用した。評価は得られたつや出し剤の形状と拭き取りやすさについて、後述の評価基準に従い評価した。尚、拭き取りやすさの評価基準は、自動車用つや出しコーティング剤のJIS規格(JIS K2396)の方法により行った。
Figure 0005646183
<調製方法>
80℃のイオン交換水に微結晶セルロース製剤、発酵セルロース製剤、HPC、CMC−Na、ポリアクリル酸ナトリウムを添加し撹拌溶解した。次に、ワックスエマルション(日本製蝋株式会社製EMASTAR 0413)、シリコーンエマルション(ダウコーニング株式会社製SH200)、アルミナ(キシダ化学株式会社製 酸化アルミニウム)の混合物を添加し、プロペラ攪拌機を用いて均一に混合した。混合後、100ml容量のプラスチック製容器に充填し、室温で冷却した。
<評価基準>
形状
○ … 固体状(容器を傾けても流れでない)
△ … 液体状(容器を傾けると流れ出す)
× … 調製時に作業性が悪く、均一な組織が得られない(おから状となる)
拭き取りやすさ
◎ … 5回以下
○ … 5〜10回
△ … 11〜20回
× … 21回以上
― … 液状でスポンジや布に吸い込まれ、測定不可
<結果>
上記試験により、本発明にかかるつや出し剤(実施例1〜8)は、いずれも適度な形状を有し拭き取りも容易であるとの結果が得られた。また、微結晶セルロースと発酵セルロースを併用した実施例7及び8では離水もほとんど生じておらず、非常に使いやすいつや出し剤であった。
一方の比較例では、微結晶セルロースの添加量が少ない比較例1は液体のままであり、既存の液体タイプのワックスと差異がなかった。微結晶セルロースの添加量が多い比較例2では、つや出し剤が「おから」のようなもろく崩れやすい不均一な塊状となり、粉を塗装面に塗りつけるような状態となってしまい、拭き取りも回数が多く使用感は良くなかった。発酵セルロール量の少ない比較例3も液体状となり、添加量の多い比較例4も「おから」状となり、使用には適さなかった。
さらに、他のセルロース成分であるHPCを使用した比較例5は、微結晶セルロース及び発酵セルロースでは効果のあった添加量で使用しても、液体状にしかならなかった。また、CMC−Naを使用した比較例6も、同様の添加量であるにも拘わらず液体状であった。このことから、同じセルロース系の化合物であっても全てが利用できるわけではなく、本発明にかかる微結晶セルロースと発酵セルロースについて特徴的な効果であることが立証された。また、特許文献1で開示されている技術の比較例7では、曳糸性の有るペーストとなりねばねばした触感で作業性が悪く、拭き取りにくかった。

Claims (2)

  1. 微結晶セルロースを3〜20質量部、又は発酵セルロースを0.6〜3質量部含有することを特徴とする非流動性の塗装面用つや出し剤。
  2. 微結晶セルロースを0.75〜20質量部、及び発酵セルロースを0.2〜3質量部含有することを特徴とする非流動性の塗装面用つや出し剤。
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