JP5646127B2 - コードされたライブラリーの合成のための方法 - Google Patents

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Description

(関連出願)
本出願は、2003年12月17日に出願された米国仮特許出願番号第60/530854号、2004年1月30日に出願された米国仮特許出願番号第60/540681号、2004年3月15日に出願された米国仮特許出願番号第60/553,715号および2004年7月16日に出願された米国仮特許出願番号第60/588,672号の優先権を主張し、これらのそれぞれの全内容が、本明細書中に参考として援用される。
(発明の背景)
有用な生物学的活性を有する化合物を同定することのより効率的な方法についての探索は、コンビナトリアルライブラリーと呼ばれるコレクションで存在する非常に多数の異なる化合物をスクリーニングするために様々な方法の開発をもたらしている。そのようなライブラリーは10以上の別個の化合物を含むことができる。様々な方法が、コンビナトリアルライブラリーを作製するために存在し、また、ペプチド、ペプチドミメティクスおよび小さい有機分子のコンビナトリアル合成が報告されている。
コンビナトリアル法を薬物発見において使用することにおける2つの大きな課題は、十分な複雑性を有するライブラリーの合成、および、使用されたスクリーニングにおいて活性である分子の同定である。ライブラリーの複雑性の程度が大きくなるほど、すなわち、ライブラリーに存在する異なった構造の数が多くなるほど、そのライブラリーが、目的とする活性を有する分子を含有する確率が大きくなることが一般に認められている。従って、ライブラリー合成において用いられる化学は、非常に多数の化合物を合理的な時間枠の範囲内で作製することができなければならない。しかしながら、所与の形式的濃度または全体的濃度のために、ライブラリー内の異なる成分の数を増大させることはいずれかの特定のライブラリー成分の濃度を低下させる。このことは、複雑性が大きいライブラリーからの活性な分子の同定を複雑にしている。
これらの障害を克服するための1つの方法が、コードされたライブラリーの開発であり、具体的には、各化合物が増幅可能なタグを含むライブラリーの開発である。そのようなライブラリーには、ライブラリー成分を特定するDNAタグを、分子生物学の技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応など)を使用して増幅することができる、DNAによりコードされたライブラリーが含まれる。しかしながら、非常に大きいライブラリーを作製するためにそのような方法を使用することは未だ実証されておらず、また、そのようなライブラリーを作製するための改善された方法が、薬物発見に対するこの方法の潜在的可能性を実現するために要求されることは明らかである。
(発明の要旨)
本発明は、コードオリゴヌクレオチドタグを含む分子のライブラリーを合成する方法を提供する。この方法では、コードオリゴヌクレオチドに連結された第1の基礎単位を含む開始剤を含む溶液を多数の画分に分割(「スプリット」)する「スプリット・アンド・プール」法が利用される。それぞれの画分において、開始剤が、第2の特有の基礎単位と、また、第2の基礎単位を特定する第2の特有のオリゴヌクレオチドと反応する。これらの反応は同時または逐次的であることが可能であり、逐次的である場合、いずれかの反応の前に、他方の反応を行うことができる。画分のそれぞれにおいて作製されたダイマー分子が一緒にされ(「プールされ」)、その後、再び多数の画分に分割される。その後、これらの画分のそれぞれが、第3の特有の(画分特異的な)基礎単位、および、基礎単位をコードする第3の特有のオリゴヌクレオチドと反応させられる。生成物ライブラリーに存在する特有の分子の数は、(1)合成の各工程において使用される異なる基礎単位の数と、(2)プールおよび分割のプロセスが繰り返される回数との関数である。
1つの実施形態において、本発明は、コードオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される機能性部分を含むか、または、そのような機能性部分からなる分子を合成する方法を提供する。この方法は、(1)n個の基礎単位(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなる開始剤化合物を提供する工程、この場合、機能性部分は少なくとも1つの反応基を含み、かつ、機能性部分は最初のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される;(2)開始剤化合物を、反応基および相補的な反応基が反応して共有結合を形成するために好適な条件下で、工程(1)の反応基に対して相補的である少なくとも1つの相補的な反応基を含む基礎単位と反応させる工程;(3)最初のオリゴヌクレオチドを、後続オリゴヌクレオチドと最初のオリゴヌクレオチドとを連結するために好適な条件下で、最初のオリゴヌクレオチドと後続オリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、工程(b)の基礎単位を特定する後続オリゴヌクレオチドと反応させる工程を含み、それにより、コードオリゴヌクレオチドに作動可能に連結されるn+1個の基礎単位を含む機能性部分を含むか、または、そのような機能性部分からなる分子を作製する。工程(3)の機能性部分が反応基を含むならば、工程1〜工程3を1回以上繰り返すことができ、それにより、サイクル1からサイクルi(iは2以上の整数である)までを形成させることができ、この場合、サイクルs(sはi−1以下の整数である)の工程(3)の生成物がサイクルs+1の開始剤化合物になる。
1つの実施形態において、本発明は、機能性部分の構造を特定するオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、2つ以上の基礎単位を含む機能性部分を含む化合物のライブラリーを合成する方法を提供する。この方法は、(1)m個の開始剤化合物(mは1以上の整数である)を含む溶液を提供する工程、この場合、開始剤化合物は、n個の基礎単位(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなり、機能性部分が、そのn個の基礎単位を特定する最初のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される;(2)工程(1)の溶液をr個の画分(rは2以上の整数である)に分割する工程;(3)各画分における開始剤化合物をr個の基礎単位の1つと反応させ、それにより、最初のオリゴヌクレオチドに機能的に連結されたn+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる化合物を含むr個の画分を作製する工程;(4)各画分における最初のオリゴヌクレオチドを、後続オリゴヌクレオチドと最初のオリゴヌクレオチドとの酵素的連結のために好適な条件下で、後続オリゴヌクレオチドと最初のオリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、r個の異なる後続オリゴヌクレオチドからなる1組の中の1つと反応させる工程を含み、それにより、n+1個の基礎単位をコードする伸長したオリゴヌクレオチドに機能的に連結されたn+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる分子を含むr個のアリコートを作製する。場合により、この方法は、(5)工程(4)で作製されたr個の画分を組換え、それにより、伸長したオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、n+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる化合物を含む溶液を作製する工程をさらに含むことができる。工程(1)〜工程(5)を1回以上行って、サイクル1〜サイクルi(iは2以上の整数である)を生じさせることができる。サイクルs+1(sはi−1以下の整数である)において、工程(1)のm個の開始剤化合物を含む溶液はサイクルsの工程(5)の溶液である。同様に、サイクルs+1の工程(1)の開始剤化合物はサイクルsの工程(5)の化合物である。
好ましい実施形態において、基礎単位は、従来の化学反応を使用して各工程においてカップリングされる。基礎単位は、線状または分枝状のポリマーまたはオリゴマー(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクスおよびペプトイドなど)あるいは非オリゴマー分子(例えば、1つまたは複数のさらなる化学的成分が結合する骨格構造を含む分子など)を作製するためにカップリングすることができる。例えば、基礎単位がアミノ酸残基である場合、基礎単位を、標準的なペプチド合成法(例えば、この分野で知られているような好適な保護/脱保護法を使用する液相合成または固相合成など)を使用してカップリングすることができる。好ましくは、基礎単位は、液相化学を使用してカップリングされる。コードオリゴヌクレオチドは一本鎖オリゴヌクレオチドまたは二本鎖オリゴヌクレオチドであり、好ましくは二本鎖オリゴヌクレオチドである。コードオリゴヌクレオチドは、好ましくは、基礎単位あたり4塩基または4塩基対〜12塩基または12塩基対のオリゴヌクレオチドである。コードオリゴヌクレオチドは、標準的な液相オリゴヌクレオチド合成または固相オリゴヌクレオチド合成の方法論を使用してカップリングすることができるが、好ましくは、液相酵素プロセスを使用してカップリングされる。例えば、オリゴヌクレオチドは、トポイソメラーゼ、リガーゼまたはDNAポリメラーゼを使用して、コードオリゴヌクレオチドの配列がこれらの酵素の1つによる連結のための開始配列を含む場合にはカップリングすることができる。コードオリゴヌクレオチドの酵素的カップリングは下記のような利点をもたらす:(1)標準的な合成的(非酵素的)カップリングと比較して、付加の正確性がより大きいこと;および(2)より簡便な保護/脱保護法の使用。
別の局面において、本発明は下記の式Iの化合物を提供する:
Figure 0005646127
上記式において、Xは、1つまたは複数の基礎単位を含む機能性部分である;Zは、その3’末端においてBに結合するオリゴヌクレオチドである;Yは、その5’末端においてCに結合するオリゴヌクレオチドである;Aは、Xとの共有結合を形成する官能基である;Bは、Zの3’末端との結合を形成する官能基である;Cは、Yの5’末端との結合を形成する官能基である;D、EおよびFはそれぞれが独立して、二官能性の連結基である;かつ、Sは原子または分子骨格である。そのような化合物には、本発明の方法を使用して合成される化合物が含まれる。
本発明はさらに、機能性部分の構造をコードするオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、2つ以上の基礎単位を含む機能性部分を含む化合物を含む化合物ライブラリーに関連する。そのようなライブラリーは、約10個〜約1012個またはそれ以上の別個の成分(例えば、10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個、1010個、1011個または1012個またはそれ以上の別個の成分)、すなわち、別個の分子構造を含むことができる。
1つの実施形態において、化合物ライブラリーは、それぞれが下記の式Iを有する化合物を含む:
Figure 0005646127
上記式において、Xは、1つまたは複数の基礎単位を含む機能性部分である;Zは、その3’末端においてBに結合するオリゴヌクレオチドである;Yは、その5’末端においてCに結合するオリゴヌクレオチドである;Aは、Xとの共有結合を形成する官能基である;Bは、Zの3’末端との結合を形成する官能基である;Cは、Yの5’末端との結合を形成する官能基である;D、EおよびFはそれぞれが独立して、二官能性の連結基である;かつ、Sは原子または分子骨格である。そのようなライブラリーには、本発明の方法を使用して合成されるライブラリーが含まれる。
別の局面において、本発明は、生物学的標的に結合する化合物を同定するための方法を提供する。この場合、この方法は下記の工程を含む:(a)生物学的標的を本発明の化合物ライブラリーと接触させる工程、この場合、化合物ライブラリーは、機能性部分の構造をコードするオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、2つ以上の基礎単位を含む機能性部分を含む化合物を含む。この工程は、化合物ライブラリーの少なくとも1つの成分が標的に結合するために好適な条件下で行われる;(2)標的に結合しないライブラリー成分を除く工程;(3)標的に結合する化合物ライブラリーの少なくとも1つの成分のコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程;(4)工程(3)のコードオリゴヌクレオチドを配列決定する工程;および、工程(5)で決定された配列を使用して、生物学的標的に結合する化合物ライブラリーの成分の機能性部分の構造を決定する工程。
本発明は、所望する性質を有する分子の同定においていくつかの利点を提供する。例えば、本発明の方法は、オリゴヌクレオチドタグの存在下で分子を構築するために様々な化学反応を使用することを可能にする。本発明の方法はまた、オリゴヌクレオチドタグをそのように作製された化学構造に取り込む高忠実性の手段を提供する。さらに、本発明の方法は、各成分の非常に多数のコピー体を有するライブラリーの合成を可能にし、それにより、オリゴヌクレオチドタグの増幅および配列決定のための最終ラウンドの後に十分な数の分子を残しながら、生物学的標的に対する多数回の選択を可能にする。
(発明の詳細な説明)
本発明は、化合物およびコンビナトリアル化合物ライブラリーを作製する方法、本発明の方法によって作製される化合物およびライブラリー、ならびに、所望の性質(例えば、所望する生物学的活性など)を有する化合物を同定するために本発明のライブラリーを使用する方法に関連する。本発明はさらに、これらの方法を使用して同定された化合物に関連する。
様々な方法が、コンビナトリアル化学ライブラリーを作製およびスクリーニングするために採用されている。例には、ライブラリーの個々の成分が互いに物理的に分離される方法(例えば、1つの化合物が多数の反応容器のそれぞれにおいて合成されるときなど)が含まれる。しかしながら、このようなライブラリーでは、典型的には、一度に1つの化合物がスクリーニングされるか、または、多くても、一度に数個の化合物がスクリーニングされ、従って、このようなライブラリーは最も効率的なスクリーニング法をもたらしていない。他の方法では、化合物が固体担体上で合成される。そのような固体担体には、特定の化合物が(「位置アドレス指定可能」な)チップまたはメンブランの特定の領域を占めるチップが含まれる。他の方法では、化合物がビーズ上で合成され、この場合、各ビーズが異なる化学構造を含有する。
大きいライブラリーをスクリーニングする際に生じる2つの困難は、(1)スクリーニングされ得る別個の化合物の数;および(2)スクリーニングにおいて活性である化合物の同定である。1つの方法では、スクリーニングにおいて活性である化合物が、最初のライブラリーをさらに一層小さい画分および部分画分に狭めること、それぞれの場合において、活性な化合物を含有する画分または部分画分を選択すること、および、さらに、サブセットのすべての成分を個々に合成し、かつ、所望の活性について評価することができる十分に小さい1組の化合物を含有する活性な部分画分を得るまで部分分割することによって同定される。これは、冗長かつ時間のかかる取り組みである。
コンビナトリアルライブラリースクリーニングの結果を解析する別の方法は、ライブラリー成分が同定用の標識により標識されているライブラリーを利用することである。すなわち、ライブラリーに存在する各標識が、その標識の同定により、標識された分子の構造が明らかになるように、ライブラリーに存在する異なる化合物構造に関連する。標識されたライブラリーに対する1つの方法では、オリゴヌクレオチドタグが利用され、これは、例えば、米国特許第5,573,905号、同第5,708,153号、同第5,723,598号、同第6,060,596号、PCT国際特許出願公開WO93/06121、同WO93/20242、同WO94/13623、同WO00/23458、同WO02/074929および同WO02/103008に記載されるように、また、BrennerおよびLerner(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、5381〜5383(1992))、NielsenおよびJanda(Methods:A Companion to Methods in Enzymology 6、361〜371(1994))、ならびに、Nielsen、BrennerおよびJanda(J.Am.Chem.Soc.115、9812〜9813(1993))に記載されている(これらのそれぞれがその全体において参考として本明細書中に組み込まれる)。そのようなタグは、タグの多数のコピー体を作製し、配列決定によってタグを同定するために、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して増幅することができる。その後、タグの配列により、結合している分子の構造が特定され、その後、その分子を純粋な形態で合成し、かつ試験することができる。今日まで、大きいライブラリーを調製するための、Lerner他によって開示された方法論の使用は報告されていない。本発明は、DNAによりコードされるライブラリーを作製するための方法における改善を提供し、さらには、機能性部分が液相合成法を使用して合成される、DNAによりコードされる分子の大きい(成分が10以上である)ライブラリーの最初の例を提供する。
本発明は、オリゴヌクレオチドによりコードされるコンビナトリアルライブラリーの容易な合成を可能にし、かつ、そのようなオリゴヌクレオチドタグを非常に大きな分子コレクションの各成分に付加する効率的かつ高忠実性の手段を可能にする方法を提供する。
本発明の方法は、基礎単位から構成される第1の成分(「機能性部分」)と、第1の成分の構造を特定するオリゴヌクレオチドタグ(すなわち、オリゴヌクレオチドタグにより、どの基礎単位が第1の成分の構築において使用されたか、ならびに、基礎単位が連結された順序が示される)を含む、第1の成分に機能的に連結された第2の成分とを含む二機能性分子を合成するための方法を包含する。一般に、オリゴヌクレオチドタグにより提供される情報は、活性な成分を構築するために使用された基礎単位を決定するために十分である。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドタグの配列は、例えば、ペプチド成分について機能性部分における基礎単位の配置、すなわち、アミノ酸配列を決定するために十分である。
本明細書中で使用される用語「機能性部分」は、1つまたは複数の基礎単位を含む化学的部分を示す。好ましくは、機能性部分における基礎単位は核酸ではない。機能性部分は線状または分枝状または環状のポリマーまたはオリゴマーあるいは小さい有機分子であり得る。
本明細書中で使用される用語「基礎単位」は、他の化学的構造ユニットに連結されるか、または、他のそのようなユニットに連結され得る化学的構造ユニットを示す。機能性部分がポリマー状またはオリゴマー状であるとき、基礎単位はポリマーまたはオリゴマーのモノマーユニットである。基礎単位はまた、1つまたは複数のさらなる構造(「周辺基礎単位」)が結合するか、または結合し得る骨格構造(「骨格基礎単位」)を含むことができる。
用語「基礎単位」は、基礎単位が機能性部分に存在し、かつ、機能性部分の合成のために使用される反応性形態でもまた存在するような化学的構造ユニットを示すために本明細書中では使用されることを理解しなければならない。機能性部分において、基礎単位は、基礎単位を機能性部分に取り込むことの結果として失われる基礎単位の任意の一部分を伴うことなく存在する。例えば、結合形成反応により、小分子(下記参照)が放出される場合、基礎単位は、その基礎単位が機能性部分に存在するとき、「基礎単位残基」(すなわち、放出された分子に寄与する原子が喪失した後の、合成で使用された基礎単位の残り部分)である。
基礎単位は、相補的である任意の化学化合物が可能である。すなわち、基礎単位は一緒に反応して、2つ以上の基礎単位を含む構造を形成しなければならない。典型的には、使用される基礎単位のすべてが少なくとも2つの反応基を有する。だが、使用される基礎単位の一部(例えば、オリゴマー状機能性部分における最後の基礎単位)は1つにつき1つだけの反応基を有することが可能である。2つの異なる基礎単位における反応基は相補的でなければならない。すなわち、2つの異なる基礎単位における反応基は一緒に反応して、共有結合を、場合により小分子(例えば、水、HCl、HFなど)を同時に失って形成することができなければならない。
本発明の目的のために、2つの反応基が一緒に反応して、共有結合を形成するならば、2つの反応基は相補的である。好ましい実施形態において、結合形成反応は、副生成物の実質的な形成を伴うことなく、周囲条件下で迅速に生じる。好ましくは、所与の反応基が所与の相補的な反応基と正確に1回反応する。1つの実施形態において、2つの基礎単位の相補的な反応基は、例えば、求核置換反応により反応して、共有結合を形成する。1つの実施形態において、1対の相補的な反応基の一方の成分は親電子基であり、その対のもう一方の成分は求核基である。
相補的な親電子基および求核基には、好適な条件下で求核置換により反応して、共有結合を形成する任意の2つの基が含まれる。様々な好適な結合形成反応がこの分野では知られている。例えば、March、Advanced Organic Chemistry、第4版、New York:John Wiley and Sons(1992)、第10章〜第16章;CareyおよびSundberg、Advanced Organic Chemistry、Part B、Plenum(1990)、第1章〜第11章;ならびに、Collman他、Principles and Applications of Organotransition Metal Chemistry、University Science Books、Mill Valley、Calif.(1987)、第13章〜第20章を参照のこと(これらのそれぞれがその全体において参考として本明細書中に組み込まれる)。好適な親電子基の例には、反応性のカルボニル基、例えば、アシルクロリド基、エステル基(カルボニルペンタフルオロフェニルエステル基およびスクシンイミドエステル基を含む)、ケトン基およびアルデヒド基など;反応性のスルホニル基、例えば、スルホニルクロリド基など;および反応性のホスホニル基が含まれる。他の親電子基には、末端のエポキシド基、イソシナート基およびアルキルハリド基が含まれる。好適な求核基には、第一級および第二級のアミノ基、ならびにヒドロキシル基、ならびにカルボキシル基が含まれる。
好適な相補的な反応基が下記に示される。当業者は、本発明の方法において使用することができる他の反応基対を容易に決定することができ、従って、本明細書中に示されるそのような例は限定であることが意図されない。
第1の実施形態において、相補的な反応基には、活性化されたカルボキシル基、反応性のスルホニル基、または反応性のホスホニル基、あるいはそれらの組合せ、および、第一級または第二級のアミノ基が含まれる。この実施形態において、これらの相補的な反応基は好適な条件下で反応して、アミド結合、スルホンアミド結合またはホスホンアミド結合を形成する。
第2の実施形態において、相補的な反応基には、エポキシド基および第一級または第二級のアミノ基が含まれる。エポキシド含有の基礎単位はアミン含有の基礎単位と好適な条件下で反応して、炭素−窒素結合を形成し、β−アミノアルコールをもたらす。
別の実施形態において、相補的な反応基には、アジリジン基および第一級または第二級のアミノ基が含まれる。好適な条件下で、アジリジン含有の基礎単位はアミン含有の基礎単位と反応して、炭素−窒素結合を形成し、1,2−ジアミンをもたらす。第3の実施形態において、相補的な反応基には、イソシナート基および第一級または第二級のアミノ基が含まれる。イソシナート含有の基礎単位はアミン含有の基礎単位と好適な条件下で反応して、炭素−窒素結合を形成し、ウレア基をもたらす。
第4の実施形態において、相補的な反応基には、イソシナート基およびヒドロキシル基が含まれる。イソシナート含有の基礎単位はヒドロキシル含有の基礎単位と好適な条件下で反応して、炭素−酸素結合を形成し、カルバマート基をもたらす。
第5の実施形態において、相補的な反応基には、アミノ基およびカルボニル含有基(例えば、アルデヒド基またはケトン基など)が含まれる。アミンは還元的アミン化によってそのような基と反応して、新しい炭素−窒素結合を形成する。
第6の実施形態において、相補的な反応基には、リンイリド基およびアルデヒド基またはケトン基が含まれる。リンイリド含有の基礎単位はアルデヒド含有またはケトン含有の基礎単位と好適な条件下で反応して、炭素−炭素の二重結合を形成し、アルケンをもたらす。
第7の実施形態において、相補的な反応基は付加環化によって反応して、環状構造を形成する。そのような相補的な反応基の例がアルキンおよび有機アジドであり、これらは好適な条件下で反応して、トリアゾール環構造を形成する。この反応を使用して2つの基礎単位を連結する例が図8に例示にされる。そのような反応のための好適な条件はこの分野では知られており、また、国際特許出願公開WO03/101972(その内容は全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に開示される条件を包含する。
第8の実施形態において、相補的な反応基はアルキルハリドおよび求核基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基など)である。そのような基は好適な条件下で反応して、炭素−窒素(アルキルハリド+アミン)または炭素−酸素(アルキルハリド+ヒドロキシル基またはカルボニル基)を形成する。
第9の実施形態において、相補的な反応基はハロゲン化ヘテロ芳香族基および求核基であり、基礎単位が芳香族求核置換により好適な条件下で連結される。好適なハロゲン化ヘテロ芳香族基には、塩素化ピリミジン類、塩素化トリアジン類および塩素化プリン類が含まれ、これらは求核剤(例えば、アミンなど)と水溶液中での穏和な条件下で反応する。オリゴヌクレオチド標識されたトリクロロトリアジンとアミンとの反応の代表的な例が図9および図10に示される。好適な塩素化ヘテロ芳香族基の例が図11に示される。
機能性部分の合成が、1つの特定のタイプのカップリング反応(例えば、上記で議論された反応のいずれか(これに限定されない)など)によって、または、2つ以上のカップリング反応の組合せ(例えば、上記で議論されたカップリング反応の2つ以上など)によって進行し得ることを理解しなければならない。例えば、1つの実施形態において、基礎単位がアミド結合形成(アミノおよびカルボン酸の相補的な基)および還元アミン化(アミノおよびアルデヒドまたはケトンの相補的な基)の組合せによって連結される。オリゴヌクレオチドの存在と両立するならば、任意のカップリング化学を使用することができる。二本鎖(二重鎖)オリゴヌクレオチドタグが本明細書中の特定の実施形態において使用されるように、二本鎖(二重鎖)オリゴヌクレオチドタグは、一本鎖タグよりも化学的に頑強であり、従って、より広範囲の反応条件を許容し、一本鎖タグを用いては不可能である結合形成反応の使用を可能にする。
基礎単位は、機能性部分を形成させるために用いられる反応基(1つまたは複数)に加えて1つまたは複数の官能基を含むことができる。これらのさらなる官能基の1つまたは複数は、これらの官能基の望ましくない反応を防止するために保護することができる。好適な保護基が様々な官能基についてこの分野では知られている(GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、New York:John Wiley and Sons(1991)(これは参考として本明細書中に組み込まれる))。特に有用な保護基には、t−ブチルエステルおよびt−ブチルエーテル、アセタール、トリチルエーテルおよびアミン、アセチルエステル、トリメチルシリルエーテル、トリクロロエチルエーテルおよびトリクロロエチルエステル、ならびにカルバマートが含まれる。
1つの実施形態において、それぞれの基礎単位は、同じまたは異なり得る2つの反応基を含む。例えば、サイクルsにおいて付加されるそれぞれの基礎単位は、同じである2つの反応基を含むことができるが、これらは、工程s−1および工程s+1において付加される基礎単位の反応基に対してともに相補的である。別の実施形態において、それぞれの基礎単位は、自身が相補的である2つの反応基を含む。例えば、ポリアミド分子を含むライブラリーを、2つの第一級アミノ基を含む基礎単位と、2つの活性化されたカルボキシ基を含む基礎単位との間での反応によって作製することができる。得られる化合物において、交互に存在するアミド基は逆の方向性を有するので、N末端またはC末端が存在しない。あるいは、ポリアミドライブラリーを、それぞれがアミノ基および活性化されたカルボキシル基を含む基礎単位を使用して作製することができる。この実施形態において、サイクルの工程nにおいて付加された基礎単位は、n−1番目の基礎単位における利用可能な反応基に対して相補的である遊離反応基を有し、一方で、好ましくは、n番目の基礎単位における他の反応基は保護されている。例えば、ライブラリーの成分がC末端からN末端の方向で合成される場合、付加される基礎単位は、活性化されたカルボキシ基と、保護されたアミノ基とを含む。
機能性部分はポリマー成分またはオリゴマー成分(例えば、ペプチド、ペプチドミメティクス、ペプチド核酸またはペプトイドなど)が可能であり、あるいは、機能性部分は、小さい非ポリマー状分子、例えば、中心の骨格を含む構造と、骨格の周辺に配置された構造とを有する分子が可能である。線状ポリマーまたは線状オリゴマーのライブラリーが、2つの反応基を有する基礎単位の使用から得られ、一方、分枝状ポリマーまたは分枝状オリゴマーのライブラリーが、場合により、2つだけの反応基を有する基礎単位との組合せで、3つ以上の反応基を有する基礎単位の使用から得られる。そのような分子は、一般式X・・・X(式中、各Xは、n個のモノマーユニットを含むポリマーのモノマーユニットであり、nは1以上の整数である)によって表すことができる。オリゴマー化合物またはポリマー化合物の場合、末端の基礎単位は2つの官能基を含む必要はない。例えば、ポリアミドライブラリーの場合において、C末端の基礎単位はアミノ基を含むことができ、しかし、カルボキシル基の存在は随意的である。同様に、N末端における基礎単位はカルボキシル基を含むことができ、しかし、アミノ基を含有する必要はない。
分枝状のオリゴマー化合物またはポリマー化合物もまた、少なくとも1つの基礎単位が、他の基礎単位と反応し得る3つの官能基を含むならば、合成することができる。本発明のライブラリーは、線状分子、分枝状分子またはそれらの組合せを含むことができる。
ライブラリーはまた、例えば、2つ以上の反応基を有する骨格基礎単位を、1つだけの利用可能な反応基を有する他の基礎単位(例えば、任意のさらなる反応基が保護されているか、あるいは、骨格基礎単位に存在する他の反応基との反応性を有しない場合)との組合せで使用して構築することができる。例えば、1つの実施形態において、合成された分子は一般式X(Y)(式中、Xは骨格基礎単位であり、各Yは、Xに連結される基礎単位であり、nは少なくとも2の整数であり、好ましくは2〜約6の整数である)によって表すことができる。1つの好ましい実施形態において、サイクル1の最初の基礎単位は骨格基礎単位である。式X(Y)の分子において、各Yは同じまたは異なることが可能であり、しかし、典型的なライブラリーのほとんどの成分において、各Yは異なる。
1つの実施形態において、本発明のライブラリーはポリアミド化合物を含む。ポリアミド化合物は、20個の天然に存在するα−アミノ酸(例えば、アラニン(Ala;A)、グリシン(Gly;G)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、グルタミン酸(Glu;E)、ヒスチジン(His;H)、ロイシン(Leu;L)、リジン(Lys;K)、フェニルアラニン(Phe;F)、チロシン(Tyr;Y)、トレオニン(The;T)、セリン(Ser;S)、アルギニン(Arg;R)、バリン(Val;V)、グルタミン(Gln;Q)、イソロイシン(Ile;I)、システイン(Cys;C)、メチオニン(Met;M)、プロリン(Pro;P)およびトリプトファン(Trp;W)など、この場合、各アミノ酸に対する三文字記号および一文字記号が示される)を含めて、任意のアミノ酸に由来する基礎単位から構成され得る。それらの天然に存在する形態において、前記アミノ酸のそれぞれはL−立体配置で存在し、これは、別途示されない限り、本明細書中では仮定されるものとする。しかしながら、本発明の方法では、これらのアミノ酸のD−立体配置形態もまた使用することができる。これらのD−アミノ酸は、本明細書中では、小文字の三文字記号または一文字記号によって、すなわち、ala(a)、gly(g)、leu(l)、gln(q)、thr(t)、ser(s)などによって示される。基礎単位はまた、3−アリールアラニン、例えば、ナフチルアラニン、フェニル置換のフェニルアラニン(これには、4−フルオロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、4−ブロモフェニルアラニンおよび4−メチルフェニルアラニンが含まれる)など;3−ヘテロアリールアラニン、例えば、3−ピリジルアラニン、3−チエニルアラニン、3−キノリルアラニンおよび3−イミダゾリルアラニンなど;オルニチン;シトルリン;ホモシトルリン;サルコシン;ホモプロリン;ホモシステイン;置換プロリン、例えば、ヒドロキシプロリンおよびフルオロプロリンなど;デヒドロプロリン;ノルロイシン;O−メチルチロシン;O−メチルセリン;O−メチルトレオニンおよび3−シクロヘキシルアラニン(これらに限定されない)をはじめとする他のα−アミノ酸に由来し得る。前述のアミノ酸のそれぞれがD−立体配置またはL−立体配置のいずれかで使用され得る。
基礎単位はまた、α−アミノ酸でないアミノ酸であり得る:例えば、α−アザアミノ酸;β−アミノ酸、γ−アミノ酸、δ−アミノ酸、ε−アミノ酸、およびN−置換アミノ酸(例えば、N−置換グリシンなど)(この場合、N−置換基は、例えば、置換または非置換のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基またはヘテロアリールアルキル基であり得る)など。1つの実施形態において、N−置換基は、天然に存在するα−アミノ酸または天然に存在しないα−アミノ酸に由来する側鎖である。
基礎単位はまた、例えば、ジペプチドミメティク、トリペプチドミメティク、テトラペプチドミメティクまたはペンタペプチドミメティクなどのペプチドミメティク構造であり得る。そのようなペプチドミメティク基礎単位は、好ましくは、これらの基礎単位が成長途中のポリ(アミノアシル)基に付加する化学反応が、他の基礎単位のために使用される化学反応と同じであるか、または類似するように、アミノアシル化合物に由来する。基礎単位はまた、ペプチド骨格修飾を含むペプチドミメティク機能性部分を形成するための、ペプチド結合と等配電子性である結合(例えば、Ψ[CHS]、Ψ[CHNH]、Ψ[CSNH]、Ψ[NHCO]、Ψ[COCH]およびΨ[(E)または(Z)CH=CH]など)を形成することができる分子であり得る。上記で使用された命名法において、Ψはアミド結合の非存在を示す。アミド基に取って代わる構造が括弧内に特定される。
1つの実施形態において、本発明は、コードオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される機能性部分を含む化合物、またはそのような機能性部分からなる化合物を合成する方法を提供する。この方法は、(1)n個の基礎単位(nは1以上の整数である)を含む最初の機能性部分からなる開始剤化合物を提供する工程、この場合、最初の機能性部分は少なくとも1つの反応基を含み、かつ、最初の機能性部分は、n個の基礎単位をコードする最初のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される;(2)開始剤化合物を、反応基および相補的な反応基が反応して共有結合を形成するために好適な条件下で、工程(1)の反応基に対して相補的である少なくとも1つの相補的な反応基を含む基礎単位と反応させる工程;(3)最初のオリゴヌクレオチドを、後続オリゴヌクレオチドと最初のオリゴヌクレオチドとを連結するために好適な条件下で、最初のオリゴヌクレオチドと後続オリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、後続オリゴヌクレオチドと反応させる工程を含み、それにより、コードオリゴヌクレオチドに作動可能に連結されるn+1個の基礎単位を含む機能性部分を含む分子、またはそのような機能性部分からなる分子を作製する。工程(3)の機能性部分が反応基を含むならば、工程1〜工程3を1回以上繰り返すことができ、それにより、サイクル1からサイクルi(iは2以上の整数である)までを形成させることができ、この場合、サイクルs−1(sはi以下の整数である)の工程(3)の生成物がサイクルsの工程(1)の開始剤化合物になる。それぞれのサイクルにおいて、1つの基礎単位が成長途中の機能性部分に付加され、1つのオリゴヌクレオチド配列(これは新しい基礎単位をコードする)が成長途中のコードオリゴヌクレオチドに付加される。
好ましい実施形態において、所与のサイクルにおいて付加されたオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの配列により、同じサイクルにおいて付加された基礎単位が特定されるように、それぞれの個々の基礎単位が別個のオリゴヌクレオチドに関連する。
基礎単位のカップリングおよびオリゴヌクレオチドの連結は、一般には、出発物質および試薬の類似する濃度で行われる。例えば、マイクロモル濃度〜ミリモル濃度の程度(例えば、約10μM〜約10mMの程度)での反応剤の濃度が、基礎単位の効率的なカップリングを有するために好ましい。
特定の実施形態において、この方法はさらに、工程(2)の後で、何らかの未反応の最初の機能性部分を除く工程を含む。特定のサイクルにおいて何らかの未反応の最初の機能性部分を除くことにより、そのサイクルの最初の機能性部分が、後のサイクルにおいて付加される基礎単位と反応することが防止される。そのような反応は、特定のオリゴヌクレオチド配列に対応する様々な機能性部分構造を潜在的にはもたらす、1つまたは複数の基礎単位を有しない機能性部分の生成をもたらし得る。そのような除去は、何らかの残っている最初の機能性部分を、工程(2)の反応基と反応する化合物と反応させることによって達成することができる。好ましくは、除去剤化合物は工程(2)の反応基と迅速に反応し、かつ、後のサイクルにおいて付加される基礎単位と反応し得るさらなる反応基を含まない。例えば、工程(2)の反応基がアミノ基である化合物の合成では、好適な除去剤化合物は、酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
別の実施形態において、本発明は、各化合物が、オリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、2つ以上の基礎単位を含む機能性部分を含む化合物のライブラリーを作製する方法を提供する。好ましい実施形態において、各分子に存在するオリゴヌクレオチドは、分子内の基礎単位、および、場合により、基礎単位の付加順序を特定するための十分な情報を提供する。この実施形態において、本発明の方法は、機能性部分の構造を特定するオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、2つ以上の基礎単位を含む機能性部分を含む化合物のライブラリーを合成する方法を含む。この方法は、(1)m個の開始剤化合物(mは1以上の整数である)を含む溶液を提供する工程、この場合、開始剤化合物は、n個の基礎単位(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなり、機能性部分は、そのn個の基礎単位を特定する最初のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される;(2)工程(1)の溶液を少なくともr個の画分(rは2以上の整数である)に分割する工程;(3)各画分をr個の基礎単位の1つと反応させ、それにより、最初のオリゴヌクレオチドに機能的に連結されたn+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる化合物を含むr個の画分を作製する工程;(4)工程(3)のr個の画分のそれぞれを、後続オリゴヌクレオチドと最初のオリゴヌクレオチドとの酵素的連結のために好適な条件下で、r個の別個の後続オリゴヌクレオチドからなる1組の中の1つと反応させる工程を含み、それにより、n+1個の基礎単位をコードする伸長したオリゴヌクレオチドに機能的に連結されたn+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる分子を含むr個の画分を作製する。場合により、この方法は、(5)工程(4)で作製されたr個の画分を組換え、それにより、n+1個の基礎単位をコードする伸長したオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される、n+1個の基礎単位を含む機能性部分からなる分子を含む溶液を作製する工程をさらに含むことができる。工程(1)〜工程(5)を1回以上行って、サイクル1〜サイクルi(iは2以上の整数である)を生じさせることができる。サイクルs+1(sはi−1以下の整数である)において、工程(1)のm個の開始剤化合物を含む溶液はサイクルsの工程(5)の溶液である。同様に、サイクルs+1の工程(1)の開始剤化合物はサイクルsの工程(4)の生成物である。
好ましくは、工程(2)の溶液がライブラリー合成の各サイクルにおいてr個の画分に分割される。この実施形態において、各画分は特有の基礎単位と反応させられる。
本発明のこれらの方法において、基礎単位および後続オリゴヌクレオチドを加える順序は重要でなく、分子合成の工程(2)および工程(3)、ならびに、ライブラリー合成の工程(3)および工程(4)を逆にすることができる。すなわち、後続オリゴヌクレオチドを、新しい基礎単位が付加される前に、最初のオリゴヌクレオチドに連結することができる。特定の実施形態において、これら2つの工程を同時に行うことが可能である場合がある。
特定の実施形態において、この方法はさらに、工程(2)の後で、何らかの未反応の最初の機能性部分を除く工程を含む。特定のサイクルにおいて何らかの未反応の最初の機能性部分を除くことにより、そのサイクルの最初の機能性部分が、後のサイクルにおいて付加される基礎単位と反応することが防止される。そのような反応は、特定のオリゴヌクレオチド配列に対応する様々な機能性部分構造を潜在的にはもたらす、1つまたは複数の基礎単位を有しない機能性部分の生成をもたらし得る。そのような除去は、何らかの残っている最初の機能性部分を、工程(2)の反応基と反応する化合物と反応させることによって達成することができる。好ましくは、除去剤化合物は工程(2)の反応基と迅速に反応し、かつ、後のサイクルにおいて付加される基礎単位と反応し得るさらなる反応基を含まない。例えば、工程(2)の反応基がアミノ基である化合物の合成では、好適な除去剤化合物は、酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
1つの実施形態において、ライブラリー合成において使用される基礎単位は、ライブラリーの合成のために使用される条件下で適切な相補的な官能基と反応する候補基礎単位の能力を評価することによって、1組の候補基礎単位から選択される。その後、そのような条件下で好適に反応し得ることが示される基礎単位をライブラリーへの組み込みのために選択することができる。所与のサイクルの生成物を、場合により、精製することができる。サイクルが中間のサイクル(すなわち、最終サイクルの前の任意のサイクル)であるとき、これらの生成物は中間体であり、次のサイクルの開始に先だって精製することができる。サイクルが最終サイクルであるならば、サイクルの生成物は最終生成物であり、化合物の何らかの使用に先立って精製することができる。この精製工程では、例えば、未反応の反応剤または過剰な反応剤、および、オリゴヌクレオチド連結のために用いられた酵素を除くことができる。生成物を溶液に存在する他の化学種から分離するために好適である任意の方法を使用することができ、そのような方法には、液体クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など)および好適な共溶媒(例えば、エタノールなど)による沈殿化が含まれる。精製のための好適な方法は、生成物の性質および合成のために使用された溶媒系に依存する。
反応は、好ましくは、水溶液(例えば、緩衝化された水溶液など)において行われ、しかし、反応はまた、基礎単位、オリゴヌクレオチド、中間体および最終生成物、ならびに、オリゴヌクレオチド連結を触媒するために使用される酵素の溶解性特性と一致する混合された水性/有機媒体において行うことができる。
上記方法において所与のサイクルによって作製される化合物の理論的数は、サイクルにおいて使用される異なる開始剤化合物の数mと、サイクルにおいて加えられる別個の基礎単位の数rとの積であることを理解しなければならない。サイクルにおいて作製される別個の化合物の実際の数は、rおよびmの積(rxm)と同じくらい大きくなり得るが、特定の基礎単位と、特定の他の基礎単位との反応性の違いを考えると、それよりも小さくなり得る。例えば、特定の基礎単位が特定の開始剤化合物に付加する速度論は、合成サイクルの時間スケールでは、その反応の生成物がほとんど〜全く作製され得ないようであり得る。
特定の実施形態では、共通する基礎単位が、サイクル1に先だって、または、最後のサイクルの後で、または、任意の2つのサイクルの間で加えられる。例えば、機能性部分がポリアミドであるとき、共通するN末端封鎖用基礎単位を最終サイクルの後で加えることができる。共通する基礎単位はまた、例えば、機能性部分を、ライブラリー合成後、例えば、環化によって修飾するために利用することができる官能基(例えば、アルキン基またはアジド基など)を付加するために、任意の2つのサイクルの間で導入することができる。
本明細書中で使用される用語「作動可能に連結される(された)」は、2つの化学的構造が、受けることが予想される様々な操作によって連結されたままであるような方法で一緒に連結される(されている)ことを意味する。典型的には、機能性部分およびコードオリゴヌクレオチドは適切な連結基を介して共有結合的に連結される。連結基は、オリゴヌクレオチドのための結合部位と、機能性部分のための結合部位とを有する二価の成分である。例えば、機能性部分がポリアミド化合物であるとき、ポリアミド化合物を、そのN末端において、そのC末端において、または、側鎖の1つにおける官能基を介して連結基に結合させることができる。連結基は、ポリアミド化合物およびオリゴヌクレオチドを、少なくとも1個の原子によって、好ましくは、2個以上の原子(例えば、少なくとも2個の原子、少なくとも3個の原子、少なくとも4個の原子、少なくとも5個の原子または少なくとも6個の原子など)によって隔てるために十分である。好ましくは、連結基は、オリゴヌクレオチドとは無関係な様式でポリアミド化合物が標的分子と結合することを可能にするために十分な柔軟性を有する。
1つの実施形態において、連結基はポリアミド化合物のN末端およびオリゴヌクレオチドの5’−リン酸基に結合する。例えば、連結基は、活性化されたカルボキシル基を一方の端部に、活性化されたエステルを反対側の端部に含む連結基前駆体に由来し得る。連結基前駆体とN末端窒素原子との反応は、連結基をポリアミド化合物またはN末端の基礎単位につなぐアミド結合を形成し、一方で、連結基前駆体とオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシ基との反応は、エステル連結を介した連結基に対するオリゴヌクレオチドの結合をもたらす。連結基は、例えば、ポリメチレン鎖(例えば、−(CH−鎖など)またはポリ(エチレングリコール)鎖(例えば、−(CHCHO)鎖など)(式中、両方の場合において、nは1〜約20の整数である)を含むことができる。好ましくは、nは2〜約12であり、より好ましくは、約4〜約10である。1つの実施形態において、連結基はヘキサメチレン(−(CH−)基を含む。
基礎単位がアミノ酸残基であるとき、得られる機能性部分はポリアミドである。アミノ酸を、アミド結合の形成のための任意の好適な化学を使用してカップリングすることができる。好ましくは、アミノ酸基礎単位のカップリングが、オリゴヌクレオチドの酵素的連結と適合し得る条件下で、例えば、中性または中性付近のpHにおいて水溶液中で行われる。1つの実施形態において、ポリアミド化合物がC末端からN末端の方向で合成される。この実施形態において、最初の、すなわち、C末端の基礎単位は、好適な連結基を介して、そのカルボキシル基においてオリゴヌクレオチドにカップリングされる。最初の基礎単位は、活性化されたカルボキシル基および保護されたアミノ基を好ましくは有する2番目の基礎単位と反応させられる。液相アミド結合形成のために好適である任意の活性化基/保護基法を使用することができる。例えば、好適な活性化されたカルボキシル化学種には、アシルフルオリド(米国特許第5,360,928号、これはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)、対称的無水物およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステルが含まれる。アシル基はまた、好適な活性化化合物との反応によって、この分野で知られているように、その場で活性化させることができる。好適な活性化化合物には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、n−プロパン−ホスホン酸無水物(PPA)、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)イミド−ホスホリルクロリド(BOP−Cl)、ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBrop)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、Castro試薬(BOP、PyBop)、O−ベンゾトリアゾリル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム塩(HBTU)、ジエチルホスホリルシアニド(DEPCN)、2,5−ジフェニル−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−4−ヒドロキシ−チオフェンジオキシド(Steglich試薬;HOTDO)、1,1’−カルボニル−ジイミダゾール(CDI)および4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)が含まれる。カップリング試薬は単独で使用することができ、または、添加剤との組合せで、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシベンゾトリアジン(HOOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)、アザベンゾトリアゾリル−テトラメチルウロニウム塩(HATU、HAPyU)または2−ヒドロキシピリジンなどとの組合せで使用することができる。特定の実施形態において、ライブラリーの合成では、構造的に多様な1組の基礎単位の使用を可能にするために、2つ以上の活性化方法の使用が要求される。それぞれの基礎単位について、当業者は適切な活性化方法を決定することができる。
N末端保護基は、そのプロセスの条件と適合し得る任意の保護基(例えば、液相合成条件のために好適である保護基)が可能である。好ましい保護基はフルオレニルメトキシカルボニル(「Fmoc」)基である。アミノアシル基礎単位の側鎖における潜在的に反応性の官能基はどれもまた、好適に保護する必要がある。好ましくは、側鎖保護基は、N末端保護基に対して直交する。すなわち、側鎖保護基は、N末端保護基の除去のために要求される条件とは異なる条件下で除去される。好適な側鎖保護基には、ニトロベラトリル基が含まれ、これは、側鎖カルボキシル基および側鎖アミノ基の両方を保護するために使用することができる。別の好適な側鎖アミノ保護基はN−ペンタ−4−エノイル基である。
基礎単位は、機能性部分への組み込みの後、例えば、基礎単位の1つまたは複数における官能基を伴う好適な反応によって修飾することができる。基礎単位の修飾は、最後の基礎単位の付加の後で、または、機能性部分の合成における任意の中間点で、例えば、合成プロセスの任意のサイクルの後で行うことができる。本発明の二機能性分子のライブラリーが合成されるとき、基礎単位の修飾は、ライブラリー全体に対して、または、ライブラリーの一部分に対して行うことができ、それにより、ライブラリーの複雑性の程度を増大させることができる。好適な基礎単位修飾反応には、機能性部分およびコードオリゴヌクレオチドと適合し得る条件下で行うことができるそのような反応が含まれる。そのような反応の例には、アミノ基またはヒドロキシル基のアシル化およびスルホン化、アミノ基のアルキル化、カルボキシル基のエステル化またはチオエステル化、カルボキシル基のアミド化、アルケンのエポキシド化、ならびに、この分野で知られている他の反応が含まれる。機能性部分が、アルキン官能基またはアジド官能基を有する基礎単位を含むとき、アジド/アルキンの付加環化反応を、基礎単位を誘導体化するために使用することができる。例えば、アルキンを含む基礎単位を有機アジドと反応させることができるか、または、アジドを含む基礎単位をアルキンと反応させることができ、これにより、いずれの場合でも、トリアゾール環を形成させることができる。基礎単位の修飾反応を、最後の基礎単位を付加した後で、または、合成プロセスにおける中間点で行うことができ、また、様々な化学的構造(これには、炭水化物、金属結合性部分、および、特定の生体分子または組織タイプを標的化するための構造が含まれる)を機能性部分に付けるために使用することができる。
別の実施形態において、機能性部分は基礎単位の線状の連続体を含み、この線状連続体は、好適な反応を使用して環化される。例えば、線状アレイにおける少なくとも2つの基礎単位がスルフヒドリル基を含む場合、スルフヒドリル基を酸化して、ジスルフィド連結を形成させることができ、それにより、線状アレイを環化することができる。例えば、機能性部分は、2つ以上のL−システイン成分もしくはD−システイン成分および/またはL−ホモシステイン成分もしくはD−ホモシステイン成分を含むオリゴヌクレオチドであり得る。基礎単位はまた、一緒に反応して、線状アレイを環化することができる他の官能基(例えば、カルボキシル基およびアミノ基またはヒドロキシル基など)を含むことができる。
好ましい実施形態において、線状アレイにおける基礎単位の1つがアルキン基を含み、線状アレイにおける別の基礎単位がアジド基を含む。アジド基およびアルキン基は、付加環化によって反応するように誘導することができ、それにより、マクロ環構造の形成をもたらすことができる。図9に例示される例において、機能性部分は、プロパルギルグリシン基礎単位をそのC末端に含み、かつ、アジドアセチル基をそのN末端に含むポリペプチドである。好適な条件下でのアルキン基およびアジド基の反応は、トリアゾール構造をマクロ環内に含む環状化合物の形成をもたらす。ライブラリーの場合、1つの実施形態において、ライブラリーの各成分がアルキン含有の基礎単位およびアジド含有の基礎単位を含み、ライブラリーの各成分をこの方法で環化することができる。第2の実施形態において、ライブラリーのすべての成分がアルキン含有の基礎単位およびアジド含有の基礎単位を含み、しかし、ライブラリーの一部分のみが環化される。第3の実施形態において、特定の機能性部分のみがアルキン含有の基礎単位およびアジド含有の基礎単位を含み、これらの分子のみが環化される。前述の第2および第3の実施形態において、ライブラリーは、付加環化反応の後、環状および線状の両方の機能性部部分を含む。
オリゴヌクレオチドは、酵素的方法を使用して連結される。1つの実施形態において、最初の基礎単位が最初のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される。第2の基礎単位を最初の基礎単位にカップリングする前またはその後で、第2の基礎単位を特定する第2のオリゴヌクレオチド配列が最初のオリゴヌクレオチドに連結される。最初のオリゴヌクレオチド配列および後続のオリゴヌクレオチド配列を連結するための方法が図1および図2に示される。図1において、最初のオリゴヌクレオチドは二本鎖であり、一方の鎖は、第2のオリゴヌクレオチドの一方の末端に対して相補的であり、かつ、第2のオリゴヌクレオチドを最初のオリゴヌクレオチドと接触させる突出配列を含む。好ましくは、最初のオリゴヌクレオチドの突出する配列および第2のオリゴヌクレオチドの相補的配列はともに少なくとも4塩基であり、より好ましくは、両方の配列はともに同じ長さである。最初のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドは、好適な酵素を使用して連結することができる。最初のオリゴヌクレオチドが最初の基礎単位に鎖の一方(「上部鎖」)の5’末端に連結される場合、上部鎖に対して相補的である鎖(「下部鎖」)はその5’末端に突出配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドはその5’末端に相補的配列を含む。第2のオリゴヌクレオチドを連結した後、第2のオリゴヌクレオチドの配列に対して相補的であり、突出した相補的配列に対して3’側であり、かつ、さらなる突出配列を含む鎖を加えることができる。
1つの実施形態において、オリゴヌクレオチドが、図2に示されるように伸長される。成長途中の機能的性部分に結合したオリゴヌクレオチド、および後続オリゴヌクレオチドが、最初のオリゴヌクレオチドの3’末端に対して相補的である領域と、後続オリゴヌクレオチドの5’末端に対して相補的である領域とを含む「添え木」配列の使用による連結のために配置される。添え木はオリゴヌクレオチドの5’末端を後続オリゴの3’末端の近傍にもたらし、連結が、酵素による連結を使用して達成される。図2に例示される実施形態において、最初のオリゴヌクレオチドは16個の核酸塩基からなり、添え木は3’末端においてその6塩基に対して相補的である。後続オリゴヌクレオチドは12個の核酸塩基からなり、添え木は5’末端においてその6塩基に対して相補的である。添え木の長さおよび相補的領域の長さは重要ではない。しかしながら、相補的領域は、安定なダイマー形成を連結の条件下で可能にするために十分に長くなければならず、しかし、最終的な分子において過度に大きいコードヌクレオチドを生じさせるほど長くあってはならない。相補的領域は長さが約4塩基〜約12塩基であること、より好ましくは約5塩基〜約10塩基であること、最も好ましくは約5塩基〜約8塩基であることが好ましい。
1つの実施形態において、最初のオリゴヌクレオチドは二本鎖であり、2つの鎖が共有結合的に連結される。2つの鎖を共有結合的に連結する1つの手段が図3に示される。図3では、連結成分が、2つの鎖と、機能性部分とを連結するために使用される。連結成分は、基礎単位と反応するために適合する第1の官能基と、オリゴヌクレオチドの3’末端と反応するために適合する第2の官能基と、オリゴヌクレオチドの5’末端と反応するために適合する第3の官能基とを含む任意の化学的構造が可能である。好ましくは、第2の官能基および第3の官能基は、2つの鎖のハイブリダイゼーションを可能にする相対的な配向で2つのオリゴヌクレオチド鎖を配置するように配向している。例えば、連結基は下記の一般式(I)を有することができる:
Figure 0005646127
式中、Aは、基礎単位との共有結合を形成することができる官能基であり、Bは、オリゴヌクレオチドの5’末端との結合を形成することができる官能基であり、Cは、オリゴヌクレオチドの3’末端との結合を形成することができる官能基である。D、EおよびFは、官能基A、官能基Bおよび官能基Cを、コア原子または骨格であるSに連結する化学基である。好ましくは、D、EおよびFは、それぞれが独立して、原子の鎖(例えば、アルキレン鎖またはオリゴ(エチレングリコール)鎖など)であり、D、EおよびFは同じまたは異なることが可能であり、好ましくは、2つのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび機能性部分の合成を可能にするために効果的である。1つの実施形態において、三価のリンカーは下記の構造を有する:
Figure 0005646127
この実施形態において、NH基は基礎単位に対する結合のために利用可能であり、一方、末端のリン酸基はオリゴヌクレオチドに対する結合のために利用可能である。
最初のオリゴヌクレオチドが二本鎖である実施形態において、後続オリゴヌクレオチドもまた二本鎖である。図3に示されるように、最初のオリゴヌクレオチドは、突出配列を提供する、もう一方の鎖よりも長い1つの鎖を有することができる。この実施形態において、後続オリゴヌクレオチドは、最初のオリゴヌクレオチドの突出配列に対して相補的である突出配列を含む。これらの2つの相補的な突出配列のハイブリダイゼーションは、後続オリゴヌクレオチドを、最初のオリゴヌクレオチドに対する連結のために所定位置にもたらす。この連結を、DNAリガーゼまたはRNAリガーゼを使用して酵素的に行うことができる。後続オリゴヌクレオチドおよび最初のオリゴヌクレオチドの突出配列は、好ましくは同じ長さであり、2個以上のヌクレオチド(好ましくは、2個〜約10個のヌクレオチド、より好ましくは、2個〜約6個のヌクレオチド)からなる。1つの好ましい実施形態において、後続オリゴヌクレオチドは、突出配列を両末端に有する二本鎖のオリゴヌクレオチドである。一方の末端における突出配列は最初のオリゴヌクレオチドの突出配列に対して相補的であり、一方、後続オリゴヌクレオチドおよび最初のオリゴヌクレオチドを連結した後では、反対側の末端における突出配列が次のサイクルの最初のオリゴヌクレオチドの突出配列になる。1つの実施形態において、3つの突出配列はすべてが2ヌクレオチド長〜6ヌクレオチド長であり、後続オリゴヌクレオチドのコード配列は長さが3ヌクレオチド〜10ヌクレオチド(好ましくは、3ヌクレオチド〜6ヌクレオチド)である。特定の実施形態において、突出配列はすべてが2ヌクレオチド長であり、コード配列は長さが5ヌクレオチドである。
図4に例示される実施形態において、後続の鎖は、両方の鎖の5’末端において突出部を残して、最初のオリゴヌクレオチドの3’末端に対して相補的である領域をその3’末端に有する。5’末端は、例えば、二本鎖の伸長したオリゴヌクレオチドをもたらすDNAポリメラーゼ(例えば、ventポリメラーゼなど)を使用する際に充填することができる。このオリゴヌクレオチドの下部鎖は除くことができ、さらなる配列を、同じ方法を使用して上部鎖の3’末端に付加することができる。
コードオリゴヌクレオチドタグが、それぞれの連続した基礎単位を特定するオリゴヌクレオチドの連続した付加の結果として形成される。本発明の方法の1つの実施形態において、連続したオリゴヌクレオチドタグを酵素的連結によってカップリングして、コードオリゴヌクレオチドを作製することができる。
オリゴヌクレオチドの酵素触媒による連結を、核酸フラグメントを連結する能力を有する任意の酵素を使用して行うことができる。例示的な酵素には、リガーゼ、ポリメラーゼおよびトポイソメラーゼが含まれる。本発明の具体的な実施形態において、DNAリガーゼ(EC6.5.1.1)、DNAポリメラーゼ(EC2.7.7.7)、RNAポリメラーゼ(EC2.7.7.6)またはトポイソメラーゼ(EC5.99.1.2)が、オリゴヌクレオチドを連結するために使用される。それぞれのECクラスに含まれる酵素を、例えば、Bairoch(2000)、Nucleic Acids Research 28:304〜5に記載されるように見出すことができる。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるオリゴヌクレオチドはオリゴデオキシヌクレオチドであり、オリゴヌクレオチド連結を触媒するために使用される酵素はDNAリガーゼである。連結がリガーゼの存在下で生じるためには、すなわち、ホスホジエステル結合を2つのオリゴヌクレオチドの間で形成させるためには、一方のオリゴヌクレオチドは遊離5’リン酸基を有しなければならず、かつ、もう一方のオリゴヌクレオチドは遊離3’ヒドロキシル基を有しなければならない。本発明の方法において使用することができる例示的なDNAリガーゼには、T4DNAリガーゼ、Taq DNAリガーゼ、TRNAリガーゼ、DNAリガーゼ(大腸菌)が含まれる(これらはすべてが、例えば、New England Biolabs(MA)から入手可能である)。
当業者は、連結のために使用される各酵素が最適な活性を特定の条件(例えば、温度、緩衝液濃度、pHおよび時間)のもとで有することを理解する。これらの条件のそれぞれを、オリゴヌクレオチドタグの最適な連結を得るために、例えば、製造者の説明書に従って調節することができる。
後続オリゴヌクレオチドは任意の望ましい長さを有し得るが、好ましくは、少なくとも3ヌクレオチド長である。より好ましくは、後続オリゴヌクレオチドは長さが4ヌクレオチド以上である。1つの実施形態において、後続オリゴヌクレオチドは長さが3ヌクレオチド〜約12ヌクレオチドである。本発明のライブラリーにおける分子のオリゴヌクレオチドは、この分野で知られているように、PCRのためのプライマーとして役立ち得る共通の末端配列を有することが好ましい。そのような共通の末端配列は、ライブラリー合成の最終サイクルにおいて付加される後続オリゴヌクレオチドの末端端部として取り込むことができ、または、ライブラリー合成の後で、例えば、本明細書中に開示される酵素的連結方法を使用して加えることができる。
本発明の方法の好ましい実施形態が図5に示される。このプロセスは、アミノ基で終わるリンカーに対してその5’末端において結合する合成されたDNA配列とともに開始される。工程1において、この出発DNA配列が、Tris緩衝液中で、添え木DNA鎖、DNAリガーゼおよびジチオスレイトールの存在下、後続のDNA配列に連結される。これにより、タグ標識されたDNA配列がもたらされ、これは、その後、次の工程でそのまま使用することができるか、あるいは、次の工程に進行する前に、例えば、HPLCまたはエタノール沈殿を使用して精製することができる。工程2において、タグ標識されたDNAを、保護されている活性化されたアミノ酸(この例では、Fmoc保護されたアミノ酸フルオリド)と反応させ、保護されたアミノ酸−DNAコンンジュゲートを生じさせる。工程3において、保護されたアミノ酸−DNAコンンジュゲートを、例えば、ピペリジンの存在下で脱保護し、得られた脱保護コンジュゲートを、場合により、例えば、HPLCまたはエタノール沈殿によって精製する。脱保護コンジュゲートは最初の合成サイクルの生成物であり、2番目のアミノ酸残基を脱保護コンジュゲートの遊離アミノ基に付加する2番目のサイクルのための出発物質になる。
PCRが、選択された分子のコードオリゴヌクレオチドを増幅するために使用されることになる実施形態において、コードオリゴヌクレオチドは、好ましくは、PCRプライマー配列を含む。例えば、PCRプライマー配列を、合成の最初のサイクルに先だって、最初のオリゴヌクレオチドに含めることができ、または、最初の後続オリゴヌクレオチドとともに含めることができる。コードオリゴヌクレオチドはまた、コード配列が続く封鎖用のPCRプライマー配列を含むことができる。キャッピング配列を、ライブラリー合成の最終サイクルの後でコードオリゴヌクレオチドに連結することができ、または、最終サイクルの後続オリゴヌクレオチドに含めることができる。PCRプライマー配列が後続オリゴヌクレオチドに含められる場合、これらの後続オリゴヌクレオチドは、コード配列およびPCRプライマー配列の両方を含むので、好ましくは、それ以外のサイクルにおいて付加された後続オリゴヌクレオチドよりも著しく長い。
キャッピング配列が、最後の基礎単位および最後の後続オリゴヌクレオチドを付加した後で加えられる場合、本明細書中に示されるようなライブラリーの合成は、ライブラリー成分の実質的にすべてのオリゴヌクレオチド部分が、PCRプライマー配列を含む配列で終わるように、キャッピング配列をコードオリゴヌクレオチドに連結する工程を含む。本発明のライブラリーにおいて使用される好適なPCRプライマー配列はこの分野では知られており、好適なプライマーおよび方法が、例えば、Innis他編、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(San Diego、Academic Press(1990)、この内容はその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)に示される。好ましくは、キャッピング配列は、最終合成サイクルの生成物であるプールされた画分に対する連結によって加えられる。キャッピング配列は、ライブラリーの構築において使用される酵素プロセスを使用して加えることができる。
上記で示されたように、本発明の方法の一部としてのオリゴヌクレオチドタグのヌクレオチド配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用によって決定することができる。
オリゴヌクレオチドタグは、本明細書中に記載されるように機能性部分を構成する基礎単位を特定するポリヌクレオチドから構成される。オリゴヌクレオチドタグの核酸配列は、オリゴヌクレオチドタグを下記のようなPCR反応に供することによって決定される。適切なサンプルが、事前に選択されたヌクレオチド配列を対のそれぞれの成分が有するPCRプライマー対と接触させられる。PCRプライマー対は、コードオリゴヌクレオチドタグにおけるPCRプライマー結合部位にハイブリダイゼーションすることによってプライマー伸長反応を開始させることができる。PCRプライマー結合部位は、好ましくは、コードオリゴヌクレオチドタグの中に設計される。例えば、PCRプライマー結合部位を最初のオリゴヌクレオチドタグの中に組み込むことができ、また、第2のPCRプライマー結合部位を最後のオリゴヌクレオチドタグの中に組み込むことができる。あるいは、第2のPCRプライマー結合部位を、本明細書中に記載されるようなキャッピング配列の中に組み込むことができる。好ましい実施形態において、PCRプライマー結合部位は、長さが、少なくとも5ヌクレオチド、7ヌクレオチド、10ヌクレオチド、13ヌクレオチド、15ヌクレオチド、17ヌクレオチド、20ヌクレオチド、22ヌクレオチドまたは25ヌクレオチドである。
PCR反応は、PCRプライマー対(好ましくは、その所定量)をPCR緩衝液においてコードオリゴヌクレオチドタグの核酸(好ましくは、その所定量)と混合して、PCR反応混合物を形成することによって行われる。混合物は、PCR反応生成物の形成のために十分である一定のサイクル数(これは典型的には事前に決定される)について熱サイクル処理される。十分な量の生成物は、DNA配列の決定を可能にするために、十分な量で単離することができる量である。
PCRは、典型的には、下限が約30℃〜約55℃であり、かつ、上限が約90℃〜約100℃である温度範囲で、PCR反応混合物を熱サイクル処理することによって、すなわち、PCR反応混合物の温度の上昇および下降を繰り返すことによって行われる。上昇および下降は連続的であり得るが、好ましくは、ポリヌクレオチドの合成、変性およびハイブリダイゼーションのために好都合である温度のそれぞれにおける相対的な温度安定性を有する時間を伴って段階的である。
PCR反応は、任意の好適な方法を使用して行われる。一般には、PCR反応は、好ましくは、7〜9のpHで、緩衝化された水溶液(すなわち、PCR緩衝液)において行われる。好ましくは、モル過剰量のプライマーが存在する。大きなモル過剰が、プロセスの効率を改善するために好ましい。
PCR緩衝液はまた、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(ポリヌクレオチド合成の基質である)dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、ならびに、ポリメラーゼ(典型的には熱安定性)を、すべて、プライマー伸長(ポリヌクレオチド合成)反応のための十分な量で含有する。得られる溶液(PCR混合物)は約90℃〜100℃に約1分間〜10分間(好ましくは1分間〜4分間)加熱される。この加熱期間の後、溶液は、プライマーのハイブリダイゼーションのために好ましい54℃に冷却される。合成反応を、室温から、ポリメラーゼ(誘導因子)がもはや効率的に機能しない温度を超える温度までに及ぶ温度において行うことができる。従って、例えば、DNAポリメラーゼが使用される場合、温度は一般に約40℃を超える。熱サイクル処理が、所望する量のPCR生成物が作製されるまで繰り返される。例示的なPCR緩衝液は下記の試薬を含む:50mMのKCl;10mMのTris−HCl(pH8.3);1.5mMのMgCl;0.001%(wt/vol)のゼラチン;200μMのdATP;200μMのdTTP;200μMのdCTP;200μMのdGTP;および100マイクロリットルの緩衝液について2.5ユニットのThermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼI。
プライマー配列を伸長させるための好適な酵素には、例えば、大腸菌DNAポリメラーゼI、Taq DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、T4DNAポリメラーゼ、他の利用可能なDNAポリメラーゼ、逆転写酵素、および、それぞれの核酸鎖に対して相補的であるプライマー伸長生成物を形成するために適正な様式でヌクレオチドの組合せを容易にする他の酵素(熱安定性酵素を含む)が含まれる。一般に、合成は各プライマーの3’末端において開始され、合成が停止するまでテンプレート鎖に沿って5’方向で進行し、これにより、種々の長さの分子が作製される。
新たに合成されたDNA鎖およびその相補的な鎖は、合成プロセスの続く工程において使用することができる二重鎖分子を形成する。
PCR増幅法が、米国特許第4,683,192号、同第4,683,202号、同第4,800,159号および同第4,965,188号において、また、少なくとも、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(H.Erlich編、Stockton Press、New York(1989))およびPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis他編、Academmic Press、San Diego、Calif.(1990))において詳しく記載される。すべての前述の文書の内容は参考として本明細書中に組み込まれる。
プライマー伸長によって合成されるプライマー、プローブおよび核酸フラグメントまたは核酸セグメントに関連して本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、2つ以上のデオキシリボヌクレオチド(好ましくは、3つ以上のデオキシリボヌクレオチド)から構成される分子として定義される。
本明細書中で使用される用語「プライマー」は、核酸鎖に対して相補的であるプライマー伸長生成物の合成が誘導される条件に置かれたとき、すなわち、ヌクレオチドおよび重合用因子(例えば、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素など)の存在下、好適な温度およびpHで核酸合成の開始点として作用することができるポリヌクレオチド(核酸制限消化物から精製されているか、または、合成的に作製されているかのいずれかであっても)を示す。プライマーは、好ましくは、最大限の効率のために一本鎖であり、しかし、代替として、二本鎖形態であってもよい。二本鎖である場合、プライマーは最初に、その相補的な鎖から分離するために処理され、その後、伸長生成物を調製するために使用される。好ましくは、プライマーはポリデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、重合用因子の存在下での伸長生成物の合成を可能にするために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度およびプライマー源をはじめとする多くの要因に依存する。
本明細書中で使用されるプライマーは、増幅されるそれぞれの特定の配列の異なる鎖に対して「実質的に」相補的であるように選択される。このことは、プライマーが、そのそれぞれのテンプレート鎖とランダムにハイブリダイゼーションしないように十分に相補的でなければならないことを意味する。従って、プライマー配列はテンプレートの正確な配列を反映していることがあり、または反映していないことがある。
ポリヌクレオチドプライマーは、任意の好適な方法を使用して、例えば、Narang他(1979)、Meth.Enzymol.、68:90;米国特許第4,356,270号、米国特許第4,458,066号、米国特許第4,416,988号、米国特許第4,293,652号;および、Brown他(1979)、Meth.Enzymol.、68:109に記載されるホスホトリエステル法またはホスホジエステル法などを使用して調製することができる。すべての前述の文書の内容は参考として本明細書中に組み込まれる。
コードオリゴヌクレオチドタグが増幅されると、タグの配列、および、究極的には、選択された分子の組成を、核酸配列分析(ヌクレオチド配列の配列を決定するための広く知られている技術)を使用して決定することができる。核酸配列分析は、(a)プローブ鎖+その相補的な標的のハイブリダイゼーションまたは変性に基づく物理化学的技術、および(b)ポリメラーゼを用いた酵素反応の組合せによって行われる。
本発明はさらに、単離された化学種としてであっても、または、化学構造体のライブラリーを形成するためにプールされているとしてであっても、本発明の方法を使用して作製することができる化合物、および、そのような化合物のコレクションに関連する。本発明の化合物は下記の式の化合物を包含する:
Figure 0005646127
式中、Xは、1つまたは複数の基礎単位を含む機能性部分であり、Zは、その3’末端においてBに結合するオリゴヌクレオチドであり、Yは、その5’末端においてCに結合するオリゴヌクレオチドである。Aは、Xとの共有結合を形成する官能基であり、Bは、Zの3’末端との結合を形成する官能基であり、Cは、Yの5’末端との結合を形成する官能基である。D、EおよびFは、官能基A、官能基Bおよび官能基Cを、コア原子または骨格であるSに連結する化学基である。好ましくは、D、EおよびFは、それぞれが独立して、アルキレン鎖またはオリゴ(エチレングリコール)鎖などの原子の鎖であり、D、EおよびFは同じまたは異なることができ、好ましくは、2つのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび機能性部分の合成を可能にするために効果的である。
好ましくは、YおよびZは実質的に相補的であり、かつ、ワトソン・クリック塩基対形成および二重鎖形成を好適な条件下で可能にするように化合物内で配向される。YおよびZは同じ長さまたは異なる長さである。好ましくは、YおよびZが同じ長さであるか、または、YおよびZの一方が他方よりも1塩基〜10塩基長い。好ましい実施形態において、YおよびZは、それぞれが10塩基長以上であり、かつ、10塩基対以上の相補的領域を有する。より好ましくは、YおよびZはそれらの長さ全体を通して実質的に相補的である。すなわち、YおよびZは10塩基対毎に多くても1つのミスマッチを有する。より好ましくは、YおよびZはそれらの長さ全体を通して相補的である。すなわち、YまたはZにおける任意の突出領域を除いて、鎖は、それらの全長全体においてミスマッチを伴うことなく、ワトソン・クリック塩基対形成によりハイブリダイゼーションする。
Sは単原子または分子骨格であり得る。例えば、Sは、炭素原子、ホウ素原子、窒素原子またはリン原子、あるいは多原子の骨格(例えば、リン酸基または環状基(例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基など)など)であり得る。1つの実施形態において、リンカーは下記の構造の基である:
Figure 0005646127
式中、n、mおよびpのそれぞれが独立して、1〜約20の整数であり、好ましくは、2〜8の整数であり、最も好ましくは、3〜6の整数である。1つの具体的な実施形態において、リンカーは、下記に示される構造を有する:
Figure 0005646127
1つの実施形態において、本発明のライブラリーは、基礎単位から構成される機能性部分からなる分子を含み、この場合、それぞれの機能性部分がコードオリゴヌクレオチドに作動可能に連結される。コードオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列により、機能性部分に存在する基礎単位が示され、一部の実施形態では、基礎単位の接続性または配置が示される。本発明は、機能性部分を構築するために使用される方法論と、オリゴヌクレオチドタグを構築するために使用される方法論とを、同じ反応媒体において、好ましくは、水性媒体において行うことができ、従って、先行技術における方法と比較して、ライブラリーを調製する方法を簡略化することができるという利点を提供する。オリゴヌクレオチドの連結工程および基礎単位の付加工程をともに水性媒体中で行うことができる特定の実施形態において、それぞれの反応は異なるpH至適を有する。このような実施形態において、基礎単位の付加反応を好適な水性緩衝液において好適なpHおよび温度で行うことができる。緩衝液は、その後、オリゴヌクレオチド連結のための好適なpHを提供する水性緩衝液に交換することができる。
本発明の方法の利点の1つは、本発明の方法を使用して、非常に多数の化合物を含むライブラリーを調製することができることである。ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)などの知られている方法を使用してコードオリゴヌクレオチド配列を増幅することができることは、比較的少ないコピー体が回収される場合でさえ、選択された分子を同定することができることを意味する。このことは、その大きな程度の複雑性の結果として、任意の所与のライブラリー成分の比較的少数のコピー体を含むか、または、非常に大きな体積の使用を要求するかのいずれかである非常に大きいライブラリーの実用的な使用を可能にする。例えば、各構造が1x1012個のコピー体(約1ピコモル)を有する10個の互いに異なる構造からなるライブラリーは1μMの有効濃度で約100Lの溶液を要求する。同じライブラリーについて、各成分が1,000,000コピーによって表されるならば、要求される体積は1μMの有効濃度で100μLである。
好ましい実施形態において、ライブラリーは約10コピー〜約1015コピーの各ライブラリー成分を含む。ライブラリー成分間の合成効率の違いを考えると、異なるライブラリー成分が任意の所与のライブラリーにおいて異なる数のコピー体を有することが考えられる。従って、ライブラリーにおいて理論的に存在する各成分のコピー体の数は同じあるかもしれないが、任意の所与のライブラリー成分のコピー体の実際の数は、任意の他の成分のコピー体の数とは無関係である。より好ましくは、本発明の化合物ライブラリーは少なくとも約10コピー、10コピーまたは10コピーの各ライブラリー成分または実質的にすべてのライブラリー成分を含む。「実質的にすべて」のライブラリー成分によって、ライブラリーの成分の少なくとも約85%、好ましくは、ライブラリーの成分の少なくとも約90%、より好ましくは、ライブラリーの成分の少なくとも約95%が意味される。
好ましくは、ライブラリーは、生物学的標的に対する多数回(すなわち、2回以上)の選択を行うことができる各成分のコピー体の十分な数を含み、結合性分子の十分な量が、残っている分子のオリゴヌクレオチドタグの増幅、および、従って、結合性分子の機能性部分の特定を可能にするために、最終ラウンドの選択の後で残っている。そのような選択プロセスの概略図が図6に例示される。図6において、1および2はライブラリー成分を表し、Bは標的分子であり、Xは、選択媒体からのBの除去を可能にするBに機能的に連結された成分である。この例において、化合物1はBに結合し、一方、化合物2はBに結合しない。選択プロセスは、ラウンド1において示されるように、(I)化合物1および化合物2を含むライブラリーを、Bに対する化合物1の結合のために好適な条件下でB−Xと接触させること;(II)結合していない化合物2を除くこと;(III)化合物1をBから解離させ、BXを反応媒体から除くことを含む。ラウンド1の結果は、化合物2に対して化合物1が濃縮されている分子のコレクションである。工程I〜工程IIIを用いるその後のラウンドは、化合物2に対して化合物1のさらなる濃縮をもたらす。3ラウンドの選択が図6には示されるが、実際には、任意の回数を、非結合性分子に対する結合性分子の所望する濃縮を達成するために用いることができる(例えば、1ラウンド〜10ラウンド)。
図6に示される実施形態では、いずれかの選択ラウンドの後で残っている化合物の増幅(そのような化合物のより多くのコピー体の合成)は行われない。そのような増幅は、選択後に残っている化合物の相対的な量と一致しない化合物の混合物をもたらし得る。この不一致は、特定の化合物が他の化合物よりも容易に合成されることがあり、従って、選択後のそれらの存在に比例しない様式で増幅されることがあるという事実に起因する。例えば、化合物2が化合物1よりも容易に合成されるならば、ラウンド2の後に残っている分子の増幅は、化合物1に対して化合物2の不釣り合いな増幅をもたらし、化合物2に対して化合物1の(生じるならば)はるかに低下した濃縮を伴う化合物の混合物をもたらす。
1つの実施形態において、標的が、任意の知られている固定化技術によって固体担体に固定化される。固体担体は、例えば、クロマトグラフィーカラム内に含有される水不溶性マトリックス、またはメンブランであり得る。コードされるライブラリーを、クロマトグラフィーカラム内に含有される水不溶性マトリックスに加えることができる。その後、カラムは、非特異的な結合体を除くために洗浄される。その後、標的と結合した化合物を、pH、塩濃度、有機溶媒濃度を変化させることによって、または他の方法(例えば、標的に対する既知のリガンドとの競合など)によって解離させることができる。
別の実施形態において、標的は溶液中で自由であり、コードされたライブラリーとインキュベーションされる。標的(これは本明細書中では「リガンド」とも呼ばれる)に結合する化合物が、サイズ分離工程(例えば、ゲルろ過または限外ろ過など)によって選択的に単離される。1つの実施形態において、コードされる化合物の混合物および標的生体分子が、任意のリガンド−標的複合体を非結合の化合物から分離するサイズ排除クロマトグラフィーカラム(ゲルろ過)に通される。リガンド−標的複合体は、リガンドを標的から解離させる逆相クロマトグラフィーカラムに移される。解離したリガンドは、その後、コードオリゴヌクレオチドのPCR増幅および配列分析によって分析される。この方法は、標的の固定化が活性の喪失をもたらし得る状況では特に好都合である。
単一リガンドが上記プロセスによって特定されると、様々なレベルの分析を、構造−活性関係の情報を得るために、また、リガンドの親和性、特異性および生物活性のさらなる最適化を導くために適用することができる。同じ骨格に由来するリガンドについては、三次元分子モデル化を、リガンドに共通する重要な構造的特徴を特定し、それにより、標的生体分子上の共通する部位においておそらくは結合する小分子リガンドの様々なファミリーを作製するために用いることができる。
様々なスクリーニング法を、1つの標的について大きい親和性を有し、しかし、別の近縁の標的についてはそれよりも著しく弱い親和性を有するリガンドを得るために使用することができる。1つのスクリーニング戦略は、並行実験において双方の生体分子についてリガンドを同定し、かつ、続いて相互参照の比較によって共通のリガンドを除くことである。この方法では、それぞれの生体分子に対するリガンドを、上記で開示されたように別々に同定することができる。この方法は、固定化された標的生体分子と、溶液中で遊離状態にある標的生体分子との両方と適合する。
固定化された標的生体分子について、別の方法は、非標的生体分子に結合するすべてのリガンドをライブラリーから除く予備選択工程を加えることである。例えば、第1の生体分子を、上記のようなコードされたライブラリーと接触させることができる。第1の生体分子に結合しない化合物が、その後、形成している何らかの第1の生体分子−リガンド複合体から分離される。その後、第2の生体分子が、第1の生体分子に結合しなかった化合物と接触させられる。第2の生体分子に結合する化合物を上記のように同定することができ、第2の生体分子に結合する化合物は、第2の生体分子について、第1の生体分子に対するよりも著しく大きい親和性を有し得る。
上記で開示された方法によって同定される、機能が不明な生体分子に対するリガンドもまた、そのような生体分子の生物学的機能を明らかにするために使用することができる。新しい遺伝子配列が同定され続けているが、これらの遺伝子によってコードされるタンパク質の機能、ならびに、新薬発見および新薬開発のために標的としてのこれらのタンパク質の妥当性は、明らかにすることが困難であり、また、ゲノム情報を疾患の処置に適用することに対する最も著しい障害をおそらくは表しているので、このことは好都合である。本発明において記載される方法によって得られる標的特異的なリガンドは、標的タンパク質の機能と、治療的介入のための標的タンパク質の妥当性との両方を理解するために、細胞生物学的アッセイ全体において、または適切な動物モデルにおいて効果的に用いることができる。この方法はまた、標的が小分子薬物の発見を特に容易にもたらすことを立証することができる。
1つの実施形態において、本発明のライブラリーに含まれる1つまたは複数の化合物が特定の生体分子に対するリガンドとして同定される。これらの化合物は、その後、その生体分子に結合する能力についてインビトロアッセイで評価することができる。好ましくは、結合性化合物の機能性部分が、オリゴヌクレオチドタグまたはリンカー部分を伴うことなく合成され、これらの機能性部分が、その生体分子に結合する能力について評価される。
生体分子の機能に対する、機能性部分が生体分子に結合することの影響もまた、インビトロでの無細胞アッセイまたは細胞型アッセイを使用して評価することができる。既知の機能を有する生体分子については、アッセイは、例えば、活性(例えば、酵素活性など)の直接的な測定によって、または、間接的な計測(例えば、生体分子によって影響を受ける細胞機能)によって、リガンドの存在下および非存在下での生体分子の活性の比較を含むことができる。生体分子が機能不明であるならば、その生体分子を発現する細胞をリガンドと接触させることができ、細胞の生存性、機能、表現型および/または遺伝子発現に対するリガンドの影響が評価される。インビトロアッセイは、例えば、細胞死アッセイ、細胞増殖アッセイまたはウイルス複製アッセイが可能である。例えば、生体分子が、ウイルスにより発現されるタンパク質であるならば、ウイルス感染細胞を、そのタンパク質に対するリガンドと接触させることができる。その後、ウイルス生存性に対する、リガンドがそのタンパク質に結合することの影響を評価することができる。
本発明の方法によって同定されるリガンドはまた、インビボモデルまたはヒトにおいて評価することができる。例えば、リガンドを、その生体分子を産生する動物または生物において評価することができる。動物または生物の健康な状態における何らかの生じる変化(例えば、疾患の進行)を明らかにすることができる。
機能が不明な生体分子(例えば、タンパク質または核酸分子など)については、その生体分子を産生する細胞または生物に対する、その生体分子に結合するリガンドの影響は、その生体分子の生物学的機能に関する情報を提供する。例えば、特定の細胞プロセスがリガンドの存在下で阻害されるという観測結果は、そのプロセスが少なくとも部分的にはその生体分子の機能に依存することを示している。
本発明の方法を使用して同定されたリガンドはまた、リガンドが結合する生体分子に対する親和性試薬として使用することができる。1つの実施形態において、そのようなリガンドは、例えば、1つまたは複数のそのようなリガンドが結合する固相を使用する、その生体分子を含む溶液のクロマトグラフィーによる生体分子のアフィニティー精製を行うために使用される。
本発明は、限定であるとして解釈すべきではない下記の実施例によってさらに例示される。本出願明細書全体を通して引用されているすべての参考文献、特許および公開された特許出願の内容、ならびに、図および配列表は、参考として本明細書により組み込まれる。
(実施例1:成分がおよそ10個であるライブラリーの合成および特長づけ)
およそ10個の別個の成分を含むライブラリーの合成を、下記の試薬を使用して達成した。
化合物1:
Figure 0005646127
一文字の文字はデオキシリボヌクレオチドをコードする:
A=アデノシン
C=シチジン
G=グアノシン
T=チミジン。
基礎単位前駆体:
Figure 0005646127
Figure 0005646127
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Figure 0005646127
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1Xリガーゼ緩衝液:50mM Tris、pH7.5;10mMジチオスレイトール;10mM MgCl;2.5mM ATP;50mM NaCl。
10Xリガーゼ緩衝液:500mM Tris、pH7.5;100mMジチオスレイトール;100mM MgCl;25mM ATP;500mM NaCl。
(サイクル1)
12個のPCRチューブのそれぞれに、50μLの化合物1の水における1mM溶液;75μLのタグ1.1〜1.12の1つの0.80mM溶液;15μLの10Xリガーゼ緩衝液および10μLの脱イオン水を加えた。チューブを95℃に1分間加熱し、その後、10分かけて16℃に冷却した。それぞれのチューブに、50μLの1Xリガーゼ緩衝液における5,000ユニットのT4DNAリガーゼ(2.5μLの2,000,000ユニット/mL溶液(New England Biolabs、カタログ番号M0202))を加え、得られた溶液を16℃で16時間インキュベーションした。
連結後、サンプルを1.5mlのEppendorfチューブに移し、20μLの5MのNaCl水溶液および500μLの冷却された(−20℃)エタノールにより処理し、−20℃で1時間保った。遠心分離後、上清を除き、ペレットを−20℃での70%水性エタノールにより洗浄した。その後、ペレットのそれぞれを150μLの150mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.4)に溶解した。
基礎単位前駆体BB1〜BB12の各1つ、N,N−ジイソプロピルエタノールアミンおよびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを、それぞれが0.25Mの濃度で含むストック溶液を、DMFにおいて調製し、室温で20分間撹拌した。基礎単位前駆体の溶液を上記ペレット溶液のそれぞれに加えて、リンカーに対して10倍過剰の基礎単位前駆体を得た。得られた溶液を撹拌した。さらに10当量の基礎単位前駆体を20分後に反応混合物に加え、40分後にさらに10当量を加えた。反応混合物におけるDMFの最終濃度は22%であった。その後、反応溶液を4℃で一晩撹拌した。反応の進行を、50mM酢酸テトラエチルアンモニウム水溶液(pH=7.5)およびアセトニトリル、ならびに、14分間にわたる2%〜46%のアセトニトリルのグラジエントを使用するRP−HPLCによってモニターした。反応を、出発物質(リンカー)の約95%がアシル化されているとき、停止させた。アシル化の後、反応混合物をプールし、凍結乾燥して乾固した。その後、凍結乾燥物をHPLCによって精製し、ライブラリー(アシル化生成物)に対応する画分をプールし、凍結乾燥した。
ライブラリーを2.5mlの0.01Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH=8.2)に溶解し、0.1mlのピペリジン(4%v/v)をそれに加えた。ピペリジンの添加は濁りをもたらし、これは混合時に溶解しない。反応混合物を室温で50分間撹拌し、その後、濁った溶液を遠心分離(14,000rpm)し、上清を、200μlのピペットを使用して取り出し、ペレットを0.1mlの水に再懸濁した。水性洗浄液を上清と一緒にし、ペレットを捨てた。脱保護されたライブラリーを、反応液におけるエタノールの最終濃度を70%v/vにするように過剰な氷冷エタノールの添加によって溶液から沈殿させた。水性エタノール混合物の遠心分離により、ライブラリーを含む白色のペレットを得た。ペレットを冷70%aq.エタノールにより1回洗浄した。溶媒を除いた後、ペレットを風乾(約5分)して、微量のエタノールを除き、その後、サイクル2において使用した。ラウンド1で使用されたタグおよび対応する基礎単位前駆体を下記の表1に示す。
Figure 0005646127
(サイクル2〜5)
これらのサイクルのそれぞれのために、前サイクルから得られる一緒にされた溶液を、それぞれが50ulの12個の等量のアリコートに分割し、PCRチューブに入れた。各チューブに、異なるタグを含む溶液を加え、そして、サイクル3〜5については、サイクル1について記載されるHPLC精製工程を省略したことを除いて、連結、精製およびアシル化を、サイクル1について記載されるように行った。サイクル2〜5についてのタグおよび基礎単位前駆体の間の対応を表2に示す。
サイクル5の生成物を、タグの連結について上記に記載される方法を使用して、下記に示される停止用プライマーと連結した。
Figure 0005646127
Figure 0005646127
(結果:)
上記の合成手順は、12(約249,000)個の異なる構造を含むライブラリーを作製する能力を有する。ライブラリーの合成を各サイクルの生成物のゲル電気泳動によってモニターした。5サイクルのそれぞれ、および、停止用プライマーを連結した後の最終ライブラリーの結果が、図7に例示される。「先頭断片」と記された化合物は化合物1である。図は、各サイクルが分子量の予想された増大をもたらしていること、および、各サイクルの生成物が分子量に関して実質的に均一であることを示している。
(実施例2:成分がおよそ10個であるライブラリーの合成および特長づけ)
およそ10個の別個の成分を含むライブラリーの合成を、下記の試薬を使用して達成した。
化合物2:
Figure 0005646127
一文字の文字はデオキシリボヌクレオチドをコードする:
A=アデノシン
C=シチジン
G=グアノシン
T=チミジン。
基礎単位前駆体:
Figure 0005646127
Figure 0005646127
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1Xリガーゼ緩衝液:50mM Tris、pH7.5;10mMジチオスレイトール;10mM MgCl;2mM ATP;50mM NaCl。
10Xリガーゼ緩衝液:500mM Tris、pH7.5;100mMジチオスレイトール;100mM MgCl;20mM ATP;500mM NaCl。
(化合物2に対する水溶性スペーサーの結合)
4℃に冷却された、ホウ酸ナトリウム緩衝液(150mM、pH9.4)における化合物2の溶液(60mL、1mM)に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)における40当量のN−Fmoc−15−アミノ−4,7,10,13−テトラオキサオクタデカン酸(S−Ado)(16mL、0.15M)を加え、その後、水における40当量の4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物(DMTMM)(9.6mL、0.25M)を加えた。混合物を4℃で2時間穏やかに撹拌し、その後、さらに40当量のS−AdoおよびDMTMMを加え、4℃でさらに16時間振とうした。
アシル化の後、0.1X体積の5MのNaCl水溶液および2.5X体積の冷却された(−20℃)エタノールを加え、混合物を−20℃で少なくとも1時間放置した。その後、混合物を4℃において14,000rpmで15分間遠心分離して、白色のペレットを得て、これを冷EtOHにより洗浄し、次いで、室温で30分間、凍結乾燥機において乾燥した。固体を40mLの水に溶解し、Waters Xterra RP18カラムを用いた逆相HPLCによって精製した。二成分移動相グラジエントプロフィルを使用して、生成物を溶出させた(50mM酢酸トリエチルアンモニウム水溶液緩衝液(pH7.5)および99%アセトニトリル/1%水の溶液を使用した)。精製物を凍結乾燥によって濃縮し、得られた残渣を5mLの水に溶解した。0.1X体積のピペリジンを溶液に加え、混合物を室温で45分間穏やかに振とうした。その後、生成物を、上記で記載されたようにエタノール沈殿によって精製し、遠心分離によって単離した。得られたペレットを冷EtOHにより2回洗浄し、凍結乾燥によって乾燥して、精製された化合物3を得た。
(サイクル1)
96ウエルプレートにおける各ウエルに、化合物3の水における4mM溶液の12.5μL、表3に示されるようなオリゴヌクレオチドタグ1.1〜1.96の1つの1mM溶液の100μLを加えた(化合物3対タグのモル比は1:2であった)。プレートを95℃に1分間加熱し、その後、10分かけて16℃に冷却した。各ウエルに、10μLの10Xリガーゼ緩衝液、30ユニットのT4DNAリガーゼ(1μLの30ユニット/μL溶液(FermentasLife Science、カタログ番号EL0013))、76.5μlの水を加え、得られた溶液を16℃で16時間インキュベーションした。
連結反応の後、20μLの5MのNaCl水溶液を各ウエルに直接に加え、その後、500μLの冷却された(−20℃)エタノールを加え、−20℃で1時間保った。プレートを、Beckman Microplus Carriersを使用してBeckman Coulter Allegra 6R遠心分離機において3200gで1時間遠心分離した。上清を、プレートを反転させることによって注意深く除き、ペレットを−20℃での70%の冷却された水性エタノールにより洗浄した。その後、ペレットのそれぞれを1mMの濃度にホウ酸ナトリウム緩衝液(50μL、150mM、pH9.4)に溶解し、4℃に冷却した。
各溶液に、DMFにおける40当量の96個の基礎単位前駆体の1つ(13μL、0.15M)を加え、その後、水における40当量のDMT−MM(8μL、0.25M)を加え、溶液を4℃で穏やかに振とうした。2時間後、さらに40当量の各基礎単位前駆体の1つおよびDMTMMを加え、溶液を4℃で16時間穏やかに振とうした。アシル化の後、DMFにおける10当量の酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(2μL、0.25M)を各溶液に加え、10分間穏やかに振とうした。
アシル化の後、96個の反応混合物をプールし、0.1体積の5MのNaCl水溶液および2.5体積の冷却された無水エタノールを加え、溶液を−20℃で少なくとも1時間放置した。その後、混合物を遠心分離した。遠心分離後、できる限り多くの上清をマイクロピペットにより除き、ペレットを冷エタノールにより洗浄し、再び遠心分離した。上清を200μLのピペットにより除いた。冷却された70%エタノールをチューブに加え、得られた混合物を4℃で5分間遠心分離した。
上清を除き、残留するエタノールを、室温での10分間の凍結乾燥によって除いた。その後、ペレットを2mLの水に溶解し、Waters Xterra RP18カラムを用いた逆相HPLCによって精製した。二成分移動相グラジエントプロフィルを使用して、ライブラリーを溶出させた(50mM酢酸トリエチルアンモニウム水溶液緩衝液(pH7.5)および99%アセトニトリル/1%水の溶液を使用した)。ライブラリーを含有する画分を集め、プールし、凍結乾燥した。得られた残渣を2.5mLの水に溶解し、250μLのピペリジンを加えた。溶液を45分間穏やかに振とうし、以前に記載されたように、エタノール沈殿した。得られたペレットを凍結乾燥によって乾燥し、1mMの濃度にホウ酸ナトリウム緩衝液(4.8mL、150mM、pH9.4)に溶解した。
溶液を4℃に冷却し、それぞれ40当量のDMFにおけるN−Fmoc−プロパルギルグリシン(1.2mL、0.15M)および水におけるDMT−MM(7.7mL、0.25M)を加えた。混合物を4℃で2時間穏やかに振とうし、その後、さらに40当量のN−Fmoc−プロパルギルグリシンおよびDMT−MMを加え、溶液をさらに16時間振とうした。その後、混合物を、上記で記載されたようにEtOH沈殿および逆相HPLCによって精製し、そして、N−Fmoc基を、前記で記載されたようにピペリジンによる処理によって除いた。EtOH沈殿による最終精製のとき、得られたペレットを凍結乾燥によって乾燥し、次の合成サイクルに持ち込んだ。
(サイクル2〜4)
これらのサイクルのそれぞれのために、前サイクルから得られた乾燥ペレットを水に溶解し、ライブラリーの濃度を、ライブラリーのDNA成分の吸光係数に基づいて分光光度法によって求めた(この場合、化合物2の最初の吸光係数は131,500L/(mol.cm)である)。ライブラリーの濃度を、その後の連結反応における最終濃度が0.25mMであるように水を用いて調節した。その後、ライブラリーを96ウエルプレートにおいて96個の等量のアリコートに分割した。各ウエルに、異なるタグを含む溶液を加え(ライブラリー対タグのモル比は1:2であった)、連結を、サイクル1について記載されたように行った。サイクル2、サイクル3およびサイクル4で使用されたオリゴヌクレオチドタグを、表4、表5および表6にそれぞれ示す。サイクル1〜4のそれぞれについてのタグと基礎単位前駆体との対応を表7に示す。ライブラリーを、サイクル1について上記で記載されたようにエタノールの添加によって沈殿させ、1mMの濃度にホウ酸ナトリウム緩衝液(150mM、pH9.4)に溶解した。続くアシル化および精製を、HPLC精製がサイクル3のときには省略されたことを除いて、サイクル1について記載されたように行った。
サイクル4の生成物を、タグの連結について上記に示される方法を使用して、下記に示される停止用プライマーと連結した。
Figure 0005646127
(結果:)
上記の合成手順は、96(約10)個の異なる構造を含むライブラリーを作製する能力を有する。ライブラリーの合成を各サイクルの生成物のゲル電気泳動およびLC/MSによってモニターした。完了したとき、ライブラリーを、いくつかの技術を使用して分析した。図13aは、サイクル4の後であるが、停止用プライマーを連結する前のライブラリーのクロマトグラムである;図13bは、同じ合成段階でのライブラリーの質量スペクトルである。平均分子量を負イオンLC/MS分析によって決定した。イオンシグナルを、ProMassソフトウエアを使用して解析した。この結果は、ライブラリーの予測された平均質量と一致している。
ライブラリーのDNA成分をアガロースゲル電気泳動によって分析した。アガロースゲル電気泳動は、ライブラリー物質の大部分が、正しいサイズの連結された生成物に対応することを示した。ライブラリーのサンプリングに由来するPCR生成物の分子クローンのDNA配列分析は、DNAの連結が、大きい忠実度で、かつ、ほぼ完全に生じていたことを示している。
(ライブラリーの環化)
サイクル4が完了したとき、ライブラリーの一部を、通常のアシル化条件下でアジド酢酸を使用してN末端において封鎖した。EtOH沈殿による精製の後の生成物をリン酸ナトリウム緩衝液(150mM、pH8)に1mMの濃度に溶解し、それぞれ4当量の水におけるCuSO(200mM)、水におけるアスコルビン酸(200mM)、および、DMFにおける下記に示される化合物の溶液(200mM)を加えた。その後、反応混合物を室温で2時間穏やかに振とうした。
Figure 0005646127
環化の程度をアッセイするために、ライブラリー環化反応液からの5μLのアリコートを取り出し、実施例4で記載されるように調製された蛍光標識されたアジドまたはアルキン(100mMのDMFストック液の1μL)により処理した。16時間後、アルキン標識またはアジド標識はいずれも、500nmでのHPLC分析により、ライブラリーに取り込まれていなかった。この結果は、ライブラリーが、付加環化を行うことができるアジド基またはアルキン基をもはや含有していなかったこと、および、従って、ライブラリーは、環化反応または分子間反応のいずれかによって自身と反応しなければならないことを示していた。環化されたライブラリーを、以前に記載されたように逆相HPLCによって精製した。非環化ライブラリーを使用するコントロール実験は上記の蛍光性タグの完全な取り込みを示した。
(実施例4:環化アッセイのための蛍光性タグの調製)
別個のチューブにおいて、プロパルギルグリシンまたは2−アミノ−3−フェニルプロピルアジド(それぞれ8μmol)をpH9.4のホウ酸塩緩衝液(250μL)においてFAM−OSu(Molecular Probes Inc.)(1.2当量)と一緒にした。反応を室温で3時間進行させ、その後、一晩凍結乾燥した。HPLCによる精製により、所望する蛍光性のアルキンおよびアジドを定量的収率で得た。
Figure 0005646127
(実施例5:アジド/アルキン付加環化反応を使用する個々の化合物の環化)
(アジドアセチル−Gly−Pro−Phe−Pra−NHの調製:)
0.3mmolのRink−アミド樹脂を使用することにより、示された配列を、Fmoc保護アミノ酸および活性化剤としてのHATUを用いて標準的な固相合成技術を使用して合成した(Pra=C−プロパルギルグリシン)。アジド酢酸を、このテトラペプチドを封鎖するために使用した。ペプチドを、20%TFA/DCMを用いて4時間、樹脂から切断した。RP HPLCによる精製により、生成物を白色の固体として得た(75mg、51%)。
Figure 0005646127
(アジドアセチル−Gly−Pro−Phe−Pra−NHの環化:)
Figure 0005646127
アジドアセチルペプチド(31mg、0.62mmol)をMeCN(30mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、1mL)およびCu(MeCN)PF(1mg)を加えた。1.5時間撹拌した後、溶液をエバポレーションし、得られた残渣を20%MeCN/HOに溶解した。遠心分離して、不溶性の塩を除いた後、溶液を調製用の逆相HPLCに供した。所望する環状ペプチドが白色の固体として単離された(10mg、32%)。
Figure 0005646127
(アジドアセチル−Gly−Pro−Phe−Pra−Gly−OHの調製:)
0.3mmolのグリシン−Wang樹脂を使用することにより、示された配列を、Fmoc保護アミノ酸および活性化剤としてのHATUを使用して合成した。アジド酢酸を、このペンタペプチドを封鎖するために、最後のカップリング工程で使用した。ペプチドの切断を、50%TFA/DCMを2時間使用して達成した。RP HPLCによる精製により、ペプチドが白色の固体として単離された(83mg、50%)。
Figure 0005646127
(アジドアセチル−Gly−Pro−Phe−Pra−Gly−OHの環化:)
ペプチド(32mg、0.058mmol)をMeCN(60mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(1mL)およびCu(MeCN)PF(1mg)を加え、溶液を2時間撹拌した。溶媒をエバポレーションし、粗生成物をRP HPLCに供して、二量体および三量体を除いた。環状の単量体を無色のガラス物として単離した(6mg、20%)。
Figure 0005646127
イオン源フラグメントによるESIMS:555.3([M+H]、100%)、480.4([M−Gly]、30%)、452.2([M−Gly−CO]、25%)、424.5([M−Gly−2CO]、10%、これは環状構造でのみ可能である)。
(DNAに対する線状ペプチドの接合:)
化合物2(45nmol)を45μLのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.4;150mM)に溶解した。4℃で、線状ペプチド(DMFにおける100mMストック液の18μL;180nmol;40当量)を加え、その後、DMT−MM(水における500mMストック液の3.6μL;180nmol;40当量)を加えた。2時間振とうした後、LCMSは、反応が完了していることを示した。生成物をエタノール沈殿によって単離した。
Figure 0005646127
(DNAに対する環状ペプチドの接合:)
化合物2(20nmol)を20μLのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.4;150mM)に溶解した。4℃で、線状ペプチド(DMFにおける100mMストック液の8μL;80nmol;40当量)を加え、その後、DMT−MM(水における500mMストック液の1.6μL;80nmol;40当量)を加えた。2時間振とうした後、LCMSは、反応が完了していることを示した。生成物をエタノール沈殿によって単離した。
Figure 0005646127
(DNA連結ペプチドの環化:)
線状ペプチド−DNAコンジュゲート(10nmol)をpH8のリン酸ナトリウム緩衝液(10μL、150mm)に溶解した。室温で、それぞれ4当量のCuSO、アスコルビン酸およびSharplessリガンドをすべて加えた(200mMストック液の0.2μL)。反応を一晩進行させた。RP HPLCは、線状ペプチド−DNAが存在していなかったこと、および、生成物が真の環状ペプチド−DNAと同時に溶出したことを示した。二量体または他のオリゴマーは微量も認められなかった。
Figure 0005646127
(実施例6:機能性部分の合成に対する芳香族求核置換反応の適用)
(シアヌル酸クロリドによる化合物3のアリール化のための一般的手順:)
化合物2をpH9.4のホウ酸ナトリウム緩衝液に1mMの濃度で溶解する。溶液を4℃に冷却し、その後、20当量のシアヌル酸クロリドを、MeCNにおける500mMの溶液として加える。2時間後、反応の完了がLCMSによって確認され、生じたジクロロトリアジン−DNAコンジュゲートをエタノール沈殿によって単離する。
(ジクロロトリアジン−DNAのアミン置換のための手順:)
ジクロロトリアジン−DNAコンジュゲートをpH9.5のホウ酸塩緩衝液に1mMの濃度で溶解する。室温で、40当量の脂肪族アミンをDMF溶液として加える。反応をLCMSによって追跡し、反応は、通常、2時間後には完了している。生じたアルキルアミノ−モノクロロトリアジン−DNAコンジュゲートをエタノール沈殿によって単離する。
(モノクロロトリアジン−DNAのアミン置換のための手順:)
アルキルアミノ−モノクロロトリアジン−DNAコンジュゲートをpH9.5のホウ酸塩緩衝液に1mMの濃度で溶解する。42℃で、40当量の第2の脂肪族アミンをDMF溶液として加える。反応をLCMSによって追跡し、反応は、通常、2時間後には完了している。生じたジアミノトリアジン−DNAコンジュゲートをエタノール沈殿によって単離する。
(実施例7:機能性部分の合成に対する還元的アミン化反応の適用)
(第二級アミンを含有するDNA−リンカーのアルデヒド基礎単位による還元的アミン化のための一般的手順:)
化合物2をN末端のプロリン残基にカップリングした。得られた化合物をリン酸ナトリウム緩衝液(50μL、150mM、pH5.5)に1mMの濃度で溶解した。この溶液に、それぞれ40当量のDMFにおけるアルデヒド基礎単位(8μL、0.25M)およびDMFにおけるシアノホウ水素化ナトリウム(8μL、0.25M)を加え、溶液を80℃で2時間加熱した。アルキル化の後、溶液をエタノール沈殿によって精製した。
(アルデヒドを含有するDNA−リンカーのアミン基礎単位による還元的アミン化のための一般的手順:)
アルデヒド基を含有する基礎単位にカップリングされた化合物2をリン酸ナトリウム緩衝液(50μL、250mM、pH5.5)に1mMの濃度で溶解した。この溶液に、それぞれ40当量のDMFにおけるアミン基礎単位(8μL、0.25M)およびDMFにおけるシアノホウ水素化ナトリウム(8μL、0.25M)を加え、溶液を80℃で2時間加熱した。アルキル化の後、溶液をエタノール沈殿によって精製した。
(実施例8:機能性部分の合成に対するペプトイド組み立て反応の適用)
(DNA−リンカー上でのペプトイド合成のための一般的手順:)
Figure 0005646127
化合物2をホウ酸ナトリウム緩衝液(50μL、150mM、pH9.4)に1mMの濃度で溶解し、4℃に冷却した。この溶液に、40当量のDMFにおけるN−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセタート(13μL、0.15M)を加え、溶液を4℃で2時間穏やかに振とうした。アシル化の後、DNA−リンカーをエタノール沈殿によって精製し、ホウ酸ナトリウム緩衝液(50μL、150mM、pH9.4)に1mMの濃度で再び溶解し、4℃に冷却した。この溶液に、40当量のDMFにおけるアミン基礎単位(13μL、0.15M)を加え、溶液を4℃で16時間穏やかに振とうした。アルキル化の後、DNA−リンカーをエタノール沈殿によって精製し、ホウ酸ナトリウム緩衝液(50μL、150mM、pH9.4)に1mMの濃度で再び溶解し、4℃に冷却した。ペプトイド合成を、N−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセタートの逐次添加、その後のアミン基礎単位の添加によって続ける。
(実施例9:機能性部分の合成に対するアジド−アルキン付加環化反応の適用)
(一般的手順)
アルキン含有DNAコンジュゲートをpH8.0のリン酸塩緩衝液に約1mMの濃度で溶解する。この混合物に、10当量の有機アジド、ならびに、それぞれ5当量の硫酸銅(II)、アスコルビン酸およびリガンドのトリス−((1−ベンジルトリアゾール−4−イル)メチル)アミンをすべて室温で加える。反応をLCMSによって追跡し、反応は、通常、1時間〜2時間後には完了している。生じるトリアゾール−DNAコンンジュゲートはエタノール沈殿によって単離することができる。
(実施例10:コードされたライブラリー内からのAblキナーゼに対するリガンドの同定)
DNAコードライブラリーにおける目的とする分子を、望ましくないライブラリー成分よりも濃縮することができることは、目的とする治療標的に対する規定された性質を有する単一化合物を同定することに優先する。この濃縮能力を明らかにするために、rhAblキナーゼ(GenBank U07563)に対する既知の結合性分子(これはShah他、Science 305、399〜401(2004)に記載される;これは参考として本明細書中に組み込まれる)を合成した。この化合物を、実施例1および実施例2に記載される方法によって作製される分子と類似する分子(オリゴヌクレオチドに連結された機能性部分)を作製するために標準的な化学方法を使用して、前述の実施例において記載されるリンカーを介して二本鎖DNAオリゴヌクレオチドに結合した。実施例2に記載されるように一般に作製されたライブラリー、および、DNAに連結されたAblキナーゼの結合体は、両方の化学種のqPCR分析を可能にする特有のDNA配列を伴って設計された。DNAに連結されたAblキナーゼの結合体をライブラリーと1:1000の比率で混合した。この混合物をrhAbleキナーゼと平衡化させ、酵素を固相表面に捕獲し、結合していないライブラリー成分を除くために洗浄し、結合している分子を溶出した。溶出液におけるライブラリー分子対DNA連結Ablキナーゼ阻害剤の比率は1:1であった。このことは、1000倍過剰なライブラリー分子における、500倍を超えるDNA連結Ablキナーゼ結合体の濃縮を示している。
(等価物)
当業者は、本明細書中に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または、そのような等価物を、日常的に過ぎない実験を使用して確認することができる。そのような等価物は、下記の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1は、最初のオリゴヌクレオチドが、後続オリゴヌクレオチドの突出部に対して相補的である突出部を有する二本鎖オリゴヌクレオチドの連結の概略図である。最初の鎖が、非結合であるか、または、アミノヘキシルリンカーにコンジュゲートされているか、または、アミノヘキシルリンカーを介してフェニルアミン残基に接合されているかのいずれかとして表される。 図2は、添え木鎖を使用するオリゴヌクレオチド連結の概略図である。この実施形態では、添え木は、一本鎖の最初のオリゴヌクレオチドおよび一本鎖の後続オリゴヌクレオチドに対して相補的な配列を有する12merのオリゴヌクレオチドである。 図3は、最初のオリゴヌクレオチドが、共有結合により連結された鎖を有する二本鎖であり、後続オリゴヌクレオチドが二本鎖であるときの、最初のオリゴヌクレオチドと後続オリゴヌクレオチドとの連結の概略図である。 図4は、ポリメラーゼを使用するオリゴヌクレオチド伸長の概略図である。最初の鎖が、非結合であるか、または、アミノヘキシルリンカーにコンジュゲートされているか、または、アミノヘキシルリンカーを介してフェニルアミン残基に接合されているかのいずれかとして表される。 図5は、本発明の1つの実施形態の合成サイクルの概略図である。 図6は、本発明のライブラリーを使用する多ラウンド選択プロセスの概略図である。 図7は、実施例1に記載されるサイクル1〜サイクル5のそれぞれの生成物および停止用プライマーの連結後の生成物の電気泳動から得られるゲルである。分子量標準がレーン1に示され、示された量のハイパーラダーが、DNA定量のために、レーン9〜12に示される。 図8は、アジド−アルキンの付加環化を使用する基礎単位のカップリングの概略図である。 図9は、塩素化トリアジンにおける求核芳香族置換による基礎単位のカップリングを例示する。 図10は、塩素化トリアジンにおける求核芳香族置換による基礎単位のカップリングを例示する。 図11は、機能性部分の合成において使用される好適な代表的な塩素化ヘテロ芳香族構造を示す。 図12は、アジド/アルキン付加環化反応を使用する線状ペプチドの環化を例示する。 図13Aは、サイクル4の後での実施例2に記載されるように作製されたライブラリーのクロマトグラムである。図13Bは、サイクル4の後での実施例2に記載されるように作製されたライブラリーの質量スペクトルである。

Claims (13)

  1. なくとも10個の別個の化合物を含む化合物ライブラリーであって、該化合物が、機能性部分の構造を同定するコードオリゴヌクレオチドそれぞれに対応して連結される、2個以上の基礎単位を含む機能性部分を含む、化合物ライブラリーであって、該化合物が、独立して、式:
    Figure 0005646127
    の連結成分を有する、式I:
    Figure 0005646127
    [式中:
    Xは、個以上の基礎単位を含む機能性部分であり;
    Zは、その3’末端においてBに結合するオリゴヌクレオチドであり;
    Yは、その5’末端においてCに結合するオリゴヌクレオチドであり;
    Aは、Xとの共有結合を形成する官能基であり;
    Bは、Zの3’末端との結合を形成する官能基であり;
    Cは、Yの5’末端との結合を形成する官能基であり;
    D、FおよびEは、それぞれ独立して、二官能性の連結基であり;および
    Sは、原子または分子骨格であり;
    YおよびZは実質的に相補的であり、D、E、およびFは、それぞれ独立して、アルキレン基またはオリゴ(エチレングリコール)基である
    で示される化合物である、化合物ライブラリー。
  2. 前記ライブラリーが、本質的に多数の式Iの化合物からなる、請求項記載の化合物ライブラリー。
  3. YおよびZがワトソン・クリック塩基対形成および二重鎖形成を適した条件下で可能にするように前記化合物内で配向される、請求項記載の化合物ライブラリー。
  4. YおよびZが同じ長さまたは異なる長さである、請求項記載の化合物ライブラリー。
  5. Sが、炭素原子、ホウ素原子、窒素原子、リン原子、または、多原子の骨格である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  6. Sがリン酸基または環状基である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  7. Sが、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  8. 連結成分が、以下の構造:
    Figure 0005646127
    [式中:n、mおよびpのそれぞれが独立して、1〜20の整数である]
    である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  9. 少なくとも1個の基礎単位が、アミノ酸である、請求項1記載の化合物ライブラリー。
  10. Aがアミノ基であり;
    Bがリン酸基であり;および
    Cがリン酸基である、請求項1記載の化合物ライブラリー。
  11. n、mおよびpのそれぞれが独立して、2〜8の整数である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  12. n、mおよびpのそれぞれが独立して、3〜6の整数である、請求項記載の化合物ライブラリー。
  13. 連結成分が、以下の構造:
    Figure 0005646127
    である、請求項記載の化合物ライブラリー。
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