JP5645633B2 - アレイ光源を用いた画像形成装置、アレイ光源 - Google Patents
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Description
電子写真式の画像形成装置に用いられるマルチビーム走査装置においては、アレイ光源からの複数のビームを、複数のスポットとして被走査面上に集光させる。すなわち、複数の発光点を有するアレイ光源からの複数の出射光ビームを、共通の光偏向器(たとえばポリゴンミラー)で同時に偏向させる。
偏向された複数のビームを、共通の走査光学系により副走査方向に分離した複数の光スポットとして、被走査面上に集光させる。
そして、画像信号に応じてアレイ光源の各光源を駆動し、一度に複数のビームを走査することにより、2次元の画像パターンを被走査面上に生成する。
このようなアレイ光源には、より多数の光源素子を備えること、光源素子間のピッチが狭いこと、が求められている。
X本のビームを出射するアレイ光源およびマルチビーム走査装置を用いた画像形成装置は、シングルビーム走査装置を用いた画像形成装置に比べ、同じ走査速度でX倍のスポットを持つ画像を形成することができる。
すなわち、多数の光源素子を備えたアレイ光源では、画像形成の高速化、形成する画像の高精細化が可能になる。
また、アレイ光源の素子間ピッチを狭くすることで、アレイ光源の発光領域の大きさを小さくできる。
同じ光源素子数でピッチが広いものにくらべて、光学系サイズ(レンズ径など)を小さくすることができるから、コストを低減できる。
また、半導体光源の場合、基板から取れるアレイ光源の数が増加するから、コストを低減できる。
アレイ光源においても以下のように副走査方向および主走査を定義する。すなわち、アレイ光源の副走査方向はマルチビーム走査装置によって被走査面上の副走査方向に結像されるものとする。主走査方向も同様である。
被走査面上に等間隔の走査線を描くために、画像形成装置に利用されるアレイ光源においては、副走査方向に等間隔に同数ずつ、特に通常は1つずつ、光源素子が配される。
副走査方向にm行、主走査方向にn列、とした際のm×n格子配列に光源素子の発光中心1001が配されたアレイ光源1000の例を図9に示す。
アレイ光源における主走査方向の隣接する列間の間隔はいずれもDである。
また、アレイ光源における副走査方向の隣接する行間の間隔P1は、副走査方向の素子間の間隔P0に上記主走査方向のn列におけるnを乗じた値となっている。
例えば、拡大光学系などでは、被走査面上の走査線を密にするため、P0は、光源素子1001の径にくらべて一桁程度短い場合がある。この場合、nはP1=n×P0>(光源素子の直径)を満たすような大きな値であることが必要である。
これにより、アレイ光源において個々の光源素子は、他の光源素子の発熱の影響である、いわゆる熱クロストークを受ける。
具体的には、熱クロストークにより、各光源素子の出力が変動し、あるいはジッターが発生する。
この結果、アレイ光源およびマルチビーム走査装置を用いた画像形成装置においては、熱クロストークが被走査面上に形成される画像に対し変調を与える。
例えば、大きな熱クロストークを受けた素子のビームに対応した被走査面上の画像の濃度が薄くなることが考えられる。
なお、光源素子の設計や被走査面の露光方式によっては、濃くなる場合もありうる。すなわち、熱クロストークの大きさと、光源の出力および形成される画像の濃度との関係は画像形成装置に依存する。
よって、多数の光源素子が狭いピッチで高密度に配置されたアレイ光源では、光源素子ごとに受ける熱クロストーク量は異なる。
特に、上記主走査方向のn列におけるnの値が大きな場合顕著になる。すなわち、一般的にアレイ中心に位置する光源素子の受ける熱クロストーク量は、アレイの周辺部に位置する光源素子の受ける熱クロストーク量よりも大きい。
なお、一般的な画像形成装置について、各光源素子ごとに駆動方法に特異な差がない限り、時間平均をとった各素子の駆動時間および駆動電力はほぼ均等と考えられる。一般的な画像で特定の走査線のみ画像を形成するということは考えにくい。
したがって、素子が受ける熱クロストーク量は、時間平均を取れば、ほぼアレイ構造で決まると考えてよい。
副走査方向にm行、主走査方向にn列、とした際のm×n格子配列アレイ光源の場合、特にn>mである場合を考えると、主走査方向に見て中心部にある光源素子は、端部にある光源素子に比べて、受ける熱クロストーク量が大きい。
したがって、この場合、被走査面上にはn本の走査線周期で画像に変調がかかる。
副走査方向が複数行ある場合は、さらにm×n本の走査線周期に対応する変調もかかる場合がある。
この図は、様々な空間周波数の正弦波格子に対するコントラスト閾を測り、その逆数をとったものであり、約3サイクル度に最大感度をもつことが示されている。一方、縞の見える(検知することができる限界である)最大周波数を縞視力と呼び、それは約40サイクル度であるとされている。
図10に示されているように、人間の視力は画像変調の空間周波数が低下すると、その変調を検知できるようになる。
例えば、走査線の解像度がZdpiの画像で走査線Y本周期の変調をL(m)先から見た場合の空間周波数は0.68LZ/Y(サイクル/度)である。
一方、非特許文献によれば、上記したように空間周波数が40(サイクル/度)を下回ると変調を検知することができるとされている。
近方視力の測定距離基準として通常使用される値L=0.3を用いると、Y>Z/194ならば検知できるということである。
具体的には、例えばY=16、Z=2400、L=0.3の変調の空間周波数は約31(サイクル/度)であり、検知することができる。
ゆえに、nが大きな(したがってYも大きな)アレイ光源を用いた場合、熱クロストークが素子ごとに異なることに由来する画像の変調が検知できるから、画像の劣化を感じることになる。
D i =Σ1/R ij 式(1)
但し、和はj≠iであるすべてのjについて取る。
(D x+1 −D x )(D x −D x−1 )<0 式(2)
但し、2≦x≦T−1。
それは、各素子ごとに熱クロストーク量が異なることによる画像劣化を抑制するためには、被走査面における画像変調の空間周波数を上げることが有効であるという知見に基づく。
すなわち、上記したように走査線の解像度がZdpiの画像で走査線Y本(あるいはn本)周期のとき、Y(n)>Z/194ならば画像の変調が検知でき、画像の劣化を感じることになるが、Y(n)<Z/194ならば画像の変調が検知しづらくなる。したがって、画像劣化を抑制することができる。
つまり、素子ごとの熱クロストークそのものは抑えられない(画像変調のコントラストを下げられない)場合であっても、各素子に対応する走査線配置を変更することで画像変調の空間周波数を増加させ、画像劣化を抑えることができる。
そのためには、受ける熱クロストークの大きい素子に対応する走査線を、被走査面においてそれぞれ離して配置することが有効である。
これにより、各素子自体の構造や駆動方法に手をいれなくても、画像劣化を抑制することできる。
ここで、説明のために、アレイ光源における各光源素子iが他の発光素子の発熱から受ける平均的な熱クロストークの大きさをQ i とする。
Q i は、例えば、光源素子i以外のすべての光源素子jを同じ条件(例えば一定電流または一定電力を各素子に流す、または一定光出力となるように各素子を駆動する)での駆動時の、光源素子iの平均的な上昇温度T i とする。
また、Q i は例えば、アレイ配置から推定することもできる。
光源素子iが別の光源素子jから受ける熱クロストークQ ij は光源素子間距離R ij に負の相関を以って依存し、その依存性は、例えば面発光レーザアレイの場合ではパッケージや実装方法にもよるが経験的に1/R ij と近似できる。
本発明の説明において、各素子の熱クロストークにおいて、その絶対値でなく大小関係がわかれば十分であるから、たとえば、次の式(1)で求められるD i を以ってQ i とすることができる。
但し、j≠i
本発明の主旨は、Q i (D i )が大きな発光素子に対応する走査線が、被走査面上で特定箇所に集中しないようにすることである。
ここで、Q i (T i 、D i )が大きな素子iとは、つぎの関係を満たす素子のことである。
すなわち、アレイ光源の各発光素子kが受ける熱クロストーク量の集合{Q k }({T k }、{D k })について、
その中間値Qmed(Tmed、Dmed)に対して、Q i >Qmed(T i >Tmed、D i >Dmed)を満たす素子i(すなわちアレイの素子数の半数が該当する)のことである。
また、特定箇所に集中しないようにするとは、Q i >Qmedなる(中間値であるTmedより大きい)発光素子iの走査線が被走査面上で一定数以上連続して配置されないようにすることである。
例えば、図2(a)のようにほぼ主走査方向にn個が一列に並んだ面発光レーザアレイを、その順に被走査面上に結像した場合、熱クロストークが大きい素子に対応する走査線は、図2(b)に示すようにn/2本が連続する。
アレイ光源を例えば、後で実施例1に述べるような配置に変更することで、熱クロストークが大きい素子に対応する走査線が、被走査面上で主走査方向の列の数であるn/2本以上連続しないようにすることができる。
この結果、熱クロストークによる画像の濃度変調の空間周波数を上げることができる(より正確には、空間周波数の成分の一部が、より高い空間周波数の成分にシフトする)から、形成画像の劣化を抑えることができる。
この場合、被走査面上で熱クロストークが大きい素子に対応する走査線がS/P本以上連続しないようにすることで、より効果的に画像劣化を抑えることができる。
なぜならば、ビームスポット内に複数の走査線が含まれるため、その中では画像が副走査方向にスムージングされると考えられるからである。
たとえばS=50μm、P=10.6μm(2400dpi)の場合には、S/P=4.7であるから、熱クロストーク量の大きな素子の走査線が5本以上連続させないようにすることで、効果的に画像劣化を抑えることができる。
さらに好ましくは、被走査面上で熱クロストークが大きい素子に対応する走査線が、被走査面上で2本未満しか連続しないようにする。
すなわち、熱クロストークが大きい素子に対応する走査線と、そうでない走査線とが交互となるようにする。この結果、さらに効果的に画像劣化を抑えることができる。
また、本実施形態においては、アレイ光源をつぎのように構成することができる。
すなわち、複数の発光素子を備えたアレイ光源を構成するに当たり、
該複数の発光素子は、特定の方向にhの間隔で等間隔に配されており、
該アレイ光源における前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子を発光素子i、該発光素子i以外の他の発光素子を発光素子j、該発光素子iと該発光素子jとの距離をR ij とし、
上記式(1)によってD i が求められるとき、
該式(1)によって求められたD i の集合{D i }の中間値であるDmedより大きい複数の発光素子を、前記特定の方向に2hの間隔で配した構成とすることができる。
その際、上記間隔のhは、発光素子が発光する光強度がピークの1/e2以上となる領域の直径であるビームスポット径の最小値よりも短い構成とする。
[実施例1]
実施例1として、アレイ光源を複数の発光素子が被走査面での出射光の走査方向に対応する方向である主走査方向にn列(n≧4)、それに垂直な方向である副走査方向にm行(m≧1)配した面発光レーザアレイを用いた構成例について説明する。
本実施例の面発光レーザアレイは、複数の発光素子として複数の面発光レーザを備える。
例えば、面発光レーザアレイは、同一基板上に形成された同一構造の面発光レーザからなる。
図7に、本実施例における面発光レーザの構成例を説明する断面模式図を示す。図7に示すように、基板100上に下部多層膜反射鏡110、下部スペーサ層130、活性層140、上部スペーサ層150、上部多層膜反射鏡160からなる垂直共振器が形成される。
例えば、基板100はGaAs基板であり、下部および上部多層膜反射鏡はAlGaAs系材料の光学厚さがλ/4の層を交互に並べた多層膜からなる。活性層はAlGaInP系量子井戸構造からなる。
下部または上部多層膜反射鏡中には、例えば酸化物224からなる電流狭窄構造222が形成され、活性層の発光領域を制限する。
また、面発光レーザは図に示すようにメサ構造をとっており、絶縁膜190でメサ上面および側壁の一部が覆われている。
基板下部の下部電極180および上部多層膜反射鏡上部の上部電極170から活性層にキャリアが注入され発光し、発振する。
上部電極の開口から光が取り出される。例えば、メサ構造の直径は20μm、電流狭窄領域の直径(ほぼ発光スポット径)は5μmとする。
また、具体的な座標および副走査方向の座標順に与えた素子番号を表1に示す。図1(a)のアレイ配置では図9と同様に、水平方向が主走査方向、鉛直方向が副走査方向である。また、水平軸、鉛直軸ともに単位はμmである。
この面発光レーザアレイは、およそ1行16列であるが、素子は一直線上に並んでいない。副走査方向の発光素子は等間隔に配されており、その素子間の間隔は4μmである。
表1の行列の第1列が素子番号i、第2列が副走査方向座標、第3列が主走査方向座標である。第2列、第3列の単位は[μm]である。
素子番号iは、副走査方向の座標の小さいものから順に与えている。また素子番号1の主走査方向座標、副走査方向座標を(0,0)としている。これらの記法は以下の実施例でも同様とする。
なお、この光学系の副走査方向の光学倍率を2.65倍とする。
この場合、被走査面上に形成される走査線の間隔は、10.6μm(2400dpi)となる。
また、被走査面上でのビームスポット直径を50μmとする。この場合、ビームスポットは、走査線50/10.6=4.7本分が含まれることになる。
ここで、各レーザ素子が他のレーザ素子から受ける熱クロストーク量として、式(1)で与えられる量D i とする。
表1の第4列にD i 、また第5列にはD i が{D i }の中間値Dmedより大きい場合に+1、小さい場合に−1を与えている。
ここで、D i の単位は[1/μm]である。D i を素子番号順にプロットしたものは図1(b)のようになる。
図1(b)において、水平軸はDmedにて鉛直軸と交わるように記している。
また、ビームスポット径と走査線間隔の商である4.7本以上連続していないことがわかる。
また、2本以上連続しておらず熱クロストークの大きな素子による走査線と小さな素子による走査線が交互に並んでいることがわかる。
一方、これまで用いられてきた、図2(a)のように一直線上に素子が配置された面発光レーザアレイについて、その座標を表2に与える。
また、素子番号順に各素子が受ける熱クロストーク量の同様のプロットを図2(b)に与える。
なお、図2、表2の記法はそれぞれ図1、表1と同様である。
したがって、この両者を比べた場合、トータルの熱クロストーク量はほぼ同じであるが、被走査面における画像の変調は、図1(a)に示す本発明のアレイ配置の方が、図2(a)に示すアレイ配置よりも高い空間周波数域にシフトしている。
例えば、図1(b)のD i のグラフは、素子番号xに対し、(D x+1 −D x )(D x −D x−1 )<0となっている。
より具体的には、アレイ光源における複数の発光素子の数をT個とし、
被走査面にて対応する走査線の数をT本とし、該T本の走査線に対して副走査方向に沿って振った順番をxとするとき、
アレイ光源の発光素子が、次の式(2)を満足させる関係となっている。
(D x+1 −D x )(D x −D x−1 )<0 式(2)
但し、2≦x≦T−1。
すなわち、発光素子iの数が1増加するごとに増加と減少を交互に繰り返している。
これはΔi=2に相当する高い空間周波数に変調を持ったことを意味する。
したがって、本発明のアレイ配置は従来のアレイ配置にくらべて変調を認識しにくくなっており、画像としての劣化を抑制できている。
ここで、従来例のアレイ配置は、レーザ素子が一直線上に並んでいるため、並んでいない本発明に比べて画像形成装置への取り付けの際に調整の自由度が1次元多い。
本実施例のアレイ光源は取り付け精度が求められる反面、熱クロストークの素子ごとの違いによる画像変調による画像の劣化が抑えられる。
また、一直線上に並んでいないため、本実施例のアレイ光源に、素子間で同一の活性層を共有する端面発光レーザアレイを用いることは困難である。
実施例2として、本発明の複数のアレイ光源によって構成された面発光レーザアレイを用いた実施例1と異なる形態の構成例について説明する。
面発光レーザ素子は実施例1のものと同様である。また、走査装置も実施例1と同様のものを用いるとする。
なお、本実施例の走査装置は本実施例のアレイ光源からのマルチビームをすべて拾うことができるとする。
図3(a)に、本実施例2のものにおける配置例を示す。また、具体的な座標および副走査方向の座標順に与えた素子番号を表3に示す。
この面発光レーザアレイは、およそ2行16列である。副走査方向の素子間ピッチは4μmである。
ここで、実施例1の場合と同様に、各レーザ素子が他のレーザ素子から受ける熱クロストーク量D i を素子番号i順にプロットしたものは図3(b)のようになる。
なお、図3、表3の記法は、図1、表1と同様である。
また、ビームスポット径と走査線間隔の商である4.7本以上連続していないことがわかる。
また、2本以上連続しておらず熱クロストークの大きな素子による走査線と小さな素子による走査線が交互に並んでいることがわかる。
一方、これまで用いられてきた、図4(a)のように2行16列に格子状に素子が配置された面発光レーザアレイについて、その座標を表4に与える。
また、素子番号順に各素子が受ける熱クロストーク量D i の同様のプロットを図4(b)に与える。
なお、図4、表4の記法は、図1、表1と同様である。
図4(b)乃至表4より、熱クロストークの大きい素子による走査線が、8本連続していることがわかる。
しかし、複数行に発光素子を配した光源アレイの場合、同数の発光素子を1行に配した場合にくらべて、アレイ内で光源素子を相対的に短い主走査方向に収めることができる。
この結果、光学系のよりよいところ(たとえばレンズでは光軸中心付近)を利用できるメリットがある。
実施例3として、本発明の複数のアレイ光源によって構成された面発光レーザアレイを用いた上記各実施例と異なる形態の構成例について説明する。
面発光レーザ素子は実施例1のものと同様である。また走査装置も実施例1と同様のものを用いるとする。
なお、本実施例の走査装置は本実施例のアレイ光源からのマルチビームをすべて拾うことができるとする。
図5(a)に、実施例3にかかる配置例を示す。また具体的な座標および副走査方向の座標順に与えた素子番号を表5に示す。
この面発光レーザアレイは、およそ4行16列である。副走査方向の素子間ピッチは4μmである。
ここで、実施例1の場合と同様に、各レーザ素子が他のレーザ素子から受ける熱クロストーク量D i を素子番号順にプロットしたものは図5(b)のようになる。
なお、図5、表5の記法は、図1、表1と同様である。
また、ビームスポット径と走査線間隔の商である4.7本以上連続しないという条件を満たしている。
一方、これまで用いられてきた、図6(a)のように4行16列に格子状に素子が配置された面発光レーザアレイについて、その座標を表6に与える。
また、素子番号順に各素子が受ける熱クロストーク量D i の同様のプロットを図6(b)に与える。
図6(b)ないし表6より、熱クロストークの大きい素子による走査線が、最大で12本連続していることがわかる。
このため、被走査面に形成される画像にかかる変調は、本実施例の比較例ではn=16本ごとであるだけでなくm×n=64本ごととなっている。
これは、より変調が検知しやすいことを意味する。
本実施例は、いわゆる多重露光(複数のレーザ素子により1本の走査線を描く)を用いずとも変調による画像劣化を抑えるものであるが、もちろん多重露光を併用してもよい。
また、本実施例のアレイ光源には、各発光素子の熱クロストーク量そのものを抑える技術を併用することができる。
実施例4として、実施例1乃至実施例3のアレイ光源および走査装置を用いた応用例の一形態として、画像形成装置を構成した一例について説明する。
図8に、本発明によるアレイ光源を実装した電子写真記録方式の画像形成装置の構造図を示す。
図8(a)は画像形成装置の平面図であり、図8(b)は同装置の側面図である。
図8において、500は感光ドラム、502は帯電器、504は現像器、506は転写帯電器、508は定着器、510は回転多面鏡、512はモータである。また、514はアレイ光源、516は反射鏡、520はコリメータレンズ及び522はf−θレンズである。ここで514は面発光レーザアレイとする。
面発光レーザアレイ514は、記録用光源となるものであり、ドライバ(図示せず)により画像信号に応じて点灯または消灯するように構成されている。
こうして光変調されたレーザ光は、面発光レーザアレイ514からコリメータレンズ520を介し回転多面鏡510に向けて照射される。
回転多面鏡510は矢印方向に回転していて、面発光レーザアレイ514から出力されたレーザ光は、回転多面鏡510の回転に伴い、その反射面で連続的に出射角度を変える偏向ビームとして反射される。
この反射光は、f−θレンズ522により歪曲収差の補正等を受け、反射鏡516を経て感光ドラム500に照射され、感光ドラム500上で主走査方向に走査される。
このとき、回転多面鏡510の1面を介したビーム光の反射により、感光ドラム500の主走査方向に面発光レーザアレイ514に対応した複数のライン分の画像が形成される。
感光ドラム500は、予め帯電器502により帯電されており、レーザ光の走査により順次露光され、静電潜像が形成される。
また、感光ドラム500は矢印方向に回転していて、形成された静電潜像は、現像器504により現像され、現像された可視像は転写帯電器506により、転写紙(図示せず)に転写される。
可視像が転写された転写紙は、定着器508に搬送され、定着を行った後に機外に排出される。
なお、感光ドラム500の側部における主走査方向の走査開始位置近傍に、ビーム検出センサ(Beam Detectセンサ:以下BDセンサ)が配置されている(不図示)。
回転多面鏡510の各反射面で反射されたレーザ光は、ライン走査に先立ってBDセンサにより検出される。
この検出信号は、主走査方向の走査開始基準信号としてタイミングコントローラ(図示せず)に入力され、この信号を規準として各ラインにおける走査方向の書き出し開始位置の同期が取られる。
以上説明したように、本発明による面発光レーザアレイを電子写真記録方式の画像形成装置に用いることにより、高速・高精細印刷を可能とする画像形成装置を得ることが可能となる。
110:下部多層膜反射鏡
130:下部スペーサ層
140:活性層
150:上部スペーサ層
160:上部多層膜反射鏡
170:上部電極
180:下部電極
190:絶縁膜
222:電流狭窄構造
224:酸化物
900:アレイ光源
901:発光素子(面発光レーザ)
Claims (10)
- 複数の発光素子を備えたアレイ光源であって、
前記複数の発光素子は、特定の方向にhの間隔で等間隔に配されており、
前記アレイ光源における前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子を発光素子i、該発光素子i以外の他の発光素子を発光素子j、該発光素子iと該発光素子jとの距離をR ij とし、
次の式(1)によってD i が求められ、
前記アレイ光源における複数の発光素子の数をT個とし、
前記特定の方向に沿って素子に振った順番をxとしたとき、
前記発光素子が、次の式(2)の関係を満足させることを特徴とするアレイ光源。
D i =Σ1/R ij 式(1)
但し、和はj≠iであるすべてのjについて取る。
(D x+1 −D x )(D x −D x−1 )<0 式(2)
但し、2≦x≦T−1。 - 前記発光素子が、面発光レーザであることを特徴とする請求項1に記載のアレイ光源。
- 請求項1又は2に記載のアレイ光源と、前記アレイ光源からの複数の出射光を走査して被走査面に結像する走査装置と、を備える画像形成装置。
- 前記特定の方向が、前記被走査面での出射光の走査方向に対応する主走査方向に垂直な副走査方向であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記複数の発光素子が、前記副走査方向にm行(m≧1)配されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記被走査面上での走査線の解像度をZdpiとするとき、
前記主走査方向の列の数であるnと前記解像度の値であるZとが、
n>Z/194
の関係を満足させるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。 - 前記mの値が、1又は2であることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
- 前記複数の発光素子が、前記主走査方向にn列(n≧4)配されていることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記複数の発光素子が、前記主走査方向に等間隔に配されていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記走査装置は、前記被走査面上で走査される各走査線が1つの発光素子により走査される構成を備えていることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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