JP5642609B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等のエンジンマウントやサスペンション等に用いられ、振動発生部からの振動を吸収減衰する防振装置に関する。
自動車には、エンジン、サスペンション、ブレーキなどの振動発生源と車体との間に防振装置が配設され、車体への振動の伝達が抑制されていたり、サブフレームなどの固有振動が減衰されたりするようになっている。この種の防振装置として、液封式のブッシュ型防振装置がある。
一般的に、液封式のブッシュ型防振装置は、外筒、内筒、及び、外筒と内筒とを連結する弾性体を備え、外筒と内筒との間に相互に連通された一対の液室が構成されている。このような構成の液封式のブッシュ型防振装置は、主振動の入力方向が径方向になるように設置されており、振動の入力により弾性体が弾性変形すると共に、一対の液室間で流体が流動し、防振効果が発揮されるようになっている。
上記のような液封式のブッシュ型防振装置では、一対の液室を連通させる制限流路は、予め所定の周波数帯域の振動に対応可能なようにチューニングされている。入力した振動の周波数がチューニングされている周波数帯域よりも大きくなると、制限流路内で目詰まりが発生し、液体の流動による防振効果を得られないため、高周波の振動入力に対応する連通部を設けることがある。例えば、特許文献1では、高周波振動に対応するために、一対の液室間に可動部材を配置し、液室間の圧力変動によって可動部材が微少変位することにより、防振装置の高動バネ化を防いで、防振効果を得ている。
しかしながら、特許文献1では、可動部材の軸方向両端部をゴム弾性体で挟んで保持し、ゴム弾性体の弾性変形により可動部材を変位させている。このように可動部材をゴム弾性体で保持すると、可動部材の振動特性はゴム弾性体の弾性や形状に依存することになり、チューニングが難しい。また、特許文献1では、可動部材のみで一対の液室間が仕切られており、可動部材の径方向外側と外筒金具の内壁との間は、可動部材を振動させることから、隙間ができてしまい、シールすることが難しい。
特開2008−196569号公報
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、簡易な構成で高周波振動の入力時において防振効果を得ることの可能な防振装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の防振装置は、振動発生部及び振動受け部の一方に連結される筒状の外筒と、振動発生部及び振動受け部の他方に連結され、前記外筒の筒内を貫くように前記外筒の筒軸方向に沿って配置される内筒と、前記内筒と前記外筒との間に配設されて前記内筒と前記外筒とを弾性的に連結する弾性体と、内壁の少なくとも一部が前記弾性体により構成され、前記内筒と前記外筒との間で周方向に離間して構成され、液体が封入される一対の液室と、前記一対の液室間を連通させる第1制限流路と、前記外筒の内側で周方向に沿って構成され、前記第1制限流路よりも高い周波数に対応するように設定され、前記一対の液室間を連通させる第2制限流路と、前記第2制限流路を分断するように互いに周方向に離間して対向配置され液体の連通孔が構成された一対の幅板部、及び、該一対の幅板部の間に構成された可動板収納空間に収納され、該一対の幅板部の間で前記第2制限流路に沿った方向に移動可能であると共に前記連通孔を閉鎖可能な可動板、を有し、前記可動板収納空間へ連通され、前記可動板を前記内筒の筒軸に沿った方向に挿入可能な開口が構成されている可動板ユニットと、を備えている。
請求項1に記載の防振装置では、弾性体が外筒と内筒との間を連結し、振動発生部に内筒あるいは外筒が連結されており、振動発生部側から振動が内筒あるいは外筒に伝達されると、弾性体が変形し、この変形により振動が減衰して、外筒あるいは内筒に連結される振動受け部側に振動が伝達され難くなる。
さらに、比較的周波数の低い振動入力の際には、弾性体の変形に伴って一対の液室間で圧力変動が生じ、第1制限流路内を液体が流動する。この際の液柱共振等により、防振効果が発揮されて、振動受け部側に振動が伝達され難くなる。このとき、第2制限流路に設けられた可動板ユニットの可動板は、一対の幅板部のいずれか一方に押しつけられ、これにより幅板部の連通孔が閉鎖され、第2制限流路を介しての一対の液室間の流体の流通が阻止される。
第1制限流路の対応振動周波数よりも高い振動が入力された際には、第1制限流路は目詰まりする。そして、第2制限流路に設けられた可動板ユニットの可動板は、一対の幅板部の間で振動する。これにより、防振装置の動バネ定数が高くなることが抑制され、防振効果を得ることができる。
本発明では、可動板により第2制限流路の開閉切換を行うことができる。また、第2制限流路を分断する一対の幅板部の間で可動板が振動することにより、防振装置の動バネ定数の上昇を抑制している。したがって、一対の可動板の間の距離を調整したり、可動板の厚みや弾性率を変えたりすることにより、簡単に所望の特性を出すためのチューニングを行うことができる。
また、振動する可動板自体が、第2制限流路間を分断するのではなく、非振動の一対の幅板部が第2制限流路を分断しているので、幅板部の外周面において容易かつ確実に第2制限流路を閉鎖するためのシールを行うことができる。また、一対の幅板部に構成された連通孔で第2制限流路を連通させているので、低周波の振動入力の際に可動板で容易に連通孔を閉鎖することができる。
さらに、可動板ユニットには、可動板を可動板収納空間へ挿入可能な開口が構成されているので、可動板ユニットの組み付け後に可動板を可動板収納空間へ収納することができる。また、開口は可動板を内筒の筒軸に沿った方向に挿入可能に構成されているので、挿入後、外筒の外挿前の状態において、可動板が径方向外側へ抜け出ることを防止することができる。
請求項2に記載の防振装置は、前記可動板ユニットの前記一対の幅板部、前記第1制限流路の少なくとも一部、及び、前記第2制限流路は、前記液室よりも径方向外側に配置される制限流路部材に一体的に構成されていること、を特徴とする。
このように、一対の幅板部、第1制限流路の少なくとも一部、及び、第2制限流路を、制限流路部材に構成することにより、各々を別々の部材に構成する場合と比較して、部品点数を少なくすることができる。また、制限流路部材を液室よりも径方向外側に配置することにより、制限流路部材を用いて液室の径方向外側を区画することができる。
請求項3に記載の防振装置は、前記一対の液室の周方向の離間部分の一方に前記弾性体と一体的に連通部が形成され、該連通部には周方向の一方から他方に架けて溝が構成され、前記制限流路部材は前記外筒の内周に沿って弧状に形成されると共に周方向の一部が前記内筒の外径よりも幅広に離間されて該離間部に前記連通部が配置され、前記制限流路部材に形成された前記第1制限流路の一部と前記溝とが連通されて前記第1制限流路を構成すること、を特徴とする。
上記構成の防振装置では、外筒の内周に沿って弧状に形成された制限流路部材は、周方向の一部が内筒の外径よりも幅広に離間されているので、当該離間部分から内筒を挿入して容易に組付けを行うことができる。また、溝の構成された連通部を形成して離間部分に配置することにより、制限流路部材と連通部とで一対の液室を連通させる第1制限流路を構成することができる。
以上説明したように本発明に係る防振装置によれば、簡易な構成で高周波振動の入力時において防振効果を得ることができる。
本実施形態に係る防振装置の外筒と外筒を取り外した状態の斜視図である。 本実施形態に係る防振装置の制限流路部材を取り外した分解斜視図である。 本実施形態に係る防振装置の第1制限流路が構成されている側の側面図である。 本実施形態に係る防振装置を筒軸方向と垂直に切断した断面図である。 図4のV−V断面図である。 図4のVI−VI断面図である。 本実施形態に係る防振装置の可動板ユニットの断面図である。 本実施形態の変形例係る防振装置の外筒と外筒を取り外した状態の斜視図である。 本実施形態の他の変形例係る防振装置の外筒と外筒を取り外した状態の斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の防振装置についての詳細を説明する。
図1から図6に示されるように、本実施形態の防振装置10は、内筒12及び外筒14を備えている。外筒14は、円筒形状とされ、内周壁面にゴム膜14Aが加硫接着されている。内筒12は、外筒14よりも小径の軸状円筒形状とされ、外筒14の筒内に外筒14と同軸的に配置されている。以下、内筒12及び外筒14の軸心に沿った方向を「軸方向S」とする。内筒12及び外筒14は、一方が振動発生部となるサスペンション(図示せず)側に連結され、他方が振動受け部となる車体(図示せず)側に連結される。また、本実施形態の防振装置10において、主振動の入力方向は、図4に示す矢印F方向となるように設置される。
図5に示されるように、内筒12と外筒14との間には、中間筒16が配置されている。中間筒16は、軸方向Sの両端に一対の大径筒部16Aを有し、軸方向Sの中間に一対の大径筒部16Aを連結する中間部16Bを有している。図4に示されるように、中間部16Bは、大径筒部16Aよりも小径とされ、筒軸を挟んで互いに対向する位置に一対の開口16Wが構成されている。開口16Wは、略矩形状とされ、周方向で所定の周長(本実施形態では全周長の1/4以上の長さ)を有し、軸方向Sで中間部16B全長に亘っている。一対の開口16Wが構成されることにより、中間部16Bは、内筒12を挟んで対向する両側に配置される。以下、中間部16Bの一方側を「高周波流路側中間部16BH」といい、他方側を「低周波流路側中間部16BL」という。高周波流路側中間部16BH及び低周波流路側中間部16BLは、内筒12の軸心を中心とする弧状とされている。
内筒12と中間筒16の間には弾性体18が配置され、内筒12と中間筒16は、弾性体18により弾性的に連結されている。中間筒16の外周に外筒14が外挿され、中間筒16を介して内筒12と外筒14とは弾性的に連結されている。弾性体18は、内筒12の外周に固着されると共に、中間筒16の大径筒部16A及び中間部16Bの内側に固着されている。弾性体18は、ゴムなどの弾性を有する部材で構成することができる。内筒12の外周で、中間部16Bの開口16Wに対向する部分は、弾性体18と一体的に形成された外膜18Bで覆われている。
低周波流路側中間部16BLの外周側には、弾性体18と一体的に低周波用連通部18Lが形成されている。低周波用連通部18Lの外周側で軸方向Sの中央部には、図3、図5に示すように、周方向に延びると共に端部で周方向に開放された低周波溝18Mが構成されている。低周波溝18Mは、外筒14のゴム膜14Aにより径方向外側が閉鎖され、第1制限流路22Cの一部を構成する。
図2に示されるように、大径筒部16Aの周方向で低周波用連通部18Lが形成されていない部分には、制限流路保持部18Hが構成されている。制限流路保持部18Hは、各々の大径筒部16Aから軸方向Sの内側に幅をもって周方向に形成されている。制限流路保持部18Hには、後述する制限流路部材22が保持される。
内筒12の径方向外側で開口16Wに対応する部分には、一対の液室20A、20Bが構成されている。液室20A、20Bは、弾性体18及び後述する一対の制限流路部材22により囲まれて構成されている。
制限流路部材22は、制限流路保持部18Hの軸方向内側に挟み込まれ保持されている。図2にも示されるように、制限流路部材22は、外筒14の内面に沿って周方向に湾曲した円弧形状とされており、周方向の一部に制限流路部材22の円弧が不連続となる離間部22Rが構成されている。離間部22Rを構成する制限流路部材22の両先端部22E間の離間距離は、内筒12の外径よりも長くなっている。離間部22Rには、低周波用連通部18Lが挟み込まれて配置されている。
制限流路部材22の外周面は外筒14の内周に沿った弧状の曲面とされ、外筒14の内周壁面に形成されたゴム膜14Aに密着されている。制限流路部材22の内周側は、周方向中間部分が弧状とされ、軸方向Sからみて両方の先端部22Eから内筒12に対応する部分の各々については直線状とされ、互いに平行に配置されている。
制限流路部材22の内周側の、開口16Wに対応する部分には、ストッパ部24が構成されている。ストッパ部24は、径方向で内筒12に対向している。ストッパ部24は、内筒12の外面から離間して配置されている。
ストッパ部24の周方向の先端部22Eから遠い側には凹部25Aが構成され、ストッパ部24の軸方向Sの両外側には凹部25Bが構成されている。中間筒16の開口16Wの一方に対応する部分には、制限流路部材22と内筒12(外膜18B)との間に液室20Aが構成され、中間筒16の開口16Wの他方に対応する部分には、制限流路部材22と内筒12(外膜18B)との間に液室20Bが構成されている。液室20Aと液室20Bは、互いに周方向に離間して配置されている。液室20A、20Bには、水またはオイル等の液体Lが封入されている。
制限流路部材22の周方向の中間部には、可動板収納部30が一体的に構成されている。可動板収納部30の詳細については後述する。可動板収納部30の周方向両外側には、第2制限流路部26が構成されている。第2制限流路部26は、高周波流路側中間部16BHの外周に配置されている。第2制限流路部26の外周には、軸方向Sの中央に周方向に沿って第2溝26Mが構成されている。また、第2制限流路部26の可動板収納部30の隣には、凹状の第2液室27が構成されている。第2溝26Mは、一端側で第2液室27に開放されている。外筒14のゴム膜14Aにより第2溝26Mの径方向外側が閉鎖され、第2制限流路26Cが構成されている。第2制限流路部26の周方向で凹部25Aに対応する部分には、連通部26Aが構成されている。連通部26Aは、制限流路部材22を径方向に貫通しており、連通部26Aを介して、第2制限流路26Cと液室20A(または液室20B)とが連通されている。
制限流路部材22の外周面には、第1溝22Mが構成されている。第1溝22Mは、一端が低周波用連通部18Lの低周波溝18Mと連通されている。第1溝22Mは、制限流路部材22の外周面で周方向に延出されると共に軸方向にも屈曲され、所定の路長が確保されている。第1溝22Mの他端には、連通部22Aが構成されている。外筒14のゴム膜14Aにより第1溝22Mの径方向外側が閉鎖され、第1制限流路22Cの一部が構成されている。連通部22Aを介して、液室20A(または液室20B)と第1制限流路22Cとが連通されている。
第1制限流路22Cは、制限流路部材22の外面に構成された各々の第1溝22M、及び、低周波用連通部18Lの外面に構成された低周波溝18Mが、外筒14のゴム膜14Aによって径方向外側が閉鎖されて構成された1本の流路で構成されている。第1制限流路22Cによって、液室20Aと液室20Bとが連通されている。第1制限流路22Cは、液体Lが第1制限流路22Cを通して液室20Aと液室20Bの間を相互に流通し、第1制限流路22C内での液柱共振作用などにより、制振効果を得ることができるよう設定されている。第1制限流路22Cは、その路長や断面積が、周波数5Hz〜20Hzの範囲の、比較的低い周波数帯域の振動入力に適合するようにチューニングされている。
第2制限流路26Cは、液室20Aから、制限流路部材22の一方側の第2制限流路部26に構成された連通部26A、第2溝26M、を経由して第2液室27へ至り、可動板収納部30を経て、他方側の第2制限流路部26の第2溝26M、連通部26Aへ至り、液室20Bへ連通されている。第2制限流路26Cは、外筒14の内周で周方向に沿って構成されている。第2制限流路26Cは、第1制限流路22Cよりも高い周波数で、周波数30Hz〜60Hzの範囲の、比較的高い周波数帯域の振動入力に適合するようにチューニングされている。第2制限流路26Cは、内筒12を挟んで第1制限流路22Cと逆側に構成されている。
一対の第2液室27の間には、可動板収納部30が構成されている。可動板収納部30は、箱状に構成されており、可動板収納部30の内部には、図7に示すように、可動空間34Rが構成されている。可動空間34Rを挟んで周方向に距離D1離間して一対の幅板部35が対向配置されている。一対の幅板部35は、一対の第2液室27の間で、第2制限流路26Cを、液室20A側と液室20B側とで分断するように配置されている。また、一対の幅板部35には、複数の連通孔35Hが構成されている。連通孔35Hにより、第2液室27と可動空間34Rとが連通されている。可動板収納部30の軸方向Sの一端部側(図2の上側)には、開口30Aが構成されている。開口30Aは、後述する可動板32を可動空間34Rへ挿入可能な大きさとされている。可動板収納部30は、制限流路部材22に一体的に形成されている。可動板収納部30の可動空間34Rに後述する可動板32が収納され、可動板ユニット31が構成される。
なお、制限流路部材22は、樹脂材、金属材などの硬質部材により構成することができる。特に、樹脂材で構成することにより、安価で容易に一体成形することができる。
図2に示されるように、可動板32は、長方形板状とされ、可動空間34Rに収納されている。可動板32は、ゴムなどの、制限流路部材22よりも軟質の部材で構成されており、厚みD2とされている。可動板32は、厚み方向が周方向となるように可動空間34R内に配置されており、厚みD2は一対の幅板部35間の距離D1よりも短くなっており、可動板32は、一対の幅板部35間において、距離D1の振幅で移動(振動)可能とされている。また、可動板32は、幅板部35へ押し当てられることにより、幅板部35に構成された連通孔35Hを閉鎖可能とされている。一対の幅板部35の間の距離D1、及び、可動板32の厚みD2は、防振装置10において、所望の動バネ特性が得られるように、設定される。
上記構成の防振装置10の製造は、以下のように行う。外筒14にゴム膜14Aを加硫形成すると共に、これとは別に、内筒12と中間筒16との間に弾性体18、外膜18B、制限流路保持部18H、及び、低周波用連通部18Lを加硫形成する。また、制限流路部材22を射出により一体成形すると共に、可動板32を用意する。
まず、可動板32を開口30Aを介して、可動板収納部30の可動空間34Rへ挿入する。次に、制限流路部材22を内筒12と中間筒16との間に弾性体18等が加硫形成された部材へ取り付ける。取り付けは、制限流路部材22の離間部22Rを内筒12等へ向けて、径方向外側から外挿し、低周波用連通部18Lを離間部22Rの間に挟み込む。これにより、制限流路部材22の内側に液室20A、20Bが構成される。また、開口30Aが制限流路保持部18Hにより閉鎖される。本実施形態では、軸方向Sに可動板32を挿入可能なように開口30Aが構成されているので、可動板収納部30の径方向外側に開口が構成されている場合と比較して、可動板32の可動空間34Rからの不用意な抜け出しを抑制することができる。また、制限流路部材22に内筒12の外径よりも離間距離の長いよりも離間部22Rが構成されているので、内筒12と干渉することなく径方向外側からの組み付けを行うことができる。
次に、制限流路部材22が組み付けられた状態で、外筒14を外挿する。これにより、制限流路部材22が固定され、第1制限流路22C、第2制限流路26Cが構成される。上記の組み付けは、液体L内で行うことにより、液室20A等へ液体Lを封入することができる。
次に、本実施形態の作用を説明する。
防振装置10の内筒12をサスペンション等の振動発生部へ連結し、外筒14を車体等の振動受部へ連結すると、振動発生部からの振動は内筒12、弾性体18、外筒14を介して振動受部へ伝達される。
比較的周波数が低く大振幅の振動(周波数5Hz〜20Hz、振幅±0.5mm前後)の入力時には、弾性体18が弾性変形して液室20A、20Bが拡縮し、液体Lが第1制限流路22Cを介して液室20Aと液室20Bとの間を行き来し、第1制限流路22C内部での液柱共振作用などにより、防振効果を得ることができる。このとき、第2制限流路26Cは、可動板32が幅板部35へ押し当てられることにより、幅板部35に構成された連通孔35Hが閉鎖され、液体Lの流通が行われない状態となる。
一方、比較的周波数が高く小振幅の振動(周波数30Hz〜60Hz、振幅±0.1mm以下)の入力時には、第1制限流路22Cが目詰まり状態となる。一方、第2制限流路26Cにおいて、可動板32は幅板部35の間で振動し、連通孔35H通じて第2制限流路26C内で行き来し、液室20A、液室20Bの液圧上昇に伴う動バネ定数の上昇を抑制できるので、高い周波数域の振動も効果的に吸収することができる。
本実施形態の防振装置10によれば、低周波数帯域(周波数5Hz〜20Hz)の振動入力時における第2制限流路26Cの閉鎖と、高周波数帯域(周波数30Hz〜60Hz)の振動入力時における第2制限流路26Cの開放とを、可動板32による連通孔35Hの開閉により、簡易に切り換えることができる。
また、可動板32とは異なる一対の幅板部35で第2制限流路26Cを区画しているので、幅板部35の外周面において容易かつ確実に第2制限流路26Cを閉鎖するためのシールを行うことができる。
また、本実施形態では、可動板収納部30を可動板32よりも硬質の材料で構成しているので、可動板収納部30の変形が抑制され、一対の幅板部35の間の距離D1、可動板32の厚みD2を変更することにより、チューニングを容易に行うことができる。
また、本実施形態では、可動板収納部30を含んで制限流路部材22を一体的に一部材で構成しているので、部品点数を少なくすることができ、組み付けが容易になる。
なお、制限流路部材22は、図8に示されるように、一方に可動板収納部30が形成されるように2分割としてもよい。この場合には、各制限流路部材22の内側壁は、軸方向Sからみて直線状の部分は必要なく、弧状とすればよい。
さらに、図9に示されるように、制限流路部材22と可動板収納部30とを別体としてもよい。この場合にも、各制限流路部材22の内側壁は、軸方向Sからみて直線状の部分は必要なく、弧状とすればよい。また、可動板収納部30を組み付けるために、制限流路保持部18Hに凹部18HMを設けてもよい。
10 防振装置
12 内筒
14 外筒
16 中間筒
18 弾性体
18L 低周波用連通部
20A 液室
20B 液室
22C 制限流路
22 第1制限流路部材
22R 離間部
26C 第2制限流路
26 制限流路部
30 可動板収納部
30A 開口
31 可動板ユニット
32 可動板
S 軸方向

Claims (3)

  1. 振動発生部及び振動受け部の一方に連結される筒状の外筒と、
    振動発生部及び振動受け部の他方に連結され、前記外筒の筒内を貫くように前記外筒の筒軸方向に沿って配置される内筒と、
    前記内筒と前記外筒との間に配設されて前記内筒と前記外筒とを弾性的に連結する弾性体と、
    内壁の少なくとも一部が前記弾性体により構成され、前記内筒と前記外筒との間で周方向に離間して構成され、液体が封入される一対の液室と、
    前記一対の液室間を連通させる第1制限流路と、
    前記外筒の内側で周方向に沿って構成され、前記第1制限流路よりも高い周波数に対応するように設定され、前記一対の液室間を連通させる第2制限流路と、
    前記第2制限流路を分断するように互いに周方向に離間して対向配置され液体の連通孔が構成された一対の幅板部、及び、該一対の幅板部の間に構成された可動板収納空間に収納され、該一対の幅板部の間で前記第2制限流路に沿った方向に移動可能であると共に前記連通孔を閉鎖可能な可動板、を有し、前記可動板収納空間へ連通され、前記可動板を前記内筒の筒軸に沿った方向に挿入可能な開口が構成されている可動板ユニットと、
    を備えた、防振装置。
  2. 前記可動板ユニットの前記一対の幅板部、前記第1制限流路の少なくとも一部、及び、前記第2制限流路は、前記液室よりも径方向外側に配置される制限流路部材に一体的に構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記一対の液室の周方向の離間部分の一方には前記弾性体と一体的に連通部が形成され、該連通部には周方向の一方から他方に架けて溝が構成され、
    前記制限流路部材は前記外筒の内周に沿って弧状に形成されると共に周方向の一部が前記内筒の外径よりも幅広に離間されて該離間部に前記連通部が配置され、
    前記制限流路部材に形成された前記第1制限流路の一部と前記溝とが連通されて前記第1制限流路を構成すること、を特徴とする請求項2に記載の防振装置。
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