JP5641748B2 - X線コンピュータ断層撮影装置及びデータ処理方法 - Google Patents

X線コンピュータ断層撮影装置及びデータ処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置、データ処理装置、及びデータ処理方法に関する。
X線コンピュータ断層撮影装置(以下、X線CT装置と呼ぶことにする)によるスキャン法として、例えば特許文献1に開示されているように、円軌道スキャン(コンベンショナルスキャン)と被検体が載置される天板の移動とを交互に繰り返すスキャン法が知られている。このスキャン法をコーンビーム型(マルチスライス型ともいう)CTにより非常に広い領域をスキャンすることができる。なお円軌道スキャンは、被検体を静止した状態においてX線管が円軌道を周回するスキャン法である。
このスキャン法について、円軌道スキャンを3回する場合を例に挙げて説明する。まずX線CT装置は、被検体の第1のスキャン領域に円軌道スキャンを施し、第1スキャン領域に関する投影データセットを収集し、収集された投影データセットに基づいて第1スキャン領域に関するボリュームデータセットを再構成する。再構成法としては、例えば、Feldkamp(FDK)再構成が用いられる。次にX線CT装置は、天板をX線管とX線検出器とに対して相対的に移動し、天板を第2スキャン位置に配置する。次にX線CT装置は、第2スキャン領域に円軌道スキャンを施し、第2スキャン領域に関する投影データセットを収集し、第2スキャン領域に関するボリュームデータセットを発生する。次にX線CT装置は、天板を移動して第3スキャン位置に配置する。そしてX線CT装置は、第3スキャン領域に円軌道スキャンを施し、第3スキャン領域に関する投影データセットを収集し、第3スキャン領域に関するボリュームデータセットを発生する。
しかしながら、上述の技術においては、次のような問題を有する。すなわち、散乱線の分布差、被検体内でのX線の線質硬化、コーン角方向に応じたX線のエネルギー差等の様々な理由から、同一のX線条件でスキャンした場合であっても、解剖学的な同一部位のCT値がスキャン毎に異なる場合がある。この結果、隣り合うボリュームデータセット間の境界面におけるCT値が不連続となる場合がある。このため、隣り合うボリュームデータセット間の境界面のCT値に差が生じてしまう。
特開2006−239303号公報
本発明の目的は、ボリュームデータセット間のCT値の不連続を低減可能なX線CT装置、データ処理装置、及びデータ処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、前記回転軸に沿って部分的にオーバラップする又は隣接する複数のスキャン領域に複数のスキャンを実行するために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、前記X線検出器からの出力に基づいて、円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域にそれぞれ対応する複数のボリュームデータセットを発生する発生部と、前記複数のボリュームデータセットの境界部分のCT値に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する境界補正部と、を具備し、前記境界部分は、前記複数のボリュームデータセットのオーバラップ部分又は隣接部分であり、前記境界補正部は、前記ボリュームデータセットのうちの前記オーバラップ部分又は前記隣接部分以外の残りの部分の補正量を、前記中間値と前記オーバラップ部分又は前記隣接部分から前記残りの部分までの距離とに基づいて計算し、前記計算された補正量に従って前記オーバラップ部分又は前記隣接部分のCT値を補正する
本発明の第3の局面に係るデータ処理方法は、 X線を発生するX線管と、前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、前記回転軸に沿う位置が異なる複数のスキャン領域をX線でスキャンするために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、を具備するX線コンピュータ断層撮影装置のデータ処理方法であって、前記X線検出器からの出力に基づいて円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域に関する複数のボリュームデータセットを発生し、前記複数のボリュームデータセットのうちのオーバラップ又は隣接する2つの境界面間のCT値差に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する、ことを具備し、前記補正することは、前記2つの境界面間のCT値差分布を生成し、前記CT値差分布から高周波成分を除去し、前記高周波成分が除去されたCT値CT値差分布に基づいて前記2つの境界面に関する2つの補正分布を計算し、前記2つの補正分布に基づいて前記2つの境界面のCT値をそれぞれ補正する、ことを備える
本発明によれば、ボリュームデータセット間のCT値の不連続を低減可能なX線CT装置、データ処理装置、及びデータ処理方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るX線CT装置の構成を示す図。 第1実施形態に係るX線CT装置の動作の典型的な流れを示す図。 図2のステップST1において実行される3回の円軌道スキャンの位置関係を示す図。 図2のステップST1における第1の円軌道スキャンに関するスキャン領域、第2の円軌道スキャンに関するスキャン領域、及び第3の円軌道スキャンに関するスキャン領域の位置関係を示す図。 図2のステップST1における第1スキャン領域への円軌道スキャンの模式図。 図2のステップST1における第2スキャン領域への円軌道スキャンの模式図。 図2のステップST1における第3スキャン領域への円軌道スキャンの模式図。 図2のステップST1における第1スキャン領域、第2スキャン領域、及び第3スキャン領域の位置関係を示す他の図。 図2のステップST4において散乱線補正部により実行される散乱線補正処理を説明するための図。 図2のステップST5において発生された第1ボリュームデータセット、第2ボリュームデータセット、及び第3ボリュームデータセットの模式図。 図2のステップST6においてエネルギー補正部により実行されるエネルギー補正処理を説明するための図。 図2のステップST7において図1の境界補正部により実行される境界補正処理の典型的な流れを示す図。 図2のステップST7における境界補正処理前の第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットとに基づくMPR画像(コロナル断面画像)を示す図。 図2のステップST7における境界補正処理前の第1ボリュームデータセットに基づくアキシャル断面画像を示す図。 図2のステップST7における境界補正処理前の第2ボリュームデータセットに基づくアキシャル断面画像を示す図。 図12のステップST11において実行されるCT値差分布の計算処理の説明図。 図12のステップST12において実行される、第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットとの境界面に関する高周波成分の除去又は低減処理を示す図。 図12のステップST12において実行される、第2ボリュームデータセットと第3ボリュームデータセットとの境界面に関する高周波成分の除去又は低減処理を示す図。 図12のステップST12における低域通過フィルタを説明するための図。 図12のステップST13において実行される補正量の計算処理を説明するための図。 図12のステップST13において計算される補正量のグラフを示す図。 図2のステップST7における境界補正処理後の第1ボリュームデータセット、第2ボリュームデータセット、及び第3ボリュームデータセットを模式的に示す図。 本発明の第2実施形態に係るスキャン領域を示す図。 第2実施形態に係る第1スキャン領域、第2スキャン領域、及び第3スキャン領域の位置関係を示す図。 第2実施形態に係る境界補正部により実行される高周波成分の除去又は低減処理の適用箇所を示す図。 第2実施形態に係る境界補正部により実行される境界補正処理を説明するための図。 本発明の第3実施形態に係るX線CT装置の動作の典型的な流れを示す図。 本発明の第4実施形態に係る境界補正部により実行される重み付け処理の重みの1例を示す図。 本発明の第4実施形態に係る境界補正部により実行される重み付け処理の重みの他の例を示す図。 本発明の第4実施形態に係る境界補正部により実行される重み付け処理の重みの他の例を示す図。 本発明の変形例2に係る再構成処理部により実行される再構成処理を説明するための図。 本発明の変形例4に係る境界補正部により計算される補正量のグラフを示す図。 本発明の変形例5に係る境界補正部により実行される境界補正処理を説明するための図。 本発明の変形例6に係るコンソール制御部により実行される円軌道スキャンとヘリカルスキャンとの位置関係を示す図。 本発明の変形例6に係るコンソール制御部により実行される円軌道スキャンとヘリカルスキャンとの組み合わせスキャンの流れを示す図。 図35に示される円軌道スキャンに関するボリュームデータセットの一例を示す図。 図35に示されるヘリカルスキャンに関するボリュームデータセットの一例を示す図。 図36に示されるボリュームデータセットと図37に示されるボリュームデータセットとのオーバラップの一例を示す図。 図36に示されるボリュームデータセットと図37に示されるボリュームデータセットとのオーバラップの他の例を示す図。 本発明の変形例7に係る境界補正部により実行される境界補正処理を説明するための図。
以下、本発明の実施形態に係るX線CT装置、データ処理装置、及びデータ処理方法を図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の構成を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、架台2、寝台3、及び操作コンソール(データ処理装置)4を備える。
架台2は、X線管5、X線検出器6、X線遮蔽板7a、絞り駆動部7b、回転フレーム8、高電圧発生部9、回転駆動部10、架台制御部11、及びデータ収集部12を有する。
X線管5とX線検出器6とは、回転フレーム8に取り付けられている。この回転フレーム8を回転駆動部10で回転することにより、X線管5とX線検出器6とが、互いに対向した状態で被検体Pの周りを回転する。
なお、Z軸は、回転フレーム8の回転軸に規定される。X軸は、X線管5のX線焦点と検出器6の中心とを結ぶZ軸に直交する軸に規定される。Y軸は、X軸及びZ軸に直交する軸に規定される。このように、XYZ直交座標系は、X線管5の回転とともに回転する回転座標系を構成する。なお、+Z方向及び−Z方向は、スライス方向と呼ばれている。
回転フレーム8を有する支持機構は、X線管5とX線検出器6とを被検体周りを回転可能に支持する。支持機構は回転駆動部10からの駆動信号の供給を受けて、回転フレーム8を回転するための電動機を有する。
X線管5は、高電圧発生部9から管電圧の印加及び管電流の供給を受けてX線を発生する。
X線検出器6は、2次元アレイ型検出器(いわゆるマルチスライス型検出器)である。X線検出器6は、2次元状に配列された複数のX線検出素子を有する。X線検出素子は、例えば1mm×1mmの正方の検出面を有する。例えば1000個のX線検出素子がZ軸を中心とした円弧に沿って配列される。このX線検出素子の配列方向はチャンネル方向と呼ばれる。チャンネル方向に沿って配列された複数のX線検出素子はX線検出素子列と呼ばれる。例えば64個のX線検出素子列は、Z軸で示すスライス方向に沿って配列される。
X線絞り装置は、X線遮蔽板7aと絞り駆動部7bとを有する。X線絞り装置は、被検体Pに照射されるX線の照射範囲を調整する機能を有する。例えば、絞り駆動部7bによりX線遮蔽板7aを移動することにより、スライス方向に関するX線の照射範囲を調整できる。
データ収集部(DAS)12は、X線検出器6からチャンネルごとに電気信号を読み出し、読み出された電気信号を増幅し、増幅された電気信号をディジタル信号に変換する。ディジタル信号は、投影データと呼ばれている。投影データは、データ処理装置4に供給される。なお投影データセットとは、一のボリュームを再構成するのに要する、X線管5が360度回転する間に繰り返し収集される投影データのあつまりをいう。
寝台3は、天板3a、天板駆動部3b、及び天板支持機構3cを有する。天板3a上には、被検体Pが載置される。天板支持機構3cは、天板3aをZ軸に沿って移動可能に支持する。典型的には、天板支持機構3cは、天板3aの長軸がZ軸に平行するように天板3aを支持する。天板駆動部3bは、架台制御部11からの制御信号に従って天板支持機構3cを駆動し、天板3aをスライス方向に沿って移動する。回転フレーム8の中央部分には、開口(bore)が形成されている。この開口に、被検体Pが載置された天板3aが挿入される。
操作コンソール4は、コンソール制御部13、入力部14、前処理部15、散乱線補正部16、再構成処理部17、線質補正部18、境界補正部19、エネルギー補正部20、合成部21、画像記憶部22、画像処理部23、及び表示部24を備えている。
コンソール制御部13は、X線CT装置1の制御中枢として機能する。例えば、コンソール制御部13は、複数のスキャン領域をX線でスキャンするために架台制御部11を制御する。コンソール制御部13による制御に従って架台制御部11は、天板駆動部3b、絞り駆動部7b、高電圧発生部9、回転駆動部10、及びデータ収集部12を制御する。なお、コンソール制御部13と架台制御部11とは、スキャン制御部を構成する。
入力部14は、操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部14としては、キーボードやマウス、スイッチ等が利用可能である。
前処理部15は、データ収集部12から出力される投影データセットに対して対数変換や感度補正等の前処理を施す。
散乱線補正部16は、X線照射範囲内の投影データセットの投影値に基づいて投影データセットに含まれる散乱線成分を除去する。具体的には、散乱線補正部16は、散乱線補正対象の投影データセット又はその隣接投影データセットの投影値に基づいて散乱線成分を計算し、計算された散乱線成分を散乱線補正対象の投影データセットから減じる。
再構成処理部17は、ファンビーム再構成やコーンビーム再構成等の画像再構成法に基づいて投影データセットから被検体P内部の生体情報の画像データセット(ボリュームデータセット)を発生する。ファンビーム再構成は、スライス方向におけるX線パスが平行であると仮定した画像再構成法である。コーンビーム再構成は、スライス方向に関するX線照射角度(スライス方向に関するX線の広がり角度:コーン角)を考慮した画像再構成法である。画像再構成法としては、例えば、Feldkamp(FDK)再構成法が用いられる。
なおボリュームデータセットは、Z軸に沿って配列された複数のアキシャル断面画像のデータから構成されるものとする。アキシャル断面画像は、XY平面に平行な断面に対応する。アキシャル断面画像は、例えば、512×512のピクセルサイズを有する。また、ボリュームデータセットは、例えば、128枚のアキシャル断面画像から構成される。
上述のように第1実施形態においては、複数のスキャン領域がスキャンされる。従って再構成処理部17は、複数のスキャン領域に関する複数の投影データセットに基づいて複数のスキャン領域に関する複数のボリュームデータセットを発生する。
線質補正部18は、複数のボリュームデータセットに線質補正処理を施す。線質補正処理としては、例えば2nd_pass_BCC(2ndBCC)等のビームハードニング補正が用いられる。線質補正部18は、線質補正処理のための補正量を計算し、計算された補正量に従ってボリュームデータセットのCT値を補正する。
境界補正部19は、複数のボリュームデータセットの境界部分のCT値に基づいて、複数のボリュームデータセットのCT値を補正する。境界部分とは、2つのボリュームデータセットのオーバラップ部分又は2つのボリュームデータセットの隣接部分である。具体的には、境界補正部19は、複数のボリュームデータセットの境界部分内の同一位置のピクセル間でのCT値差に基づいて、複数のボリュームデータセットのCT値を補正する。
エネルギー補正部20は、ボリュームデータセットにエネルギー補正処理を施す。具体的には、エネルギー補正部20は、エネルギー補正処理のための補正量を計算し、計算された補正量に従ってボリュームデータセットのCT値を補正する。
合成部21は、複数のスキャン領域全体に関する単一のボリュームデータセットを発生するために、複数のボリュームデータセットを合成する。以下、合成部21により発生されるボリュームデータセットを合成ボリュームデータセットと呼ぶことにする。
画像記憶部22は、投影データセット、ボリュームデータセット、及び合成ボリュームデータセットを記憶する。
画像処理部23は、ボリュームデータセットや合成ボリュームデータセットに各種画像処理を施して表示画像のデータを発生する。表示画像を発生する際の各種設定条件、関心領域の設定等は、操作者による入力部14への入力に基づいて行われる。
表示部24は、表示画像を表示する。
なお、操作コンソール4は、専用ハードウェアで構成しても良いし、コンピュータを用いてソフトウェアで同様の機能を実現しても良い。
次に第1実施形態に係るX線CT装置1の動作例について説明する。図2は、コンソール制御部13の制御のもとに行なわれるX線CT装置1の動作の典型的な流れを示す図である。
図2に示すように、まずステップST1においてコンソール制御部13は、複数のスキャン領域をX線でスキャンするために、架台制御部11を介して架台2内の各部を間接的に制御する。架台制御部11は、コンソール制御部13からの制御に従って、天板駆動部3b、絞り駆動部7b、高電圧発生部9、回転駆動部10、及びデータ収集部12等を制御する。これら制御によりコンソール制御部13は、円軌道スキャンと被検体Pの移動とを繰り返し、複数のスキャン領域をX線でスキャンする。以下の説明においては、図3に示すように、3回の円軌道スキャンが被検体Pに対して実行される場合を例に挙げて説明する。
具体的には、ステップST1において回転駆動部10は、回転フレーム8を駆動し、X線管5とX線検出器6とをZ軸回りに回転する。回転中、X線管5は、高電圧発生部9からの高電圧に応じてX線を発生する。また、X線遮蔽板7aは、スキャン条件に応じた照射範囲にX線の立体角を限定する。
次に、ステップST2においてデータ収集部12は、X線検出器6を介して投影データを収集する。より詳細には、データ収集部12は、X線検出器6からチャンネルごとに出力される電気信号を増幅し、増幅された電気信号を投影データに変換する。この投影データは、操作コンソール4に供給する。
図4に示すように、3回の円軌道スキャンに関するイメージング領域FOVは、スライス方向に沿ってアレンジされる第1スキャン領域A1、第2スキャン領域A2、第3スキャン領域A3により構成される。これら3つのスキャン領域A1、A2、A3は部分的にオーバラップする、又は隣接するように設定される。スキャン領域A1、A2、A3は、それぞれ1回(一周)の円軌道スキャン(スライス方向に沿う天板3aの移動を行なわない状態でのスキャン、すなわち、非ヘリカルスキャン)によりスキャンされる。3回の非連続的な円軌道スキャンは、スキャン領域A1、A2、A3にそれぞれ対応する3つの投影データセットを揃える。3つの投影データセットに基づいて3つのボリュームデータセットが再構成される。各ボリュームデータセットは、複数のアキシャル断面画像から構成されるものとして説明する。
より詳細には、まずステップST1において、コンソール制御部13は、図5に示すように被検体Pの第1スキャン領域A1について1回目の円軌道スキャンを実行する。1回目の円軌道スキャンが終了するとコンソール制御部13は、被検体(人体)Pが載置された天板3aをスライス方向に沿って移動し、天板3aを第2スキャン領域A1のスキャン位置に配置する。次にコンソール制御部13は、図6に示すように、第2スキャン領域A2について2回目の円軌道スキャンを実行する。2回目の円軌道スキャンが終了するとコンソール制御部13は、スライス方向に沿って天板3aを移動し、天板3aを第3スキャン領域A3のスキャン位置に配置する。そしてコンソール制御部13は、図7に示すように、第3スキャン領域A3について3回目の円軌道スキャンを実行する。
図8に示すように、イメージング領域FOVは、Z軸を中心とした円柱形状を有する。上述のようにイメージング領域FOVは、第1スキャン領域A1、第2スキャン領域A2、及び第3スキャン領域A3からなる。3つのスキャン領域A1、A2、A3は、部分的にオーバラップする。各オーバラップ部分VO1、VO2には、少なくとも1枚のアキシャル断面画像が含まれる。
すなわち、1回目の円軌道スキャンにより得られるアキシャル断面画像と2回目の円軌道スキャンにより得られるアキシャル断面画像のうち、第1スキャン領域と第2スキャン領域との境界面B1において、同じ部分のアキシャル断面画像が2枚存在する。同様に2回目の円軌道スキャンにより得られるアキシャル断面画像と3回目の円軌道スキャンにより得られるアキシャル断面画像のうち、第2スキャン領域と第3スキャン領域との境界面B2において、同じ部分の断面画像が2枚存在するようになっている。
なお、スキャン領域A1、A2、A3が正確に隣接するようにアレンジされる場合、3つのボリュームデータセットの隣接部分のアキシャル断面画像を用いて境界補正処理のための補正量が算出される。
ステップST3において前処理部15は、データ収集部12から出力される投影データセットに対して対数変換処理や感度補正等の前処理を施す。前処理が施された投影データセットは、散乱線補正部16に供給される。
ステップST4において散乱線補正部16は、投影データセットに含まれる散乱線成分を除去する。図9に示すように、散乱線は、例えばX線投影パス上の物質において発生する。このため、例えば、被検体Pの構造や部位に応じて散乱線の分布差が生じる。散乱線は、アーチファクトの原因となる。したがって、散乱線に由来するアーチファクト低減のため、散乱線補正部16は、投影データセットに散乱線補正処理を施す。具体的には、散乱線補正部16は、散乱線補正対象の投影データ又は隣接投影データの投影値に基づいて推定散乱線成分値を計算する。次に散乱線補正部16は、散乱線補正対象の投影データに散乱線補正を施すために、計算された推定散乱線成分値を散乱線補正対象の投影データの投影値から減ずる。散乱線補正処理後の投影データセットは、再構成処理部17に供給される。
ステップST5において再構成処理部17は、例えば、Feldkamp(FDK)再構成法等の再構成方法に基づいて、第1スキャン領域A1に関する投影データセットから第1ボリュームデータセットV1を発生し、第2スキャン領域A2に関する投影データセットから第2ボリュームデータセットV2を発生し、第3スキャン領域A3に関する投影データセットから第3ボリュームデータセットV3を発生する。図10に示すように、ボリュームデータセットV1、V2、V2は、それぞれ円柱形状に対応している。再構成されたボリュームデータセットV1、V2、V3は、線質補正部18に供給される。
ステップST6において線質補正部18は、被検体Pの構造に依存して生じるX線の線質硬化を補正するために、ボリュームデータセットに2ndBCC等の線質補正処理を施す。以下に2ndBCCによる線質補正処理の動作例を説明する。まず線質補正部18は、入力部14を介して予め設定された画像表示エリア(FOV)に関する投影データセットに基づいてオリジナル画像を再構成する。次に線質補正部18は、再構成されたオリジナル画像における骨の部分のX線パス長と水等の無機質の部分のX線パス長とを計算する。次に線質補正部18は、骨の部分のビームハードニング量と水等の無機質の部分のビームハードニング量とを計算する。線質補正部18は、骨の部分のビームハードニング量と無機質の部分のビームハードニング量とに基づいて補正成分の投影データセットを計算する。次に線質補正部18は、補正成分の投影データセットに基づいて補正画像を再構成する。次に線質補正部18は、補正画像とオリジナル画像とに基づいてBHC補正された画像を発生する。具体的には、線質補正部18は、BHC補正された画像を発生するために、補正画像とオリジナル画像とを加算する。BHC補正された画像のデータは、境界補正部19とエネルギー補正部20とに供給される。
ステップST7において、合成部21は、イメージング領域FOVに関する単一の合成ボリュームデータセットV0を発生するために、ボリュームデータセットV1、ボリュームデータセットV2、及びボリュームデータセットV3を合成する。この合成処理には、境界補正部19による境界補正処理が組み込まれている。ステップST7において境界補正部19は、線質補正処理後のボリュームデータセットV1、ボリュームデータセットV2、及びボリュームデータセットV3に境界補正処理を施す。境界補正部19により境界補正処理の説明は後述する。
また、合成部21による合成処理には、エネルギー補正部20によるX線のエネルギー補正処理が組み込まれている。以下にエネルギー補正部20によるX線のエネルギー補正処理について説明する。X線は、エネルギーが低いほど吸収されやすく、エネルギーが高いほど透過しやすい。ところで、図11に示すように、X線管5の陰極5bからの電子ビームは、陽極5aに衝突する。陽極5a中の電子ビームのパス長に応じて、陽極5aに吸収される低エネルギーX線量が異なる。従ってX線管5から発生されるX線のエネルギー分布が不均一になる。この影響によりX線検出器6のX線検出素子列の位置に応じてCT値が変化する。ステップST7においてエネルギー補正部20は、このマルチスライス型のX線検出器6のスライス方向両端の画像間でCT値のずれを解消するように補正処理を施す。
次に、ステップST7において境界補正部19により行なわれる境界補正処理の典型的な流れを説明する。図12は、境界補正処理の典型的な流れを示す図である。
図13は、境界補正処理前の第1ボリュームデータセットV1と第2ボリュームデータセットV2とに基づくMPR画像(コロナル断面画像)を模式的に示す。なおコロナル断面は、YZ平面に対応する。図13に示すように、第1ボリュームデータセットV1と第2ボリュームデータセットV2との境界面B1にCT値の段差が生じている。図14は、第1ボリュームデータセットV1に含まれる境界面B1のアキシャル断面画像I1を示す。図15は、第2ボリュームデータセットV2に含まれる境界面B1のアキシャル断面画像I2を示す。
まず、ステップST11において境界補正部19は、図16に示すように、2つのボリュームデータセットV(V1、V2)との単一の境界面に関する2枚のアキシャル断面画像I(I1、I2)からCT値差分布を発生する。2枚のアキシャル断面画像の一方は、第1ボリュームデータセットV1に含まれる。2枚のアキシャル断面画像の他方は、第2ボリュームデータセットV2に含まれる。すなわちアキシャル断面画像I1とアキシャル断面画像I2とは、オーバラップしている。境界補正部19は、解剖学的な同一断面に関するアキシャル断面画像I1とアキシャル断面画像I2との間のCT値差分布G1を発生する。アキシャル断面画像I1を構成する複数のピクセルに関する複数のCT値から、アキシャル断面画像I2を構成する複数のピクセルに関する複数のCT値をピクセル位置を揃えて差分することにより、複数のCT値差が計算される。CT値差分布G1は、複数のCT値差の空間的分布として定義される。
以上により境界補正部19は、図17に示すように、境界面B1に関するCT値差分布G1を発生することが出来る。この処理の数式表現は、G1=I1−I2である。
同様に、境界補正部19は、全ての境界面に関するCT値差分布を発生する。すなわち境界補正部19は、ボリュームデータセットV2とボリュームデータセットV3との間の境界面B2に関するCT値差分布G2を発生する。この処理の数式表現は、G2=I2−I3である。
ステップST12において境界補正部19は、CT値差分布から高周波成分を低減又は除去する。基本的にCT値差分布は、高周波成分を有していない。従って境界補正部19は、図17と図18とに示すように、例えばN×Nマトリクスを有する低域通過フィルタをCT値差分布G1、G2の全面にかける。境界補正部19は、CT値差分布G1に低域通過フィルタをかけることにより、高周波成分が低減又は除去されたCT値差分布H1を発生する。同様に巨海保西部19は、CT値差分布G2に低域通過フィルタをかけることにより、高周波成分が低減又は除去されたCT差分布H2を発生する。なお、低域通過フィルタは、図19に示すように、CT値差分布G1、G2に含まれる低周波数成分の強度を変化させず、CT値差分布G1、G2に含まれる高周波数成分を低減又は除去する。
さらにステップST13において境界補正部19は、最終的なCT値差分布H1,H2に基づいて、境界面におけるCT値の補正量を計算する。例えば、境界補正部19は、CT値差の中間値を補正量に決定する。補正量は、アキシャル断面画像I1やアキシャル断面画像I2を構成する複数のピクセル毎に設定される。図20に示す1つのピクセルP1に注目して説明する。
図21は、ピクセルP1における境界面B1のCT値差H1と境界面B2のCT値差H2とを示す。境界補正部19は、CT値差H1の1/2の値を境界面B1のCT値補正量に決定する。具体的には、境界補正部19は、境界面B1における第1ボリュームデータセットV1の補正量D1を+H1/2に決定する。また、境界補正部19は、境界面B1における第2ボリュームデータセットV2の補正量D2を−H1/2に決定する。同様に境界補正部19は、境界面B2における第2ボリュームデータセットV2の補正量D3を+H2/2に決定する。また、境界補正部19は、境界面B2における第3ボリュームデータセットV3の補正量D4を−H2/2に決定する。以上により境界面におけるボリュームデータセットV1、V2、及びV3の補正量が決定される。
なお上述の説明においてオーバラップ部分には、単一のアキシャル断面画像が含まれるとした。しかしながら、第1実施形態はこれに限定されない。例えば、オーバラップ部分には、スライス方向に沿って配列される複数のアキシャル断面画像を含んでも良い。この場合、境界補正部19は、オーバラップ部分に含まれる各アキシャル断面画像について補正量を決定するために、各アキシャル断面画像にステップST11、ST12、及びST13を施す。これにより、オーバラップ部分の補正量が決定される。
ステップST14において境界補正部19は、イメージング領域FOV(合成ボリュームデータセットV0)の端面B0、端面B3の補正量をゼロに決定する。以上により、図21に示すように、端面B0、端面B3、境界面B1、及び境界面B2の補正量が決定される。
ステップST15において境界補正部19は、各ボリュームデータセットV1、V2、V3における境界面(オーバラップ部分)及び端面以外の領域(以下、非オーバラップ部分と呼ぶことにする)のCT値の補正量を計算する。例えば図21に示すように境界補正部19は、非オーバラップ部分を構成する複数のピクセルの各々について、線形補間に基づいて補正量を計算する。具体的には、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1の端面B0の補正量“0”と境界面B1の補正量“D1”とから線形補間に基づいて非オーバラップ部分の補正量を計算する。例えば、ピクセルP1の補正量の計算を例に挙げて説明する。第1ボリュームデータセットV1上のピクセルP1の非オーバラップ部分の補正量は、端面B0の補正量“0”と境界面B1の補正量“D1”とを結ぶ直線により規定される。同様に第2ボリュームデータセットV2上のピクセルP1の非オーバラップ部分の補正量は、境界面B1の補正量“D2”と、境界面B2の補正量“D3”とを結ぶ直線により規定される。同様に第3ボリュームデータセットV3上のピクセルP1の非オーバラップ部分の補正量は、境界面B2の補正量“D4”と端面B3の補正量“0”とを結ぶ直線により規定される。境界補正部19は、N×Nの全てのピクセル(P1、P2、…P512×512)について補正量を計算するために、この処理をN×Nの全てのピクセルについて施す。
以上により第1ボリュームデーセットV1、第2ボリュームデータセットV2、及び第3ボリュームデータセットV3の補正量(すなわち合成ボリュームデータセットV0の補正量)が決定される。
なお補正方法は、上記に限られるものではない。例えば境界補正部19は、2つのアキシャル断面画像の平均CT値を、各アキシャル断面画像のCT値に置き換えても良い。
ステップST16において境界補正部19は、図22に示すように、ステップS13、ステップST14、及びステップST15において決定された補正量に基づいてボリュームデータセットV1、ボリュームデータセットV2、及びボリュームデータセットV3のCT値を補正する。これにより、ボリュームデータセットV1、ボリュームデータセットV2、及びボリュームデータセットV3のCT値が空間上で滑らかに連続される。
以上で境界補正部19による境界補正処理が終了する。なお上記の説明においては、ボリュームデータセットのオーバラップ部分と非非オーバラップ部分との両方に境界補正処理を施すとした。しかしながら、境界補正処理は、これに限定されない。例えば、境界補正部19は、ボリュームデータセットのオーバラップ部分のみに境界補正処理を施してもよい。
境界補正部19による境界補正処理が終了すると、合成部21は、境界補正処理が施された第1ボリュームデータセット、第2ボリュームデータセット、及び第3ボリュームデータセットに基づいて合成ボリュームデータセットを発生する。
以上でステップST7が終了する。
ステップST7が終了されると、図2に示すように、ステップST8において画像記憶部22は、合成ボリュームデータセットを記憶する。
ステップST9において画像処理部23は、画像記憶部21に記憶されたボリュームデータセットに対して各種画像処理を施して2次元状の表示画像のデータセットを発生する。表示画像を発生する際の各種設定条件、関心領域の設定等は、操作者による入力部14への入力に基づいて行われる。
ステップST10において表示部24は、画像処理部23により発生された表示画像を表示する。
ステップST10が行なわれるとX線CT装置1による動作が終了する。
なお各処理の順番は、図2に示す順番に限定されない。例えば合成処理の後に境界補正処理が行なわれても良いし、境界補正処理の後に合成処理が行なわれても良い。
第1実施形態によれば、X線CT装置1は、上述の境界補正処理により、スライス方向(コーン角方向)に応じたX線エネルギーの変化に起因するボリュームデータセット間のCT値の不連続を低減することができる。X線CT装置1は、隣り合うボリュームデータセット間のCT値の空間的な連続性を向上させることができる。X線CT装置1は、ボリューム領域の両端でのCT値の差を低減することができる。またX線CT装置1は、隣り合うボリュームデータセットをオーバラップさせることにより、容易に境界補正処理における補正量を計算することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る動作例について説明する。なお、第2実施形態と第1実施形態とは、スキャン領域の形状(ボリュームデータセットの形状)と境界補正処理とが異なる。従って第2実施形態に係るスキャン領域の形状と境界補正処理以外についての説明は、省略する。
図23に示すように、第2実施形態に係るスキャン領域の形状は、底辺周りに台形を回転することにより得られる形状に設定される。第2実施形態に係るスキャン領域は、円柱状の部分と円錐状の部分とを含む。なお、円錐部分は、照射されるX線のコーン角方向の広がりにより生じる。円錐部分の内側においては、再構成に必要十分な投影データセットが収集されるため、画像劣化が生じない。しかし、円錐部分の外側においては、再構成に必要十分な投影データセットが収集されないため、画質劣化が生じてしまう。なお、上記第1実施形態におけるスキャン領域の形状は、図8に示すように、円柱形状に設定されていた。
第2実施形態においては、図24に示すように第1スキャン領域A1と第2スキャン領域A2とがオーバラップされる。具体的には、円柱部分内の境界面B1において少なくとも1枚のアキシャル断面がオーバラップし、且つ円錐部分全体がオーバラップするようにスキャン領域A1と第2スキャン領域A2とが位置決めされる。同様に、円柱部分内の境界面B2において少なくとも1枚のアキシャル断面がオーバラップし、且つ円錐部分全体がオーバラップするように第2スキャン領域A2と第3スキャン領域A3とが位置決めされる。すなわち、第1実施形態よりも多数のアキシャル断面がオーバラップする。
次に第2実施形態に係る境界補正部19による境界補正処理について説明する。
なお、境界補正部19は、境界補正処理のステップST11に先立って、各ボリュームデータセットに含まれる高周波成分を低域通過フィルタ(LPF)により除去又は低減する。図25は、低域通過フィルタの適用箇所R1と非適用箇所R2とを模式的に示す図である。図25に示すように、適用箇所R1は、オーバラップ部分VOを含む全てのアキシャル断面画像である。換言すれば、適用箇所R1は、ボリュームデータセットのスライス方向に関する端部分である。低域通過フィルタの適用により、CT値差分布に含まれる高周波数成分が低減され、ひいては境界補正処理に関する補正精度が向上する。なお、低域通過フィルタの適用は、第1実施形態においても、ステップST11に先立って行なわれても良い。
ステップST11において境界補正部19は、オーバラップしているアキシャル断面に関する2枚のアキシャル断面画像からCT値差分布を発生する。境界補正部19は、オーバラップ部分に含まれるアキシャル断面毎にCT値差分布を発生する。
次にステップST12において境界補正部19は、CT値差分布から高周波成分を除去することにより最終的なCT値差分布を発生する。
図26に示すように、ピクセルP1に注目すると、オーバラップ部分VO1においてCT値差分曲線H3が得られ、オーバラップ部分VO2においてCT値差分曲線H4が得られる。なおCT値差曲線は、スライス方向の位置に応じたCT値差の変化を示す。CT値差曲線H3とCT値差曲線H4とは、スライス方向に滑らかに増減する。
ステップST13において境界補正部19は、CT値差曲線H3の1/2の値に基づいてボリュームデータセットV1のオーバラップ部分VO1の補正量“D1”、ボリュームデータセットV2の補正量“D2”を計算する。同様に、境界補正部19は、CT値曲線H4の1/2の値に基づいてボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO2の補正量“D3”、ボリュームデータセットV3のオーバラップ部分VO2の補正量“D4”を計算する。第1実施形態と同様に、H3=I1−I2、H4=I2−I3、D1=+H3/2、D2=−H3/2、D3=+H4/2、D4=−H4/2である。
ステップST14において境界補正部19は、合成ボリュームデータセットV0の端面B0における補正量と端面B3における補正量とをゼロに決定する。以上により、合成ボリュームデータセットV0の両端面における補正量とオーバラップ部分における補正量とが決定される。
ステップST15において境界補正部19は、ボリュームデータセットの非オーバラップ部分の補正量を計算する。例えば、図26に示すように、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1の非オーバラップ部分VN1、第2ボリュームデータセットV2の非オーバラップ部分VN2、第3ボリュームデータセットV3の非オーバラップ部分VN3の補正量を非線形補間に基づいて計算する。具体的には、非オーバラップ部分VN1のピクセルP1の補正量は、第1ボリュームデータセットV1の端面の補正量“0”と他端の補正量“D1”とから非線形補間に基づいて計算される。非線形補間としては、例えば、サイン関数や、コサイン関数、スプライン関数等の多項式近似等に基づく。同様に境界補正部19は、非オーバラップ部分VN2のピクセルP1の補正量を、第2ボリュームデータセットV2のV1側の境界面の補正量とV3側の境界面の補正量とから非線形補間に基づいて計算する。また、境界補正部19は、非オーバラップ部分VN3のピクセルP1の補正量を、第3ボリュームデータセットV3のV2側の境界面の補正量と端面の補正量“0”とから非線形補間に基づいて計算する。
境界補正部19は、ピクセルP1について説明した上記の補正量の計算処理を、N×Nの全てのピクセルについて同様に計算する。これにより合成ボリュームデータセットV0全体における補正量が決定される。
ステップST16において境界補正部19は、ステップST13、ST14、及びST15において決定された補正量に基づいて、第1ボリュームデータセットV1、第2ボリュームデータセットV2、及び第3ボリュームデータセットV3のCT値を補正する。以上により境界補正処理が完了する。この境界補正処理により、合成ボリュームデータセットV0内におけるCT値の空間的な連続性が向上する。
上述のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに第2実施形態におけるオーバラップ部分は、第1実施形態におけるオーバラップ部分よりも大きい。従って第2実施形態に係るX線CT装置1は、第1実施形態に係るX線CT装置よりも、ボリュームデータセット間のCT値変化をより滑らかにすることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。なお第3実施形態に係る境界補正部19は、投影データセットに境界補正処理を施す。第3実施形態と第1実施形態とは、境界補正処理のみが異なる。従って第3実施形態に係る境界補正処理以外の処理についての説明は、省略する。
第3実施形態では、図27に示すように、再構成処理部17による再構成処理に境界補正部19により境界補正処理が組み込まれている。例えば、境界補正部19は、ステップST5における再構成処理の際に、複数の円軌道スキャンにより収集された投影データセットに重み付け処理を施す。そして再構成処理部17は、重み付け処理が施された投影データセットに加算平均処理を施す。
以下に、第1スキャン領域に関する投影データセット(以下、第1投影データセットと呼ぶことにする)と第2スキャン領域に関する投影データセット(以下、第2投影データセットと呼ぶことにする)とが境界補正の処理対象である場合を具体例に挙げて説明する。なお、第1スキャン領域と第2スキャン領域とは、解剖学的に同一なオーバラップ部分を有する。換言すれば、第1投影データセットは、オーバラップ部分のアキシャル断面に関する成分(以下、オーバラップ断面成分と呼ぶことにする)と非オーバラップ部分のアキシャル断面に関する成分(以下、非オーバラップ断面成分と呼ぶことにする)とを有する。同様に、第2投影データセットは、オーバラップ断面成分と非オーバラップ断面成分とを有する。第1投影データセットのオーバラップ断面成分と第2投影データセットのオーバラップ断面成分とは、解剖学的に同一なオーバラップ部分に由来する。
例えば、第1スキャン領域内のオーバラップ部分に関する複数のアキシャル断面と第2スキャン領域内のオーバラップ部分に関する複数のアキシャル断面とがそれぞれオーバラップする場合を例に挙げて説明する。ここで、オーバラップ部分に含まれるアキシャル断面のうちの、最も第1スキャン領域の中央部に近いアキシャル断面を第1アキシャル断面、オーバラップ部分の中央部のアキシャル断面を中央アキシャル断面、そして最も第2スキャン領域の中央部に近いアキシャル断面を第2アキシャル断面と呼ぶことにする。
例えば、境界補正部19は、第1投影データセットの第1アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“90%”、第2投影データセットの第1アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“10%”を付す。境界補正部10は、第1投影データセットの中央アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“50%”、第2投影データセットの中央アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“50%”を付す。また、境界補正部19は、第1投影データセットの第2アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“10%”、第2投影データセットの第2アキシャル断面に関するオーバラップ断面成分に重み“90%”を付す。
第3実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態に係るX線CT装置1は、再構成処理の際に境界補正を行うことにより、第1実施形態に係るX線CT装置1や第2実施形態に係るX線CT装置1よりも、境界補正処理に関する処理量を低減したり、処理時間を短縮したりすることができる。
[第4実施形態]
第4実施形態に係る境界補正部19は、重み付け処理に基づく境界補正処理をボリュームデータセットに施す。以下、第4実施形態に係る境界補正処理について説明する。なお第4実施形態と第1実施形態とは、境界補正処理のみ処理内容が異なる。従って第4実施形態に係る境界補正処理以外の処理についての説明は、省略する。
以下に、第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットと第3ボリュームデータセットとが境界補正処理の処理対象である場合を具体例に挙げて説明する。なお、第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットとは、オーバラップ部分を共有している。また、第2ボリュームデータセットと第3ボリュームデータセットともオーバラップ部分を共有している。第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットと第3ボリュームデータセットとは、それぞれオーバラップ部分と非オーバラップ部分とを有している。第1ボリュームデータセットのオーバラップ部分と第2ボリュームデータセットのオーバラップ部分とは、解剖学的に同一なオーバラップ部分に対応する。第2ボリュームデータセットのオーバラップ部分と第3ボリュームデータセットのオーバラップ部分とは、解剖学的に同一なオーバラップ部分に対応する。
図28は、境界補正部19による重み付け処理に利用される重みの1例を示す図である。図28に示すように、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1の非オーバラップ部分VN1のCT値と第2ボリュームデータセットV2の非オーバラップ部分VN2のCT値と第3ボリュームデータセットV3の非オーバラップ部分VN3のCT値とに重み“1”を乗じる。すなわち、境界補正部19は、非オーバラップ部分VN1のCT値と非オーバラップ部分VN2のCT値と非オーバラップ部分VN3のCT値とを変化させない。
また図28に示すように、境界補正部19は、Z位置に応じて異なる値を有する重みをオーバラップ部分に乗じる。具体的には、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1と第2ボリュームデータセットV2とのオーバラップ部分VO1のCT値に線形的な重みを乗じる。また、境界補正部19は、第2ボリュームデータセットV2と第3ボリュームデータセットV3とのオーバラップ部分VO2のCT値に線形的な重みを乗じる。以下に第2ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO1とオーバラップ部分VO2とを例に挙げてオーバラップ部分の重み付け処理について具体的に説明する。第2ボリュームデータセットV2の第1オーバラップ部分VO1の重みは、例えば、非オーバラップ部分VN1側の端(以下、第1外端と呼ぶことにする)OE1において“0”を有し、他端(以下、第1内端と呼ぶことにする)IE1において“1”を有する。そして第1外端OE1と第1内端IE1との間の第2ボリュームデータセットV2の第1オーバラップ部分VO1の重みは、第1内端IE1の重み“0”と第1外端IE1の重み“1”とに基づく線形補間により決定される。同様に、第2ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO2の重みは、非オーバラップ部分VN3側の端(以下、第2外端と呼ぶことにする)OE2において“0”を有し、他端(以下、第2内端と呼ぶことにする)IE2において“1”を有する。そして第2外端OE2と第2内端IE2との間の第2ボリュームデータセットV2の第2オーバラップ部分の重みは、第2内端IE2の重み“0”と第2外端IE2の重み“1”とに基づく線形補間により決定される。
同様にして第1ボリュームデータセットV1のオーバラップ部分VO1の重みと第3ボリュームデータセットV3のオーバラップ部分VO2の重みとが線形補間に基づいて決定される。なお同一のZ位置における重みの合計が“0”になるように、各ボリュームデータセットV1、V2、V3の重みは決定される。
図29は、境界補正部19による重み付け処理の重みの他の例を示す図である。図29に示すように、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1の非オーバラップ部分VN1のCT値と第2ボリュームデータセットV2の非オーバラップ部分VN2のCT値と第3ボリュームデータセットV3の非オーバラップ部分VN3のCT値とに重み“1”乗じる。境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1と第2ボリュームデータセットV2とのオーバラップ部分VO1のCT値に非線形的な重みを乗じる。また、境界補正部19は、第2ボリュームデータセットV2と第3ボリュームデータセットV3との非オーバラップ部分VO2のCT値に非線形的な重みを乗じる。例えば、第2ボリュームデータセットV2の第1オーバラップ部分VO1の重みは、第1外端OE1において“0”を有し、第1内端IE1において“1”を有する。そして第1外端OE1と第1内端IE1との間の第2ボリュームデータセットV2の第1オーバラップ部分VO1の重みは、第1内端IE1の重み“0”と第1外端IE1の重み“1”とに基づく非線形補間により決定される。非線形補間は、例えば、サイン関数や、コサイン関数、スプライン関数等の多項式近似等に基づく。同様に、第2ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO2の重みは、第2外端OE2において“0”を有し、第2内端IE2において“1”を有する。そして第2外端OE2と第2内端IE2との間の第2ボリュームデータセットV2の第2オーバラップ部分VO2の重みは、第2内端IE2の重み“0”と第2外端IE2の重み“1”とに基づく非線形補間により決定される。
同様にして第1ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO1の重みと第3ボリュームデータセットV3のオーバラップ部分VO2の重みとが非線形補間に基づいて決定される。なお同一のZ位置における重みの合計が“0”になるように、各ボリュームデータセットV1、V2、V3の重みは決定される。
図28に示す線形的な重みや図29に示す非線形的な重みが第1ボリュームデータセットV1のオーバラップ部分VO1のCT値、第2ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO1のCT値、第2ボリュームデータセットV2のオーバラップ部分VO2のCT値、第3ボリュームデータセットV3のオーバラップ部分VO2のCT値に乗じられると、合成部21は、重みが乗じられた第1ボリュームデータセットV1のCT値と第2ボリュームデータセットV2のCT値と第3ボリュームデータセットV3とを加算する。この加算処理により合成部21は、合成ボリュームデータセットを発生する。
なお、オーバラップ部分の重みの決定方法は、上記の方法に限定されない。例えば、ボリュームデータセットが円柱形状と円錐形状とを組み合わせた形状を有している場合を考える。そして2つのボリュームデータセットが円錐部分と円柱部分の一部分とでオーバラップしているものとする。すなわち、オーバラップ部分は、2つの円錐部分と1つの円柱部分とを有することになる。
この場合、境界補正部19は、オーバラップ部分のうちの円柱部分の重みを線形補間又は非線形補間に基づいて決定する。以下に図30を参照しながら、オーバラップ部分VOのうちの円柱部分VOAの重みの決定例を説明する。なお重みは、線形補間に基づいて決定されるものとして説明する。図30に示すように、第1ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットとのオーバラップ部分は、円柱部分VOA1と円錐部分VOB1と円錐部分VOB2とを有する。同様に、第2ボリュームデータセットと第2ボリュームデータセットとのオーバラップ部分は、円柱部分VOA2と円錐部分VOB3と円錐部分VOB4とを有する。
図30に示すように、境界補正部19は、処理対象のボリュームデータセットの非オーバラップ部分VNのCT値に重み“1”を乗ずる。また、境界補正部19は、処理対象のボリュームデータセットの円錐部分VOBであって、このボリュームデータセットの非オーバラップ部分VN側の円錐部分VOBのCT値に重み“1”を乗ずる。具体的には、境界補正部19は、第1ボリュームデータセットV1の非オーバラップ部分VN1と円錐部分VOB1とに重み“1”を乗ずる。また、境界補正部19は、第2ボリュームデータセットV2の非オーバラップ部分VN2と円錐部分VOB2と円錐部分VOB3とに重み“1”を乗ずる。また。境界補正部19は、第3ボリュームデータセットV3の非オーバラップ部分VN3と円錐部分VOB4とに重み“1”を乗ずる。
図30に示すように、境界補正部19は、処理対象のボリュームデータセットの円柱部分VOAのCT値に線形補間に基づく重みを乗じる。例えば、第2ボリュームデータセットV2の円柱部分VOA1の重みは、非オーバラップ部分VN1側の端(以下、第3外端と呼ぶことにする)OE3において“0”を有し、他端(以下、第3内端と呼ぶことにする)IE3において“1”を有する。そして第3外端OE3と第3内端IE3との間の第2ボリュームデータセットV2の円柱部分VOA1の重みは、第3内端IE3の重み“0”と第3外端IE3の重み“1”とに基づく線形補間により決定される。同様に、第2ボリュームデータセットV2の円柱部分VOA2の重みは、非オーバラップ部分VN3側の端(以下、第4外端と呼ぶことにする)OE4において“0”を有し、他端(以下、第4内端と呼ぶことにする)IE4において“1”を有する。そして第2外端OE2と第2内端IE2との間の第2ボリュームデータセットV2の第2オーバラップ部分VOA2の重みは、第2内端IE2の重み“0”と第2外端IE2の重み“1”とに基づく線形補間により決定される。
同様にして第1ボリュームデータセットV1の円柱部分VOA1の重みと第3ボリュームデータセットV3の円柱部分VOA2の重みとが線形補間に基づいて決定される。なお同一のZ位置における重みの合計が“0”になるように、各ボリュームデータセットの重みは決定される。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、重み付け処理に基づいて境界補正処理を施すことにより、処理量の低減及び処理時間の短縮が見込まれる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
(変形例1)
上記実施形態において境界補正部19は、一例として、オーバラップする2つのボリュームデータセットに境界補正処理を施すとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、変形例1に係る境界補正部19は、隣接する2つのボリュームデータセットに境界補正処理を施しても良い。なお隣接とは、2つのボリュームデータセットがスライスピッチ(各ボリュームデータセットのZ方向の空間分解能)よりも狭い間隔でオーバラップすることを意味する。
すなわち境界補正部19は、あるボリュームデータセット(例えば、第1ボリュームデータセット)の端のアキシャル断面画像と他のボリュームデータセット(例えば、第2ボリュームデータセット)の端のアキシャル断面画像との間のCT値差に基づいて補正量を計算する。
(変形例2)
変形例2に係る再構成処理部17は、オーバラップ部分の再構成において、このオーバラップ部分を通るX線パスに関する投影データだけでなく、オーバラップ部分に隣接する複数のX線パスに関する投影データを利用してもよい。例えば図31に示すように、第1ボリュームデータセットV1と第2ボリュームデータセットV2とのオーバラップ部分VO1に関するアキシャル断面画像を再構成する場合について考える。変形例2に係る再構成処理部17は、オーバラップ部分VO1を通過するX線パスに関する投影データとオーバラップ部分に隣接するX線パスに関する投影データとに基づいてオーバラップ部分VO1に関するアキシャル断面画像を再構成する。この際、再構成処理部17は、オーバラップ部分VO1において投影データをバックプロジェクションし、Z位置に応じて線形的又は非線形的に変化する重みを投影データに乗じても良い。
(変形例3)
上記実施形態においてX線CT装置1は、散乱線補正、X線エネルギー補正、及び線質補正の3種類の補正処理を施すとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例3に係るX線CT装置1は、これら3種類の補正処理のうちの1つ以上を省略してもよい。
(変形例4)
変形例4に係る境界補正部19は、図32に示すように、非オーバラップ部分の補正量を計算する際、各ボリュームデータセットV1、V2、V3のZ方向の中心位置C1、C2、C3の補正量をゼロに決定する。換言すれば、境界補正部19は、陽極5a上のX線焦点の鉛直下に位置するピクセルの補正量をゼロに決定する。そして境界補正部19は、境界面と中心位置との間の補正量を、境界面の補正量と中心位置の補正量とから線形補間に基づいて計算する。この際、線形補間の替わりに非線形補間が利用されてもよい。
(変形例5)
変形例5に係る境界補正部19は、上述の線形補間と非線形補間とを組み合わせて補正量を計算しても良い。例えば、図33に示すように、イメージング領域FOVのスライス方向に沿う端部が円錐形状を有する場合を例に挙げて説明する。境界補正部19は、境界面の補正量に基づいて非オーバラップ部分の補正量を計算する際、計算対象の非オーバラップ部分の位置に応じて線形補間と非線形補間とを選択的に利用する。例えば境界補正部19は、FOVのXY面に関する外側部分の補正量は、線形補間に基づいて計算し、FOVのXY面に関する内側部分の補正量は、非線形補間に基づいて計算する。非線形補間には、例えばトレンドカーブ(trend curve)が利用されるとよい。すなわち境界補正部19は、外側のようにオーバラップ量が小さい部分においては線形補間を利用し、内側のようにオーバラップ量が大きい部分においては非線形補間を利用する。これによりX線CT装置1は、オーバラップ量に応じた適当な補正処理を施すことが可能となる。
(変形例6)
上記実施形態においてX線CT装置1は、円軌道スキャンを実行するとした。しかしながら、本実施形態は、これに限定されない。例えば、変形例6に係るX線CT装置1は、図34に示すように、円軌道スキャンとヘリカルスキャンとの両方を被検体Pに対して実行する。以下にコンソール制御部13の制御のもとに行なわれる円軌道スキャンとヘリカルスキャンとを組み合わせたスキャンの流れを説明する。
図35に示すように、まずコンソール制御部13は、被検体Pの胸部に円軌道スキャンを実行する。再構成処理部17は、円軌道スキャンにより収集された投影データセットに基づいてボリュームデータセットを発生する。図36は、この円軌道スキャンにより発生されるボリュームデータセットの一例を示す図である。図36に示すように、円軌道スキャンに関するボリュームデータセットは、円錐形状と円柱形上とが組み合わされた形状を有する。円軌道スキャンが終了するとコンソール制御部13は、被検体Pの胸部から腹部にヘリカルスキャンを実行する。再構成処理部17は、ヘリカルスキャンにより収集された投影データセットに基づいてボリュームデータセットを発生する。図37は、このヘリカルスキャンにより発生されるボリュームデータセットの一例を示す図である。図37に示すように、ヘリカルスキャンに関するボリュームデータセットは、円柱形状を有する。なお、円軌道スキャンのスキャン位置とヘリカルスキャンの開始時におけるスキャン位置とは、典型的には、同一である。
ヘリカルスキャンが終了すると境界補正部19は、円軌道スキャンに関するボリュームデータセットとヘリカルスキャンに関するボリュームデータセットとに境界補正処理を施す。円軌道スキャンに関するボリュームデータセットVCとヘリカルスキャンに関するボリュームデータセットVHとのオーバラップ部分VOは、図38に示すように、円錐形状を有していても、図39に示すように、円柱形状と円錐形状とが組み合わされた形状を有していてもよい。換言すれば、境界補正部19は、円軌道スキャンに関するスキャン領域とヘリカルスキャンに関するスキャン領域とのオーバラップの仕方に関係なく、ボリュームデータセットVCとボリュームデータセットVHとに境界補正処理を施すことができる。
(変形例7)
上記各実施形態においてX線CT装置1は、3回の円軌道スキャンを実行するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えばX線CT装置1は、図40に示すように、N(N≧2)回の円軌道スキャンを実行してもよい。これによりN(N≧2)個のスキャン領域がスキャンされる。変形例7に係る境界補正部19は、N回の円軌道スキャンに関するN(N≧2)個のボリュームデータセットに上記の境界補正処理を施すことができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上本発明によれば、ボリュームデータセット間のCT値の不連続を低減可能なX線CT装置、データ処理装置、及びデータ処理方法の提供を実現することができる。
1…X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、2…架台、3…寝台、3a…天板、3b…天板駆動部、3c…天板支持機構、4…操作コンソール(データ処理装置)、5…X線管、6…X線検出器、7a…X線遮蔽板、7b…絞り駆動部、8…回転フレーム、9…高電圧発生部、10…回転駆動部、11…架台制御部、12…データ収集部、13…コンソール制御部、14…入力部、15…前処理部、16…散乱線補正部、17…再構成処理部、18…線質補正部、19…境界補正部、20…エネルギー補正部、21…合成部、22…画像記憶部、23…画像処理部、24…表示部

Claims (6)

  1. X線を発生するX線管と、
    前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
    前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、
    前記回転軸に沿って部分的にオーバラップする又は隣接する複数のスキャン領域に複数のスキャンを実行するために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、
    前記X線検出器からの出力に基づいて、円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域にそれぞれ対応する複数のボリュームデータセットを発生する発生部と、
    前記複数のボリュームデータセットの境界部分のCT値に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する境界補正部と、
    を具備し、
    前記境界部分は、前記複数のボリュームデータセットのオーバラップ部分又は隣接部分であり、
    前記境界補正部は、前記ボリュームデータセットのうちの前記オーバラップ部分又は前記隣接部分以外の残りの部分の補正量を、前記中間値と前記オーバラップ部分又は前記隣接部分から前記残りの部分までの距離とに基づいて計算し、前記計算された補正量に従って前記オーバラップ部分又は前記隣接部分のCT値を補正するX線コンピュータ断層撮影装置。
  2. 前記境界補正部は、前記残りの部分の補正量を、前記中間値と前記距離とから線形補間又は非線形補間に基づいて計算する、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  3. X線を発生するX線管と、
    前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
    前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、
    前記回転軸に沿って部分的にオーバラップする又は隣接する複数のスキャン領域に複数のスキャンを実行するために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、
    前記X線検出器からの出力に基づいて、円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域にそれぞれ対応する複数のボリュームデータセットを発生する発生部と、
    前記複数のボリュームデータセットの境界部分のCT値に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する境界補正部と、
    を具備し、
    前記境界部分は、前記複数のボリュームデータセットのオーバラップ部分又は隣接部分であり、
    前記境界補正部は、前記残りの部分の中心位置の補正量をゼロに設定し、前記残りの部分の前記中心位置以外の補正量を前記オーバラップ部分又は前記隣接部分の補正量と前記中心位置の補正量とに基づいて計算し、前記計算された補正量に従って前記オーバラップ部分又は前記隣接部分のCT値を補正するX線コンピュータ断層撮影装置。
  4. X線を発生するX線管と、
    前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
    前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、
    前記回転軸に沿って部分的にオーバラップする又は隣接する複数のスキャン領域に複数のスキャンを実行するために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、
    前記X線検出器からの出力に基づいて、円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域にそれぞれ対応する複数のボリュームデータセットを発生する発生部と、
    前記複数のボリュームデータセットの境界部分のCT値に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する境界補正部と、
    を具備し、
    前記境界部分は、前記複数のボリュームデータセットのオーバラップ部分又は隣接部分であり、
    前記境界補正部は、前記残りの部分の補正量を前記オーバラップ部分又は前記隣接部分の補正量と前記中心位置の補正量とに基づいて計算し、前記計算された補正量に従って前記オーバラップ部分又は前記隣接部分のCT値を補正するX線コンピュータ断層撮影装置。
  5. X線を発生するX線管と、
    前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
    前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、
    前記回転軸に沿う位置が異なる複数のスキャン領域をX線でスキャンするために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、
    を具備するX線コンピュータ断層撮影装置のデータ処理方法であって、
    前記X線検出器からの出力に基づいて円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域に関する複数のボリュームデータセットを発生し、
    前記複数のボリュームデータセットのうちのオーバラップ又は隣接する2つの境界面間のCT値差に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する、
    ことを具備し、
    前記補正することは、
    前記2つの境界面間のCT値差分布を生成し、
    前記CT値差分布から高周波成分を除去し、
    前記高周波成分が除去されたCT値CT値差分布に基づいて前記2つの境界面に関する2つの補正分布を計算し、
    前記2つの補正分布に基づいて前記2つの境界面のCT値をそれぞれ補正する、
    ことを備えるデータ処理方法。
  6. X線を発生するX線管と、
    前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記X線管を回転軸回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
    前記被検体を前記回転軸に沿って移動可能に支持する第2支持機構と、
    前記回転軸に沿う位置が異なる複数のスキャン領域をX線でスキャンするために、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを制御する制御部と、
    を具備するX線コンピュータ断層撮影装置のデータ処理方法であって、
    前記X線検出器からの出力に基づいて円軌道スキャンによる前記複数のスキャン領域に関する複数のボリュームデータセットを発生し、
    前記複数のボリュームデータセットのうちのオーバラップ又は隣接する2つの境界面間のCT値差に基づいて前記複数のボリュームデータセットのCT値を補正する、
    ことを具備し、
    前記補正することは、
    前記2つの境界面間のCT値差を計算し、
    前記CT値差の中間値に応じて前記2つの境界面に関する2つの補正量を設定し、
    前記境界面のCT値の補正量から線形補間又は非線形補間に基づいて、前記ボリュームデータセットの前記境界面以外の部分の補正量を計算する、
    ことを備えるデータ処理方法。
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