JP5640997B2 - オルガノクロロシラン化合物の製造方法 - Google Patents

オルガノクロロシラン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、酸化亜鉛触媒存在下に、アルコキシシラン化合物と酸クロライドとを反応させることによるオルガノクロロシラン化合物の製造方法に関する。
クロロシラン類は、各種シリコーン化合物の合成原料や、活性水素を有する官能基を保護するための原料として有用な化合物である。
クロロシラン類の製造方法として、対応するオルガノオキシシランをクロル化して製造する方法が知られている。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸や、塩化亜鉛等のルイス酸触媒を用いて、ジアルコキシジアルキルシランを酸クロライドと反応させて、対応するクロロシランを製造する方法が知られている(特許文献1:特開2010−37307号公報)。
特開2010−37307号公報
しかしながら、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸や、塩化亜鉛等のルイス酸触媒の触媒能力が十分でなく、触媒の使用量が多く必要で、反応時間が長くなる場合があるという問題点があり、少ない触媒使用量で、反応時間を短くすることができる方法の開発が望まれていた。また、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸を触媒として用いて、酸クロライドによりアルコキシシラン化合物をクロル化する場合、フェニル基を含有するアルコキシシランを用いたときに、トリフルオロメタンスルホン酸触媒がフェニル基含有アルコキシシラン化合物と反応してしまうために、反応中に毒性のあるベンゼンが副生するという問題があった。更に、スルホン酸触媒がフェニル基含有アルコキシシラン化合物と反応してしまうために、反応途中で触媒が失活してしまい、反応が停止してしまう場合があるという問題点もあった。また、ベンゼンが副生した分は、原料のフェニル基含有アルコキシシランが消費されるため、収率が低下してしまうという問題点があった。
一方、ルイス酸触媒の中で特に有効な塩化亜鉛触媒を用いた場合には、塩化亜鉛に昇華性があるため、蒸留精製を行うときに、目的の化合物と共に留出してきてしまい、留分中に混入してしまう場合があるという問題点があった。
以上のことから、少ない触媒量で、反応途中に失活することなく、短い反応時間で反応可能で、安定で高活性な触媒により、オルガノアルコキシシラン化合物から、オルガノクロロシラン化合物を合成する方法を開発することが望まれていた。また、フェニル基を含有するアルコキシシラン化合物を用いた場合に、毒性のベンゼンを副生することなく、蒸留時に昇華により留分中に混入することのない触媒を用いて、オルガノアルコキシシラン化合物から、容易にオルガノクロロシラン化合物を製造する方法を開発することが望まれていた。
本発明は、上記要望に応えたもので、オルガノアルコキシシラン化合物を、酸化亜鉛触媒の存在下に酸クロライド化合物と反応させることにより、より少ない触媒量でも、反応途中に失活することなく、より短い反応時間で反応可能であり、安定で高活性な触媒を用いて、容易にオルガノクロロシラン化合物を合成できる。しかも、アリール基、特にフェニル基を有するアルコキシシランを用いた場合に、ベンゼンを副生することなく、また、蒸留精製時に昇華により触媒成分が目的物中に混入することなく、オルガノクロロシラン化合物を合成する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、酸化亜鉛触媒(ZnO)の存在下に、オルガノアルコキシシラン化合物を酸クロライド化合物と反応させることにより、従来の触媒と比較して反応性が向上して、より少ない触媒量で安定的に、より短い反応時間で反応可能で、容易にオルガノクロロシラン化合物が得られる。しかもアリール基、特にフェニル基を有するアルコキシシランを用いてもベンゼンを副生することなく、また、蒸留精製時に昇華により触媒成分が目的物中に混入することなくオルガノクロロシラン化合物を得ることができることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は、酸化亜鉛触媒の存在下に、オルガノアルコキシシランと酸クロライド化合物とを反応させることにより、副反応を起こすことなく、効率よくオルガノクロロシラン化合物を製造する下記の方法を提供する。
[1] 酸化亜鉛触媒存在下に、下記一般式(1)
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていても良く、R2はメチル基又はエチル基を表し、互いに同一でも異なっていても良い。nは1〜3の整数である。)
で表されるオルガノアルコキシシランと、下記一般式(2)
3COCl (2)
(式中、R3は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基を表す。)
で表される酸クロライド化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(3)
1 nSiCl4-n (3)
(式中、R1、nは上記と同じである。)
で表されるオルガノクロロシラン化合物の製造方法。
[2] R1のうち少なくとも1つが、アリール基であることを特徴とする[1]記載のオルガノクロロシラン化合物の製造方法。
本発明によれば、酸化亜鉛触媒の存在下に、オルガノアルコキシシラン化合物を酸クロライド化合物と反応させることにより、従来の触媒に比較して反応性が向上して、より少ない触媒量で安定的に、より短い反応時間で反応可能で、容易にオルガノクロロシラン化合物が得られる。また、酸化亜鉛触媒の存在下に、オルガノアルコキシシラン化合物を酸クロライド化合物と反応させることにより、アリール基、特にフェニル基を有するアルコキシシランを用いた場合にも、ベンゼンを副生することなく、更に、蒸留精製時に昇華により触媒成分が、目的物中に混入することなく、オルガノクロロシラン化合物が得られる。
本発明のオルガノクロロシラン化合物の製造方法は、酸化亜鉛触媒存在下に、オルガノアルコキシシランと酸クロライド化合物とを反応させることにより、オルガノクロロシラン化合物を製造するものである。
本発明のオルガノアルコキシシラン化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
1 nSi(OR24-n (1)
(式中、R1は炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていても良く、R2はメチル基又はエチル基を表し、互いに同一でも異なっていても良い。nは1〜3の整数である。)
式中のR1は、炭素数1〜18、特に1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状、環状アルキル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、(メタ)アクリロキシ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基等で置換したものが挙げられる。R1のうち、入手性の観点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましい。本発明においては、アリール基、特にフェニル基を有するアルコキシシランを用いた場合でもベンゼンを副生することがない点から、R1のうち少なくとも1つがフェニル基等のアリール基のものを好適に用いることができる。また、上記式(1)中のR2は、メチル基又はエチル基である。nは1〜3の整数である。
上記式(1)で表されるオルガノアルコキシシラン化合物としては、具体的には、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリイソプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジsec−ブチルジメトキシシラン、ジsec−ブチルジエトキシシラン、ジ(1−メチルブチル)ジメトキシシラン、ジ(2−メチルブチル)ジメトキシシラン、ジ(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジナフチルジメトキシシラン、ジナフチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類が挙げられ、特にトリイソプロピルメトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
本発明の酸クロライド化合物は、下記式(2)で表されるものである。
3COCl (2)
(式中、R3は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基を表す。)
式中のR3は、炭素数1〜10、特に1〜6の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の直鎖状、分岐鎖状、環状のアルキル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基、シアノ基、アミノ基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基、エステル基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。
上記式(2)で表される酸クロライド化合物としては、具体的には、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、ブチリルクロライド、イソブチリルクロライド、バレロイルクロライド、イソバレロイルクロライド、ピバロイルクロライド、ベンゾイルクロライド等が挙げられ、入手が容易な点で、特にアセチルクロライド、プロピオニルクロライドが好ましい。
本発明の酸クロライド化合物の使用量は、1モルのオルガノアルコキシシラン化合物中のアルコキシ基1つに対して、好ましくは0.8〜1.5モル、更に好ましくは0.9〜1.2モル、特に好ましくは0.95〜1.1モルである。酸クロライド化合物の使用量が0.8モルより少ないと、クロル化反応が十分進行しない場合がある一方、1.5モルより多く使用しても反応率は向上せず、経済的でない場合がある。
本発明の製造方法は、上記式(1)のオルガノアルコキシシラン化合物と上記式(2)の酸クロライド化合物とを酸化亜鉛触媒を用いて反応させるものであるが、本発明の酸化亜鉛触媒の添加量は特に限定されず、オルガノアルコキシシラン化合物1モルに対して、酸化亜鉛触媒を0.00001〜0.2モル、特に0.0001〜0.02モル用いることが好ましい。触媒の添加量が0.00001モル未満では触媒の十分な効果が発現しない可能性があり、0.2モルを超えると触媒の量に見合うだけの反応促進効果がみられない可能性がある。
本発明においては、上記式(1)のオルガノアルコキシシランと上記式(2)の酸クロライドとを酸化亜鉛触媒の存在下に反応させて、下記式(3)
1 nSiCl4-n (3)
で表されるオルガノクロロシランを得るものである。なお、式(3)におけるR1、nは上記した通りである。
上記式(3)で表されるオルガノクロロシランとしては、具体的には、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジ−n−プロピルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジイソブチルジクロロシラン、ジsec−ブチルジクロロシラン、ジ(1−メチルブチル)ジクロロシラン、ジ(2−メチルブチル)ジクロロシラン、ジ(2−エチルヘキシル)ジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、n−ペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン等が挙げられる。
本発明の反応は、オルガノアルコキシシランと酸化亜鉛触媒中に、酸クロライドを添加して行っても良く、又は酸クロライドと酸化亜鉛触媒中に、オルガノアルコキシシランを添加して行っても良い。
なお、本発明の反応は無溶媒で進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の反応温度は特に限定されないが、常圧又は加圧下で0〜200℃、特に10〜100℃が好ましい。なお、反応時間は、通常1〜100時間、特に1〜8時間である。また、反応雰囲気としては、特に限定されないが、安全上、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
300mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ジイソプロピルジメトキシシラン88.2g(0.5モル)と酸化亜鉛0.81g(0.005モル、ジイソプロピルジメトキシシランに対して1モル%)を仕込み、内温を65〜75℃に温調しながらプロピオニルクロライド97.1g(1.05モル)を2時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジイソプロピルジメトキシシラン及びジイソプロピルクロロメトキシシランは消失し、反応率は100%となった。また、得られた反応液を蒸留して、ジイソプロピルジクロロシラン176.8g(0.477モル)を得た。収率は95.5%であった。更に、主留中の亜鉛分をICP発光分析法で分析した結果、検出限界以下(0.2ppm以下)であった。
[比較例1]
300mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ジイソプロピルジメトキシシラン105.8g(0.6モル)と塩化亜鉛1.63g(0.012モル、ジイソプロピルジメトキシシランに対して2モル%)を仕込み、内温を75〜85℃に温調しながらプロピオニルクロライド122.1g(1.32モル)を2.5時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、ジイソプロピルクロロメトキシシランが残っていたため、そのままの温度で1時間熟成を行った。熟成後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジイソプロピルクロロメトキシシランは消失し、反応率は100%となった。また、得られた反応液を蒸留して、ジイソプロピルジクロロシラン104.5g(0.564モル)を得た。収率は94.0%であった。
上記結果から、塩化亜鉛触媒を用いた場合、酸化亜鉛触媒と同等の反応性を得るためには、より多くの触媒を用いて、反応時間を長くする必要があると考えられる。
[実施例2]
1000mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ジフェニルジメトキシシラン366.6g(1.5モル)と酸化亜鉛1.22g(0.015モル、ジフェニルジメトキシシランに対して1モル%)を仕込み、内温を65〜75℃に温調しながらアセチルクロライド247.3g(3.15モル)を2時間掛けて滴下した。滴下終了後に、そのままの温度で、1時間熟成を行った。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジフェニルジメトキシシラン及びジフェニルクロロメトキシシランの他、トリフルオロメタンスルホン酸触媒を用いたときに副生するベンゼンは観測されず、反応率は100%となった。また、得られた反応液を減圧蒸留して、ジフェニルジクロロシラン345.6g(1.363モル)を得た。収率は90.9%であった。更に、主留中の亜鉛分をICP発光分析法で分析した結果、検出限界以下であった。
[比較例2]
1000mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、ジフェニルジメトキシシラン244.4g(1.0モル)とトリフルオロメタンスルホン酸3.0g(0.02モル、ジフェニルジメトキシシランに対して2モル%)を仕込み、内温を75〜85℃に温調しながらアセチルクロライド172.7g(2.2モル)を5時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ジフェニルクロロメトキシシランが残留していたため、滴下終了後、そのままの温度で4時間熟成を行うと、ジフェニルクロロメトキシシランは消失し、反応率100%となった。ガスクロマトグラフィーによる分析では、ベンゼンが副生していることが観測された。
上記結果から、トリフルオロメタンスルホン酸触媒を用いた場合、より多くの触媒を用いる必要があり、かつベンゼンが副生してしまうことがわかった。
[実施例3]
1000mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、メチルジフェニルエトキシシラン606.0g(2.5モル)と酸化亜鉛0.53g(0.00625モル、メチルジフェニルエトキシシランに対して0.25モル%)を仕込み、内温を45〜50℃に温調しながらアセチルクロライド206.1g(2.625モル)を3時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、メチルジフェニルエトキシシランの他、トリフルオロメタンスルホン酸触媒を用いたときに副生するベンゼンは観測されず、反応率は100%となった。また、得られた反応液を蒸留して、メチルジフェニルクロロシラン529.2g(2.273モル)を得た。収率は90.9%であった。
また、蒸留中、酸化亜鉛が昇華して留分中に混入することはなかった。更に、主留中の亜鉛分をICP発光分析法で分析した結果、検出限界以下であった。
[比較例3]
500mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、メチルジフェニルエトキシシラン242.4g(1.0モル)と塩化亜鉛2.7g(2モル、メチルジフェニルエトキシシランに対して0.02モル%)を仕込み、内温を75〜85℃に温調しながらアセチルクロライド86.4g(1.1モル)を4時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、メチルジフェニルエトキシシランが残留していたため、滴下終了後、そのままの温度で1時間熟成を行うと、メチルジフェニルエトキシシランは消失し、反応率100%となった。
得られた反応液を蒸留すると、蒸留中に塩化亜鉛が昇華してきて、メチルジフェニルクロロシラン中に混入して、留分は白濁してしまった。
[実施例4]
500mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、メチルジフェニルエトキシシラン242.4g(1.0モル)と酸化亜鉛8.4mg(0.01モル、メチルジフェニルエトキシシランに対して0.0001モル%)を仕込み、内温を45〜56℃に温調しながらアセチルクロライド82.4g(1.05モル)を2時間掛けて滴下した。
得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、メチルジフェニルエトキシシランの他、トリフルオロメタンスルホン酸触媒を用いたときに副生するベンゼンは観測されず、反応率は100%となった。メチルジフェニルエトキシシランが残留していたため、滴下終了後、そのままの温度で4時間熟成を行うと、メチルジフェニルエトキシシランは消失し、反応率100%となった。
[比較例4]
500mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、メチルジフェニルエトキシシラン242.4g(1.0モル)とトリフルオロメタンスルホン酸3.0g(2モル、メチルジフェニルエトキシシラン対して0.02モル%)を仕込み、内温を75〜85℃に温調しながらアセチルクロライド86.4g(1.1モル)を滴下した。
しかしながら、滴下中に反応が停止してしまい、未反応のメチルジフェニルエトキシシランが残ってしまった。また、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ベンゼンが生成していることが観測された。
上記結果から、トリフルオロメタンスルホン酸触媒を用いた場合、より多くの触媒を用いる必要があり、かつベンゼンが副生してしまうことがわかった。

Claims (2)

  1. 酸化亜鉛触媒存在下に、下記一般式(1)
    1 nSi(OR24-n (1)
    (式中、R1は炭素数1〜18の置換又は非置換の1価炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていても良く、R2はメチル基又はエチル基を表し、互いに同一でも異なっていても良い。nは1〜3の整数である。)
    で表されるオルガノアルコキシシランと、下記一般式(2)
    3COCl (2)
    (式中、R3は、炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基を表す。)
    で表される酸クロライド化合物とを反応させることを特徴とする下記一般式(3)
    1 nSiCl4-n (3)
    (式中、R1、nは上記と同じである。)
    で表されるオルガノクロロシラン化合物の製造方法。
  2. 1のうち少なくとも1つが、アリール基であることを特徴とする請求項1記載のオルガノクロロシラン化合物の製造方法。
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