JP5640322B2 - 粉末成形装置 - Google Patents

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Description

この発明は、材料粉末の供給方法および粉末成形装置に関するものである。
周知のように、自動車部品や電子部品、切削用工具等の分野において、金属粉末やアルミナをはじめとするセラミックス粉末を粉末成形品に成形し、その粉末成形品を焼結することによって粉末焼結品からなる製品を製造する粉末冶金焼結法が広く用いられている。
粉末冶金焼結法は、ダイと、ダイとともに充填部を画成する下パンチと、充填部に向かい進退可能に支持された上パンチとを備えた粉末成形装置において、ダイの形成された充填部に材料粉末が充填され、この材料粉末を上パンチと下パンチにより押圧して粉末成形品が成形されるようになっている。そして、この粉末成形品は、所定の条件で焼結することで粉末焼結品が製造されるようになっている。
上記粉末成形品は、焼結する際に大幅に収縮し、その収縮の大きさは粉末成形品の密度に大きく影響されるため、圧粉、成形した粉末成形品の密度分布の偏りを小さくして焼結時の収縮を抑制することが望ましい。
そこで、粉末成形品の密度分布の偏りを小さくするため、ダイを固定して上パンチを下降させるとともに下パンチを上昇させて充填部内の材料粉末を上下双方から圧粉するダイ固定方式(例えば、特許文献1参照)や、下パンチを固定して上パンチを下降させる際にダイを上パンチの約1/2の速度で下降させることで充填部内の材料粉末を相対的に下方からも圧粉して成形するウィズドローアル方式(例えば、特許文献2参照)が実用化されているが、充填時に充填部の部位によって材料粉末の供給量が偏ると粉末成形品の密度分布の偏りの発生を避けることは困難であった。
そこで、シューボックスにより材料粉末を充填する場合に、充填部内の部位によって材料粉末の供給量が偏るのを軽減して密度分布の偏りを小さくするため、例えば、図6に示すようないわゆる傾斜充填(コンターフィリング)による材料粉末の充填技術が用いられる場合がある。
例えば、図6(A)に示すように、材料粉末Pを供給するシューボックス120をダイ111の充填部A上まで前進して材料粉末Pを充填部Aに充填し、材料粉末Pが充填されたらシューボックス120を後退させる。このとき、例えば、シューボックス120の後退動作と対応させて下パンチ121を上昇させる。
充填部Aに充填された材料粉末Pの上面は、シューボックス120が通過することで擦り切られるが、シューボックス120が通過した後に下パンチ121が上昇するため、時間が経過するにしたがって、図6(B)に示すようにシューボックス120の後退側から前進側に向かってしだいに高くなる傾斜面が形成される。
そして、シューボックス120が後退し終わると、図6(C)に示すように、材料粉末Pの上面全体にわたって傾斜面が形成される。
その後、下パンチ121を一旦下降して材料粉末Pを充填部A内に収納してから上パンチ及び下パンチ121により材料粉末Pを圧粉するようになっており、かかるコンターフィリングを用いてシューボックス120の前進端側に多くの材料粉末Pを供給することで、材料粉末Pが供給されにくいシューボックス120の前進端側における密度を高くして粉末成形品の密度分布の偏りを改善する場合がある。
特開平1−181997号公報 特開平5−92299号公報
しかしながら、傾斜充填をする場合、下ラム等の動作が複雑となり、また、傾斜充填しても充填部内における材料粉末の供給量の偏りを充分に改善できない場合がある。そこで、充填部内における材料粉末の供給量の偏りを簡単な手段によって小さくする技術が要請されている。
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、材料粉末を充填部に供給する場合に充填部内における材料粉末の供給量の偏りを抑制することが可能な材料粉末の供給方法および粉末成形装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載された発明は、材料粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイに対して相対移動可能に取り付けられ、前記ダイとともに充填部を画成する下パンチと、前記ダイの上方に配置され、前記ダイに対して進退可能に支持された上パンチと、前記充填部に材料粉末を供給するシューボックスと、制御部と、を備えた粉末成形装置であって、前記ダイと前記下パンチの少なくともいずれかは、DDV型サーボ駆動装置を介して下ラムに接続され、前記制御部は、前記シューボックスが前記充填部に材料粉末を供給するために前進している間に、前記DDV型サーボ駆動装置粉末成形品の圧縮量及び密度と対応する振動数の振動生成信号を出力し、前記シューボックスが前記充填部の上まで前進したら前記シューボックスの駆動源に後退信号を出力するとともに前記DDV型サーボ駆動装置への振動生成信号の出力を停止し、前記シューボックスが後退する間に前記シューボックスの後退位置に応じて下パンチを上昇させる信号を前記DDV型サーボ駆動装置に出力して傾斜充填させることを特徴とする。
この発明に係る粉末成形方法および粉末成形装置によれば、材料粉末を充填部に供給する際に材料粉末を振動させるので、充填部内における材料粉末の供給量の偏りを抑制することができる。
また、DDV型サーボ駆動装置により傾斜充填を行なうので、DDV型サーボ駆動装置が振動と傾斜充填の双方を行なうので、簡単な構成によって傾斜充填をすることができる。
この発明に係る材料粉末の供給および粉末成形装置によれば、材料粉末を充填部に供給する際に材料粉末を振動させるので、充填部内における材料粉末の供給量の偏りを抑制することができる。
この発明の一実施形態に係る粉末成形装置の概略を示す図である。 一実施形態に係るDDV型サーボ駆動装置の構成の一例を示す図である。 一実施形態に係る制御部の一例を示す図である。 この発明に係る粉末成形品の密度分布と、振動数、圧縮量の相関を示す図である。 図4に係る粉末成形品の密度分布、振動数、圧縮量の相関を示す図を求めるための手順の一例を説明する図である。 従来の材料粉末の傾斜充填の一例を説明する図である。
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。
図1は、この実施形態の粉末成形装置1を示す図であり、ダイセット(金型)10と、粉末成形プレス50とを備え、例えば、上パンチ及び下パンチはCNC制御可能とされている。
また、この実施形態において、粉末成形装置1は、金属粉末(材料粉末)Pを傾斜充填するとともに、固定されたダイに上パンチ及び下パンチが前進及び後退するダイ固定方式により成形するようになっている。
ダイセット10は、中央に貫通孔が形成されたダイ11と、ダイ11の下方に配置される下パンチ21と、ダイの上方に配置される上パンチ31とを備え、ダイ11の貫通孔に下パンチ21が挿入されることで充填部Aが画成され、この充填部Aに金属粉末Pが充填されるようになっている。
ダイ11は、ダイプレート12の中央部に配置され、ダイプレート12にはガイド孔18Hが形成されている。
下パンチ21は、本体ベッド68上に固定されたベースプレート14と相対的に移動可能とされた下パンチプレート13に立設されており、下パンチプレート13は、後述する下パンチ用のDDV型サーボ駆動装置D20を介して押上プレート44に接続され、下パンチプレート13から下方に形成されたガイドロッド40が押上プレート44のガイド孔に挿入されることで、下パンチプレート13は、押上プレート44と水平方向のズレを抑制しつつ上下方向に相対移動可能とされている。
また、押上プレート44はT型ジョイント45と連結され、さらにT型ジョイント45のT溝45Aが下ラム61のT形状部と接続されており、下ラム61が上下方向に進退して、下パンチ21及び下パンチプレート13が押上プレート44とともに上下方向に移動可能とされている。
また、ダイプレート12の下方に立設されたガイドロッド41は、ベースプレート14のガイド孔に挿入され、ダイプレート12はベースプレート14と上下方向に相対移動可能とされている。
また、下パンチ21は、DDV型サーボ駆動装置D20が位置制御機能によって進退することで押上プレート44に対して上下方向に相対移動可能とされており、下ラム61に対する下パンチ21の上下方向の相対的位置を調製することが可能とされている。
上パンチ31は、上パンチプレート34に固定されるとともに、上パンチプレート34に下方(ダイ11の方向)に向けて立設され、充填部Aに挿入可能とされている。
また、上パンチプレート34は、後述する粉末成形プレス50の上パンチ用のDDV型サーボ駆動装置D10と図示しないジョイントを介して接続されるようになっている。
上パンチプレート34には、ガイドロッド18が立設されるとともにダイプレート12に形成されたガイド孔18Hに摺動可能に挿入され、上パンチ31がダイ11に対して上下方向に移動する際に上パンチ31がダイ11とずれるのを抑制するようになっている。
粉末成形プレス50は、プレス下側本体部60と、プレス上側本体部70と、制御部80と、シューボックス90と、レーザ形状測定器Lとを備え、レーザ形状測定器Lで測定した粉末成形品Wの厚さに基づいて、上パンチ31の上下方向位置を調整して上パンチ31による金属粉末Pの圧縮量を調整するようになっている。
プレス下側本体部60は、下ラム61と、下ラム駆動部62と、本体支持部63と、下ラム駆動部支持板64と、下ラムベースプレート65と、廻り止めロッド66と、下ラムガイドプレート67と、本体ベッド68とを備えており、本体支持部63と、下ラム駆動部支持板64と、下ラムベースプレート65と、下ラムガイドプレート67と、本体ベッド68とは、下方からこの順序で配置され、廻り止めロッド66は、下ラムベースプレート65と下ラムガイドプレート67との間に立設されている。
また、プレス下側本体部60とプレス上側本体部70とは、連結部材52で連結されている。
下ラム駆動部62は、下ラム駆動部支持板64に設けられた下ラム駆動モータ62Mと、下ラム駆動モータ62Mの回転軸に設けられた駆動プーリ62Aと、伝達ベルト62Bと、従動プーリ62Cと、従動プーリ62Cと同心とされた下ラム駆動軸62Dとを備えており、伝達ベルト62Bが駆動プーリ62Aと従動プーリ62Cに巻回されて、下ラム駆動モータ62Mの回転が従動プーリ62Cに伝達されて下ラム駆動軸62Dが回転されるようになっている。
また、下ラム駆動軸62Dの先端側に形成された雄ネジ62Eが下ラム61の下側端面の中央から軸線に沿って延在する雌ネジ61Aと螺合して配置され、下ラム駆動軸62Dが回転されることにより、下ラム61が上昇下降するようになっている。
下ラム61は、下ラム61の下方側に、雄ネジ62Eと係合可能な雌ねじ61Aが形成され、下ラム61の外周は下ラムガイドプレート67に設けられたガイド部材67Aに挿入されるとともに上下方向に摺動可能とされ、下ラム61は基端部(下方側)が下ラムベースプレート65に固定されるとともに下ラムベースプレート65に立設されている。
下ラムベースプレート65は、その中央部に貫通孔65Aが形成され、下ラム61の雌ネジ61Aが貫通孔65Aと同心とされ、下ラム61の雌ネジ61Aには下ラム駆動軸62Dが挿入され、雄ネジ62Eと雌ネジ61Aが係合されている。
また、下ラムベースプレート65に形成された孔65Bに廻り止めロッド66が貫通されることにより、下ラム駆動モータ62Mの下ラム駆動軸62Dが回転した場合に、下ラム61及び下ラムベースプレート65が回転するのが防止されている。
その結果、下ラム駆動モータ62Mの下ラム駆動軸62Dが回転されると、下ラム駆動軸62Dの雄ネジ62Eと下ラム61の雌ネジ61Aが係合して、下ラム駆動モータ62Mの回転が上下方向の移動に変換され、下ラム61が上下方向に進退するようになっている。
プレス上側本体部70は、上ラム71と、上ラム駆動部73と、支持板74と、上ラムベースプレート75と、廻り止めロッド76と、上ラムガイドプレート77と、上ラムプレート78とを備えており、支持板74と、上ラムベースプレート75と、上ラムガイドプレート77と、上ラムプレート78とは、上方からこの順序で配置され、廻り止めロッド76は、上ラムベースプレート75と上ラムガイドプレート77との間に立設されている。
上ラム駆動部73は、支持板74に取り付けられた上ラム駆動モータ73Mと、上ラム駆動モータ73Mの回転軸に設けられた駆動プーリ73Aと、伝達ベルト73Bと、従動プーリ73Cと、従動プーリ73Cと同心とされた上ラム駆動軸73Dとを備えており、伝達ベルト73Bが駆動プーリ73Aと従動プーリ73Cに巻回されて、上ラム駆動モータ73Mの回転が従動プーリ73Cに伝達されて上ラム駆動軸73Dが回転されるようになっている。
上ラム71は、上ラム71の上方端面の中央に雄ネジ73Eと係合可能な雌ねじ71Aが形成され、上ラム71の外周は上ラムガイドプレート77に設けられたガイド部材77Aに挿入されるとともに上下方向に摺動可能とされ、上ラム71は基端部(上方側)が上ラムベースプレート75に固定されるとともに上ラムベースプレート75に立設されている。
また、上ラムベースプレート75に形成された孔75Bに廻り止めロッド76が貫通されることにより、上ラム駆動軸73Dが回転した場合に、上ラム71及び上ラムベースプレート75が回転するのが防止されている。
また、上ラム駆動軸73Dの先端側に形成された雄ネジ73Eが上ラム71の下側端面の中央から軸線に沿って形成された雌ネジ71Aと螺合して配置され、上ラム駆動軸73Dが回転されることにより上ラム71が上昇下降するようになっている。
上ラムプレート78は、上ラムプレート78はその上部に設けられた上部連結部材78A及びTジョイント78Bを介して上ラム71に接続されており、複数のDDV型サーボ駆動装置D10を介して上パンチプレート34と接続されている。
また、上ラムプレート78に対するDDV型サーボ駆動装置D10の配置は、例えば、充填部Aを挟んで対向する位置に配置されており、上パンチ31が上昇及び下降する軸線方向の上パンチ31の上下方向位置、及び上パンチ31先端面の傾斜(充填部Aを挟んで対向する部位の相対的な上下方向位置)を調整可能とされている。
この実施形態における上パンチ用のDDV型サーボ駆動装置D10、下パンチ用のDDV型サーボ駆動装置D20は、例えば、図2に示すような構成とされている。
以下、図2を参照して、DDV(Direct Drive Volume Control)サーボ駆動装置の一例であるDDV型サーボ駆動装置D1について説明する。
DDV型サーボ駆動装置D1は、加算器D2と、サーボ増幅器D3と、サーボモータM1と、油圧ポンプP1と、油圧シリンダP2と、位置検出センサD4とを備え、位置検出センサD4は油圧シリンダP2のロッドの進退量を検出するようになっている。
加算器D2は、外部から入力される、位置制御又は圧力制御に係る制御信号Sdと位置検出センサD4からのフィードバック信号Stを加算してサーボ増幅器D3に出力し、サーボ増幅器D3は加算器D2からの信号を増幅してサーボモータM1を駆動するようになっている。
サーボモータM1は、油圧ポンプP1を駆動して加圧した作動油を油圧シリンダP2に送り、油圧シリンダP2のロッドを前進又は後退させてその進退量を調整するようになっている。
その結果、制御信号をDDV型サーボ駆動装置D1に出力することで油圧シリンダP2のロッドの進退量を変化させ、DDV型サーボ駆動装置D1を位置制御するようになっている。
また、油圧シリンダP2のロッド側及びヘッド側は、圧力センサT1、T2が接続され、それぞれの作動油の圧力が検出可能とされている。
なお、上記以外の周知の他の形式のDDV型サーボ駆動装置が適用可能であることはいうまでもない。
シューボックス90は、制御部80から、シューボックス90の駆動源に出力された信号によって、ダイプレート12上を充填部Aに向かって前進及び後退するようになっており、上パンチ31及び下パンチ21とシーケンス制御されるようになっている。
レーザ形状測定器Lは、ダイプレート12の外方に配置され、シューボックス90が搬出してきた粉末成形品Wを厚さをレーザ光Bによって測定するようになっており、例えば、粉末成形品Wを移動させながら照射部からレーザ光Bを照射し、その反射光をレーザ形状測定器Lの受光部で受けて信号処理をして、粉末成形品Wの形状、すなわち予め設定した測定部位の厚さを算出するとともに、算出した数値データ制御部80に送信されるようになっている。
制御部80は、例えば、図3に示すように、入力部81と、メモリ82と、演算部83と、ハードディスク装置84と、出力部86と、これら相互のデータ等を通信するための通信線87とを備え、入力部81には、上ラムDDV型サーボ駆動装置D10、DDV型サーボ駆動装置D20、下ラム駆動モータ62M、上ラム駆動モータ73M、レーザ形状測定器Lが接続され、出力部86には、上ラムDDV型サーボ駆動装置D10、DDV型サーボ駆動装置D20、下ラム駆動モータ62M、上ラム駆動モータ73Mが接続されている。
入力部81は、例えば、図示しないキーボード等のデータ入力機器を有していて演算部83に設定等を出力するとともに、上ラムDDV型サーボ駆動装置D10及びDDV型サーボ駆動装置D20の圧力センサ(図示せず)の検出信号、下ラム駆動モータ62M及び上ラム駆動モータ73Mのエンコーダ(図示せず)の回転角検出信号、レーザ形状測定器Lからの測定データの信号が入力され、これら信号を演算部83に出力するようになっている。
演算部83は、例えば、メモリ82のROMに格納されたプログラムを読み込んでプログラムを実行し、メモリ82に格納された粉末成形プレス50の動作プログラムデータ及び下ラム駆動モータ62M及び上ラム駆動モータ73Mのエンコーダからの信号に基づいて下ラム駆動モータ62M及び上ラム駆動モータ73Mに制御信号を出力して下ラム61及び上ラム71の位置、速度、停止動作等を制御するとともに、シューボックス90の駆動源に出力してシューボックス90を駆動するようになっている。
また、演算部83は、レーザ形状測定器Lからの測定データを図示しないデータベースに参照してDDV型サーボ駆動装置D10のロッドの進退量を算出してDDV型サーボ駆動装置D10に出力するようになっている。
また、メモリ82に格納された動作プログラムデータに基づいて、DDV型サーボ駆動装置D20の傾斜充填に関する信号をDDV型サーボ駆動装置D20に出力するようになっている。
また、演算部83は、キーボード等から入力された、金属粉末Pの圧縮量と粉末成形品Wの密度(目標密度)をデータベース85に参照して、その圧縮量において粉末成形品Wの密度を所定の密度範囲とするための振動生成信号をDDV型サーボ駆動装置D20に出力するようになっている。なお、この振動生成信号は、DDV型サーボ駆動装置D20に対する位置制御又は圧力制御信号からなり、例えば、DDV型サーボ駆動装置D20のモータ(図2におけるM1)を正逆回転させる信号から構成される。なお、モータの正逆回転以外の信号により振動生成信号を構成してもよい。
出力部86は、演算部83からの信号を、DDV型サーボ駆動装置D10、DDV型サーボ駆動装置D20、下ラム駆動モータ62M、上ラム駆動モータ73Mに出力するようになっている。
ハードディスク装置84にはデータベース85が格納されている。
データベース85は、金属粉末Pを充填部Aに供給する際のDDV型サーボ駆動装置D20の振動数(f)を、金属粉末Pの圧縮量と粉末成形品Wの密度に基づいて算出可能とされており、例えば、図4に示すような相関に基づいて構成されている。図4において、横軸はDDV型サーボ駆動装置D20の振動数(f)を、縦軸は粉末成形品Wの密度を、パラメータ△L1〜△L4は金属粉末Pの圧縮量を表している。
次に、図5を参照して、図4で示した、DDV型サーボ駆動装置D20に生成する振動数と、金属粉末Pの圧縮量と、粉末成形品Wの密度の相関を求める手順について説明する。
1)まず、DDV型サーボ駆動装置D10のロッドの進退量(金属粉末Pの圧縮量と対応)を設定する(手順1)。
2)DDV型サーボ駆動装置D20の振動数を設定して金属粉末Pを充填部Aに充填する(手順2)。
シューボックス90を前進させて、例えば、シューボックス90が充填部Aの上(前進端)に到達し、シューボックス90が後退し始めるまでの間、DDV型サーボ駆動装置D20に振動数と対応する振動生成信号を出力してDDV型サーボ駆動装置D20を振動させることで下パンチ21に振動を与える。
なお、DDV型サーボ駆動装置D20を振動させるタイミングは、量産時に振動させるタイミングと合わせることが好適である。
3)充填した材料粉末を圧粉して粉末成形品Wを成形する(手順3)。
4)粉末成形品Wの密度分布測定(手順4)。
粉末成形品Wの密度分布測定は、粉末成形品Wから測定対象の部位を切り出し、この測定部位を、例えば、水等の液体中に没して測定部位が排除した液体の容積と、液体内、液体外における測定部位の重量差、液体の密度とから算出する、いわゆるアルキメデス法を用いる。
5)DDV型サーボ駆動装置D20の振動数と、DDV型サーボ駆動装置D10のロッドの進退量と、粉末成形品Wの密度の相関を求める(手順5)。
手順1におけるDDV型サーボ駆動装置D10の進退量を一定にして、手順2におけるDDV型サーボ駆動装置D20の振動数を変えながら、手順2から手順5を繰り返す。その結果、金属粉末Pの圧縮量が一定の場合の、金属粉末Pを充填する際のDDV型サーボ駆動装置D20の振動数(f)と、粉末成形品Wの密度の相関が得られる。
そして、手順1における金属粉末Pの圧縮量(DDV型サーボ駆動装置D10の進退量)を変化させながら、手順2から手順5を繰り返すことで、図4に示すような金属粉末Pの圧縮量をパラメータとするDDV型サーボ駆動装置D20の振動数と粉末成形品Wの密度の相関を示す図が得られる。
以下、粉末成形装置1の作用について説明する。
まず、粉末成形装置1を起動しての自動運転を開始する。
粉末成形装置1の自動運転を開始する場合、下パンチ21は下死点に、上パンチ31は上死点に、シューボックス90は後退端に位置している。
1)まず、手動によって、入力部81のキーボードから生産対象の粉末成形品Wの圧縮量及び目標密度を入力する。
2)演算部83は、入力された粉末成形品Wの圧縮量と目標密度を、データベース85を参照してDDV型サーボ駆動装置D20の振動数を取得し、この振動数を生成するための振動生成信号の、例えば、周波数等をメモリ82に設定する。
3)次に、制御部80は、シューボックス90の駆動源に出力してシューボックス90を前進させる。
4)制御部80は、例えば、シューボックス90が前進している間、DDV型サーボ駆動装置D20にメモリ82に格納された周波数の振動生成信号を出力してDDV型サーボ駆動装置D20を振動させる。
その結果、DDV型サーボ駆動装置D20は下パンチ21を介して充填部Aに充填中の金属粉末Pを振動させる。
5)制御部80は、シューボックス90が充填部Aの上まで前進したら、シューボックス90の駆動源に後退信号を出力するとともに、DDV型サーボ駆動装置D20への振動生成信号の出力を停止する。
6)制御部80は、シューボックス90が後退する間、シューボックス90の後退位置に応じて下パンチ21を上昇させる信号をDDV型サーボ駆動装置D20に出力する。これにより、シューボックス90が後退している間、前述の図6で説明したような傾斜充填をさせて金属粉末Pの上面に傾斜面を形成し、その後下パンチ21を下降させて圧粉可能な状態とする。
7)次に、制御部80は、下ラム61を上昇させるとともに上ラム71を下降させ、充填部A内の金属粉末Pを圧粉して粉末成形品Wとする。
8)次いで、制御部80は、粉末成形品Wを成形した後、上パンチ31及び下パンチ21を同期して上昇させ、粉末成形品Wを上パンチ31及び下パンチ21により挟んだ状態でダイ11の上面に抜き出す。
自動運転が継続されている間、上記2)から8)を繰り返す。
このとき、ダイ11の上面に抜き出された粉末成形品Wは、シューボックス90の次の前進により、ダイ11の外に押し出されてレーザ形状測定器Lの測定位置まで移動し、レーザ形状測定器Lにより粉末成形品Wの形状(厚さ)測定された後、測定データが制御部80に送信される。
また、演算部83が、レーザ形状測定器Lからの測定データを、図示しないデータベースに参照してDDV型サーボ駆動装置D10のロッドの進退量を算出してDDV型サーボ駆動装置D10に出力して、金属粉末Pの圧縮量を調整する。
粉末成形装置1によれば、シューボックス90により金属粉末Pを充填部Aに供給している間、DDV型サーボ駆動装置D20により下パンチ21を振動させるので、充填部Aに供給される金属粉末Pが振動して充填部A内にほぼ均一に供給される。その結果、充填部内における材料粉末の供給量の偏りを抑制することができる。
その結果、密度分布の偏りが小さい粉末成形品を効率的に成形することができる。
また、DDV型サーボ駆動装置D20により傾斜充填を行なうので、DDV型サーボ駆動装置D20が下パンチ21の振動と傾斜充填の双方を行なうので簡単な構成によって傾斜充填をすることができる。
また、さらに、粉末成形装置1によれば、DDV型サーボ駆動装置D10のロッドの進退量を変化させて金属粉末Pの圧縮量を調整することで、粉末成形品Wの密度分布の偏りを小さくすることができる。
また、成形した粉末成形品Wの厚さをレーザ形状測定器Lで測定してDDV型サーボ駆動装置D10の位置制御にフィードバックして上パンチ31の上下方向位置等を調整して次の粉末成形品Wを成形するので、粉末成形品Wの厚さの偏りを容易かつ効率的に調整することができる。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、DDV型サーボ駆動装置D20を下パンチ21に接続する場合について説明したが、下パンチ21とともに、又は下パンチ21に代えてDDV型サーボ駆動装置D20をダイ11と接続して振動させる構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、入力部81から入力された粉末成形品Wの圧縮量と目標密度をデータベース85に参照する場合について説明したが、例えば、入力部81から入力した粉末成形品Wの名称や製品番号に基づいて、粉末成形品Wの圧縮量と目標密度を取得して制御するように構成してもよい。
また、上記実施の形態においては、DDV型サーボ駆動装置D20を振動させる場合に、データベース85を参照して振動数を取得する場合について説明したが、例えば、予め設定された数式により算出される振動数や、固定された振動数により振動する構成としてもよい。また、データベース85が、粉末成形品Wの目標密度と圧縮量以外の指標に基づいて構成されてもよい。
また、上記実施の形態においては、粉末成形装置1が、上パンチ31用のDDV型サーボ駆動装置D10を備え、ロッドの進退量を調整して金属粉末Pの圧縮量を調整する場合について説明したが、DDV型サーボ駆動装置D10による金属粉末Pの圧縮量の調整を行なわない構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、粉末成形装置1が粉末成形品Wの形状測定手段としてレーザ形状測定器Lを備える場合について説明したが、レーザ形状測定器Lを備えない構成としてもよい。
上記実施の形態においては、上パンチ及び下パンチの位置制御を、下ラム駆動軸62D及び下ラム61に設けられたネジ構造と、上ラム駆動軸73D及び上ラム71に設けられたネジ構造とを有するCNC制御方式による場合について説明したが、CNC制御方式以外の制御方式やネジ構造以外の駆動装置を用いて上パンチ31及び下パンチ21を作動させてもよい。また、エンコーダに代えて、リニアスケール等、他の位置測定手段を用いて構成してもよい。
上記実施の形態においては、金属粉末Pの充填において、DDV型サーボ駆動装置D20によって下パンチ21を作動することで傾斜充填する場合について説明したが、例えば、下ラム61を作動させることで傾斜充填してもよいし、ダイ11を下パンチ21に相対的に下降させて傾斜充填してもよい。
また、傾斜充填をすることなく金属粉末Pを充填してもよいことはいうまでもない。
上記実施の形態においては、粉末成形装置1における成形が、ダイ11が粉末成形プレス50に対して固定され、上パンチ31と下パンチ21がダイ11に対して前進するダイ固定成形方式である場合について説明したが、ウィズドローアル成形方式に適用することも可能である。
上記実施の形態においては、下パンチ21及び上パンチ31がそれぞれ単一の場合について説明したが、下パンチ21と上パンチ31のいずれか一方又は双方が圧粉方向に複数段に進退するパンチからなる構成としてもよく、また、下パンチ21、上パンチ31のいずれか又は双方がコアロッドを備えた構成とすることも可能である。
また、上記実施の形態においては、材料粉末として金属粉末Pを用いて粉末成形品Wを成形する場合について説明したが、金属粉末Pに代えて、超硬合金粉末、セラミックス粉末、サーメット粉末等を用いて、切削用のインサート、切削工具、その他種々の製品を生産に用いることも可能である。
また、上記実施の形態においては、プログラムを格納するための記憶媒体がROMである場合について説明したが、ROM以外にも、例えば、EP−ROM、 ハードディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカードなどを用いてもよい。また、演算部が読出したプログラムを実行することにより上記実施形態の作用が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、演算部で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施形態の作用が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読出されたプログラムが、演算部に挿入された機能拡張ボードや演算部に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の作用が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
この発明に係る粉末成形装置及び材料粉末の供給方法によれば、材料粉末を充填部に供給する場合に充填部内における材料粉末の供給量の偏りを抑制することができるので、産業上利用可能である。
A 充填部
D10 DDV型サーボ駆動装置(上パンチ用)
D20 DDV型サーボ駆動装置(下パンチ用)
P 金属粉末(材料粉末)
1 粉末成形装置
11 ダイ
21 下パンチ
31 上パンチ
61 下ラム

Claims (1)

  1. 材料粉末が充填される充填部が形成されたダイと、
    前記ダイに対して相対移動可能に取り付けられ、前記ダイとともに充填部を画成する下パンチと、
    前記ダイの上方に配置され、前記ダイに対して進退可能に支持された上パンチと、
    前記充填部に材料粉末を供給するシューボックスと、
    制御部と、を備えた粉末成形装置であって、
    前記ダイと前記下パンチの少なくともいずれかは、DDV型サーボ駆動装置を介して下ラムに接続され、
    前記制御部は、
    前記シューボックスが前記充填部に材料粉末を供給するために前進している間に前記DDV型サーボ駆動装置粉末成形品の圧縮量及び密度と対応する振動数の振動生成信号を出力し、前記シューボックスが前記充填部の上まで前進したら前記シューボックスの駆動源に後退信号を出力するとともに前記DDV型サーボ駆動装置への振動生成信号の出力を停止し、前記シューボックスが後退する間に前記シューボックスの後退位置に応じて下パンチを上昇させる信号を前記DDV型サーボ駆動装置に出力して傾斜充填させることを特徴とする粉末成形装置。
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