<実施の形態1>
図1は、本発明に係る実施の形態1の充電制御装置1の構成を示すブロック図である。図1に示す充電制御装置1は、その制御対象である車載充電器3と充電対象である蓄電池ユニット2に接続されている。
蓄電池ユニット2は蓄電池5、蓄電池の温度を測定するための温度センサ7,蓄電池5の端子間電圧と蓄電池5の入出力電流とを測定する電流電圧センサ6を有している。また、蓄電池ユニット2は車両を駆動させるためのモータ、エアコンを駆動させるための電動コンプレッサなどの電気負荷4に接続されている。
充電制御装置1は、制御対象である車載充電器3を制御する充電器制御部12、蓄電池ユニット2の温度センサ7の出力を受け、蓄電池5の測定温度の情報として出力する蓄電池温度測定部8および蓄電池の温度に応じて充電電力を補正する充電電力補正部11を備えている。
また、蓄電池ユニット2の電流電圧センサ6の出力に基づいて、充電中の蓄電量を演算する蓄電量演算部9と、充電開始時の蓄電量を演算する初期蓄電量演算部13と、充電時の最終蓄電量である目標蓄電量を設定する目標蓄電量設定部14と、充電が終了するまでの時間である充電時間を設定する充電時間設定部15とを有している。
なお、充電時間設定部15は、充電制御装置1の図示されないGUIなどを介して、ユーザーが次の走行予定時刻などを入力することで機能し、当該走行予定時刻に基づいて充電時間を設定する。
そして、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量と、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量と、充電時間設定部15の出力である充電終了までの時間から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて充電電力を決定する充電電力設定部10を有している。
また、充電制御装置1内には、各部位を制御すると共に、充電制御に関する全体的な制御を行う制御部SCを有している。なお、制御部SCはCPUなどの演算処理装置で構成されている。
ここで、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量をS1、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量をS2、充電時間設定部15の出力である充電時間をTとすると、充電電力PCは以下の数式(1)で表される。
PC=(S2−S1)/T・・・(1)
また、上記数式(1)で表された充電電力に対し、蓄電池温度測定部8の出力である蓄電池の温度TBで決定される補正係数Ktempは、以下の数式(2)で表される。
Ktemp=1 (TB≦TU)
=1−(TB−TU)×Kt (Kt>0、TB>TU)・・・(2)
ただし、TUは蓄電池の常温(通常25℃前後)、Ktは温度に対する係数であり、Ktempは温度差が高い場合には大きく、温度差が低い場合には小さくなる減少勾配を示す。
上記数式(1)で演算された充電電力PC、数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に蓄電池5に充電される充電電力Pは以下の数式(3)で表される。
P=Ktemp×PC・・・(3)
上記数式(3)で演算された充電電力Pに基づいて、充電器制御部12が充電器3を制御する。
図2は、図1に示した充電制御装置1における充電電力を制御するアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、図1を参照しつつ、図2を用いて充電電力の制御について説明する。
図2において、まず、車両が動作がどのような状態(モード)であるか、すなわち走行中であるか停車中であるかを検出する(ステップS1)。ここで、停車中とはシフトレバーがP(パーキング)の位置にある状態を指し、シフトレバーがD(ドライブ)の位置や、N(ニュートラル)の位置ではない状態を指す。なお、ステップS1の検出は制御部SCで行う。
次に、蓄電池5が充放電中であるかどうか、すなわち蓄電池5に電流が入出力されているかどうかを判断する(ステップS2)。この判断は、電流電圧センサ6の出力に基づいて制御部SCで行う。
そして、ステップS2で充放電中であると判断された場合は、蓄電池5に入出力される電流値を電流電圧センサ6の電流センサで検出し、その積分を取ることで蓄電池5に充電、あるいは蓄電池5から放電される電力(蓄電量の増減量)を演算する(ステップS3)。この演算は蓄電量演算部9で行われ、蓄電池5に入出力される電流値に、その時の蓄電池5の端子間電圧を乗じた値から、内部抵抗で熱に変換される電力を差し引いた値を積分する演算である。
一方、ステップS2で充放電中ではないと判断された場合は、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出し、現在の蓄電量を演算する(ステップS4)。
すなわち、蓄電池は充電率(SOC)に応じて、端子間に出力される電圧が変化するので、端子間電圧を測定することで、充電率から蓄電量を推定することができる。
そして、ステップS3で演算された蓄電量の増減量とステップS4で演算された充放電前の蓄電量から、現在の蓄電量を演算する(ステップS7)。すなわち、蓄電池5は自然放電するので、長時間蓄電池5を使用しなかった場合を想定し、まず、ステップS4で充放電中ではない場合に得られた蓄電量に対して、ステップS3で演算された蓄電池5の増減量を加減算することで現在の蓄電量を取得する。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
次に、充放電開始時か否かを判断する(ステップS8)。この判断はユーザーが、充電制御装置1の図示されないGUI(Graphical User Interface)などを介して、充電の開始時刻を設定したような場合に、制御部SCが、その開始時刻に達したか否かで判断する。
そして、充放電開始時である場合は、蓄電池5の初期蓄電量を演算する(ステップS9)。このステップS9では、ステップS4と同様に、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出することで、現在の蓄電量を初期蓄電量として演算する。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
そして、ステップS11では、ステップS5で、例えば、ユーザーが、充電制御装置1の図示されないGUIなどを介して設定した充電終了時の蓄電量である目標蓄電量と、ステップS6で、例えば、ユーザーが、充電制御装置1の図示されないGUIなどを介して設定した充電終了までの時間である充電時間と、ステップS9で演算された初期蓄電量とに基づいて、充電電力を算出し、ステップS13に進む。このステップS11では、初期蓄電量と目標蓄電量との差から充電で蓄えるべき電力量を算出し、それを充電時間で除算する演算を含んでいる。この演算は充電電力設定部10で行われる。
なお、ステップS8で充放電開始時ではないと判断された場合、すなわち既に充放電中である場合は、ステップS7で演算した現在の蓄電量を出力(ステップS10)するが、その場合には、ステップS9で演算された初期蓄電量の代わりにステップS11ではこれを用いて充電電力を算出する。
ただし、ステップS11で演算される充電電力は、初期蓄電量が大きいと目標蓄電量までに充電する電力量が少ないので小さく、また、目標電力が小さい場合も小さくなるが、逆に初期蓄電量が小さい場合は目標蓄電量までに充電する電力量が大きくなるので大きくなり、同様に目標電力が大きい場合も大きくなる。
また、充電時間が長い場合は長時間かけて充電が可能であるので充電電力は小さく、逆に充電時間が短い場合は急速に充電する必要があるので充電電力は大きくなる。
また、ステップS12では、蓄電池温度測定部8が蓄電池5の測定温度の情報を出力し、ステップS13では、当該測定温度の情報に基づいて、充電電力補正部11において充電電力を補正する補正係数(Ktemp)を演算する。
ただし、ステップS12で演算される充電電力の補正係数は、低温側(常温側)では1に近く、高温側では蓄電池5の劣化を抑制するために小さくする。
そして、ステップS13では、ステップS11で演算された充電電力に、補正係数を乗じた充電電力を車載充電器3に対する充電電力として指示する。
図3は、実施の形態1に係る充電制御装置1により充電電力を制御する場合の時間に対する蓄電量の変化および充電電力の変化を示す図である。
図3においては、初期蓄電量および目標蓄電量が同じで、充電時間が短くなった場合の充電電力の変化を示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
初期蓄電量および目標蓄電量が同じで、充電時間が短くなった場合、図3の下側の図のように充電電力は大きくなる。しかし、初期蓄電量と目標蓄電量が同じである場合は充電時間が変化しても電力量は変化しないので、特性直線で規定される領域の面積は同じであることが判る。
また、図3の上側の図に示すように、充電時間が短くなると蓄電量の増加直線の傾きが大きくなり、より急速に充電していることが判る。しかし、下側の図と同様に初期蓄電量と目標蓄電量が同じである場合は充電時間が変化しても電力量は変化しないので、特性直線で規定される領域の面積は同じである。
このように、実施の形態1に係る充電制御装置1では、初期蓄電量および目標蓄電量を定めて充電電力を制御するので、電力量を一定とすることができる。
<実施の形態2>
図4は、本発明に係る実施の形態2の充電制御装置1Aの構成を示すブロック図である。図4に示す充電制御装置1Aは、その制御対象である車載充電器3と充電対象である蓄電池ユニット2に接続されている。なお、図4においては、図1に示した充電制御装置1と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
充電制御装置1Aは、充電開始時の蓄電量を演算する初期蓄電量演算部13と、充電時の最終蓄電量である目標蓄電量を設定する目標蓄電量設定部14と、緊急時に車両を所定距離走行可能とする最低限の蓄電量である緊急用蓄電量を設定する緊急用蓄電量設定部16とを有している。
そして、第1充電電力設定部17と第2充電電力設定部18とを有する充電電力設定部10Aを有している。
第1充電電力設定部17は、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量と、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第1充電電力を決定する。
第2充電電力設定部18は、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量と、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第2充電電力を決定する。
また、充電制御装置1A内には、各部位を制御すると共に、充電制御に関する全体的な制御を行う制御部SCを有している。なお、制御部SCはCPUなどの演算処理装置で構成されている。
ここで、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量をS1、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量をS3、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量をS2とすると、第1充電電力演算部17の出力である第1充電電力PC1および第2充電電力演算部18の出力である第2充電電力PC2は、それぞれ以下の数式(4)および(5)で表される。
PC1=(S3−S1)×K1・・・(4)
PC2=(S2−S3)×K2・・・(5)
ここで、K1は初期蓄電量から緊急用蓄電量まで充電する際の充電電力を求める際の係数であり、K2は緊急用蓄電量から目標蓄電量まで充電する際の充電電力を求める際の係数であり、それぞれ固定値として予め設定された値であるが、その設定はユーザーが行うものとしても良い。
また、上記数式(4)で表された充電電力に対し、蓄電池温度測定部8の出力である蓄電池の温度TBで決定される補正係数Ktempは、先に説明した数式(2)で表される。
そして、上記数式(4)で表された充電電力PC1および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に初期蓄電量から緊急用蓄電量まで蓄電池5に充電される補正済み第1充電電力P1は以下の数式(6)で表される。
P1=Ktemp×PC1・・・(6)
また、上記数式(5)で表された充電電力PC2および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に緊急用蓄電量から目標蓄電量まで蓄電池5に充電される補正済み第2充電電力P2は以下の数式(7)で表される。
P2=Ktemp×PC2・・・(7)
上記数式(6)および(7)でそれぞれ演算された充電電力P1およびP2に基づいて、充電器制御部12が充電器3を制御する。
図5は、図4に示した充電制御装置1Aにおける充電電力を制御するアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、図4を参照しつつ、図5を用いて充電電力の制御について説明する。
図5において、まず、車両が動作がどのような状態(モード)であるか、すなわち走行中であるか停車中であるかを検出する(ステップS21)。なお、ステップS21の検出は制御部SCで行う。
次に、蓄電池5が充放電中であるかどうか、すなわち蓄電池5に電流が入出力されているかどうかを判断する(ステップS22)。この判断は、電流電圧センサ6の出力に基づいて制御部SCで行う。
そして、ステップS22で充放電中であると判断された場合は、蓄電池5に入出力される電流値を電流電圧センサ6の電流センサで検出し、その積分を取ることで蓄電池5に充電、あるいは蓄電池5から放電される電力(蓄電量の増減量)を演算する(ステップS23)。この演算は蓄電量演算部9で行われ、蓄電池5に入出力される電流値に、その時の蓄電池5の端子間電圧を乗じた値から、内部抵抗で熱に変換される電力を差し引いた値を積分する演算である。
一方、ステップS22で充放電中ではないと判断された場合は、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出し、現在の蓄電量を演算する(ステップS24)。
そして、ステップS23で演算された蓄電量の増減量とステップS24で演算された充放電前の蓄電量から、現在の蓄電量を演算する(ステップS27)。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
次に、充放電開始時か否かを判断する(ステップS28)。この判断はユーザーが、充電制御装置1Aの図示されないGUIなどを介して、充電の開始時刻を設定したような場合に、制御部SCが、その開始時刻に達したか否かで判断する。
そして、充放電開始時である場合は、蓄電池5の初期蓄電量を演算する(ステップS29)。このステップS29では、ステップS24と同様に、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出することで、現在の蓄電量を初期蓄電量として演算する。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
なお、ステップS28で充放電開始時ではないと判断された場合、すなわち既に充放電中である場合は、ステップS27で演算した現在の蓄電量を出力(ステップS30)する。
そして、ステップS29で演算された充電開始時の初期蓄電量と、ステップS25で設定された緊急時のための緊急用蓄電量に基づいて、数式(4)で表される初期充電量から緊急用蓄電量に達するまでの第1充電電力(PC1)を演算する(ステップS32)。
また、ステップS25で設定された緊急時のための緊急用蓄電量と、ステップS26で設定された充電終了時の蓄電量である目標蓄電量に基づいて、数式(5)で表される緊急用蓄電量から目標蓄電量に達するまでの第2充電電力(PC2)を演算する(ステップS33)。
また、ステップS31では、蓄電池温度測定部8が蓄電池5の測定温度の情報を出力し、ステップS34では、当該測定温度の情報に基づいて、充電電力補正部11において充電電力を補正する補正係数(Ktemp)を演算する。
ただし、ステップS34で演算される充電電力の補正係数は、低温側(常温側)では1に近く、高温側では蓄電池5の劣化を抑制するために小さくする。
そして、ステップS35では、ステップS32で演算された第1充電電力およびステップS33で演算された第2充電電力に補正係数(Ktemp)を乗じた補正済み充電電力(P1,P2)を車載充電器3に対する充電電力として指示する。
図6は、実施の形態2に係る充電制御装置1Aにより充電電力を制御する場合の時間に対する蓄電量の変化および充電電流の変化を示す図である。
図6においては、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電電力と、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電電力の違いを示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
初期蓄電量から緊急用蓄電量までは短時間で充電した方が良いと考えられるので、大きな充電電力(充電電流)で充電を行う。
それに対し、緊急用蓄電量から目標蓄電量までは次の走行までに充電が終了していれば良いので、小さい充電電力(充電電流)で充電を行う。
もし、初期蓄電量が大きな場合は、緊急用蓄電量までの充電電力量が小さいために、充電電力を少し小さくすることが可能である。
また、緊急用蓄電量が大きいか目標蓄電量が小さい場合は緊急用蓄電量と目標蓄電量までの充電電力量が少なくて済むので、充電電力を少し小さくすることが可能である。
このように、実施の形態2に係る充電制御装置1Aでは、初期蓄電量と緊急用蓄電量との差分、緊急用蓄電量と目標蓄電量との差分に応じて、それぞれの充電電力を制御するので、充電電流が過剰に大きくなるということが防止され、蓄電池の劣化を抑制できると共に、緊急用蓄電量を確保するので、緊急時にも車両を所定距離走行可能として、ユーザーの利便性を損なわない。
<実施の形態3>
図7は、本発明に係る実施の形態3の充電制御装置1Bの構成を示すブロック図である。図7に示す充電制御装置1Bは、その制御対象である車載充電器3と充電対象である蓄電池ユニット2に接続されている。なお、図7においては、図4に示した充電制御装置1Aと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
充電制御装置1Bは、充電制御装置1Aの構成に加えて、充電に費やせる時間である次の走行までの時間を設定する充電時間設定部19を有している。なお、充電時間設定部19は、充電制御装置1Bの図示されないGUIなどを介して、ユーザーが次の走行予定時刻などを入力することで機能し、当該走行予定時刻に基づいて充電時間を設定する。
また、第1充電電力設定部17と第2充電電力設定部18Aとを有する充電電力設定部10Bを有している。
第1充電電力設定部17は、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量と、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第1充電電力を決定する。
第2充電電力設定部18Aは、充電時間設定部19の出力である充電時間と、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量と、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第2充電電力を決定する。
また、充電制御装置1B内には、各部位を制御すると共に、充電制御に関する全体的な制御を行う制御部SCを有している。なお、制御部SCはCPUなどの演算処理装置で構成されている。
ここで、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量をS1、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量をS3、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量をS2、充電時間設定部19の出力である充電時間をTCとすると、第1充電電力演算部17の出力である第1充電電力PC1、第2充電電力演算部18Aの出力である第2充電電力PC2は、それぞれ以下の数式(8)および(9)で表される。
PC1=(S3−S1)×K1・・・(8)
PC2=(S2−S3)/(TC−TC1)×K2・・・(9)
ここで、TC1は初期蓄電量から緊急用蓄電量までの電力量の充電に要する時間、K1は初期蓄電量から緊急用蓄電量まで充電する場合の充電電力を求めるための係数であり、K2は緊急用蓄電量から目標蓄電量まで充電する場合の充電電力を求めるための係数であり、それぞれ固定値として予め設定された値であるが、その設定はユーザーが行うものとしても良い。
また、上記数式(8)および(9)で表された充電電力に対し、蓄電池温度測定部8の出力である蓄電池の温度TBで決定される補正係数Ktempは、先に説明した数式(2)で表される。
そして、上記数式(8)で表された充電電力PC1および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に初期蓄電量から緊急用蓄電量まで蓄電池5に充電される補正済み第1充電電力P1は以下の数式(10)で表される。
P1=Ktemp×PC1・・・(10)
また、上記数式(9)で表された充電電力PC2および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に緊急用蓄電量から目標蓄電量まで蓄電池5に充電される補正済み第2充電電力P2は以下の数式(11)で表される。
P2=Ktemp×PC2・・・(11)
上記数式(10)および(11)でそれぞれ演算された充電電力P1およびP2に基づいて、充電器制御部12が充電器3を制御する。
図8は、図7に示した充電制御装置1Bにおける充電電力を制御するアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、図7を参照しつつ、図8を用いて充電電力の制御について説明する。
図8において、まず、車両が動作がどのような状態(モード)であるか、すなわち走行中であるか停車中であるかを検出する(ステップS41)。なお、ステップS41の検出は制御部SCで行う。
次に、蓄電池5が充放電中であるかどうか、すなわち蓄電池5に電流が入出力されているかどうかを判断する(ステップS42)。この判断は、電流電圧センサ6の出力に基づいて制御部SCで行う。
そして、ステップS42で充放電中であると判断された場合は、蓄電池5に入出力される電流値を電流電圧センサ6の電流センサで検出し、その積分を取ることで蓄電池5に充電、あるいは蓄電池5から放電される電力(蓄電量の増減量)を演算する(ステップS43)。この演算は蓄電量演算部9で行われ、蓄電池5に入出力される電流値に、その時の蓄電池5の端子間電圧を乗じた値から、内部抵抗で熱に変換される電力を差し引いた値を積分する演算である。
一方、ステップS42で充放電中ではないと判断された場合は、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出し、現在の蓄電量を演算する(ステップS44)。
そして、ステップS43で演算された蓄電量の増減量とステップS44で演算された充放電前の蓄電量から、現在の蓄電量を演算する(ステップS48)。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
次に、充放電開始時か否かを判断する(ステップS49)。この判断はユーザーが、充電制御装置1Bの図示されないGUIなどを介して、充電の開始時刻を設定したような場合に、制御部SCが、その開始時刻に達したか否かで判断する。
そして、充放電開始時である場合は、蓄電池5の初期蓄電量を演算する(ステップS50)。このステップS50では、ステップS44と同様に、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出することで、現在の蓄電量を初期蓄電量として演算する。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
なお、ステップS49で充放電開始時ではないと判断された場合、すなわち既に充放電中である場合は、ステップS48で演算した現在の蓄電量を出力(ステップS51)する。
そして、ステップS50で演算された充電開始時の初期蓄電量と、ステップS45で設定された緊急時のための緊急用蓄電量に基づいて、数式(8)で表される初期充電量から緊急用蓄電量に達するまでの第1充電電力(PC1)を演算する(ステップS53)。
また、ステップS45で設定された緊急時のための緊急用蓄電量と、ステップS46で設定された充電終了時の蓄電量である目標蓄電量との差分を、ステップS47で設定された充電時間から、充電時間から緊急用蓄電量までの充電に要した時間を減じた充電残時間(TC−TC1)で除算することで、数式(9)で表される緊急用蓄電量から目標蓄電量に達するまでの第2充電電力(PC2)を演算する(ステップS54)。
また、ステップS52では、蓄電池温度測定部8が蓄電池5の測定温度の情報を出力し、ステップS55では、当該測定温度の情報に基づいて、充電電力補正部11において充電電力を補正する補正係数(Ktemp)を演算する。
ただし、ステップS55で演算される充電電力の補正係数は、低温側(常温側)では1に近く、高温側では蓄電池5の劣化を抑制するために小さくする。
そして、ステップS56では、ステップS53で演算された第1充電電力およびステップS54で演算された第2充電電力に補正係数(Ktemp)を乗じた補正済み充電電力(P1、P2)を車載充電器3に対する充電電力として指示する。
図9は、実施の形態3に係る充電制御装置1Bにより充電電力を制御する場合の時間に対する蓄電量の変化および充電電流の変化を示す図である。
図9においては、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電電力と、充電時間が変化した場合の緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電電力の違いを示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
初期蓄電量から緊急用蓄電量までは短時間で充電した方が良いと考えられるので、所定の大きな充電電力(充電電流)で充電を行う。
それに対し、緊急用蓄電量から目標蓄電量までは次の走行までに充電が終了していれば良いので、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの電力量を、充電時間から緊急用蓄電量の充電に要した時間を減じた時間で除算することによって得られる充電電力で充電を行う。
なお、図9では、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電において、充電時間設定部19から与えられる充電時間が変わった場合の特性を表しており、充電時間が短縮されることで、蓄電量の増加の傾きが急になることが示されている。
蓄電池の劣化は蓄電量が大きい場合に大きな充電電力で充電した場合に進行するので、蓄電量の小さい初期蓄電量から緊急用蓄電量までは大きな電力で短時間で充電し、その後の緊急用蓄電量から目標蓄電量までは可能な限り小さい電力で充電することで、蓄電池の劣化を抑制できる。
このように、実施の形態3に係る充電制御装置1Bでは、初期蓄電量と緊急用蓄電量との差分、緊急用蓄電量と目標蓄電量との差分に応じて、それぞれの充電電力を制御するので、充電電流が過剰に大きくなるということが防止され、蓄電池の劣化を抑制できると共に、緊急用蓄電量を確保するので、緊急時にも車両を所定距離走行可能として、ユーザーの利便性を損なわない。
また、充電時間設定部19から与えられる充電時間は、ユーザーが任意に設定可能であるので、次の走行予定時刻が早まったような場合には、GUIなどを介して、ユーザーが変更時刻を入力することで、充電制御装置1Bが充電電力を変更し、次の走行予定時刻に間に合わせるので、利便性がさらに向上する。
<実施の形態4>
図10は、本発明に係る実施の形態4の充電制御装置1Cの構成を示すブロック図である。図10に示す充電制御装置1Cは、その制御対象である車載充電器3と充電対象である蓄電池ユニット2に接続されている。なお、図10においては、図4に示した充電制御装置1Aと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
充電制御装置1Cは、充電制御装置1Aの構成に加えて、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電に費やせる時間である第1充電時間を設定する第1充電時間設定部20と、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電に費やせる時間である第2充電時間を設定する第2充電時間設定部21とを有している。なお、第1充電時間設定部20および第2充電時間設定部21は、充電制御装置1Cの図示されないGUIなどを介して、ユーザーが次の走行予定時刻などを入力することで機能し、当該走行予定時刻に基づいて第1、第2充電時間を設定する。
なお、第1充電時間は、可能な限り短時間で充電したいという観点から、車載充電器3の能力や、電力系統から取り出すことができる電力などに基づいて演算により一義的に決定され、第2充電時間は、次の走行予定までの時間から第1充電時間を減じた時間として決定することができる。従って、ユーザーは次の走行予定の時刻を入力するだけ済む。
また、第1充電電力設定部17Aと第2充電電力設定部18Aとを有する充電電力設定部10Cを有している。
第1充電電力設定部17Aは、第1充電時間設定部20の出力である初期蓄電量から緊急用蓄電量までの第1充電時間と、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量と、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第1充電電力を決定する。第1充電電力を決定する。
第2充電電力設定部18Aは、第2充電時間設定部21の出力である緊急用蓄電量から目標蓄電量までの第2充電時間と、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量と、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量から充電電力を演算し、蓄電量演算部9の出力である蓄電量と合わせて第2充電電力を決定する。
また、充電制御装置1C内には、各部位を制御すると共に、充電制御に関する全体的な制御を行う制御部SCを有している。なお、制御部SCはCPUなどの演算処理装置で構成されている。
ここで、初期蓄電量設定部13の出力である充電開始時の蓄電量をS1、緊急用蓄電量設定部16の出力である緊急用蓄電量をS3、目標蓄電量設定部14の出力である充電終了時の目標蓄電量をS2、第1充電時間設定部20の出力である初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電時間をTC1、第2充電時間設定部21の出力である緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電時間をTC2とすると、第1充電電力演算部17Aの出力である第1充電電力PC1、第2充電電力演算部18Aの出力である第2充電電力PC2は、それぞれ以下の数式(12)および(13)で表される。
PC1=(S3−S1)/TC1×K1・・・(12)
PC2=(S2−S3)/TC2×K2・・・(13)
ここで、K1は期蓄電量から緊急用蓄電量まで充電する場合の充電電力を求めるための係数であり、K2は緊急用蓄電量から目標蓄電量まで充電する場合の充電電力を求めるための係数であり、それぞれ固定値として予め設定された値であるが、その設定はユーザーが行うものとしても良い。
また、上記数式(12)および(13)で表された充電電力に対し、蓄電池温度測定部8の出力である蓄電池の温度TBで決定される補正係数Ktempは、先に説明した数式(2)で表される。
そして、上記数式(12)で表された充電電力PC1および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に初期蓄電量から緊急用蓄電量まで蓄電池5に充電される充電電力P1は以下の数式(14)で表される。
P1=Ktemp×PC1・・・(14)
また、上記数式(13)で表された充電電力PC2および数式(2)で演算された補正係数Ktempを用いて、実際に緊急用蓄電量から目標蓄電量まで蓄電池5に充電される充電電力P2は以下の数式(15)で表される。
P2=Ktemp×PC2・・・(15)
上記数式(14)および(15)でそれぞれ演算された充電電力P1およびP2に基づいて、充電器制御部12が充電器3を制御する。
図11は、図10に示した充電制御装置1Cにおける充電電力を制御するアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、図10を参照しつつ、図11を用いて充電電力の制御について説明する。
図11において、まず、車両が動作がどのような状態(モード)であるか、すなわち走行中であるか停車中であるかを検出する(ステップS61)。なお、ステップS61の検出は制御部SCで行う。
次に、蓄電池5が充放電中であるかどうか、すなわち蓄電池5に電流が入出力されているかどうかを判断する(ステップS62)。この判断は、電流電圧センサ6の出力に基づいて制御部SCで行う。
そして、ステップS62で充放電中であると判断された場合は、蓄電池5に入出力される電流値を電流電圧センサ6の電流センサで検出し、その積分を取ることで蓄電池5に充電、あるいは蓄電池5から放電される電力(蓄電量の増減量)を演算する(ステップS63)。この演算は蓄電量演算部9で行われ、蓄電池5に入出力される電流値に、その時の蓄電池5の端子間電圧を乗じた値から、内部抵抗で熱に変換される電力を差し引いた値を積分する演算である。
一方、ステップS62で充放電中ではないと判断された場合は、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出し、現在の蓄電量を演算する(ステップS64)。
そして、ステップS63で演算された蓄電量の増減量とステップS64で演算された充放電前の蓄電量から、現在の蓄電量を演算する(ステップS67)。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
次に、充放電開始時か否かを判断する(ステップS68)。この判断はユーザーが、充電制御装置1Cの図示されないGUIなどを介して、充電の開始時刻を設定したような場合に、制御部SCが、その開始時刻に達したか否かで判断する。
そして、充放電開始時である場合は、蓄電池5の初期蓄電量を演算する(ステップS69)。このステップS69では、ステップS64と同様に、蓄電池5の端子間電圧を電流電圧センサ6の電圧センサで検出することで、現在の蓄電量を初期蓄電量として演算する。この演算は蓄電量演算部9で行われる。
なお、ステップS68で充放電開始時ではないと判断された場合、すなわち既に充放電中である場合は、ステップS67で演算した現在の蓄電量を出力(ステップS70)する。
そして、ステップS69で演算された充電開始時の初期蓄電量と、ステップS65で設定された緊急時のための緊急用蓄電量と、ステップS72で設定された初期蓄電量から緊急用蓄電量までの第1充電時間に基づいて、数式(11)で表される初期充電量から緊急用蓄電量に達するまでの第1充電電力(PC1)を演算する(ステップS71)。
また、ステップS65で設定された緊急時のための緊急用蓄電量と、ステップS66で設定された充電終了時の蓄電量である目標蓄電量と、ステップS73で設定された緊急用蓄電量から目標用蓄電量までの第2充電時間かに基づいて、数式(12)で表される緊急用蓄電量から目標蓄電量までの第2充電電力(PC2)を演算する(ステップS74)。
また、ステップS72では、蓄電池温度測定部8が蓄電池5の測定温度の情報を出力し、ステップS75では、当該測定温度の情報に基づいて、充電電力補正部11において充電電力を補正する補正係数(Ktemp)を演算する。
ただし、ステップS75で演算される充電電力の補正係数は、低温側(常温側)では1に近く、高温側では蓄電池5の劣化を抑制するために小さくする。
そして、ステップS76では、ステップS71で演算された第1充電電力およびステップS74で演算された第2充電電力に補正係数(Ktemp)を乗じた充電電力(P1、P2)を車載充電器3に対する充電電力として指示する。
図12は、実施の形態4に係る充電制御装置1Cにより充電電力を制御する場合の時間に対する蓄電量の変化および充電電流の変化を示す図である。
図12においては、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電時間と、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電時間が変化した場合の、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電電力の違いおよび緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電電力の違いを示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
初期蓄電量から緊急用蓄電量までは、充電開始後、一定の充電電力(充電電流)で充電することで、初期蓄電量が大きい場合は小さい充電電力で充電できる。そのため、緊急用蓄電量を確保する場合も蓄電池の劣化を抑制することが可能となる。
それに対し、緊急用蓄電量から目標蓄電量までは次の走行までに充電が終了していれば良いので、できるだけ長時間で充電した方が蓄電池の劣化を抑制することが可能となる。
なお、図12では、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電において、第1充電時間設定部20から与えられる充電時間が変わった場合の特性を表しており、第1充電時間が短縮されることで、蓄電量の増加の傾きが急になることが示されている。また、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電においても、第2充電時間設定部21から与えられる第2充電時間が変わった場合の特性を表しており、充電時間が短縮されることで、蓄電量の増加の傾きが急になることが示されている。
蓄電池の劣化は蓄電量が大きい時に大きな充電電力で充電した場合に進行するので、蓄電量の小さい初期蓄電量から緊急用蓄電量までの状態は大きな電力で短時間で充電し、その後の緊急用蓄電量から目標蓄電量までは可能な限り小さい電力で充電することで、利便性を損なわず蓄電池の劣化を抑制できる。
このように、実施の形態4に係る充電制御装置1Cでは、初期蓄電量と緊急用蓄電量との差分、緊急用蓄電量と目標蓄電量との差分に応じて、それぞれの充電電力を制御するので、充電電流が過剰に大きくなるということが防止され、蓄電池の劣化を抑制できると共に、緊急用蓄電量を確保するので、緊急時にも車両を所定距離走行可能として、ユーザーの利便性を損なわない。
また、第1充電時間設定部20および第2充電時間設定部21からそれぞれ与えられる第1および第22充電時間は、ユーザーが任意に設定可能であるので、次の走行予定時刻が早まったような場合には、GUIなどを介して、ユーザーが変更時刻を入力することで、充電制御装置1Cが充電電力を変更し、次の走行予定時刻に間に合わせるので、利便性がさらに向上する。
<変形例1>
図13は、実施の形態4の充電制御装置1Cによる充電電力の制御の変形例1による時間に対する蓄電量の変化および充電電流の変化を示す図である。
図13においては、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電時間と、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電時間が変化した場合の、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電電力の違い、および緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電電力の違いを示すと共に、第1、第2充電時間のそれぞれで多段階に充電電力を設定する動作を示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
すなわち、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電を行う第1充電時間内、さらに緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電を行う第2充電時間内のそれぞれで、蓄電量が小さい場合は充電電力の増加直線の傾きが大きく多段階で変わるように制御し、蓄電量が大きい場合は充電電力の増加直線の傾きが小さく多段階で変わるように制御することで蓄電池の劣化をより抑制することが可能となる。
また、図14には、上述した充電電力の制御の変形例1によるアルゴリズムを示すフローチャートである。なお、図14においては、図11に示したフローチャートと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図14に示すように、ステップS68で充放電開始時か否かを判断し、充放電開始時である場合は、ステップS69で蓄電池5の初期蓄電量を演算すると共に、ステップS77で充電開始後からの経過時間を計測する。この時間計測は、制御部SCに内蔵もしくは制御部SCに接続されたクロック等を使用して行うことができる。
そして、時間計測結果は、ステップS71での第1充電電力の演算およびステップS74での第2充電電力の演算の際に利用され、例えば、予め定めた所定の時間間隔で充電電力を変化させるなどして多段階制御を実現している。この場合の時間間隔は、一定間隔に限定されず、所定の関数で規定され間隔が変化するものであっても良い。
また、蓄電量と充電電力と関係を定めたテーブル等を予め準備しておき、その時々の蓄電量に応じて第1および第2充電電力を変更することで多段階制御を実現しても良い。
また、充電電力の多段階制御を実現する方法の他の例として、図15に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図15においては、図11に示したフローチャートと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図15に示すように、ステップS68で充放電開始時か否かを判断し、充放電開始時である場合は、ステップS69で蓄電池5の初期蓄電量を演算し、その結果を用いてステップS71での第1充電電力の演算およびステップS74での第2充電電力の演算を行うが、その際に、ステップS70で出力する現在の蓄電量または、ステップS69で演算した初期蓄電量を、ステップS78で現状の蓄電量として出力し、第1充電電力設定部17Aおよび第2充電電力設定部18Aに与える。
第1充電電力設定部17Aおよび第2充電電力設定部18Aでは、予め定めた閾値に基づいて現状の蓄電量を判断し、現状の蓄電量が所定の閾値に満たない場合は充電電力の増加直線の傾きを大きめに設定し、所定の閾値に達した後は充電電力の増加直線の傾きを小さくするなどして多段階制御を実現している。なお、上記閾値を複数設けることで、多段制御の段数を増やすことができる。
なお、上記においては、実施の形態4の充電制御装置1Cによる充電電力の制御の変形例として説明したが、実施の形態2の充電制御装置1Aおよび実施の形態2の充電制御装置1Bによる充電電力の制御の変形例として充電電力の多段階制御を行っても良い。
<変形例2>
図16は、実施の形態4の充電制御装置1Cによる充電電力の制御の変形例2による時間に対する蓄電量の変化および充電電流の変化を示す図である。
図16においては、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電時間と、緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電時間が変化した場合の、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電電力の違い、および緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電電力の違いを示すと共に、第1、第2充電時間のそれぞれで非線形に充電電力を変化させる動作を示しており、横軸を時間軸として、上側の図に蓄電量の変化を示し、下側の図に充電電流の変化を示している。
すなわち、初期蓄電量から緊急用蓄電量までの充電を行う第1充電時間内、さらに緊急用蓄電量から目標蓄電量までの充電を行う第2充電時間内のそれぞれで、蓄電量が小さい場合は充電電力の増加曲線が急峻な立ち上がりを示すように充電電力が非線形に変化するように制御し、蓄電量が大きい場合は充電電力の増加曲線が緩やかな立ち上がりを示すように充電電力が非線形に変化するように制御することで蓄電池の劣化をより抑制することが可能となる。
なお、上記のような制御も図14に示したフローチャートで実現でき、ステップS77で計測した充電開始後からの時間計測結果をステップS71での第1充電電力の演算およびステップS74での第2充電電力の演算の際に利用し、例えば、対数関数で充電電力を変化させるなどして充電電力が非線形に変化するように制御している。
また、上記充電電力の決定に用いる関数は1つに限定されず、所定の時間間隔で関数を変更するようにしても良い。
また、図15に示したフローチャートによっても実現でき、ステップS78で出力する現状の蓄電量を、第1充電電力設定部17Aおよび第2充電電力設定部18Aに与え、第1充電電力設定部17Aおよび第2充電電力設定部18Aでは、予め定めた閾値に基づいて現状の蓄電量を判断し、現状の蓄電量が所定の閾値を満たしている場合と満たしていない場合で、充電電力を決定する関数を切り替える。例えば、対数関数の係数を変化させるなどして充電電力が非線形に変化する充電制御を実現している。なお、上記閾値を複数設け、閾値ごとに関数を変えるなどしても良い。
なお、上記においては、実施の形態4の充電制御装置1Cによる充電電力の制御の変形例として説明したが、実施の形態2の充電制御装置1Aおよび実施の形態2の充電制御装置1Bによる充電電力の制御の変形例として充電電力を非線形に制御しても良い。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。