JP5637285B1 - 基礎杭 - Google Patents

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Abstract

【課題】打ち込み後、汎用な工具等の使用により、簡易に、耐沈降性や耐引抜性に優れる基礎杭を提供する。【解決手段】杭本体101内に、ボルト挿通部材41,45を上下に設け、ボルト50を通しておく。上下に圧縮変形して杭本体のパイプ壁17を外側へ押し広げ得るパイプ壁変形部材60を配置しておく。ボルト50のうち、パイプ壁変形部材60と、下のボルト挿通部材45との間のネジに、回転しない第1のナット部材71を螺合し、下のボルト挿通部材45の下方のネジ部位にも、同様の第2のナット部91材を螺合しておく。打ち込み後、ボルト50を回して、第1のナット部材71と上のボルト挿通部材41の間で、パイプ壁変形部材60を圧縮変形し、パイプ壁を外側へ押し広げた後、第2のナット部材91と上のボルト挿通部材41の間で、パイプ壁17を上下に圧縮して外側への変形を増大させ得るよう、それぞれ螺合しておく。【選択図】 図4

Description

本発明は、比較的軽量な工作物等を支持、固定するために地中に打ち込まれる基礎杭に関し、より詳しくは、地面(地盤)上に、例えば、太陽光パネルの設置用の架台(枠体)や、比較的軽量の小型ハウスなどの工作物を地面上に設置する際において、それら架台等を支持、固定するために地中(土壌中)に打ち込まれて埋設される基礎杭に関する。
この種の基礎杭(以下、単に杭ともいう)は、金属製でストレートのパイプからなり、上端部(杭頭)又はその近傍に、架台(枠体)等を支持、固定(取付け)等するための取付け手段が設けられ、下端は適度に尖らされているものが基本的なものといえる。これらのものは、地盤中に打ち込み方式で施工することになり、その打ち込みにより、周囲の地盤との摩擦力や土圧によって支持される摩擦杭であり、工事方法(施工方法)も簡易であることから、よく採用されている。一方、このような基礎杭(以下、単純杭)では、それ自体の構造が簡易であることから、これに加わる重量によって沈降しやすく、また、抜けやすいなど、その設置後の耐沈降性、或いは耐引抜性(引き抜き力に対する強度ないしアンカー作用)が低く、固定力が弱いのが難点とされる。したがって、比較的軟弱な地盤ではその問題が大きい。
こうした中、螺旋杭といわれる、パイプ(円管)の外周面に螺旋を設けたネジ様のものも使用されている(例えば、特許文献1、図1参照)。このものは、ネジ構造を有するため、回転させながら地盤中に圧入するものであるから、単純杭に比べれば、埋設後における耐沈降性や耐引抜性の点で優れる。このため、比較的簡易な構造の基礎杭ではあるものの、上記架台等の設置における支持、固定用のものとしては、比較的高い安定性及び高強度の基礎となり得る。
特開2007−205108号公報
ところが、上記したような螺旋杭では、その杭自体(全体)を回転させながら地中に圧入するものであるがために、特殊の専用機(重機)が必要となるという点での難点がある。しかも、作業者は入り込めても、このような専用機を持ち込めない、例えば、狭小地や、道のない野原などでは施工ができない。また、汎用性のある専用機や工具等の使用では、杭自体(全体)を回転させて施工することはできないことから、施工コストが増大するという点での問題もある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、特殊の専用機(重機)を要することなく、単純くいと同様に、単に、打ち込むか、又は圧入により、その打ち込み、ないし埋設を行い得ると共に、その打ち込み後において、汎用な工具等の使用により、簡易に、耐沈降性や耐引抜性にも優れる支持が得られる基礎杭を提供することをその目的とする。
請求項1に記載の本発明は、パイプ状の杭本体を含む基礎杭であって、
パイプ状の杭本体には、その内側に、ボルトを隙間嵌めで通すボルト挿通孔を有するボルト挿通部材が上下に間隔をおいて固定されており、この上下のボルト挿通部材相互間における杭本体をなすパイプ壁には、そのパイプ壁自体を内側から外側へ押し広げる変形を容易とするための変形容易手段が設けられており、
この上下のボルト挿通部材の各ボルト挿通孔に、頭部を有するボルトが上から通され、そのボルトの頭部が、上のボルト挿通部材のボルト挿通孔の上縁に直接又は間接に係止されると共に、このボルトの下端が下のボルト挿通部材よりも下方に突出させられており、
該杭本体の内側であって前記上下のボルト挿通部材相互間には、自身が上下に圧縮されることによって変形し、その変形によって該杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げ可能のパイプ壁変形部材が配置されており、
前記ボルトのうち、このパイプ壁変形部材と前記下のボルト挿通部材との間に位置するネジ部位には、前記杭本体の内側における回転が規制された第1のナット部材が螺合されており、しかも、前記ボルトのうち、前記下のボルト挿通部材の下方に突出させられている下端又は下端寄りのネジ部位には、該杭本体の内側における回転が規制された第2のナット部材が螺合されており、
前記ボルトを締付け方向に回転させることによって、引き上げられる第1のナット部材と前記上のボルト挿通部材との間で、前記パイプ壁変形部材を上下に圧縮して変形することによって、前記杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げる第1段階の変形が得られると共に、この第1段階の変形開始後に、引き上げられる第2のナット部材と前記上のボルト挿通部材との間で、上下のボルト挿通部材相互間を上下に圧縮して、前記杭本体のパイプ壁の外側への変形を増大する第2段階の変形が得られるように、
第1のナット部材と第2のナット部材とが、前記ボルトの回転前において各ネジ部位に螺合されていることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮過程において、第1のナット部材がネジ部位から離脱するよう、前記ボルトにおける第1のナット部材が螺合するネジ部位の上端に、そのネジ部位の谷径以下の外径からなる軸部位が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭である。
請求項3に記載の本発明は、第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮開始時において、第1のナット部材がネジ部位から離脱するよう、前記ボルトにおける第1のナット部材が螺合するネジ部位の上端に、そのネジ部位の谷径以下の外径からなる軸部位が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭である。
請求項4に記載の本発明は、前記杭本体は角パイプで形成され、前記変形容易手段は、その角パイプの角において上下に延びるスリットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基礎杭である。
請求項5に記載の本発明は、前記杭本体は角パイプで形成され、前記変形容易手段は、その角パイプの角において上下に延びるスリット、及びそのパイプ壁をなす平壁板部において横方向に延びるスリット、又は該平壁板部の表面において横方向に延びる溝であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基礎杭である。
請求項6に記載の本発明は、前記パイプ壁変形部材は、自身の上下の中間部位に外側に向けて凸となす屈曲部を有しており、前記ボルトが締付け方向に回転して上下に圧縮されることによって、該屈曲部が前記杭本体のパイプ壁を外側へ押して広げるように変形する構成とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基礎杭である。
本発明の基礎杭においては、上記した構成を有することから、これを地中に打ち込むのは、従来のパイプ製の単純杭と同様に簡易に行うことができる。そして、その打ち込み後は、杭本体の上端(開口)から、ボルトの頭部(頭部に相当するものを含む)に嵌合する嵌合部を有する回螺工具(例えば、軸(柄)の長いボックスレンチ)を挿入して、それを前記ボルトの頭部に嵌合させ、汎用的な工具である電動のレンチ(例えば、電動インパクトレンチ)等により、同工具をボルトの締付け方向に回転させる。こうすることで、第1のナット部材が引き上げられることで上記した第1段階の変形が得られる。そして、その回転を続けることにより、その後、第2のナット部材が引き上げられ、上記した第2段階の変形が得られる。このように本発明の基礎杭によれば、この各段階の変形過程を経ることで、前記パイプ壁を外側へ、簡易かつ効率的に押し広げることができる。このように、本発明の基礎杭によれば、これを地盤中に打ち込み、その後、土圧に抗して、地盤中で上記した変形(膨らみ変形)をさせることにより、その変形分、耐沈降性及び耐引抜性に優れた基礎杭となるものであるが、その変形を簡易、かつ効率的に得ることができる。これにより、本発明によれば、簡易に、耐沈降性や耐引抜性にも優れる支持が得られる基礎杭となすことができる。
なお、本発明に係る基礎杭においては、打ち込まれた基礎杭の外周面における土圧が比較的高い場合や、地盤が比較的高強度であるようなときは、第1段階の変形のみを得るようにしてもよい。一方、軟弱地盤では第2段階の変形を得ることとし、さらに、その軟弱性に応じてその第2段階の変形量を増大することもできる。このように、本発明に係る基礎杭によれば、土圧や地盤の軟弱性に応じた適切な変形を得ることができることから、その地盤に応じた、耐沈降性及び耐引抜性に優れた基礎杭となすことができる。
前記ボルトにおけるネジ部は、請求項2に記載の本発明のように形成しておくとよい。理由は次のようである。前記ボルトが例えば全ネジのもの(ネジが軸部の全長にあるボルト)である場合、第1段階の変形であるパイプ壁の外方への変形が得られた後、ボルトの頭部と第2のナット部材とで、上下のボルト挿通部材相互間を圧縮する際には、上のボルト挿通部材と第1のナット部材との間で前記パイプ壁変形部材の変形も行われるため、ボルトの締付け力が、前記パイプ壁変形部材の変形にも使われる。このため、その締付け力が大きいものとなる。しかし、請求項2に記載の本発明のように、第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮過程において、第1のナット部材がネジ部位から離脱するようにしておけば、その離脱後は、ボルトの締付け力が、前記パイプ壁変形部材の変形に使われることはない。このため、その離脱後の締付け力は、杭本体をなすパイプ壁の変形にのみ使用されるから、離脱がない場合に比べると、第2段階の変形が容易となる。なお、その離脱は、第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮開始時となるようにしておいてもよい。
本発明におけるパイプ状の杭本体に設けられる前記変形容易手段は、その変形を容易とし得る手段、すなわち、そのパイプ壁の強度を低下させ得る手段であれば良く、したがって、変形予定箇所であるパイプ壁の適所に、スリット(細長い開口を有する貫通穴)や、複数の円形の穴などの貫通孔を設けたり、溝を設ける等して薄肉部を設けておき、応力集中を利用してその変形を容易としておくとよい。そして、それらの配置や形状は、パイプの横断面形状等により、適宜に設定すればよく、特に限定されるものではない。
ただし、本発明におけるパイプ状の杭本体は、請求項4に記載の本発明のように、角パイプ(例えば、横断面略正方形(等辺)の四角パイプ。以下、単に角パイプともいう)で形成するのがよく、そして、その場合の前記変形容易手段としては、その角パイプの角において上下に延びるスリットを設けておくのが好ましい。ただし、パイプ壁の外側への押し広げをより容易とするためには、請求項5に記載の本発明のように、角パイプの角において上下に延びるスリットに加えて、そのパイプ壁をなす平壁板部において横方向に延びるスリット、又は該平壁板部の表面において横方向に延びる溝を設けておくのがよい。変形容易性は、角パイプの材質や長さ、肉厚、さらには、前記パイプ壁変形部材の構成や配置状態にも依存するため、それらに応じて、スリットや溝の幅、長さ、さらには、それらを設ける位置を設定すればよい。
また、本発明における前記パイプ壁変形部材は、上記したように、前記ボルトを締付け方向に回転させることによって、引き上げられる第1のナット部材と前記上のボルト挿通部材との間で、そのパイプ壁変形部材を上下に圧縮して変形することによって、前記杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げる第1段階の変形が得られるものであればよい。したがって、例えば、平鋼のような帯状板材(又は各棒材)を上下に、パイプ壁(例えば角パイプであれば、その角に挟まれる各平壁板部)に対面するように設けておき、上記圧縮力によって、そのパイプ壁の内面に向けて凸となすように屈曲変形するように、その帯状板材に予備的な変形を付与しておくか、その変形開始を容易としておくとよい。
この場合、請求項6に記載の本発明のように、前記パイプ壁変形部材は、自身の上下の中間部位に外側に向けて凸となす屈曲部を有しており、前記ボルトが締付け方向に回転して上下に圧縮されることによって、該屈曲部が前記杭本体のパイプ壁を外側へ押して広げるように変形する構成のもの、例えば、「く」の字形の屈曲部を有するものとするのがよい。このようにしておけば、比較的小さい圧縮力で、これを座屈させるように、容易に変形させることができ、したがって、第1段階の変形が容易に得られるためである。
なお、パイプ状の杭本体が角パイプ(横断面が正方形)であるときは、その4つの平壁板部のそれぞれに、パイプ壁変形部材が対面するように設けるのがよい。したがって、このような場合、各パイプ壁変形部材は、杭本体をなす角パイプにならうように、横断面において、その中に納まる角パイプで形成してもよい。そして、その場合には、その角パイプのうち、少なくともその上下の一方の端を残して、その角パイプの角において上下に延びるスリットが形成されたものからなるものとし、そのスリット相互間における該角パイプ自身の平板壁部自身の上下の中間部位に外側に向けて凸となす前記屈曲部を有しており、前記ボルトが締付け方向に回転して上下に圧縮されることによって、該屈曲部が前記杭本体のパイプ壁を外側へ押して広げるように変形する構成のものとしておくとよい。
なお、いずれのパイプ壁変形部材とも、少なくとも、上下の一端において溶接等により、上のボルト挿通部材又は第1のナット部材に直接、又は、介在された別部材に固定しておくと良い。このようにしておけば、前記パイプ壁変形部材自体の杭本体内での安定が図られるためである。ただし、この溶接ないし固定は、第1段階の変形において容易に破断するように、仮付け的なものとしておくのが好ましい。本発明においては、杭本体は通常、金属製のパイプであり、代表例としては横断面が等辺の薄肉の角パイプとされ、鉄製(構造用圧延鋼材)のものとするのがコスト面で好ましいといえるが、アルミニウム又はアルミニウム合金製としてもよいなど、その材質は適宜に選択すればよい。なお、前記パイプ壁変形部材は、下の部材の上端と上の部材の下端とで、回り対偶で連結され、その連結部を外側に向けて凸となすようにして配置され、前記ボルトが締付け方向に回転して上下に圧縮されることによって、該連結部が前記杭本体のパイプ壁を外側へ押して広げるように変形するよう、屈曲部をピン止め等による回り対偶によって連結してなるものとし、これをその連結部で「く」の字形にしておいてもよい。
本発明の基礎杭を具体化した実施形態例1の縦半断面図、及びその要部における各横断面図。 Aは、図1の基礎杭を上から見た図、Bは、図1のS5−S5線断面図。 図1の基礎杭をなす杭本体(パイプ)、及びスリットを説明する縦外観図、及び、その各横断面図。 図1の基礎杭を地盤中に打ち込んだ後、ボルトを回転して第1段階の変形をさせたときを説明する縦断面図。 図4の第1段階の変形をさせた後、第2段階の変形をさせたときを説明する縦断面図であって、Aは、第2段階の変形直後の図であり、Bは、第1のナット部材がネジ部の上端から離脱ししたときの図。 図1の基礎杭の組立て工程のうち、要部の組立工程の説明図。
本発明に係る基礎杭を具体化した実施の形態例1について、図1〜図5を参照しながら説明する。本例の基礎杭100をなすパイプ状の杭本体101は、横断面等辺(正方形)の角パイプから、次のように形成されている。すなわち、杭本体101は、例えば、60mm角の鋼製(軽量型鋼製)の角パイプから形成され、下端(先端)に尖り部を有する下方パイプ部11と、その上に接合された本発明の要部をなす中間パイプ部10、そして、その上に接合された上方パイプ部15とからなり、それぞれ、突き合わされて溶接されており、外観全体は、下端の尖り部を除いて、1本のストレートの角パイプの外観を呈している。なお、図中、黒塗り三角は溶接箇所を示している。また、上方パイプ部15には、この基礎杭100が支持する架台等の取付け手段として、取付け穴16が設けられ、又は図示はしないフランジが溶接されるが、図1における上方パイプ部15の長さは、図を簡略にするため、短く図示している。
上記杭本体101のうち、中間パイプ部10は、所定の長さ(上下長)L1を有しており、その上端及び下端の各近傍部位における内側には、そのパイプ内(横断面)を閉塞するように、四角板材(4つの角に面取りを付与した正方形板材)からなるボルト挿通部材41、45が、溶接で固定されている。このボルト挿通部材41、45の略中心(パイプの略中心)には、ボルト50を隙間嵌めで(隙間を保持して)通すことのできるボルト挿通孔(円形穴)41a,45aが上下に貫通して設けられている。
一方、この中間パイプ部10は、本例では、そのパイプ壁17自体を内側から外側へ押し広げることによる変形を容易とするための変形容易手段として、中間パイプ部10の上下の端部を除き、上下のボルト挿通部材41,45相互間において、その4つの角の各角において上下に延びるスリット(パイプ壁17を貫通する縦長の切欠き)21が、例えば、レーザ加工(切断)で設けられている(図1、図2、図3参照)。このスリット(縦スリット)21は、上下のボルト挿通部材41,45相互間の全長(上下全域)L1近くにわたって形成されている。この4つの縦長の縦スリット21の形成により、パイプ壁17は、パイプの角相互間において、上下に延びる4つの平壁板部18をなしている。すなわち、パイプ壁17は、上下のボルト挿通部材41,45相互間においては、角を介して分割されており、上下の各ボルト挿通部材41,45寄り部位においては繋がっているが、この繋がり部位を除くと、それぞれ、同寸、同形の縦長矩形の板部(平壁板部18)をなしている。これにより、この中間パイプ部10を構成する、4つの各平壁板部18は、内側から外側への押し広げ変形の容易化が図られている。また、本例では、4つの平壁板部18とも、角に設けられた上下に延びるスリット21のうち、その上下(上下の各ボルト挿通部材41,45寄り部位)の端と、中間の各位置に、横方向に切りこまれる形で横方向に延びるスリット(横スリット)23が形成されている(図1、図2、図3参照)。これにより、各平壁板部18の幅は、この横スリット23に対応する位置で狭くされており、その低強度化が図られている。
また、各平壁板部18とも、その上下方向のうち、前記した横方向に切りこまれた横スリット23の位置、すなわち、上下の各ボルト挿通部材41,45寄り部位と、上下の中間の各位置において、その幅方向の中間部位に、横方向に延びるスリット(中間横スリット25)が設けられている(図1、図2、図3参照)。これにより、この中間パイプ部10における4つの平壁板部18が、それぞれ上下の中間部位において内側から外側に押されて、外側に押し広げられるように変形(塑性変形)する際には、上下の各ボルト挿通部材41,45寄り部位において横方に延びるように設けられた横スリット23を起点として、上下の中間において横方に延びる中間横スリット25、又はその近傍が外方に凸となすように屈曲する形で変形するようにされている。すなわち、本例では、このような各スリット21,23,25を設けたことで、それに対応する箇所の局所的な低強度化が図られており、このスリットを変形容易手段として、各平壁板部18の変形の容易化が図られている。なお、縦スリット21の上下の端又は中間位置に設けるスリット23,25に代えて、貫通させることなく、平壁板部18の外側面の表面において凹設された凹溝として、これを各平壁板部18においてその幅方向(横方向)の全体に延びるように設けてもよい。
一方、上下のボルト挿通部材41,45の各ボルト挿通孔41a,45aには、ボルト50が、上から垂れ下げ状に通されている。このボルトは50は、頭部(例えば六角形の頭部)51を有し、下端(先端)53から上端の頭部51方向に向かう所定範囲に、所定のネジ55が形成されたものである。なお、その頭部51の下面は、上のボルト挿通部材41の上面に、例えば、ワッシャ(図示せず)を介して係止されている。また、ボルト50の下端53は、下のボルト挿通部材45よりも下方に適量突出させられている。他方、杭本体101をなす、中間パイプ部10の内側であって、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間には、上下に圧縮されることによって変形して、この中間パイプ部10のパイプ壁17である、上記した4つの各平壁板部18を外側へ押し広げ可能のパイプ壁変形部材60が、各平壁板部18に対向するように配置されている。
このパイプ壁変形部材60は、本例では、個別の4つの帯状板材(平鋼)からなっている。図1に示したように、基礎杭100として組立てられている状態において、中間パイプ部10の上下の中間部位において、パイプ壁変形部材60のそれぞれが、4つの平壁板部18のそれぞれの内面に対向するように配置されている。ただし、各パイプ壁変形部材60は、帯状板材の厚み方向において「く」の字形に予め曲げられており、その「く」の字の凸となす屈曲部63を、各平壁板部18のそれぞれの内面に向けて当接又は近接するように配置されている。これにより、各パイプ壁変形部材60とも、その上下方向に圧縮力が付与された際に、「く」の字の内角を初期の角度αから小さくして、容易に潰され変形するように形成されている。そして、その潰され変形に従い、凸となす屈曲部63が外方に突出して、パイプ壁17である4つの平壁板部18のそれぞれの内面に押付けられ、この押付け作用により、各平壁板部18は外側(外方)に膨らむように押し広げられる形で塑性変形する設定とされている。
ただし、このパイプ壁変形部材60は、下のボルト挿通部材45の上において、ボルト50のネジ(ネジ部位)55に螺合されてなる第1のナット部材71と、上のボルト挿通部材41との間で、次に述べるようにして圧縮されるように設けられている。なお、パイプ壁変形部材60の上下間の寸法(高さ寸法)は、上下の各ボルト挿通部材41,45の相互間の寸法の約半分に設定されている。また、パイプ壁変形部材60をなす帯状板材の「く」の字形の角(屈曲部63)をなす部位には、横方(幅方向)に延びるスリット又は、その角の外側面において凹溝を横方(その幅方向)に延びるように設けておき、その変形が容易となるようにしておいてもよい。
上記したボルト50のうち、このパイプ壁変形部材60と、下のボルト挿通部材45との間に位置するネジ部位55には、杭本体101をなす中間パイプ部10の内側における回転が規制されるようにして、第1のナット部材71がその内側のメスネジを介して螺合されている。この回転の規制は、第1のナット部材71が中間パイプ部10の内側より1回り小さい略正方形(の板)をなしていることで、ボルト50の回転によって上下方向の移動はできるものの、回転し得ない大きさとされることによっている。なお、第1のナット部材71の上面には、横断面においてその正方形の各辺に平行な辺を有して同心状に隆起する凸部73が設けられており、パイプ壁変形部材60の下端65は、第1のナット部材71の上面と、この凸部73の壁面との隅角にて支持されている。
一方、パイプ壁変形部材60の上端67は、上のボルト挿通部材41の下面に、直接でもよいが、本例では、上のボルト挿通部材41の下面に、ボルト50を隙間嵌め状態で包囲するように配置された、上下寸法調節用のリング(筒部材)81及び、押え部材85を介して、押さえつけられるように支持されている。この押え部材85は、第1のナット部材71と同様の横断面が正方形とされている。また、その下面には、第1のナット部材71の凸部73と同様の凸部87が、同心状に下向きに突出する形で設けられており、パイプ壁変形部材60の上端67は、この押え部材85の下面と、その下面において突出するこの凸部87の壁面との隅角に当接するように配置されている。なお、第1のナット部材71は、各パイプ壁変形部材60が、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間における上下方向の中間に位置するように、ボルト50におけるネジ部位55の位置に螺合されている。このように、本例では、上下の各ボルト挿通部材41,45の挿通孔41a,45aに通されたボルト50のネジ部位55に螺合されている第1のナット部材71と、上のボルト挿通部材41との間で、パイプ壁変形部材60が、押え部材85とリング81を介して当接状態で挟まれるように、第1のナット部材71の螺合位置が設定されている。なお、上のボルト挿通部材41と第1のナット部材71との間に配置されている部材、すなわち、リング、押え部材85、パイプ壁変形部材60相互は、適度の力で、破断して分離するように、程度に、例えば、図示はしないが溶接で簡単に仮固定しておくとよい。
本例では、上記した構成を有することから、この構成状態においてボルト50を締付け方向に回転させたときは、その回転に従い、各パイプ壁変形部材60が、第1のナット部材71と、上のボルト挿通部材41との間で圧縮される。ただし、本例では、この圧縮は、第1のナット部材71と、上のボルト挿通部材41との間で直接ではなく、上記したように、押え部材85及びリング81を介在させていることから、これらを介して圧縮される。なお、本例では、パイプ壁変形部材60が圧縮される開始時において、その「く」の字形の角(屈曲部63)をなす部位は、パイプ壁17をなす、各平壁板部18における上下方向のうちの中間において横方向に切りこまれた中間横スリット25より若干下方に位置して、その各平板壁部の内面に当接し、又は、圧接して、その部位を外方に押すように設定されている。これは、ボルト50を締付け方向に回転させることにより、杭本体101内で、第1のナット部材71とともに、パイプ壁変形部材60が圧縮されながら引き上げられるため、その「く」の字形の角(屈曲部63)が、その圧縮に従い上に適量変位(移動)したときにおいて、各平壁板部18における中間横スリット25の位置となる設定としたものである。これより理解されるが、本例のように、上下寸法調節用のリング(筒部材)81及び押え部材85を介在させたのは、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間の寸法を確保しつつも、パイプ壁変形部材60が圧縮されて引き上げられることに対応して、その引き上げによる平壁板部18における変形箇所を、その上下方向の中間位置に保持するためである。
さて、上記したボルト50のうち、下のボルト挿通部材45の下方に突出させられている下端53又は下端寄りのネジ部位55には、第2のナット部材91がその中央に設けられたメスネジを介して螺合されている。この第2のナット部材91も、杭本体101をなす中間パイプ部10、又は下方パイプ部11の内側において、上下動はできるが、回転ができないように、第1のナット部材71と同様に、その角パイプの内寸より一回り小さい正方形板から形成されている。なお、この第2のナット部材91は、下のボルト挿通部材45の下面より下方に、所定寸法L2の間隔が保持されて、そのボルト50におけるネジ部位55に螺合したものとされている。このように、本例の基礎杭100においては、上記した第1のナット部材71と第2のナット部材91とが、基礎杭100が地中に打ち込まれる前の未使用状態(基礎杭完成品)において、ボルト50の各ネジ部位55に対し、上記した位置関係で螺合されているが、この位置関係は、より詳しくは次のようである。
すなわち、本例の基礎杭100は、その完成品において、ボルト50を、その頭部51において締付け方向に回転させることによって、第1のナット部材71と第2のナット部材91とは、ともに回転することなく、杭本体101の内側において、そのボルト50のネジのピッチ及び回転数に応じて、共に同量(同寸法)、引き上げられる。このとき、この第1のナット部材71と上のボルト挿通部材41との間で、前記パイプ壁変形部材60を上下に圧縮して変形させることによって、前記杭本体101のパイプ壁17をなす4つの平壁板部18を外側へ押し広げる第1段階の変形が得られる(図4参照)。ただし、この第1段階の変形が開始される前においては、本例の基礎杭100の完成品において、第2のナット部材91は、下のボルト挿通部材45の下面より下方に所定寸法L2の間隔が保持されていたため、第1段階の変形開始時には、下のボルト挿通部材45の下面に当接しない。すなわち、第2のナット部材91は、第1段階の変形開始の後、その寸法L2の間隔分、遅れて、下のボルト挿通部材45の下面に当接し、これを引き上げるように、基礎杭100の完成品において、そのボルト50のネジ部位55の位置に螺合されている。
なお、ボルト50のネジ部位55は、その下端53から頭部51に向けて所定寸法設けられているが、本例のボルト50は、その回転による第1のナット部材71による第1段階の変形開始後、第2のナット部材91によって、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間における前記杭本体101を上下に圧縮するその圧縮過程、又はその圧縮開始時において、引き上げられる第1のナット部材71が、ネジ部位55から離脱するよう、ネジ部位55の上端位置(ネジ部位55の上下長)57が設定されており、そのネジ部位55の上端57より上は、そのネジの谷径以下の外径からなる円形の軸部(小径軸部)59が設けられている。
しかして、本例の基礎杭100によれば、外観上は、従来のパイプ製の単純杭と同様、先端を除けばストレート杭である。したがって、本例の基礎杭100は、先端が地面に突き刺さるように保持して上端から打ち込み、所望とする深さまで埋設して、その上端部を地面上に適量突出させるのは、従来のパイプ製の単純杭と同様に簡易な施工法にて行うことができる。そして、その打ち込み後は、上記構成に基づき、杭本体101の上端(開口)から、ボルト50の頭部51に嵌合する嵌合部を有する回螺工具(例えば、軸(上下に延びる柄)の長いボックスレンチ)を挿入して、それを前記ボルト50の頭部51に嵌合させ、例えば、電動のインパクトレンチにより、そのボルト50を締付け方向に回転させる。
この回転によって、第1のナット部材71は、杭本体101をなす中間パイプ部10の内側において、実質的に回転することなく上に引き上げられる。このため、その第1のナット部材71と上のボルト挿通部材41との間で、4つのパイプ壁変形部材60を上下に圧縮して変形することになる。このとき、パイプ壁変形部材60をなす各帯状板材は、予め内角αが付与されてなる「く」の字形に屈曲形成されていることから、その内角αを、図4に示したように、α1として小さくするように容易に圧縮されて変形する。この変形により、その屈曲部63をなす角が、杭本体101をなす中間パイプ部10の4つの平壁板部18の内面における上下の中間部を外側へ押し広げる第1段階の変形(外方への膨らみ変形)が得られる(図4参照)。これにより、この基礎杭100は、一応の耐沈降性、耐引抜性が得られる。なお、この変形は、地中の土圧に抗する形での変形となるが、本例では、パイプ壁変形部材60には「く」の字形の変形が予め付与してある等の変形の容易化が図られている。また、中間パイプ部10の4つの各平壁板部18にも、上記したスリット等の変形容易化手段が付与されているため、このような手段が付与されていない場合に比べると、その分、低トルクで、円滑なボルト50の締め付けができるので、容易な第1段階の変形(外方への膨らみ変形)が得られる。
そして、本例では、この第1段階の変形の進行は、ボルト50を締付け方向に回転する間であって、第2のナット部材91が、下のボルト挿通部材45を引き上げる前まで行われる。一方、第2のナット部材91が、下のボルト挿通部材45を引き上げるようになると、図5−A、Bに示したように、上下のボルト挿通部材41、45の間で、第1段階の変形を受けていた平壁板部18が、さらに外側へ押し広げられて、内角がα1からα2、α3へと小さくなる第2段階の変形が行われる。すなわち、外方に押し広げられていたパイプ壁17をなす中間パイプ部10の4つの各平壁板部18は、第1段階の変形から、さらに外方に向けて突出し、大きく座屈ないし押し潰されるように変形する(図5−A、B参照)。なお、図5−Aからも理解されるが、この変形過程では、パイプ壁変形部材60は、引き上げられる第1のナット部材71によって、さらに上下に圧縮されるが、図5−Aに示したように、その屈曲部63は、各平壁板部18から離れることになり、図5−Bに示したように、第1のナット部材71は、ネジ部位55の上端57より上の小径軸部59に至ることで、そのネジから離脱する。
このように、第2段階の変形は、第1段階の変形により、既に、パイプ壁17をなす平板壁部18が外側に押し広げられており、屈曲状態にある段階で、それを第2のナット部材91による引き上げによって上下に圧縮することによる変形であるから、その変形も容易に行うことができる。かくして、耐沈降性及び耐引抜性がさらに高められた安定した基礎杭100を容易に得ることができる。
このように、本例の基礎杭100は、その打ち込み後の作業は、ボルト締め(ボルト50の回転)だけで済むから、極めて簡易な作業で、それを行うことができる。また、上記もしたように、この基礎杭100においては、打ち込まれた基礎杭100の外周面における土圧が比較的高い場合や、地盤が比較的高強度であるようなときは、第1段階の変形のみを得るようにしてもよい。一方で、軟弱地盤では第2段階の変形を得ることとすればよい。しかも、これらの変形の程度は、ボルト50の回転数により設定できるため、地盤強度に応じた変形とすることができる。このように、本例の基礎杭100によれば、地盤の軟弱性に応じて、ボルト50の締め量を加減することで、土圧や地盤の軟弱性に応じた適切な変形を得ることができるため、当該の地盤に応じた適切な耐沈降性及び耐引抜性に優れた基礎杭100となすことができる。かくして、この基礎杭100の上に、所望とする架台等を組付け、或いは工作物を設置する場合には、その安定した施工を得ることができる。
なお、本例では、ボルト50の回転をし続けることで、第2段階の変形を増大する(図5−A,B参照)が、本例では、上記したように、ボルト50のネジ長が設定されているため、ボルト50の回転が進み、第1のナット部材71がネジ部55の上端57を超えたとき、そのネジから離脱して小径軸部59で自由状態となる(図5−B参照)。したがって、パイプ壁変形部材60の変形は止まるから、それ以後、ボルト50の回転に要する締付けトルクは、第2段階の変形(塑性変形)を増大させるために効率的に用いることができる。
すなわち、本例の基礎杭100は、その構造上、パイプ壁17である4つの平壁板部18の上下長が、上記もしたように、パイプ壁変形部材60の上下長より十分に長い、例えば約2倍とされている。このため、第1のナット部材71と上のボルト挿通部材41との間で、パイプ壁変形部材60を上下に圧縮してそれ自身の所定量の変形が確保され、それによる、杭本体101をなす中間パイプ部10における平壁板部18の外側への押し広げが適量得られた段階で、このパイプ壁変形部材60による平壁板部18の変形作用は終了する。このため、この終了以後は、パイプ壁変形部材60を変形させる必要はない。また、適度の第1段階の変形が得られた後は、第2のナット部材91と、上のボルト挿通部材41との間で、その変形状態にあるパイプ壁17を圧縮することは容易である。逆に、第1のナット部材71がボルト50のネジに螺合している間は、そのナット部材71も上に引き上げられ続けるから、パイプ壁変形部材60を、上記したように塑性変形させる場合には、その変形分、第2のナット部材91によって、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間において、杭本体101を上下に圧縮することの抵抗が大きくなる。これに対し、本例の基礎杭100においては、第2のナット部材91によって、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間における杭本体101を上下に圧縮する、その圧縮開始時、又はその開始後の所定時間経過時において、第1のナット部材71がネジ部位55から離脱するよう、上記したようにボルト50のネジ部55の上端57に軸部(小径軸部59)が設けられている。このため、第1のナット部材71は、そのネジ部位55の上端57より上の小径軸部59に至れば、ネジ部位55から離脱するため、ボルト50の回転が続いても引き上げられない。したがって、それ以降、パイプ壁変形部材60を塑性変形させることはないので、その後のボルト50の回転に用いられるトルクは、上下の各ボルト挿通部材41,45相互間にあり、第1段階の変形を受けている中間パイプ部10における平板壁部18のみを上下に圧縮することにのみに用いることができる。よって、その圧縮変形の効率を高めることができる。
なお、上記例の基礎杭100は、図6−Aに示したように、ボルト50に、その先端から、上のボルト挿通部材41、リング81及び押え部材85を通して、パイプ壁変形部材60を介在させるようにして、第1のナット部材71をねじ込み、これらを適所で、仮溶接してボルト50組立体を組立てておく(図6−A参照)。そして、これを、図6−Bに示した組立前のスリット付きの中間パイプ部10内に配置する。そして、図6−Cに示したように、上のボルト挿通部材41の外周縁において中間パイプ部10内面に溶接すると共に、下のボルト挿通部材45をボルト50の下端53側から中間パイプ部10内の所定位置に配置して、同様に溶接する。その後、第2のナット部材91をボルト50の下端から螺合して、上記したように所定位置に配置する。その後、このように組立てた中間パイプ部10の下端と、上端に、下方パイプ部11と、上方パイプ部15とをも上記したように突き合わせて溶接することで、図1に示した本例の基礎杭100が得られる。
なお、上記した基礎杭においては、上下、又は少なくとも上のボルト挿通部材41,45、押え部材85、さらには第1のナット部材71には、上下に貫通する貫通部を、ボルト挿通孔やネジ穴以外に設けておくとよい。このようにしておけば、基礎杭100の打ち込み後の、上記ボルト50の締付け後であるパイプ壁17の押し広げ変形後に、コンクリートスラリー、又はセメントミルクを、基礎杭100の上端(開口)から内側に流し込み、その内側において、これを固化させることができるので、その分、基礎杭100の高強度化が図られるし、その内部の耐食性も高められる。
上記において、パイプ状の杭本体101は角パイプによる上下、例えば3段の突き合わせ溶接構造としたが、本発明においてはこれに限定されるものではない。また、上記例では、中間パイプ部10において、上記したようにスリットを設けてその変形容易手段としたが、例えば、貫通したスリットではなく、多数の穴や、多数の深い溝を設けておき、パイプ壁変形部材の変形等により、適宜、破断するようにしておいても良い。また、スリットを設ける場合でも、上記したスリットに限定されるものではない。
また、上記例では、パイプ壁変形部材を「く」の字形をなす屈曲部を有するものとしたが、本発明における、このパイプ壁変形部材は、上下に圧縮されることによって変形して、該杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げ可能のものであればよいから、外方に円弧状に膨らみ変形しているものとしておいてもよい。また、上下、2本の棒材を、上下に配置し、上の棒材の下端と、下の棒材の上端とで、ピン止めしておき、相互に、そのピンを介して、一方が他方に対して揺動する構造のものとし、これを、上記例におけるパイプ壁変形部材60のように適宜の内角αで、「く」の字形にして配置しておいてもよい。このものでは、パイプ壁変形部材を塑性変形でなく、その内角αを小さくするように、揺動状にして、初期の形状から変形するものであるから、第1段階の変形をより容易に得ることができる。
また、上記例では、本発明の杭本体として角パイプを用いたが、これは、例えば、所定幅、厚さの平鋼(帯鋼板)を4本、適当長さにして揃え、正方形の空間柱を包囲する形とし、これらを、その上下の端又は端寄り部位における側部で溶接等により固定して、パイプ状(角パイプ状のもの)に構成することで、上記例における中間パイプ部とすることもできる。上記例におけるパイプ壁変形部材もこれと同様にして形成してもよい。なお、パイプ状の杭本体は、通常は、鋼製とされ、その径(太さ)、壁の肉厚、長さ等の仕様は、基礎杭として支持すべき架台等の重量や使用する地盤の軟弱性に応じて適宜に選択すればよい。なお、その径(太さ)、壁の肉厚は、打ち込みに支障がなく、上記ボルト締めにおいて、適度の締付け力で上記した変形(塑性変形)が得られるものから選択すればよく、その材質が限定されるものではない。
17 杭本体をなすパイプ壁
18 パイプ壁をなす平壁板部
21,23,25 スリット(変形容易手段)
41、45 ボルト挿通部材
41a、45a ボルト挿通孔
50 ボルト
51 ボルトの頭部
53 ボルトの下端
55 ボルトのネジ部位
59 ネジ部位の谷径以下の外径からなる軸部位
60 パイプ壁変形部材
63 パイプ壁変形部材の屈曲部
71 第1のナット部材
91 第2のナット部材
100 基礎杭
101 杭本体

Claims (6)

  1. パイプ状の杭本体を含む基礎杭であって、
    パイプ状の杭本体には、その内側に、ボルトを隙間嵌めで通すボルト挿通孔を有するボルト挿通部材が上下に間隔をおいて固定されており、この上下のボルト挿通部材相互間における杭本体をなすパイプ壁には、そのパイプ壁自体を内側から外側へ押し広げる変形を容易とするための変形容易手段が設けられており、
    この上下のボルト挿通部材の各ボルト挿通孔に、頭部を有するボルトが上から通され、そのボルトの頭部が、上のボルト挿通部材のボルト挿通孔の上縁に直接又は間接に係止されると共に、このボルトの下端が下のボルト挿通部材よりも下方に突出させられており、
    該杭本体の内側であって前記上下のボルト挿通部材相互間には、自身が上下に圧縮されることによって変形し、その変形によって該杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げ可能のパイプ壁変形部材が配置されており、
    前記ボルトのうち、このパイプ壁変形部材と前記下のボルト挿通部材との間に位置するネジ部位には、前記杭本体の内側における回転が規制された第1のナット部材が螺合されており、しかも、前記ボルトのうち、前記下のボルト挿通部材の下方に突出させられている下端又は下端寄りのネジ部位には、該杭本体の内側における回転が規制された第2のナット部材が螺合されており、
    前記ボルトを締付け方向に回転させることによって、引き上げられる第1のナット部材と前記上のボルト挿通部材との間で、前記パイプ壁変形部材を上下に圧縮して変形することによって、前記杭本体のパイプ壁を外側へ押し広げる第1段階の変形が得られると共に、この第1段階の変形開始後に、引き上げられる第2のナット部材と前記上のボルト挿通部材との間で、上下のボルト挿通部材相互間を上下に圧縮して、前記杭本体のパイプ壁の外側への変形を増大する第2段階の変形が得られるように、
    第1のナット部材と第2のナット部材とが、前記ボルトの回転前において各ネジ部位に螺合されていることを特徴とする基礎杭。
  2. 第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮過程において、第1のナット部材がネジ部位から離脱するよう、前記ボルトにおける第1のナット部材が螺合するネジ部位の上端に、そのネジ部位の谷径以下の外径からなる軸部位が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭。
  3. 第2のナット部材によって、上下のボルト挿通部材相互間における前記杭本体を上下に圧縮するその圧縮開始時において、第1のナット部材がネジ部位から離脱するよう、前記ボルトにおける第1のナット部材が螺合するネジ部位の上端に、そのネジ部位の谷径以下の外径からなる軸部位が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基礎杭。
  4. 前記杭本体は角パイプで形成され、前記変形容易手段は、その角パイプの角において上下に延びるスリットであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基礎杭。
  5. 前記杭本体は角パイプで形成され、前記変形容易手段は、その角パイプの角において上下に延びるスリット、及びそのパイプ壁をなす平壁板部において横方向に延びるスリット、又は該平壁板部の表面において横方向に延びる溝であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基礎杭。
  6. 前記パイプ壁変形部材は、自身の上下の中間部位に外側に向けて凸となす屈曲部を有しており、前記ボルトが締付け方向に回転して上下に圧縮されることによって、該屈曲部が前記杭本体のパイプ壁を外側へ押して広げるように変形する構成とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基礎杭。
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