JP5635903B2 - X線検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、肉、魚、加工食品、医薬品等の被検査物(被検査物)中に混入した異物を検出するX線検査装置に関し、特に、X線発生器から照射されて被検査物を透過したX線をX線検出器により検出して異物を検出するX線検査装置に関するものである。
例えば食品などの被検査物への異物の混入の有無を検出するために、従来からX線検査装置が用いられている。この種の従来のX線検査装置では、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出して異物の有無を検査している。また、この種の従来のX線検査装置においては、被検査物の検査を始めるにあたって、試験用異物を埋め込んだテストピースを被検査物に重ねて搬送させ、動作確認、すなわち、異物の検出機能が正常か否か、および検出可能な異物の種類や大きさを確認するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のX線検査装置においては、複数の画像処理フィルタを組み合わせてなる画像処理アルゴリズムが予め複数記憶されており、被検査物から異物を高感度で検出するために、X線の透過量をデジタル化し、複数の画像処理アルゴリズムの中から最適な画像処理アルゴリズムを選択して用いることで、異物を強調する画像処理を施して異物の検出を行っている。この画像処理アルゴリズムついては組み合わせる画像処理フィルタによって種々のアルゴリズムがあり、被検査物や異物の原子番号、密度、厚みに応じて、被検査物の影響を良好に低減して異物だけを強調できる最適な画像処理アルゴリズムを複数の画像処理アルゴリズムの中からユーザが設定するようになっている。
特開2009−31149号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、ユーザは、検査対象被検査物に対する各画像処理アルゴリズムの異物検出能力が分からないため、画像処理アルゴリズムの選択は、ユーザの経験や勘に左右されることが多く、検査対象被検査物に最適な画像処理アルゴリズムを選択することは困難であった。
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができるX線検査装置を提供することを目的とする。
本発明に係るX線検査装置は、被検査物にX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像に対して、複数の画像処理フィルタを組み合わせてなる画像処理アルゴリズムを適用して、前記被検査物中の異物を検出するX線検査装置であって、前記画像処理アルゴリズムを予め複数記憶する画像処理アルゴリズム記憶手段と、前記被検査物中から検出する異物について、主に検出すべき異物の成分を含む異物検出能力を表す異物検出特性を選択する異物検出特性選択手段と、前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを前記画像処理アルゴリズム記憶手段から抽出する画像処理アルゴリズム抽出手段と、前記画像処理アルゴリズム抽出手段により抽出された画像処理アルゴリズムを所定形式で表示する画像処理アルゴリズム表示手段と、前記画像処理アルゴリズム表示手段に表示された画像処理アルゴリズムの中から、所望の画像処理アルゴリズムの選択操作を行う画像処理アルゴリズム選択操作手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、ユーザが、全ての異物が平均的に取れる画像処理アルゴリズム、樹脂系異物検出が得意な画像処理アルゴリズム、等の異物検出特性を異物検出特性選択手段で選択操作すると、その異物検出特性に合った画像処理アルゴリズムが所定形式で画像処理アルゴリズム表示手段に表示されるので、ユーザは、表示された画像処理アルゴリズムを対象に画像処理アルゴリズム選択操作手段で選択操作をするだけでよくなるため、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記被検査物の形状と前記画像処理アルゴリズムとの対応関係を予め記憶する対応関係記憶手段と、前記被検査物にX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像から前記被検査物の形状を算出する形状算出手段と、を備え、前記画像処理アルゴリズム抽出手段が、前記形状算出手段により算出された被検査物と形状が近似する被検査物に対して前記対応関係記憶手段により関連付けられた画像処理アルゴリズムを対象として、前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを前記画像処理アルゴリズム記憶手段から抽出することを特徴とする。
この構成により、ユーザが、全ての異物が平均的に取れる画像処理アルゴリズム、樹脂系異物検出が得意な画像処理アルゴリズム、等の異物検出特性を異物検出特性選択手段で選択操作すると、検査対象の被検査物Wの形状に適するとともに、ユーザが選択した異物検出特性に合った画像処理アルゴリズムが所定形式で表示されるので、ユーザは、表示された画像処理アルゴリズムを対象に選択操作をするだけでよくなるため、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記画像処理アルゴリズム表示手段が、前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性との近似度の高い順に、前記画像処理アルゴリズムをランキング形式で表示することを特徴とする。
この構成により、画像処理アルゴリズム表示手段に画像処理アルゴリズムがランキング形式で表示されるので、最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易、かつ、柔軟に行うことができる。
また、本発明に係るX線検査装置は、前記画像処理アルゴリズム記憶手段が、前記画像処理アルゴリズム、該画像処理アルゴリズムの異物検出能力値、および該画像処理アルゴリズムにより前記被検査物中の異物を検出した場合の見本画像を予め複数記憶し、前記画像処理アルゴリズム表示手段が、前記画像処理アルゴリズムの名称、前記異物検出能力値、および前記見本画像を表示することを特徴とする。
この構成により、画像処理アルゴリズム表示手段に画像処理アルゴリズムの名称、前記異物検出能力値、および検出具合が表示されるので、最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易、かつ、柔軟に行うことができる。
本発明は、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができるX線検査装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の側面および内部構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る目印付きテストピースを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の表示部の表示例を示す図である。 (a)、(b)は、表示部に表示する検出具合を示す図である。 表示部に表示する異物検出能力値および検出具合を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の目印−異物間の相対位置情報の記憶処理を示すフロー図である。 (a)、(b)は、目印−異物間の相対位置情報の記憶処理における目印付きテストピースの処理過程を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るX線検査装置の設定処理を示すフロー図である。 (a)〜(e)は、設定処理における被検査物および目印付きテストピースの処理過程を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るX線検査装置の学習フェーズ1の処理を示すフロー図である。 本発明の第2の実施の形態に係るX線検査装置の学習フェーズ2の処理を示すフロー図である。 本発明の第2の実施の形態に係るX線検査装置の運用動作の処理を示すフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず構成について説明する。
図1に示すように、X線検査装置1は、搬送部2と検出部3とを筐体4の内部に備え、表示部5を筐体4の前面上部に備えている。
搬送部2は、被検査物である被検査物Wを所定間隔をおいて順次搬送するものである。この搬送部2は、例えば筐体4内部で水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。搬送部2は、図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを搬出口8側(図中X方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させるようになっている。筐体4内部においてベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は搬送路21を形成している。
検出部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過するX線を検出するものであり、搬送路21の途中の検査空間22の上方に所定高さ離隔して配置されたX線発生器9と、搬送部2内にX線発生器9と対向して配置されたX線検出器10を備えている。
X線発生源としてのX線発生器9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12を図示しない絶縁油に浸漬した構成を有しており、X線管12の陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成している。X線管12は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X方向)となるよう配置されている。X線管12により生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X方向)を横切るように照射されるようになっている。
X線検出器10は、搬送される被検査物Wの搬送方向(X方向)の平面上で搬送方向と直交するY方向に複数の検出素子が一直線上に配置されたものである。具体的には、X線検出器10は、ライン状に整列して配設された複数の検出素子としてのフォトダイオード(不図示)と、フォトダイオード上に設けられたシンチレータ(不図示)とからなるラインセンサ(不図示)とを含んで構成される。また、X線検出器10は、図2に示すように、A/D変換部41を備えており、このA/D変換部41によりフォトダイオードからの輝度値データをデジタルデータに変換し、濃度データであるX線画像として出力するようになっている。X線検出器10は、被検査物Wの搬送方向(X方向)の平面上で直交する方向(Y方向)に直線状に延在するラインセンサによって被検査物Wを透過するX線を検出し、検出したX線の量に応じた濃淡画像を出力するようになっている。
図2に示すように、搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏えいすることを防止するものである。遮蔽カーテン16は、本実施の形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので漏えい基準量を超えることなくX線の漏えいを防止できるようになっている。搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
X線検査装置1は、X線検出器10からのX線画像が入力されるとともに被検査物W中の異物の有無を検査する制御回路40と、後述する設定モードにおける設定動作に必要な情報の表示出力、および制御回路40による検査結果等を表示出力する表示部5と、制御回路40への各種パラメータ等の設定入力を行う設定操作部45とを備えている。
表示部5は、平面ディスプレイ等から構成されており、ユーザに対する表示出力を行うようになっている。この表示部5は、被検査物Wの良否判定結果を「OK」や「NG」等の文字または記号で表示するとともに、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を、既定設定として、または、設定操作部45からの所定のキー操作による要求に基づいて表示するようになっている。
設定操作部45は、ユーザが操作する複数のキーやスイッチ等で構成され、制御回路40への各種パラメータ等の設定入力や動作モードの選択を行うものである。なお、表示部5と設定操作部45とを、タッチパネル式表示器として一体構成してもよい。
制御回路40は、X線検出器10から受け取ったX線画像を記憶するX線画像記憶部42と、X線画像記憶部42から読み出したデータに対して合成や各種画像処理アルゴリズム等を適用した画像処理を施す画像処理部43と、画像処理されたデータに対して被検査物Wと異物との判別を行って異物の混入の有無を判定する判定部44と、を備えている。ここで、画像処理アルゴリズムとは、複数の画像処理フィルタを組み合わせてなるものである。
また、制御回路40は、CPUおよび制御プログラムの記憶領域または作業領域としてのメモリなどを備えて構成された制御部46と、この制御部46によって参照または抽出される情報が予め記憶された情報蓄積部47と、を備えている。
制御回路40が実行する動作モードとしては、通常の動作モードである運用モードの他に、設定モードがある。運用モードとは、検出データのX線画像に対して画像処理アルゴリズムを適用して異物の有無を検査する動作モードである。設定モードとは、運用モードの実行に先立って、被検査物Wとともに後述する目印付きテストピース70を搬送して、目印付きテストピース70の試験用異物を最も良好に検出できる最適な画像処理フィルタを設定する動作モードである。ここで、試験用異物を最も良好に検出できるとは、例えば、複数の試験用異物のうち最も小さい試験用異物を安定して検出できることである。
ここで、第1の実施の形態のX線検査装置1の設定モードで用いられる目印付きテストピース70について説明する。図3に示すように、目印付きテストピース70は、樹脂等のX線を透過し易い材料からなる矩形形状の薄いシート状の基材の上に複数のテストピース71〜76と複数の目印81〜84を設けたものである。
テストピース71〜76は、樹脂等のX線を透過し易い材料からなる薄いシート状の基材に、大きさの異なる複数(例えば6個)の試験用異物を組み込んだものである。図3に示す例では、例えば、テストピース71には、右側から順番に、φ7.0mm、φ6.0mm、φ5.0mm、φ4.0mm、φ3.0mm、φ2.0mmの6つのアルミニウム球が、大きさの異なる複数の試験用異物として所定間隔おきに一列に並べて基材に一体に組み込まれている。
目印81〜84は、それぞれ面積が異なる矩形形状となっており、基材の4辺の中央部にそれぞれ設けられている。目印81〜84は、X線画像において被検査物Wに対応する被検査物−画像と目印81〜84に対応する目印画像との濃度が大きく異なってX線検査装置1が被検査物−画像と目印画像とを明確に区別できるように、鉛、タングステン、鉄、ステンレス等のようにX線を透過し難い材質のものから構成されるとともに、十分な大きさ(幅、面積)を有している。目印81〜84の面積がそれぞれ異なるようにしているのは、後述するステップS12で目印−異物間の相対距離を求める際に、目印付きテストピース70の上下左右および表裏を画像認識により正しく区別するため、すなわち、X軸(横軸)方向またはY軸(縦軸)方向の何れの軸方向であるか、および、X軸上またはY軸上の正負の何れの方向であるか、を認識できるようにするためである。
図4に示すように、表示部5には、設定モードにおいて、ユーザが画像処理アルゴリズムの選択をする際に、画像処理アルゴリズムの異物検出特性が選択肢として複数表示されるとともに、ユーザが選択した異物検出特性に近似または一致する特性の画像処理アルゴリズムが選択肢として複数ランキング表示される。異物検出特性とは、主に検出すべき異物の成分を含む異物検出能力を表すものであり、例えば、試験用異物が軽金属(比重の小さいアルミ等)、それ以外の重金属(鉄、ステンレス等)、樹脂(ナイロン等)等の異なる成分で形状が球、円柱、角柱等に対してどの程度のサイズまで検出可能であるかを表すものである。
具体的には、図4に示すように、表示部5に、異物検出特性として、「1.全ての異物が平均的に取れる」、「2.樹脂系異物検出が得意」、等の選択肢が表示される。
そして、これらの項目から例えば、具体的には、図4に示すように、表示部5に、異物検出特性として、「1.全ての異物が平均的に取れる」を選択すると、軽金属、重金属、樹脂等の各形状に対して平均的に検出するという異物検出特性に対応する画像処理アルゴリズムの名称とその検出具合とが、異物検出特性との近似度の高い順にランキング形式で、1位:アルゴリズムA、2位:アルゴリズムB、3位:アルゴリズムC、等の態様で表示される。ここで、近似度は、総合能力値(後述する異物検出能力値の総合値)が高いほど近似度が高いものとなり、例えば、全ての異物が平均的に取れるアルゴリズムの総合能力値は、軽金属、重金属、樹脂等の各形状に対しての異物検出能力値(安定感度)の合計として求めることができ、樹脂系異物検出が得意なアルゴリズムの総合能力値は、樹脂等の各形状に対しての異物検出能力値(安定感度)の合計として求めることができる。
画像処理アルゴリズムの検出具合は、検査対象の被検査物Wから検出対象の異物を検出する検出能力を示すものであり、試験用異物がどのように検出されるかの見本画像の態様で表される。この検出具合は、例えば、図5(a)に示すように、大きさの異なる6つのアルミニウム球からなる試験用異物のうち、画像処理アルゴリズムAを用いた場合にφ7.0mmからφ3.0mmまでの5つのアルミニウム球が検出されることを示す態様、または、図5(b)に示すように、画像処理アルゴリズムBを用いた場合にφ7.0mmからφ4.0mmまでの4つのアルミニウム球が検出されることを示す態様で表される。また、検出具合の画像の近傍には、異物検出能力値としての安定感度および最高感度の数値が表示される。安定感度とは、抜けが無く、100%検出可能な最小の異物の直径(例えば、4.0mmφ)の値であり、最高感度とは、100%未満で検出可能な最小の異物の直径の値である。
図6に示すように、表示部5には、検出具合とともに、異物検出能力値を表示すると好適である。異物検出能力値とは、検査対象の被検査物Wから検出対象の異物を検出する検出能力として、安定感度値および最高感度値の2つの値をグラフ表示用に変換したものをレーダーチャートの形式で表したものであり、値が高いほど異物の検出能力が高くなっている。ここでは、例えば、テストピース71の試験用異物の最小サイズを検出したときに最大の値(試験用異物の数)となるように異物検出能力値を変換している。
X線画像記憶部42には、被検査物WのX線画像(濃淡画像)が被検査物W毎に記憶されるようになっている。X線画像記憶部42には、被検査物Wの検査を行う毎に、X線検出器10の1ライン(Y方向)あたりの例えば640個のデータと、少なくとも搬送される被検査物Wの搬送方向の長さに対応した所定ライン数(480ライン)とからなるX線画像が記憶される。
情報蓄積部47は、目印81〜84に対応する所定の画像パターンを目印情報として予め記憶するようになっている。そして、制御部46は、X線画像記憶部42に記憶されたX線画像と、情報蓄積部47に記憶された目印情報とに基づいて、X線画像から目印情報に対応する目印画像領域を抽出するようになっている。例えば、制御部46は、情報蓄積部47に記憶された目印情報を参照し、記憶された目印情報の形状に一致する部分を目印画像領域として抽出する。なお、制御部46は、形状の一致に限定されるものではなく、特徴抽出やパターン認識の手法により目印画像領域を抽出することができる。目印画像領域は、設定モードにおいて、被検査物Wとともに搬送部2により搬送されて、被検査物WとともにX線画像が取得される目印付きテストピース70に設けられる目印81〜84に対応するものである。
情報蓄積部47は、試験用異物の配列に基づいて、目印情報に対する異物検出確認位置の相対位置を表す相対位置情報を予め記憶するようになっており、相対位置情報は、図10(b)に示すように、目印81〜84に対する各試験用異物の相対位置、すなわち目印81〜84と試験用異物との位置関係を表すものである。そして、制御部46は、情報蓄積部47が記憶する相対位置情報と、既に抽出した目印画像領域とに基づいて、異物検出確認位置を算出するようになっている。このため、制御部46が、試験用異物が存在すべき異物検出確認位置においてのみ、試験用異物の検出を行うことになり、被検査物Wの材質、厚み等に影響されずに、最適な画像処理フィルタを設定できるようになっている。
次に動作を説明する。なお、以下の処理は、設定操作部45から「設定モード」が選択されているときの動作を説明するものであり、制御部46のメモリに記憶されたプログラムがCPUにより実行されることにより行われる。
[目印−異物間の相対位置情報の記憶処理]
以下、後述する設定処理に先立って行われる目印−異物間の相対位置情報の記憶処理について説明する。この処理は、目印付きテストピース70における目印81〜84と試験用異物との位置関係をX線検査装置1に予め学習させるためのものである。
図7に示すように、目印−異物間の相対位置情報の記憶処理においては、まず、目印付きテストピース70に対して、搬送、X線の照射および透過X線の検出を行い、取得したX線透過画像(図8(a)参照)を入力する(ステップS11)。
ついで、目印81〜84と各テストピース71〜76内の各異物(試験用異物)との相対位置(図8(b)参照)を算出する(ステップS12)。ステップS12において、目印81〜84と各テストピース71〜76内の各異物(試験用異物)との相対位置は、図8(b)参照に示すように、目印81〜84からの相対距離X、Yとして算出される。
ついで、目印−異物間の相対位置、すなわちステップS12で算出した相対距離X、Yを記憶する(ステップS13)。
[設定処理]
設定処理について説明する。図9に示すように、まず、目印付きテストピース70に検査対象の被検査物Wを載置した状態(図10(a)参照)で、X線を照射および透過X線を検出し、検出されたX線透過画像(図10(b)参照)を入力する(ステップS21)。
ついで、目印画像領域を抽出する(ステップS22)。このステップでは、目印81〜84の領域が図10(c)に示す態様で抽出される。
ついで、図7の目印−異物間の相対位置情報の記憶処理のステップS11〜ステップS13で求めた目印−異物間の相対位置情報(相対距離X、Y)と図10(c)の目印位置とから、異物(試験用異物)の位置を推定し、目標画像(異物のあるべき位置を示した画像)を作成する(ステップS23)。このステップで作成した目標画像は、図10(d)に示すように、目印付きテストピース70に設けた各テストピース71〜76内の異物(試験用異物)が存在すべき位置が表されている。
ついで、ステップS21で入力された図10(b)の画像に対して、まず、複数の画像処理アルゴリズムの中から1つの画像処理アルゴリズムを適用する(ステップS24)。
ついで、試験用異物の異物箇所を目標画像から把握し、その異物箇所において試験用異物が検出されているか調べる(ステップS25)。このステップでは、図10(d)の目標画像に表される異物が存在すべき位置において、実際に試験用異物が検出されているかを調べる。
ついで、異物検出能力値(最高感度、安定感度)を算出し(ステップS26)、算出した情報を記憶する(ステップS27)。
ついで、全ての画像処理アルゴリズムについて探索が終了したか否かを判別し(ステップS28)、この判別がNOなら他の未探索の画像処理アルゴリズムの何れかに更新して(ステップS29)、ステップS24に戻り、ステップS28の判別がYESならステップS30に移行する。
ステップS30では、各画像処理アルゴリズムの異物検出能力値を基に、ユーザが選択した(ユーザが知りたい)項目(異物検出特性)に合った表示を行う(ステップS30)。すなわち、図4に示すように、表示部5に、画像処理アルゴリズムの異物検出特性が選択肢として複数表示されるとともに、ユーザが選択した異物検出特性に近似または一致する異物検出特性の画像処理アルゴリズムが選択肢として異物検出能力値とともに複数ランキング表示される。
ついで、ユーザによる選択操作を待機して、ユーザが運用したい所望の画像処理アルゴリズムを選択すると(ステップS31)、選択された画像処理アルゴリズムをX線検査装置パラメータに反映する(ステップS32)。
目印付きテストピース70に検査対象の被検査物Wを載置した状態(図10(a)参照)で、X線を照射および透過X線を検出し、X線検査装置パラメータに反映された画像処理アルゴリズムを適用すると、図10(e)に示す態様でX線透過画像が取得される。
以上のように、本実施の形態に係るX線検査装置1は、画像処理アルゴリズムを予め複数記憶する情報蓄積部47と、被検査物W中から検出する異物について、主に検出すべき異物の成分を含む異物検出能力を表す異物検出特性を選択する設定操作部45と、設定操作部45で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを情報蓄積部47から抽出する制御部46と、制御部46により抽出された画像処理アルゴリズムを所定形式で表示する表示部5と、を備え、表示部5に表示された画像処理アルゴリズムの中から、所望の画像処理アルゴリズムの選択操作を設定操作部45で行うことを特徴とする。
この構成により、ユーザが、全ての異物が平均的に取れる画像処理アルゴリズム、樹脂系異物検出が得意な画像処理アルゴリズム、等の異物検出特性を選択操作すると、その異物検出特性に合った画像処理アルゴリズムが所定形式で表示されるので、ユーザは、表示された画像処理アルゴリズムを対象に選択操作をするだけでよくなるため、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができる。
また、本実施の形態に係るX線検査装置1は、表示部5が、設定操作部45で選択された異物検出特性との近似度の高い順に、画像処理アルゴリズムをランキング形式で表示することを特徴とする。
この構成により、表示部5に画像処理アルゴリズムがランキング形式で表示されるので、最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易、かつ、柔軟に行うことができる。
また、本実施の形態に係るX線検査装置1は、情報蓄積部47が、画像処理アルゴリズム、該画像処理アルゴリズムの異物検出能力値、および該画像処理アルゴリズムにより被検査物W中の異物を検出した場合の見本画像としての検出具合を予め複数記憶し、表示部5が、画像処理アルゴリズムの名称、異物検出能力値、および検出具合を表示することを特徴とする。
この構成により、表示部5に画像処理アルゴリズムの名称、異物検出能力値、および検出具合が表示されるので、最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易、かつ、柔軟に行うことができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、予め多くの被検査物Wに対して、検査対象の被検査物Wの画像特徴を調べ、ニューラルネットワークを用いて被検査物Wの形状(画像特徴)と画像処理アルゴリズムの能力値との関係を調べてデータとして記憶しておき、記憶しておいた被検査物Wの形状に近い被検査物Wの形状を抽出し、その被検査物Wの形状に対応する画像処理アルゴリズムを呼び出すようにしたものである。
本実施の形態のX線検査装置1は、図1、図2と同様に構成されているが、情報蓄積部47の記憶情報、制御部46の動作が第1の実施の形態と異なる。すなわち、本実施の形態では、情報蓄積部47には、被検査物Wの形状と画像処理アルゴリズムとの対応関係が予め記憶されている。また、制御部46は、被検査物WにX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像から被検査物Wの形状を算出するようになっている。
本実施の形態のX線検査装置1の動作を説明する。なお、以下の処理は、設定操作部45から「設定モード」が選択されているときの動作を説明するものであり、制御部46のメモリに記憶されたプログラムがCPUにより実行されることにより行われる。本実施の形態において、設定モードにおける動作は、以下に説明する[学習フェーズ1]と、[学習フェーズ2]と、[運用動作]とからなる。
[学習フェーズ1]
図11に示すように、学習フェーズ1においては、まず、学習用の被検査物WのX線透過画像を入力する(ステップS41)。
ついで、画像特徴(平均値、最大値、最小値、面積等)を算出し(ステップS42)、算出した情報を記憶する(ステップS43)。
ついで、全ての学習用の被検査物Wについて探索が終了したか否かを判別し(ステップS44)、この判別がNOなら他の未探索の学習用の被検査物Wの何れかに更新して(ステップS45)、ステップS41に戻り、ステップS44の判別がYESならステップS46に移行する。
ステップS46では、ニューラルネット被検査物を用いて学習用被検査物−画像特徴間のネット被検査物を構築する。
[学習フェーズ2]
図12に示すように、学習フェーズ2においては、まず、学習用の被検査物W+試験用異物のX線透過画像を入力する(ステップS51)。
ついで、複数の画像処理アルゴリズムの中から1つの画像処理アルゴリズムを適用する(ステップS52)。
ついで、異物検出能力値(最高感度、安定感度)を算出して記憶する(ステップS53)。この処理は、図9のステップS26と同様である。
ついで、全ての画像処理アルゴリズムについて探索が終了したか否かを判別し(ステップS54)、この判別がNOなら他の未探索の画像処理アルゴリズムの何れかに更新して(ステップS55)、ステップS52に戻り、ステップS54の判別がYESならステップS56に移行する。
ステップS56では、全ての学習用の被検査物Wについて探索が終了したか否かを判別し(ステップS56)、この判別がNOなら他の未探索の学習用の被検査物Wの何れかに更新して(ステップS57)、ステップS51に戻り、ステップS56の判別がYESなら学習フェーズ2の処理を終了する。
[運用動作]
以下の運用動作は、前述の学習フェーズ1、学習フェーズ2の実施後に行われるものである。
図13に示すように、運用動作においては、まず、検査対象の被検査物WのX線透過画像を入力する(ステップS61)。
ついで、画像特徴(平均値、最大値、最小値、面積等)を算出する(ステップS62)。
ついで、学習用被検査物−画像特徴間ネット被検査物に情報を入力し、検査対象の被検査物Wがどの学習用の被検査物Wに似ているか算出する(ステップS63)。
ついで、画像特徴が似ている学習用の被検査物Wの各異物検出能力値を基にユーザが選択した(ユーザが知りたい)項目に合った表示をする(ステップS64)。すなわち、第1の実施の形態と同様に、図4に示すように、表示部5に、画像処理アルゴリズムの異物検出特性が選択肢として複数表示されるとともに、ユーザが選択した異物検出特性に近似または一致する異物検出特性の画像処理アルゴリズムが選択肢として異物検出能力値とともに複数ランキング表示される。
ついで、ユーザによる選択操作を待機して、ユーザが運用したい所望の画像処理アルゴリズムを選択すると(ステップS65)、選択された画像処理アルゴリズムをX線検査装置パラメータに反映する(ステップS66)。
以上のように、本実施の形態に係るX線検査装置1は、被検査物Wの形状と画像処理アルゴリズムとの対応関係を予め記憶する情報蓄積部47と、被検査物WにX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像から被検査物Wの形状を算出する制御部46と、を備え、制御部46が算出した被検査物Wと形状が近似する被検査物Wに対して情報蓄積部47により関連付けられた画像処理アルゴリズムを対象として、設定操作部45で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを情報蓄積部47から抽出することを特徴とする。
この構成により、ユーザが、全ての異物が平均的に取れる画像処理アルゴリズム、樹脂系異物検出が得意な画像処理アルゴリズム、等の異物検出特性を選択操作すると、検査対象の被検査物Wの形状に適するとともに、ユーザが選択した異物検出特性に合った画像処理アルゴリズムが所定形式で表示されるので、ユーザは、表示された画像処理アルゴリズムを対象に選択操作をするだけでよくなるため、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができる。
以上のように、本発明に係るX線検査装置は、異物を精度良く識別する最適な画像処理アルゴリズムの設定操作を容易に行うことができるという効果を有し、X線発生器から照射されて被検査物を透過したX線をX線検出器により検出して被検査物を検査するX線検査装置として有用である。
1 X線検査装置
2 搬送部
3 検出部
4 筐体
5 表示部(画像処理アルゴリズム表示手段)
6 駆動モータ
7 搬入口
8 搬出口
9 X線発生器
10 X線検出器
11 箱体
12 X線管
16 遮蔽カーテン
21 搬送路
22 検査空間
40 制御回路
41 A/D変換部
42 X線画像記憶部
43 画像処理部
44 判定部
45 設定操作部(異物検出特性選択手段、画像処理アルゴリズム選択操作手段)
46 制御部(画像処理アルゴリズム抽出手段、形状算出手段)
47 情報蓄積部(画像処理アルゴリズム記憶手段、対応関係記憶手段)
70 目印付きテストピース
71〜76 テストピース
81〜84 目印
W 被検査物

Claims (4)

  1. 被検査物(W)にX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像に対して、複数の画像処理フィルタを組み合わせてなる画像処理アルゴリズムを適用して、前記被検査物中の異物を検出するX線検査装置であって、
    前記画像処理アルゴリズムを予め複数記憶する画像処理アルゴリズム記憶手段(47)と、
    前記被検査物中から検出する異物について、主に検出すべき異物の成分を含む異物検出能力を表す異物検出特性を選択する異物検出特性選択手段(45)と、
    前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを前記画像処理アルゴリズム記憶手段から抽出する画像処理アルゴリズム抽出手段(46)と、
    前記画像処理アルゴリズム抽出手段により抽出された画像処理アルゴリズムを所定形式で表示する画像処理アルゴリズム表示手段(5)と、
    前記画像処理アルゴリズム表示手段に表示された画像処理アルゴリズムの中から、所望の画像処理アルゴリズムの選択操作を行う画像処理アルゴリズム選択操作手段(45)と、を備えたことを特徴とするX線検査装置。
  2. 前記被検査物の形状と前記画像処理アルゴリズムとの対応関係を予め記憶する対応関係記憶手段(47)と、
    前記被検査物にX線を照射して検出したX線透過量を表す濃淡画像から前記被検査物の形状を算出する形状算出手段(46)と、を備え、
    前記画像処理アルゴリズム抽出手段が、前記形状算出手段により算出された被検査物と形状が近似する被検査物に対して前記対応関係記憶手段により関連付けられた画像処理アルゴリズムを対象として、前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性に近似する複数の画像処理アルゴリズムを前記画像処理アルゴリズム記憶手段から抽出することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
  3. 前記画像処理アルゴリズム表示手段が、前記異物検出特性選択手段で選択された異物検出特性との近似度の高い順に、前記画像処理アルゴリズムをランキング形式で表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
  4. 前記画像処理アルゴリズム記憶手段が、前記画像処理アルゴリズム、該画像処理アルゴリズムの異物検出能力値、および該画像処理アルゴリズムにより前記被検査物中の異物を検出した場合の見本画像を予め複数記憶し、
    前記画像処理アルゴリズム表示手段が、前記画像処理アルゴリズムの名称、前記異物検出能力値、および前記見本画像を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のX線検査装置。
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