JP5635464B2 - 転炉の副原料投入量計算装置および該方法 - Google Patents

転炉の副原料投入量計算装置および該方法 Download PDF

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本発明は、転炉における溶鋼中の所定の成分濃度を調整するために転炉に投入される副原料の投入量を計算する転炉の副原料投入量計算装置および転炉の副原料投入量計算方法に関する。
転炉で行われる溶銑の精錬では、所定の品質に作り込むために、溶鋼中の炭素(C)、燐(P)およびマンガン(Mn)等の各濃度に対し目標値が設定されており、これを超えないように成分調整が副原料の投入によって行われる。この副原料の投入は、溶鋼の品質を考慮しつつ、副原料のコストを考慮することによって行われるが、副原料の投入量の決定は、例えば、特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示の転炉の副原料投入量計算装置は、転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の量を算定する副原料投入量計算装置であって、物質バランスおよび平衡反応を考慮した物理モデルを用いた最適計算を行うことによって各副原料の投入量を算定するものである。そして、前記物理モデルの逐次更新は、スラグ成分を測定する度に、逐次型最小自乗法を用いて、またはニューラルネットワークで学習させたニューロモデルを用いて行われ、また、逐次型最小自乗法の場合における非線形最適化手法には、ニュートン法、シンプレックス法またはフレキシブルポリヘドロン法等が利用され、ニューロンモデルの場合における非線形最適化手法には、フレキシブルポリヘドロン法等が利用される。そして、転炉の操業において、現在のチャージにおける操業データが、この転炉の副原料投入量計算装置に入力され、副原料投入量計算装置では、物理モデルを用いて最適化計算が行われ、副原料の投入量が決定され、この決定された投入量で副原料が転炉に投入される。
また、転炉の副原料の投入量の決定には、上述のようにモデルを用いるのではなく、次に実施すべきチャージ(溶銑成分、溶銑温度および鋼種等の操業条件)と類似の過去のチャージを探索し、その探査したチャージに対応する過去の副原料の投入量を、次に実施すべきチャージに対する副原料の投入量に決定する、いわゆるJIT(Just in Time)法もある。
特開平9−256021号公報
ところで、このような従来技術では、モデル(予測モデル)は、副原料に関する事前に設定されている複数の関数式から消去可能な変数を消去することによって作成されている。このため、転炉のプロセスが変更され、副原料の種別に追加や削除があると、モデルを最初から作り直さなければならなかった。すなわち、プロセス変更後の副原料で、前記複数の関数式を初めから立て直して、消去可能な変数を消去してモデルを作成する必要があった。そのため、プロセスの変更に、迅速に対応することが難しく、また、多大な手間も掛かっていた。
あるいは、プロセスの変更があった場合に、モデル自体は従来のままで、モデルを、またはそのモデルを用いて得られた結果を、過去の経験に基づき補正することによって、副原料の投入量が決定される場合もある。この場合では、過去の経験に基づく補正であるので、副原料の投入量が必ずしも適切ではない場合も含まれ、この決定された結果に対する信頼性が充分ではなかった。
一方、上述のいわゆるJIT法では、過去実績以上の結果が得られず、そのため、このJIT法によって得られた結果が最適であるという保証がない。例えば、低コスト化を目的として最適化したその結果が真(本当)に低コストであるという保証がない。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができる転炉の副原料投入量計算装置および転炉の副原料投入量計算方法を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる転炉の副原料投入量計算装置は、転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の投入量を副原料の算定投入量として算定する副原料投入量計算装置であって、前記副原料の投入量における初期値を設定する設定部と、次回の試行における前記副原料の投入量を、現在の試行における前記副原料の投入量に基づいて演算する第1演算部と、前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を演算する第2演算部と、前記第1演算部による次回の試行における前記副原料の投入量の演算と前記第2演算部による所定の評価値の演算とを所定の試行回数だけ繰り返すことによって得られた前記副原料の投入量の中から、最良の評価値を持つ前記副原料の投入量を、前記副原料の算定投入量とする第3演算部とを備えることを特徴とする。
このような構成の転炉の副原料投入量計算装置では、次回の試行における前記副原料の投入量が、現在の試行における副原料の投入量に基づいて演算され、現在の試行における副原料の投入量に対する所定の評価値が演算され、これら次回の試行における副原料の投入量の演算と所定の評価値の演算とが所定の試行回数だけ繰り返される。そして、これら繰り返しによって得られた副原料の投入量の中から、最良の評価値を持つ副原料の投入量が、副原料の算定投入量とされる。このため、このような構成の炉の副原料投入量計算装置では、転炉におけるプロセスに変更があった場合に、副原料の算出関数に変更がなければそのままでよく、あるいは、副原料の算出関数を立て直すだけでよくてモデルまで作り直す必要がない。したがって、このような構成の転炉の副原料投入量計算装置は、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができる。
そして、上述の転炉の副原料投入量計算装置において、前記第1演算部は、k回目の試行でのi番目の粒子における位置をx とし、前記k回目の試行でのi番目の粒子における速度をv とし、PSO法における慣性係数をωとし、前記PSO法におけるcongnitive scaling factorをcとし、前記PSO法におけるsocial scaling factorをcとし、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって設定される係数をr 1,iおよびr 2,iとし、i番目の粒子におけるk番目の試行までに評価値Jが最良であったものをxbest,k とし、全粒子におけるk番目の試行での評価値Jが最良であったものをxbest,k swarmとし、h番目の副原料の投入量をxとする場合に、x =[x i、1、x i、2、・・・、x i、h](x は縦ベクトルとする)であり、次回の試行における前記副原料の投入量xk+1 を、xk+1 =x +vk+1 およびvk+1 =ω・v +c・r 1,i(xbest,k −x )+c・r 2,i(xbest,k swarm−x )によって演算することを特徴とする。
なお、上記では、r 1,iおよびr 2,iは、スカラーとしているが、r 1,iおよびr 2,iは、0から1までの範囲に一様に分布する乱数を対角要素に持つ対角行列であってもよい。
このような構成の転炉の副原料投入量計算装置は、PSO(Particle swarm optimization 粒子群最適化)法を用いるので、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができ、そして、さらに、より適切な副原料の算出結果を期待できる。
また、他の一態様では、上述の転炉の副原料投入量計算装置において、前記PSO法は、分散型PSO法または分割型PSO法であることを特徴とする。
このような構成の転炉の副原料投入量計算装置は、分散型PSO法、または、分割型PSO法を用いるので、より効率よく解空間を探索することができ、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができ、そして、さらにより適切な副原料の算出結果を期待できる。
また、他の一態様では、これら上述の転炉の副原料投入量計算装置において、前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の制約条件を演算し、前記所定の制約条件を満たさない場合には、前記第2演算部によって演算された前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を、前記所定の評価値の取り得る値の中で最も悪い値に書き換える第4演算部をさらに備えることを特徴とする。
このような構成の転炉の副原料投入量計算装置は、制約条件を満たした副原料の投入量を算出することができる。
また、本発明の他の一態様にかかる転炉の副原料投入量計算方法は、転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の投入量を副原料の算定投入量として算定する副原料投入量計算方法であって、前記副原料の投入量における初期値を設定する設定ステップと、次回の試行における前記副原料の投入量を、現在の試行における前記副原料の投入量に基づいて演算する第1演算ステップと、前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を演算する第2演算ステップと、前記第1演算ステップによる次回の試行における前記副原料の投入量の演算と前記第2演算ステップによる所定の評価値の演算とを所定の試行回数だけ繰り返すことによって得られた前記副原料の投入量の履歴中から、最良の評価値を持つ前記副原料の投入量を、前記副原料の算定投入量とする第3演算ステップとを備えることを特徴とする。そして、この転炉の副原料投入量計算方法において、前記第1演算ステップは、k回目の試行でのi番目の粒子における位置をx とし、前記k回目の試行でのi番目の粒子における速度をv とし、PSO法における慣性係数をωとし、前記PSO法におけるcongnitive scaling factorをc とし、前記PSO法におけるsocial scaling factorをc とし、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって設定される係数をr 1,i およびr 2,i とし、i番目の粒子におけるk番目の試行までに評価値Jが最良であったものをx best,k とし、全粒子におけるk番目の試行での評価値Jが最良であったものをx best,k swarm とし、h番目の副原料の投入量をx とする場合に、x =[x i、1 、x i、2 、・・・、x i、h ]であり、次回の試行における前記副原料の投入量x k+1 を、x k+1 =x +v k+1 およびv k+1 =ω・v +c ・r 1,i (x best,k −x )+c ・r 2,i (x best,k swarm −x )によって演算することを特徴とする
このような構成の転炉の副原料投入量計算方法では、次回の試行における前記副原料の投入量が、現在の試行における副原料の投入量に基づいて演算され、現在の試行における副原料の投入量に対する所定の評価値が演算され、これら次回の試行における副原料の投入量の演算と所定の評価値の演算とが所定の試行回数だけ繰り返される。そして、これら繰り返しによって得られた副原料の投入量の中から、最良の評価値を持つ副原料の投入量が、副原料の算定投入量とされる。このため、このような構成の炉の副原料投入量計算方法では、転炉におけるプロセスに変更があった場合に、副原料の算出関数に変更がなければそのままでよく、あるいは、副原料の算出関数を立て直すだけでよくてモデルまで作り直す必要がない。したがって、このような構成の転炉の副原料投入量計算方法は、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができる。そして、このような構成の転炉の副原料投入量計算方法は、PSO法を用いるので、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができ、そして、さらに、より適切な副原料の算出結果を期待できる
本発明にかかる転炉の副原料投入量計算装置および転炉の副原料投入量計算方法は、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができる。
実施形態における転炉システムの構成および副原料投入量計算装置の構成を示す図である。 実施形態における副原料投入量計算装置の動作を示すフローチャートである。 各試行におけるPSO法における各粒子の分布の様子を示す図である。 繰り返し試行におけるPSO法における或る粒子の遷移の様子を示す図である。 実施形態の副原料投入計算装置による演算結果と従来技術の1つであるGrid Searchによる演算結果との比較を示す図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
図1は、実施形態における転炉システムの構成および副原料投入量計算装置の構成を示す図である。
本実施形態における転炉システムSは、転炉CFによって生成される溶鋼成分を調整するべく、転炉CFに所定量の副原料を投入するものであり、例えば、図1に示すように、転炉CFに投入するべき副原料の投入量を計算する副原料投入量計算装置1と、副原料を転炉CFに投入する副原料投入機3と、副原料投入量計算装置1によって指示された投入量で副原料を投入するように制御指令を副原料投入機3へ出力することで副原料投入機3を制御するプロセス制御コンピュータ2とを備えて構成される。ここで、プロセス制御コンピュータ2または副原料投入量計算装置1の演算制御部11は、副原料投入量計算装置1の演算制御部11によって計算された副原料の投入量を計算結果として表示部13に表示し、オペレータの指示またはオペレータの修正後の指示が入力部12を介して入力された後に、プロセス制御コンピュータ2は、前記オペレータの指示またはオペレータの修正後の指示に基づいて補正された前記制御指令を副原料投入機3へ出力してもよい。
本実施形態における転炉の副原料投入量計算装置1は、転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の投入量を副原料の算定投入量として算定する副原料投入量計算装置であって、前記副原料の投入量における初期値を設定する設定部と、次回の試行における前記副原料の投入量を、現在の試行における前記副原料の投入量に基づいて演算する第1演算部と、前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を演算する第2演算部と、前記第1演算部による次回の試行における前記副原料の投入量の演算と前記第2演算部による所定の評価値の演算とを所定の試行回数だけ繰り返すことによって得られた前記副原料の投入量の中から、最良の評価値を持つ前記副原料の投入量を、前記副原料の算定投入量とする第3演算部とを備えている。そして、その一態様では、上記副原料投入量計算装置において、好ましくは、前記第1演算部は、k回目の試行でのi番目の粒子における位置をx とし、前記k回目の試行でのi番目の粒子における速度をv とし、PSO法における慣性係数をωとし、前記PSO法におけるcongnitive scaling factorをcとし、前記PSO法におけるsocial scaling factorをcとし、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって設定される係数をr 1,iおよびr 2,iとし、i番目の粒子におけるk番目の試行までに評価値Jが最良であったものをxbest,k とし、全粒子におけるk番目の試行での評価値Jが最良であったものをxbest,k swarmとし、h番目の副原料の投入量をxとする場合に、x =[x i、1、x i、2、・・・、x i、h](x は縦ベクトルとする)であり、次回の試行における前記副原料の投入量xk+1 を、xk+1 =x +vk+1 およびvk+1 =ω・v +c・r 1,i(xbest,k −x )+c・r 2,i(xbest,k swarm−x )によって演算するものである。なお、上記では、r 1,iおよびr 2,iは、スカラーとしているが、r 1,iおよびr 2,iは、0から1までの範囲に一様に分布する乱数を対角要素に持つ対角行列であってもよい。また、その一態様では、上記副原料投入量計算装置において、好ましくは、前記PSO法は、分散型PSO法、または、分割型PSO法である。また、その一態様では、上述の副原料投入量計算装置において、好ましくは、前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の制約条件を演算し、前記所定の制約条件を満たさない場合には、前記第2演算部によって演算された前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を、前記所定の評価値の取り得る値の中で最も悪い値に書き換える第4演算部をさらに備えるものである。
このような転炉の副原料投入量計算装置1は、より具体的には、例えば、図1に示すように、演算制御部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部14と、これら演算処理部11、入力部12、表示部13および記憶部14を、データ(信号)を相互に交換することができるようにそれぞれ接続するバス15とを備えている。
入力部12は、例えば、演算開始等を指示するコマンドや制約条件等のデータを入力するための装置であり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボードやマウス等である。等である。出力部13は、入力部12で受け付けたコマンドやデータおよび演算結果等を出力するための装置であり、例えば、CRTディスプレイ、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。これら入力部12および出力部13は、バス15を介して演算制御部11に接続される。
記憶部14は、副原料投入量を求める副原料投入量演算プログラム等の所定のプログラムや、前記所定のプログラムの実行に必要なデータ等の各種の所定のデータ等を記憶する装置であり、例えば、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や、書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)や、ハードディスク(HDD)等である。
演算制御部11は、副原料投入量計算装置1の各部を当該機能に応じて制御する回路であり、例えば、前記所定のプログラムを読み出して実行することによって所定の演算処理や制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる前記CPUのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)、ならびに、これらの周辺回路を備えたマイクロコンピュータ等によって構成される。演算制御部11は、機能的に、収支演算部111と、評価値演算部112と、制約条件処理部113と、PSO(Particle Swarm Optimization)演算部114と、投入量演算部115とを備えている。
収支演算部111は、副原料の所定の収支を求めるものである。例えば、本実施形態では、収支演算部111によって転炉の場合であって燐収支と熱収支が求められる。すなわち、副原料を投入した場合に、吹練後の溶鋼中燐濃度と溶鋼温度とが、目標値に対してどれだけ過不足が生じるかが求められる(目標値に対して生じる過不足量が求められる)。
評価値演算部112は、予め設定された所定の評価値を求めるものである。例えば、本実施形態では、後述するように、副原料の低コスト化を図る観点から、評価値は、副原料の投入量に基づいて決まる副原料の総価格である。このような評価値演算部112は、第2演算部の一例に対応する。
制約条件処理部113は、投入量演算部115によって求められた副原料の投入量が、予め設定された所定の制約条件を満たすか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行うものである。制約条件は、転炉の操業において、遵守しなければならない条件である。このような制約条件処理部113は、第4演算部の一例に対応する。
PSO演算部114は、PSO法の演算を行うものである。PSO法は、後に詳述される。このようなPSO演算部114は、第1演算部の一例に対応する。
投入量演算部115は、PSO演算部114の演算処理に基づいて副原料の投入量を決定するものである。このような投入量演算部115は、第3演算部の一例に対応する。
このような演算制御部11、入力部12、表示部13、記憶部14およびバス15は、例えば、コンピュータ、より具体的にはノート型やディスクトップ型等のパーソナルコンピュータ等によって構成可能である。
なお、必要に応じて副原料投入量計算装置1は、外部記憶部や通信インターフェース部をさらに備えてもよい。外部記憶部は、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD−R(Digital Versatile DiscRecordable)およびブルーレイディスク(Blu-ray Disc、登録商標)等の記録媒体との間でデータを読み込みおよび/または書き込みを行う装置であり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、DVD−Rドライブおよびブルーレイディスクドライブ等である。Aおよび/またはBは、AおよびBのうちの少なくとも一方を意味する。通信インターフェース部は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して他のサーバやクライアント等との間で通信信号を送受信するための機器である。
ここで、各プログラムが格納されていない場合には、これらを記録した記録媒体から外部記憶部15を介して記憶部14にインストールされるように、副原料投入量計算装置1が構成されてもよく、また、これらプログラムを管理するサーバ(不図示)からネットワークおよび前記通信インターフェース部を介して各プログラムがダウンロードされるように、副原料投入量計算装置1が構成されてもよい。また、副原料投入量の演算に当たって副原料投入量計算装置1に入力すべきデータは、このデータを記憶した記録媒体によって外部記憶部を介して副原料投入量計算装置1に入力されるように、副原料投入量計算装置1が構成されてもよく、また、クライアントからネットワーク及び通信インターフェース部を介して副原料投入量計算装置1に入力されるように、副原料投入量計算装置1が構成されてもよい。
次に、本実施形態における副原料投入量計算装置の動作について説明する。図2は、実施形態における副原料投入量計算装置の動作を示すフローチャートである。図3は、各試行におけるPSO法における各粒子の分布の様子を示す図である。図4は、繰り返し試行におけるPSO法における或る粒子の遷移の様子を示す図である。図5は、実施形態の副原料投入計算装置による演算結果と従来技術の1つのGrid Searchによる演算結果との比較を示す図である。図5の横軸は、演算に要した最大時間であり、その縦軸は、コストである。
副原料投入量計算装置1は、例えば、ユーザの操作によって入力部12から起動コマンドを受け付けると、記憶部14に予め記憶されている副原料投入量計算プログラムを実行する。この副原料投入量計算プログラムの実行によって、収支演算部11、評価値演算部112、制約条件処理部113、PSO演算部114および投入量演算部115が演算制御部11に機能的に構成される。そして、副原料投入量計算装置1は、以下の動作によって、より低コストな、または生産量重視で、またあるいは操業のし易さ等で最適解が得られるようにPSO法によって副原料の投入量を算出する。なお、以下に説明する処理S11ないし処理S19は、PSO法における各粒子xに対し、それぞれ行われる。
この副原料の投入量の算出に当たって、副原料投入量計算装置1では、図2に示すように、まず、副原料の未知変数に対する各投入量Wの各初期値が入力され、記憶部14に記憶されて設定される(S11)。副原料には、転炉における成分調整のための副原料(成分調整副原料)および転炉における温度調整のための副原料(温度調整副原料)が挙げられる。例えば、成分調整副原料は、焼石灰、蛍石、珪石、軽焼ドロマイト(軽ドロ)および生ドロマイト(生ドロ)等であり、温度調整副原料は、鉄鉱石、マンガン鉱石、FeSiおよび黒鉛等である。副原料の未知変数に対する各投入量Wの各初期値は、例えば、オペレータ等のユーザによって入力部12から入力されても良く、また、副原料投入量計算装置1の投入量演算部115によって所定の規定に従って生成されてもよい。また例えば、これら副原料の未知変数に対する各投入量Wの各初期値は、投入量演算部115によって、各副原料の取り得る各値の各範囲内で乱数により決定されても良く、過去に操業された過去実績データの中から抽出されても良い。この過去実績データの中から抽出する場合に、過去実績データの中から、例えば、いわゆるユークリッド距離において今回実施すべきデータに最も近似したデータが選択されても良い。
副原料の未知変数は、任意の個数でよいが、例えば、本実施形態では、副原料1および副原料2の2個である。
続いて、ユーザによって入力部12から、PSO法における目標試行回数N、パラメータω、c、cが入力され、記憶部14に記憶されて設定される(S12)。なお、パラメータω、c、cは、後に説明される。
続いて、収支演算部111によって、主原料の投入量および副原料の投入量に基づいて燐収支および熱収支が演算される(S13)。この燐収支(主原料や副原料により投入される燐分の総量が、スラグ中の燐分と溶鋼中の燐分とに分離されることを表す関係式)は、次の式1によって演算される。
input_P=Wslag・Pslag+Wst・Ptd
=Whm・Phm+W成分・P成分+W温度・P温度・・・(1)
ここで、Wslagは、吹練後のスラグ量であり、Pslagは、吹練後のスラグ中の燐濃度であり、Wstは、吹練後の溶鋼量であり、Ptdは、吹練後の溶鋼中の燐濃度である。また、Whmは、主原料の投入量であり、Phmは、主原料の燐濃度であり、W成分は、成分調整副原料の投入量であり、P成分は、成分調整副原料の燐濃度であり、W温度は、温度調整副原料の投入量であり、P温度は、温度調整副原料の燐濃度である。また、上記式1において、第1項「Whm・Phm」は、主原料中に含まれる燐分の総量を表し、第2項の「W成分・R成分」は、成分調整副原料にかかる燐分の総量を表し、そして、第3項の「W温度・R温度」は、温度調整副原料にかかる燐分の総量を表している。なお、転炉の場合、実際には、成分調整副原料は、複数の副原料から成り、第2項の「W成分・R成分」は、これら複数の副原料それぞれについての燐分の総和となり、そして、温度調整副原料も、複数の副原料から成り、第3項の「W成分・R成分」は、これら複数の副原料それぞれについての燐分の総和となる。成分調整副原料の投入量W成分は、生産すべき製品の成分や操業上の制約条件から決定される。
また、温度調整副原料の投入量W温度は、吹止温度の目標値と熱収支から求めることができる。より具体的には、まず、成分調整副原料の投入量W成分に対し、熱収支が計算される。そして、この計算された熱収支結果において、熱収支にかかる所定の目標値(吹止後の溶鋼温度)に対し熱が不足する場合には、温度調整副原料における複数の副原料のうちの所定の副原料の投入量W温度1(転炉の場合、例えば黒鉛の投入量Wcoke)を所定単位量(例えば100kg単位)だけ増す。この処理が前記所定の目標値に達するまで繰り返される。一方、この計算された熱収支結果において、前記所定の目標値に対し熱が余る場合には、温度調整副原料における複数の副原料のうちの他の所定の副原料の投入量W温度2(転炉の場合、例えば鉄鉱石の投入量WOre)を所定単位量(例えば100kg単位)だけ増す。この処理が前記所定の目標値に達するまで繰り返される。
ここで、成分調整副原料および温度調整副原料における複数の副原料の中には、前記副原料1および副原料2が含まれるが、上述の各投入量W成分、W温度の算出において、前記副原料1および副原料2の各投入量W副1、W副2は、後述の処理S19のPSO法による処理によって決定される。
続いて、評価値演算部112によって、この求めた各副原料の投入量W成分、W温度に対し、評価値Jを求めるための予め与えられた所定の評価関数Jを用いて評価値Jが演算される(S14)。本実施形態では、副原料の低コスト化を図ることから、評価値Jを求める評価関数Jは、副原料の投入量Wに該副原料の単価Uを乗じ、各副原料についての和を求めるものである(ΣW・U)。すなわち、評価関数Jは、次の式2によって求められる。
J=W成分・U成分+W温度・U温度 ・・・(3)
ここで、U成分は、成分調整副原料の単価であり、U温度は、温度調整副原料の単価である。
続いて、このように求められた各副原料の投入量W成分、W温度に対し、予め設定された所定の制約条件を満たしているか否かが制約条件処理部113によって判断される(S15)。前記所定の制約条件として、例えば、転炉の場合では、生成されたスラグが適切な範囲となるように、前記生成されるスラグ量に設定されたスラグ量に関する制約条件(スラグ量制約)や、吹止燐濃度に関する制約条件(吹止燐濃度制約)や、吹止温度に関する制約条件(吹止温度制約)等が挙げられる。
この処理S15における判断の結果、制約条件を満たさない場合(No)には、このような各副原料の各投入量W成分、W温度は、操業条件として採用することができないので、例えば、評価値Jが、制約条件処理部113によって評価値Jが取り得る値の中で最も悪い値に変更され(S16)、処理S17が実行される。本実施形態では、低コスト化を目標としているので、評価値Jが取り得る値の中で最も大きな値、例えば、実質的に無限大∞と見なされるコンピュータが扱い得る最大の値(例えば1010等)等の大きな値に評価値Jが変更される。
一方、この処理S15における判断の結果、制約条件を満たす場合(Yes)には、処理S17が実行され、目標試行回数Nだけ試行処理を実行したか否かがPSO演算部114によって判断される(S17)。
この処理S17における判断の結果、試行処理の回数が目標試行回数Nに達していない場合(No)には、PSO演算部114によって、PSO法における、副原料の未知変数に対する次の試行での値Wk+1 副1、Wk+1 副2が演算され(S19)、処理が処理S13に戻される。
この処理S19における、副原料の未知変数に対する次の試行での値Wk+1 副1、Wk+1 副2は、次の式3(式3−1および式3−2)によって求められる。
k+1 =x +vk+1 ・・・(3−1)
k+1 =ω・v
+c・r 1,i・(xbest,k −x
+c・r 2,i・(xbest,k swarm−x ) ・・・(3−2)
ここで、x は、k回目の試行での、解の探索範囲D={x;x≦x≦x}におけるi番目の粒子の位置、より具体的は、本実施形態では、x =[W i,副1,W i,副2](x は縦ベクトルとする)となる。v は、k回目の試行での、i番目の粒子の速度である。ωは、PSO法において、慣性係数と呼ばれる予め設定されるパラメータであり、cは、PSO法において、congnitive scaling factorと呼ばれる予め設定されるパラメータであり、cは、PSO法において、social scaling factorと呼ばれる予め設定されるパラメータであり、これらは、探索範囲の広さと収束速度に影響を及ぼすものである。r 1,iおよびr 2,iは、粒子x の動きを確率的なものとするための係数であり、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって各試行kにおいて設定されるものである。なお、上記では、r 1,iおよびr 2,iは、スカラーとしているが、r 1,iおよびr 2,iは、0から1までの範囲に一様に分布する乱数を対角要素に持つ対角行列であってもよい。また、xbest,k は、i番目の粒子において、そのk番目の試行までに、最適な粒子の位置(すなわち、評価値Jが最良であったもの)を表し、xbest,k swarmは、全粒子において、そのk番目の試行において、最適な粒子の位置(すなわち、評価値Jが最良であったもの)を表す。
すなわち、全粒子数をNp個とすると
best,k = arg min J(x)
x∈{x |j=1,・・・,k}
best,k swarm= arg min J(x)
x∈{x |h=1,・・・,Np}
である。ここで、J(x)は、粒子xに対する評価値Jの値を表すものとする。
一方、この処理S17における判断の結果、試行処理の回数が目標試行回数Nに達している場合(Yes)には、処理S18が実行される。
この処理S18では、投入量演算部115によって、全粒子および全試行の中で、評価値Jが最良であったものが探索され、その値で各副原料の各投入量が最適投入量として決定される。すなわち、投入量演算部115は、xbest,k swarmのk=1〜試行回数までの中で最も良いものを各副原料の各最適投入量として決定する。また、別の言い方をすれば、xbest,k のi=1〜Npの中で最も良いものを各副原料の各最適投入量として決定する。
このように動作することによって、例えば、図3(A)に示すように、解の探索空間Dに略一様にばらまかれた80個の各粒子x は、各試行kを重ねるごとに、図3(A)から図3(B)、図3(C)、図3(D)および図3(E)に示すように、順次に遷移し、真の最適解(図中、破線の○で示す)に近づき、やがて、そのうちの1または複数の粒子xがこの最適解に一致あるいはその近傍となる。ここで、各パラメータは、ω=0.9、c=0.8およびc=0.8とされた。なお、図3は、各粒子xを副原料1−副原料2の平面に投影したものである。また、各試行kに従って遷移する粒子xの様子の一例を図4に示す。グラフの軸は、無次元化されている。
また、本実施形態の副原料投入計算装置による演算結果と従来技術の1つであるGrid Searchによる演算結果とを比較すると、図5に示すように、本実施形態の副原料投入計算装置1は、Grid Searchより短い最大演算時間で演算結果を得ることができている。Grid Searchとは、副原料を離散的に(例えば100kg単位とか200kg単位等)すべての組み合わせについて探索するものであり、副原料を前記例では100kg単位とか200kg単位等で、離散的に投入することを前提とした場合に、真の最適解を求めることができる。図5中のGrid Searchの●印は一番右側が100kg単位ですべての副原料の組み合わせを探索した場合、中央が200kg単位で、左側が500kg単位でそれぞれ探索した場合をそれぞれ示す(細かく探索すればするほど計算時間はかかるが評価関数の低い、つまり、コストが安い解が見つかっている)。一方、PSO法の○印は、探索の繰り返し数(試行kの数)を示している。○が右側に行くほど、試行回数が増えている(試行回数を増やせばよりコストの安い解が見つかることを示している)。図5から分かるように、離散的にすべての組み合わせを探索するGrid Searchと同等の解を、PSO法は、より短時間で探索することができており、副原料計算にPSO法を用いた場合の効果が確認できており、また、Grid Searchと同等またそれ以上の演算結果を得ることができている。なお、図5中、○は、本実施形態の副原料投入計算装置による演算結果を示し、●は、従来技術のGrid Searchによる演算結果を示す。
このように本実施形態における副原料投入量計算装置1は、PSO法によって評価値Jを最適な値とする各副原料の投入量を求めることが期待できる。そして、プロセスの変更があった場合でも、増減した副原料の種別に対応して、x の要素や、評価関数Jの要素を変更するだけでよいので、従来技術のように、プロセス変更後の副原料で前記複数の関数式を初めから立て直して消去可能な変数を消去することで物理モデルを作成する必要がないから、プロセスの変更に、迅速に対応することができ、また、手間も軽減される。さらに、プロセスの変更に応じてx の要素や、評価関数Jの要素を変更するので、従来技術のように、過去の経験に基づき補正する必要がないから、より適切な結果を得ることができ、結果をより信頼することができる。
そして、上述の各処理において、評価関数Jの勾配情報(微分情報や差分情報)が必要とされないので、評価関数Jとして、微分の困難な非線形な関数や、不連続な関数も、特別な工夫を必要とすることなく、利用することができる。また、制約条件についても非線形や不連続なものも扱うことができる。
なお、上述の実施形態では、転炉の溶鋼における調整成分としてリンを取り上げているが、これに限定されるものではなく、リンに代え、炭素(C)やマンガン(Mn)や温度等であっても良く、また、リン、硫黄およびケイ素の中の複数であってもよい。
また、上述の実施形態では、PSO法が用いられているが、分散型PSO法または分割型PSO法が用いられてもよい。このような構成の転炉の副原料投入量計算装置1は、分散型PSO法または分割型PSO法を用いるので、転炉におけるプロセスに変更があった場合でも、より容易に対応することができ、そして、さらにより適切な副原料の算出結果を期待できる。
まず、分散型PSO法について説明すると、より具体的には、次の通りである。
1:Initialize x ,x ,・・・,x Np−1
(前述のように初期値は、乱数で決めてもよく、過去実績データから抽出してもよい)
2:[v ,v ,・・・,v Np−1] ← 0
(速度の初期値は、すべて0ベクトルに初期化する。)
3:for k=1 to Kmax do
4: for all i∈{0,1,・・・,Np-1} do
5: xpbest,k = arg min J(x)
x∈{x |j=1,・・・,k}
6: x sbest,i= arg min J(x)
x∈{x |h=i−n/2,・・・,i+n/2}
7: vk+1 =ω・v
+c・r 1,i・(xpbest,k −x
+c・r 2,i・(x sbest,i−x
8: xk+1 =x +vk+1
9: end for
10:end for
11:xopt= arg min J(x)
x∈{xpbest,Kmax |h=0,・・・,Np-1}
ここで、J(x)は、粒子xに対する評価値(最適化の目的関数の値)を表すものとする。また、Npは、粒子数であり、k回目の反復における粒子の座標がベクトルx ,x ,・・・,x Np−1とおかれ、さらに、記述を簡潔にするために、x =xi mod Np)と定められている。つまり、例えば、粒子数Np=100ならば、x =x 101であり、x =x 100であり、x 99=x -1である。そして、nは、偶数であり、自身の粒子を含めて前後(n/2)個、すなわち、合計(n+1)個の粒子の中で、群ベストx sbest,iの値を求めるものである。通常のPSOでは、k番目の試行において全粒子の中から群ベストxbest,k swarmの値を求めるのに対し、分散型PSOでは、それぞれ自身を含む小さな集団の中から群ベストx sbest,iの値を求めるところが異なる。なお、本実施例では、n=2としたが、ns=4,6,・・・としてもよい。
上記1行目において、解が存在すると考えられる空間にランダムに粒子を配置することによって、粒子座標の初期化が行われる。上記5行目では、粒子iの反復kまでの軌跡上での最良点xpbest,k が求められ、上記6行目では、粒子iに近い番号を持つn+1個の粒子の反復kにおける座標の中での最良点x sbest,iが求められ、上記7、8行目では、粒子座標の更新が上記式によって行われる。これらω、C、Cは、上述したようにPSO法における粒子の収束速度に関するパラメータである。また、{γ 1,i、γ 2,i}は、[0,1]に一様に分布する乱数である。もちろん、式3−2の通常のPSOと同様に、0から1までの範囲に一様に分布する乱数を対角要素に持つ対角行列であってもよい。
そして、n≧nである場合には、上記6行目の処理は、上述した標準的なPSO法と同じである(上記6行目の式は、x sbest,i=arg min J(x),x∈{x |h=0,・・・,Np−1}と等価となる)。この場合では、全てのiについて、x sbest,iは、上述したように、同一の座標を指し、全ての粒子が同一の座標に引力を受けることになる。一方、n<nである場合には、x sbest,iの決定は、上記6行目の式で示されるように分散して行われ、各粒子が異なった座標への引力を受ける。これによって粒子の多様性が増加し、局所最適解に陥る確率の低下が期待できる。ここに、分散型PSO法の特徴がある。
なお、このような分散型PSO法は、例えば、「丸田一郎、杉江俊治、“分割型Particle Swarm Optimizationによる区分的アフィンシステムの同定”、SY0011/10/0000−0327コピーライト2010 SICE」を参照することができる。
次に、分割型PSO法について説明すると、より具体的には、上述したPSO法における粒子群xが複数のグループG(mは、当該グループがm番目のグループであることを表す)に分割され、各グループGのそれぞれでPSO法が実行され、予め設定された所定の試行回数nで各グループGのそれぞれに存在するxbest,k の情報を交換する。そして、各グループGのそれぞれに存在するxbest,k の情報が所定の差の範囲内で互いに一致するまで、この処理が繰り返される。すなわち、前記所定の試行回数nでグループG、Gm+1のそれぞれに存在するxbest,k 、xbest,k m+1の情報が互いに比較され、xbest,k の評価値Jが相対的によい場合には、グループGm+1のxbest,k m+1は、xbest,k の情報とされ、グループGm+1は、xbest,k に向かって移動し、一方、xbest,k m+1の評価値Jが相対的によい場合には、グループGのxbest,k は、xbest,k m+1の情報とされ、グループGは、xbest,k m+1に向かって移動する。そして、xbest,k =xbest,k m+1となるまで、処理が繰り返される。本実施形態では、x=[Wi,副1,Wi,副2]であるので、この粒子群x が複数のグループGに分割される。
なお、このような分割型PSO法は、例えば、「林孝志郎、片山謙吾、南原英生、成久洋之、“分割階層型Particle Swarm Optimization”、[online]、[平成23年6月27日検索]、インターネット<URL:http://k2x.ice.ous.ac.jp/〜katayama/paper/2007−EC−Symp−dhpso.pdf>」を参照することができる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
S 転炉システム
CF 転炉
1 副原料投入量計算装置
111 収支演算部
112 評価値演算部
113 制約条件処理部
114 PSO演算部
115 投入量演算部

Claims (4)

  1. 転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の投入量を副原料の算定投入量として算定する転炉の副原料投入量計算装置であって、
    前記副原料の投入量における初期値を設定する設定部と、
    次回の試行における前記副原料の投入量を、現在の試行における前記副原料の投入量に基づいて演算する第1演算部と、
    前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を演算する第2演算部と、
    前記第1演算部による次回の試行における前記副原料の投入量の演算と前記第2演算部による所定の評価値の演算とを所定の試行回数だけ繰り返すことによって得られた前記副原料の投入量の中から、最良の評価値を持つ前記副原料の投入量を、前記副原料の算定投入量とする第3演算部とを備え、
    前記第1演算部は、k回目の試行でのi番目の粒子における位置をx とし、前記k回目の試行でのi番目の粒子における速度をv とし、PSO法における慣性係数をωとし、前記PSO法におけるcongnitive scaling factorをc とし、前記PSO法におけるsocial scaling factorをc とし、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって設定される係数をr 1,i およびr 2,i とし、i番目の粒子におけるk番目の試行までに評価値Jが最良であったものをx best,k とし、全粒子におけるk番目の試行での評価値Jが最良であったものをx best,k swarm とし、h番目の副原料の投入量をx とする場合に、x =[x i、1 、x i、2 、・・・、x i、h ]であり、次回の試行における前記副原料の投入量x k+1 を、x k+1 =x +v k+1 およびv k+1 =ω・v +c ・r 1,i (x best,k −x )+c ・r 2,i (x best,k swarm −x )によって演算すること
    を特徴とする転炉の副原料投入量計算装置。
  2. 前記PSO法は、分散型PSO法または分割型PSO法であること
    を特徴とする請求項に記載の転炉の副原料投入量計算装置。
  3. 前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の制約条件を演算し、前記所定の制約条件を満たさない場合には、前記第2演算部によって演算された前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を、前記所定の評価値の取り得る値の中で最も悪い値に書き換える第4演算部をさらに備えること
    を特徴とする請求項1に記載の転炉の副原料投入量計算装置。
  4. 転炉中の溶鋼成分濃度を目標値に近づけるために投入する副原料の投入量を副原料の算定投入量として算定する転炉の副原料投入量計算方法であって、
    前記副原料の投入量における初期値を設定する設定ステップと、
    次回の試行における前記副原料の投入量を、現在の試行における前記副原料の投入量に基づいて演算する第1演算ステップと、
    前記現在の試行における前記副原料の投入量に対する所定の評価値を演算する第2演算ステップと、
    前記第1演算ステップによる次回の試行における前記副原料の投入量の演算と前記第2演算ステップによる所定の評価値の演算とを所定の試行回数だけ繰り返すことによって得られた前記副原料の投入量の履歴中から、最良の評価値を持つ前記副原料の投入量を、前記副原料の算定投入量とする第3演算ステップとを備え、
    前記第1演算ステップは、k回目の試行でのi番目の粒子における位置をx とし、前記k回目の試行でのi番目の粒子における速度をv とし、PSO法における慣性係数をωとし、前記PSO法におけるcongnitive scaling factorをc とし、前記PSO法におけるsocial scaling factorをc とし、0から1までの範囲に一様に分布する乱数によって設定される係数をr 1,i およびr 2,i とし、i番目の粒子におけるk番目の試行までに評価値Jが最良であったものをx best,k とし、全粒子におけるk番目の試行での評価値Jが最良であったものをx best,k swarm とし、h番目の副原料の投入量をx とする場合に、x =[x i、1 、x i、2 、・・・、x i、h ]であり、次回の試行における前記副原料の投入量x k+1 を、x k+1 =x +v k+1 およびv k+1 =ω・v +c ・r 1,i (x best,k −x )+c ・r 2,i (x best,k swarm −x )によって演算すること
    を特徴とする転炉の副原料投入量計算方法。
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