JP5634979B2 - 脱硝触媒の閉塞除去工具 - Google Patents

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Description

本発明は、火力発電所などの排煙脱硝装置で使用される脱硝触媒の閉塞を除去する閉塞除去工具に関する。
従来、石油、石炭、ガスなどを燃料とした火力発電所のボイラ及び各種大型ボイラ、その他の廃棄物焼却装置などには排煙脱硝装置が設けられており、排煙脱硝装置には、複数層の脱硝触媒が内蔵されている。
脱硝触媒としては、一般的には、担体としてTiO等、活性成分としてV等を用い、助触媒成分としてタングステンやモリブデンの酸化物が添加されたものであり、VO−WO−TiOやVO−MoO−TiOのような複合酸化物の形態のものが使用されている。
また、触媒形状としては、一般的には、ハニカムタイプや板状タイプが使用されている。ハニカムタイプには、基材でハニカム形状を製造した後、触媒成分をコーティングしたコート形、基材に触媒成分を混練して成形した混練形、ハニカム形状の基材に触媒成分を含浸させた含浸形などがある。板状のものとは、芯金又はセラミックスに触媒成分をコーティングしたものである。
何れにしても、このような脱硝触媒の使用を続けていくと、石炭灰などのダストが触媒の流路の開口部近傍に堆積し、目詰まりを引き起こすことがある。このような目詰まりが発生すると、その流路へ処理ガスが流れなくなり、処理ガスの接触面積が低下するという問題がある。また、目詰まりのない流路へ流入するガス量が増加し、ガス流速が増大して処理ガスと触媒との接触時間が低減することで、触媒性能が低下するという問題もある。
そこで、従来、貫通孔に粉粒体が同伴された基体を所定の流速で通過させて貫通孔の内面に付着した異物を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、大がかりな装置が必要となり、また、完全に目詰まりした貫通孔についてはダストを除去することは困難であった。
よって、従来においては、目詰まりが生じた貫通孔(セル)については長い棒でつついて除去したり、細いノズルから加圧空気を噴射したりして、ダストを除去していた。
特開2001−223404号公報
しかしながら、セルの目詰まりを除去しようとしてダストをより深く押し込んでしまったり、ダストを除去しようとして触媒自体を破損してしまったりするという問題があった。
また、一つの脱硝装置では、貫通孔(セル)を400個程度有する触媒を100本程度束ねて使用するが、目詰まりが全体のセルの5〜10%程度に発生していたとしても、セルの目詰まりを除去するのに半日程度の作業時間が必要であるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑み、脱硝触媒の目詰まりを効率的に除去することができる脱硝触媒の閉塞除去工具を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、少なくとも一部が斜めに切断された先端部を有すると共に対象となる脱硝触媒の長さより若干長い寸法を有するとともに、対象とする脱硝触媒のセルに挿入可能な外径を有してセルの内部へ挿入可能な管と、該管を回転可能に保持する保持部と、前記管を前記保持部に対して回転させる回転手段と、前記管の基端部に接続される吸引手段とを具備し、前記保持部は、前記管の基端部を保持する第1の保持部と、該第1の保持部より前記先端部側で前記管を軸方向に移動可能且つ回転可能に保持する第2の保持部とからなり、前記第1の保持部及び第2の保持部は作業者が保持して作業するためのものであることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具にある。
かかる第1の態様では、吸引しながら管を回転した状態で脱硝触媒の閉塞部位に挿入すると、閉塞しているダストが崩されると共に吸引され、容易に除去できる。また、第1の保持部で保持すると共に第2の保持部を介して管の先端部近傍を支えながら先端部をセル内に挿入することができ、作業性がさらに向上する。
本発明の第の態様は、第1の態様に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記吸引手段は、空気を吸引する吸引モードと、空気を噴出する噴出モードとが切り替え可能であることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具にある。
かかる第の態様では、吸引モードで作業する途中で管内や吸引手段の途中に詰まりが生じた際に、噴出モードに切り替えることで、詰まりを排除することができる。
本発明の第の態様は、第1又は2の態様に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記吸引手段は、吸引時の圧力上昇を検出する圧力センサを具備することを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具にある。
かかる第の態様では、圧力センサにより管や吸引手段内での詰まりを検出することができ、これにより、手動で又は自動的に噴出モードへの切り替えを行うことができる。
本発明の第の態様は、第1〜の何れかの態様に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記管の先端部の外周面には、ブラシが設けられていることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具にある。
かかる第の態様では、ブラシを介してセル内の壁面に付着したダストをより完全に除去することができる。
本発明の第の態様は、第1〜の何れかの態様に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記管には、水蒸気を噴出する水蒸気噴出管が内蔵されていることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具にある。
かかる第の態様は、閉塞部のダストが強固に固結していても、水蒸気を噴出しながら回転している管の先端部を挿入することで、ダストをさらに容易に除去することができる。
以上説明したように、本発明の閉塞除去工具を用いると、脱硝触媒、特に石炭焚ボイラの排煙脱硝装置に使用された脱硝触媒のダストの目詰まりによる閉塞を比較的容易な作業で且つ短時間で除去することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る脱硝触媒の閉塞除去工具の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る脱硝触媒の閉塞除去工具の管の先端部及びその変形例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る脱硝触媒の閉塞除去工具の概略構成を示す図である。 本発明の脱硝触媒の閉塞除去工具の変形例を示す図である。 本発明の脱硝触媒の閉塞除去工具の変形例を示す図である。 本発明の脱硝触媒の閉塞除去工具を用いた作業の様子を示す図である。
図1には、本発明の一実施形態に係る脱硝触媒の閉塞除去工具の概略構成を示す。
図1に示すように、本実施形態の閉塞除去工具10は、管11と、管11の基端部を回転可能に保持する保持部12とを具備し、保持部12には管11を軸周りに回転駆動する図示しないモータが内蔵されている。保持部12に保持された管11の基端部には、ホース13と吸引装置14とからなる吸引手段が接続されている。
ここで、管11は、金属や硬質樹脂などからなる中空長尺のものであり、対象となる脱硝触媒の長さより若干長い寸法を有するとともに、対象とする脱硝触媒のセル(貫通孔)に挿入可能な外径を有する。例えば、脱硝触媒の長さ800mm程度の場合には、管11は、850〜1000mm程度の長さとするのが好ましく、例えば、セルが6mm角の場合には、管11の外径は5mm程度とするのが好ましい。
管11の先端部は本実施形態では、図2(a)に示すように、斜めに切断されて、鋭利な先端部11aを有する。これは、セルを閉塞するダストに比較的容易に挿入することができるようにするためのものである。
なお、管11の先端部の鋭利な形状は特に限定されず、例えば、図2(b)に示すように、先端の全体を荒目ののこぎり状とした先端部11bとしてもよいし、先端にV字状の切り込みを入れた先端部11cとしてもよく、また、これらに限定されるものではない。
保持部12は、管11の基端部を軸受け筒を介して回転自在に支持する軸受15を具備すると共に管11を回転駆動する回転手段であるモータ16を内蔵する。また、保持部12は、管11の先端部をセルに挿入する作業が容易になるような、保持し易い形状を有しており、本実施形態では、保持部12の外周面に取っ手12aを備えている。なお、管11の回転は急速回転である必要はなく、ゆっくりと回転、例えば、50〜200rpm程度で十分である。
また、保持部12に支持されている管11の基端部に接続されているホース13は、可撓性を有するゴムやエラストマーで、好ましくは繊維などの補強材を含有した材料で成形したものが好ましい。
ホース11の他端部に接続されている吸引装置14は、例えば、掃除機と同様な構造を具備するものであり、空気を吸引すると共に、空気と共に吸引されたダストを分離して排気を排出するものである。
このような閉塞除去工具10は、保持部12を手で保持した状態で、管11を回転させながら吸引装置14で吸引した状態で、管11の鋭利な先端部11aを脱硝触媒の閉塞されたセルに徐々に挿入していく。これにより、セルを閉塞するダストが回転する先端部11aにより崩され、崩されたダストが管11及びホース13を介して吸引装置14に吸引されるので、閉塞を極めて容易に除去することができる。
本発明の閉塞除去工具10は、管11を回転させながら且つ吸引しながら、その先端部11aをセルに徐々に挿入していくので、極めて容易に閉塞が除去できる。例えば、管11から空気を噴出しながらセルに挿入すると、閉塞していたダストがセルの奥の方に詰まってしまって閉塞状態を悪化させる場合があり、好ましくない。また、管11を回転させないで吸引しながらセルに挿入しても、強固に固化したダストは除去できない。すなわち、本発明の閉塞除去工具10は、管11を回転させながら且つ吸引しながら、セルに挿入していくので、ダストが強固に固化していても、先端部11aにより徐々に崩され且つ吸引されて除去されるので、目詰まりしているダストを徐々に且つ確実に除去することができるという効果を奏する。
かかる閉塞除去工具10を用いての作業は、800mm以上の長さの管11の先端部11aを、例えば、6mm角のセルに挿入するものなので、管11の先端部11a近傍に手を添えて挿入するのが好ましい。
このような作業を容易にするための閉塞除去工具10Aを図3に示す。この閉塞除去工具10Aは、管11を支持する保持部として、管11の基端部を回転可能に支持する第1の保持部12とは別に、先端部11a近傍を支えるための第2の保持部17を具備する。この第2の保持部17は、管11を回転自在に支持するもので、管11の軸方向に移動可能となっている。よって、管11の先端部11aをセルに挿入開始する段階では、第2の保持部17は先端部11a近傍に位置するようにし、管11をセルに挿入していくに従って、第1の保持部12の方向に移動させるようにする。
かかる閉塞除去工具10Aは、第2の保持部17を具備することにより、管11の先端部11aのセルへの挿入が容易にできるという利点がある。
さらに、本発明の閉塞除去工具の変形例を図4及び図5に示す。
図4の変形例では、二重管構造の管21とし、管21の中空部21aは吸引のために用い、壁内に設けた複数の貫通孔22から水蒸気を噴出できるようにしたものである。このように管21を回転させながら中空部21aから吸引を行い、貫通孔22から水蒸気を噴出すると、閉塞したダストが固化していても、水蒸気により軟化させながら崩すことができ、さらに容易に閉塞を除去することができる。
また、図5の変形例では、管31の先端部の外周面に外方に向かって立設したブラシ32を設けたものである。このような閉塞除去工具を用いると、例えば、セルの内面に付着したダストをより確実に除去することができ、さらに、断面形状が矩形であっても、角部のダストが除去できるという利点がある。
なお、本発明の閉塞除去工具では、吸引作業中に管やホースがダストで目詰まりする場合があるが、その場合には、管から空気を噴出するのが好ましい。すなわち、吸引装置が、吸引モードと噴出モーとを切り替え可能なものとするのが好ましい。また、この場合、吸引モードから噴出モードへの切り替えは、作業の様子で感知して手動で行ってもよいが、管及びホース内の圧力を検出するセンサを設けておき、急激な圧力上昇を検出して、切り替えを自動的に行ってもよい。これにより、管やホースの目詰まりを防止でき、また、閉塞除去作業の際に、吸引だけでは閉塞除去に時間がかかりそうな場合に、吸引噴出を交互に繰り返すことにより、作業を効率よく行うことができるという利点がある。
図6は、本発明の閉塞除去工具を用いた作業の様子を説明するためのものである。この図は、150mm×150mmで長さが860mmの単体の脱硝触媒を100本束ねた脱硝触媒の閉塞除去作業を行った様子を示す。各脱硝触媒は、6mm角のセルを400有するものであり、合計4000個のセルの閉塞除去作業を行った。
閉塞除去作業は、目視で目詰まりが確認できるセルに図1の閉塞除去工具10の管11を挿入して閉塞を除去することにより行った。全体のセルの5〜10%程度、すなわち、50〜100のセルについて作業を行ったが、10分程度の作業時間であった。
因みに、従来、長い棒と、フロアを用いて同様な作業を行った場合には、ダストをセルの奥に押し込んでしまったり、棒をセル内に挿入するのにストレスが大きく、壁面を破壊しないようにする作業に時間がかかるため、半日程度の作業時間が必要であった。
10 閉塞除去工具
11 管
12,17 保持部
13 ホース
14 吸引装置
15 軸受
16 モータ

Claims (5)

  1. 少なくとも一部が斜めに切断された先端部を有すると共に対象となる脱硝触媒の長さより若干長い寸法を有するとともに、対象とする脱硝触媒のセルに挿入可能な外径を有してセルの内部へ挿入可能な管と、該管を回転可能に保持する保持部と、前記管を前記保持部に対して回転させる回転手段と、前記管の基端部に接続される吸引手段とを具備し、前記保持部は、前記管の基端部を保持する第1の保持部と、該第1の保持部より前記先端部側で前記管を軸方向に移動可能且つ回転可能に保持する第2の保持部とからなり、前記第1の保持部及び第2の保持部は作業者が保持して作業するためのものであることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具。
  2. 請求項1に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記吸引手段は、空気を吸引する吸引モードと、空気を噴出する噴出モードとが切り替え可能であることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具。
  3. 請求項1又は2に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記吸引手段は、吸引時の圧力上昇を検出する圧力センサを具備することを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具。
  4. 請求項1〜の何れか一項に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記管の先端部の外周面には、ブラシが設けられていることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載の脱硝触媒の閉塞除去工具において、前記管には、水蒸気を噴出する水蒸気噴出管が内蔵されていることを特徴とする脱硝触媒の閉塞除去工具。
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