JP5634951B2 - 走行体の停止位置検出方法、及び走行体の停止位置検出装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、様々な原因により列車が基準停止位置を超えた位置に停止したり(オーバーラン)、基準停止位置に達せずに停止したり(手前停車)する状況が発生する。斯かるオーバーランなどの状況が発生した場合、乗客がスムーズに乗降できないなどの不都合が発生することは言うまでもない。
ところで、近年、新幹線及び在来線や地下鉄などにおいては、乗客のプラットホームからの転落や列車との接触事故の防止などを目的とした安全対策の一つとして、プラットホーム上に可動柵やホームドアが設置されるようになってきている。
特許文献1は、移動体の位置を検出するための位置検出装置であって、前記移動体の画像を当該移動体の背景の画像とともに撮像可能なように設置された画像センサと、前記画像センサによって撮像された、前記移動体が写っていない画像であるベース画像と、前記移動体が写った画像である検出用画像とを比較することにより、前記移動体の位置(特に、先頭位置)を検出する位置検出部と、を有してなる位置検出装置を開示する。
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、カメラ(画像センサ)がほぼ真下を向くように配置されていて、カメラ単一の視野を広くとることができず、その視野は狭いものとなるといった問題が存在した。また、カメラが列車進行方向に対してほぼ真下を向いていると、列車がプラットホーム上の基準停止位置で停止せずカメラの下を通り過ぎた後は、当該列車の先頭部分がカメラの狭い視野から外れてしまい、当該先頭部分の位置を検出できなくなる可能性を否めない。また、列車の停止位置のほぼ真上にカメラを設置することは、既設の設備との関係で困難を極めることがあった。
ところが、列車停止時に、列車の先頭部がプラットホーム上の基準停止位置PSに一致し正常な停車をしていたとしても 図2に示す如く、斜めを向く撮像手段で得られた画像では列車の先頭部位置PFが基準停止位置PSと一致していないものとなる。このような斜め画像から列車の停止している位置を正確に検出すると共に、その位置が基準停止位置PSと一致しているか否かを判定することは、通常、困難を極めることとなる。
しかしながら、現実の駅においては、複数の鉄道事業者が相互に乗り入れすることがある。このような相互乗り入れが無いにしても、形状の異なる車両が入線する場合があり、参考画像を基に、列車の停止位置を検出することは難しいのが現状である。
すなわち、本発明に係る走行体の停止位置検出方法は、走行体の端部を撮像した撮像画像を基に前記走行体の停止位置を検出する検出方法であって、前記走行体が停止する位置として予め設定された基準停止位置と、この基準停止位置に対し上下方向又は左右方向にずれた位置に存在する走行体の端部位置とが同時に写り込むように、前記走行体の端部を撮像するステップと、撮像された撮像画像を基に、基準停止位置と走行体の端部位置との実空間における水平方向のズレ距離量を算出するステップと、算出されたズレ距離量を基に、走行体が基準停止位置に停止したか否かを判定するステップと、を有する。
好ましくは、前記ズレ距離量を算出するステップは、前記撮像手段に備えられた撮像レンズに起因する撮像画像の歪みを補正する「レンズ歪み補正工程」を有しているとよい。
なお、本発明に係る走行体の停止位置検出方法の最も好ましい形態は、走行体の端部を撮像した撮像画像を基に前記走行体の停止位置を検出する検出方法であって、前記走行体が停止する位置として予め設定された基準停止位置と、この基準停止位置に対し上下方向又は左右方向にずれた位置に存在する走行体の端部位置とが同時に写り込むように、前記走行体の端部を撮像するステップと、前記走行体に設けられた排障器の前端部又は連結器の前端部を、当該走行体の端部として検出する端部検出ステップと、撮像された撮像画像を基に、基準停止位置と走行体の端部位置との実空間における水平方向のズレ距離量を算出するステップと、算出されたズレ距離量を基に、走行体が基準停止位置に停止したか否かを判定するステップと、を有し、前記ズレ距離量を算出するステップは、前記検出された走行体の端部位置の座標と、前記基準停止位置の座標と、排障器又は連結器の高さ情報とを基に、幾何学変換式を用いて前記撮像画像での基準停止位置と走行体の端部位置のズレ距離量を算出することを特徴とする。
図1において、列車3は、列車3の先頭部位置PFが基準停止位置PSと一致するように停止している。プラットホーム2(以降、ホーム2と呼ぶ)上には可動柵11が設置されており、乗客は、可動柵11のドアの位置から列車3に乗降する。
なお、基準停止位置PSとは、ホーム2上に予め設定された列車3の停止位置である。列車3の先頭部位置PFとは、図2に示す如く、列車3の先頭車両に設けられている排障器10の前端部の位置のことである。なお、先頭位置PFとして、先頭車両に設けられた連結器4の前端を採用することも可能である。
本発明に係る走行体の停止位置検出装置1は、新幹線や在来線、地下鉄などの駅のホーム2に設置されており、このホーム2に進入する走行体の前端部、すなわち列車3の先頭部3aの位置PFを検出し、その位置がホーム2上に設定された基準停止位置PSに一致しているか否かを判定するものである。
図1に示す如く、停止位置検出装置1は、駅のホーム2に停止した列車3の先頭部3aを列車進行方向の前方から後方に向かって撮像するための前方カメラ5(撮像手段)と、この前方カメラ5が撮像した画像を取り込んで処理し列車3の停止位置を判定する画像処理装置6と、を有している。
この前方カメラ5は、列車3の前面を斜めから撮像可能となるように、その光軸が基準停止位置PSに停止した列車3の前方から後方を向くように取り付けられている。
なお、このような前方カメラ5において、時刻や天候に応じて露出量を最適化する自動露出機構が備えられると好ましい。前方カメラ5は、この自動露出機構によって、一日を通して輝度値の変動の小さな安定した撮像を行うことができる。
画像処理装置6は、前方カメラ5が撮像した画像を取り込む「画像取込手段20」と、取り込んだ先頭部画像Fに対して画像処理を施し、画像上における列車3の先頭部3aの位置PFを特定する「端部検出手段21」とを有している。
加えて、ズレ距離量算出手段22が算出したズレ距離量Wに基づいて、列車3の停止位置が正常か否かを判定する「停止位置判定手段23」を備えている。
図3に示すように、実空間では、基準停止位置PSはホーム2上に設けられていて、その位置より下側に下がった位置に列車3の先頭部位置PFが存在する。それ故、列車3が基準停止位置PSに停止したとしても、図2に示す如く、画像取込手段20で得た先頭部画像Fでは、基準停止位置PSと先頭部位置PFはズレた状態で写り込むこととなる。
この端部検出手段21における具体的な処理としては、周知の画像処理手法を用いればよい。例えば、フレーム画像の各ピクセルの輝度値に対してある閾値を用いて二値化処理を施すことで列車3の先頭部3aを検出してもよいし、フレーム画像のカラー情報(RGB輝度値)を基に列車3の色を抽出し、列車3の色と背景色の境界線を識別することで先頭部3aを検出してもよい。なお好ましくは、本願出願人が既に開発した技術(特願2009−266044)を用いるとよい。
本実施形態の場合、ズレ距離量算出手段22は、実空間における「列車3の先頭部位置PF」と「レール9上に設定された基準停止位置PS’」との水平方向でのズレ距離量を算出するものとされている。図3に示す如く、レール9上に設定された基準停止位置PS’は、ホーム2上に設定されている基準停止位置PSを垂直方向に降ろし且つ水平方向に移動させたものであり、水平方向においては、ホーム2上の基準停止位置PSとレール9上に設定された基準停止位置PS’とは同位置にある。
とはいえ、レール9上に設定された基準停止位置PS’に対して、排障器10前端部である列車3の先頭部位置PFは、上方にh2だけ上がった位置にあるため、先頭部画像Fにおける基準停止位置PS’と先頭部位置PFの画素差をもってして、両者の水平方向のズレ距離量Wとすることはできない。
具体的には、このズレ距離量算出手段22は、前方カメラ5の設置位置などを基にして予め導出された幾何学的変換式を用い、基準停止位置PS’と先頭部位置PFの実空間上でのズレ距離量Wを求める幾何変換工程24を有している。
幾何変換工程24は、具体的には、式(1)〜式(10)で構成されている。
なお、nは撮像面7乃至は先頭部画像Fの横方向での全画素数、Eは撮像面7乃至は先頭部画像Fにおける列車3の先頭部3aの横方向での位置(画素座標)である。
得られた計算結果を基に、式(3)を計算し、その後、式(8)を計算する。式(8)を基に、式(7)を計算する。その後、排障器10の地上高さh2と式(4)の結果を基に、式(5)を計算する。
最後に、式(3)、式(5)、式(8)、式(9)を使って、式(6)を計算し、最終的に式(10)により、ズレ距離量Wを求める。
さらに、本実施形態のズレ距離量算出手段22では、距離差Wをより正確なものとするレンズ歪み補正工程25を備えている。
式(11)を得るにあたっては、本願出願人は、レール9上に貼り付けられたメジャーなどを画面上で読み取ることで得られた結果と、幾何変換工程24で用いた式(1)〜式(10)を利用して得られた実空間位置との誤差に着目した。これら誤差を近似式で表すため本願出願人はサインカーブを選定し、最小二乗法等で回帰曲線すなわちレンズ歪み補正曲線である式(11)を求めた。
なお、幾何変換工程24及びレンズ歪み補正工程25を実施することで、画像から実空間への変換精度は非常に高いものとなり、変換誤差量しては±6mm以下を実現できるようになったことを本願出願人は確認している。
図7には、以上述べた本発明の停止位置検出装置1を用いて、ズレ距離量Wを求める際のフローチャートが示してある。
次に、S2において、端部検出手段21により、先頭部画像Fにおける列車3の先端部位置PFの画素座標を特定する。
S4では、ズレ距離量算出手段22のレンズ歪み補正工程25により、撮像手段に取り付けられている撮像レンズ8の歪みを補正し、ズレ距離量Wをより正確なものとする。なお、実際の処理では、S3,S4の両ステップは同時に行われる。
以上述べたような先頭部画像Fに対するキャリブレーション処理を行うことで、列車進行方向の前方側であって設備的に設置可能な場所にカメラを配備し、列車3の前面を斜めから撮像した場合であっても、列車3の端部と基準停止位置とのズレ量を正確に求めることができ、列車3が基準停止位置に正確に停止しているか否か、言い換えるならば、オーバーランや手前停車の状況を確実に判定することが可能となる。
2 ホーム
3 列車(走行体)
3a 列車の先頭部
4 連結器
5 前方カメラ(撮像手段)
6 画像処理装置
7 撮像面
8 撮像レンズ
9 レール
10 排障器
11 可動柵
12 屋根
20 画像取込手段
21 端部検出手段
22 ズレ距離量算出手段
23 停止位置判定手段
24 幾何変換工程
25 レンズ歪み補正工程
F 先頭部画像(撮像画像)
PF 先頭部位置
PS ホーム上の基準停止位置
PS’レール上の基準停止位置
Claims (4)
- 走行体の端部を撮像した撮像画像を基に前記走行体の停止位置を検出する検出方法であって、
前記走行体が停止する位置として予め設定された基準停止位置と、この基準停止位置に対し上下方向又は左右方向にずれた位置に存在する走行体の端部位置とが同時に写り込むように、前記走行体の端部を撮像するステップと、
前記走行体に設けられた排障器の前端部又は連結器の前端部を、当該走行体の端部として検出する端部検出ステップと、
撮像された撮像画像を基に、基準停止位置と走行体の端部位置との実空間における水平方向のズレ距離量を算出するステップと、
算出されたズレ距離量を基に、走行体が基準停止位置に停止したか否かを判定するステップと、を有し、
前記ズレ距離量を算出するステップは、前記検出された走行体の端部位置の座標と、前記基準停止位置の座標と、排障器又は連結器の高さ情報とを基に、幾何学変換式を用いて前記撮像画像での基準停止位置と走行体の端部位置のズレ距離量を算出する
ことを特徴とする走行体の停止位置検出方法。 - 前記ズレ距離量を算出するステップは、
前記撮像手段の視野範囲で構成される三角形から得られた幾何学変換式を基にして、前記撮像画像での基準停止位置と走行体の端部位置とからズレ距離量を算出する「幾何変換工程」を有していることを特徴とする請求項1に記載の走行体の停止位置検出方法。 - 前記ズレ距離量を算出するステップは、
前記撮像手段に備えられた撮像レンズに起因する撮像画像の歪みを補正する「レンズ歪み補正工程」を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行体の停止位置検出方法。 - 画像処理を用いて走行体の端部位置を検出する検出装置であって、
前記走行体の端部を撮像可能となるように配備された撮像手段と、
請求項1〜3のいずれかに記載された走行体の停止位置検出方法を用いて、走行体の停
止位置を検出するよう構成された画像処理部と、
を有することを特徴とする走行体の停止位置検出装置。
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