JP5634832B2 - 酸素分圧制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素含有ガスを酸素ポンプにより低酸素分圧に精製するための酸素分圧制御方法に関する。
固体電解質を含む電気化学的な酸素ポンプを有する酸素分圧制御装置により、酸素分圧を制御した雰囲気ガスを用いて、単結晶試料等を作成する方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献2に示された図3の酸素分圧制御装置は、バルブ102を通った不活性ガスの流量を設定値に制御するマスフローコントローラ(MFC)103と、このマスフローコントローラ103を通った不活性ガスを目的の酸素分圧に制御可能な電気化学的な酸素ポンプ104と、酸素ポンプ104で制御された不活性ガスの酸素分圧を検出して試料育成装置などの次工程(装置)に供給する供給ガス用の酸素センサ105を有する。
さらにこの装置は、所望の酸素分圧値を設定する酸素分圧設定部106と、酸素センサ105による検出値を酸素分圧設定部106による設定値と比較して酸素ポンプ104から送り出される不活性ガスの酸素分圧を所定値に制御する制御部107と、酸素センサ105による検出値を表示する酸素分圧表示部108を備える。
酸素ポンプ104は、図4に示すように、酸素イオン伝導性を有する固体電解質筒状体104aの内外両面に電極104b、104cを形成している。固体電解質筒状体104aは、例えばジルコニア系の固体電解質であり、図示しないヒーターで加熱される。固体電解質筒状体104aの一方の開口から他方の開口に向けて軸方向に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えばアルゴンであり、通常は微量の酸素(10-1〜10-2Pa[10-6〜10-7atm]程度)を含んでいる。直流電源Eに対し、外面の電極104cを+極に接続し、内面の電極104bを−極に接続して、両電極間に電圧を印加すると、固体電解質筒状体104a内を流れる不活性ガス中の酸素分子(O2)が電気的に還元されてイオン(O2-)化され、固体電解質を通して再び酸素分子(O2)として固体電解質筒状体104aの外部に放出される。固体電解質筒状体104aの外部に放出された酸素分子は、空気等の補助ガスと共に排気される。固体電解質筒状体104aに供給されたAr+O2(10-1〜10-2Pa程度)の不活性ガスは、酸素分子が低減されて目的の酸素分圧に制御された処理済みガス(精製ガス)となり、次工程(装置)に給送される。
なお、図3の酸素ポンプ104は、低酸素分圧状態の制御や微調整等のために、必要に応じて、固体電解質筒状体104aの内外両面の電極104b、104c間に上記と逆極性の直流電圧を印加してポンプ動作を行わせることも可能である。すなわち、外面の電極104cに−極を印加し、内面の電極104bに+極を印加すると、固体電解質筒状体104aの外面に沿って流れる空気などのガス中の酸素分子(O2)が電気的に還元されてイオン(O2-)化され、固体電解質を通して再び酸素分子(O2)として固体電解質筒状体104aの内部に放出される。この場合、固体電解質筒状体104aの内部を流れる不活性ガスの酸素分圧が上昇して、外部に給送される。
このような酸素ポンプにより酸素分圧を制御したガスを供給すれば、結晶育成、合金化、熱処理、半導体製造工程などが酸素分圧を制御した不活性ガスなどの雰囲気下で行うことができる。
特開2002−326887号公報 国際公開WO 2008/068844 A1
このような酸素ポンプで使用される固体電解質の特性は、例えば、図5のグラフに示されている。このグラフは、酸素ポンプを作動させる際の固体電解質の作動温度及び固体電解質の電気伝導度の変化を直交軸上に表示したものであり、横軸に絶対温度の逆数(102/T(K-1)、縦軸に電気伝導度(Ω-1・cm-1)を取り、複数の固体電解質(酸素イオン伝導体)の特性を示している。縦軸の電気伝導度にイオン輸率を乗じた値が、固体電解質を通過する酸素イオンの量に対応するものである。したがって、このグラフは、酸素ポンプの作動効率が温度依存性を有することを示している。
図6は、酸素ポンプを作動させる際の固体電解質の作動温度及びガスの酸素分圧によって特定されるイオン輸率を示す図である。固体電解質には、例えば図6のグラフに示すように、イオン輸率≧0.99と定義される電解伝導領域がある。酸素ポンプをこの領域内で作動させれば、高いイオン輸率に基づき効率的な酸素除去性能が得られるが、この領域外の作動では固体電解質を通じて移動する電子の割合が多くなり、酸素の排出作用が十分には得られない。
従来の酸素分圧制御においては、酸素ポンプに単一種の固体電解質を用いていたため、電解伝導領域がその固体電解質固有の範囲に限られていた。その結果、効率的に制御できる酸素分圧の上下限が、用いる固体電解質の電解伝導領域により制限されていた。特に、酸素分圧が電解伝導領域の下限に接近すると、酸素分圧の低減効率が低下し、目標とする酸素分圧への到達に長時間を要したり、効率アップのために大掛かりな装置を必要とするという問題があった。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、広い範囲の酸素分圧に亘って高い作動効率で酸素分圧の制御を行うことができる酸素分圧制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するため、酸素含有ガスを酸素ポンプにより酸素分圧が低減されたガスに精製するための酸素分圧制御方法であって、固体電解質の温度―酸素分圧域である電解伝導領域が異なる複数種の酸素ポンプを構成し、精製対象ガスの酸素分圧に応じて、精製対象ガスの酸素分圧を、電解伝導領域の酸素分圧域に含む酸素ポンプを用いることを特徴とする酸素分圧制御方法を提供するものである。
上記制御方法においては、電解伝導領域が異なる複数種の酸素ポンプを構成し、精製対象ガスの酸素分圧が高いときは、少なくとも高い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプを用い、精製対象ガスの酸素分圧が低いときは、低い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプを用いる。このような排出を効率的に行うには、精製対象ガスの酸素分圧を、電解伝導領域の酸素分圧域に含む酸素ポンプを用いるのが望ましい。本発明では、この観点から、精製対象ガスの酸素分圧が高いときは、少なくとも高い電解伝導領域に酸素分圧域を持つ酸素ポンプを用いる。こうして用いる酸素ポンプは、電解伝導領域内での作動に基づく高い作動効率を可能とする。さらに、本発明においては、精製対象ガスの酸素分圧が低いときは、低い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプを用いる。上記の酸素分圧域が高い酸素ポンプの作動は、精製対象ガスの酸素分圧低下と共に、電解伝導領域の限界に到達または接近し、これに伴って効率が低下する。これに対し、精製対象ガスの酸素分圧が低くなったときに、低い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプを用いることにより、その酸素ポンプを電解伝導領域内で作動させることができ、この段階においても高効率の酸素排出が可能となる。このようにして、本発明によれば、広い範囲の酸素分圧に亘って高い作動効率で酸素分圧の低減を行うことができる。
以上のように、本発明によれば、広い範囲の酸素分圧に亘って高い作動効率で酸素分圧の低減を行い得る酸素分圧制御方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る酸素分圧制御方法を実施するための装置を示すブロック図である。 本発明に係る酸素分圧制御方法に関し、固体電解質の温度と到達酸素分圧との関係を示すグラフである。 従来の酸素分圧制御装置の一例を示すブロック図である。 固体電解質を用いた酸素ポンプの原理の説明図である。 酸素ポンプで使用される固体電解質の温度(逆数)と電気伝導係数(対数)との関係を示すグラフである。 固体電解質の温度(逆数)と到達酸素分圧(対数)とによって特定されるイオン輸率を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る酸素分圧制御方法を実施するための装置を示すブロック図である。この酸素分圧制御装置1は、精製対象ガスである原料ガスを低酸素分圧に制御したガスに精製するガス精製部10と、ガスを環流させるための循環路4と、該循環路中に設けられた循環ポンプ5とを備えており、精製中のガスを循環させて精製度を上げる循環タイプとなっている。精製されたガスは、循環路4での循環後または循環と並行して、精製ガスを用いる処理装置Fに供給される。
循環路4は、ガス精製部10の上流側及び下流側に接続された共通流路41と、処理装置Fを経る作動流路42と、処理装置Fを経ない流路を形成するバイパス流路43とを備えている。ガス精製部10の下流側の共通流路41は、酸素センサ22、循環用ポンプ5及び制御弁61を経て作動流路42及びバイパス流路43に接続している。作動流路42及びバイパス流路43の終端は、制御弁62を経て、ガス精製部10の上流側の共通流路41に接続している。また、ガス精製部10の上流側の共通流路41には、レギュレータ(REG)12、マスフローコントローラ(MFC)13が設けられている。
循環路4の始端410(図の上左端)は、装置外のガス供給源に接続されるようになっており、該供給源から不活性ガス等の原料ガスが供給される。また、循環路4の始端410の直ぐ下流側には、制御弁11が設けられている。
制御弁11は、始端410からの原料ガス流と、共通流路41からの精製ガス流との切り換え及びガス流の遮断の制御をするようになっている。レギュレータ12は、酸素ポンプ及び酸素センサに接続された共通流路41の圧力を一定に保持し、マスフローコントローラ13は、制御弁11を通過した原料ガスの流量を設定値に制御する。
この酸素分圧制御装置1は、2個の酸素ポンプ21a,21bを備えている。各酸素ポンプは、図4に示したのと同様に固体電解質、電圧印可機構等を備えて構成され、各々筒状の固体電解質211a,211bの内外面に白金等の電極層を設け、直流電源の−極を内側、+極を外側に接続している。酸素センサ22は、酸素ポンプにより制御された酸素分圧を検知して検知信号を発する。ガス精製部10はさらに、酸素ポンプ21a,21bを収容する精製室27を備えている。精製室27内の共通流路41は、分配装置29を経て酸素ポンプ21a,21bに接続されている。
精製室27内には、加熱部28a,28bが設けられている。これらの加熱部は、各々酸素ポンプ21a,21bに対して作用し、固体電解質211a,211bを各々温度制御下に加熱するように構成されている。この加熱部は、例えば、固体電解質211の外周にシースヒータを装着し、その外側を断熱材で覆ったもの等とすることができる。加熱部の温度制御は、酸素ポンプの作動状態に応じて制御部23により行われる。制御部23は、統括部23a、温度操作部23b及び演算部23cを備えており、酸素ポンプ21の作動状態を演算部23cで判別し、統括部23aの指令の下に温度操作部23bが加熱部28の温度を操作する。その制御については後述する。
図1に示した酸素分圧制御装置1は、次のようにして使用される。目標とする酸素分圧を、酸素分圧設定部24に入力する。酸素ポンプ21a,21bは、加熱部28a,28bにより所定温度に加熱され、固体電解質211a,211bに所定の電圧が印加される。
初期段階では、ガス精製部10は、制御弁61,62により共通流路41からバイパス流路43に流れる循環経路に設定される。この状態で、制御弁11を開き、循環ポンプ5を作動させることにより、共通流路41の始端410から原料ガスを導入する。原料ガスは、短時間に目的とする酸素分圧に到達できるように、或る程度低い酸素分圧とされ、高純度ガス(酸素分圧が約10-2Pa)程度の低酸素分圧とするのが望ましい。
導入された原料ガスは、レギュレータ12、マスフローコントローラ13により圧力及び流量が制御され、酸素ポンプにおいて酸素が除去されることにより酸素分圧が低下する。その酸素分圧は酸素センサ22により検知され、酸素分圧表示部25に表示される。
こうしてガスはバイパス流路43から共通流路41へと循環し、酸素ポンプによる酸素除去が繰り返される。酸素分圧制御部23は、検知された酸素分圧と、酸素分圧設定部24によって設定された目標値との比較に基づいて、各々の作動電流を調節し、ガス循環に基づいて、酸素分圧を目標値に近づけて行く。例えば、温度600℃において約10-25Pa程度の従来到達可能な酸素分圧であれば、このようにして得ることができる。
求める酸素分圧がこのような値であれば、共通流路41からバイパス流路43に流れる循環によって酸素分圧表示部25が示す酸素分圧が上記値に到達したところで、制御弁61,62を切り換えて、ガス流を共通流路41から作動流路42を流れる経路とする。これにより、所定酸素分圧のガスは、処理装置Fへと流れ、処理装置Fにおいて目的とする処理が行われることとなる。
図示の装置は、高い作動効率で酸素分圧の低減を行うために、さらに次のように構成されている。その構成は、異なる特性を備えた固体電解質への精製対象ガス分配の切り換え、固体電解質作動のための加熱の切り換え、並びに、固体電解質作動のための電圧印加の切り換えを、選択的に可能とするものである。以下では、先ず、異なる特性を備えた固体電解質への精製対象ガス分配の切り換えについて説明する。
各酸素ポンプ21a,21bの固体電解質211a,211bが、相互に異なる特性を備えたものとされている。固体電解質の特性は、固体電解質の材質、寸法、作動温度等を異なるものとすることにより相互に異なったものとすることができる。材質の異なる固体電解質は、ジルコニア、ランタンガレート、トリア等、異なる種類のものを用いる他、同じ種類であっても添加剤等の種類や量を異ならせることにより得ることができる。このように、固体電解質得が特性を異にすることにより、酸素ポンプ21a,21bは、電解伝導領域の酸素分圧域の高低が、相互に異なったものとなる。この実施形態では、酸素ポンプ21aの電解伝導領域の酸素分圧域が高く、酸素ポンプ21bの電解伝導領域の酸素分圧域が低く設定されている。分配装置29は、制御部23による制御下に、単一または複数の酸素ポンプ21a,21bに対して精製対象ガスを分配する。加熱部28a,28bは、制御部23の制御下に、各固体電解質を適切な温度に加熱する。
酸素分圧制御装置1の制御部23は、これらの構成に基づいて、精製対象ガスの酸素分圧が高いときは、高い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプ21aに分配を行い、精製対象ガスの酸素分圧が低いときは、低い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプ21bに分配を行う。なお、精製対象ガスの酸素分圧が高いときは、高い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプ21aと、低い酸素分圧域に電解伝導領域を持つ酸素ポンプ1bとの双方に分配を行うようにすることもできる。この構成により、以下の作用効果が得られる。
酸素ポンプの作動工程を、固体電解質の温度(逆数)と到達酸素分圧(対数)に対するイオン輸率の関係をグラフ上で見れば、図2のようになる。図2は、酸素分圧域が高い電解伝導領域Da(酸素ポンプ21a)と、酸素分圧域が低い電解伝導領域Db(酸素ポンプ21b)の2つの電解伝導領域を示している。電解伝導領域は、図6にも示したように、横軸に温度の逆数、縦軸に酸素分圧の対数をとったときに、縦軸に近い側を頂点とするようにV字を横向きにした横V字形(またはその一部分)の境界線を有し、その境界線内の領域が電解伝導領域に相当する。電解伝導領域Daは、酸素分圧の上限ラインUa及び下限ラインLaで囲まれた領域であり、電解伝導領域Dbは、酸素分圧の上限ラインUb及び下限ラインLbで囲まれた領域である。電解伝導領域Daにおける低酸素分圧部分と、電解伝導領域Dbにおける高酸素分圧部分とは、図示のように一部を重複させている。
従来は、酸素ポンプに単一種の固体電解質を用いていたため、電解伝導領域がその固体電解質固有の範囲に限られていた。特に、低い酸素分圧の精製ガスを得る場合は、酸素分圧域が低い電解伝導領域Dbを有する固体電解質を用いて精製を行う。その結果、矢印(b) で示す精製で得られる酸素分圧が実質的な限界となっていた。また、酸素分圧が下限ラインLbに接近するにつれて酸素分圧低減効率が低下し、目標酸素分圧への到達に長時間を要するという問題があった。なお、得ようとする精製ガスの酸素分圧が高い場合は、電解伝導領域Daを有する固体電解質を用いて精製を行うが、この場合も、矢印(a) で示す精製で得られる酸素分圧が実質的な限界となり、また、酸素分圧が下限ラインLaに接近するにつれて酸素分圧低減効率が低下し、目標酸素分圧への到達に長時間を要するという問題があった。
これに対し、酸素分圧制御装置1の制御部23は、矢印(c) で示すように、精製対象ガスの酸素分圧が高いときは、高い酸素分圧域に電解伝導領域Daを持つ酸素ポンプ21aに分配を行い、精製対象ガスの酸素分圧が低くなると、低い酸素分圧域に電解伝導領域Dbを持つ酸素ポンプ酸素21bに分配を行う。これにより、上限ラインUaから下限ラインLbに至る広い範囲に亘って精製を行なうことができる。また、2つの電解伝導領域間の移行の際、精製しているガスの酸素分圧が、高い電解伝導領域Daの下限ラインLaに到達または接近する前に、精製対象ガスの分配先を酸素ポンプ21aから酸素ポンプ21bに切り換えることにより、下限ラインLaへの到達または接近に伴う酸素分圧低下効率の低下を回避することができ、高い効率をもって精製を行うことができる。なお、図2において、矢印(a), (b), (c) を水平軸方向にずらせて表示しているのは、矢印の重なりによる不明瞭を避けるための便宜的なものであり、実質的には同じ絶対温度での作動を示すものである。また、精製範囲は、各矢印において上限ラインから下限ラインまでとして表示しているが、これらのラインの間の範囲とすることもできる。
精製対象ガスの分配の切り換えは、分配装置29に対する制御部23の作動によって行われる。制御部23の演算部23cは、酸素ポンプにより得られる酸素分圧が電解伝導領域における酸素分圧の下限値に到達または接近したことを検知する。この検知は、例えば、演算部23cにおいて、予め準備した電解伝導領域の分布データと、精製装置の作動温度及び酸素分圧の測定値とを比較することにより行うことができる。すなわち、電解伝導領域の分布データは、図6に例示したように、固体電解質の材質等にしたがって定まるので、精製装置の作動温度及び酸素分圧の測定値と分布データとの比較により、電解伝導領域に対する現在の制御位置を判別することができる。これをモニタ等することにより、酸素ポンプにより得られる酸素分圧が電解伝導領域における酸素分圧の下限値に到達または接近したことを検知することができる。
上記検知はまた、演算部23cにおいて、酸素ポンプにおける酸素分圧の測定値の変化率が所定値より低減したことを判別することにより行うことができる。酸素ポンプによる酸素分圧の低減効率は、電解伝導領域の下限値に到達または接近したときに低下する。したがって、予め酸素分圧の低減効率についての下限値を設定しておき、酸素ポンプによる酸素分圧をモニタ等しながら、低減効率を算出し、その低減効率、すなわち変化率が、設定した下限値に到達または接近したことにより、電解伝導領域における酸素分圧の下限値に到達または接近したことを検知することができる。酸素分圧の低減効率は、例えば、酸素ポンプに流れる電流に対する酸素分圧の低下量として算出することができる。
このようにして酸素分圧が電解伝導領域における下限値に到達または接近したことが検知されると、統括部23aは分配装置29に対して指令信号を発し、これにしたがって分配装置29は、精製対象ガスの分配の上記切り換えを行う。
次に、広い酸素分圧に適用するための構成例として、固体電解質作動のための加熱温度の設定について説明する。図1に示す酸素分圧制御装置1において、加熱部28a,28bは、制御部23により、各々の加熱温度が独立して制御される。固体電解質は、温度により電解伝導領域(イオン輸率が1となる範囲)及び電気伝導率が異なる。
固体電解質211aを備えた酸素ポンプ21aは電解伝導領域の酸素分圧域が高く、固体電解質211bを備えた酸素ポンプ21bの電解伝導領域の酸素分圧域が低くなるように加熱部28a,28bが設定されており、ここでは、加熱部28aが加熱部28bより高い温度の設定されている。したがって、図2に矢印(c) で示した精製過程が得られる。これにより、先に述べたのと同様にして、上限ラインUaから下限ラインLbに至る広い範囲に亘って精製を行なうことができ、また、精製しているガスの酸素分圧が、高い電解伝導領域Daの下限ラインLaに到達または接近する前に、作動を酸素ポンプ21aから酸素ポンプ21bに切り換えることにより、下限ラインLaへの到達または接近に伴う酸素分圧低下効率の低下を回避することができ、高い効率をもって精製を行うことができる。
上記加熱部の作動の切り換えは、酸素ポンプにより得られる酸素分圧が電解伝導領域における下限値に到達または接近したことを検知することに基づいて行われる。この検知は、精製対象ガスの分配の切り換えについて説明したのと同様にして行うことができる。
精製対象ガスの供給は、酸素ポンプ21a,21bの双方に対して行いながら、加熱部28a,28bを制御することにより、作動する酸素ポンプを所定のものに限定することができる。或いは、前述の分配装置29により、精製対象ガスの供給先を所定の酸素ポンプとした上で、加熱部28a,28bの制御により、作動する酸素ポンプをその供給先のものとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、精製対象ガスの酸素分圧に応じて酸素分圧域の高低が異なる電解伝導領域の酸素ポンプを用いるにあたっては、前述のように、精製対象ガス分配の切り換え、固体電解質の加熱の切り換え、並びに、固体電解質の作動温度の設定を、選択的に行えばよい。この場合、選択した構成以外の構成は、各酸素ポンプに共通とすることができる。すなわち、酸素ポンプへの精製対象ガスの供給、固体電解質の加熱、固体電解質の作動温度の設定の内、選択外となった構成を共通化することができる。
酸素分圧制御装置は、電解伝導領域が異なる3種類以上の酸素ポンプを備え、精製対象ガスの酸素分圧の高低に応じて、用いる酸素ポンプを切り換えるようにしてもよい。また、酸素分圧制御装置は、実施形態に示した循環タイプのものに代えて、ガス精製部(酸素ポンプ)を経た精製ガスを、同じ精製過程に戻すことなく、処理装置に供給するタイプ(ワンパスタイプ)とすることもできる。酸素分圧が目標値よりも低くなった場合には、固体電解質に印加する電圧の極性を逆にして酸素ポンプ内に酸素を取り込むことにより、目標値の酸素分圧を得ることができる。
上記実施形態では、筒状をなす固体電解質の内側を、精製すべきガスの供給側とし、固体電解質の外側を酸素の排出側としたが、これを逆にして、固体電解質の外側を、精製すべきガスの供給側、内側を酸素の排出側とすることもできる。また、固体電解質を平面または曲面の板状とすることもできる。この場合は、固体電解質の一方の側及び他方の側のいずれかを、精製すべきガスの供給側、反対の側を酸素の排出側とすることができる。そして、固体電解質の供給側及び排出側のガスが相互に混合しないように、固体電解質に隣接する仕切り部材をガス精製部に設けるのが望ましい。
1: 酸素分圧制御装置
4: 循環路
10: ガス精製部
21a,21b:酸素ポンプ
23: 制御部
28a,28b:加熱部
23a: 統括部
23b: 温度操作部
23c: 演算部
29: 分配装置
211a,211b:固体電解質
F: 処理装置
Da,Db:電解伝導領域
Ua,Ub:上限ライン
La,Lb:下限ライン

Claims (5)

  1. 酸素含有ガスを酸素ポンプにより酸素分圧が低減されたガスに精製するための酸素分圧制御方法であって、
    固体電解質の温度―酸素分圧域である電解伝導領域が異なる複数種の酸素ポンプを構成し、
    精製対象ガスの酸素分圧に応じて、精製対象ガスの酸素分圧を、電解伝導領域の酸素分圧域に含む酸素ポンプを用いることを特徴とする酸素分圧制御方法。
  2. 異なる電解伝導領域の一部を重複させていることを特徴とする請求項1に記載の酸素分圧制御方法。
  3. 精製対象ガスの酸素分圧に応じて、用いる酸素ポンプの変更をするにあたり、複数の酸素ポンプのいずれかにおいて電解伝導領域が相互に異なる複数種の固体電解質を設け、いずれかの固体電解質を選択可能とすることにより、前記電解伝導領域が異なる複数種の酸素ポンプを構成することを特徴とする請求項1に記載の酸素分圧制御方法。
  4. 精製対象ガスの酸素分圧に応じて、用いる酸素ポンプの変更をするにあたり、複数の酸素ポンプの固体電解質における作動温度を変えることにより、前記電解伝導領域が異なる複数種の酸素ポンプを構成することを特徴とする請求項1に記載の酸素分圧制御方法。
  5. 精製対象ガスの酸素分圧に応じて、用いる酸素ポンプの変更をするにあたり、複数の酸素ポンプに対するガス供給先を切り換えることにより、前記変更を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の酸素分圧制御方法。
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