JP5634825B2 - バルブ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、バルブ構造の改良に関する。
従来、この種のバルブ構造にあっては、たとえば、車両用の油圧緩衝器のピストン部等に具現化され、緩衝器内に二つの圧力室を隔成するピストンと、当該ピストンに設けたポートの外周に配置される環状弁座に着座する環状のリーフバルブとを備え、このリーフバルブでポートを開閉するものが知られている。
そして、リーフバルブの外周側を撓ませることによりポートを開閉するバルブ構造では、環状弁座に設けた切欠あるいは環状弁座に当接するリーフバルブの外周に設けた切欠によって形成されるオリフィスを備えており、リーフバルブが環状弁座から離座する開弁圧に達するまでは、作動油にオリフィスを通過させるようにしている。
バルブ構造を上記のような構成とすることで、ピストン速度が低い場合には、減衰力が立ち上がるオリフィス特有の自乗特性となる減衰特性(ピストン速度に対する減衰力変化の特性)を得ることができ、ピストン速度が低速領域を脱して中高速となるとリーフバルブの外周側が撓んでポートを開放するので、減衰特性の傾きがピストン速度が低速領域にある場合に比較して小さくなる減衰特性を得ることができるようになっている。
しかし、上記バルブ構造では、ピストン速度が中高速領域における減衰力が過剰となって、車両における乗り心地を損なう場合があり、これを解消するため、リーフバルブの内周側を固定的に支持せずに、ピストンをピストンロッドに固定する筒状のピストンナットの外周にリーフバルブの内周を摺接させ、コイルスプリングでメインバルブを介してリーフバルブの背面を附勢した緩衝器のバルブ構造が提案されるに至っている(たとえば、特許文献1参照)。
このバルブ構造を適用した緩衝器にあっては、図示するところではピストン速度が低速領域にあるときにはリーフバルブの外周側がリーフバルブに積層したメインバルブの当接部位を支点として撓むので、内周が固定的に支持されるバルブ構造と略同様の減衰特性を発揮し、ピストン速度が中高速領域に達すると、ポートを通過する作動油の圧力がリーフバルブに作用し、コイルスプリングの附勢力に抗してリーフバルブがメインバルブとともにピストンから軸方向にリフトして後退するので、内周が固定的に支持される緩衝器のバルブ構造に比較して流路面積が大きくなり、減衰力が過大となることを抑制して、車両における乗り心地を向上することができる。
特開平9−291961号公報(図1)
ところで、上記したバルブ構造では、コイルスプリングを使用しておりバルブ構造の全長が長くなる。そこで、コイルスプリングの代わりに皿ばねを用いることで全長の短縮化を図ることができるが、実際に皿ばねを用いる場合には、以下の問題がある。
上述のようなバルブ構造を実際に組み立てる場合には、特開2006−959号公報に開示されているような組立装置が利用される。詳しくは、組立装置は、保持針を備えていて、この保持針にピストンとともにリーフバルブ、ガイド部材、バルブ抑え部材および皿ばねを一旦組み付け、これらピストン、リーフバルブ、ガイド部材、バルブ抑え部材および皿ばねを保持針から引き抜いてピストンロッドの外周へ移し変えて装着することで、バルブ構造が組み立てられる。
しかしながら、上記のような組立手法を用いる際に、リーフバルブ、ガイド部材、バルブ抑え部材および皿ばねは、それぞれ独立した部品であって、折角保持針にてこれら部品の軸心を一致させた状態としても、ピストンロッドの先端へ移し変える際に各部品がばらけてしまって、組付けを容易に行うことができない場合がある。
また、リーフバルブ、ガイド部材、バルブ抑え部材および皿ばねをピストンロッドに移し変えた後、ピストンロッドの先端にピストンナットを螺着し、当該ピストンナットで上記各部材を締め付けてピストンロッドに固定するのであるが、皿ばねの内径がガイド部材の外周に装着されるよう保持針およびピストンロッドの外径より大きいため、保持針からピストンロッドに移し変えた際に、皿ばねの内周がガイド部材の端部に乗り上げることがあり、ピストンナットを締め付けると皿ばねが当該ピストンナットとガイド部材との間に挟み込まれて、組付不良が生じる可能性があり、組付不良が生じているか否かの確認を製品毎に実施しなくてはならない手間がある。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、組付性を向上することができるバルブ構造を提供することであり、また他の目的は組付不良の発生を防止することができるバルブ構造を提供することである。
上記した目的を達成するために、本発明における課題解決手段は、ポートが形成されるバルブディスクと、前記バルブディスクの軸心部から立ち上がる軸部材と、環状であって前記軸部材の外周に装着されるとともに前記バルブディスクに積層されるガイド部材と、環状であって前記ガイド部材の外周に軸方向摺動自在に装着されて前記ポートを開閉するメインバルブと、前記ガイド部材の外周に装着されて前記メインバルブを前記バルブディスク側へ向けて附勢する環状のばね部材とを備えたバルブ構造において、前記ガイド部材の反バルブディスク側端に一体化されて前記ばね部材の反バルブディスク側端を支承するばね受け部材を備えるとともに前記ガイド部材のバルブディスク側端の外周にフランジを備え、前記フランジは前記ばね部材および前記メインバルブよりもバルブディスク側に設けられて、このフランジと前記ばね受けにより、前記ばね部材および前記メインバルブが、前記ガイド部材のバルブディスク側と反バルブディスク側両方から抜けるのを阻止されていることを特徴とする。
本発明のバルブ構造によれば、ガイド部材にばね部材およびメインバルブがガイド部材とばね受け部材によって一体にカートリッジ化されるので、ガイド部材の外周に装着されるばね部材およびメインバルブをガイド部材に径方向に位置決めした状態に維持できるので、軸部材への組み付けが容易となり、バルブ構造の組付性が向上する。
また、バルブ構造の組立に当たって、ガイド部材にばね部材およびメインバルブが乗り上げることがないので、組付不良が生じることがなく、確認作業が不要となり作業負担が軽減される。
一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器のピストン部における縦断面図である。 一実施の形態におけるバルブ構造のガイド部材、ばね部材、メインバルブおよびばね受け部材がカートリッジ化された状態における拡大縦断面図である。 一実施の形態におけるバルブ構造が具現化された緩衝器の減衰特性を説明する図である。
以下、本発明のバルブ構造を図に基づいて説明する。一実施の形態におけるバルブ構造は、図1に示すように、緩衝器のピストン部の伸側減衰バルブとして具現化されており、ポート2が形成されるバルブディスクたるピストン1と、ピストン1の軸心部から立ち上がる軸部材としてのピストンロッド5の先端5aと、環状であって上記先端5aの外周に装着されるとともにピストン1に積層されるガイド部材11と、環状であってガイド部材11の外周に軸方向摺動自在に装着されてポート2を開閉するメインバルブ13と、ガイド部材11の外周に装着されてメインバルブ13をピストン1側へ向けて附勢する環状のばね部材としての皿ばね12と、ガイド部材11の図1中上端となる反バルブディスク側端に一体化されて皿ばね12の図1中上端となる反バルブディスク側端を支承する環状のばね受け部材14とを備えて構成されている。
他方、バルブ構造が具現化される緩衝器は、周知であるので詳細には図示して説明しないが、具体的にたとえば、シリンダ40と、シリンダ40の図示しない下端を封止するロッドガイド(図示せず)と、ロッドガイド(図示せず)を摺動自在に貫通するピストンロッド5と、軸部材を形成するピストンロッド5の先端5aが挿通されて上記先端5aに固定されるピストン1と、シリンダ40内にピストン1で隔成される図1中上方側の一方室41と下方側の他方室42と、シリンダ40の図示しない上端を封止する封止部材(図示せず)と、シリンダ40から出没するピストンロッド5の体積分のシリンダ内容積変化を補償する図示しないリザーバあるいはエア室とを備えて構成され、シリンダ40内には流体、具体的には作動油が充填されている。
そして、上記バルブ構造にあっては、この場合、シリンダ40に対してピストン1が図1中下方に移動するときに、他方室42内の圧力が上昇して他方室42から一方室41へポート2を介して作動油が移動するときに、その作動油の移動にメインバルブ13で抵抗を与えて所定の圧力損失を生じせしめて、緩衝器に所定の減衰力を発生させる減衰力発生要素として機能している。
以下、このバルブ構造について詳しく説明すると、バルブディスクたるピストン1は、有底筒状に形成され、底部1aの軸心部に緩衝器のピストンロッド5の先端5aが挿通される挿通孔1bと、ポート2と、ポート2に連通する窓3と、ポート2の出口端となる窓3の外周側に形成されピストン1の底部1aよりメインバルブ13側に突出する環状の弁座1cと、外周側に延設される筒部1eと、図1中上端の挿通孔1b周りに設けられて外径が窓3の内径より小径の環状凹部1fとを備えて構成されている。環状凹部1fの底面は、弁座1cよりも低くなっている。
なお、このピストン1には、緩衝器が収縮するときに一方室41から他方室42へと向かう作動油の流れを許容する圧側のポート1dが底部1aの伸側のポート2より外周側に設けられている。
また、上述のように、ピストン1を有底筒状の形状とすることによって、シリンダ40に対する軸ぶれを回避するために必要な軸方向の摺接長さを確保しつつ、メインバルブ13等のバルブ構造を構成する一部または全部の部材をピストン1の筒部1e内に収納することが可能となって、ピストン1の図1中下端からピストンナット6の図1中上端までの長さを短くすることができ、ピストン部を小型化することができる利点がある。
このピストン1の挿通孔1b内には上述のようにピストンロッド5が挿通され、ピストンロッド5の先端5aはピストン1の図1中上方側に突出させてある。なお、ピストンロッド5の先端5aの外径は、先端5aより図1中下方側の外径より小径に設定され、ピストンロッド5の下方側と先端5aとの外径が異なる部分に段部5bが形成されている。
そして、環状のバルブストッパ22、環状の間座21、環状の圧側のチェックバルブ20の内周およびピストン1の挿通孔1bに順に上記ピストンロッド5の先端5aを挿入した後、当該先端5aに詳しくは後述するカートリッジ化されたガイド部材11、オリフィス形成部材10、メインバルブ13、環状のシム15、皿ばね12、ワッシャ16およびばね受け部材14を、組み付けたのち、ピストンロッド5の先端5aに設けた螺子部5cにピストンナット6を螺着することによって、ピストン1と上記各部材はピストンロッド5の段部5bとピストンナット6とで挟持されてピストンロッド5に固定される。
なお、この実施の形態の場合、ポート1dの図1中上端となる吸込側端は、ポート2の開口端より外周側に配置されてピストン1に積層されるメインバルブ13およびオリフィス形成部材10によって閉塞されないようになっており、ポート2の図1中下端となる吸込側端はチェックバルブ20に設けた孔20aによって閉塞されないようになっている。ポート2がチェックバルブ20に閉塞されず、ポート1dがメインバルブ13およびオリフィス形成部材10に閉塞されなければ、その配置や形状について図示したものに限定されることはなく、たとえば、各ポート2,1dを同一円周上に配置して弁座をいわゆる花弁型とする構成を採用してもよい。
また、ガイド部材11は、図1に示すように、その外径が環状凹部1fの外径より小径に設定されて、その図1中下端となるバルブディスク側端が環状凹部1f内に挿入可能とされている。より詳しくは、ガイド部材11は、バルブディスク側端の外周に径方向に突出する環状のフランジ11aを備えており、図1中上端となる反バルブディスク側端には、外径がガイド部材11の外径より大径に設定された環状のばね受け部材14が溶接や接着によって一体化される。なお、フランジ11aの外径は、環状凹部1fの外径より小径に設定されているので、上記したように、ガイド部材11のバルブディスク側端が環状凹部1fの底部へ当接するまで当該バルブディスク側端を環状凹部1f内へ挿入することが可能とされている。
そして、このガイド部材11の外周には、環状のオリフィス形成部材10とオリフィス形成部材10に積層されるメインバルブ13がともに軸方向摺動自在に装着されている。また、環状であってガイド部材11の外周に装着されて径方向に位置決めされるばね部材としての皿ばね12が設けられている。この皿ばね12は、図1中下端となる外周側をメインバルブ13側に向け、図1中上端となる内周をピストンナット6側に向けており、ガイド部材11とともにピストンロッド5に組み付けられると、ばね受け部材14によって図1中上端となる反バルブディスク側端が支承され図1中上下方向となる軸方向に圧縮されるので、初期撓みが与えられた状態でピストンナット6とメインバルブ13との間に介装され、メインバルブ13をピストン1へ向けて附勢する。
なお、この皿ばね12とメインバルブ13との間には、皿ばね12の外径以上の外径を備えた環状のシム15が介装されており、このシム15は、ガイド部材11の外周に軸方向摺動自在に装着されていて、オリフィス形成部材10、メインバルブ13とともにガイド部材11に対して図1中上下となる軸方向へ移動可能とされている。そして、このシム15は、皿ばね12の初期撓み量を調節するために皿ばね12とメインバルブ13との間に介装されており、介装枚数の変更や厚みの異なるシム15に交換することで、皿ばね12の初期撓み量を調節することができる。つまり、シム15の厚みを大きくしたり介装枚数を多くしたりすることで皿ばね12の初期撓み量を大きくできメインバルブ13を附勢する附勢力を大きくすることができ、反対に、シム15の厚みを小さくしたり介装枚数を減らしたりすることで皿ばね12の初期撓み量を小さくできメインバルブ13を附勢する附勢力を小さくすることができる。
皿ばね12の初期撓み量は、ガイド部材11の軸方向長さやメインバルブ13の軸方向長さや介装枚数によっても調節することができるが、一定の厚みを備えたシム15の介装枚数で皿ばね12の初期撓み量を調節する方が各部材の寸法を統一されるので、部品管理、製造コストの点で有利となる。また、メインバルブ13がガイド部材11に対して軸方向へ摺動すると、皿ばね12は、撓み量を変化させるが、その際、外径が拡縮して、外周が皿ばね12に接触している部材の接触面を齧るような動作をするが、高硬度のシム15を介装することでメインバルブ13を保護することが可能である。なお、皿ばね12の内周においても撓み量の変化により、皿ばね12に接触している部材の接触面を齧るような動作をするが、ばね受け部材14と皿ばね12との間に高硬度のワッシャ16が介装されているので、ばね受け部材14を保護することが可能である。なお、メインバルブ13およびばね受け部材14の保護や皿ばね12の初期撓み量の調節の必要がなければ、シム15およびワッシャ16は省略することもできる。さらに、メインバルブ13に高硬度の材料を使用する場合には、シム15を省略することもできる。また、本実施の形態にあっては、二枚の皿ばね12を積層して用いているが、積層枚数については、所望する減衰力の特性に応じて任意に変更することができる。
つづいて、ばね受け部材14は、図1に示すように、環状であって、ガイド部材11の図1中上端となる反バルブディスク側端に一体化されており、ガイド部材11の外周に装着されるワッシャ16、皿ばね12、シム15、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10がガイド部材11の反バルブディスク側から向けでることを防止する抜け止めとして機能するとともに、皿ばね12のばね力を受けるばね受けとしても機能する。
そして、ばね受け部材14を予めガイド部材11へ溶接や接着などによって一体化しておく場合には、ガイド部材11のバルブディスク側端からワッシャ16、皿ばね12、シム15、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10を順にガイド部材11の外周に装着した後、ガイド部材11のバルブディスク側端の外周を加締め加工してフランジ11aを形成し、当該フランジ11aとガイド部材11に一体化されたばね受け部材14とで、ガイド部材11の外周に装着されたワッシャ16、皿ばね12、シム15、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10のガイド部材11からの脱落を防止することができる。なお、フランジ11aは、ガイド部材11の反バルブディスク側端の外周に環状突起を設けておき、当該環状突起を外周へ加締めて形成するようにしてもよい。このように加締め加工を用いることで、簡易且つ低コストで、ガイド部材11の外周に装着されるオリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、皿ばね12およびワッシャ16の各部材のガイド部材11からの抜けを防止することができる。
また、ガイド部材11にもともとフランジ11aを形成しておく場合には、ガイド部材11の反バルブディスク側端からオリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、皿ばね12およびワッシャ16を順にガイド部材11の外周に装着した後、ガイド部材11の反バルブディスク側端にばね受け部材14を溶接などして一体化し、当該ばね受け部材14とフランジ11aとで、ガイド部材11の外周に装着されたオリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、皿ばね12およびワッシャ16のガイド部材11からの脱落を防止することができる。この場合、ガイド部材11へのフランジ11aの形成にあたっては、加締め加工以外にも種々の加工を用いることができる。
このように、ガイド部材11にオリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、皿ばね12およびワッシャ16がばね受け部材14とともに一体とされると、図2に示すように、これらがカートリッジ化される。この実施の形態では、ガイド部材11にシム15およびワッシャ16も装着されるので、シム15およびワッシャ16もカートリッジ化されることになる。
ガイド部材11、オリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、皿ばね12、ワッシャ16およびばね受け部材14の各部材が上述のようにカートリッジ化されると、皿ばね12、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10はガイド部材11の外周に径方向に位置決めされて装着されることになり、皿ばね12、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10の内周がガイド部材11の端部に乗り上げることはなくなり、カートリッジ化されたこれら部材を軸部材としてのピストンロッド5の先端5aへの組み付けることにより、バルブ構造の組付性が向上する。
なお、ガイド部材11とばね受け部材14の一体化は、溶接や接着によって行われるが、この一体化にあっては、後述するように、ガイド部材11の外周に装着される皿ばね12、メインバルブ13およびオリフィス形成部材10をガイド部材11に位置決めして組付不良を避けるために行われるものであり、組み付けが終了した後は、ピストンナット6によってこれらの部材は締付られて固定されるので組付後に位置ずれは生じないことから、上記溶接や接着は、組付け時にガイド部材11とばね受け部材14との分離を阻止できればよいので仮止めの程度であってもよい。
このカートリッジ化されたオリフィス形成部材10、メインバルブ13、皿ばね12、シム15およびワッシャ16は、ピストンロッド5の先端5aにピストン1の上方から積層され、ピストンナット6によって上記先端5aに固定される。オリフィス形成部材10、メインバルブ13、シム15、自然長の皿ばね12およびワッシャ16の積層高さは、ガイド部材11よりも低く設定されているが、ガイド部材11をピストン1に積層する場合、ガイド部材11のバルブディスク側端が底面が弁座1cより低い位置にある環状凹部1f内に挿入されるので、弁座1cに着座するオリフィス形成部材10およびメインバルブ13がガイド部材11上を反バルブディスク側方向へ滑って変位し、メインバルブ13ばね受け部材14と協働して皿ばね12を圧縮して、当該皿ばねに初期撓みが与えられてメインバルブ13を附勢する附勢力を発揮する。
上述のように外周に各部材が装着されてカートリッジ化されたガイド部材11をピストン1の環状凹部1fへ挿入しつつ、ピストンロッド5の先端5aに組み付けると、ピストン1に設けた弁座1cにオリフィス形成部材10が皿ばね12に附勢されつつ積層される。
このオリフィス形成部材10は、この図1中下面を弁座1cに当接させていて、外縁から内周へ向けて設けられる複数の切欠10aを備えている。このように構成されたオリフィス形成部材10にメインバルブ13を積層させると、上記切欠10aは、オリフィス形成部材10の図1中上方に積層されるメインバルブ13によって、オリフィス形成部材10の外縁側を残して閉塞され、オリフィス形成部材10が弁座1cに着座した状態でオリフィスが形成される。
なお、この実施の形態の場合、オリフィス形成部材10をメインバルブ13とバルブディスクとしてのピストン1との間に介装することによって、オリフィスを形成するようにしているが、弁座1cに打刻して凹部を設けてオリフィスを形成するか、メインバルブ13の弁座1c側面に凹部を設けてオリフィスを形成する場合には、オリフィス形成部材10を廃してもよい。しかしながら、オリフィス形成部材10は薄肉板を打ち抜き加工して製造することが可能であるので、弁座1cに凹部を設けたりメインバルブ13に凹部を設ける加工を行うよりも寸法精度の良いオリフィスを形成することができる利点がある。
つづいて、一実施の形態におけるバルブ構造の作用について説明すると、上述したように、ピストン1がシリンダ40に対して図1中下方側に移動すると、他方室42内の圧力が高まり、他方室42内の作動油はポート2を通過して一方室41内に移動しようとする。
そして、緩衝器の伸縮速度となるピストン速度が低速領域にある場合、ポート2から受ける圧力ではメインバルブ13は皿ばね12の附勢力に抗して弁座1cから離れることができず、オリフィス形成部材10が弁座1cに着座したままに維持されてポート2を閉塞したままとなって、作動油は、上述の弁座1cに着座するオリフィス形成部材10に設けた切欠10aによって形成されるオリフィスを通過する。
したがって、このときの減衰特性(ピストン速度に対する減衰力の関係)は、図3に示すが如くとなり、この低速領域では、減衰係数は比較的大きいものとなる。
他方、ピストン1の速度が中高速領域に達する場合、他方室42内の圧力と一方室41内の圧力との差が大きくなり、作動油のメインバルブ13を図1中上方へ押し下げる力が大きくなって、該力が皿ばね12の附勢力に打ち勝って、メインバルブ13がピストン1から後退し、オリフィス形成部材10とともにピストン1から離れてガイド部材11の外周を滑って図1中上方となる反バルブディスク側へ変位するようになる。
このように、メインバルブ13がピストン1から離れて反バルブディスク側へと後退すると、弁座1cとオリフィス形成部材10との間の隙間が生じてポート2を大きく開放され、また、当該隙間はピストン速度の増大とともに大きくなる。
すなわち、ピストン速度が中高速領域にあるときの減衰特性は、図3に示すが如くとなり、ピストン速度の増加に対しても減衰力がさほど大きくならない、低速領域より減衰係数が低くなる特性となる。
よって、一実施の形態におけるバルブ構造では、メインバルブ13を附勢するのにコイルスプリングに換えて皿ばね12を用いており、軸方向長さがコイルスプリングより短くて済むだけでなく、ピストン速度が中高速領域にあるときの減衰係数を小さくすることができ、車両における乗り心地を損なってしまう虞がない。
そして、本実施の形態におけるバルブ構造にあっては、ガイド部材11に、オリフィス形成部材10、メインバルブ10および皿ばね12が、ガイド部材11とバルブホルダ14によって一体にカートリッジ化されるので、ガイド部材11の外周に装着されるオリフィス形成部材10、メインバルブ13および皿ばね12をガイド部材11に径方向に位置決めした状態に維持できるので、軸部材としてのピストンロッド5の先端5aへの組み付けが容易となり、バルブ構造の組付性が向上する。
また、バルブ構造の組立に当たって、ガイド部材11にオリフィス形成部材10、メインバルブおよび皿ばね12が乗り上げることがないので、組付不良が生じることがなく、確認作業が不要となり作業負担が軽減される。
なお、本実施の形態においては、減衰特性の変化を説明するために、ピストン速度に低速、中高速でなる区分を設けているが、これらの区分の境の速度はそれぞれ任意に設定することができる。
さらに、ばね部材は、皿ばね12以外にも、ウェーブワッシャやゴム等の弾性体等とされてもよく、上述したところでは軸部材をピストンロッド5の先端5aとしているが、軸部材を直接にバルブディスクに設ける構成としてもよい。
以上でバルブ構造の一実施の形態についての説明を終えるが、本発明のバルブ構造が緩衝器のピストン部の圧側減衰バルブに具現化することも、また、ベースバルブ部に具現化することも可能であり、本発明の効果を失うことも無い。
なお、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
本発明は緩衝器等のバルブに利用可能である。
1 バルブディスクたるピストン
1a ピストンにおける底部
1b ピストンにおける挿通孔
1c ピストンにおける弁座
1d ピストンにおける圧側のポート
1e ピストンにおける筒部
1f ピストンにおける環状凹部
2 ポート
3 窓
5 ピストンロッド
5a 軸部材としての先端
5b ピストンロッドにおける段部
5c ピストンロッドにおける螺子部
6 ピストンナット
10 オリフィス形成部材
10a 切欠
11 ガイド部材
11a フランジ
12 ばね部材としての皿ばね
13 メインバルブ
14 ばね受け部材
15 シム
16 ワッシャ
20 チェックバルブ
20a チェックバルブにおける孔
21 間座
22 バルブストッパ
40 シリンダ
41 一方室
42 他方室

Claims (7)

  1. ポートが形成されるバルブディスクと、前記バルブディスクの軸心部から立ち上がる軸部材と、環状であって前記軸部材の外周に装着されるとともに前記バルブディスクに積層されるガイド部材と、環状であって前記ガイド部材の外周に軸方向摺動自在に装着されて前記ポートを開閉するメインバルブと、前記ガイド部材の外周に装着されて前記メインバルブを前記バルブディスク側へ向けて附勢する環状のばね部材とを備えたバルブ構造において、前記ガイド部材の反バルブディスク側端に一体化されて前記ばね部材の反バルブディスク側端を支承するばね受け部材を備えるとともに前記ガイド部材のバルブディスク側端の外周にフランジを備え、前記フランジは前記ばね部材および前記メインバルブよりもバルブディスク側に設けられて、このフランジと前記ばね受けにより、前記ばね部材および前記メインバルブが、前記ガイド部材のバルブディスク側と反バルブディスク側両方から抜けるのを阻止されていることを特徴とするバルブ構造。
  2. 前記バルブディスクは、前記ポートよりも内径側に形成されて前記ガイド部材のバルブディスク側端が挿入可能な環状凹部を備え、前記環状凹部は、前記ガイド部材の前記フランジの外径よりも大径に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブ構造。
  3. 前記ガイド部材と前記ばね受け部材とが溶接あるいは接着によって一体化されることを特徴とする請求項1または2に記載のバルブ構造。
  4. 前記ばね部材が皿ばねであり、前記ガイド部材の外周であって前記皿ばねと前記ばね受け部材との間にワッシャを介装したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバルブ構造。
  5. 前記ガイド部材の前記フランジは加締め加工によって形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバルブ構造。
  6. 前記ばね部材と前記メインバルブとの間に前記ばね部材の初期撓みを調節する環状のシムを介装したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバルブ構造。
  7. 前記メインバルブと前記バルブディスクとの間に、外周にオリフィスを形成する切欠を備えたオリフィス形成部材を介装したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに1項に記載のバルブ構造。
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