JP5634727B2 - セメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法 - Google Patents
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Description
ところで、燃料中に含まれている窒素分は、燃焼過程で酸化され、NOxとなる。このNOxは公害源(大気汚染源)の一つと指摘されており、NOx発生量の抑制が強く要請されている。セメント業界においても、NOx発生量の抑制が強く押し進められている。
しかし、この方法の場合には、最近の燃料の配合割合、品種等の多様化によって、NOxが安定しないことが多く、NOxの排出規制を守るために効率的な燃焼ができず、セメント焼成に不都合が生じていた。
この特許文献1に開示された提案では、廃棄物である有機汚泥を用いていることから、コスト面では好ましいものではあるが、本発明者等の試験によれば、有機汚泥をプレヒーターの下部から乾式セメントキルンの窯尻部までの間に導入するだけでは、NOx発生量の抑制に限度があり、十分な効果が得られるものではなかった。
この方法によれば、投入された固体状還元剤が、表面から徐々にNH3ガスを分解・揮発させながら下流側に向かい、これにより分解・揮発したNH3ガスと燃焼排ガスとが一様に且つ長時間にわたって接触することとなり、高い脱硝効果が期待できるものではあるが、使用する固体状還元剤として例示されている尿素、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、メラミン等は、いずれも高価な薬剤であり、しかも何ら燃料としての作用を果たすものでもないため、経済的な方法ではなかった。
しかし、廃油は、高い粘稠性を有するものや、常温で流動性がないものや、固形分が沈降分離して固着するものなどがあるため、搬送時等におけるハンドリング性が悪く、燃料としての使用が困難なものであった。
〔1〕廃油と廃油吸収材との混合物からなる、平均粒径30〜100mm、含水率10〜60質量%であると共に、スクリューコンベヤー、バケットエレベーター、ベルトコンベヤー等の機械式搬送装置による搬送及び2重のフラップダンパー、ロータリーフィーダ等のシール機能を有する機械式投入装置による投入が可能なハンドリング性に調整された廃油系固体燃料を、スクリューコンベヤー、バケットエレベーター、ベルトコンベヤー等の機械式搬送装置によって搬送し、セメント製造設備であるNSPキルンのRSP式仮焼炉(「RSP」は商標)に2重のフラップダンパー、ロータリーフィーダ等のシール機能を有する機械式投入装置を用いて投入し、該廃油系固体燃料をRSP式仮焼炉において還元燃焼させるセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法であって、廃油系固体燃料の上記RSP式仮焼炉への投入位置を、上部にバーナー付き燃焼炉が設けられ、該燃焼炉の下方に絞り部を介して燃焼炉の径より大径の仮焼炉本体が設けられているRSP式仮焼炉において、上記燃焼炉に設置されたバーナーの燃料出口の上方にあたる燃焼炉天井部とするとともに、該投入位置である燃焼炉天井部の直下であって、上記バーナーの燃料出口の上方にあたる燃焼炉内部に分散棒を設置し、該分散棒によって投入された廃油系固体燃料を燃焼炉内部において分散させることを特徴とする、セメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
〔2〕上記機械式投入装置の投入シュートが、廃油系固体燃料の投入角度が57度以上となるように上記燃焼炉天井部に設置されていることを特徴とする、上記〔1〕に記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
〔3〕上記廃油が、廃ワイヤソーオイル、オイルスラッジ、廃油再生残渣、廃切削油、廃研磨油、廃インク、廃溶剤、廃グリース、廃植物油、廃食用油のいずれか1種以上であることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
〔4〕上記廃油吸収材が、廃畳の破砕物、木材チップ、廃ポリマー、廃スポンジ、紙屑、各種汚泥のいずれか1種以上であることを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
より具体的には、本発明の方法のようにセメント焼成設備であるNSPキルンのRSP式仮焼炉に廃油系固体燃料を投入した場合、RSP式仮焼炉の内部はロータリーキルンの窯前部よりも周辺温度が低いこと等から未燃分が出る可能性があるが、多少の未燃分がRSP式仮焼炉から出たとしても、最終的にはロータリーキルン内に入ってロータリーキルンの回転に従って窯前部側に徐々に移動しながら燃焼を完結するので、セメントクリンカの品質に全く影響を与える心配がない。また、上記したようにRSP式仮焼炉内に投入された廃油系固体燃料の燃焼はゆっくりとした還元性雰囲気下での燃焼(還元燃焼)となり、生成した還元ガス(CO)によって燃焼排ガス中のNOxを効率的に還元脱硝(2NO+2CO→N2+2CO2)することができる。さらに、廃油系固体燃料のRSP式仮焼炉内への投入によって仮焼炉のバーナーから吹き込まれる燃料の燃焼温度が抑えられ、サーマルNOxの発生を抑制できるとともに、廃油系固体燃料の燃焼により発生する熱量は、当然にRSP式仮焼炉のバーナーに供給する微粉炭等の化石燃料の節約に寄与することになり、経済的に燃焼排ガス中のNOxを低減することができるものとなる。
図1は、本発明に係る燃焼排ガス中のNOx低減方法を実施するセメント焼成設備の全体を概念的に示した図である。
廃油としては、廃ワイヤソーオイル、オイルスラッジ(例えば重油スラッジ、原油スラッジ等)、廃油再生残渣(廃油を蒸留設備等を用いて再生した後に残る残渣)、廃切削油、廃研磨油、廃インク、廃溶剤、廃グリース、廃植物油、廃食用油等が挙げられ、これらを単独でも、またこれらの二種以上を混ぜたものであってもよい。
廃油吸収材としては、廃畳の破砕物、木材チップ、廃ポリマー、廃スポンジ、紙屑、各種汚泥等を用いることができ、これらの廃油吸収材と上記廃油とを混合し、燃焼性及びハンドリング性を調整した廃油系固体燃料とする。
なお、廃油系固体燃料の平均粒径の測定は、JIS Z 8801に準拠した標準篩を用いて行なうことができる。
なお、廃油系固体燃料の含水率の測定は、JIS K 2275「原油及び石油製品−水分試験方法」に準拠した方法により行なうことができる。
なお、上記廃油と廃油吸収材との混合設備とセメント焼成設備とが近接している場合には、車両による輸送は行う必要はない。
NSPキルン10は、図1に示したように、複数段、例えば4段のサイクロンC1,C2,C3,C4からなるサスペンションプレヒータ11と、このサスペンションプレヒータ11に付設された仮焼炉12と、該仮焼炉12及び最下段のサイクロンC1に入口フッド13を介して接続されたロータリーキルン14と、このロータリーキルン14の出口部に連結されたクーラ15とから構成されている。そして、原料投入口16より投入されたセメント原料は、サスペンションプレヒータ11のサイクロンにおいて順次予熱された後、仮焼炉12に導入されて脱炭酸等の仮焼反応が行われ、その後、入口フッド13を経由してロータリーキルン14においてセメントクリンカとして焼成される。ロータリーキルン14から排出されたセメントクリンカは、クーラ15において急冷され、最終的なセメントクリンカとなる。なお、KBはロータリーキルン14に設けられたバーナーである。
このRSP式の仮焼炉12は、サイクロンC2で捕集されたセメント原料が仮焼炉12に投入され、該仮焼炉12における旋回燃焼方式により効率よく加熱されて脱炭酸が進められた後、仮焼炉12から下方に排出されて混合室17に投入され、混合室17において高温のキルン排ガスと混合され、セメント原料は85%以上の脱炭酸率に達し、その後、サイクロンC1で捕集されてロータリーキルン14内に投入される構成のものである。
この廃油系固体燃料Xの投入は、スクリューコンベヤー5、バケットエレベーター6、ベルトコンベヤー7等の機械式搬送装置にてセメント焼成設備の仮焼炉12まで搬送された廃油系固体燃料Xを、2重のフラップダンパー20等のシール機能を有する機械式投入装置を介して上記燃焼炉天井部12dから仮焼炉内に自然落下により行なうことが好ましい。
なお、シール機能を有する機械式投入装置として、2重のフラップダンパー20に代えてロータリーフィーダ等を用いることもできる。
先ず、図1に示したように、原料投入口16よりサスペンションプレヒータ11内に投入されたセメント原料は、サイクロンC4,C3等を通る間にキルン排ガスと熱交換することにより徐々に加熱され、600〜750℃に加熱された原料はサイクロンC2においてキルン排ガスから分離される。分離された原料は原料シュート19を介して抽気ダクト18bに投入され、300〜700℃の熱風に浮遊懸濁させられて仮焼炉本体12c内に吹き込まれ、図4に示すように旋回流となる。
原油スラッジと、廃畳の破砕物及び木屑とからなる廃油吸収材とを1対2の質量割合で混合した廃油系固体燃料を用いた。該廃油系固体燃料の平均粒径は70mm、含水率は30質量%であった。また該廃油系固体燃料は、機械式搬送及び機械式投入が可能なハンドリング性を有するものであった。
上記廃油系固体燃料を、図2に示した燃焼炉天井部12dから2.6t/hrで投入した。
2 混合機
3 天蓋付密閉車両
4 ホッパー
5 スクリューコンベヤー
6 バケットエレベーター
7 ベルトコンベヤー
10 NSPキルン
11 サスペンションプレヒータ
C1,C2,C3,C4 サイクロン
12 仮焼炉
SB 仮焼炉用バーナー
12a 燃焼炉
12b 絞り部
12c 仮焼炉本体
12d 燃焼炉天井部
13 入口フッド
14 ロータリーキルン
KB キルン用バーナー
15 クーラ
16 原料投入口
17 混合室
18 空気送出管
18a,18b 抽気ダクト
19 原料シュート
20 2重のフラップダンパー
20a シュート
21 分散棒
A 廃畳
B 木屑
O 廃油類
X 廃油系固体燃料
Claims (4)
- 廃油と廃油吸収材との混合物からなる、平均粒径30〜100mm、含水率10〜60質量%であると共に、スクリューコンベヤー、バケットエレベーター、ベルトコンベヤー等の機械式搬送装置による搬送及び2重のフラップダンパー、ロータリーフィーダ等のシール機能を有する機械式投入装置による投入が可能なハンドリング性に調整された廃油系固体燃料を、スクリューコンベヤー、バケットエレベーター、ベルトコンベヤー等の機械式搬送装置によって搬送し、セメント製造設備であるNSPキルンのRSP式仮焼炉(「RSP」は商標)に2重のフラップダンパー、ロータリーフィーダ等のシール機能を有する機械式投入装置を用いて投入し、該廃油系固体燃料をRSP式仮焼炉において還元燃焼させるセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法であって、廃油系固体燃料の上記RSP式仮焼炉への投入位置を、上部にバーナー付き燃焼炉が設けられ、該燃焼炉の下方に絞り部を介して燃焼炉の径より大径の仮焼炉本体が設けられているRSP式仮焼炉において、上記燃焼炉に設置されたバーナーの燃料出口の上方にあたる燃焼炉天井部とするとともに、該投入位置である燃焼炉天井部の直下であって、上記バーナーの燃料出口の上方にあたる燃焼炉内部に分散棒を設置し、該分散棒によって投入された廃油系固体燃料を燃焼炉内部において分散させることを特徴とする、セメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
- 上記機械式投入装置の投入シュートが、廃油系固体燃料の投入角度が57度以上となるように上記燃焼炉天井部に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
- 上記廃油が、廃ワイヤソーオイル、オイルスラッジ、廃油再生残渣、廃切削油、廃研磨油、廃インク、廃溶剤、廃グリース、廃植物油、廃食用油のいずれか1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
- 上記廃油吸収材が、廃畳の破砕物、木材チップ、廃ポリマー、廃スポンジ、紙屑、各種汚泥のいずれか1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント焼成設備の燃焼排ガス中のNOx低減方法。
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