JP4078668B2 - ボイラ火炉の低NOx燃焼方法及び低NOx燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ火炉の低NOx燃焼方法及び低NOx燃焼装置に係り、具体的には石炭又は油を主燃料とするボイラ火炉において副燃料として廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料を混焼することにより低NOx燃焼を図る技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
石炭や石油などの化石燃料を主燃料とするボイラにおいては、窒素酸化物(以下NOxと称す)の排出量を低減するため、(1)排ガス混合、(2)多段燃焼、(3)火炎分割、(4)燃料転換、(5)触媒による還元、(6)炭化水素、アンモニア等還元性ガスなどによる気相還元による低NOx化が、種々が施されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、(1)〜(3)の方法では十分な低NOx効果が得られない。(4)の燃料転換は、窒素含有量が少ない燃料に転換するのであるから理想的であるが、通常は多額な設備投資が必要になることから実用的でない。また、(5)、(6)等の方法は、アンモニア等の触媒を使用するため、脱硝装置が大掛かりとなり、設備費用とアンモニア等の薬剤に係るランニング費用が膨大になるという問題がある。これらのことから、更に、経済的に優れた実用的なNOx低減方法の開発が要望されている。
【0004】
他方、木質系バイオマス、都市ゴミ、産業廃棄物、廃プラスチック、廃木材等の廃棄物のリサイクル化の社会的要請があり、実現可能な種々のマテリアルリサイクルが提案されているが、多量に排出されるバイオマスの廃棄物を有効に利用するためには、エネルギへの変換(サーマルリサイクル)が望ましいという考え方が広まってきた(非特許文献1)。しかし、都市ゴミ等の廃棄物は水分が多く、塩素濃度が高いことから、そのままでは高温高圧のボイラを用いた発電には利用が困難である。そこで、例えば、家庭用の可燃性ごみを原料として廃棄物を400℃〜550℃の温度で熱分解して炭化すれば良質の炭化物が生成されること、熱分解の過程で発生する可燃性ガスの燃焼熱により原料の廃棄物を乾燥できることから、余剰の可燃性ガスと炭化物を燃焼して小規模ではあるが発電によるサーマルリサイクルが可能である。特に、熱分解炭化物は、石炭ほどではないが高い発熱量を有しているから、エネルギ源として広く利用することができる。同様に、バイオマスを熱分解して得られる炭化物は、バイオマスそのものよりもはるかに高い発熱量を有しているから、バイオマスを再生可能エネルギとして有効利用する動きが活発化している。
【0005】
【特許文献1】
特開昭56−23615号公報
【非特許文献1】
Handbook of Biomass Combustion and Co-Firing (Sjaak van Loo and Jaap Koppejan)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、廃棄物を熱分解して得られる炭化物(以下炭化燃料という)をボイラの主燃料として用いる場合、量的な問題や流通システムの問題等からボイラが小形にならざるを得ない。また、炭化燃料中に塩分が含まれている場合、高温腐食などの問題から高温高圧の高い発電効率を有するボイラへの運用が制約され、燃料としての熱効率を高くできないという問題がある。
【0007】
そこで、炭化燃料を高い発電効率(例えば、40%以上)を有する石炭又は油を主燃料とするボイラ火炉において、副燃料として燃焼することにより有効利用する方法が考えられる。この場合、主バーナの燃焼特性に影響を与えないように配慮しなければならないが、副燃料としての炭化燃料の具体的な燃焼方法については十分な検討がなされていない。
【0008】
本発明は、廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料を、石炭又は油を主燃料とする高効率のボイラ火炉において有効利用することにより、付加価値を高めることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、種々の燃焼実験を行なった結果、石炭又は油の主燃料と、廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料とを混焼すると、燃焼時に発生するNOxを効果的に低減することができるという知見に基づいてなされたものである。例えば、小型の石炭焚き燃焼炉において発熱量10%相当の炭化燃料を石炭に混合した後、ミルで同時に粉砕して燃焼させたところ、約10%のNO低減効果が得られた。また、実機相当の燃焼炉で熱量ベースで3%の炭化燃料を石炭と混合して粉砕しバーナへ供給して燃焼した結果、同じく約10%のNO低減効果が得られた。このように、炭化燃料を混焼させることによって明らかな脱硝効果が知見された。更に、大規模な燃焼の場合にその脱硝効果が顕著であることも実験により確認された。
【0010】
ここで、主燃料の石炭に炭化燃料を混合して燃焼させることにより低NOx化される原理について考察する。炭化燃料を低空気比により燃焼すると、HCN、NH3が発生し、これらの熱分解ガスによるNOの還元作用により、NOxがN2に還元されるものと解する。つまり、NOの生成、還元反応は極めて複雑であるが、HCNとNH3が大きく影響していることは良く知られている。酸素が残存する雰囲気ではHCN、NH3はNOへ転換することから、還元雰囲気でNOが存在することが必須条件となる。ここで、HCN、NH3は不安定な物質であることから、NOとの混合は迅速でなければならない。混合が遅れると脱硝効果が無くなることに加えて、2段燃焼用空気とこれら還元ガスが反応して、逆にNOが生成されてしまう。したがって、炭化燃料がNOの還元剤として有効だとして、その投入位置は、火炎の内部が望ましいことが分かる。このメカニズムによれば、石炭にかかわらず、油を主燃料とする燃焼炉においても油と炭化燃料を火炎の内部で混焼させることにより、低NOx燃焼を実現できる。
【0011】
このような知見に基づいて、本発明は、石炭又は油を主燃料とするボイラ火炉において、廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料を副燃料として混焼することによりNOxの排出量を低減することを特徴とする。これによれば、炭化燃料を高効率で燃焼することができるから、炭化燃料の熱量を有効利用でき、高度なサーマルリサイクルシステムを実現できる。また、既設を含むボイラ火炉で主燃料に副燃料を混合燃焼することにより、低NOx化を実現できるという効果が得られる。言い換えれば、炭化燃料を副燃料として混焼させることによって、燃焼排ガスをよりクリーンにすることができる。また、通常、炭化燃料は微粉炭に比べて微粒子成分が比較的が多いことから、着火性に優れるため、着火の安定性が向上する。これらのことから、廃棄物の炭化燃料の有効利用を確立できることになり、付加価値を高めて廃棄物処理の経済性を向上させることができる。特に、熱分解による炭化燃料の生成は、ゴミの種類を選ばないので、バイオマス、都市ゴミ、産業廃棄物、廃プラスチック、廃木材、などが対象となり、これらに対する選別を強化することなく、炭化できる。
【0012】
本発明の場合において、主燃料に対する副燃料の比率は、発熱量換算で10%以下であることが好ましい。これは、炭化燃料中の塩分濃度に起因する高温腐食などを回避するためである。また、本発明に係る副燃料の炭化燃料は、バイオマス、都市ゴミ、産業廃棄物、廃プラスチック、廃木材等の一般の廃棄物を400℃〜550℃の範囲で熱分解して生成されるものである。
【0013】
また、主燃料が石炭の場合、その石炭に炭化燃料を混合して粉砕してなる混合燃料をボイラ火炉で燃焼することが好ましい。これは、後述するように、炭化燃料の粒径が細かい方が、低NO化に好ましいからである。したがって、石炭粉砕機に石炭を供給する石炭搬送手段又は該石炭搬送手段の上流側において石炭に炭化燃料を混合することが好ましい。これによれば、石炭と炭化燃料の混合を均等化することができることに加え、炭化燃料用として粉砕機を別途設ける必要がないから設備を簡素化できる。この場合において、例えば、石炭を搬送するベルトコンベア上に炭化燃料を供給して石炭と炭化燃料とを混合し、ベルトコンベアの速度と石炭の厚みを計測し、その計測値に基づいてベルトコンベア上に供給する炭化燃料の供給量を制御することができる。
【0014】
一方、主燃料が油の場合、バーナから炉内へ吹き込む前に、小型の粉砕機(ミル)で微粉砕した後、気流搬送でバーナに供給し、バーナから同軸で噴射して混焼させることが望ましい。つまり、油バーナの1次空気を搬送空気として炭化燃料を火炎の内部に供給することにより、効果的に低NOx燃焼を実現できる。この場合、炭化燃料が混焼される一又は複数のバーナを取り囲んで油専焼のバーナを配置することが好ましい。なお、炭化燃料は、通常、微粒子(例えば、75μm以下)を多く含んでいるから、それ以上の粗大粒子(例えば、含有量20wt%程度)のみが選択的に粉砕されること、及び炭化燃料は粉砕されやすい特性を有しているので小型のミルにより十分に破砕できる。
【0015】
本発明の燃焼方法を実施するボイラ火炉の低NOx燃焼装置は、ボイラ火炉と、該ボイラ火炉に微粉炭を供給するために石炭を微粉砕する石炭粉砕機と、該石炭粉砕機に石炭を搬送する石炭搬送手段とからなるボイラ火炉の低NOx燃焼装置において、炭化燃料を貯蔵する炭化燃料ビンを設けると共に、該炭化燃料ビンから切り出した炭化燃料を石炭に混合するための混合手段を、前記石炭粉砕機の上流側に設けて構成することができる。この場合、石炭搬送手段としてベルトコンベアを設け、該ベルトコンベアの速度と該ベルトコンベア上を搬送される石炭厚みを計測し、該計測値に基づいて前記炭化燃料ビンからベルトコンベア上に供給する前記炭化燃料の供給量を調節する混合手段を設けて構成できる。
【0016】
また、本発明のボイラ火炉の低NOx燃焼装置は、ボイラ火炉と、該ボイラ火炉に配置された油専焼のバーナからなるボイラ火炉の低NOx燃焼装置において、炭化燃料を混燃する一又は複数のバーナを取り囲んで前記油専焼のバーナを配置して構成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の低NOx燃焼方法を適用した微粉炭焚きボイラの一実施形態の系統構成図を示す。図示のように、微粉炭焚きボイラのボイラ本体1の水冷壁に、微粉炭を燃焼する複数(図示例では、6機)の主バーナ4が配設され、主バーナ4を取り囲んで設けられた風箱3から燃焼用空気が供給されるようになっている。また、主バーナ4の上方にはOFA(Over Firing Airport)が設けられている。主バーナ4は、従来の微粉炭バーナが用いられている。
【0018】
このように構成される微粉炭焚きボイラの燃料供給系統について次に説明する。廃棄物を熱分解して生成された炭化燃料は、炭化燃料バンカ7に貯留される。炭化燃料バンカ7内の炭化燃料は定量供給装置8によって切り出され、ベルトコンベアなどから構成される運炭設備10に供給される。運炭設備10は、図示していない石炭ヤードから供給される主燃料の石炭を搬送する石炭搬送手段を構成するものであり、運炭設備10上で石炭に炭化燃料が一定割合で混合される。つまり、石炭と炭化燃料とを混合する混合手段が運炭設備10上に形成されている。炭化燃料と石炭との混合燃料は運炭設備10により燃料バンカ9に搬送されて貯蔵される。燃料バンカ9に貯蔵された混合燃料は、底部に設けられた複数の定量供給装置8によって切り出され、それぞれ対応する複数(図示例では、6台)のミル6に供給されるようになっている。各ミル6は石炭ないし炭化燃料と石炭との混合燃料を微粉砕する石炭粉砕機であり、これにより所定の粒度に粉砕された混合燃料は、気流搬送によってそれぞれ対応する主バーナ4に供給されるようになっている。ここで、図示例の6台のミル6は、通常5台運用とし、これにより100%負荷運転が可能に設定されている。つまり、点検と部品交換のために1台を予備機とし、ローテーションを考えてシステムが構築されている。
【0019】
このように構成される微粉炭ボイラにより石炭と炭化燃料を混焼することにより、低NOx燃焼が可能なことについて次に説明する。パイロット試験により、石炭投入量200kg/h規模のボイラ火炉において、炭化燃料を発熱量ベースで主燃料の10%を混入して燃焼した場合の排ガスへの影響を調べた。その結果、排ガス中のNOxの濃度が石炭専焼時と比較して、約10%低減することが認められた。次いで、石炭投入量3200kg/hの実機規模のバーナを使用して燃焼試験を実施した。その結果、炭化燃料の混合比率は発熱量ベースで3%であったが、石炭専焼時と比較して10%のNOx低減効果が明らかになった。
【0020】
また、燃焼性能を評価する項目として、燃え切りを表す灰中未燃分があるが、上述の200kg/h燃焼試験、3200kg/h燃焼試験では、いずれも灰中未燃分が5%以下で、特に石炭専焼との差異は無かった。
【0021】
また、炭化燃料の性状は、固定炭素/揮発分の比率で約2、排ガス中のNOxの濃度に影響する燃料中N分の比率は、ベースの石炭と同じであった。したがって、燃料性状からみると、NOx濃度が低下する要因を見つけることができない。
【0022】
また、いずれの燃焼試験においても、炭化燃料を30mmアンダーの石炭と混合して、ミルにより粉砕して75μm通過重量80%を目標に粒度調整した。ここで、図2に、石炭専焼時のミル出口の微粉炭の粒度と、ミル通過前の炭化燃料の粒度を示す。なお、ここで粒度とは、粒子径と累積通過重量との分布を示す。図において、黒三角の実測点を結ぶ線L1が炭化燃料の粒度を示し、黒四角の実測点を結ぶ線L2が石炭専焼時のミル出口の微粉炭の粒度を示す。図2から炭化燃料は、75μ通過重量として評価すると微粉炭と炭化燃料はほぼ同等といえる。しかし、炭化燃料は、75μm以下の微粒が多いが、75μm以上の粗粒が存在することが分かる。このように、炭化燃料は、粗粒が多いので、そのままでは燃焼できないから、粉砕が必要である。しかし、微粒が多いことから、石炭と炭化燃料を混合粉砕した場合の粒度について検討した。
【0023】
図3は、ミル出口において主燃料の石炭(専焼炭)と、発熱量ベースで3%の炭化燃料を混合して粉砕した混合燃料(混焼炭)のサンプルを採取し、粒径範囲別の重量比率と、サンプル中の灰分比率を調べた結果を示している。図において、横軸は粒径範囲を、縦軸は重量分率(wt%)を示し、棒グラフに示した符号A〜Dは、次の通りである。
【0024】
A:専焼炭粒度
B:混焼炭粒度
C:専焼炭灰分
D:混焼炭灰分
また、専焼炭はサクソンベールバルガ炭、混焼炭はサクソンベールバルガ炭に炭化燃料3wt%を混入したものである。また、サクソンベールバルガ炭の灰分は11.07wt%、炭化燃料の灰分は21.37wt%である。
【0025】
ここで、灰分比率を検証した理由は、炭化燃料中の灰分比率が石炭の2倍あることから、サンプル粒子のうち炭化燃料の寄与率について評価するためである。図3において、38μm以下の粒子群について評価してみると、石炭のみ(専焼炭)と比較して石炭と炭化燃料を混合粉砕した方(混焼炭)が粒子径が細かく(図中▲1▼、A<B)、かつ炭化燃料を混合粉砕した方が灰分比率も高いことが分かる(図中▲2▼、C<D)。また、炭化燃料の混合比率が3%程度であることから、差は微小ではあるが、明らかに炭化燃料を混合することで燃料中38μm以下の粒子が増えていることが分かった。
【0026】
そこで、微粉成分が多い場合の燃焼特性について検討する。まず、固体燃料の着火には、20μm以下の微粒子が寄与することは知られており、従来の石炭焚きボイラにおいては、この粒度を調整して低NOxを図っている。通常、微粉炭バーナへはミルから搬送用の1次空気に同伴させて微粉炭を供給している。バーナ出口部分における局所空気比は約0.2で、1次空気だけでは、微粉燃料を完全燃焼させることはできない。つまり、バーナ出口部分は還元雰囲気となる。不足空気は、主として2次空気(又は、及び3次空気)として遅延混合することにより、ほぼ完全燃焼させている。バーナ出口部分で着火が遅れると、還元領域での揮発分の放出が遅れることになる。その結果、炭化水素や、他の熱分解成分の濃度が希薄になり、NOの還元性能が低下することになる。したがって、着火の良し悪しによりNOxの低減が影響し、着火の良し悪しに微粉粒度が影響するのである。つまり、微粉炭専焼に比べると炭化燃料を混合した混焼炭燃焼の方が微粉が多いことから着火性に有利であり、また、灰分が多い炭化燃料の方が破砕されやすいことから微粉生成には炭化燃料の寄与率が高いということができる。
【0027】
上述したように、図1の実施形態によれば、炭化燃料を粉砕前の石炭に混合してミルで微粉砕し、これを主バーナ4に気流搬送して燃焼させるようにしたことから、微粉炭の着火性が向上すると共に、炭化燃料がNOの還元剤として有効に働くことから、低NOx燃焼を実現できる。
【0028】
また、炭化燃料を高効率で燃焼することができるから、炭化燃料の熱量を有効利用でき、炭化燃料の付加価値を向上させた高度なサーマルリサイクルシステムを実現でき、廃棄物処理の経済性を向上させることができる。特に、熱分解による炭化燃料の生成は、ゴミの種類を選ばないので、バイオマス、都市ゴミ、産業廃棄物、廃プラスチック、廃木材、などが対象となり、これらに対する選別を強化することなく、炭化できるから、実用性に高い廃棄物処理を実現できる。
【0029】
本発明の場合において、主燃料に対する副燃料の比率は、発熱量換算で10%以下であることが好ましい。これは、炭化燃料中の塩分濃度に起因する高温腐食を回避するためである。
(第2実施形態)
図4、5に、図1の実施形態に適用するのに好適な一実施形態の炭化燃料の計量混合システムを示す。図4に示すように、炭化燃料はトラックなどにより搬送されて供給され、トラックから気流搬送により供給される炭化燃料はバグフィルタ27において気流から分離され、炭化燃料ビン28に貯蔵される。炭化燃料ビン28の炭化燃料は、フィーダ29により切り出されて石炭コンベア26に排出される。石炭コンベア26は図示していない石炭ヤードから主燃料の石炭を石炭バンカ25に輸送するものであり、この輸送過程で炭化燃料が所定の割合で混合される。
【0030】
この混合割合の制御について図5を参照して説明する。図5(A)、(B)に示すように、石炭コンベア26はローラ33により彎曲させて、かつ移動自由に支持されたベルト36を有し、全体をコンベアダクト37で囲って構成されている。一方、炭化燃料ビン28の底部に設けられたフィーダ29は、その排出口が石炭コンベア26のコンベアダクト37を貫通してベルト36の上方に臨ませて配置されている。また、フィーダ29は、モータ34により駆動され、そのフィーダー回転数を制御することによって、炭化燃料ビン28から石炭コンベア26のベルト36上に落下させる炭化燃料の供給量を制御可能になっている。フィーダー回転数の制御は、演算装置32によって行われるようになっている。すなわち、演算装置32は、コンベアダクト37に取り付けられたベルト36の走行速度を検出する速度センナ30と搬送される石炭35の厚みを計測する厚みセンサ31の検出信号を取り込み、これらの検出値に基づいて石炭35の搬送量を演算する。そして、予め定められた炭化燃料の混合割合になるように、炭化燃料の供給量を演算し、これに基づいてフィーダ回転数を制御するようになっている。なお、石炭35の厚み及び搬送速度と、単位時間あたりの搬送量との関係は、予め計算又は実測してデータとして設定しておく。
【0031】
このように構成されることから、ミル6に供給される前に、石炭に炭化燃料が混合されるので、石炭と炭化燃料の混合を均等化することができるだけでなく、炭化燃料用のミルを別途設ける必要がないので設備を簡素化できる。
(第3実施形態)
図6に、本発明の低NOx燃焼方法を油焚きボイラに適用した一実施形態の系統構成図を示す。通常の油焚きボイラにおいては、固体燃料を供給燃焼する設備を有していない。したがって、炭化燃料用の貯蔵、粉砕、及び供給系統を付加することになる。なお、図6において、図1と同一符号を付した部品は同一の機能構成を有するものであるから、説明を省略する。
【0032】
図示のように、油焚きボイラのボイラ本体1には、油燃焼用の主バーナ4に主燃料の油を供給する油タンク11と油ポンプ12が設けられている。また、炭化燃料バンカ7と、炭化燃料の定量供給装置8と、炭化燃料のミル6が設けられ、ミル6により微粉砕された炭化燃料は気流に搬送されて特定の主バーナ4に供給されるようになっている。
【0033】
図7に、炭化燃料と油を混焼する混焼バーナの基本構造を示す。図示のように、油バーナ13を中心に1次空気17を供給する筒体と、2次空気18を供給する筒体と、3次空気19を供給する筒体と同心状に配置され、水冷壁1aを貫通して設けられている。油バーナ13の炉内先端に油バーナチップ14が設けられ、1次空気17の筒体の炉内先端には保炎器15が設けられている。また、1次空気17の筒体が炭化燃料ノズルとなっている。ここで、微粉の炭化燃料は炉内温度が低い場合には、着火しないので図7に示すように、油バーナ13の1次空気17による気流搬送して供給するが、炉内温度が上昇した後に炭化燃料の混焼に切りかえる。例えば、通常コールドスタートの場合、ボイラ負荷50%までは油のみの燃焼となる。
【0034】
また、図8に示すように、油焚きボイラへの炭化燃料供給は、特定の主バーナ4にのみ行なうことが好ましい。図8の実施の形態においては、炭化燃料を火炉中央部に投入するようにして、油火炎により炭化燃料を包み込むことが可能なバーナ配列としている。すなわち、混焼バーナ23を取り囲むように、油バーナ24が配置されている。
【0035】
すなわち、油焚きボイラは通常石炭焚きと比較して炉内のガス滞留時間を短く設計する。これは、油の噴霧液滴は微粉炭粒子と比較して燃焼速度が高く、短時間で燃えきることが可能なためである。しかし、混焼の場合、この火炉仕様が問題となる。通常のバーナから一様に炭化燃料を供給すると、炭化燃料の粒子が燃えきらずに排出され、未燃分となる可能性がある。この場合には、電気集塵機で捕集されたフライアッシュの灼熱減量分すなわち未燃分比率が増加する結果となり、産業廃棄物扱いで処理費用が増加することになる。
【0036】
このような問題を避けるために、炭化燃料はできるだけ細かく粉砕するとともに、高温雰囲気へ吹き込むことが重要となることに鑑み、図8のような配置とすることが好ましい。すなわち、炭化燃料バンカ20からフィーダ21により切り出された炭化燃料を、ミル22により微粉砕して火炉の中央部に配置された混焼バーナ23に供給するようにしている。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料を、石炭又は油を主燃料とする高効率のボイラ火炉において低NOx燃焼を実現できるなどの有効利用を図ることができ、炭化燃料の付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低NOx燃焼方法を適用した微粉炭焚きボイラの一実施形態の系統構成図である。
【図2】石炭専焼時のミル出口の微粉炭の粒度分布と、ミル通過前の炭化燃料の粒度分布を示すグラフである。
【図3】ミル出口における主燃料の専焼炭と発熱量ベースで3%の炭化燃料を混合して粉砕した混焼炭との粒径範囲別の重量比率と、それらの灰分比率を示すグラフである。
【図4】図1の実施形態に適用するのに好適な一実施形態の炭化燃料の混合システムを示す図である。
【図5】図4における一実施形態の炭化燃料の混合システムの計量制御システムを示す図である。
【図6】本発明の低NOx燃焼方法を油焚きボイラに適用した一実施形態の系統構成図である。
【図7】炭化燃料と油を混焼する混焼バーナの基本構造を示す図である。
【図8】油焚きボイラに本発明を適用した場合の混焼バーナと油バーナの好適な配置関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 ボイラ本体
3 風箱
4 主バーナ
6 ミル
7 炭化燃料バンカ
8 定量供給装置
9 燃料バンカ
11 油タンク
12 油ポンプ
13 油バーナ
16 炭化燃料ノズル
23 混焼バーナ
24 油バーナ
26 石炭コンベア
27 バグフィルタ
28 炭化燃料ビン
29 フィーダ
30 速度センナ
31 厚みセンサ
32 演算装置
Claims (6)
- 石炭又は油を主燃料とするボイラ火炉において、廃棄物を熱分解して生成され低空気比により燃焼するとHCN及びNH3が発生する炭化燃料を副燃料として混焼することによりNOxの排出量を低減し、前記主燃料に対する前記副燃料の比率が発熱量換算で10%以下であることを特徴とする低NOx燃焼方法。
- 前記炭化燃料は、廃棄物を400℃〜550℃の範囲で熱分解して生成されることを特徴とする請求項1に記載の低NOx燃焼方法。
- 前記主燃料が石炭の場合、該石炭に前記副燃料を混合して粉砕してなる混合燃料を前記ボイラ火炉で燃焼することを特徴とする請求項1又は2に記載の低NOx燃焼方法。
- ボイラ火炉と、該ボイラ火炉に微粉炭を供給するために石炭を微粉砕する石炭粉砕機と、該石炭粉砕機に石炭を搬送するベルトコンベアとからなるボイラ火炉の低NOx燃焼装置において、炭化燃料を貯蔵する炭化燃料ビンを設けると共に、該炭化燃料ビンから切り出した炭化燃料を石炭に混合するための混合手段を、前記石炭粉砕機の上流側に設け、前記混合手段が、前記ベルトコンベアの速度と前記ベルトコンベア上を搬送される石炭厚みを計測し、該計測値に基づいて前記炭化燃料ビンから前記ベルトコンベア上に供給する前記炭化燃料の供給量を調節することを特徴とするボイラ火炉の低NOx燃焼装置。
- 前記主燃料が油の場合、前記炭化燃料を粉砕した後、気流搬送でバーナに供給して混焼させることを特徴とする請求項1又は2に記載の低NOx燃焼方法。
- ボイラ火炉と、該ボイラ火炉に配置された油専焼のバーナからなるボイラ火炉の低NOx燃焼装置において、炭化燃料を混燃する一又は複数のバーナを取り囲んで前記油専焼のバーナを配置したことを特徴とするボイラ火炉の低NOx燃焼装置。
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