JP5634265B2 - 複素空間光変調器 - Google Patents

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Description

本発明は、規則的に配列された複数のピクセルを有し、各ピクセルは波面を複素変調するための制御可能な直線回折格子の形式の変調器素子を具備する空間光変調器及びその複素変調を実現する方法に関する。
空間光変調器デバイスは、本発明において、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)に基づいて提供される少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を具備する。従来、種々の構造のMEMS型SLMシステムが種々の名称で知られている。周知の実施形態は、デジタルミラーデバイス(DMD)、デフォーマブルミラー(DM)、ピストンマイクロミラーアレイなどのミラーアレイ、及び、回折格子光弁(GLV)、空間光変調素子(SOM)又は回折格子エレクトロメカニカルシステム(GEMS)などの回折格子系システムである。空間光変調器は、可変光学素子又は適応光学素子が使用されるのが好ましい光学技術に基づく広範囲にわたる用途で採用されている。
空間光変調器の用途は、消費財分野の表示システム及び投影システム、顕微鏡検査(光ピンセット、位相フィルタ、デジタルホログラフィ顕微鏡検査、生体内撮像)、動的回折素子を使用するビーム及び波面形成(レーザー材料処理、測定機器、焦点制御)、光学測定機器(デジタルホログラフィ、フリンジ投射、シャック−ハルトマンセンサ)、及び、マスクレスリソグラフィ、超高速レーザーパルス変調(分散補償)又は地上望遠鏡(動的収差補正)を含む。
MEMS系SLMシステムのピクセルは、位相回折格子の反射次数における制御可能な回折効率の原理を採用する回折格子系変調器素子であり、効率の関係上、典型的に、±1次が使用される。一般に、回折素子の回折効率ηは、射出波面の強度と入射波面の強度との商として定義される。位相回折格子の場合、回折は位相ずれにより実現され、その位相ずれを2進制御又は連続制御することが可能である。2進制御では、パルス幅変調によって振幅の所望のグレイスケール値を調整するためにパルス動作が必要とされる。変調を実現するために直線回折格子全体が垂直方向に移動されるか又は回折格子の個別の要素が垂直方向に移動される回折格子系MEMS系SLMの実施形態は周知である。周知の回折格子系システムに共通して、回折波動場の振幅変調が実行されることが望ましい。回折波動場の位相は振幅変調によって全く影響を受けないということはなく、しかもごくわずかしか変化しないため、回折波動場の位相を精密に変調することは不可能である。
これに対し、反射波動場の位相のみを精密に変調するピストンマイクロミラーアレイも空間光変調器として使用可能である。隣接するピクセルに相互高さオフセットが与えられ、その結果、反射波動場の相対的な位相ずれが起こるように位相は変調される。
多くの用途において、上述した波動場の純振幅変調、純位相変調又は振幅と位相の相関変調で十分である。しかし、波面の複素変調が不可欠である用途もいくつかある。複素変調とは、実部と虚部、すなわち、この場合は振幅及び位相によって複素数値を設定することである。そのような複素変調が不可欠である用途は、ホログラフィ表示システム、光情報処理及び光データ記憶の用途、及び、マスクレスリソグラフィを含む。複素変調の必要性は、それらの用途と関連する種々の文献に記載されている。
例えば、波動場の複素振幅を位相限定ホログラム又は振幅限定ホログラムに格納することも可能な符号化方法が開発されている。しかし、これらの方法は効率、分解能又は位相再構成品質の面で劣る。
欧州特許第0477566B1号公報及び米国特許第7227687B1号公報は、大きな1つのピクセルを実現するために複数の位相ずれサブピクセル(phase−shifting sub−pixels)を組み合わせることによって複素数値を1つのピクセルにレンダリングする方法及びその方式によって複素空間光変調器を製造する方法を説明する。更に、米国特許第3890035号公報は、互いに前後して配置された2つのSLMにより振幅及び位相の変調が実現される複数のSLMの組み合わせを開示する。
なお、大半の様々な技術分野において、空間光変調器は、ピクセルの数が多くサイズは小さいこと(すなわち、空間帯域幅積が大きいこと)、変調が高速で実行されること、ダイナミックレンジが広いこと、回折効率が高いこと、高精度及び高い再現性でアナログ制御又はデジタル制御が実行されること、フィルファクタが大きいこと、種々の光スペクトル範囲において種々のスペクトル密度で使用可能であることなどの特性を有していることが必要とされる。
反射型回折格子系空間光変調器で波動場を変調する場合に回折格子と基体との相対的な距離が変化すると、回折効率(振幅の二乗)及び程度は低いが位相の双方が影響を受けることは回折格子系システムの理論から周知である。しかし、それら2つの量は相互に関連している。すなわち、それら2つの量を互いに独立して制御することは不可能である。変調器面に対して法線方向の回折格子の相対的な変位とは無関係に反射波面の位相を制御可能にするためには、回折格子の更なる運動自由度が必要である。直線回折格子の変位が回折次数m≠0における位相ずれに影響を及ぼすことは干渉測定技術から周知である。直線回折格子がその格子ベクトルと平行に、且つ、入射波面に対して直角に移動された場合、m次で回折される波の位相は、固定された基準点を通って移動する回折周期pの数のm・2π倍だけずれる。
欧州特許第0477566号明細書 米国特許第7227687号明細書 米国特許第3890035号明細書
本発明に係る空間光変調器を理解するために関連する理論背景情報を本明細書の末尾に幾つか詳細に示す。
本発明の目的は、各ピクセルのピクセル化光変調器に入射する波動場の複素振幅を空間的及び時間的に変調することである。複素振幅の2つの成分、すなわち、位置別実振幅及び位置別位相は、ピクセルごとに、好ましくは、それぞれ対応する値範囲全体(実振幅の場合0≦A≦1、位相の場合0≦φ≦2π)にわたり互いに独立して制御可能であるべきである。そのような空間光変調器は、回折効率、分解能及び/又は位相再構成品質の向上を実現すべきである。
上述した目的は、請求項1及び20の特徴により達成される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項において定義される。
本発明に係る空間光変調器(SLM)の機能の原理は、特に直線回折格子に適用されるスカラ回折理論の法則に基づいている。SLMは、1次元アレイ又は2次元アレイとして配列された多数のピクセルを具備し、波動場により照明される。SLMの各ピクセルは、格子周期pを有する制御可能な反射直線回折格子の形式の変調素子を具備し、本発明によれば、直線回折格子が2つの方向に互いに独立して移動可能であるように、直線回折格子の位置はシステムコントローラにより制御される。特に、入射波動場の位相変調及び振幅変調を実現するために、直線回折格子の位置を光変調器の平面に対する法線方向に変化させることが可能であると共に、光変調器の平面と平行な平面内ではあるが直線回折格子の構造に対して直角な横方向に変化させることが可能であり、それら2つの位置変化は互いに無関係である。それらの位置変化によって、入射波動場の振幅変調と相関する位相変調は追加位相値を与えられ、その結果、位相分布が得られる。
一般に、ピクセルの直線回折格子は複数のリボン又は1つのリボンを具備し、リボンは複数の要素を有してもよい。本発明によれば、光変調器の平面に配置される、又は、光変調器の平面と平行な平面に配置されるベースプレートの上方に、回折格子の要素は自立構造で懸垂される。本発明の第1の実施形態において、回折格子の要素は、隣接する要素の間に所定の距離をおいて配列されてもよい。第2の実施形態において、直線回折格子は、互いに密接して配設された複数の要素を具備する。それら2つの実施形態において、回折格子の要素は、初期位置から直線回折格子の構造に対して直角の方向へ移動できるように移動可能に支持される。回折格子の要素が個別に移動するか、又は、1つのピクセルの中の回折格子の全ての要素が同時に移動することが可能である。変調素子に入射した波面の振幅及び位相が各ピクセルで互いに独立して変調されるように、多数のピクセルはシステムコントローラの電気信号により制御される。
システムコントローラにより供給される制御信号に基づき、多数のアクチュエータ要素は、アクチュエータ要素と直線回折格子とを接続する可動接続手段によって、ベースプレートに対して直線回折格子の位置を変化させる。アクチュエータ要素により実現されるベースプレートに対する直線回折格子の位置の変化は、個別のピクセルの振幅値及び位相値の全範囲にわたり起こるのが好ましい。アクチュエータ要素の効果は、静電気の原理、電磁気又は圧電効果に基づくのが好ましい。
本発明の更なる特徴は、光変調器平面で発生される振幅及び位相の分布が光変調器のスイッチング状態に対して2進分布、n段2進分布又は鋸歯形分布のいずれであってもよいことである。
本発明は、ピクセルが振幅変調モード、位相変調モード又は複素変調モードで任意に動作される本発明に係る複素光変調器と、少なくとも1つの光源と、結像光学系と、フィルタユニットとを有する空間光変調器デバイスに更に関する。望ましくない回折次数は、フィルタユニットにより除去される。回折格子系SLMにおいて、変調波動場のただ1つの回折次数が使用されることが好ましい。
本発明の目的は、規則的に配列されたピクセルを有し、各ピクセルは格子周期pを有する制御可能な直線回折格子の形式の反射変調素子を具備する空間光変調器に入射した波動場を変調する方法により更に達成される。この方法において、システムコントローラは、光変調器の平面に対する法線方向及び光変調器の平面と平行な平面内ではあるが直線回折格子の構造に対して直角な横方向の2つの方向の互いに独立した直線回折格子の位置の変化を制御し、それにより、所望の振幅変調と相関する入射波動場の位相変調が追加位相値を与えられる。
直線回折格子の位置の変化の処理ステップは、反射波面の位相変化を実現するために光変調器の平面と平行な平面内ではあるが直線回折格子の構造に対して直角な横方向に実行されると共に、それとは無関係に、波面の振幅変化を実現するために光変調器の平面に対して法線方向に実行される。
本発明によれば、追加位相変調の値は、システムコントローラに一体的に組み込まれた計算ユニットにより実行されるモデル計算により判定される。あるいは、追加位相値の判定は、校正測定値を利用して実行されてもよく、それらの測定値は記憶媒体に格納され、計算ユニットにより検索される。方法の別の実施形態において、システムコントローラは、格子周期pごとにN個のリボンが互いに1つの直線回折格子でΔt/Nの距離のずれを伴って移動されるように法線方向にリボンを移動することにより段階状位相プロファイルを実現する。
更に、アレイの個別のピクセルにおいて異なる格子周期が実現されるようにSLMが制御されてもよい。これにより、回折波動場の異なる射出角射出が実現される。例えば、それぞれが異なる波動場を再構成する複数のピクセル領域を形成するようにSLMを分割してもよい。これにより、本発明に係るSLMによって異なる波動場の空間分割多重化を同時に実現できる。
次に、添付の図面に関連して本発明に係る複素空間光変調器を説明する。
図1は、2D配列の複数のピクセルを有する本発明に係る複素光変調器を示し、且つ、1つのピクセルを拡大して詳細に示す図である。 図2a及び図2bは、本発明に係る複素光変調器の回折格子系ピクセルの機能構造を示す2つの実施形態の斜視図である。 図3aは、図2aに示されるピクセルの一実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図3bは、図2aに示されるピクセルの一実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図3bは、図2aに示されるピクセルの一実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図4aは、図2bに示されるピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図4bは、図2bに示されるピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図4cは、図2bに示されるピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図5aは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図5bは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図5cは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図6aは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図6bは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図6cは、ピクセルの更なる実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。 図7は、直線回折格子が複数の周期にわたり法線方向及び横方向の双方に変位された場合の回折効率η(振幅に関連する)、及び、その結果得られる位相寄与(resultant phase contributions)Ψ及びΦを1次元グラフィック表現で示す図である。 図8は、直線回折格子が複数の周期にわたり法線方向及び横方向の双方に変位された場合の回折効率η、及び、その結果得られる位置別総位相寄与φを2次元グラフィック表現で示す図である。 図9は、直線回折格子が1周期にわたり法線方向及び横方向の双方に変位された場合の回折効率η、及び、その結果得られる位相寄与Ψ及びΦを1次元グラフィック表現で示す図である。 図10は、直線回折格子が複数の周期にわたり法線方向及び横方向の双方に変位された場合の回折効率η、及び、その結果得られる位置別総位相寄与φを2次元グラフィック表現で示す図である。 図11は、本発明に係る複素光変調器の動作曲線を示す図である。 図12a及び図12bは、従来の直線回折格子の法線方向限定変位の場合の動作曲線(a)及び直線回折格子の横方向限定変位の場合の動作曲線(b)を示す図である。 図13は、入射波面の異なる種類の変調に対して複素光変調器のピクセル値を設定する方法を示すフローチャートである。
以下の実施形態は、本発明に係る光変調器(SLM)に関し、パネル全体を代表して1つのピクセルを詳細に説明する。以下の説明を明確にするため、広く知られており、且つ/又は、本発明とは関連性の薄い回折SLM又は回折格子系SLMの詳細は省略する。回折格子系空間光変調器の特性を利用できるようにするために、光変調器の平面における振幅位相分布は2進分布、N段2進分布又は鋸歯形分布の形状で実現可能である。回折格子は、好ましくは、入射波が振幅及び位相を有する法線方向にコヒーレント波面によって照明される。
本発明に係る複素SLMは、規則的に配列された多数の反射ピクセルを有するアレイを具備する。ピクセルのアレイは、1次元アレイであってもよいし、あるいは、2次元アレイであってもよい。図1は、SLMの2次元ピクセルアレイを示す上面図である。矢印は、拡大された詳細な1つの回折格子系ピクセルを示す。1つのピクセルを表す図は、アクチュエータ要素(図中符号により示されない)が可動接続手段と側方で接触していてもよいことを示す。接続手段は、例えば、直線回折格子の要素又はリボンと移動可能に接続された櫛形側方部分を有するフレームであってもよい。1つのピクセルの横方向寸法は、典型的には、数μm〜数百μmの範囲である。
図2a及び図2bは、本発明に係る1つのピクセルの2つの実施形態を示す斜視図である。各ピクセルは、システムコントローラ(不図示)を介して制御可能な共面直線回折格子の形式の変調素子を具備する。図2aにおける直線回折格子は、互いに平行に配列され、且つ、側方で溝により分離された複数の可動要素又はリボンを具備する。リボンは、直線回折格子の1格子周期pに相当する距離をおいて配置される。リボンは、ベースプレートの上方に距離tだけ離間して自立構造で懸垂されており、tは実行される運動の初期位置を特定する。光変調器のピクセルごとに別個のベースプレートが設けられてもよい。本発明の更なる実施形態において、ベースプレートは、すべてのピクセルに対して共通のベース要素として機能してもよい。入射波動場の変調のために実現されなければならないベースプレートの平面と平行であると同時に直線回折格子の格子ベクトルと平行な横方向変位はΔxで表され、ベースプレートの平面に対して法線方向の変位はΔtで表される。それら2つの変位方向は、図面中に両方向矢印で示される。
以下の説明中、2つの変位方向は簡潔に「横方向変位」及び「法線方向変位」、又は、単に「横方向」及び「法線方向」と呼ばれる。更に、直線回折格子に向いた矢印は、変調されるコヒーレント波動場の入射方向を示し、直線回折格子とは逆の向きの矢印は、反射変調波動場の0次回折及び選択された±1次回折の方向を示す。リボンは、反射材料から製造される、あるいは、反射材料で被覆される。個々の実施形態において、ベースプレートも反射材料から製造される、あるいは、反射材料で被覆される、又は、吸収材料から製造される、あるいは、吸収材料で被覆される。
リボンは、ピクセルの上縁部及び下縁部で、例えば、可動フレームなどの接続手段(不図示)により接続される。直線回折格子の横方向(面内)変位を実現する1つ又は複数の制御可能なアクチュエータがフレームに装着されてもよい。更に、直線回折格子の法線方向(ピストン状、平面外)変位を実現する別の制御可能なアクチュエータがフレームに装着されてもよい。法線方向の運動はストローク運動である。一般に、アクチュエータは、システムコントローラ(不図示)により供給される制御信号によって制御される。
制御下でリボンの運動を実現するアクチュエータは、例えば、静電気の原理、電磁気又は圧電効果に従って動作してもよい。例えば、横方向運動は、複数のリボンを支持し、且つ、それらのリボンを同時に運動させる櫛形駆動アクチュエータを利用して静電気により実現されてもよい。ストローク運動も、例えば、バイモルフ撓み型アクチュエータ又はバイモルフカンチレバー型アクチュエータなどを利用して静電気により実現されてよい。複素光変調器において可能なあらゆる振幅値及び位相値を互いに独立して設定できるようにするためには、リボンの所望の波長のΔt=λ/4の最小法線方向変位及びΔx=pの最小横方向変位が必要となる。回折格子の溝においてはベースプレートにより波面が反射されるので、幾何学的距離を2度通過することになり、従って、λ/4の距離tにおける有効位相差ψは値πに相当する。位相回折格子、この場合はリボンにおいて、この位相差ψで最大回折効率ηに到達する。図2aに示される複素光変調器の第1の実施形態(C−SLM)は、リボンの初期距離tがλ/4の倍数である場合に使用されることが好ましい。回折格子の要素はある特定の最小厚さを有し、且つ、所定の幾何学的及び技術的境界条件があるため、これが好ましいC−SLMの型であると考えられる。このC−SLMでは、ピクセルに配列された変調器要素を狭い範囲内で横方向及び法線方向に互いに独立して制御可能であるため、入射波動場の振幅及び位相を互いに独立して変調可能である。
図2bを参照するに、第2の実施形態において、1つのピクセルの直線回折格子は、相互間に非常に狭い間隙を挟んで互いに隣接して配設された複数の要素から構成される。それらの要素は、リボンの形状を有し、ベースプレートの上方に自立構造で懸垂される。この場合、例えば、1つおきのリボンが法線方向に変位されてもよい。個々のリボンは互いに非常に密接して配設され、互いに影響を及ぼさずに法線方向にリボンを変位させることが可能である。本実施形態において、リボンの間の非常に狭い間隙を通過する光の影響を実際に抑制するために、ベースプレートは所定の波長の光に対して吸収特性を有することが好ましい。本実施形態では、リボンは反射型である。光変調器の第2の実施形態は、C−SLMを低次の有効位相差ψで動作させる場合、すなわち、リボンとベースプレートとの離間距離を、例えば、0〜λ/4にする場合に使用されることが好ましい。第2の実施形態の別の制御オプションによれば、ピクセルの直線回折格子において異なる有効格子周期p又は異なる有効デューティファクタのいずれかを実現するために、並列する複数のリボンが同時に法線方向に移動されてもよい。
図3a〜図3cは、図2aに示されるピクセルの一実施形態の3つの異なるスイッチング状態を示す。2つの隣接する要素の間の溝により互いに分離されている回折格子の個々の要素は、ベースプレートの上方に平行に配列され、且つ、格子周期pを有する。ベースプレート及び回折格子の要素は、共に反射型である。
図3aは、初期状態にあるC−SLMの1つのピクセルを示す。回折格子の自立要素とベースプレートとの間の初期距離tに応じて、この状態は非アクティブ(オフ)スイッチング状態 −t=nλ/4で暗ピクセル− であってもよいし、あるいは、アクティブ(オン)スイッチング状態 −t=(n+1)λ/4で明ピクセル− であってもよい。なお、n=0,2,4...である。横方向変位及び法線方向変位の方向Δx及びΔtは両方向矢印で示される。
図3bにおいて、ピクセルの回折格子の要素は、ベースプレートに向かう方向の変位Δtにより移動される。初期距離tの初期状態は破線で示される。この運動に相当するスイッチング状態は従来のSLMを使用した場合にも実現され、この運動により回折効率ηを系統的に操作可能である。回折格子の要素のこのような法線方向変位は、上述したように、小さな位相ずれも発生させる。位相ずれは、入射波面の振幅変調と相関する縁端部の位相変調を実現する。ピクセルごとに、既に実行された法線方向変位Δtとは無関係に回折格子の要素を更に横方向変位Δxさせることにより位置別位相値が設定可能である。これが図3cに示される。回折格子のすべての要素は横方向に同時に変位されるが、この横方向変位は、例えば、システムコントローラにより供給される対応する制御信号によって制御される櫛形駆動アクチュエータ要素により実行されてもよい。
図4a〜図4cは、図2bに示される第2の実施形態に係る1つのピクセルの3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。図4aを参照するに、回折格子の反射要素は、ベースプレートの上方に互いに平行に、且つ、有効格子周期pで密接するように並置される。初期距離tにおいて、自立構造で支持されている回折格子の要素は、通常の鏡面の効果を有する。この場合、回折格子の要素は、リボンの形状で配設される。図4bに示されるスイッチング状態を参照するに、制御下にあるアクチュエータ(不図示)により1つおきのリボンがアクティブ状態にされ、初期距離tと比較して法線方向に変位Δtだけ変位されている。従って、ベースプレートと平行であり、光変調器の平面と平行である平面に1つおきのリボンが位置していることになる。
図4cを参照するに、リボンはそれぞれ対応する平面内ではあるが直線回折格子の構造に対して直角な横方向に変位Δxだけ更に移動される。1つおきのリボンの横方向及び法線方向の両方向への位置変化によって、入射波面の振幅及び位相の双方を互いに独立して変調する回折ピクセルが実現される。各ピクセルの変位Δtは、個別の回折次数に回折強度がどのように配分されるかを規定する。別の実施形態において、1つのピクセルの直線回折格子において異なる有効格子周期p又は異なる有効デューティファクタのいずれかを実現するために、互いに並列する複数のリボンが同時に法線方向に移動されてもよい。その結果、異なる角度で回折が起こる、あるいは、回折効率に相違が発生し、それが変調に利用されることが好ましい。
図5a〜図5cは、第3の実施形態に係る1つのピクセルの3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。図5aを参照するに、反射リボンはベースプレートの上方に互いに平行に、有効格子周期pで密接して並置されている。本実施形態においても、ベースプレートは所定の波長の光に対して吸収特性を有し、リボンは反射型である。1つの格子周期pは、N個の隣接するリボンを含む。初期距離tにおいて、自立構造で支持されているリボンは通常の鏡面の効果を有する。本実施形態において、リボンの幅は非常に狭い。制御可能なアクチュエータ(不図示)は、所望のスイッチング状態に従って各リボンを個別に制御する。
図5bを参照するに、各格子周期の第1のリボンを除くすべてのリボンが法線方向に移動されている。それらのリボンは、互いに平行であり、且つ、ベースプレートと平行である平面に位置する。格子周期pの中でN=4個のリボンにより4つの異なる位相段階が実現されるようにリボンは法線方向に移動される。実現される回折効率ηに達した場合、最も高く上昇したリボンと最も低い位置にあるリボンとの距離は変位Δtに相当する。1つの格子周期pの中の個々のリボンは、Δt/Nの相互距離を示すように法線方向に移動されることが好ましい。このようにして段階状位相プロファイルが実現され、ピクセルごとの回折効率が向上する。ブレーズ角γを近似するように変位Δtが選択されると、最大回折効率ηが実現される。ブレーズ角は、必要条件γ=−αm/2で決定される。ブレーズ角は、使用される波長λ及び回折次数mにも従属する。このような種類の回折格子は、N段2進回折格子として周知である。回折次数ごとの所望の振幅値は、変位Δt及び格子周期pにより判定される角度εにより決定され、この角度は最大回折効率を実現するためのブレーズ角γに相当する。
図5cを参照するに、リボンは、それぞれ対応する平面において、変位Δxだけ更に横方向に移動される。あるいは、すべてのリボンをΔxだけ共通に変位させるのではなく、1つの格子周期pから隣接するリボンの次の格子周期へ位相ずれが起こるようにリボンの高さを個別に変化させるように、横方向変位が実行されてもよい。従って、N段2進直線回折格子は、ベースプレートの上方で横方向へ移動する。この場合、横方向の離散化はN=4であり、離散化ステップ幅はp/Nである。第3の実施形態の場合、個別の段階により好適なブレーズ位相プロファイル又は鋸歯形位相プロファイルを近似することが可能であるばかりではなく、他のどのような位相プロファイルも近似可能である。好適な位相プロファイルの別の例は余弦位相プロファイルである。
図6a〜図6cは、第4の実施形態に係る1つのピクセルの3つの異なるスイッチング状態を示す側面図である。図6aを参照するに、反射リボンはベースプレートの上方に互いに平行に、有効格子周期pで密接して並置されている。ベースプレートは所定の波長の光に対して吸収特性を有し、リボンは反射型である。図6bからわかるように、個々のリボンの軸に関する回動運動により位相ずれΔtが設定される。角度εがブレーズ角度と一致すると、最大回折効率が実現される。この種の回折格子は、ブレーズ回折格子又は鋸歯形回折格子として周知である。この種の回折格子は、所望の回折次数で回折効率が高いことを特徴とする。図6cを参照するに、追加の位相ずれを実現するために、リボンはそれぞれ対応する平面において変位Δxだけ更に横方向に移動される。
図7は、所定の波長λ=633nmに対する理想の反射2段2進直線回折格子の実施例による入射波面の変調の結果を1次元グラフィック表現で示す図である。上の図は回折効率η(振幅と関連する)を示し、下の2つの図は法線方向変位及び横方向変位から得られる位相寄与Ψ及びΦを示す。この場合、直線回折格子は、それぞれの方向の変位の複数の周期にわたり法線方向及び横方向に変位される。モデル計算は、格子周期pを2μmとする理想の反射位相回折格子(A=A=1)に基づいている。金属材料又は半金属材料の場合、モデル計算に際して、特にリボン及びベースプレートの反射面の複素反射率がわかっていなければならない。振幅変調と相関する位相値と共に複素振幅の所要の又は所望の位置別位相値を形成する追加位相値は、モデル計算又は校正測定において決定される。
図8の上の図は、回折効率ηを2次元表現で例示的に示し、下の図は、法線方向変位及び横方向変位から得られる理想の反射2段2進直線回折格子(位相回折格子の形態)の総位置別位相寄与φ=Ψ+Φを示す。この場合、変位Δt及びΔxは、法線方向及び横方向の双方で複数の周期にわたり実行される。回折効率ηは、正規化されない理論上の量である。計算モデルの値は、図7の図を作成するために使用された値と同一である。
図9は、図7と同様に、所定の波長l=633nmに対する理想の反射2段2進直線回折格子の実施例による入射波面の変調の結果を1次元グラフィック表現で示す図である。上の図は、回折効率η(振幅と関連する)を示し、下の2つの図は、法線方向変位及び横方向変位から得られる位相寄与Ψ及びΦを示す。この場合、法線方向及び横方向の直線回折格子の変位は、1周期の間のみ実行される。モデル計算は、格子周期pを2μmとする理想の反射位相回折格子(A=A=1)に基づいている。計算モデルの値は、図7のグラフを作成するために使用された値と同一である。法線方向変位の範囲は、(nλ/4)≦t≦(n+1)λ/4である。
図10の上の図は、図8と同様に、回折効率ηを2次元図で示し、下の図は、法線方向変位及び横方向変位から得られる理想の反射2段2進直線回折格子(位相回折格子の形態)の総位置別位相寄与φ=Ψ+Φを示す。この場合、法線方向及び横方向の変位Δt及びΔxは、1周期の間のみ実行される。回折効率ηは、正規化されない理論上の量である。計算モデルの値は、図7のグラフを作成するために使用された値と同一である。
図11は、本発明に係る複素空間光変調器の動作曲線を示す。動作曲線の各点は、中心から最も外側の縁に向かって、本発明に係るC−SLMによって実現可能な複素振幅の実部及び虚部の複素平面における合成フェーザの極限点に相当する。デジタル制御が実行された場合、点の密度は横方向及び法線方向の離散化ステップ幅に応じて決まり、本実施例において、離散化ステップ幅は各変位方向で6ビットである。
図12a及び図12bは、回折格子系光変調器の法線方向のみの変位の場合(a)及び横方向のみの変位の場合(b)の波面変調の動作曲線の例を示す。図12aに示される動作曲線は、従来の純振幅変調又は振幅・位相相関変調に相当する。図12bに示される動作曲線は、光変調器の直線回折格子が横方向にのみ変位された場合、例えば、純位相変調の場合に形成される。
本発明に係るC−SLMによって入射波動場の異なる種類の変調を実行できる。このことは図13のフローチャートに示される。システムコントローラの設定によれば、各ピクセルの各変調器要素は、振幅変調、位相変調又は複素変調に対応する値でアドレス指定可能である。しかし、本発明に関しては、複素モードでの使用が好適である。変調の種類を指定した後、システムコントローラの設定に従って、振幅値、位相値又は振幅値及び位相値の双方が変調実行のために選択される。それらの値は、例えば、ルックアップテーブルに格納されてもよい。それらの値に従って、各ピクセルの回折格子の要素又はリボンの所要の法線方向変位Δt及び/又は横方向変位Δxの量がシステムコントローラにより決定される。それらの値もルックアップテーブルに格納されてもよい。システムコントローラは、それらの変位量に従って、決定された回折格子の要素又はリボンの変位が実現されるように、ピクセルごとに設けられたアクチュエータを制御するための制御信号を発生する。そのように設定された直線回折格子に入射したコヒーレント波面は、所望の位相変調及び/又は振幅変調を受ける。
本発明の更なる実施形態によれば、好適な波長λ及び好適な変調の種類に応じた回折格子の要素又はリボンの変位Δx及びΔtは、ルックアップテーブルに格納されてもよい。
別の実施形態によれば、少なくとも1つのコヒーレント光源を具備する空間光変調器デバイスにおいて、複素SLMは、少なくとも1つの結像光学系及び少なくとも1つのフィルタユニットと組み合わされてもよい。フィルタユニットは、望ましくない回折次数を排除し、且つ、所望の変調回折次数のみを伝達するように機能する。
本発明は、複素空間光変調器(C−SLM)に入射した所望の波長のコヒーレント光に対して波面の位相及び振幅の双方を、連続的に、且つ、互いに独立して空間変調する複素空間光変調器を提供する。全複素変調に加えて、本発明に係るC−SLMは、純位相変調又は実質的な純振幅の変調にも使用可能である。
C−SLMは、リソグラフィ、薄膜蒸着及び不純物添加、エッチング、接合、バルクマイクロマシニング及び表面マイクロマシニングなどのマイクロシステムエンジニアリング技術又はMEMS製造技術を利用して製造される。
本発明を更によく理解するために、回折格子の理論において使用されるいくつかの用語を以下に簡単に説明する。
格子周期pを有し、角度αで照明される一般的な直線回折格子の場合、回折格子方程式は次の通りである。
m次で回折される波長λの光の回折角αは上記の式から導出される。回折角は、それぞれ対応する支持基板の法線に関連する。光が左側から入って伝播する場合、回折格子方程式は、反射型回折格子(負の符号)及び透過型回折格子(正の符号)の双方に適用される。実際の用途に応じて反射型回折格子と透過型回折格子は区別され、その構造に従って振幅回折格子と位相回折格子は区別される。空間における回折格子の向きは、その格子ベクトルにより定義される。回折格子ベクトルは、位相関数の傾きの方向に延びる。配列されている回折格子の要素の格子周期pは空間周波数νの逆値である。
また、回折格子の空間周波数νは1mm当たりの格子周期pの数(1mmあたりの格子要素対の数)に相当する。回折格子の更なる特性は、そのデューティファクタ及びアスペクト比である。デューティファクタは、回折格子の要素の幅bと格子周期pとの商であり、アスペクト比は、構造の奥行tと要素の格子周期pとの比である。
格子周期pが入射光の波長より何桁も大きく、且つ、回折現象の遠距離電磁場効果のみが重要である場合、回折効果をスカラ考察することにより十分な精度が得られる。空間光変調器において、遠距離電磁場における再構成特性は決定的な特性である。フラウンホーファーの近似によれば、遠距離電磁場における回折像は、回折構造のすぐ後の電磁場のフーリエ変換に相当する。そこから、遠距離電磁場の回折効率η及び位相Ψを導出できる。
以下に、2段2進直線回折格子を実例として回折効率η及び位相Ψを更に説明する。例えば、Y.C.Chang及びJ.Burgeの「Error analysis for CGH optical testing」(Optical Manufacturing and Testing III、H.P.Stahl編、1999年、3782、358〜366ページ)に導出の方法が記載されている。同じ原理に従って、N段2進回折格子又はブレーズ鋸歯形回折格子の回折効率η及び位相Ψも導出可能である。なお、以下に示す式(3)及び(4)は、2段2進回折格子の特殊なケースに適用されるが、式(5)〜(8)は、上述した種類の回折格子に対して全般的に有効である。
回折素子の回折効率ηは、射出波の強度と入射波の強度との商として定義される。入射強度1に正規化された場合、個々の次数で回折効率を導出可能である。2段2進直線回折格子において、0以外の回折次数mに対して回折効率は次のように導出される。
式中、A、Aは、2進構造の溝の中及び格子要素における射出波の振幅値である。それらの値は、振幅反射係数に対応し、フレネルの式を利用して決定可能である。従って、振幅反射係数A、Aの計算に際しては、反射面の反射率(誘電体の場合は実数、金属及び半金属の場合は複素数)がわかっていなければならない。位相ψは、回折格子の要素の領域と溝領域との間の反射波の位相ずれを表す。溝の深さをtとすると、反射型回折格子における位相はψ=2杯/λ・2tである。qは、回折格子構造のデューティファクタである。結果として発生する電磁場の位相は、遠距離電磁場における波動場の虚部と実部との商のアークタンジェントから計算される。従って、0以外の回折次数mにおける位相Ψは、
直線回折格子構造がベースプレートに対して法線方向に相対変位する場合、回折効率(振幅の二乗)及び位相の双方が影響を受けること、すなわち、それら2つの量が相関し、互いに独立して設定することは不可能であることが解析により明らかである。従来の回折格子系SLMの振幅変調は、上述した原理に基づいている。
回折格子の法線方向変位から独立して反射波動場の位相を制御できるようにするために、回折格子の運動に更なる自由度が与えられる。格子ベクトルと平行な回折格子構造の横方向変位Δxにより位相ずれΦが発生する。
式中、pは格子周期であり、mは回折次数である。横方向変位は、1つのピクセルの線形位相関数に追加される位相ずれとして理解することもできる。
本発明による解決策は、回折格子の横方向変位と法線方向変位とを組み合わせ、変位に対応する回折光の位相変調と振幅変調とを組み合わせる。ピクセル行列の指標(k,l)を有するピクセルの複素振幅Uは次のように定義できる。
式中、Aは実振幅であり、φは1つのピクセルの位相値である。実振幅は、正規化された回折効率の平方根である。
効率は、上述した式(3)に従って計算される。1つのピクセルの位相値は位相寄与Ψ及びΦの和であり、それらの位相寄与の量は回折格子構造のフーリエ変換から次のようにして求められる。

Claims (18)

  1. 複数の規則的に配列されたピクセルを有し、各ピクセルは格子周期pを有する制御可能な反射直線回折格子の形式の変調素子を具備する空間光変調器であって、システムコントローラの制御の下で、入射波動場の所定量の振幅変調を実現するように前記直線回折格子の位置前記光変調器の平面に対する法線方向に変化させ、前記直線回折格子の位置を前記法線方向に変化させたときに生じる前記入射波動場の位相変調を加味して前記入射波動場の所定量の位相変調を実現するように前記直線回折格子の位置を前記光変調器の平面と平行な平面内ではあるが前記直線回折格子の構造に対して直角な横方に変化さることによって、前記所定量の振幅変調と前記所定量の位相変調とを実現することを特徴とする空間光変調器。
  2. ベースプレートを具備し、前記直線回折格子は、前記ベースプレートの上方に前記光変調器の平面又は前記光変調器の平面と平行な平面において自立構造で懸垂される、あるいは、前記ベースプレートに対して前記直線回折格子の位置を前記横方向及び前記法線方向に変化させるために、前記横方向及び前記法線方向の最小限の量の変位が必要である請求項1に記載の空間光変調器。
  3. 変調波面の振幅は、前記直線回折格子と前記ベースプレートの平面との離間距離を変化させることにより設定される請求項2に記載の空間光変調器。
  4. 前記システムコントローラ
    前記所定の振幅変調に対応する前記直線回折格子の位置記法線方向への第1変化量を決定し、
    前記直線回折格子の位置を前記法線方向に前記第1変化量だけ変化させたときに生じる前記入射波動場の位相変調量を決定し、
    前記所定量の位相変調と前記位相変調量との残差に対応する前記直線回折格子の位置の横方向への第2変化量を決定し、
    前記第1変化量だけ前記直線回折格子の位置を前記法線方向に変化させ、
    前記第2変化量だけ前記直線回折格子の位置を前記横方向に変化させることを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
  5. 変調波面の振幅は、個別のリボンをその軸に関して前記法線方向の位相ずれを表す可変角度値だけ回転運動させることにより設定される請求項1に記載の空間光変調器。
  6. 前記直線回折格子は、互いに平行に配列され、且つ、溝により互いに分離された複数のリボンを具備し、前記溝は、前記波面が到達する前記ベースプレートの部分により形成される請求項2に記載の空間光変調器。
  7. 前記直線回折格子及び前記ベースプレートは、変調される光を反射する材料から製造される又は前記材料で被覆されること、及び、所定の同一のスペクトル範囲内の光を反射することの少なくともいずれかを特徴とする請求項6に記載の空間光変調器。
  8. 前記直線回折格子が、互いに隙間なく平行に配列された複数のリボンを具備すること、及び、前記ベースプレートが、光吸収材料から製造される又は光吸収材料で被覆されることの少なくともいずれかを特徴とする請求項2に記載の空間光変調器。
  9. N>2とするとき、前記直線回折格子は、前記格子周期pごとにN個のリボンを有し、前記格子周期pの中の隣接するリボンは、前記法線方向に異なる距離を有する請求項8に記載の空間光変調器。
  10. 前記ベースプレートに対する前記直線回折格子の位置を変化させるアクチュエータ要素が設けられ、前記アクチュエータ要素の効果は、静電気の原理、電磁気又は圧電効果に基づいており、前記アクチュエータ要素は、前記システムコントローラにより供給される制御信号によって制御される請求項2に記載の空間光変調器。
  11. 前記リボンの横方向変位は、櫛形アクチュエータ要素により実現される請求項10に記載の空間光変調器。
  12. 前記アクチュエータ要素による前記ベースプレートに対する前記直線回折格子の位置の変化は、個々のピクセル間の全振幅値範囲及び全位相値範囲に及ぶ請求項9に記載の空間光変調器。
  13. 前記光変調器の平面における前記直線回折格子の位置の変化により実現される振幅及び位相の変調は、合成振幅位相分布を示し、前記合成振幅位相分布は、前記光変調器の1つのスイッチング状態に対して2進分布、n段2進分布又は鋸歯形分布である請求項1に記載の空間光変調器。
  14. 請求項1に記載の複素空間光変調器と、少なくとも1つの光源と、結像光学系と、フィルタユニットとを有し、前記光変調器のピクセルは、振幅変調モード、位相変調モード又は複素モードで任意に動作される空間光変調器デバイス。
  15. 規則的に配列された複数の反射ピクセルを有し、各ピクセルは格子周期pを有する制御可能な直線回折格子の形式の反射変調素子を具備する空間光変調器に入射する入射波動場を変調する方法であって、
    前記入射波動場の所定の振幅変調を実現するように前記光変調器の平面に対する法線方向前記直線回折格子の位置変化させ、前記直線回折格子の位置を前記法線方向に変化させたときに生じる前記入射波動場の位相変調を加味して前記入射波動場の所定量の位相変調を実現するように前記光変調器の平面と平行な平面内ではあるが前記直線回折格子の構造に対して直角な横方向に前記直線回折格子の位置を変化させることによって、前記所定量の振幅変調と前記所定量の位相変調とを実現することを特徴とする方法。
  16. 前記所定の振幅変調に対応する前記直線回折格子の位置の前記法線方向への第1変化量を決定し、
    前記直線回折格子の位置を前記法線方向に前記第1変化量だけ変化させたときに生じる前記入射波動場の位相変調量を決定し、
    前記所定量の位相変調と前記位相変調量との残差に対応する前記直線回折格子の位置の横方向への第2変化量を決定し、
    前記第1変化量だけ前記直線回折格子の位置を前記法線方向に変化させ、
    前記第2変化量だけ前記直線回折格子の位置を前記横方向に変化させ、
    前記残差は、前記システムコントローラに一体的に組み込まれた計算ユニットにより実行されるモデル計算で決定される、又は、前記残差は校正測定で決定され、前記校正測定の残差は記憶媒体に格納され、且つ、計算ユニットにより検索される請求項15に記載の方法。
  17. 前記システムコントローラは、可動接続手段を介して前記直線回折格子の変位を実行するアクチュエータ要素を制御する請求項15に記載の方法。
  18. 前記入射波動場を変調するために、前記システムコントローラはすべての直線回折格子を同時にアドレス指定する、又は、前記光変調器の個別の領域で前記入射波動場の異なる空間変調を実現するために、前記システムコントローラは、選択された直線回折格子をアドレス指定する請求項15に記載の方法。
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