JP5633810B2 - アルミニウム合金接合部材 - Google Patents
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また、筺体の場合は、アルミニウム合金材からなる側材と蓋材とを摩擦撹拌接合により一体に接合している。そして、一体に接合した側材と蓋材とは接合部も含めて接合部側の表面を平滑に面削した上で、耐食性や耐摩耗性を向上させるために陽極酸化処理による皮膜を形成し意匠面とするものである。
ところが、上記意匠面において形成される陽極酸化皮膜には、該接合部に対応する部分とその他の部分との間で結晶粒径の相違によって皮膜に色調差が発生することがある。
そこで、アルミニウム合金接合部材の陽極酸化皮膜において接合部に対応する部分とその他の部分との間で発生する結晶粒径の相違による色調差を解消するために、熱処理を施して結晶粒径の均一化を図ることが提案されている(特許文献1及び2参照)。
そこで、まずアルミニウム合金接合部材における摩擦撹拌接合による接合部とそれ以外の部分とにおける表面及び断面ミクロ組織を詳細に比較検討した。その結果、接合部では粗大なAl−Fe系及び/又はAl−Fe−Si系からなる第二相粒子は撹拌により微細に粉砕されるので2μm以上の第二相粒子は減少し、5μm以上の第二相粒子はほとんど見出すことができないものである。そして、陽極酸化皮膜を形成する意匠面において接合部に相当する部分(以下、「接合部相当部分」という。)とそれ以外の部分とを比較検討すると、接合部相当部分では粗大な第二相粒子も含めた第二相粒子が偏って分布していることが見出された。即ち、このような接合部相当部分における偏って分布する第二相粒子では、陽極酸化皮膜にも当該分布が反映されるため、皮膜における色調差として認識されるものとなる。
Mg:4.0質量%(以下、「%」とする。)超え6.0%以下、Cu:0.2%以下、Si:0.1%以下、Fe:0.1%以下、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金材であって、
該アルミニウム合金材中に分布する第二相粒子の粒径が5μm以下とするものであって、
該アルミニウム合金材の端面同士を摩擦撹拌接合によって接合部を形成するように一体に接合し、
該接合部側の面あるいはその反対面において陽極酸化処理による皮膜を形成するものである。
さらに、Cuは、陽極酸化処理後の皮膜全体の色調を均質にすることに寄与するものである。そのため、0.2%超では陽極酸化処理後の皮膜がAl−Cu系の微細析出物の影響により混濁するので、本願発明では0.2%以下とするものである。
また、Si及びFeは、Al−Fe系及び/又はAl−Fe−Si系からなる第二相粒子を形成するものであって、該Si及びFeの含有量が0.1%超であると、粒径が5μmを超える粗大なAl−Fe系及び/又はAl−Fe−Si系の第二相粒子が形成され易くなる。そのため、摩擦撹拌接合時には接合部で粗大な第二相粒子は優先的に粉砕されるが、接合部相当部分では、摩擦撹拌接合の撹拌により粗大なものも含めた第二相粒子は偏って分布することとなる。その結果、接合部相当部分において偏って分布する第二相粒子ではそれ以外の部分のものと比較しても陽極酸化皮膜における色調差の原因となるものである。そこで、本願発明ではSi及びFeの含有量は0.1%以下とするものである。より好ましいSi及びFeの含有量は0.07%以下である。
上記アルミニウム合金材中の第二相粒子が10000個/mm2以下で分布するものである。
まず、アルミニウム合金材には、第二相粒子をなすSi及びFeのうち、SiあるいはFeの含有量が上限近傍の2種類の5000系アルミニウム合金を本発明材1あるいは本発明材2として使用した。SiあるいはFeの含有量が上限をわずかに外れる2種類の合金を、比較材1あるいは比較材2として、本発明材1、2の比較例として使用した。
なお、該本発明材及び比較材の化学成分は表1に示す通りである。
本発明材としては、前記の本発明材2を用い、比較材としてはFe量を多く含有した比較材3を用いた。化学成分は表2に示す。供試材の製造方法、評価方法は前記と同じとした。
Claims (2)
- Mg:4.0質量%(以下、「%」とする。)超え6.0%以下、Cu:0.2%以下、Si:0.1%以下、Fe:0.1%以下、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金材であって、
該アルミニウム合金材中に分布する第二相粒子の粒径が5μm以下とするものであって、
該アルミニウム合金材の端面同士を摩擦撹拌接合によって接合部を形成するように一体に接合し、
該接合部側の面あるいはその反対面において陽極酸化処理による皮膜を形成する
ことを特徴とするアルミニウム合金接合部材。 - 上記アルミニウム合金材中の第二相粒子が10000個/mm2以下で分布する
ことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金接合部材。
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