JP2012148335A - アルミニウム合金材の接合方法と該アルミニウム合金材の接合方法により製造されるアルミニウム合金製パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】一体に接合したアルミニウム合金材の表面に形成される陽極酸化皮膜において、接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で色調差が発生することを防止する。
【解決手段】一体に接合する各々蓋材2及び側材3のアルミニウム合金材は、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、その端部による継手部5に対して、ツール8におけるショルダー10の直径dを3≦d≦8(mm)、ツール7の回転数rを6<r≦20(回転/mm、接合長さ1mm当りのツールの回転数)として摩擦撹拌接合を行うことで、接合部とそれ以外の部分との間で第二相粒子の分布はほとんど相違せず、表面の陽極酸化皮膜における色調差の発生を防止できる。
【選択図】図2
【解決手段】一体に接合する各々蓋材2及び側材3のアルミニウム合金材は、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、その端部による継手部5に対して、ツール8におけるショルダー10の直径dを3≦d≦8(mm)、ツール7の回転数rを6<r≦20(回転/mm、接合長さ1mm当りのツールの回転数)として摩擦撹拌接合を行うことで、接合部とそれ以外の部分との間で第二相粒子の分布はほとんど相違せず、表面の陽極酸化皮膜における色調差の発生を防止できる。
【選択図】図2
Description
本願発明は、アルミニウム合金材の接合方法と、該アルミニウム合金材の接合方法により製造されるアルミニウム合金製パネル、特にその表面において陽極酸化処理による皮膜を形成するものに関するものである。
従来、局部的に蓋材を取り付けるアルミニウム合金製パネルの製造にあたっては、局部的に蓋材を取り付けるという構造上の特徴から側材と蓋材とを一体に成形することは困難である。そのため、アルミニウム合金材からなる側材と蓋材とは溶融接合やレーザー溶接によって一体に接合している。そして、一体に接合した側材と蓋材とは接合部も含めて表面を平滑に面削した上で、耐食性や耐摩耗性を向上させるために陽極酸化処理による皮膜を形成するものである。
しかしながら、一体に接合されたアルミニウム合金材からなる側材と蓋材との表面に形成される陽極酸化皮膜では、該接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で色調差が発生することがある。この色調差の原因は、接合部における第二相粒子が溶融溶接等による熱によって固溶化及び粗大化した結果、第二相粒子の分布密度が接合部に相当する部分とそれ以外の部分とで大きく相違し、陽極酸化皮膜に影響するためである。
そこで、接合に際しての熱による第二相粒子の固溶化あるいは粗大化に起因する陽極酸化皮膜の色調差の発生を防止するため、アルミニウム合金材からなる側材と蓋材とを接合する際に、接合部に対する熱影響を最小限にすることができる摩擦撹拌接合を利用することが提案されている(特許文献1参照)。
ところが、前記アルミニウム合金材からなる側材と蓋材とを摩擦撹拌接合によって接合部を形成しても、一体に接合された側材と蓋材の表面に形成される陽極酸化皮膜において、該接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で色調差が発生する場合がある。この色調差の原因は、接合部では摩擦撹拌接合による撹拌により側材及び蓋材中に含有される第二相粒子が分断されて微細な第二相粒子となり、接合部とそれ以外の部分とでは第二相粒子の分布状態が相違するものとなった結果、第二相粒子の分布密度が接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分とで大きく相違するためである。
解決しようとする課題は、摩擦撹拌接合により一体に接合されたアルミニウム合金材同士の表面上に形成される陽極酸化処理による皮膜において、接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で発生する色調差を解消することである。
本願発明は、アルミニウム合金材を一体に接合してアルミニウム合金製パネルを製造するにあたり、表面に形成される陽極酸化処理による皮膜において接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で発生する色調差を解消するために、アルミニウム合金材中の第二相粒子の分布密度、及びアルミニウム合金材の摩擦撹拌接合における接合条件を制限することを最も主要な特徴とする。
第1の特徴として、
互いに接合する各々のアルミニウム合金材は、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該アルミニウム合金材の端部によって継手部を構成し、
該継手部に対して、ツールにおけるショルダーの直径dを3≦d≦8(mm)、及び摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6<r≦20(回転/mm、接合長さ1mm当りのツールの回転数)として摩擦撹拌接合によって前記継手部を構成するアルミニウム合金材を一体とする接合部を形成するものである。
互いに接合する各々のアルミニウム合金材は、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該アルミニウム合金材の端部によって継手部を構成し、
該継手部に対して、ツールにおけるショルダーの直径dを3≦d≦8(mm)、及び摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6<r≦20(回転/mm、接合長さ1mm当りのツールの回転数)として摩擦撹拌接合によって前記継手部を構成するアルミニウム合金材を一体とする接合部を形成するものである。
このように、互いに接合するアルミニウム合金材が、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であるので、摩擦撹拌接合による撹拌で発生する第二相粒子の分断を最小限にすることができる。
さらに、アルミニウム合金材の摩擦撹拌接合において、ツールにおけるショルダーの直径dを3≦d≦8(mm)、及び摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6<r≦20(回転/mm)とするので、接合による入熱が最適化され、被接合部材を確実に接合することができるとともに、微細な第二相粒子の析出を最小限とすることができる。
即ち、一体に接合されたアルミニウム合金材の接合部とそれ以外の部分との間では第二相粒子の分布に大きな相違が発生することを防止できる。
さらに、アルミニウム合金材の摩擦撹拌接合において、ツールにおけるショルダーの直径dを3≦d≦8(mm)、及び摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6<r≦20(回転/mm)とするので、接合による入熱が最適化され、被接合部材を確実に接合することができるとともに、微細な第二相粒子の析出を最小限とすることができる。
即ち、一体に接合されたアルミニウム合金材の接合部とそれ以外の部分との間では第二相粒子の分布に大きな相違が発生することを防止できる。
その結果、製品として互いに接合したアルミニウム合金材の表面に陽極酸化処理による皮膜を形成しても、接合部とそれ以外の部分との間で第二相粒子の分布において大きな相違はなくなり、接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との陽極酸化皮膜間で色調差が発生することを防止できる。
ここで、互いに接合するアルミニウム合金材中の第二相粒子の粒径が5μm超であると、接合部中で摩擦撹拌接合の撹拌によって第二相粒子が分断されやすく、接合部とそれ以外の部分との間で第二相粒子の分布が大きく相違してしまい、色調差の原因となる。そのため、アルミニウム合金材中の第二相粒子の粒径は、5μm以下とするものである。
また、アルミニウム合金材を摩擦撹拌接合するに際して、ツールにおけるショルダーの直径dを3mm未満とすると撹拌の範囲は不十分となり、十分な接合部を得ることができないことから両者を確実に接合することができず、また8mm超とすると接合部の範囲が過剰となり、広範囲にわたって第二相粒子が分断される結果、陽極酸化皮膜の色調差が発生しやすくなる。そのため、ツールにおけるショルダーの直径dは、3≦d≦8(mm)とするものである。
さらに、摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6(回転/mm)以下とすると、入熱が不十分であり、且つ気泡を巻き込み易くなり、健全な接合部を得ることができず、また20(回転/mm)超えであると、入熱が過多であり、撹拌部の結晶粒組織が母材よりも粗大になってしまい、陽極酸化皮膜の色調差が発生しやすくなる。そのため、摩擦撹拌接合時のツールの回転数rは、6<r≦20(回転/mm)とするものである。より好ましい回転数rは、10≦r≦20(回転/mm)である。
なお、ここでのrは接合長さ1mm当りのツールの回転数のことであるが、1分間当りの回転数であるA(rpm)を接合速度B(mm/分)で割ることで得ることができる。
また、回転方向については、例えば、接合進行方向に対して反時計回りとした場合、接合ビードの進行方向右端の組織が変化しやすく、陽極酸化処理後に筋模様が出やすい。そこで、図1や図2のようにエッジ部を右手に見ながら接合する場合、接合進行方向に対して反時計回りとする方が、筋模様が出やすい接合ビード右端がエッジ近傍となるため、筋が目立ちにくく有利となる。
また、アルミニウム合金材を摩擦撹拌接合するに際して、ツールにおけるショルダーの直径dを3mm未満とすると撹拌の範囲は不十分となり、十分な接合部を得ることができないことから両者を確実に接合することができず、また8mm超とすると接合部の範囲が過剰となり、広範囲にわたって第二相粒子が分断される結果、陽極酸化皮膜の色調差が発生しやすくなる。そのため、ツールにおけるショルダーの直径dは、3≦d≦8(mm)とするものである。
さらに、摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6(回転/mm)以下とすると、入熱が不十分であり、且つ気泡を巻き込み易くなり、健全な接合部を得ることができず、また20(回転/mm)超えであると、入熱が過多であり、撹拌部の結晶粒組織が母材よりも粗大になってしまい、陽極酸化皮膜の色調差が発生しやすくなる。そのため、摩擦撹拌接合時のツールの回転数rは、6<r≦20(回転/mm)とするものである。より好ましい回転数rは、10≦r≦20(回転/mm)である。
なお、ここでのrは接合長さ1mm当りのツールの回転数のことであるが、1分間当りの回転数であるA(rpm)を接合速度B(mm/分)で割ることで得ることができる。
また、回転方向については、例えば、接合進行方向に対して反時計回りとした場合、接合ビードの進行方向右端の組織が変化しやすく、陽極酸化処理後に筋模様が出やすい。そこで、図1や図2のようにエッジ部を右手に見ながら接合する場合、接合進行方向に対して反時計回りとする方が、筋模様が出やすい接合ビード右端がエッジ近傍となるため、筋が目立ちにくく有利となる。
第2の特徴として、具体的には、
互いに接合する板状のアルミニウム合金材の一方を蓋材、他方を側材とし、
該蓋材及び側材は、各々板厚tが1≦t≦3(mm)及び、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該蓋材及び側材の端部により構成した継手部において、ツールにおけるショルダーの直径dが3≦d≦8(mm)、及び回転数rが6<r≦20(回転/mm)として摩擦撹拌接合によって蓋材及び側材を一体とする接合部を形成し、
一体に接合された蓋材及び側材の表面に陽極酸化処理による皮膜を形成するものである。ここで、蓋材及び側材各々の板厚が1mm未満の場合は、摩擦撹拌接合により筺体に組み立てた場合に、筺体としての十分な剛性を得ることが困難となる恐れがある。また、各々の板厚が3mm超えの場合は、筺体としての剛性は十分であるが、重量が大きくなり、アルミニウム材料を用いる効果の一つである軽量化が達成しにくくなる恐れがある。
なお、ここでの板厚は、摩擦撹拌接合によるビード表面の凹凸を削除し美麗な表面とするための面削、あるいは面削後のペーパー研磨及びバフ研磨等での表面仕上げをした後の板厚のことを意味する。但し、面削や表面仕上げを行わない場合は、圧延のままの板厚を意味する。
互いに接合する板状のアルミニウム合金材の一方を蓋材、他方を側材とし、
該蓋材及び側材は、各々板厚tが1≦t≦3(mm)及び、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該蓋材及び側材の端部により構成した継手部において、ツールにおけるショルダーの直径dが3≦d≦8(mm)、及び回転数rが6<r≦20(回転/mm)として摩擦撹拌接合によって蓋材及び側材を一体とする接合部を形成し、
一体に接合された蓋材及び側材の表面に陽極酸化処理による皮膜を形成するものである。ここで、蓋材及び側材各々の板厚が1mm未満の場合は、摩擦撹拌接合により筺体に組み立てた場合に、筺体としての十分な剛性を得ることが困難となる恐れがある。また、各々の板厚が3mm超えの場合は、筺体としての剛性は十分であるが、重量が大きくなり、アルミニウム材料を用いる効果の一つである軽量化が達成しにくくなる恐れがある。
なお、ここでの板厚は、摩擦撹拌接合によるビード表面の凹凸を削除し美麗な表面とするための面削、あるいは面削後のペーパー研磨及びバフ研磨等での表面仕上げをした後の板厚のことを意味する。但し、面削や表面仕上げを行わない場合は、圧延のままの板厚を意味する。
このように、一体に接合した蓋材及び側材の接合部とそれ以外の部分との間では第二相粒子の分布はほとんど相違しないので、一体に接合した蓋材及び側材の表面に形成した陽極酸化皮膜において、接合部に相当する部分とそれ以外の部分に相当する部分との間で色調差が発生することを防止できる。
本願発明のアルミニウム合金材の接合方法は、アルミニウム合金材中の第二相粒子の分布密度を制限し、さらに摩擦撹拌接合における条件をも制限したため、アルミニウム合金材同士により構成される接合部で第二相粒子は分断されることがなく、接合部とそれ以外の部分とでは第二相粒子の分布はほとんど相違なくなる。その結果、アルミニウム合金材の接合部とそれ以外の部分との間で、本願発明のアルミニウム合金材の接合方法により製造されるアルミニウム合金製パネルの表面に形成される陽極酸化皮膜では色調差が解消され、製品としての品質を向上させることができるという優れた効果を有する。
表面に形成した陽極酸化処理による皮膜において接合部とそれ以外の部分との間で色調差が発生することを防止するという目的を、アルミニウム合金材中の第二相粒子の分布密度を制限し、さらに摩擦撹拌接合における条件をも制限して実現した。
そこで、本願発明における効果を以下のようにして確認した。
まず、図1において示す1は本願発明のアルミニウム合金材の接合方法を適用したアルミニウム合金製パネルであり、2は板厚2mmからなるアルミニウム合金材の蓋材、3は板厚2mmからなるアルミニウム合金材の側材、及び4はアルミニウム合金材の蓋材2と側材3との継手部5における接合部である。そして、一体に接合したアルミニウム合金材の蓋材2とアルミニウム合金材の側材3との表面には、面削後の陽極酸化処理による陽極酸化皮膜6が形成されている。
ここで、本願発明の実施例では上記蓋材2及び側材3からなるアルミニウム合金材には、表1に示す化学成分を有し、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が3670(個/mm2)である5000系合金の本発明材1及び粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が8210(個/mm2)である5000系合金の本発明材2を使用し、比較例としては、表1に示す化学成分を有し、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が11360(個/mm2)である5000系合金の5052材を使用することとした。
第二相粒子の分布密度は、表層を0.5mm切削後の表面を、ペーパー研磨およびバフ研磨の後、5%フッ酸でエッチングした後、光学顕微鏡で400倍に拡大し、画像解析により、1μmピッチでの各粒径の、1mm2当りの分布数を測定することで得た。
まず、図1において示す1は本願発明のアルミニウム合金材の接合方法を適用したアルミニウム合金製パネルであり、2は板厚2mmからなるアルミニウム合金材の蓋材、3は板厚2mmからなるアルミニウム合金材の側材、及び4はアルミニウム合金材の蓋材2と側材3との継手部5における接合部である。そして、一体に接合したアルミニウム合金材の蓋材2とアルミニウム合金材の側材3との表面には、面削後の陽極酸化処理による陽極酸化皮膜6が形成されている。
ここで、本願発明の実施例では上記蓋材2及び側材3からなるアルミニウム合金材には、表1に示す化学成分を有し、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が3670(個/mm2)である5000系合金の本発明材1及び粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が8210(個/mm2)である5000系合金の本発明材2を使用し、比較例としては、表1に示す化学成分を有し、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度が11360(個/mm2)である5000系合金の5052材を使用することとした。
第二相粒子の分布密度は、表層を0.5mm切削後の表面を、ペーパー研磨およびバフ研磨の後、5%フッ酸でエッチングした後、光学顕微鏡で400倍に拡大し、画像解析により、1μmピッチでの各粒径の、1mm2当りの分布数を測定することで得た。
供試材は、半連続鋳造で鋳塊を製造した後、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延で2.5mmの板厚にした後、最終焼鈍でO材調質(軟化材)とすることで得た。250mm幅×250mm長さの板を2枚準備して、蓋材と側材とした。
そして、アルミニウム合金製パネルを構成する蓋材2及び側材3をなす本願発明の実施例及び比較例のアルミニウム合金材を、図2に示すように突き合わせて本願発明のアルミニウム合金材の接合方法により一体に接合した。即ち、上記アルミニウム合金材からなる蓋材2と側材3とを突き合わせて継手部5を形成する。そして、該継手部5に対して裏面より裏当材7を当接しながら、回転するツール8のピン9を挿嵌するとともにショルダー10により撹拌しつつ接合するものである。更に、一体に接合された蓋材2と側材3との表面に、接合による表面凹凸がなくなるまで0.5mm面削した後、陽極酸化処理による陽極酸化皮膜6を形成してなるものである(図2参照)。
そして、蓋材2と側材3を摩擦撹拌接合により一体に接合するにあたり、ツールの直径dは7(mm)、ピンの直径は3(mm)、1分間当たりの回転数を2700(rpm)、接合速度を150(mm/分)とすることで回転数rは18(回転/mm)とし、接合後は蓋材2をフライス盤による面削によって表層を0.5mm削除した後にペーパー研磨及びバフ研磨により表面を平滑にし、硫酸による陽極酸化処理によって10μm厚の陽極酸化皮膜6を形成するものである。
また参考として、本願発明の実施例及び比較例のアルミニウム合金材による蓋材2及び側材3をレーザ溶接及び溶融溶接(MIG溶接)によって一体に接合し、前記陽極酸化処理によって陽極酸化皮膜6を形成した結果も併せて示す(表2参照)。
そして、蓋材2と側材3を摩擦撹拌接合により一体に接合するにあたり、ツールの直径dは7(mm)、ピンの直径は3(mm)、1分間当たりの回転数を2700(rpm)、接合速度を150(mm/分)とすることで回転数rは18(回転/mm)とし、接合後は蓋材2をフライス盤による面削によって表層を0.5mm削除した後にペーパー研磨及びバフ研磨により表面を平滑にし、硫酸による陽極酸化処理によって10μm厚の陽極酸化皮膜6を形成するものである。
また参考として、本願発明の実施例及び比較例のアルミニウム合金材による蓋材2及び側材3をレーザ溶接及び溶融溶接(MIG溶接)によって一体に接合し、前記陽極酸化処理によって陽極酸化皮膜6を形成した結果も併せて示す(表2参照)。
以上の結果、比較例である5052材では摩擦撹拌接合、レーザ溶接及び溶融溶接であっても陽極酸化皮膜6では接合部4に相当する部分で筋状の色調差が認められた。その反面、本願発明の実施例である本発明材1、2では摩擦撹拌接合によればアルミニウム合金製パネル1の表面に形成される陽極酸化皮膜6における接合部4に相当する部分では筋状の色調差は認められなかった。
さらに、前記蓋材2と前記側材3からなるアルミニウム合金材の表1に示す化学成分を有する本発明材2において、表3に示す種々のショルダー直径とツール回転数で摩擦撹拌接合を行い、接合後は蓋材2をフライス盤による面削によって表層を0.5mm削除した後にペーパー研磨及びバフ研磨により表面を平滑にし、硫酸による陽極酸化処理によって10μm厚の陽極酸化皮膜6を形成し、筋状の色調差の有無を調べた。
そこで、上記試験の結果を表3に合わせて示す。本願発明のショルダー直径及びツール回転数による本発明例1〜5の場合は筋状の色調差は認められなかった。一方、ショルダー直径あるいはツール回転数が本願発明の範囲の上限を超える場合(比較例2、4)は筋が認められた。また、本願発明範囲の下限を下回る場合(比較例1、3)は接合が不十分で、所々に未接合部が発生したり、気泡が発生してしまうものである。
一体に接合した後、表面に陽極酸化処理による皮膜を形成するアルミニウム合金材による製品において適用することができる。
1 アルミニウム合金製パネル
2 蓋材
3 側材
4 接合部
5 継手部
6 陽極酸化皮膜
7 裏当材
8 ツール
9 ピン
10 ショルダー
2 蓋材
3 側材
4 接合部
5 継手部
6 陽極酸化皮膜
7 裏当材
8 ツール
9 ピン
10 ショルダー
Claims (2)
- 互いに接合する各々のアルミニウム合金材は、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該アルミニウム合金材の端部によって継手部を構成し、
該継手部に対して、ツールにおけるショルダーの直径dを3≦d≦8(mm)、及び摩擦撹拌接合時のツールの回転数rを6<r≦20(回転/mm、接合長さ1mm当りのツールの回転数)として摩擦撹拌接合によって前記継手部を構成するアルミニウム合金材を一体とする接合部を形成する
ことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法。 - 互いに接合する板状のアルミニウム合金材の一方を蓋材、他方を側材とし、
該蓋材及び側材は、各々板厚tが1≦t≦3(mm)及び、粒径が5μm以下の第二相粒子の分布密度vが10000≧v(個/mm2)としてなる5000系合金であって、
該蓋材及び側材の端部により構成した継手部において、ツールにおけるショルダーの直径dが3≦d≦8(mm)、及び回転数rが6<r≦20(回転/mm)として摩擦撹拌接合によって蓋材及び側材を一体とする接合部を形成し、
一体に接合された蓋材及び側材の表面に陽極酸化処理による皮膜を形成する
ことを特徴とするアルミニウム合金製パネル。
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