JP5633800B2 - 高分子電解質、その製法およびその用途 - Google Patents
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Description
また、本発明は、前記ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体が、オリゴマーを調製後、当該オリゴマー中の電子吸引性基と結合していない芳香環にブレンステッド酸基を導入して得られるものである、上記製造方法に関する。
また、本発明は、前記ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体におけるブレンステッド酸基を有する部位が、下記式(1)で表される基から選ばれる少なくとも一つを含むものである、上記製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記ブレンステッド酸基がスルホン酸基である、上記製造方法に関する。
さらに、本発明は、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体が、スルホン酸基を1.0〜10.0meq./g含むものである、上記製造方法により得られる高分子電解質に関する。
また、本発明は、上記製造方法により得られる高分子電解質を含有してなる、燃料電池用触媒層に関する。
また、本発明は、上記製造方法により得られる高分子電解質を含有してなる、燃料電池用膜/電極接合体に関する。
本発明の高分子電解質の製造方法は、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体と、ブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体とを、直接結合、−O−および−S−から選ばれる少なくとも1種の連結基を介してブロック共重合化させることを特徴とする。
これにより、従来技術と比較して、ブレンステッド酸基を有さないセグメントに多彩な構造を選択することが可能となり、目的に応じた電解質の調製が容易となることから好ましい。
各セグメント前駆体を得るために用いられるモノマーは、後述する。
各セグメント前駆体および高分子電解質を縮合反応で得る場合、末端に水酸基が残存した化合物同士を結合させることもでき、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンなどのジハロゲン化合物を加えることで同様に縮合させることもできる。一方、末端にハロゲン基などの脱離基が残存した化合物同士を結合させる場合は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどの末端に求核性の置換基を有する化合物を加えることで同様に縮合させることもできる。
溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒などが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼンなどが挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、例えばジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
スルホン系溶媒としては、例えばスルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどが挙げられる。
スルホキシド系溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが挙げられる。
中でも溶解度の点から、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒や、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒が好ましい。また、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合反応工程の反応時間は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜500時間、より好ましくは0.5〜300時間である。
ブロック共重合化する前にブレンステッド酸基を導入しておくことで、反応終了後の水洗工程における操作性が向上し、工業的に有利に高分子電解質を得ることができる。
金属カチオンの場合、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンの場合、4級アンモニウム塩であれば良く、N上の置換基は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30の置換アリール基などが挙げられ、置換基が複数個存在する場合は互いに同一であっても異なっていても良い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。また、アリール基、置換アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、4−フェニルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体は、上記オリゴマー(ブレンステッド酸基を有さないオリゴマー、即ち、以下の説明ではスルホン化されるオリゴマー)とスルホン化剤を反応させることにより、合成することができる。
スルホン化剤としては、例えばクロロスルホン酸、無水硫酸、発煙硫酸、硫酸、アセチル硫酸などが挙げられ、中でもクロロスルホン酸が適度な反応性を有しているために好ましい。
溶媒を用いる場合、溶媒としては、スルホン化剤に対して不活性なものであればよく、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素が挙げられ、特に炭素数5〜15の直鎖状または分岐状の炭化水素が好ましく、溶解度の点から、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンがより好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素などが挙げられる。
ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどが挙げられ、取り扱いの容易さからジクロロメタンが好ましい。
ハロゲン化芳香族炭化水素としては、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられ、取り扱いの容易さからクロロベンゼンが好ましい。
本発明において、セグメントとは、ブロック共重合体における繰り返し単位を意味する。また、セグメント前駆体とは、セグメントの前段階として存在しうるものであり、末端に反応性基を有する繰り返し単位を意味する。
なお、セグメントにおける繰り返し単位数と、当該セグメントに対応するセグメント前駆体における繰り返し単位数は、基本的に同じである。つまり、ブレンステッド酸基を有するセグメントにおける繰り返し単位数と、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体における繰り返し単位数は同じであり、また、ブレンステッド酸基を有さないセグメントにおける繰り返し単位数と、ブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体における繰り返し単位数は同じである。
本発明の高分子電解質は、上記本発明の製造方法より得られるものである。つまり、本発明の高分子電解質は、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体と、ブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体とを、直接結合、−O−および−S−から選ばれる少なくとも1種の連結基を介してブロック共重合化させて得られたブロック共重合体からなるものである。
本発明におけるブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体は、その主鎖に、ブレンステッド酸基が結合している芳香環基を有するものである。また、ブレンステッド酸基が結合している芳香環基には、電子吸引性基(例えば−CO−、−SO2−、−SO−、−CF2−、−C(CF3)2−など)が結合していないことが好ましい。
R4における炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられ、炭素数6〜20の置換アリール基としては、例えば4−フェニルフェニル基、4−フェノキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
なお、ここでのブレンステッド酸基の含有量は、後述の実施例におけるブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体のイオン交換容量の測定方法と同様の方法にて測定することができる。また、meq./gは、ミリ当量/gを意味する。
R3における炭素数1〜10のアルキレン基としては、具体的には、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(CH3)CH(CH3)−、−C(CH3)2CH2−、−C(CH3)2CH(CH3)−、−CH2CH2CH2−、−CH2C(CH3)2CH2−などが挙げられるが、適度な反応性の点から−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−が好ましい。
直接結合、−O−、−S−で表される各連結基は、各セグメント前駆体の調製に用いたモノマー由来の基である。
なお、当該数平均分子量は、実施例に記載の測定方法により求めることができる。
ここでのスルホン酸基の量は、後述の実施例に記載のイオン交換容量の測定方法により求めることができる。
本発明の燃料電池用高分子電解質膜は、上述した本発明の高分子電解質を含有してなるものである。具体的には、上述した本発明の高分子電解質を膜形状(フィルム形状)に加工したものである。本発明の高分子電解質を使用することにより、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜に好適な、優れた発電特性を示すことができる。
本発明の燃料電池用触媒層は、上述した本発明の高分子電解質を含有してなるものである。具体的には、当該燃料電池用触媒層は、上述した本発明の高分子電解質、燃料電池用触媒、必要に応じて撥水剤やバインダー樹脂から構成されるものである。本発明の高分子電解質を使用することにより、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池のアノードまたはカソード触媒層に好適な、優れた発電特性を示すことができる。
触媒活性物質としては、具体的には、白金、コバルト、ルテニウムなどが例示でき、これらを単独で、あるいはこれらの少なくとも1種を含んだ合金、さらには任意の混合物として使用しても構わない。特に、燃料の酸化能、酸化剤の還元能、耐久性を考慮すると、白金または白金を含む合金であることが好ましい。これらは必要に応じて、安定化や長寿命化のために、鉄、錫、希土類元素などを用い3成分以上で構成してもよい。
溶媒としては、燃料電池用電解質を溶解でき、燃料電池用触媒を被毒しないものであれば、何ら制限なく使用可能である。
当該触媒インクは、必要に応じて、非電解質バインダー、撥水剤、分散剤、増粘剤、造孔剤などの添加剤を含んでいても構わない。また、これらの添加剤は、当業者にとって従来公知のものが使用可能であり、その他の具体的な構成については特に限定されない。
本発明の燃料電池用膜/電極接合体は、上述した本発明の高分子電解質を含有してなるものである。具体的には、当該燃料電池用膜/電極接合体は、上述した本発明の高分子電解質、燃料電池用高分子電解質膜、燃料電池用触媒層のいずれかを含むものである。
即ち、膜/電極接合体の構成要件である電解質膜、アノード触媒層、カソード触媒層の少なくとも一つに本発明の高分子電解質、燃料電池用高分子電解質膜、燃料電池用触媒層が使用されていればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。
従って、本発明の燃料電池用膜/電極接合体において、電解質膜としては、本発明の燃料電池用高分子電解質膜以外にも、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜として、デュポン社製のナフィオン、旭硝子(株)製のフレミオン、旭化成(株)製のアシプレックス、ゴア社製のゴアセレクトなどを使用しても構わない。また、非フッ素系の高分子電解質膜として、当業者にとって従来公知のものも使用できる。例えば、直接メタノール形燃料電池用膜電極接合体に適した高分子電解質膜として、非電解質の多孔質支持体に高分子電解質を充填した細孔フィリング膜や、高分子電解質と非電解質とを複合化した複合電解質膜などを使用するのが好ましい。
一般的に加熱圧接の温度は、前記高分子電解質膜や前記触媒層に含まれる高分子電解質の熱劣化や熱分解温度以下であって、高分子電解質膜または前記触媒層に含まれる高分子電解質のガラス転移点や軟化点以上の温度、さらには高分子電解質膜または前記触媒層に含まれる高分子電解質のガラス転移点や軟化点以上の温度条件下で実施するのが好ましい。
また、加熱圧接の加圧条件は、概ね0.1MPa以上20MPa以下の範囲であることが、高分子電解質膜と前記触媒層が充分に接触するとともに、使用材料の著しい変形に伴う特性低下がなく好ましい。
固体高分子形燃料電池および/または直接メタノール形燃料電池は、上述した膜/電極接合体を、燃料並びに酸化剤を送り込む流路が形成された一対のセパレーターなどの間に挿入することにより、得られるものである。上記セパレーターは、特に限定されず、例えばカーボングラファイトやステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。特にステンレス鋼などの金属製材料を使用する場合は、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。これらセパレーターの代わりに、燃料並びに酸化剤の供給経路を備える部材で代替しても構わない。
得られたブレンステッド酸基含有セグメント前駆体(約100mg:十分に乾燥)を25℃での塩化ナトリウム飽和水溶液20mLに浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間イオン交換反応させた。25℃まで冷却後、この溶液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、イオン交換容量を算出した。
高分子電解質をGPC法により測定し(GPC測定装置:TOSOH社製、HLC−8220;使用カラム:SHOWA DENKO社製、SuperAW4000とSuperAW2500の2本を直列に接続)、標準ポリスチレン試料を用いた換算値から数平均分子量を算出した。
ブレンステッド酸基含有セグメント前駆体における繰り返し単位数を、NMR分析から決定し、繰り返し単位当たりに存在する芳香環に100%スルホン酸基が結合した場合のスルホン酸基のミリ当量(meq.)とその重量(g)を計算した。これらを用い、100%スルホン酸基が結合した場合のイオン交換容量(meq./g)の計算値を算出した。次いで、実測値を計算値で割ることにより、芳香環の何%がスルホン化されたかを計算し、繰り返し単位当たりのブレンステッド酸基(スルホン酸基)の数を求めた。
窒素導入口、還流管を付した100mLの三つ口フラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(4.00g、11.42mmol、東京化成工業社製)、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.58g、10.15mmol、東京化成工業社製)、炭酸カリウム(3.16g、22.83mmol、関東化学社製)、脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、20mL、関東化学社製)および脱水トルエン(10mL、関東化学社製)を加えた。三つ口フラスコにディーン・スタークトラップを設置し、この混合物を窒素気流下で攪拌して、透明な均一溶液を得た。この溶液を140℃で3時間加熱した後、ディーン・スタークトラップを除去し、165℃で12時間加熱した。反応終了後、DMAc(20mL)を加えてから常温まで冷却し、1000mLの純水中に反応溶液をゆっくりと滴下した。得られた沈殿物を吸引ろ過によって回収し、80℃の純水で3時間洗浄した後、メタノールで洗浄し、60℃で15時間真空乾燥すると、ブレンステッド酸を導入可能な部位を含むオリゴマーを白色粉末状にて得た。
なお、ブレンステッド酸基は電子吸引性基と結合していない芳香環に導入されていることが、NMR分析により確認された。また、ブレンステッド酸基含有セグメント前駆体のイオン交換容量(スルホン酸基含有量)を測定したところ4.3meq./gであった。さらに、このセグメント前駆体に含まれるブレンステッド酸基の数は、繰り返し単位当たり3.7個であった。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(10.2g、40mmol)、4,4’−ビフェノール(7.8g、42mmol)、炭酸カリウム(8.1g、59mmol)、脱水DMAc(80ml)および脱水トルエン(20ml)を加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて2時間攪拌した後、さらに165℃にて2時間攪拌した。冷却後、反応液をメタノール中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。この得られた固体を温水、メタノールの各溶液中にて順次洗浄後、再度濾取し、70℃にて真空乾燥することにより、目的物のブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体を白色固体として16.2g得た。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(4.8g、18.8mmol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(3.2g、20mmol)、炭酸カリウム(5.5g、40mmol)、脱水DMAc(40ml)および脱水トルエン(20ml)を加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて3時間攪拌した後、さらに165℃にて2時間攪拌した。ここに2,7−ジヒドロキシナフタレン(0.3g、2mmol)を追加し、165℃にて1時間攪拌した。反応液を純水中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。この得られた固体を温水、メタノールの各溶液中にて順次洗浄後、再度濾取し、60℃にて真空乾燥することにより、目的物のブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体を灰色固体として7.0g得た。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三つ口フラスコ中に、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.03g、8mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(2.17g、8.4mmol)、炭酸カリウム(1.7g、12mmol)、脱水DMAc(13ml)および脱水トルエン(2ml)を加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて1時間攪拌した後、さらに155℃にて3時間攪拌した。冷却後、反応液を純水中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。この得られた固体を温水、メタノールの各溶液中にて順次洗浄後、再度濾取し、70℃にて真空乾燥することにより、目的物のブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体を白色固体として3.8g得た。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージしている三つ口フラスコ中に、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(5.1g、23.4mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン(6.5g、25.3mmol)、炭酸カリウム(4.9g、35mmol)、脱水DMAc(50ml)および脱水トルエン(10ml)を加えた。この溶液を140℃のオイルバス加熱条件下にて1時間攪拌した後、さらに165℃にて3時間攪拌した。反応液を冷却した後、純水中に滴下し、生じた白色沈殿を濾取した。この得られた固体を温水、メタノールの各溶液中にて順次洗浄後、再度濾取し、60℃にて真空乾燥することにより、目的物のブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体を白色固体として10.5g得た。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップを備えたフラスコに、合成例1で得たブレンステッド酸基含有セグメント前駆体(0.8g)、合成例2で得たブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体(0.82g)、炭酸カリウム(29mg、0.2mmol)、および炭酸カルシウム(50mg、0.5mmol)を投入した後、脱水DMAc(9ml)とトルエン(2ml)を加えた。この溶液を140℃で2時間加熱し、トルエンを留去した後、150℃にて21時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、塩酸水溶液中に滴下し、生じた沈殿を濾取した。この得られた固体を水洗後、100℃にて真空乾燥して、ブロック共重合体を得た(収量:1.31g、数平均分子量:82000)。なお、このブロック共重合体は、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体とブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体が−O−を介してブロック共重合化されたことが、使用した各前駆体の構造からわかる。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップを備えたフラスコに、合成例1で得たブレンステッド酸基含有セグメント前駆体(0.8g)、合成例3で得たブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体(0.86g)、炭酸カリウム(29mg、0.2mmol)、および炭酸カルシウム(50mg、0.5mmol)を投入した後、脱水DMAc(9ml)とトルエン(2ml)を加えた。この溶液を140℃で2時間加熱し、トルエンを留去した後、150℃にて16時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、塩酸水溶液中に滴下し、生じた沈殿を濾取した。この得られた固体を水洗後、100℃にて真空乾燥して、ブロック共重合体を得た(収量:1.18g、数平均分子量:75000)。なお、このブロック共重合体は、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体とブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体が−O−を介してブロック共重合化されたことが、使用した各前駆体の構造からわかる。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップを備えたフラスコに、合成例1で得たブレンステッド酸基含有セグメント前駆体(0.8g)、合成例4で得たブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体(0.88g)、炭酸カリウム(29mg、0.2mmol)および炭酸カルシウム(50mg、0.5mmol)を投入した後、脱水DMAc(6ml)、脱水ジメチルスルホキシド(DMSO、6ml)、トルエン(2ml)を加えた。この溶液を140℃で2時間加熱し、トルエンを留去した後、150℃にて19時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、塩酸水溶液中に滴下し、生じた沈殿を濾取した。この得られた固体を水洗後、100℃にて真空乾燥して、ブロック共重合体を得た(収量:1.4g、数平均分子量:100000)。なお、このブロック共重合体において、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体とブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体は−O−で結合していることが、使用した各前駆体の構造からわかる。
上で得たブロック共重合体を脱保護後に製膜する場合は、6N硫酸溶液中、90℃にて上記得られた固体を攪拌後、水洗し、100℃にて真空乾燥した。
リービッヒ冷却管とディーン・スタークトラップを備えたフラスコに、合成例1で得たブレンステッド酸基含有セグメント前駆体(1.6g)、合成例5で得たブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体(2.4g)、炭酸カリウム(55mg、0.4mmol)および炭酸カルシウム(100mg、1mmol)を投入した後、脱水DMAc(12ml)、脱水DMSO(12ml)、トルエン(4ml)を加えた。この溶液を140℃で2時間加熱し、トルエンを留去した後、150℃にて75時間加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻した後、塩酸水溶液中に滴下し、生じた沈殿を濾取した。この得られた固体を水洗後、100℃にて真空乾燥して、ブロック共重合体を得た(収量:3.2g、数平均分子量:70000)。なお、このブロック共重合体において、ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体とブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体は−O−で結合していることが、使用した各前駆体の構造からわかる。
上で得たブロック共重合体を脱保護後に製膜する場合は、6N硫酸溶液中、90℃にて上記得られた固体を攪拌後、水洗し、100℃にて真空乾燥した。
窒素導入口、還流管を付した100mLの三つ口フラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(4.00g、11.42mmol、東京化成工業社製)、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.58g、10.15mmol、東京化成工業社製)、炭酸カリウム(3.16g、22.83mmol、関東化学社製)、脱水DMAc(20mL、関東化学社製)および脱水トルエン(10mL、関東化学社製)とを加えた。三つ口フラスコにディーン・スタークトラップを設置し、この混合物を窒素気流下で攪拌して、透明均一溶液を得た。この溶液を140℃で3時間加熱した後、さらに165℃で12時間加熱した。反応終了後、DMAc(20mL)を加えてから常温まで冷却し、1000mLの純水中に反応溶液をゆっくりと滴下した。得られた沈殿物を吸引ろ過によって回収し、80℃の純水で3時間洗浄した後、メタノールで洗浄し、60℃で15時間真空乾燥し、白色繊維状のポリエーテルを得た。
窒素導入口、還流管を付した100mLの三つ口フラスコに、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.00g、7.86mmol、東京化成工業社製)、4,4’−ビフェノール(1.42g、7.61mmol、東京化成工業社製)、炭酸カリウム(2.17g、15.72mmol、関東化学社製)、炭酸カルシウム(15.73g、157.20mmol)、脱水DMAc(20mL、関東化学社製)および脱水トルエン(10mL、関東化学社製)を加えた。三つ口フラスコにディーン・スタークトラップを設置し、この混合物を窒素気流下で攪拌して、透明均一溶液を得た。この溶液を140℃で1.5時間加熱した後、さらに165℃で1.5時間加熱することによって、ポリエーテルを含む溶液を得た。
溶液キャスト法により製膜を行った。実施例1〜4で得られたブロック共重合体を各々濃度が10wt%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドかジメチルスルホキシドに溶解した。この溶液をガラス板上にキャストした。45℃で12時間常圧乾燥した後、さらに80℃で12時間真空乾燥して、膜を得た。この膜を1Nの硫酸水溶液に12時間浸漬した(酸処理工程)。この酸処理工程をさらに2回繰り返した。その後60℃の純水で膜を洗浄し、常温で48時間乾燥を行うことにより、電解質膜(膜厚30μm)を得た。これを各試験の試験試料とした。
各試験試料(約100mg:十分に乾燥)を25℃での塩化ナトリウム飽和水溶液20mLに浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間イオン交換反応させた。25℃まで冷却後、この溶液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、イオン交換容量を算出した。
各試験試料を、1×40mmの大きさに裁断し、4端子法により交流インピーダンスを測定した。測定は、80℃、40%RHの条件で2時間放置、電流値として0.005mAの定電流、掃引周波数は10〜20000Hzで行った。得られたインピーダンスと膜端子間距離(10mm)と膜厚(30μm)からプロトン伝導度を算出した。
Claims (3)
- ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体と、ブレンステッド酸基を有さないセグメント前駆体とを、直接結合、−O−および−S−から選ばれる少なくとも1種の連結基を介してブロック共重合化させることを特徴とする、高分子電解質の製造方法であって、
前記ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体が、オリゴマーを調製後、当該オリゴマー中の電子吸引性基と結合していない芳香環にブレンステッド酸基を導入して得られるものであり、
前記ブレンステッド酸基を有するセグメント前駆体におけるブレンステッド酸基を有する部位が、下記式(1)で表される基から選ばれる少なくとも一つを含むものである、製造方法。
- 前記ブレンステッド酸基がスルホン酸基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
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