以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、実施例1に係る通信システム100の構成を模式的に示すブロック図である。図1のように、通信システム100は、通信装置10aと、通信装置12aと、伝送路14aとを有する。通信装置10a及び12aは、例えばトランシーバである。伝送路14aは、通信装置10aと通信装置12aとを接続する。通信装置10aと通信装置12aとは、伝送路14aを介して、双方向に信号を伝送する双方向全二重通信を行う。伝送路14aは、3つのチャネルCh1a、Ch2a及びCh3aから構成される。伝送路14aは、例えば、S/FTPケーブルであり、チャネルCh1a、Ch2a及びCh3はそれぞれS/FTPケーブル内の各電線に対応する。以下の説明では、チャネルCh1a、Ch2a、及びCh3aにおいて双方向に信号を伝送する場合に、チャネルCh1a、Ch3a、Ch2aの順に、伝送する信号におけるBERが低いことが予め明らかであるとする。
通信装置10aは、送信手段Tx1a及びTx2aと、受信手段Rx3aと、エラー率測定手段Er3aと、を備える。送信手段Tx1a及びTx2aは、それぞれ伝送路14aが有するチャネルCh1a及びCh2aを介して通信装置12aへ信号を送信する。送信手段Tx1aは、通信装置10aの受信手段Rx3aが受信した信号におけるBERを通信装置12aに送信する。受信手段Rx3aは、チャネルCh3aを介して通信装置12aから送信された信号を受信する。エラー率測定手段Er3aは、通信装置12aとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx3aが受信した信号においてエラーが発生する確率であるエラー率(Bit Error Rate;BER)を測定する。
通信装置12aは、受信手段Rx1a及びRx2aと、送信手段Tx3aと、エラー率測定手段Er2aと、位相調整手段32aと、クロック信号生成手段Ck3aと、を備える。受信手段Rx1a及びRx2aは、それぞれチャネルCh1a及びCh2aを介して通信装置10aから送信された信号を受信する。受信手段Rx1aは、通信装置10aの受信手段Rx3aが受信した信号におけるBERを通信装置10aから受信する。送信手段Tx3aは、伝送路14aが有するチャネルCh3aを介して通信装置10aへ信号を送信する。エラー率測定手段Er3aは、通信装置10aとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2aが受信した信号におけるBERを測定する。クロック信号生成手段Ck3aは、送信手段Tx3aが信号を送信するタイミングの基準となるクロック信号を生成し、送信手段Tx3aにクロック信号を供給する。位相調整手段32aは、エラー率測定手段Er2aが測定した受信手段Rx2aにおけるBER及び受信手段Rx1aが通信装置10aの送信手段Tx1aから受信した受信手段Rx3aにおけるBERに基づいて、送信手段Tx3aから通信装置10aへ送信する信号の位相を調整する。位相調整手段32aは、クロック信号の位相を調整する位相調整信号をクロック信号生成手段Ck3aに供給する。
図2は、実施例1に係る通信装置12aにおいて、送信手段Tx3が送信する信号の位相を調整する処理の一例を示すフローチャートである。
図2のように、BERが低いチャネルから順にリンク確立を行う(ステップS10)。チャネルCh1a、Ch3a、Ch2aの順に、伝送する信号におけるBERが低い場合、まず、受信手段Rx1aが送信手段Tx1aから信号を受信する。次に、送信手段Tx3aが受信手段Rx3aへ信号を送信する。最後に、受信手段Rx2aが送信手段Tx2aから信号を受信する。このような手順でリンク確立を行うことにより、通信装置10aと通信装置12aとは互いに通信可能な状態となる。
位相調整手段32aは、測定したBERのうち少なくとも1つが10−12より大きいか否かを判定する(ステップS16)。位相調整手段32aは、測定したBERのうち少なくとも1つが10−12より大きい場合にYesと判定する。ステップS16がNoの場合、処理を終了する。図1の例では、位相調整手段32aは、エラー率測定手段Er2aで測定された受信手段Rx2aにおけるBERが10−12より大きい、又は、エラー率測定手段Er3aで測定された受信手段Rx3aにおけるBERが10−12より大きいか否かを判定する。ここで、BERの大小判定の基準に用いた10−12という値は一例であり、他の値としてもよい。
ステップS16がYesの場合、位相調整手段32aは、エラー情報テーブルを作成する(ステップS18)。位相調整手段32aは、作成したエラー情報テーブルを参照して、BERが予め定められた値以下となるクロック信号の位相を選択し、選択した位相を第1の位相とする(ステップS20)。位相調整手段32aは、クロック信号の位相が第1の位相となるように、クロック信号生成手段Ck3aに位相調整信号を送信して、クロック信号を調整する(ステップS22)。ステップS18及びS20の処理の詳細は後述する。
図3は、実施例1に係る通信装置10aにおいて、受信手段Rx3におけるBERを通信装置12aに送信する処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すとおり、ステップS24は、通信装置12aにおけるステップS10のリンク確立処理に対応する処理であり、ステップS10と同様に、BERが低いチャネルから順にリンク確立を行う。チャネルCh1a、Ch3a、Ch2aの順に、伝送する信号におけるBERが低い場合、まず、送信手段Tx1aが受信手段Rx1aへ信号を送信する。次に、受信手段Rx3aが送信手段Tx3aから信号を受信する。最後に、送信手段Tx2aが受信手段Rx2aへ信号を送信する。
エラー率測定手段Er3aは、測定されたBERが0より大きいか否かを判定する(ステップS30)。なお、通信装置10aがエラー率測定手段を複数有する構成の場合、ステップS30において、複数のエラー率測定手段は、測定されたBERのいずれかが0より大きいか否かを判定する。エラー率測定手段Er3aは、測定されたBERが0より大きい場合にYesと判定する。ステップS30がNoの場合、処理を終了する。ステップS30がYesの場合、エラー率測定手段Er3aは、送信手段Tx1aを介して、測定したBERを他の通信装置である通信装置12aの受信手段Rx1aへ送信する(ステップS32)。
図4は、実施例1に係る位相調整手段32aにおけるエラー情報テーブル作成処理の一例を示すフローチャートである。エラー情報テーブル作成処理は、図2におけるステップS18の処理に対応する。
エラー情報テーブルとは、クロック信号の位相のずれと、それに対応する受信手段におけるBERとの対応関係を示すテーブルである。以下では、1周期の位相である360°をN等分して、N通りのクロック信号の位相のずれ毎に、各受信手段におけるBERを測定してエラー情報テーブルを作成する例を説明する。以下では、Nを9とする。9通りのクロック信号の位相の昇順に1から9までの番号をそれぞれ割り振って、その番号を位相分割番号とする。例えば、位相分割番号が1及び4の場合、それぞれクロック信号の位相を40°及び160°(=40°×4)だけずらすことを意味する。
図4に示すとおり、位相調整手段32aは、位相分割番号に1を設定して(ステップS34)、位相分割番号を初期化する。位相調整手段32aは、位相分割番号がN以下であるか否かを判定する(ステップS36)。位相分割番号がN以下である場合にYesと判定する。ステップS36がYesの場合に、位相調整手段32aは、位相分割番号に従って、クロック信号に位相調整信号を送信して、クロック信号の位相をずらす(ステップS37)。これにより、送信手段Tx3aが送信する信号の位相が、クロック信号の位相のずれの分だけずれる。エラー率測定手段Er2a及びEr3aは、それぞれ受信手段Rx2a及びRx3aにおけるBERを測定して(ステップS38)、測定した各BERを位相調整手段32aに通知する。位相調整手段32aは、位相分割番号と、それに対応する受信手段Rx2a及びRx3aにおけるBERとを用いて、エラー情報テーブルを更新する(ステップS39)。位相調整手段32aは、位相分割番号をインクリメントして(ステップS40)、ステップS36に戻る。ステップS37、S38、S39及びS40の処理は、N回繰り返される。位相分割番号がNを超える場合(ステップS36のNo)、処理を終了する。
図5は、実施例1に係るエラー情報テーブルの一例を示す図である。図5のエラー情報テーブルの各行は、位相分割番号の1から9のそれぞれに対応する受信手段Rx2a及びRx3aにおけるBERを示している。例えば、位相分割番号が1である行は、クロック信号の位相を40°だけずらした場合に、受信手段Rx2aにおけるBERが10−5であり、受信手段Rx3aにおけるBERが10−11となることを示している。
図5のエラー情報テーブルを用いて、位相調整手段32aが図2に示すステップS20の処理を行う場合を説明する。例えば、予め定められたBERが10−11であるとする。受信手段Rx2aにおけるBERと受信手段Rx3aにおけるBERとが共に10−11以下となるのは、図5のエラー情報テーブルより、位相分割番号が4の場合である。したがって、位相調整手段32aは、1から9までの位相分割番号のうち4を選択する。位相分割番号4に対応する位相のずれは160°である。位相調整手段32aは、クロック信号の位相のずれが160°となるように、クロック信号の位相を調整する。
図5のエラー情報テーブルを用いて、位相調整手段32aが図2に示すステップS20の処理を行う場合の他の例を説明する。予め定められたBERが10−12であるとする。この場合、受信手段Rx2aにおけるBERと受信手段Rx3aにおけるBERとが共に10−12以下となるような位相分割番号が存在しない。そこで、10−12 の次に大きな値である10−11 を予め定められた値として、処理を行う。この場合、先の例と同様に、位相分割番号は4が選択され、位相調整手段32aは、クロック信号の位相のずれが160°となるように、クロック信号の位相を調整する。
図6は、実施例1に係るエラー情報テーブルに基づくグラフの一例であって、図5のエラー情報テーブルをグラフで示している。図6の横軸及び縦軸は、それぞれ位相分割番号及びBERを示している。図6の黒い丸及び黒い四角の記号は、それぞれ受信手段Rx2aにおけるBER及び受信手段Rx3aにおけるBERを示している。黒い丸の記号を結ぶ実線は、受信手段Rx2aにおけるBERに基づく近似曲線を示している。黒い四角の記号を結ぶ破線は、受信手段Rx3aにおけるBERに基づく近似曲線を示している。
図6のグラフを用いて、位相調整手段32aが図2に示すステップS20の処理を行う場合を説明する。例えば、予め定められたBERが10−11であるとする。受信手段Rx2aにおけるBERと受信手段Rx3aにおけるBERとが共に10−11以下となるのは、図6のグラフより、位相分割番号が4である場合である。したがって、位相調整手段32aは、1から9までの位相分割番号から4を選択する。位相調整手段32aは、クロック信号の位相のずれが160°となるように、クロック信号の位相を調整する。ここで、近似曲線を用いて、クロック信号の位相を調整してもよい。例えば、受信手段Rx2aにおけるBERと受信手段Rx3aにおけるBERとが共に10−11以下となるような位相分割番号が3.5である場合、クロック信号の位相のずれが140°(=40°×3.5)となるように、クロック信号の位相を調整してもよい。
図7は、実施例1に係る位相調整手段32aにより信号の位相を調整した場合のアイパターンのアイ開口の変化の実験結果を示すグラフである。図7において、縦軸はアイ開口[ps]、横軸は位相のずれに対応する遅延時間[ps]を示している。この実験では、通信装置間の信号の転送レートを5Gbpsとしている。通信装置間の信号の転送レートが5Gbpsの場合、1周期は200[ps]であり、図7は位相のずれを1周期分変化させながら、アイ開口の変化を計測した結果を示している。図7のように、位相調整手段32aにより信号の位相を調整することにより、アイ開口が16psほど改善される。
以上説明したように、実施例1によれば、通信装置12aは、伝送路14aを介して他の通信装置10aから送信された信号を受信する受信手段Rx1a及びRx2aと、伝送路14aを介して他の通信装置10aへ信号を送信する送信手段Tx3aと、他の通信装置10aとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2aが受信した信号においてエラーが発生する確率であるエラー率であるBERを測定するエラー率測定手段Er2aと、エラー率測定手段Er2aが測定したBERに基づいて、送信手段Tx3aから他の通信装置10aへ送信する信号の位相を調整する位相調整手段32aと、を備える。通信装置間で伝送路の各チャネルを介して双方向に通信が行われる場合、近端クロストークが発生する。双方向に通信を行う各チャネルが電気的に結合している度合いが大きいほど、近端クロストークは大きくなりやすい。このような近端クロストークにより、伝送エラーが発生する場合、実施例1の構成のように、各チャネルにおいて測定されるBERに基づいて、送信手段Tx3aが送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制される。
実施例1において、エラー率測定手段Er2aは、図4のステップS34、S36、S37、S38、S39及びS40のように、位相調整手段32aが調整する複数の位相ごとに、受信手段Rx1a及びRx2aが受信した信号における複数のエラー率を測定する例を説明した。位相調整手段32aは、図2のステップS20のように、複数の位相のうち複数のエラー率が予め定められた値以下となる第1の位相を選択して、図2のステップS22のように、送信手段から他の通信装置10aへ送信する信号の位相を第1の位相に調整する例を説明した。図5及び図6において、第1の位相が位相分割番号の4に対応する位相(160°)だけずらした位相となる例を説明した。図5においてエラー情報テーブルの一例を説明したが、エラー情報テーブルの形式は他の形式でもよい。図5のようなエラー情報テーブルの代わりに、図6に示すような近似曲線を用いて送信手段が送信する信号の位相を調整するようにしてもよい。実施例1では、位相を分割する数を9としたが、他の数でもよい。位相を分割する数を増やしてもよい。これにより、エラー率の測定回数が増加するため、図6に示す近似曲線の精度が向上し、送信手段が送信する信号の位相を調整する精度が向上する。位相を分割する数を減らしてもよい。これにより、エラー率の測定回数が減少するため、通信装置の処理負荷が軽減される。
実施例1において、受信手段Rx1aは、他の通信装置10aが受信した信号におけるエラー率を他の通信装置10aから受信する例を説明した。位相調整手段32aは、エラー率測定手段Er2aが測定したBERと他の通信装置10aが受信した信号におけるBER(エラー率測定手段Er3aが測定したBER)とに基づいて、送信手段Tx3aから他の通信装置10aへ送信する信号の位相を調整する例を説明した。信号の位相は、相対的に調整されるため、位相調整手段を互いに通信する通信装置の両方に設けなくともよい。なお、互いに通信する両方の通信装置に位相調整手段を設けるようにしてもよい。
実施例1において、チャネルCh1a、Ch2a及びCh3aにおいて双方向に通信をする場合に、チャネルCh1a、Ch3a、Ch2aの順に、伝送する信号におけるBERが低いことが予め明らかである例を説明した。この場合、各チャネルの近端クロストークの影響を調べるには、チャネルCh1a、Ch3a、Ch2aの順にリンク確立を行って、チャネルCh1aでの伝送が行われている状態で、チャネルCh2a及びCh3aの伝送におけるBERを測定すればよい。よって、各チャネルにおけるBERの大きさが予め明らかである場合、図1のように、受信手段Rx1aにおけるBERを測定するエラー率測定手段を特に設けなくともよい。なお、受信手段Rx1aにおけるBERを測定するエラー率測定手段を設けて、その測定したBERを位相調整手段32aにおける処理に用いるようにしてもよい。
実施例1において、送信手段Tx3aが信号を送信するタイミングの基準となるクロック信号を生成するクロック信号生成手段Ck3aを備え、位相調整手段32aは、クロック信号の位相を調整することにより、送信手段Tx3aから他の通信装置10aへ送信する信号の位相を調整する例を説明した。このような構成とすることにより、例えば、複数の送信手段が、一つのクロック信号生成手段が生成するクロック信号と同期して信号を送信する場合に、クロック信号の位相を調整することにより、複数の送信手段が送信する信号の位相が調整される。複数の位相調整手段を設けることなく、複数の送信手段が送信する信号の位相が調整されるため、実施例1の構成を有していない場合に比較して、通信装置のコストが低減される。位相調整手段32aの位相調整信号を、送信手段Tx3aに通知して、送信手段Tx3aが送信する信号の位相を直接調整するようにしてもよい。
以上説明したように、実施例1によれば、通信システム100は、第1の通信装置10aと第2の通信装置12aとを接続して、第1の通信装置10aと第2の通信装置12aとが双方向に信号を伝送する伝送路14aと、伝送路14aを介して第2の通信装置12aから送信された信号を受信する第1の受信手段Rx3aと、伝送路14aを介して第2の通信装置12aへ信号を送信する第1の送信手段Tx1a及びTx2aと、第2の通信装置12aとの双方向の通信が行われる場合に、第1の受信手段Rx3aが受信した信号におけるエラーが発生する確率である第1のエラー率を測定する第1のエラー率測定手段Er3aと、を有し、第1の送信手段Tx1a及びTx2aは、第1のエラー率を第2の通信装置12aへ送信する第1の通信装置10aと、伝送路14aを介して第1の通信装置10aから送信された信号及び第1のエラー発生率を受信する第2の受信手段Rx1a及びRx2aと、伝送路14aを介して第1の通信装置10aへ信号を送信する第2の送信手段Tx3aと、第1の通信装置10aとの双方向の通信が行われる場合に、第2の受信手段Rx1a及びRx2aが受信した信号におけるエラーが発生する確率である第2のエラー率を測定する第2のエラー率測定手段Er2aと、第1のエラー率及び第2のエラー率に基づいて、第2の送信手段Tx3aから第1の通信装置10aへ送信する信号の位相を調整する位相調整手段32aと、を有する前記第2の通信装置12aと、を備える。近端クロストークにより、伝送エラーが発生する場合、実施例1のように、各チャネルにおいて測定されるBERに基づいて、送信手段Tx3aが送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制される。
実施例1において、通信装置10aのエラー率測定手段Er3aが、受信手段Rx3aにおけるBERを、送信手段Tx1aを介して、通信装置12aの受信手段Rx1aへ送信する例を説明した。各チャネルにおける近端クロストークの影響が明らかである場合、一方の通信装置におけるBERを他方の通信装置へ通知する場合、BERが低いチャネルを用いて通知した方が好ましい。
図8は、実施例2に係る通信システム200の構成を模式的に示すブロック図である。通信システム200は、伝送路のチャネルの数がnである点が通信システム100と異なる。以下の説明では、実施例1と同様の構成について説明を省略する。
図8のように、通信システム200は、通信装置10bと、通信装置12bと、伝送路14bとを有する。伝送路14aは、n個のチャネルCh1b、Ch2b、・・・、Ch(n−1)b、Ch nbから構成される。
通信装置10bは、(n−1)個の送信手段Tx1b、Tx2b、・・・、Tx(n−1)bと、受信手段Rx nbと、エラー率測定手段Er nbと、を備える。送信手段Tx1b、Tx2b、・・・、Tx(n−1)bは、チャネルCh1b、Ch2b、・・・、Ch(n−1)bを介して通信装置12bへ信号を送信する。送信手段Tx1bは、受信手段Rx nbが受信した信号におけるBERを通信装置12bに送信する。受信手段Rx nbは、チャネルCh nbを介して通信装置12bから送信された信号を受信する。エラー率測定手段Er nbは、通信装置12bとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx nbが受信した信号におけるBERを測定する。
通信装置12bは、(n−1)個の受信手段Rx1b、Rx2b、・・・、Rx(n−1)bと、送信手段Tx nbと、(n−2)個のエラー率測定手段Er2b、・・・、Er(n−1)bと、位相調整手段32bと、クロック信号生成手段Ck nbと、を備える。受信手段Rx1b、Rx2b、・・・、Rx(n−1)bは、それぞれチャネルCh1b、Ch2b、・・・、Ch(n−1)bを介して通信装置10bから送信された信号を受信する。受信手段Rx1bは、通信装置10bのRx nbが受信した信号におけるBERを通信装置10bから受信する。送信手段Tx nbは、チャネルCh nbを介して通信装置10bへ信号を送信する。エラー率測定手段Er2b、・・・、Er(n−1)bは、通信装置10bとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2b、・・・、Rx(n−1)bが受信した信号におけるBERをそれぞれ測定する。クロック信号生成手段Ck nbは、送信手段Tx nbが信号を送信するタイミングの基準となるクロック信号を生成し、送信手段Tx nbにクロック信号を供給する。位相調整手段32bは、エラー率測定手段Er2b、・・・、Er(n−1)bが測定した受信手段Rx2b、・・・、Rx(n−1)bにおけるBER及び受信手段Rx1bが受信した通信装置10bの受信手段Rx nbにおけるBERに基づいて、送信手段Tx nbから通信装置10bへ送信する信号の位相を調整する。位相調整手段32bは、クロック信号の位相を調整する位相調整信号をクロック信号生成手段34bに供給する。
実施例2に係る通信装置12bにおいて、送信手段Tx nbが送信する信号の位相を調整する処理は、図2のフローチャートに示す処理と同様である。実施例2に係る通信装置10bにおいて、受信手段Rx nbにおけるBERを通信装置12bに送信する処理は、図3のフローチャートに示す処理と同様である。実施例2に係る位相調整手段32bにおけるエラー情報テーブル作成処理は、図4に示すフローチャートに示す処理と同様である。
以上説明したように、実施例2によれば、通信装置12bは、伝送路14bを介して他の通信装置10bから送信された信号を受信する受信手段Rx1b、Rx2b、・・・、Rx(n−1)bと、伝送路14bを介して他の通信装置10bへ信号を送信する送信手段Tx nbと、通信装置10bとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx1a、Rx2a、・・・、Rx(n−1)bが受信した信号においてエラーが発生する確率であるエラー率であるBERを測定するエラー率測定手段Er2b、・・・、Er(n−1)bと、エラー率測定手段Er2b、・・・、Er(n−1)bが測定したBERに基づいて、送信手段Tx nbから他の通信装置10bへ送信する信号の位相を調整する位相調整手段32bと、を備える。近端クロストークにより伝送エラーが発生する場合、実施例2のように、各チャネルにおいて測定されるBERに基づいて、送信手段Tx nbが送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制される。
図9は、実施例3に係る通信システム300の構成を模式的に示すブロック図である。通信システム200は、伝送路のチャネルの数が2nである点が通信システム100及び通信システム200と異なる。以下の説明では、実施例1及び2において説明した構成と同様の構成について説明を省略する。
図9のように、通信システム300は、通信装置10cと、通信装置12cと、伝送路14cとを有する。伝送路14cは、2n個のチャネルCh1c、Ch2c、・・・、Ch(n+1)c、Ch 2ncから構成される。
通信装置10cは、n個の送信手段Tx1c、Tx2c、・・・、Tx ncと、n個の受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncと、n個のエラー率測定手段Er(n+1)c、Er(n+2)c、・・・、Er 2ncと、を備える。送信手段Tx1c、Tx2c、・・・、Tx ncは、チャネルCh1c、Ch2c、・・・、Ch ncを介して通信装置12cへ信号を送信する。送信手段Tx1cは、受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncが受信した信号におけるBERをそれぞれ通信装置12cに送信する。受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncは、チャネルCh(n+1)c、Ch(n+2)c、・・・、Ch 2ncを介して通信装置12cから送信された信号を受信する。エラー率測定手段Er(n+1)c、Er(n+2)c、・・・、Er 2ncは、通信装置12cとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncがそれぞれ受信した信号におけるBERを測定する。
通信装置12cは、n個の受信手段Rx1c、Rx2c、・・・、Rx ncと、n個の送信手段Tx(n+1)c、Tx(n+2)c、・・・、Tx 2ncと、(n−1)個のエラー率測定手段Er2c、・・・、Er ncと、位相調整手段32cと、n個のクロック信号生成手段Ck(n+1)c、Ck(n+2)c、・・・、Ck 2ncと、を備える。受信手段Rx1c、Rx2c、・・・、Rx ncは、それぞれチャネルCh1c、Ch2c、・・・、Ch ncを介して通信装置10cから送信された信号を受信する。受信手段Rx1cは、通信装置10cの受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncが受信した信号におけるBERを通信装置10cから受信する。送信手段Tx 2ncは、チャネルCh 2ncを介して通信装置10cへ信号を送信する。エラー率測定手段Er2c、・・・、Er ncは、通信装置10cとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2c、・・・、Rx ncが受信した信号におけるBERをそれぞれ測定する。クロック信号生成手段Ck(n+1)c、Ck(n+2)c、・・・、Ck 2ncは、送信手段Tx nbが信号を送信するタイミングの基準となるクロック信号を生成し、送信手段Tx(n+1)c、Tx(n+2)c、・・・、Tx 2ncにそれぞれクロック信号を供給する。位相調整手段32cは、エラー率測定手段Er2c、・・・、Er ncが測定した受信手段Rx2c、・・・、Rx ncにおけるBER及び受信手段Rx1cが通信装置10cの送信手段Tx1cから受信した受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncにおけるBERに基づいて、送信手段Tx 2ncから通信装置10cへ送信する信号の位相を調整する。位相調整手段32cは、クロック信号の位相を調整する位相調整信号をクロック信号生成手段Ck 2ncに供給する。
実施例3に係る通信装置12cにおいて、送信手段Tx 2ncが送信する信号の位相を調整する処理は、図2のフローチャートに示す処理と同様である。実施例3に係る通信装置10cにおいて、受信手段Rx(n+1)c、Rx(n+2)c、・・・、Rx 2ncにおけるBERを通信装置12cに送信する処理は、図3のフローチャートに示す処理と同様である。実施例2に係る位相調整手段32cにおけるエラー情報テーブル作成処理は、図4に示すフローチャートに示す処理と同様である。
以上説明したように、実施例3によれば、通信装置12cは、伝送路14cを介して他の通信装置10cから送信された信号を受信するn個の受信手段Rx1c、Rx2c、・・・、Rx ncと、伝送路14cを介して他の通信装置10cへ信号を送信するn個の送信手段Tx(n+1)c、Tx(n+2)c、・・・、Tx 2ncと、通信装置10cとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2c、・・・、Rx ncが受信した信号においてエラーが発生する確率であるエラー率であるBERを測定するエラー率測定手段Er2c、・・・、Er ncと、エラー率測定手段Er2c、・・・、Er ncが測定したBERに基づいて、送信手段Tx 2ncから他の通信装置10cへ送信する信号の位相を調整する位相調整手段32cと、を備える。近端クロストークにより伝送エラーが発生する場合、実施例3のように、各チャネルにおいて測定されるBERに基づいて、送信手段Tx 2ncが送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制される。図9のように、位相調整手段32cから位相調整信号をクロック信号生成手段Ck 2ncに送信して、クロック信号の位相を調整することにより、送信手段Tx 2ncから他の通信装置10cへ送信する信号の位相を調整するようにしてもよい。位相調整手段32cからの位相調整信号により、送信手段Tx 2nc以外の送信手段Tx(n+1)c、Tx(n+2)c、・・・、Tx(2n−1)cから他の通信装置10cへ送信する信号の位相を調整するようにしてもよい。この場合、位相調整手段32cがクロック信号生成手段Ck(n+1)c、Ck(n+2)c、・・・、Ck(2n−1)cに位相調整信号を送信して、それぞれのクロック信号の位相を調整するようにしてもよい。
図10は、実施例4に係る通信システム400の構成を示すブロック図である。通信システム400は、伝送路の各チャネルにおけるBERが予め明らかでない場合に、各チャネルにおいて測定したBERを比較することにより、リンク確立の順番を判断する点が通信システム100、200及び300と異なる。図10では、通信システム100と同様にチャネルが3つの場合の例を示している。以下の説明では、実施例1、2及び3において説明した構成と同様の構成について説明を省略する。
図10のように、通信システム400は、通信装置10dと、通信装置12dと、伝送路14dとを有する。伝送路14dは、通信装置10dと通信装置12dとを接続する。伝送路14aは、3つのチャネルCh1d、Ch2d及びCh3dから構成される。
通信装置10dは、送信手段Tx1d及びTx2dと、受信手段Rx3dと、エラー率測定手段Er3dとを備える。送信手段Tx1d及びTx2dは、それぞれチャネルCh1d及びCh2dを介して通信装置12dへ信号を送信する。送信手段Tx1dは、通信装置10aの受信手段Rx3dが受信した信号におけるBERを通信装置12dに送信する。受信手段Rx3dは、チャネルCh3dを介して通信装置12dから送信された信号を受信する。エラー率測定手段Er3dは、通信装置12dとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx3dが受信した信号におけるBERを測定する。
通信装置12dは、受信手段Rx1d及びRx2dと、送信手段Tx3dと、エラー率測定手段Er1d及びEr2dと、エラー率比較手段50dと、リンク確立順番判断手段60dと、を備える。受信手段Rx1d及びRx2dは、それぞれチャネルCh1d及びCh2dを介して通信装置10dから送信された信号を受信する。受信手段Rx1dは、通信装置10dの受信手段Rx3dが受信した信号におけるBERを通信装置10dから受信する。送信手段Tx3dは、チャネルCh3dを介して通信装置10dへ信号を送信する。エラー率測定手段Er3dは、通信装置10dとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx2dが受信した信号におけるBERを測定する。エラー率比較手段50dは、受信手段Rx1d、Rx2d及びRx3dにおけるBERの大きさを比較して、比較した結果をリンク確立順番判断手段60dに通知する。リンク確立順番判断手段60dは、エラー率比較手段50dから通知されたBERの大小の情報に基づいて、リンク確立を行う順番を判断する。リンク確立順番判断手段60dは、BERの大きさが小さいチャネルの順番にリンク確立を行うように、受信手段Rx1d及びRx2d並びに送信手段Tx3dを制御する。
図11は、実施例4に係る通信装置12dにおいて、リンク確立の順番を判断する処理の一例を示すフローチャートである。図11のように、各チャネルにおける受信手段Rx1d及びRx2dで信号を受信する(ステップS42)。なお、ステップS42のタイミングにおいて、通信装置10dの送信手段Tx1d及びTx2dがそれぞれ受信手段Rx1d及びRx2dへ信号が送信しているとする。次に、各チャネルにおける送信手段で信号を送信する(ステップS44)。図11では、送信手段Tx3dにおいて信号を送信する。なお、ステップS44のタイミングにおいて、通信装置10dの受信手段Rx3dが送信手段Tx3dから信号を受信しているとする。エラー率比較手段50dは、各エラー率測定手段で測定したBERの大小を比較して(ステップS46)、比較した結果をリンク確立順番判断手段60dに通知する。リンク確立順番判断手段60dは、エラー率比較手段50dから通知されたBERの大小の情報に基づいて、リンク確立を行う順番を判断する(ステップS48)。
以上説明したように、実施例4において、エラー率測定手段Er1d及びEr2dは、受信手段Rx1d及びRx2dのそれぞれにおける複数のエラー率を測定し、複数のエラー率の大小を比較するエラー率比較手段50dと、エラー率比較手段50dが比較した結果に基づいて、受信手段Rx1d及びRx2d及び送信手段Tx3dと他の通信装置10dとのリンク確立を行う順番を判断するリンク確立順番判断手段60dを備える例を説明した。各チャネルにおける近端クロストークの影響が予め明らかでない場合に、実施例4のような構成により、リンク確立を行う順番を判断して、互いの通信装置が通信可能な状態となる。このようなリンク確立を行った後、例えば実施例1、2及び3のように送信手段が送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制され、伝送エラーが低減する。
図12は、実施例5に係る通信システム500の構成を示すブロック図である。通信システム500は、通信システム400と同様にリンク確立の順番を判断する構成であるが、受信手段におけるBERの大小ではなく、受信手段における信号のレベルの大小に基づいてリンク確立の順番を判断する点が異なる。以下、実施例4との違いを説明する。
図12のように、通信システム500は、通信装置10eと、通信装置12eと、伝送路14eとを有する。通信装置10eは、送信手段Tx1e及びTx2eと、受信手段Rx3eと、電圧レベル測定手段Vo3eとを備える。送信手段Tx1e及びTx2eは、それぞれチャネルCh1e及びCh2eを介して通信装置12eへ信号を送信する。送信手段Tx1eは、電圧レベル測定手段Vo3eが測定した受信手段Rx3eにおける信号の電圧レベルを通信装置12eに送信する。受信手段Rx3eは、チャネルCh3eを介して通信装置12eから送信された信号を受信する。電圧レベル測定手段Vo3eは、通信装置12eとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx3dが受信した信号の電圧レベルを測定する。
通信装置12eは、受信手段Rx1e及びRx2eと、送信手段Tx3eと、電圧レベル測定手段Vo1e及びVo2eと、電圧レベル比較手段50eと、リンク確立順番判断手段60eと、を備える。受信手段Rx1e及びRx2eは、それぞれチャネルCh1e及びCh2eを介して通信装置10eから送信された信号を受信する。受信手段Rx1eは、通信装置10eの受信手段Rx3eが受信した信号の電圧レベルを通信装置10eから受信する。送信手段Tx3eは、チャネルCh3eを介して通信装置10eへ信号を送信する。電圧レベル測定手段Vo1e及びVo2eは、通信装置10eとの双方向の通信が行われる場合に、受信手段Rx1e及びRx2eが受信した信号の電圧レベルを測定する。電圧レベル比較手段50eは、受信手段Rx1e、Rx2e及びRx3eにおける信号の電圧レベルの大きさを比較して、比較した結果をリンク確立順番判断手段60eに通知する。リンク確立順番判断手段60eは、電圧レベル比較手段50eから通知された信号の電圧レベルの大小の情報に基づいて、リンク確立を行う順番を判断する。リンク確立順番判断手段60dは、電圧レベルの大きさが小さいチャネルの順番にリンク確立を行うように、受信手段Rx1e及びRx2e並びに送信手段Tx3eを制御する。
図13は、実施例5に係る通信装置12eにおいて、リンク確立の順番を判断する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS50及びステップS52は、図11のステップS42及びS44と同じ処理のため説明を省略する。電圧レベル比較手段50eは、各電圧レベル測定手段で測定した信号の電圧レベルの大小を比較して(ステップS54)、比較した結果をリンク確立順番判断手段60eに通知する。リンク確立順番判断手段60eは、エラー率比較手段50eから通知された信号の電圧レベルの大小の情報に基づいて、リンク確立を行う順番を判断する(ステップS56)。
図14(a)及び図14(b)を参照して、実施例5に係る通信システム600における各チャネルの信号の電圧レベルの測定結果の一例を説明する。
図14(a)は、実施例5に係る通信システム600の各チャネルの信号の伝送方向の一例を示す図であり、通信システム600は、通信装置10f及び12fと、伝送路14fとを有する。伝送路14fは、通信装置10fと通信装置12fとを接続する。伝送路14fは、8つのチャネルCh1f、Ch2f、Ch3f、Ch4f、Ch5f、Ch6f、Ch7f及びCh8fから構成される。各チャネルは、通信装置10f及び12fのコネクタ(図示せず)が備える各ピンと接続され、図14(a)において隣接している各チャネルは物理的に隣接している。チャネルCh1f及びCh2fでは、通信装置12fから通信装置10fへ信号が伝送される。チャネルCh3f、Ch4f、Ch5f、Ch6f、Ch7f及びCh8fでは、通信装置10fから通信装置12fへ信号が伝送される。チャネルCh1fとチャネルCh2fにおいて、差動伝送方式により信号を伝送する。同様に、チャネルCh3とチャネルCh6、チャネルCh4とチャネルCh5及びチャネルCh7とチャネルCh8は、それぞれ差動伝送方式により信号を伝送する。
図14(b)は、実施例5に係る通信装置12fにおいて各チャネルの信号の電圧レベルを測定した結果を示すグラフである。図14(b)において、縦軸は電圧レベルのピークツーピーク[mV]、横軸はチャネルの符号を示している。図14(b)は、伝送路14fに長さが10mのカテゴリー7のケーブルを用いて、チャネルCh1f及びCh2fに転送レートが4.25Gbps及び電圧レベルが1000mVの信号を流した場合の通信装置12fのチャネルCh3f、Ch4f、Ch5f、Ch6f、Ch7f及びCh8fにおいて観測された電圧レベルを示している。図14(b)からわかるように、チャネルCh1f及びCh2fに物理的に近いチャネルほど、近端クロストークの影響により、信号の電圧レベルが大きくなっている。
図15は、実施例5に係る電圧レベル測定手段の一例である電圧レベル測定回路の構成を示す回路図であり、電圧レベル測定回路Vo3は、ダイオードD、コンデンサC、抵抗R、オペアンプA及び電圧計72を有する。ダイオードDのアノードに受信手段により受信された信号が入力される。ダイオードDのカソードとオペアンプAの入力とが接続される。コンデンサの一端はダイオードのカソードと接続され、他端は接地される。抵抗Rはオペアンプと接続され、抵抗Rの大きさによりオペアンプのリファレンス入力の電圧レベルが決定される。オペアンプAは入力される信号の電圧レベルと、リファレンス入力の電圧レベルとの大小を比較する。オペアンプAは比較した結果を電圧計72に出力する。抵抗Rの大きさを調節しながら、電圧計72により電圧レベルを測定することにより、信号の電圧レベルが測定される。
以上説明したように、実施例5において、受信手段Rx1d及びRx2dがそれぞれ受信した複数の信号の電圧レベルを測定する電圧レベル測定手段Vo1e及びVo2eと、複数の信号の電圧レベルの大小を比較する電圧レベル比較手段50eと、電圧レベル比較手段50eが比較した結果に基づいて、受信手段Rx1d及びRx2d及び送信手段Tx3eと他の通信装置10eとのリンク確立を行う順番を判断するリンク確立順番判断手段60eと、を備える例を説明した。各チャネルにおける近端クロストークの影響が予め明らかでない場合に、実施例4のような構成により、リンク確立を行う順番を判断して、互いの通信装置が通信可能な状態となる。このようなリンク確立を行った後、例えば実施例1、2及び3のように送信手段が送信する信号の位相を調整することにより、近端クロストークの影響が抑制され、伝送エラーが低減する。電圧レベル測定手段は、信号のレベルを測定する信号レベル測定手段の一例であり、他に例えば電流レベルを測定してもよい。電圧レベル比較手段は、信号のレベルの大小を比較する信号レベル比較手段の一例であり、他に例えば電流レベルの大小を比較するようにしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。