JP5633112B2 - プレート式反応器を用いた不飽和炭化水素、不飽和脂肪族アルデヒド及び不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応生成物の製造方法 - Google Patents
プレート式反応器を用いた不飽和炭化水素、不飽和脂肪族アルデヒド及び不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応生成物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
反応管内側の温度を適切に制御できない場合、反応管内側に保持された触媒の一部の温度が著しく上昇する(以下、ホットスポットともいう)。該触媒の一部の温度が、限界を超えた場合、触媒の一部が損傷し、触媒の耐用期間が短くなる。
触媒の一部が損傷した場合には、該反応器を用いた反応物の生産を停止し、触媒交換が必要となる。すなわち、触媒を交換する間は反応物の生産が停止し、所望の製造量の確保が困難になるなどの重大問題が発生することとなる。
また、触媒交換に至らなくても、ホットスポットの発生により、適切な反応条件の維持が困難となり、触媒の反応成績が悪化し目的反応物の収量が低下するなどの問題が発生する。
複数配列してなりかつ隣り合った伝熱プレートの波板凸面部と凹面部とが対面して所定間隔の触媒層を形成したプレート式触媒反応器が提案されている。
上記提案には、プレート式反応器の構造とその接触気相酸化反応への応用については記述されているが、反応によって生じる熱を適切に制御しホットスポットを防ぎつつ、目的反応物の収量を向上させる方法については何ら言及されていない。特に、単位触媒当たりの処理負荷量を高めたときに、反応によって生じる熱を適切に制御しホットスポットを防ぎ、触媒の損傷を防止し、かつ、目的反応物の収量及び製造量を向上させる方法については何ら言及されていない。
前記プレート式反応器は、触媒層の平均層厚さが異なる複数の反応帯域に分割されており、前記複数の反応帯域には、独立して温度調整された熱媒体が供給され、前記酸化により生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除熱し、前記触媒層内の温度が独立して制御され、前記反応原料混合物の入口に最も近接する反応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1)は、前記反応帯域S1に隣接し、前記反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給される前記熱媒体の温度T(S2)より高く、前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であり、前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であることを特徴とする、不飽和
炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からなる群から選ばれる一種以上の反応生成物を製造する製造方法。
[2] 特定されない任意の反応帯域S(j)に供給される熱媒体の温度をT(Sj)とし、前記反応帯域S(j)に隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S(j+1)に供給される前記熱媒体の温度をT(Sj+1)としたときに、前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T(Sj)−T(Sj+1)≧5、の関係を満たすことを特徴とする、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記反応帯域の数が2〜5であり、反応原料混合物の入口から出口に向かって、各反応帯域の触媒層の平均層厚さが増大することを特徴とする、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり170〜290リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり180〜300リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記プレート式反応器の反応生成物出口での反応原料の転化率が、90%以上であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記反応原料がプロピレンであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が320〜400℃であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記反応原料がアクロレインであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が250〜320℃であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
する反応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1)は、前記反応帯域S1に隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給される前記熱媒体の温度T(S2)より高く、前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であり、前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であることを特徴とする。
上記炭素数3の炭化水素としては、プロピレン、プロパンが挙げられる。
上記炭素数4の炭化水素としては、イソブチレン、n−ブテン、イソブテン、n−ブタン、イソブタンが挙げられる。
上記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドとしては、アクロレイン、メタクロレインが挙げられる。
これら反応原料の状態は、限定されないが、ガス(反応原料ガス)の状態であることが好適に例示できる。
また、上記反応生成物である不飽和炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸における、不飽和炭化水素としては、ブタジエンが挙げられ、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドとしては、アクロレイン、メタクロレインが挙げられ、炭素数3及び4の不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。
ここで、本発明の製造方法において、本発明が、上記反応生成物すべてにおいて適用が可能であると考える理由は以下の通りである。
例えば、炭素数3のプロピレンからアクロレイン、炭素数4のイソブチレンからメタクロレイン、及びノルマルブテンからブタジエンの製造に用いられる触媒の基本組成(例えばモリブデン(Mo)−ビスマス(Bi)系)、製法、及び形状は、基本的に同じであること。また、当該反応生成物の製造における反応形式、プロセスが工業的に同一であることが挙げられる。更には、不飽和脂肪族アルデヒドであるアクロレインからアクリル酸、メタクロレインからメタクリル酸、及びブテン類から無水マレイン酸においても、同様の基本組成(例えばモリブデン(Mo)−バナジュウム(V)系)、形状の触媒を用い、同じ反応形式、プロセスによって工業的に反応製造されることが挙げられる。これらの反応はいずれも分子状酸素による接触気相酸化であり、大きな発熱を伴う反応で、発明者らの知見では同様な反応特性を有しており、本発明を効果的に適用できると考えている。
上記反応原料は、1種のみの構成としてもよく、また2種以上を混合した混合物(例えば、混合ガス)としてもよい。上記反応原料混合物(例えば、反応混合ガス)の組成は、目的に応じて適宜選択される。
上記反応原料の、上記反応原料混合物に対する含有量は、特に限定されないが、反応原料の総量として、5〜13モル%であることが好ましい。また、上記分子状酸素の、上記反応原料混合物に対する含有量は、反応原料の総量の1〜3倍量であることが好ましい。
上記不活性なガスの、上記反応原料混合物に対する含有量は、上記反応原料混合物全量から反応原料の総量と分子状酸素量を除いた値となる。なお、上記不活性なガスは、反応系から排出される排気ガスを再循環した不活性ガスを用いてもよい。
触媒の組成としては、モリブデン、タングステン、ビスマスなどを含む金属酸化物、または、バナジウムなどを含む金属酸化物が挙げられる。該組成の金属酸化物粉末を、球状、ペレット状、またはリング状に成型し、高温で焼成して触媒として用いる。
また、触媒の形状は、公知の形状が採用でき、直径が3〜15mm(ミリメートル)の球状、または楕円形以外の形状で3〜15mmの相当直径を有するペレット状、あるいは円柱の円柱中心に穴の開いたリング状の形状のもので、円外径が4〜10mm、円内径が1〜3mm、高さが2〜10mmの形状が好適に用いられる。上記直径、相当直径、円外径及び高さが、3〜5mmの触媒がより好ましい。
Mo(a)Bi(b)Co(c)Ni(d)Fe(e)X(f)Y(g)Z(h)Q(i)Si(j)O(k)・・・式(1)
上記式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Coはコバルト、Niはニッケル、Feは鉄、Xはナトリウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム及びタリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Yはほう素、りん、砒素及びタングステンからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Zはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、セリウム及びサマリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素、Qはハロゲン元素、Siはシリカ、Oは酸素を表す。
また、a、b、c、d、e、f、g、h、i、j及びkは、それぞれMo、Bi、Co、Ni、Fe、X、Y、Z、Q、Si及びOの原子比を表し、モリブデン原子(Mo)が12のとき、0.5≦b≦7、0≦c≦10、0≦d≦10、1≦c+d≦10、0.05≦e≦3、0.0005≦f≦3、0≦g≦3、0≦h≦1、0≦i≦0.5、0≦j≦40であり、kは各元素の酸化状態によって決まる値である。
Mo(12)V(a)X(b)Cu(c)Y(d)Sb(e)Z(f)Si(g)C(h)O(i)・・・式(2)
上記式(2)中、XはNb及びWからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示す。YはMg、Ca、Sr、BaおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示す。ZはFe、Co、Ni、Bi、Alからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を示す。但し、Mo、V、Nb、Cu、W、Sb、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Fe、Co、Ni、Bi、Al、Si、CおよびOは元素記号である。
a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは各元素の原子比を表し、モリブデン原子(Mo)12に対して、0<a≦12、0≦b≦12、0≦c≦12、0≦d≦8、0≦e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500であり、iは前記各成分のうちCを除いた各成分の酸化度によって決まる値である。
しかしながら、単位触媒当たりの反応原料の処理負荷量を高めた場合、反応によって生じる熱を適切に制御しホットスポットを防ぎ、触媒の損傷を防止し、かつ、反応原料の転化率及び目的反応生成物の収率を向上させるための方策が必要となる。
これに対応するために、本発明の製造方法に用いられるプレート式反応器は、その形状等は特に限定されないが、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)伝熱プレートの間に形成された触媒層の平均層厚さが異なる複数の反応帯域に分割されていること。
(2)複数の反応帯域には、独立して温度調整された熱媒体が供給され、接触気相酸化反応により生じる熱を、伝熱プレートを隔てて除熱し、触媒層内の温度が独立して制御できること。
なお、以下の記載では、便宜上、反応原料、反応原料混合物、及び反応によって生じる反応生成物の混合物などの総称である反応流体の一態様である「反応ガス」を用いて説明する場合がある。
プレート式反応器の第1の態様としては、一対の伝熱プレートに挟まれた空間内に触媒を充填して反応帯域が形成され、伝熱プレートの外側に熱媒体が供給される熱媒体流路を有するプレート式反応器が挙げられる。
上記プレート式反応器の反応帯域は複数の領域に分割することが可能であり、一対の伝熱プレートの間隔を調整することで各反応帯域に充填された触媒層厚さを変化させることが可能である。特に、供給される反応原料混合物の入口から出口に向かって、反応帯域の各領域の触媒層厚さが増大する構造であることが好ましい。また、伝熱プレート対の外側が複数の熱媒体流路に分割され、各々異なった温度を有する熱媒体を該流路に供給することが可能である。
上記プレート式反応器に供給される反応ガスの方向は伝熱プレートに沿って流れ、熱媒体は一対の伝熱プレートの外側に供給される。当該熱媒体の流れ方向は、特に制限は無いが、工業的規模での反応装置には通常、多量の触媒を収容する必要があり、多数の伝熱プレート対が設置されるので、反応ガスの流れと直角方向が都合よい。
通常の反応に於ける反応量は、反応ガスの入口部分が最も大きく、反応に伴う反応熱の発生は最大で、反応ガスの出口方向に減少する。伝熱プレートの間隔を調整して触媒層の平均層厚さを変えることによって反応及び反応によって生じる熱をより精密に制御でき、触媒層温度の上昇に伴う、ホットスポットを防ぎ、触媒の損傷を防止することができる。
また、上記プレート式反応器を用いることで、多管式反応器にみられた、反応ガスの単位触媒当たりの処理負荷量が高い条件下における、反応ガスの圧力損失の増大、及びこれに伴う目的反応生成物の収率が低下を解消することが可能である。更には、反応器内圧の上昇に伴う、反応ガス等の供給用圧縮機のエネルギーコストが削減可能である。
熱媒体流路(5−1、5−2、及び5−3)と触媒層(2)とを隔離する薄板の伝熱プレート(1)は反応ガス入口(3)から出口(4)への流れに沿って、触媒層(2)の厚さを変えるために変形している。ここで、触媒層の平均層厚さは反応ガスの流れ方向と直角方向に測ったプレート間の距離のことである。
一対の伝熱プレート(1)の間に形成された触媒層(2)の厚さは、各熱媒体流路(5−1、5−2、及び5−3)に対応し、其々反応帯域(S1、S2、及びS3)を形成する。(6)は熱媒体供給口である。なお、上記において、反応帯域を3つとしているが、これは例示であり、反応帯域の数は限定されない。
また、伝熱プレート(1)は平板、凹凸を有するようにエンボス加工されたもの、または反応ガスの流れと直角方向に成形された波板の使用が可能である。反応ガスと熱媒体との伝熱効率を考慮すれば、凹凸板または波板形状が好適に用いられる。ここで、伝熱プレート(1)にエンボス加工、または波板が使用された場合の触媒層の平均層厚さは以下に示す式で規定した。
(式)[触媒層の平均層厚さ]=[触媒層の体積]÷[伝熱プレートの長さ(幅)(図1における紙面に垂直方向の長さ)]÷[伝熱プレートの反応ガスの流れ方向の長さ](ここで、[触媒層の体積]は、触媒層が形成される一対の伝熱プレートを地面に対し垂直に保ち、かつ底(各反応帯域の最も下面)に蓋を設置して、一対の伝熱プレートに挟まれた空間内に水などの液体又は直径1mm以下のガラスビーズを注ぎ入れたときに、該空間を満たすのに必要な水などの液体又は直径1mm以下のガラスビーズの体積とする。)
上記プレート式反応器において、波板に賦形された円弧、楕円弧、矩形或いは多角形の一部の形状を変えることにより、触媒層に供給される反応ガスの入口から出口に向かって触媒層の厚さを変化させることが可能である。また、上記プレート式反応器は、反応帯域を複数の領域に分割することが可能であり、複数の領域に分割された反応帯域を上記触媒層の厚さの変化に対応させることが可能である。さらに、分割された複数の反応帯域には、独立して温度調整された熱媒体が供給され、接触気相酸化反応により生じる熱を、伝熱プレートを隔てて除熱し、触媒層内の温度を独立して制御することが可能である。
上記プレート式反応器に供給される反応ガスの方向は伝熱プレートの外側に沿って流れ、熱媒体は一対の伝熱プレートの内側に供給される。当該熱媒体の流れ方向は、反応ガスの流れに対して直角方向、即ち十字流の方向に流れる。
通常の反応に於ける反応量は、反応ガスの入口部分が最も大きく、反応に伴う反応熱の発生は最大で、反応ガスの出口方向に減少する。この反応熱の除熱を効率よくするために、一の伝熱プレートと隣り合う伝熱プレートとに使用される波板の凹凸形状を変え、両伝熱プレートの間隙を調整して触媒層の平均層厚さを変化させることが好ましい。触媒層の平均層厚さを変化させることにより、反応をより精密に制御することができ、触媒層温度の上昇に伴う、ホットスポットを防ぎ、触媒の損傷を防止することができる。
図2に示されたように、伝熱プレート(1)は、2枚の薄板が円形、楕円形、矩形或いは多角形の一部を主構成要素とした連続したパターンに変形され、互いに反対方向に向き合って(鏡像関係に)接合され、熱媒体流路(5−1、5−2、5−3)を形成する。また、一対の伝熱プレート(1)が互いに熱媒体流路の半分に相当する距離だけずれて向かい合い間隙を形成し、形成された間隙に触媒が充填され、触媒層(2)が形成される。さらに、一対の伝熱プレート(1)は、触媒層(2)へ反応混合ガスを導入する反応ガス入口(3)と反応ガスを導出する反応ガス出口(4)を具備する。
上記熱媒体流路はそれぞれ流路の断面形状(断面積)が異なり、熱媒体流路(5−1)の幅はもっとも大きくなる。熱媒体流路(5−1)の幅がもっとも大きい場合、隣り合った上記伝熱プレート(1)の間隔は一定なので、隣り合った伝熱プレートの波板凸面部と凹面部とが対面して形成される間隔(A)(すなわち、触媒層(2)の層厚)はもっとも狭くなる。熱媒体流路(5−2)から(5−3)へと熱媒体流路の幅が、順次小さくなり、この熱媒体流路に対応する触媒層(2)の厚さは増大する。従って、熱媒体流路(5−1、5−2、及び5−3)に対応する触媒層(2)は、それぞれ触媒層の平均層厚さが異なり、触媒層の平均層厚さが異なる複数の反応帯域(S1、S2、及びS3)を形成することができる。ここで、触媒層の平均層厚さとは、各反応帯域(S1、S2、及びS3)の各触媒層において、反応ガスの流れ方向と直角方向に測定された上記間隔(A)の平均値を意味する。本発明においては、以下に示す計算式を用いて規定した。
(式)[触媒層の平均層厚さ]=[触媒層の体積]÷[伝熱プレートの長さ(幅)(図2における紙面に垂直方向の長さ)]÷[伝熱プレートの反応ガスの流れ方向の長さ](ここで、[触媒層の体積]は、触媒層が形成される一対の伝熱プレートを地面に対し垂直に保ち、かつ底(各反応帯域の最も下面)に蓋を設置して、一対の伝熱プレートに挟まれた空間内に水などの液体又は直径1mm以下のガラスビーズを注ぎ入れたときに、該空間を
満たすのに必要な水などの液体又は直径1mm以下のガラスビーズの体積とする。)
なお、上記において、反応帯域を3つとしているが、これは例示であり、反応帯域の数は限定されない。
熱媒体流路の大きさ、及び触媒層の平均層厚さは、波板の波の周期にあたる(L)と、波の高さ(H)で規定される。このとき、波の周期(L)は10〜100mmであることが好ましく、20〜50mmであることがより好ましい。一方、高さ(H)は、5〜50mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。
該伝熱プレートが一対で平行、かつ互いに熱媒体流路の半分に相当する距離(L/2)だけずれて向かい合い間隙を形成し、その間隙に触媒が充填され、触媒層が形成される。
この平行な一対の伝熱プレートの間隔(P)と熱媒体流路の周期(L)及び高さ(H)を変えることにより、触媒層の厚さが調節される。一対の伝熱プレートの間隔Pは通常、10から50mmであり、20〜50mmであることがより好ましい。
図3では、伝熱プレートの形状が円弧の一部で描かれているが、形状は楕円弧、矩形、三角形または多角形の一部を主構成要素とする連続したパターンであってもよい。上記周期(L)と高さ(H)を変えることで触媒層厚さを精度良く制御できる。なお、触媒層厚さは、伝熱プレートの長さ(幅)方向(紙面に垂直な方向)において均一であることが好ましい。
また、上記触媒層の平均層厚さは、図3に示す間隔(x)と相関し、当該間隔(x)は上記式で規定した触媒層の平均層厚さの通常0.7〜0.9倍である。
伝熱プレート(1)の反応ガス流れ方向の長さは0.5から10m(メートル)であり好ましくは0.5から5m、さらに好ましくは0.5から3mである。通常入手できる薄板鋼板のサイズから、1.5m以上の時は2枚のプレートを接合するか、組み合わせて用いることもできる。
反応ガスの流れ方向と直角の方向(図1および図2では紙面に垂直方向の奥行き)の長さは特に制限はなく、通常0.1から20mが用いられ、好ましくは3から15mが用いられる。より好ましくは6から10mである。伝熱プレート(1)は図3に示した配置と同様に積層され、積層される枚数には制限は無い。実際的には、反応に必要な触媒量から決定されるが、数十枚から数百枚である。
また、上記各反応帯域の触媒層の平均層厚さは、反応原料の負荷量及び触媒の形状(粒径など)によっても異なるが、図1に示すプレート式反応器においては、反応帯域(S1)の触媒層の平均層厚さは4〜18mm(より好ましくは5〜13mm)であり、該反応帯域(S1)に続く反応帯域(S2)の触媒層の平均層厚さは5〜23mm(より好ましくは7〜17mm)であり、該反応帯域(S2)に続く反応帯域(S3)の触媒層の平均層厚さは8〜27mm(より好ましくは10〜22mm)であることが好ましく例示できる。
一方、図2に示すプレート式反応器においては、反応帯域(S1)の触媒層の平均層厚さは5〜20mm(より好ましくは7〜15mm)であり、該反応帯域(S1)に続く反応帯域(S2)の触媒層の平均層厚さは7〜25mm(より好ましくは10〜20mm)であり、該反応帯域(S2)に続く反応帯域(S3)の触媒層の平均層厚さは12〜30
mm(より好ましくは15〜25mm)であることが好ましく例示できる。
なお、該複数の反応帯域の触媒層の平均層厚さは、反応ガスの入口から出口の方向に位置するに従って、順次増加することが好ましい。
一方、触媒層の平均層厚さが上記範囲より大きい場合、ホットスポット発生の原因となり易い。特に反応ガスの出口付近の反応帯域、例えば、反応帯域(S3)の触媒層内の温度が上昇し、ホットスポット現象が生じる状況、または反応原料の転化率が最適値より高くなりすぎるようなホットスポットに近い状況になれば、反応成績が低下し、目的反応生成物の収率が低下する場合がある。上記状況が悪化し、ホットスポットが発生した場合には、触媒が損傷することもある。この際には、熱媒体の温度を下げて反応量を制限し、反応熱の除去を促進したり、反応混合ガスの供給量を下げ、反応原料の負荷量を低下させたりする必要がある。
また、上記反応帯域の分割数は2〜5が好ましく、反応ガスの入口から出口に向かって、各反応帯域の触媒層の平均層厚さが増大することが好ましい。
さらに、各反応帯域における触媒層の反応ガスの流れ方向の長さは、反応原料の転化率等を考慮して決定されるが、例えば、上記反応帯域が3つに分割された場合では、全触媒層長さに対して、反応帯域(S1)部分が10%〜55%、反応帯域(S2)部分が20%〜65%、反応帯域(S3)部分が25%〜70%の触媒層長さを適用することが好ましい。また、反応帯域(S3)部分の触媒層長さは反応原料の転化率の達成度によって変化させることが好ましい。
る群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上である。上記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、反応原料の負荷量は、触媒1リットル当たり170〜290リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることが好ましく、触媒1リットル当たり200〜250リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることが特に好ましい。上記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり150リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上とは、上記単位触媒当たりの反応原料の処理負荷量を高めた状態を意味する。
本発明の製造方法において、反応原料混合物の入口に最も近接する反応帯域S1に供給される熱媒体の温度T(S1)は、反応帯域S1に隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給される熱媒体の温度T(S2)より高いことが、反応原料の転化率及び目的反応生成物の収率を向上させるために重要である。
また、「T(S1)−T(S2)」は5℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることがさらに好ましく、15℃以上であることが特に好ましい。なお、「T(S1)−T(S2)」は40℃以下であることが好ましい。
なお、上記反応帯域S2の、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域に供給される熱媒体の温度は、任意であり、温度T(S2)と同じであっても、異なっていてもよい。しかし、特に反応原料の転化率が90%以上の領域を含む反応帯域では温度T(S2)より、低い温度が好ましい。
上記図1及び2に記載されたプレート式反応器の例では、反応帯域(S1)に供給される熱媒体の温度T(S1)は、反応帯域(S2)に供給される熱媒体の温度T(S2)より高い場合に、反応原料の転化率及び目的反応生成物の収率を向上させることが可能となる。
前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T(Sj)>T(Sj+1)、の関係を満たすことがより好ましい。
上記図1及び2に記載されたプレート式反応器の例では、反応帯域(S1)に供給される熱媒体の温度をT(S1)、反応帯域(S2)に供給される熱媒体の温度をT(S2)、反応帯域(S3)に供給される熱媒体の温度をT(S3)としたときに、T(S1)>T(S2)>T(S3)、の関係を満たすことが好ましいこととなる。
本発明の製造方法において、プレート式反応器の反応生成物出口での反応原料の転化率は、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上であり、特に好ましくは97%以上である。
また、熱媒体の入口温度と出口温度の温度差は0.5〜10℃であることが好ましく、2〜5℃であることがより好ましい。
図2に示すプレート式反応器の場合は、熱媒体流路(5−1、5−2、5−3)のそれぞれにおいて、1〜複数の流路毎に、熱媒体の流量、温度、及び流す方向を変えることも可能である。また、一つの反応帯域においても、1〜複数の流路毎に、独立して同温の熱媒体を同じ方向に流す場合も、反応ガスの流れ方向と向流(カウンターフロー)方向に流す場合もある。また、ある反応帯域の熱媒体流路に供給され排出された熱媒体を同じあるいは別の反応帯域の熱媒体流路に供給することも可能である。
反応によって生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除熱し、反応帯域内の触媒層内の温度を、より確実に独立して制御するため、反応帯域に供給される熱媒体の温度を安定的に制御することが肝要であり、熱媒体の温度はそれぞれ独立した温度制御手段を有することが好ましい。例えば、反応帯域S(j+1)からでた熱媒体を上流の反応帯域S(j)に還流するときも、温度制御手段で熱媒体温度T(Sj)を調整したあと、反応帯域S(j)に供給することが好ましい。また、他の反応帯域からの熱媒体や異なる温度の熱媒体と合流し、或いは分岐したあとで温度調整をし、反応帯域S(j)へ供給することも可能である。
ることが好ましく、320〜400℃であることがより好ましい。
一方、反応原料が、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種のときは、200〜350℃で各反応帯域に供給されることが好ましく、より好ましくは、250〜330℃である。該反応原料がアクロレインの場合は、複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が250〜320℃であることが好ましい。
同じ反応帯域では、熱媒体の温度は基本的に同じであることが好ましいが、ホットスポット現象が発生しない範囲で変化させることは可能である。
なお、用いられる熱媒体は、公知のものを使用することが可能である。
<1>反応原料(プロピレン、アクロレイン等)の転化率[%] =
(反応器で他物質に転化した反応原料のモル数)/(反応器に供給された反応原料のモル数)×100
<2>目的反応生成物の選択率[%] =(反応器出口における目的反応生成物のモル数)/(反応器で他物質に転化した反応原料のモル数)×100
<3>目的反応生成物の収率[%] =
(反応器出口における目的反応生成物のモル数)/(反応器に供給された反応原料のモル数)×100
<4>反応原料の負荷量[NL/L・hr] =
(反応原料の毎時供給量L[リットル][標準状態換算]/反応に供される触媒量L[リットル]
ここで、標準状態とは、温度0℃、101.325kPaにおかれた状態をいう。
プレート式反応器は図2に示す構造のものを用いた。波形形状の薄いステンレスプレー
ト(板厚1mm)を2枚接合して反応温度調節用の熱媒体流路を形成した。図3に示す波形形状の周期(L)、高さ(H)及び波数を表1に示す。
該接合された波形伝熱プレートの一対に、前段反応器には前段用触媒を、後段反応器には後段用触媒を、それぞれ充填して触媒層を形成した。前段反応器および後段反応器とも触媒層は波形形状の仕様によって、表1に示すように、反応ガスの流れ方向の上流から反応帯域(S1)、反応帯域(S2)及び反応帯域(S3)に分割した。1対の波形伝熱プレートは図2に示すように平行に設置し、その間隔(図3に示すP)を26mmに調整した。伝熱プレートの幅は114mmであった。
反応原料として、前段反応器の入口(反応帯域(S1))からプロピレンを9.5モル%含有する反応原料混合物(以下、反応混合ガス)を通気した。反応混合ガスは、プロピレン以外に、酸素15.2モル%、窒素65.9モル%及び水蒸気9.4モル%を含む。
表1に示す前段反応器に上記前段触媒を充填し、プロピレンの酸化反応を行った。熱媒体には綜研テクニクス(株)社製のNeoSK−OIL(登録商標)1400を用いそれぞれ温度を調節した後、反応帯域(S1)〜反応帯域(S3)へ供給した。熱媒体の供給量は熱媒体の流速が毎秒0.7m以上となるようにした。
プロピレン濃度が9.5モル%である反応混合ガスを5,670リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]の割合で反応器の入口に供給した。また、各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)へ供給された熱媒体の温度はそれぞれ342℃、329℃、及び329℃とした。プロピレンの供給量は539リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算](以下、NL/Hrともいう)であっ
た。反応器入口の圧力は0.109MPaG(メガパスカルゲージ)で、反応器の触媒層の入口と出口の圧力差(圧力損失)は14kPaと非常に小さかった。
出口ガスをガスクロマトグラフィで分析したところ、プロピレンの転化率は97.2%、アクリル酸の収率は10.1%、アクロレインの収率は81.7%であった。プロピレンの負荷量は167リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算](以下、NL/L・Hrともいう)であった。
各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給した熱媒体の温度をそれぞれ360℃、345℃、及び329℃に調節したこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。出口ガスをガスクロマトグラフィで分析したところ、プロピレンの転化率は98.3%、アクリル酸とアクロレインの収率の合計は92.7%であった。
反応混合ガスの供給量を7,817リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]に増加したこと、並びに各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給した熱媒体の温度をそれぞれ342℃、335℃、及び334℃に調節したこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。プロピレンの供給速度は743NL/Hrであった。
出口ガスをガスクロマトグラフィで分析したところ、プロピレンの転化率は95.4%、アクリル酸の収率は11.5%、アクロレインの収率は79.2%であった。プロピレンの負荷量は、231NL/L・Hrであった。反応器入口の圧力は、0.134MPaG(メガパスカルゲージ)であり、反応器の触媒層の圧力損失は、30kPa(キロパスカル)であった。
実施例3で得られた反応器出口ガスを後段反応器に供給して、アクロレインを酸化し、アクリル酸を製造した。酸化反応のための分子状酸素の供給源として、空気を2,186毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]と窒素を680リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]を、前段反応器出口ガスと混合して後段反応器に供給した。
後段反応器の各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給された熱媒体の温度は、それぞれ284℃、278℃及び278℃であった。熱媒体の供給量は、それぞれ反応帯域の熱媒体流路内での流速が毎秒0.4m以上となるようにした。後段反応器入口の圧力は、0.097MPaG((メガパスカルゲージ)で、反応器の触媒層の圧力損失は、29kPa(キロパスカル)であった。
出口ガスをガスクロマトグラフィで分析したところ、アクロレインの転化率は99.4%、前段反応器に供給されたプロピレンに対するアクリル酸収率は、86.3%であった。アクロレインの負荷量は201NL/L・Hrであった。
反応に用いた反応混合ガスを、プロピレン9.4モル%、酸素15.2モル%、窒素65.9モル%及び水蒸気9.5モル%の組成にすること、プロピレンの負荷量を219NL/L・Hrで供給すること、並びに、各反応帯域(S1)、(S2)、及び(S3)に供給した熱媒体の温度を表2に示す温度に調整したこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。ガスクロマトグラフィで分析した出口ガスの分析結果を表2に示す。
続けて反応を230時間以上行ったが、転化率や収率は安定していて、触媒の劣化を示す兆候は無かった。
上記前段反応器であって、表1に示す周期(L)、高さ(H)、波数及び波板間隔Pが同じであるが、伝熱プレートの幅が96mmであるプレート式反応器を用いた。当該伝熱プレート式反応器に上記後段用触媒を充填した。充填高さは1.8mで、触媒量は2.5L(リットル)であった。
比較例3は、反応管として内径27mmのステンレス製管を用い、該反応菅に後段用触媒を充填高さ1.8mまで充填した管型反応器を準備した。触媒量は1.0Lであった。
上記のプレート式反応器と管型反応器を垂直に固定し、上部より室温の空気を供給し、入口圧力と出口圧力を測定して、触媒層の圧力損失を求めた。結果を表3に示す。
2 触媒層
3 反応ガス入口
4 反応ガス出口
5−1 熱媒体流路
5−2 熱媒体流路
5−3 熱媒体流路
6 熱媒体供給口
P 一対の伝熱プレートの間隔
L 波の周期
H 波の高さ
x 間隔
Claims (8)
- 伝熱プレートの間に形成された触媒層を備えたプレート式反応器に、炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種、または、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種、並びに、分子状酸素を含む反応原料混合物を供給し、前記反応原料を接触気相酸化し、不飽和炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の反応生成物を製造する製造方法であって、
前記プレート式反応器は、触媒層の平均層厚さが異なる複数の反応帯域に分割されており、前記複数の反応帯域には、独立して温度調整された熱媒体が供給され、前記酸化により生じる熱を、前記伝熱プレートを隔てて除熱し、前記触媒層内の温度が独立して制御され、
前記反応原料混合物の入口に最も近接する反応帯域S1に供給される前記熱媒体の温度T(S1)は、前記反応帯域S1に隣接し、前記反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S2に供給される前記熱媒体の温度T(S2)より高く、「T(S1)−T(S2)」は5℃以上であり、
前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり167リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であり、
前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり160リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]以上であることを特徴とする、不飽和炭化水素、炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒド、並びに炭素数3及び4の不飽和脂肪酸からなる群から選ばれる一種以上の反応生成物を製造する製造方法。 - 特定されない任意の反応帯域S(j)に供給される熱媒体の温度をT(Sj)とし、前記反応帯域S(j)に隣接し、反応原料混合物の流れの下流に位置する反応帯域S(j+1)に供給される前記熱媒体の温度をT(Sj+1)としたときに、前記T(Sj)と前記T(Sj+1)が、T(Sj)−T(Sj+1)≧5、の関係を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記反応帯域の数が2〜5であり、反応原料混合物の入口から出口に向かって、各反応帯域の触媒層の平均層厚さが増大することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記炭素数3及び4の炭化水素、並びにターシャリーブタノールからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり170〜290リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記炭素数3及び4の不飽和脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる反応原料の少なくとも1種を酸化するときの、前記反応原料の負荷量が、触媒1リットル当たり180〜300リットル毎時[標準状態(温度0℃、101.325kPa)換算]であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記プレート式反応器の反応生成物出口での反応原料の転化率が、90%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 前記反応原料がプロピレンであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が3
20〜400℃であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 - 前記反応原料がアクロレインであり、前記複数の反応帯域に供給される熱媒体の温度が250〜320℃であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
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