段板の端部を係合する係合溝が形成された3枚の内廻側板や複数の外廻側板を含む階段ユニットを用いて折返し廻り階段を形成する場合、折返し中間部の各段板が、支持柱の隣接する一対の側面に跨ってこれらの角部に配置されるL字形状の切欠きを内側端部に備えるものでなければ、各段板を設置する前に、支持柱の側面や外側の壁面に内廻り側板や外廻り側板を先行して取り付けておき、先行して取り付けられた内廻り側板や外廻り側板の係合溝をガイドとして、これらの係合溝に各段板の内側端部や外側端部を係止して所定の位置まで横方向にスライド移動させることによって、折返し中間部の各段板を安定した状態で設置することが可能である。
しかしながら、階段ユニットが、折返し中間部の段板として、支持柱の隣接する一対の側面に跨ってこれらの角部に配置されるL字形状の切欠きを内側端部に備える2枚の段板を含んでいる場合、支持柱の側面や外側の壁面に内廻り側板や外廻り側板を先行して取り付けることが困難になり、これらに設けられた係合溝をガイドとしてスライド移動させて各段板を安定した状態で設置することができなくなる。
すなわち、支持柱の角部に配置されるL字形状の切欠きを内側端部に備える段板(図9参照)は、当該L字形状の切欠き部分を上方又は下方からしか支持柱(図8参照)の角部に納めることができず、先行して取り付けられた内廻り側板や外廻り側板の係合溝に沿って所定の位置まで横方向にスライド移動させることは不可能である。また、支持柱の側面や外側の壁面に内廻り側板や外廻り側板が取り付けられた状態の折返し廻り階段の内々寸法よりも、段板の幅に相当する、内廻り側板に設けられた係合溝の溝底部と外廻り側板に設けられた係合溝の溝底部との間の内々寸法の方が、係合溝の深さの分だけ例えば20mm程度大きくなっていることから、内廻り側板及び外廻り側板が双方共に取り付けられた後は、支持柱の角部に配置されるL字形状の切欠きを内側端部に備える段板を、上方又は下方から支持柱の角部に納めることは困難である。
ここで、折返し中間部の段板のうちの1枚のみが、支持柱の角部に配置されるL字形状の切欠きを内側端部に備える段板である場合には、当該段板の内側端部に内廻り側板を予め取り付けた状態で、内廻り側板と共に段板を折返し中間部に設置することによって、L字形状の切欠きを支持柱の角部に納めることが可能であるが、折返し中間部の段板のうちの2枚がL字形状の切欠きを内側端部に備える段板である場合には、一方の段板のL字形状の切欠きを支持柱の角部に納めることができても、他方の段板のL字形状の切欠きを支持柱の角部に納めることはできなくなる。
このため、例えば図8に示すような支持柱51を中心とする折返し廻り階段の階段取付け躯体50に対して、例えば図9示すような組合わせの、L字切欠き52aを内側端部に備える略矩形の平面形状を有する下段角部段板52と、L字切欠き53aを内側端部に備える略矩形の平面形状を有する上段角部段板53とによって折返し中間部50aの段板が構成される階段ユニットを用いて、折返し廻り階段を設置する際には、例えば以下のようして折返し中間部50aの折返し廻り階段が施工される。
すなわち、図9示す階段ユニットでは、上述の下段角部段板52及び上段角部段板53の他、支持柱51(図8参照)の側面に取り付けられる3枚の内廻り側板54,55,56、折返し廻り階段の外側の壁面57に沿って取り付けられる外廻り壁面側板58、折返し廻り階段の内側の壁面59に沿って取り付けられる内廻り壁面側板60、下り階段部50bの段板61、上り階段部50cの段板62等を含んで構成されている。折返し中間部50a(図8参照)の折返し廻り階段を施工するには、例えば図10(a)に示すように、階段取付け躯体50(図8参照)による折返し廻り階段の外側の壁面57に沿って、折返し中間部50aの外廻り壁面側板58を取り付けた後に、図10(b)に示すように、上段角部段板53を、L字切欠き53aを支持柱51の角部に納めるようにしながら、上方から斜めに落とし込むと共に、図10(c)に示すように、落とし込んだ上段角部段板53の外側端部を外廻り壁面側板58の係合溝58aに差し込む。
3枚の内廻り側板54,55,56のうち、支持柱51の折返し中間部50a側の側面に取り付けられる第1内廻り側板54については、施工現場において、図10(d)に示すように、下段の係合溝54aよりも下方の部分を切断して後付け部54bとして切り離し、残りの部分を先付け部54cとして、図10(e)に示すように、上段角部段板53のL字切欠き53aと、支持柱51の折返し中間部50a側の側面との間に差し込む。先付け部54cの差し込み作業は、上述のように落とし込んだ上段角部段板53の外側端部を外廻り壁面側板58の係合溝58aに差し込むことで、上段角部段板53のL字切欠き53a(図9参照)と、支持柱51の側面との間には隙間が生じるので、この隙間に先付け部54cの上段の係合溝54dの部分を挿入することによって容易に行うことができる。差し込んだ先付け部54cは、一方の側縁部を支持柱51の下り階段部50b側の側面に沿わせて所定の高さ位置に位置決めした後に、例えばビス等を打ち込んで支持柱51の折返し中間部50a側の側面に固定する。
第1内廻り側板54の先付け部54cを支持柱51の折返し中間部50a側の側面に固定したら、図11(a)に示すように、下段角部段板52を、L字切欠き52a(図9参照)を支持柱51の角部に納めるようにしながら、下方から斜めに入れ込むと共に、図11(b)に示すように、入れ込んだ下段角部段板52の外側端部を外廻り側板58の係合溝58aに差し込み、且つL字切欠き52aを、固定された先付け部54cの下段の係合溝54aの部分に配置する。
しかる後に、図11(c)に示すように、第1内廻り側板54の切り離した後付け部54bを、下段角部段板52の下方から、先付け部54cの下端部に連設接合するよう位置決めして、例えばビス等を打ち込んで支持柱51の折返し中間部50a側の側面に、先付け部55cと一体となるように固定する。
上述のようにして折返し廻り階段の折返し中間部50aに、第1内廻り側板54と上段角部段板53及び下段角部段板52とを取り付けたら、図12(a),(b)に示すように、第1内廻り側板54の一方の側縁部に連設させて、支持柱51の下り階段部50b側の側面に第2内廻り側板55を取り付けると共に、第1内廻り側板54の他方の側縁部に連設させて、支持柱51の上り階段部50c側の側面に第3内廻り側板56を取り付ける。さらに、第2内廻り側板55や第3内廻り側板56に連設させて、支持柱51に連続する折返し廻り階段の内側の壁面59(図8参照)に沿って、下り階段部50bの内廻り壁面側板60や上り階段部50cの内廻り壁面側板60を取り付けた後に、引き続いて下り階段部50bや上り階段部50cの段板61,62を取り付ける作業を、従来と同様の方法によって行ってゆく。
しかしながら、上記従来の支持柱に取り付けられる3枚の内廻り側板54,55,56を使用した、L字形状の切欠きを内側端部に備える2枚の段板を含む複数枚の段板の取付け構造によれば、工場等において予め精度良く加工製作された階段ユニットの第1内廻り側板54を、施工現場で先付け部54cと後付け部54bとに分断したり、分断した先付け部54cと後付け部54bとを下段角部段板52を取り付けた後に再び接合一体化する作業が必要となり、これらを精度良く分断したり接合一体化する作業に多くの手間を要することになる。また、これらの作業が精度良く行われていないと、設置後の折返し廻り階段にガタツキや隙間、或いは音鳴りの発生等の不具合を生じ易くなる。
本発明は、支持柱に取り付けられる3枚の内廻り側板を使用して、L字形状の切欠きを内側端部に備える2枚の角部段板を折返し廻り階段の折返し中間部へ取り付ける際に、内廻り側板を切断することなく、効率良く且つ精度良く角部段板を取り付けてゆくことのできる折返し廻り階段の段板取付け構造を提供することを目的とする。
本発明は、角形断面を有する支持柱を中心に180度向きを変えて設置される折返し廻り階段の当該支持柱に取り付けられる、段板の内側端部を係合する係合溝が形成された3枚の内廻り側板を用いた折返し廻り階段の段板取付け構造において、前記3枚の内廻り側板は、前記支持柱の折返し中間部側の側面に取り付けられる第1内廻り側板と、前記支持柱の下り階段部側の側面に取り付けられる第2内廻り側板と、前記支持柱の上り階段部側の側面に取り付けられる第3内廻り側板とからなり、前記折返し中間部の段板は、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面と前記下り階段部側の側面との角部分に配置されるL字切欠きを内側端部に備える下段角部段板と、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面と前記上り階段部側の側面との角部分に配置されるL字切欠きを内側端部に備える上段角部段板とを含んで構成されており、前記第1内廻り側板における前記下段角部段板の前記L字切欠が係合される下段の係合溝は、前記第1内廻り側板を横断して形成されると共に、該下段の係合溝の前記下り階段部側の部分が、前記第1内廻り側板の表裏を貫通する貫通溝部となっており、該下段の係合溝に前記下段角部段板のL字切欠きの一方の内側端面を沿わせて該L字切欠きを係止した状態で、前記貫通溝部に前記下段角部段板のL字切欠きの他方の内側端面を挿入させながら、前記貫通溝部の長さの範囲で前記第1内廻り側板が前記支持柱の前記折返し中間部側の側面に沿ってスライド移動可能となっている折返し廻り階段の段板取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明の折返し廻り階段の段板取付け構造は、前記折返し中間部の段板が、略矩形の平面形状を有する前記下段角部段板と、同じく略矩形の平面形状を有する前記上段角部段板とによる2段の段板によって構成されていることが好ましい。
また、本発明の折返し廻り階段の段板取付け構造は、前記第1内廻り側板が、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面に固定された際に、前記貫通溝部よりも下方の部分の前記下り階段部側の側端面を前記支持柱の前記下り階段部側の側面に合致させた状態で、前記貫通溝部よりも上方の部分の側縁部を前記支持柱の前記下り階段部側の側面から前記第2内廻り側板の厚さに相当する幅で突出させることが可能な形状を備えており、前記第2内廻り側板は、前記支持柱の前記下り階段部側の側面に固定された際に、前記係合溝よりも上方の部分の側端面を前記第1内廻り側板の前記突出した側縁部に当接させた状態で、前記係合溝よりも下方の部分の側縁部を、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面から突出させて前記第1内廻り側板の前記貫通溝部よりも下方の部分の側端面に当接させることが可能な形状を備えていることが好ましい。
さらに、本発明の折返し廻り階段の段板取付け構造は、前記第2内廻り側板の前記係合溝よりも上方の部分が、前記第1内廻り側板の、前記支持柱の前記下り階段部側の側面から突出する側縁部の高さより低い高さとなるように設けられていることが好ましい。
さらにまた、本発明の折返し廻り階段の段板取付け構造は、前記第1内廻り側板が、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面に固定された際に、上段の前記係合溝よりも上方の部分の前記上り階段部側の側端面を前記支持柱の前記上り階段部側の側面に合致させた状態で、上段の前記係合溝よりも下方の部分の側縁部を前記支持柱の前記上り階段部側の側面から前記第3内廻り側板の厚さに相当する幅で突出させることが可能な形状を備えており、前記第3内廻り側板は、前記支持柱の前記上り階段部側の側面に固定された際に、前記係合溝よりも下方の部分の側端面を前記第1内廻り側板の前記突出した側縁部に当接させた状態で、前記係合溝よりも上方の部分の側縁部を、前記支持柱の前記折返し中間部側の側面から突出させて前記第1内廻り側板の上段の前記係合溝よりも上方の部分の側端面に当接させることが可能な形状を備えていることが好ましい。
本発明の折返し廻り階段の段板取付け構造によれば、支持柱に取り付けられる3枚の内廻り側板を使用して、L字形状の切欠きを内側端部に備える2枚の角部段板を折返し廻り階段の折返し中間部へ取り付ける際に、内廻り側板を切断することなく、効率良く且つ精度良く角部段板を取り付けてゆくことができる。
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る折返し廻り階段の段板取付け構造10は、上述の従来の段板取付け構造と同様に、例えば図8に示す階段取付け躯体50に対して、後述する3枚の内廻り側板11,12,13の他は図9に示す階段ユニットと同様の構成を有する階段ユニットを用いて、階段取付け躯体50の折返し中間部50aに、L字形状の切欠き(L字切欠き)52a,53aを内側端部の角部分に備える2枚の角部段板52,53を、効率良く且つ精度良く取り付けてゆくための構造として採用されたものである。
すなわち、本実施形態の折返し廻り階段の段板取付け構造10は、角形断面を有する支持柱51を中心に180度向きを変えて設置される折返し廻り階段の当該支持柱51に取り付けられる、段板52,53の内側端部を係合する係合溝11a,11b,12a,13aが形成された3枚の内廻り側板11,12,13を用いた段板取付け構造において、図2(a),(b)及び図3にも示すように、3枚の内廻り側板11,12,13は、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに取り付けられる第1内廻り側板11と、支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに取り付けられる第2内廻り側板12と、支持柱51の上り階段部50c側の側面51cに取り付けられる第3内廻り側板13とからなり、折返し中間部50aの段板は、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aと下り階段部50b側の側面51bとの角部分に配置されるL字切欠き52aを内側端部に備える下段角部段板52と、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aと上り階段部50c側の側面51cとの角部分に配置されるL字切欠き53aを内側端部に備える上段角部段板53とを含んで構成されている。
そして、第1内廻り側板11における下段角部段板52のL字切欠き52a(図9参照)が係合される下段の係合溝11aは、第1内廻り側板11を横方向に横断して形成されると共に、この下段の係合溝11aの下り階段部50b側の部分が、第1内廻り側板11の表裏を貫通する貫通溝部11a’となっており、図4(a),(b)及び図5(a),(b)に示すように、この下段の係合溝11aに下段角部段板52のL字切欠き52aの一方の内側端面52a’(図9参照)を沿わせてL字切欠き52aを係止した状態で、貫通溝部11a’に下段角部段板52のL字切欠き52aの他方の内側端面52a”(図9参照)の基端部分を挿入させながら、貫通溝部11a’の長さの範囲で第1内廻り側板11が支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに沿ってスライド移動可能となっている(図5(a),(b)参照)。
また、本実施形態では、図9に示す階段ユニットと同様に、折返し中間部50aの段板は、略矩形(略正方形を含む)の平面形状を有する下段角部段板52と、同じく略矩形(略正方形を含む)の平面形状を有する上段角部段板53とによる、L字形状の切欠きを内側端部に備える2段の角部段板によって構成されている。
本実施形態では、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに取り付けられる第1内廻り側板11は、図2(a),(b)及び図3に示すように、例えば厚さが20mm程度の板部材からなり、階段の勾配に対応させて上辺部分を斜めに切り欠いた、縦長帯状の平面形状を備える。第1内廻り側板11の表面には、その略中央部分を幅方向に横断して、下段角部段板52の端縁部を挿入係止することが可能な幅を有する下段の係合溝11aが、例えば10mm程度の深さで切欠き形成されていると共に、下段の係合溝11aの下り階段部50b側の略半分の部分が、上述のように、第1内廻り側板11の表裏を貫通する貫通溝部11a’となっている。
また、第1内廻り側板11の表面には、その上部に幅方向中央部分まで延設して、上段角部段板53の端縁部を挿入係止することが可能な幅を有する上段の係合溝11bが、例えば10mm程度の深さで切欠き形成されている。第1内廻り側板11の表面の幅方向中央部分を縦方向に延設して、蹴込み板63(図1参照)の端縁部を挿入係止することが可能な縦方向係合溝11cが設けられている。
支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに取り付けられる第2内廻り側板12は、例えば厚さが20mm程度の板部材からなり、階段の勾配に対応させて上辺部分を斜めに切り欠いた、第1内廻り側板11の幅の1/2程度の幅を有する縦長帯状の平面形状を備える。第2内廻り側板12の表面には、幅方向に横断して、下段角部段板52の端縁部を挿入係止することが可能な幅を有する係合溝12aが、例えば10mm程度の深さで切欠き形成されている。また第2内廻り側板12の表面には、第1内廻り側板11との接合部分とは反対側の側縁部に沿って縦方向に延設して、下り階段部50bの内廻り壁面側板60(図2(b)参照)との間で蹴込み板63(図1参照)の端縁部を係止することが可能な縦方向係合溝12bが設けられている。
支持柱51の上り階段部50c側の側面51cに取り付けられる第3内廻り側板13は、例えば厚さが20mm程度の板部材からなり、階段の勾配に対応させて上辺部分を斜めに切り欠いた、第1内廻り側板11の幅の1/2程度の幅を有する縦長帯状の平面形状を備える。第3内廻り側板13の表面には、その略中央部分を幅方向に横断して、上段角部段板53の端縁部を挿入係止することが可能な幅を有する係合溝13aが、例えば10mm程度の深さで切欠き形成されている。また第3内廻り側板13の表面には、その上部の第1内廻り側板11との接合部分とは反対側の側縁部を切り欠いて、上り階段部50cに取り付けられる段板62(図1参照)の端縁部を係止することが可能な係合凹部溝13bが切欠き形成されている。
なお、本実施形態では、第2内廻り側板12や第3内廻り側板13に連設させて、支持柱51に連続する折返し廻り階段の内側の壁面59(図8参照)に沿って下り階段部50bや上り階段部50cに取り付けられる内廻り壁面側板60(図2(b)参照)は、図9に示す階段ユニットのものと同様の構成を備えている。
そして、本実施形態では、第1内廻り側板11は、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに固定された際に、貫通溝部11a’よりも下方の部分の下り階段部50b側の側端面11dを支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに合致させた状態で、貫通溝部11a’よりも上方の部分の側縁部11eを支持柱51の下り階段部側50bの側面51bから第2内廻り側板12の厚さに相当する幅で突出させることが可能な形状を備えており、第2内廻り側板12は、支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに固定された際に、係合溝12aよりも上方の部分の側端面12cを第1内廻り側板11の突出した側縁部11eに当接させた状態で、係合溝12aよりも下方の部分の側縁部12dを、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aから突出させて第1内廻り側板11の貫通溝部11a’よりも下方の部分の側端面11dに当接させることが可能な形状を備えている。
また、本実施形態では、第1内廻り側板11は、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに固定された際に、上段の係合溝11bよりも上方の部分の上り階段部50c側の側端面11fを支持柱51の上り階段部50c側の側面51cに合致させた状態で、上段の係合溝11bよりも下方の部分の側縁部11gを支持柱51の上り階段部50c側の側面51cから第3内廻り側板13の厚さに相当する幅で突出させることが可能な形状を備えており、第3内廻り側板13は、支持柱51の上り階段部50c側の側面51cに固定された際に、係合溝13aよりも下方の部分の側端面13cを第1内廻り側板11の突出した側縁部11gに当接させた状態で、係合溝13aよりも上方の部分の側縁部13dを、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aから突出させて第1内廻り側板11の上段の係合溝11bよりも上方の部分の側端面11fに当接させることが可能な形状を備えている。
これらによって、支持柱51における下段角部段板52や上段角部段板53の内側端部が取り付けられる位置において、折返し中間部50a側の側面51aに固定される第1内廻り側板11、下り階段部50b側の側面51bに固定される第2内廻り側板12、及び上り階段部50c側の側面51cに固定される第3内廻り側板13が、支持柱51の角部分で上下に互いに噛み合って配置されることになるので、これらの内廻り側板11,12,13の一体性を向上させて、さらに強固に且つ安定した状態で、下段角部段板52や上段角部段板53の内側端部を支持することが可能になる。
さらに、本実施形態では、上辺部分が斜めに切り欠かれた第2内廻り側板12の係合溝12aよりも上方の部分は、上辺部分が斜めに切り欠かれた第1内廻り側板11の、支持柱51の下り階段部側50bの側面51bから突出する貫通溝部11a’よりも上方の部分の側縁部11eの高さh1より低い高さh2(図2(a)参照)として、好ましくは当該側縁部11eの高さh1の40〜55%程度の高さh2となるように設けられている。
これによって、支持柱51の角部分で連設する第1内廻り側板11及び第2内廻り側板12による、支持柱51の周囲の良好な意匠性を保持しつつ、下段角部段板52の上方に露出する部分の第2内廻り側板12の高さh2が過度に高くなるのを抑制して、支持柱51と第2内廻り側板12との間に隙間が生じるのを効果的に回避することが可能になる。
そして、上述の構成を備える3枚の内廻り側板11,12,13と、L字切欠き52a,53aを内側端部に備える角部段板52,53とを含む階段ユニットを用いた本実施形態の折返し廻り階段の段板取付け構造10は、例えば以下のようにして、折返し中間部50aの折返し廻り階段をスムーズに施工することができる。
すなわち、折返し中間部50aの折返し廻り階段を施工するには、例えば図4(a),(b)に示すように、階段取付け躯体50(図8参照)による折返し廻り階段の外側の壁面57に沿って取り付けた外廻り壁面側板58の係合溝58aに下段角部段板52の外側端部を差し込むと共に、L字切欠き52aを支持柱51の角部に納めるようにして、下段角部段板52を折返し中間部50aに配設する。また、配設した下段角部段板52に対して、第1内廻り側板11を、下段角部段板52のL字切欠き52aの一方の内側端面52a’と支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aとの間の隙間に、貫通溝部11a’を有する下段の係合溝11aを横方向から差し込んで、下段の係合溝11aにL字切欠き52aの一方の内側端面52a’を沿わせてL字切欠52aに係止した状態で、当該第1内廻り側板11を下段角部段板52に取り付ける。
図4(b)に示す第1内廻り側板11を下段角部段板52に取り付けた状態では、貫通溝部11a’に下段角部段板52のL字切欠き52aの他方の内側端面52a”(図4(a)参照)の基端部分を挿入させながら、貫通溝部11a’の長さの範囲で第1内廻り側板11を、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに沿って横方向にスライド移動させることが可能なので、図5(a),(b)に示すように、第1内廻り側板11を、下り階段部50bの外側の壁面57側にスライド移動させる。
これによって、図6(a)に示すように、上段角部段板53を上方から斜めに落とし込む際に邪魔にならない位置まで第1内廻り側板11を下り階段部50b側に移動させることが可能になる。第1内廻り側板11を邪魔にならない位置まで移動させたら、上段角部段板53の外側端部を、折返し廻り階段の外側の壁面57に沿って取り付けた外廻り壁面側板58の係合溝58aに差し込むと共に、L字切欠き53aを支持柱51の角部に納めるようにしながら、好ましくは下段角部段板52との間に蹴込み板63(図7(a),(b)参照)を挟み込みつつ、上段角部段板53を上方から斜めに落とし込んで、図6(b)に示すように、上段角部段板53を、これのL字切欠き53aを第1内廻り側板11の上段の係合溝11bの高さ位置に配設した状態で折返し中間部50aに配置する。
しかる後に、図6(b)に示すように、第1内廻り側板11を上り階段部50cの外側の壁面57側にスライド移動させ、上段の係合溝11bを、上段角部段板53のL字切欠き53aの一方の内側端面と、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aとの間の隙間に差し込んで、L字切欠き53aに上段の係合溝11bを係止する。また、第1内廻り側板11を、貫通溝部11a’よりも下方の部分の下り階段部50b側の側端面11dが支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに合致するように位置決めした状態で、例えばビス等を打ち込んで支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに固定する。これによって、L字切欠き52a,53aを内側端部に備える下段角部段板52及び上段角部段板53を、折返し廻り階段の折返し中間部50aに、効率良く且つ精度良く、安定した状態で取り付けることが可能になる。
内側端部を第1内廻り側板11によって支持した状態で折返し中間部50aに下段角部段板52及び上段角部段板53を取り付けたら、図7(a),(b)に示すように、第2内廻り側板12を、これの係合溝12aを下段角部段板52のL字切欠き52aに係合させた状態で支持柱51の下り階段部50b側の側面51bに固定すると共に、第3内廻り側板13を、これの係合溝13aを上段角部段板53のL字切欠き53aに係合させた状態で支持柱51の上り階段部50c側の側面51cに固定する。
第2内廻り側板12や第3内廻り側板13を取り付けたら、図2(b)に示すように、これらのの内廻り側板12,13に連設させて、支持柱51に連続する折返し廻り階段の内側の壁面59(図8参照)に沿って、下り階段部50bの内廻り壁面側板60や上り階段部50cの内廻り壁面側板60を取り付けた後に、引き続いて下り階段部50bや上り階段部50cの段板61,62を取り付ける作業を、従来と同様の方法によって行ってゆくことができる。
したがって、本実施形態の折返し廻り階段の段板取付け構造10によれば、上述のように、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに取り付けられる第1内廻り側板11は、下段角部段板52のL字切欠き52aが係合される下段の係合溝11aの下り階段部50b側の部分が、第1内廻り側板11の表裏を貫通する貫通溝部11a’となっており、下段角部段板52を折返し中間部50aに配置した後に、貫通溝部11a’の長さの範囲で第1内廻り側板11が支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに沿ってスライド移動可能となっているので、支持柱51に取り付けられる3枚の内廻り側板11,12,13を使用して、L字形状の切欠き52a,53aを内側端部に備える2枚の角部段板52,53を折返し廻り階段の折返し中間部50aへ取り付ける際に、いずれの内廻り側板11,12,13も切断する必要がなく、工場等において予め精度良く加工製作された内廻り側板11,12,13をそのまま使用して、効率良く且つ精度良く角部段板52,53を取り付けてゆくことが可能になる。
図13〜図15は、本発明の好ましい他の実施形態に係る折返し廻り階段の段板取付け構造20を説明するものである。本他の実施形態の段板取付け構造20では、折返し廻り階段の折返し中間部50aは、下段側からNo.1〜No.6の6枚の段板21,22,23,24,25,26によって構成されており、これらの段板のうち、No.2の段板22とNo.5の段板25とが、L字切欠き22a,25aを内側端部に備える角部段板となっている。本他の実施形態の段板取付け構造20では、No.2の段板22とNo.5の段板25とを折返し中間部50aに先行して取り付けた後に、No.1の段板21とNo.3の段板23とNo.4の段板24とNo.6の段板26は、順不同で、両側の側縁部を内廻り側板27,28,29や外廻り側板の係合溝に係止して所定の位置まで横方向にスライド移動させることによって、折返し中間部50aに取り付けることができるようになっている。
また、本他の実施形態の段板取付け構造20では、図14に示すように、支持柱51の折返し中間部50a側の側面51aに取り付けられる第1内廻り側板27の表面には、その下部を幅方向に横断して、No.2の角部段板22の端縁部を挿入係止することが可能な幅を有する最下段の係合溝27aが設けられており、この最下段の係合溝27aの下り階段部50b側の略半分の部分は、当該角部段板22の表裏を貫通する貫通溝部27a’となっている。
そして、本他の実施形態の段板取付け構造20によっても、図15(a),(b)に示すように、第1内廻り側板27をNo.2の角部段板22に取り付けた状態では、貫通溝部27a’に、No.2の角部段板22のL字切欠き22aの他方の内側端面の基端部分を挿入させながら、貫通溝部22a’の長さの範囲で第1内廻り側板27を横方向にスライド移動させることが可能なので、No.5の角部段板25を上方から斜めに落とし込む際に邪魔にならない位置まで第1内廻り側板27を下り階段部50b側に移動させ、No.5の角部段板25を所定の高さに配置した後に、第1内廻り側板27を上り階段部50c側に再びスライド移動させて固定することで、上記実施形態の段板取付け構造10と同様の作用効果が奏される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、第1内廻り側板や第2内廻り側板や第3内廻り側板は、支持柱の角部分で上下に互いに噛み合って配置される形状に形成される必要は必ずしもなく、また第2内廻り側板の係合溝よりも上方の部分は、第1内廻り側板の突出した側縁部の高さと同様の高さで設けられていても良い。