JP5630927B1 - 不定形耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マグネシアを主原料とする不定形耐火物において、必要とされる特性を維持しつつ、焼成マグネシアの使用量を低減し、安価で優れた特性を備えた不定形耐火物を提供することを課題とする。を課題とする。【解決手段】 マグネシア原料とFe−Niスラグとを含み、微粉分を除く前記マグネシア原料と前記Fe−Niスラグとの割合が、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部の範囲にある不定形耐火物を提供することによって上記の課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、不定形耐火物に関し、詳細には、製鋼用電気炉等の補修などに用いられる吹付け材又はスタンプ材などの不定形耐火物に関する。
電気炉等の製鋼炉の補修には、従来から、例えば、特許文献1〜4に示されるとおり、補修用吹付け材、スタンプ材などの不定形耐火物が用いられている。補修用吹付け材は、通常、粉粒状の耐火性原料とバインダーを混合して製造され、施工に際しては、これをロテクターなどの吹付機に投入し、空気圧で施工箇所にまで搬送した後、水と混合して施工箇所に吹き付けることによって施工される。一方、スタンプ材は、通常、粉粒状の耐火性原料からなり、施工に際しては、これを施工箇所に投入し、エアランマー等で加圧成型するドライ施工か、或いは、施工現場において液体状のバインダーと混合し、施工箇所に投入後、同じくエアランマー等で加圧成型するセミドライ施工で施工される。
いずれにせよ、補修用吹付け材やスタンプ材などの不定形耐火物の主原料となる耐火物原料は、より良い施工が可能となるように所定の粒度分布に粒度調整されているのが普通であり、一般的には、例えば、粗粒、中間粒、微粉等に予め区分けされた耐火性原料を、最終製品の粒度分布が所定のものとなるように、適宜の割合で配合、混合して使用されている。
これら不定形耐火物に使用される耐火性原料としては、一般的に、焼成天然マグネシア、焼成海水マグネシア、電融マグネシアなどのマグネシア原料が使用されている。マグネシア原料としては、マグネシア含量が90%前後と比較的高い90%級MgOと呼ばれる高品位のものもあれば、マグネシア含量が70%前後と比較的低い70%級MgOと呼ばれる低品位のものもあり、ドロマイト原料を添加したマグネシア原料や、焼成オリビンを添加したマグネシア原料なども、補修用吹付け材或いはスタンプ材などの不定形耐火物の主たる耐火性原料として使用されている。
しかしながら、上述した各種マグネシア原料や、ドロマイト原料、焼成オリビン骨材などは、焼成工程を経て製造されるため、比較的高価であり、不定形耐火物のコスト上昇の一因となっている。
特開平7−10642号公報 特開平8−26836号公報 特開平11−130551号公報 特開2007−39255号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みて為されたもので、マグネシア原料を主たる耐火性原料とする補修用吹付け材又はスタンプ材などの不定形耐火物において、補修用吹付け材又はスタンプ材としての性能を維持しつつ、耐火性原料であるマグネシア原料の使用量を低減し、安価で優れた特性を備えた不定形耐火物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フェロニッケルスラグ(Fe−Niスラグ)に着目した。Fe−Niスラグは、主にステンレス鋼の原料となるフェロニッケル(Fe−Ni)の製造炉で発生するスラグであり、フェロニッケルの製造に伴い不可避的に発生する副産物である。我が国におけるFe−Niスラグの発生量は比較的多く、1992年にFe−Niスラグのコンクリート用スラグ骨材のJIS規格が制定(JIS A 5011−2)されたことにより、安定した品質の製品が幅広い用途に向けて供給されることが期待される材料であり、既に土木・建設用資材や舗装用資材として有効利用されている。
本発明者が確認したところによれば、典型的なFe−Niスラグは、通常、MgO又はMgOとCaOの混合物(以下、「(MgO+CaO)」と略記する)を約30質量%若しくはそれ以上含有し、他にSiO、Fe、さらに、微量のAlなどを含んでいる。塩基性耐火物であるMgO又は(MgO+CaO)の含量が比較的多いことはFe−Niスラグが耐火性を有している可能性を示唆しており、また、含まれるSiOやFeには耐火物中の骨材を焼結させる効果があるのではないかと考えられた。この仮説に基づき、本発明者は、不定形耐火物に使用されるマグネシア原料の一部、特に微粉分を除いたマグネシア原料の一部を、種々の割合でFe−Niスラグで置き換えて実際に不定形耐火物を製造し、その特性を調べ、置き換える割合が一定範囲内にあるときには、耐火性原料であるマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換えても、補修用吹付けやスタンプ材などの不定形耐火物に求められる特性が維持され、十分に使用可能であることを確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、マグネシア原料とFe−Niスラグとを含み、微粉分を除く前記マグネシア原料と前記Fe−Niスラグとの割合が、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部の範囲にある不定形耐火物を提供することによって、上記の課題を解決するものである。
本発明の不定形耐火物は、これにさらにバインダーを加えて混合し補修用吹付け材として用いることが可能である。また、本発明の不定形耐火物は、バインダーを加えず、ドライ施工されるスタンプ材として用いることができ、さらには、施工現場で溶液状のバインダーを混合して、湿式施工用或いはセミドライ施工用のスタンプ材として使用することも可能である。補修用吹付け材として使用される場合、及び湿式施工用或いはセミドライ施工用のスタンプ材として使用される場合のいずれにおいても、用いられるバインダーには特に制限はなく、通常、不定形耐火物に使用されるバインダーであれば基本的にどのようなバインダーでも使用できるが、例えば、珪酸塩、硫酸塩、燐酸塩、苦汁、粘土質鉱物、又はSiO超微粉などが好適に用いられる。
本発明の不定形耐火物に使用される骨材の粒径は、不定形耐火物の使用目的に応じて適宜設定されるが、例えば、最大粒径が5mmである場合には、補修用吹付け材又はスタンプ材のいずれの場合でも、耐火物の凹凸を良く充填、被覆し、緻密な耐火物層を構築することができるので好ましい。
本発明の不定形耐火物によれば、耐火性原料として用いられるマグネシア原料の一部がFe−Niスラグで置換されているので、使用するマグネシア原料の量を低減し、不定形耐火物のコストを低減させることができるという利点が得られる。また、本発明の不定形耐火物によれば、既に土木・建設用資材や舗装用資材として有効利用されているFe−Niスラグの新たな用途を提供することができるという利点が得られる。
本発明の不定形耐火物は、マグネシア原料とFe−Niスラグとを含み、微粉分を除く前記マグネシア原料と前記Fe−Niスラグとの割合が、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部の範囲にある不定形耐火物である。
耐火性原料として用いられるマグネシア原料は、通常、粒径が4〜1mmの粗粒、1〜0.25mmの中間粒、及び0.25〜0mmの微粉に予め区分けされたマグネシア原料を、最終製品である不定形耐火物に求められる粒度分布に合わせて適宜の配合割合で混合することによって調製される。本発明の不定形耐火物は、粒径に応じて粗粒、中間粒、及び微粉に区分けされたマグネシア原料のうち微粉以外のもの、すなわち、粗粒と中間粒に区分けされるマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換えるものである。なお、本明細書でいう微粉分とは、上記のように粒径によって予め微粉に区分けされたマグネシア原料を意味している。
微粉を除くマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換える割合は、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計を100質量部としたとき、微粉を除くマグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部の範囲にあるのが好ましく、微粉を除くマグネシア原料45質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜55質量部であるのがより好ましい。Fe−Niスラグの割合が5質量部未満の場合には、不定形耐火物の特性としては問題ないが、Fe−Niスラグの使用量が少なすぎ、マグネシア原料の使用量の低減効果が得られないので好ましくない。また、Fe−Niスラグの割合が70質量部を超えると、形成される耐火物の圧縮強さが低下するとともに、浸食され易くなるので好ましくない。
本発明の不定形耐火物において耐火性原料として用いるマグネシア原料とは、基本的に焼成天然マグネシア、焼成海水マグネシアなどの焼成マグネシア単体からなるマグネシア原料であり、例えば、マグネシア含有量が90%前後と高い、90%級MgOに該当する高品位のマグネシア原料が挙げられる。
マグネシア原料の粒径には原則として制限はないが、緻密な耐火物層を構築するという観点からは最大粒径が5mm以下であるのが好ましく、5mm〜0mmの範囲に入る粒度分布、より好ましくは4mm〜0mmの範囲に入る粒度分布を有しているのが好ましい。斯かる粒度分布を有するマグネシア原料は、上述したとおり、例えば、粒径が5〜1mm又は4〜1mmの粗粒、1〜0.25mmの中間粒、及び0.25〜0mmの微粉に予め区分けされたマグネシア原料を、求められる粒度分布に合わせて適宜の配合割合で混合することによって調製することができる。
なお、粗粒や中間粒には、若干ではあるが微粉に区分される粒径のものも含まれているので、例えば、粗粒と中間粒とを混合しただけでも、5mm〜0mm又は4mm〜0mmの範囲に入る粒度分布を有するマグネシア原料を調製することは可能である。しかしながら、補修用吹付け材やスタンプ材などの不定形耐火物においては、緻密で付着性の良い耐火物層を構築するために、微粉分がある程度の割合で含まれていることが不可欠であるので、粗粒と中間粒に加えて微粉を配合することによって、微粉が一定程度の割合で含まれている粒度分布を有するマグネシア原料が調製される。緻密で付着性の良い耐火物層が得られる限り、本発明の不定形耐火物において、配合される微粉の量には特段の制限はないが、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部としたとき、微粉の量は20〜45質量部であるのが好ましい。斯かる微粉としては、例えば、90%MgOに該当する焼成マグネシア原料をボールミルやローラミルで粉砕したミル粉と呼ばれる微粉が挙げられ、ミル粉は、通常、最大粒径が100μm以下で、粒径が0.075μm以下のものが全体の80質量%を占めている微粉である。
本発明で使用するFe−Niスラグとは、上述したとおり、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金の製造炉で発生するスラグであり、通常、30質量%又はそれ以上のMgO又は(MgO+CaO)と、40質量%又はそれ以上のSiOと、10質量%又はそれ以上のFeを含有しており、他に、1質量%又はそれ以上のAlを含有している。Fe−Niスラグのコンクリート用スラグ骨材にはJIS規格が制定されていることからも理解されるとおり、Fe−Niスラグの組成は極めて安定しており、通常、我が国でFe−Niの副産物として発生するFe−Niスラグは30〜35質量%のMgOを含有し、例えば、中国で発生するFe−Niスラグは、塩基性原料として、30〜35質量%の(MgO+CaO)を含有し、両者いずれにおいても、他に、40〜55質量%のSiOと、10〜20質量%Feと、1〜4質量%のAlを含有している。このようなFe−Niスラグとして、我が国で入手可能なものは、例えば、商品名「パムコスラグ」(大平洋金属株式会社製)が挙げられる。
Fe−Niスラグの粒径には原則として制限はないが、マグネシア原料と混合して使用されるので、マグネシア原料の粒径をほぼ等しい粒径であるのが好ましく、マグネシア原料と同様に、施工面の凹凸を良く充填、被覆し、緻密な耐火物層を構築するという観点からは最大粒径が5mm以下であるのが好ましく、5mm〜0mmの範囲に入る粒度分布を有しているのが好ましく、より好ましくは、粒径0.3mm未満の細粒分を含まない5mm〜0.3mmの範囲に入る粒度分布を有しているのが良い。
本発明の不定形耐火物は、上記のとおり、マグネシア原料とFe−Niスラグとを主原料とするものであるが、場合によっては、マグネシア原料とFe−Niスラグ以外に、不定形耐火物で汎用されている他の材料を加えても良い。そのような他の材料としては、例えば、有機合成繊維などが挙げられる。
本発明の不定形耐火物が補修用吹付け材として用いられる場合には、上記マグネシア原料とFe−Niスラグに加えて、バインダーが混合される。施工したときに付着性の良い耐火物の層が形成される限り、本発明の補修用吹付け材に混合されるバインダーの量に特段の制限はないが、通常、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部としたとき、バインダーの固形分質量で2〜7質量部であるのが好ましい。用いられるバインダーとしては、通常、不定形耐火物のバインダーとして用いられるものであれば、どのようなバインダーであっても良いが、例えば、珪酸ソーダ、珪酸カリなどの珪酸塩、硫酸マグネシウムなどの硫酸塩、燐酸ソーダ、燐酸カリなどの燐酸塩、粘土質鉱物、又はSiO超微粉などを用いることができる。
以下、実験に基づいて、本発明の不定形耐火物をさらに詳細に説明する。
<実験1:補修用吹付け材>
下記の材料を下記表1の割合で混合して、粉粒状の試験用吹付け材A〜Gを調製した。また、対照として、マグネシア原料をFe−Niスラグで置換しない対照吹付け材1と、マグネシア原料として、マグネシア含量が70質量%前後と比較的低い低品位の70%級MgOのマグネシア原料を用い、マグネシア原料をFe−Niスラグで置換しない対照吹付け材2とを調製した。調製した試験用吹付け材A〜G及び対照吹付け材1〜2の各々を下記の吹付け試験に供し、付着作業性及び加熱後状況を調べた。
(使用材料)
・マグネシア原料(微粉分を除く):90%級MgO(粒度4〜0mm)
・Fe−Niスラグ:商品名「パムコスラグ」(大平洋金属株式会社製)(粒度5〜0.3mm
・マグネシア原料(微粉分):ミル粉(90%級MgOの微粉(最大粒径100μm以下、粒径0.075μm以下80質量%以上))
・結合材:硫酸塩粉末
次に、試験用吹付け材A〜G及び対照吹付け材1〜2の各々に水を添加して混連し、75mm×75mm×50mmの型枠に加振流し込み充填した。硬化後、脱枠乾燥して、それぞれ対応する試験体A〜G及び対照試験体1〜2を製造し、試験体A〜G及び対照試験体1〜2について、乾燥後の物性測定(見掛気孔率、嵩比重、及び圧縮強さ)を測定した。
さらに、試験用吹付け材A〜G及び対照吹付け材1〜2の各々に水を添加して混練し、断面形状が上辺60mm、底辺100mm、高さ50mmの台形で、縦60mmの型枠に加振流し込み充填した。硬化後、脱枠乾燥して、回転浸食試験用試験体A〜G及び対照試験体1〜2を製造し、回転浸食試験を行った。各試験の要領は以下のとおり。
(吹付け試験)
目標板として高さ1000mm、幅500mm、厚さ70mmの耐火キャスタブル板を予めガスバーナーで15分、均等に加熱し、表面温度を600℃とした後、小型のロテクター型吹付け機(ノズル:25mmφ×500L)を用い、試験用吹付け材A〜F及び対照吹付け材1〜2の各々を前記目標板に対して手動吹付けした。付着作業性は、手動吹付けによって吹付け材が落下することなく目標板に付着した場合、付着作業性が良好であるとして「○」と評価し、吹付けても、吹付け材の一部が目標板に付着せず落下した場合、付着作業性が不良であるとして「×」と評価した。また、加熱後状況は、吹付け施工後、目標板上に形成された耐火物体(施工体)をガスバーナーで加熱し、剥離の有無を調べた。
(回転浸食試験)
回転浸食試験用試験体A〜G及び対照試験体1〜2を、各試験体の台形の上辺が内側を向く正八角形状になるように鉄製円筒内に張り合わせ、鉄製円筒を回転させながら、ガスバーナーで各試験体の内側を加熱して所定温度にまで上昇させた後、試験体で構成される正八角形状の内側に浸食材としてスラグ及び鋼片を投入溶解し、30分経過後、スラグ及び溶解した鋼片を取り出す作業を計8回繰り返し、合計4時間経過後に各試験体を取り出して、熔損厚みを測定し、浸食量(mm)とした。また、回転浸食試験用対照試験体1の浸食量を100とし、それに対する相対値を浸食指数とした。
結果を表1に示す。(なお、表1において、配合割合を示す欄に記載された各数値は質量部を示している。また、マグネシア原料である90%級MgO(粒径4〜0mm)及びFe−Niスラグ(粒径5〜0.3mm)の欄において括弧内に記載された数値は、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部とした場合の各々の質量部を表し、90%級MgO(ミル粉)の欄において括弧内に記載された数値は、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部とした場合の微粉分(ミル粉)の質量部を表している。)
Figure 0005630927
表1に示すとおり、試験に供した試験用吹付け材A〜Gのいずれが、吹付け試験における付着作業性は良好「○」で、加熱後状況も「剥離無」であり、微粉分を除くマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置換しても、吹付け材としての基本的な性能は失われないことがわかった。
しかし、各試験用吹付け材を用いて製造された試験体の嵩比重と圧縮強さは、Fe−Niスラグによる置換率が増えるに連れて減少した。特に、回転浸食試験においては、マグネシア原料32質量部に対してFe−Niスラグ68質量部の割合である試験体Eまでは浸食量が5.0mmと5mm以下を保ち、浸食指数も150未満であったが、マグネシア原料18質量部に対してFe−Niスラグ82質量部の割合である試験体Fでは、浸食量が6.3mmと試験体Eに比べて大幅に増加し、浸食指数も185と大幅に増加した。因みに、試験体Fの浸食量は、70%級MgO低品位マグネシア原料を使用した対照試験体2の浸食量とほぼ同じ値であった。これらの結果によれば、微粉分を除くマグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合の上限は、両者の合計を100質量部とした場合、微粉分を除くマグネシア原料30質量部に対し、Fe−Niスラグ70質量部までが好適であり、マグネシア原料30質量部に対しFe−Niスラグ70質量部以下の置換であれば、70%級MgOの低品位マグネシア原料を使用した対照吹付け材2よりも優れた補修用吹付け材が得られることが判明した。
なお、70%級MgOの低品位マグネシア原料を使用した対照吹付け材2は、焼成オリビン骨材を使用した補修用吹付け材と同等の耐浸食性を有しているといわれている補修用吹付け材であるので、マグネシア原料30質量部に対しFe−Niスラグ70質量部以下の割合でマグネシア原料をFe−Niスラグで置換した本発明の補修用吹付け材は、70%級MgO低品位マグネシア原料を使用した対照吹付け材2は勿論、焼成オリビン骨材を使用した補修用吹付け材よりも耐食性に優れた補修用吹付け材であるということができる。
また、微粉を除くマグネシア原料93質量部に対してFe−Niスラグ7質量部の割合である試験体Aにおいても、対照試験体1にほぼ匹敵する圧縮強さ、及び浸食量並びに浸食指数が保たれていることが確認されたので、マグネシア原料の使用量を有意に低減させるという観点から、微粉を除くマグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合の下限は、両者の合計を100質量部とした場合、マグネシア原料95質量部に対し、Fe−Niスラグ5質量部以上が好ましいと判断された。
以上の結果から、補修用吹付け材においては、微粉分を除くマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換える割合は、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部であるのが好ましいとの結論が得られた。
さらに、Fe−Niスラグの量が55質量部である試験体Dでは浸食量が4.6mmであるのに対し、Fe−Niスラグの量が55質量部を超え68質量部である試験体Eでは、浸食量が5.0mmと増加するので、微粉分を除くマグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合のより好ましい上限は、両者の合計を100質量部とした場合、マグネシア原料45質量部に対し、Fe−Niスラグ55質量部までであると判断された。
<実験2:スタンプ材>
硫酸塩粉末に代えて、苦汁水溶液をバインダーとして用いた以外は実験1と同じ材料を用い、それらを下記表2の割合で混合、混練して、試験用スタンプ材H〜Nを調製した。また、対照として、マグネシア原料をFe−Niスラグで置換しない対照スタンプ材1と、90%級MgOの高品位マグネシア原料に代えて、実験1で用いたのと同じ70%級MgOの低品位マグネシア原料を用い、Fe−Niスラグで置換しない対照スタンプ材2を調製した。調製した試験用スタンプ材H〜N及び対照スタンプ材1〜2の各々を下記のスタンプ試験に供した。
また、試験用スタンプ材H〜N及び対照スタンプ材1〜2の各々を、5MPaの圧力で型枠内に充填し、横75mm、縦75mm、高さ50mmの試験体H〜N及び対照試験体1〜2を成型し、110℃で24時間乾燥した。乾燥後、各試験体の物性(見掛気孔率、嵩比重、及び圧縮強さ)を測定し、さらに実験1におけると同様にして、試験用スタンプ材H〜N及び対照スタンプ材1〜2を用いて回転浸食用試験体H〜N及び対照試験体1〜2を作成し、回転浸食試験を行った。なお、スタンプ試験の要領は以下のとおり。
(スタンプ試験)
試験用スタンプ材H〜N及び対照スタンプ材1〜2の各々1kgを1000cmのメスシリンダーに入れ、JIS R2574に規定されたワーカビリティーインデックス試験の成型用ランマー加振台に乗せて30回タッピングし、その後の容積(cm)を測定し、充填容積とした。充填容積が小さい程、充填性が良いことを示しており、充填容積によって充填作業製を評価した。
結果を表2に示す。(なお、表2において、配合割合を示す欄に記載された各数値は質量部を示している。また、マグネシア原料である90%級MgO(粒径4〜0mm)及びFe−Niスラグ(粒径5〜0.3mm)の欄において括弧内に記載された数値は、微粉分を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部とした場合の各々の質量部を表し、90%級MgO(ミル粉)の欄において括弧内に記載された数値は、微粉を除くマグネシア原料とFe−Niスラグの合計量を100質量部とした場合の微粉分(ミル粉)の質量部を表している。)
Figure 0005630927
表2に示すとおり、試験に供した試験用スタンプ材H〜Nのいずれにおいても、スタンプ試験における充填性は、Fe−Niスラグで置換する量が多くなるに連れて若干低下するものの、70%級MgOを用いた対照スタンプ材2よりは良い充填性を示し、マグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置換しても、スタンプ材としての基本的な性能は失われないことが確認された。
同様に、試験用スタンプ材H〜Nを用いて製造された試験体H〜Nの嵩比重や圧縮強さも、Fe−Niスラグで置換せず、マグネシア原料だけを用いた対照スタンプ材1とほぼ変わらず、マグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置換しても、スタンプ材としての基本的な物性は維持されることが確認された。
一方、回転浸食試験では、微粉分を除くマグネシア原料32質量部に対してFe−Niスラグ68質量部の割合である試験体Lまでは浸食量が7.8mmで浸食指数が150であったが、マグネシア原料18質量部に対してFe−Niスラグ82質量部の割合である試験体Mでは、浸食量が9.8mm、浸食指数が188と試験体Lに比べて大幅に増加した。これらの結果によれば、スタンプ材においても、微粉分を除くマグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合の上限は、両者の合計を100質量部とした場合、マグネシア原料30質量部に対し、Fe−Niスラグ70質量部までが好適であり、マグネシア原料30質量部に対しFe−Niスラグ70質量部以下の置換であれば、優れた特性を備えたスタンプ材が得られることが判明した。
なお、マグネシア原料として、90%級MgOに代えて、70%級MgOを使用した対照スタンプ材2から製造された対照試験体2の浸食量は10.7mm、浸食指数は206と非常に大きく、Fe−Niスラグによる置換割合が本発明の範囲内にある試験体Lの耐浸食性は、対照試験体2に比べて遙かに良好であった。このように、マグネシア原料30質量部に対しFe−Niスラグ70質量部以下の割合でマグネシア原料をFe−Niスラグで置換した本発明のスタンプ材は、マグネシア原料として70%級MgOを使用した対照スタンプ材2よりも耐食性に優れ、優れたスタンプ材であるということができる。
また、実験1で示した補修用吹付け材の場合と同様に、マグネシア原料93質量部に対してFe−Niスラグ7質量部の割合である試験体Hにおいても、対照試験体1にほぼ匹敵する圧縮強さ、及び浸食量並びに浸食指数が保たれていることが確認されたので、スタンプ材の場合であっても、マグネシア原料の使用量を有意に低減させるという観点から、微粉分を除くマグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合の下限は、両者の合計を100質量部とした場合、マグネシア原料95質量部に対し、Fe−Niスラグ5質量部以上が好ましいと判断された。
以上の結果から、スタンプ材においても、微粉分を除くマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換える割合は、両者の合計を100質量部としたとき、微粉分を除くマグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部であるのが好ましいとの結論が得られた。
さらに、Fe−Niスラグの量が55質量部である試験体Kでは浸食量が7.0mm、浸食指数が135であるのに対し、Fe−Niスラグの量が55質量部を超え68質量部である試験体Lでは、浸食指数が150と大幅に増加するので、スタンプ材においても、マグネシア原料に対するFe−Niスラグの割合のより好ましい上限は、両者の合計を100質量部とした場合、マグネシア原料45質量部に対し、Fe−Niスラグ55質量部までであると判断された。
以上のとおり、補修用吹付け材又はスタンプ材のいずれの場合であっても、微粉分を除くマグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置き換える割合は、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部であるのが好ましく、マグネシア原料45質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜55質量部であるのがより好ましい。そして斯かる範囲内の割合であれば、マグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置換しても、実用上支障のない耐浸食性と物性を備えた補修用吹付け材及びスタンプ材を得ることが可能である。
本発明によれば、マグネシア原料の一部をFe−Niスラグで置換することにより、補修用吹付け材やスタンプ材などの不定形耐火物におけるマグネシア原料の使用量を大幅に減少させ、そのコストを大幅に下げることが可能となる。本発明は、優れた物性を備えた不定形耐火物を安価に提供することを可能にするばかりでなく、有用な資源であるFe−Niスラグの新たな用途を提供するものであり、その産業上の利用可能性には多大のものがある。

Claims (3)

  1. マグネシア原料とFe−Niスラグとを含み、微粉分を除く前記マグネシア原料と前記Fe−Niスラグとの割合が、両者の合計を100質量部としたとき、マグネシア原料30質量部〜95質量部に対しFe−Niスラグ5質量部〜70質量部の範囲にある不定形耐火物。
  2. 請求項1記載の不定形耐火物とバインダーとを含む補修用吹付け材。
  3. 請求項1記載の不定形耐火物を含むスタンプ材。
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